パリのサクレ・クール寺院

早朝。地下鉄の駅を降りて、標識や老人の指差す丘の上を目指して歩きました。
石畳の、くねくねした舗道を上るうちに、家々の屋根の向こうに大きな教会の姿が見えました。そのとき、自分も巡礼者の一人のような気分になるとともに、頭上を覆う曇った空をにらみました。


相手が相手ですから、そう簡単には描けません。
風が冷たく、次第に観光客も増えてきました。掃除の係員にも迷惑かな、と思っていると、自分の絵を買えとばかりに、若い男がスケッチをかざして、私の絵を覗き込みます。
完成図は脳裏にしまって、教会への階段を上り始めました。

ドームの丸い屋根に両腕を広げて包み込むように見下ろすキリストの肖像は、神というより人間的な描写だと思います。黄金の装飾といい、同じキりストでもすべて異なっていることに興味を惹かれます。