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IPEの種 6/27/2005

数週間前,核武装するより<国民皆兵制>を議論したほうが良い,と私はここに書きました.あるいは数ヶ月か,数年前(?),核攻撃に対して迎撃ミサイルを配備するより,日本の<政治経済機能を地理的に分散>して,必要なら国民の一部を<海外に(たとえばオーストラリアに)移住>させてはどうか,とも提案しました.

保守派の論客Max Bootの論説を読んで,もう一つの可能性を考えました.<世界中で日本人を募集>してはどうか,と.もちろん,日本人として歓迎する前に,生涯にわたって日本語と日本文化の教育を保障し,一定の修得水準を求めます.そして,何より平和憲法を理解し,憲法の理想に対して宣誓してもらいます.彼らが日本語や日本文化を修得し,日本国憲法に沿った行動を取るのなら,それがどこであれ,誰であれ,彼らに日本国籍を与えましょう.

日本人とは,靖国神社に毎年参拝している人(国民の何%ですか?),天皇や巨人軍,トヨタ自動車やジーコ・ジャパンを愛している人(それぞれ何%?)ではなく,単に父親か母親が日本人であるとか,日本で生まれた無国籍の者であることを政府が認めた人ですから,血統書クラブのようなものだと思います.

読書クラブや投資クラブというものがあります.そうであれば,政治献金クラブというものがあっても良いでしょう.先日,自宅近くを車で走っているとき,以前の雑木林が整地されて広大な住宅用地か鉄道延長にともなう用地へと整備が進んでいるのを見ました.その一部でも(たとえば20%)緑地として残しておくように法律が求めていたら,新しい街では人々が緑の中をジョギングできたはずです.しかし,実際に用地を先に押さえているのはスーパーマーケットや飲食店,銀行などです.

もっと緑を残して欲しいけれど,地主や不動産屋は支持しないでしょう.彼らが反対していることを,日本の政治家が実現するでしょうか? どうしてスーパーマーケットは土地を早く購入できたのか? 何か政治家とのつながり,土地利用の線引きや情報に関する利益供与があるのではないか? と私は疑いました.彼らが献金しているだろうから?

「住宅地に緑を確保してくれる政治家には1000万円献金します!」・・・と宣伝してはどうでしょうか? 年間5000円を集めて,2000家族が合意すれば献金できます.政治家たちが資金集めのためにパーティーをやるように,献金クラブもその目的を説明するパーティーを開くのです.そして目的に応じて政治家や政治団体,NGOなどに献金し,彼らの行動を必ずチェックして会員に報告します.

確かに,ゼミやサークル,教授会や町内会,PTA,同窓会など,何を見ても「日本人」が話し合うことは難しいな,と思います.60名の合宿でも大変です.人が集まるとすれば,結婚式か葬式か,飲み会です.日本で最強の組織は企業かヤクザではないでしょうか? 学校のクラブや,社会人のバレーボール・チーム,夜のバス停で少年たちに帰宅を促す自警団など,その活動を支える人は減少し続けているのではないか? 信仰集団,政治結社の誕生も,常に,家族と共同体への忠誠や奉仕に回帰します.

むしろお金の出入りと政治目的が明確な方が,集まって話しやすいのではないでしょうか? 献金クラブの意思決定をどうすればよいでしょうか? 献金額によるか,帰属年数や指導力を評価するか? 献金目的や相手の選択,献金額の配分,献金クラブへの参加条件や離脱条件,追放処分をどう決めますか? 政治結社であると思えば,いろいろな組織原理が試されるでしょう.

友人たちに呼びかけて始める読書クラブと同じように,資金と政治的選択とクラブ参加者が決まれば,それはいずれ新政党もしくは新宗教に,そして新しい国家になるかもしれません.

もちろん,戦争こそが国家を生み,国家はさらに多くの戦争を生みました.多国籍企業や大学が世界で競争するだけでなく,国家が戦争を民営化し,アウト・ソーシングし,優れた移民労働者や,軍隊の新兵補充のために世界で競争しています.

読書クラブから始まった国家であれば,少なくとも,戦争は好まなかったはずです.・・・そう,たとえば,家族3人で種を蒔き,牛を飼って,乳絞りからチーズまで作ってしまう吉田農場のように  『情熱大陸』を観て,吉田全作氏の理想にあこがれました.

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