講義の進行過程(90分)
1時間半という長い講義時間を有効に使うには、どうしたら良いのだろうか…?
正直に言えば、私は長時間、大勢に話すのが苦手です。講義の後は、説明が不充分であったり、正確でなかったのでは、と反省します。現実の問題には、当然、多くの異なった論点が関わっています。それを首尾一貫して説明することは大変難しいと思います。
また、現実の問題は単に複雑であるだけでなく、しばしば不確定であり、未解決でもあります。経済過程はより広い社会の歴史的な変化の一部ですから、社会問題の認識と解決策については、基本的な考え方や評価の違いがあります。
アジア通貨危機について、海外の研究者にインタビューしたことがあります。
同じ質問に対しても、それぞれの研究者が、決して同じ回答を示すわけではありません。たとえ基本的な経済モデルが同じ場合でも、何を重視するか、その要因の選択や重要性の評価で意見が分かれます。さらに、将来何が起きるかは、その社会や政治制度、国民や指導者の性格などについての「印象」により、大きく異なっている、と思いました。
他方で、異なった意見を許容することで、活発な議論は可能になります。現実に対する異なった見方は、むしろ当然であり、社会の変化と意識的な改革をめぐって、活発に異なった意見が問題点や理想を比較し合うことが重要であると考えます。
経済学は、こうした社会改革の争点を整理し、特にその全体性と将来への予想を明確にできるという形で、社会的な責務を果たすべきでしょう。
演習は、参加者の意見で自由に展開します。以下の概要は、まったくの参考です。
基礎演習
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報告の準備。資料の集め方。資料の整理。報告の手順。Group内での検討会。レジュメの書き方。
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毎回(前半と後半に分けて)各Groupの討論に参加し、指導する。テーマは、学歴社会と改革案、ユートピアとディストピア、など。
演習A:理論編
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期末テストで厳密に成績を評価する。不勉強な者、参加に消極的な者は落とす。
/合宿参加・発言と報告、Paper, 期末テスト。
演習B:応用編
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GilpinもしくはSperoなどの研究と、共著『グローバル化の政治経済学』を報告・検討してもらう。
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親睦のため、京都の史跡・名所巡り。弁当持参?
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Strange『カジノ資本主義』『国家の退場』『マッド・マネー』などを合宿で検討。
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主要理論の比較と分析装置の理解。時事問題への応用を目指す。
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主要事例の研究。Group報告・期末Paper提出
演習ABの合宿 ?
演習C:個別研究(Groupもしくは個人)
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論文執筆の条件を明示すること。自由報告。
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初回に論文執筆過程や問題点、時間スケジュールと中間審査・指導内容について説明する。(時事問題の場合と、歴史問題の場合を解説する。)
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常にE-mailで質問を奨励し、指導を与える。
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研究テーマの公開と互いの情報交換、話し合うように奨励する。
将来の希望としては、講義以外にも利用して、国際政治経済学研究の拠点!となることを目指したいです。以下は、私の希望です。
主要内容
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留学日誌・インタビュー・講義録の公開
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IPE通信(主要雑誌記事・主要研究書の要約・紹介)
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アジア危機通信
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IPE研究概要・研究ガイド・リンク
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研究論文の公開
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卒業生記録管理
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IPE Forum