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IPEの種 3/21/2005
とうとう,日本の政治・社会システムを根本的に変える戦略が見つかりました.それは,反花粉症政治連盟(PLAP: The Political League for Anti-Pollinosis)を結成することです.
3月9日にJohn Williamsonが京都に来て,その前から,私はどこへ連れて行こうか,と下見のために京都の庭園を歩き回っていました.その頃,私にも花粉症の症状が明確に現れたのです.12日から旅立ったブエノス・アイレスでは,排気ガスに苦しんだものの,花粉症は治まっていました.しかし,帰国してすぐ,これが花粉症か,と実感したのです.
花粉症がすでに国民病となって広まっているのに,政治家たちは具体的な政策や根本的な対応を取っていません.これほどの不自由と不快,生活上の支障をきたしている問題に対して,まるで風変わりな風邪か,天気予報に加わった季節の変わり目に起きる自然現象ででもあるかのように,苦しむ人々を孤立させたまま放置しています.
しかし,もし主要な原因が分かれば,それに社会的な対応を取るのは政治的合意を形成する議会や指導者たちの役割です.日本の山間部において林業も地域社会も衰退し,荒れた杉林が大量の花粉を撒き散らしているのではないでしょうか? 飛行機から見た日本の山林は著しく荒廃し,赤茶けて,砂漠化しています.都会に近づくほど道路が森を寸断し,ゴルフ場建設や宅地開発が,怪獣の爪痕のように,白い肉をえぐっています.かつて美しさを誇った日本の山野は,まさに皮膚病に冒されて苦しむ巨象のようなありさまです.
私は,それを変えるべきだし,必ず変わるはずだと思います.花粉症に苦しむ人々が,他のどのような政策にもまして,具体的な対策を提案し,花粉症のない日本を実現できる政治家たちに投票するでしょう.
もし安い輸入木材や過疎の村が,山林の十分な管理を経済的に維持できなくなっていることで杉山が荒廃し,それが花粉症激化の原因の一つであれば,政府はもっと早く行動を起こすべきでした.あるいは,もし自動車の排気ガスや,中国の工業化による煤煙が日本に流れてくることが化学反応を引き起こし,花粉症を強めているとしたら,政府は規制に向けた話し合いをもっと早く始めるべきでした.花粉症に及ぼす食品添加物や衣料・建材などの化学物質の影響,水や土壌の汚染を今すぐ調べるべきです.
私は,9・11に対して,ブッシュ政権が1ヶ月もしないうちにアフガニスタンを攻撃したことを思い出します.口蹄疫の感染や狂牛病の原因が明らかになれば,イギリス政府がどれほど果敢に,迅速な対応と徹底した処分を政府の責任で進めたか! 私たちは,家畜を燃やす炎と煙が空を覆うのをニュースで観ました.ヴェトナムや中国では,鶏インフルエンザやSARSが蔓延するのを,断固とした強制処置と国民の協力によって押さえ込みました.もし必要なら,弱った全ての杉を伐採し,杉山の回復を目指すか他の樹木を植林して,日本の国土を再生するべきでしょう.国民の健康や国土の保全,自然環境の改善に責任を自覚した政府であれば,花粉症を無視しなかったはずです.
日本政府や日銀はバブルの抑制や不良債権処理に失敗し,年金問題や道路公団の改革に不明瞭な幕引きを行い,郵政民営化にも時間ばかりかけています.明確な議論はないまま,国民が関心を失うまで改革に反対し続ける政治家がいたり,利益団体との交渉のために妥協や懐柔を重ねる指導者が多かったりするのはなぜでしょうか? 政治家は次の選挙を恐れないのでしょうか? 自分たちの支持基盤は安泰で,票は既に数えてある,と信じて? もしそれが花粉症をもたらす土地の売買や開発に繋がるとしたら,彼らを全員辞めさせたい,と私は思います.
反花粉症政治連盟(PLAP)は日本を変えます.彼らは特定の政党を支持しません.献金もしません.特定の規制や補助金も求めません.花粉症に対する有効な対策を求めて,政治家を選択するのです.「もし次の選挙でも生き延びようと思うなら,できる限り速やかに,有効な対策を実行しなさい.弱った杉を切り倒すつもりなら,その前に,腐った政治家を一掃しなさい.」
これまで具体的な対策を取らないばかりか,花粉症の蔓延を無視し,あるいは助成するような開発を進めてきた旧来の政治家は,次の選挙で全員落選するでしょう.積極的に議論を指導し,有効な対策を検討できないような政治家は影響力を失うでしょう.これは財源でも,官僚とのコネでもなく,分析能力や政策化をめぐるアイデアの競争です.クジラや珊瑚礁に代わって,花粉症の対策を提案する能力を示せば,エコロジストや環境保護団体も,日本の政治で初めて主要な発言力を得るでしょう.
誰もが花粉症の被害を受ける恐れがあります.たとえ今は健康な人でも,その体には花粉症の発症を促す物質が蓄積され,時限爆弾のように,誕生の時を待っているのです.既に,花粉症は季節的な経済活動に沈滞をもたらしているのではないでしょうか? 決算期に株価が動揺する日本の異常さが,今度は花粉症によって示されるでしょう.地下鉄のOLやレストランの店員が,あるいは宅配業者や警察官が,大きなマスクと水中眼鏡で顔を隠し,花粉から身を守ろうとしています.これではオウム真理教もテロリストも,誰が判別できるでしょうか? かつて中国人がSARSを恐れ,競ってマスクを買い求めた際に,毛沢東の肖像画にもマスクを被せて皮肉ったThe Economistが,日本の花粉症をどう描くでしょうか?
花粉症は確実に労働効率や意欲を損ないます.花粉の吹き荒れる季節になれば,もはや消費者は市場に向かわず,インターネットと宅配で自宅にこもったまま雨の日を待ちます.季節的な労働力の移動や海外からの流入,花粉症に強い人々の雇用や移民の流入が優先されるかもしれません.花粉症の原因究明や治療法の研究が急速に行われ,関連グッズの販売や,花粉症から逃れる保養地,旅館,別荘が開発されるはずです.室内で行えるハイテク産業やアニメ製作などが株式市場を動かし,新しい町や産業を興隆させ,彼らが反花粉症政治連盟を長期的に支持する強力な社会集団を形成します.
今すぐ,野党は自分たちの基本的な原理を明確に示して,花粉症を放置してきた長期支配政党として自民党を分裂させるべきです.花粉症に苦しむ人々の怒りは強烈です.それは火が点くのを待っている乾燥した杉林です.まず,野党の本物の政治指導者が,漫然とした日本の政治に雷を落として,全システムを焼き尽くすべきでしょう.国民は待っています.それは必ず,次の投票行動を激変させるはずです.
こうして花粉症を克服した日本の新しい政治システムは,環境保護や安全保障,貿易,通貨など,新しい国際システムの構築に関しても,積極的に発言する能力を形成できると思います.
あるいは,さまざまな対処療法に生活を圧迫され,空気正常化装置に身体を委ね,あるいは自ら患部を焼き捨て,花粉症に冒された体を擬態化し,特に能力や資産のある者は続々とこの国を捨てて世界中に離散し始めるのでしょうか? アジア中で,花粉症を逃れる裕福な日本人のために別荘が建設される? 宮崎駿が『風の谷のナウシカ』で先駆的に描き出した,奇怪なマスクを着けて腐界の瘴気を逃れる人々の群れが,今,ここに実在します.そして日本は,このまま,金融危機や社会危機を頻発する破綻国家への道を突き進むのでしょうか?
アルゼンチンが豊かな資源を持ちながらその富を破壊し,ハイパー・インフレや債務不履行を常習的に繰り返す不安定と貧困の蔓延した国に転落したのは,何よりも,その政治システムに問題があったと思います.
急速に景気を回復したブエノス・アイレスには,今も多くの乞食や大道芸人がいました.交差点の信号が赤になれば,窓拭きやジャグラーの少年,花売りの女性が現れ,夜になればゴミを集めて選別するカルトネーロたちが町中に現れます.「1914年以前,アルゼンチンは世界第五位の高い所得水準を実現していたのだ」と,インタビューした何人かの人が嘆きました.アルゼンチンと債務比率を競ってきた日本政府は,それを意味のない比較だと思うのでしょうか?
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