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IPEの種 6/6/2005

ビン・ラディンやブッシュだけでなく,中国や韓国の反日デモ,「ローズ革命」(グルジア)や「オレンジ革命」(ウクライナ)に参加した個人,あるいはジンバブエのムガベ,リベリアのテイラー,ヴェネズエラのチャベス,・・・EU憲法を否決したフランス人やオランダ人,・・・キューバのグァンタナモ監獄に幽閉されている捕虜たち.

制度が変化し,あるいは秩序が再編される際に,個人(そして,「大衆」)はどのような役割を果たすのでしょうか? ニクソンを失脚させた「ディープ・スロート」や,囚人となったロシアの石油王ホドルコフスキーの話を読んで,そんなことを思いました.

ある朝,降り始めた雨を避けて駅まで車で送ってもらうとき,私はとても無駄なことをしているな,と思いました.たった一人が移動するために,二人で自動車に乗って,これほど大きな鉄の塊をガソリンの力で走らせるのです.むしろバスに乗るべきでしょう.否,できることなら自転車で駅まで走りたいです.

ところが,実際,それができません.バス代は210円もします.多分,ガソリン代より高いでしょう.時間もかかります.もし休日に家族で移動したら,それこそ大変な出費なのです.だから,結局,自動車を買うでしょう.また,もし自転車で行くとすると,駅前に置き場所が無く,すぐに壊されたり,盗られたりします.どうせ家に自動車があるなら,使わないより,使ったほうが良い,というわけです.

もしも多くの人が同じような不満を感じているなら,自動車ではなく自転車や公共輸送手段を使い易くするため,社会を再編したいです.たとえば乗用車に課税して,逆にバス代を10分の1にできないでしょうか? 都市の渋滞地域や渋滞時間だけ道路を有料化するシステムも,現代の情報技術によれば可能である,と聞きます.ロンドンが渋滞チャージを成功させました.

数年に一度だけ民主主義を実行し,それ以外の時間は誰もが政治家と官僚たちの支配に従うしかない制度を,初期の民主主義思想家は嫌いました.投票率がこれほど低下し,主要政党の数が限られ,同じような選択肢しか示さないなら,投票しても意味がないと感じます.そんなとき,EU憲法が否決されたのは,むしろ新鮮な驚きでした.

議会を欠席し,議事妨害や審議拒否を繰り返すより,政治家には,住民投票や国民投票の機会を増やす工夫をしてもらいたいです.銀行や郵便局のATM,あるいはコンビニや宅配のシステムを利用して,毎週,国民投票を実施できませんか? 国会で紛糾していること,重要な法案やその修正,激しい反対派の抵抗などを,国民の直接投票によって,優れた解決に導いてほしいです.

社会的な費用が個人の費用にもっと正しく反映できたら,環境保護であれ,医療費や年金改革であれ,私たちはもっと柔軟かつ迅速に望むものを実現できるでしょう.今はどの家庭も,狭い敷地に駐車場を作らねばなりません.あるいは,団地の周辺道路には違法駐車がびっしりと並びます.乗用車をやめれば,もはや駐車場は要りません.部屋を広くするか,あるいは庭に草花を植えるでしょう.週末や雨の日でも,自動車の渋滞は起きません.

どうしても必要なら,タクシーとレンタカーを使います.週末に,割引価格でレンタカーを貸してはどうですか? 平日は企業が利用して,週末は住民が安く利用するのです.また,住民パスを配って均一料金を低く設定してください.公共部門として運営されるバスでも,利便性や効率を反映した柔軟なシステムに調整できるはずです.

公共輸送システムが充実すれば,集合住宅や公共空間がもっと重視されるでしょう.もし住宅地の中にも,個人の美しい庭園や,広々とした芝生と豊かな木々に覆われた公園が生まれるとしたら,私は自動車なんて要らないと思うのです.

社会改造が難しいほど,制度や秩序は既得権と化し,支配の道具となります.公衆に向けた討論は姿を消し,刑罰と監獄ばかりになるでしょう.しかし・・・多くの人は,美しい公園を想うより,乗用車と駐車場がほしい,と思うのです.

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