IPEの果樹園2021
今週のReview
4/5-10
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バイデンの革命 ・・・移民・難民危機 ・・・バイデンと習近平 ・・・インフレの幽霊 ・・・テクノロジーと社会 ・・・米中対話に向けて ・・・感染予防と経済 ・・・スエズ運河とグローバリゼーション ・・・第2次冷戦 ・・・女性、介護、福祉 ・・・ドル圏からの離脱 ・・・地政学と小国の安定化
［長いReview］
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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL International, VOX: VoxEU.orgそして、The Economist (London)
［これは英文コラムの紹介です．私の関心に従って，いくつか要点を紹介しています．関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください．著者と掲載機関の著作権に従います．］
● バイデンの革命
NYT March 25, 2021
The Biden Revolution Rolls On
By David Brooks
私たちの歴史を通して、アメリカの政治経済モデルは、少なくともヨーロッパと比較して、比較的低い税金と低い社会保険を特徴としてきた。
1870年に、フランスが1.1％を費やしたのに対し、アメリカの政府は国内総生産のわずか0.3％を社会給付プログラムに費やした。 1998年までに、貧困救済や退職、障害、失業、医療、家族医療などの福祉国家プログラムへのアメリカの支出はGDPの11％に上昇したが、フランスは21.6％に上昇した。ヨーロッパのいくつかの国は、通常、老人、若者、病人、不利な立場にある人々を助けるために、アメリカの2倍の費用を費やした。
私たちの国は中央集権化された権力に反対する革命を経て生まれた。私たちは国家に対する強い疑いを持っている。私たちは移民国家であり、勤勉が成功につながるという福音を信じている。それは、将来の成長に多くのお金を投資し、セーフティネットにあまり投資しない精神につながる。私たちは多様な国民だ。人々は、貧しい人々を人種的・民族的に同じ集団のメンバーと見なすと社会的支出を支持する。貧困層を他のグループのメンバーと見なすと、社会支出を支持しない。
すべての素晴らしさと不公正により、私たちのシステムには常に長所と短所があった。アメリカ人は仕事を自分たちの生活の中心に置き、より豊かな社会に住んでいる。IMFによると、2021年にアメリカの名目GDPは一人当たり約66000ドル、フランスは約45000ドルである。一方、米国にははるかに大きな不平等があり、所得水準の低い人々にとって、生活ははるかに不安定だ。子どもの貧困も多い。
2008年の金融危機以来、ますます多くのアメリカ人が、アメリカのシステムには根本的な再編成が必要だと結論した。不平等が拡大し、社会構造が崩壊し、人種的な富の格差が拡大するのを見てきた。国が壊れていることを正しく確信し、衰退を恐れている。多くの人々が政府の役割と所得再分配の問題について左に動いた。
私たちは確かに、インフラと子供たちにもっと多くの投資をする必要がある。
FP MARCH 26, 2021
Don’t Fear the Future
BY ZACHERY TYSON BROWN
NYT March 29, 2021
On Monopolies, Biden Should Follow F.D.R.’s Example
By Mark Pryor
ルーズベルト大統領が独占禁止法の執行を復活させたことは、米国を正しい軌道に戻すのに役立ち、米国の歴史の中で最も落ち込んだ時期に、雇用と富の機会を生み出した。
独占禁止法の再活性化は、起業家精神と中小企業の成長の時代の到来を助けた。米国は世界的な経済リーダーとしての地位を主張することができ、世界中の民主主義国家によって採用される企業の権力分散というモデルを確立した。しかし、独占禁止法の再活性化は、ビジネス上の利益だけでなく、司法機関や執行機関からも実質的な反対を受けた。実際、ルーズベルトの計画は、彼がオープンマーケット経済のビジョンを実現するために任命した人々と同様に、強かった。
F.D.ルーズベルト自身は、1936年の民主党全国大会の前に、候補者指名を受け入れたとき、当時の独占を「物質的な世界に対する支配の集中」をもたらす「王党派」と呼び、この王室に奉仕する「現代生活の構造全体」を嘆き悲しんだ。」 これこそ、ルーズベルトの決定的な再選の直後に定着する、ジャクソンのトラスト解体チームの行動を促すフレーズになった。
バイデン大統領にとって、この「F.D.R.の瞬間」とは、独占禁止法部門を率いる現代のロバート・ジャクソンを任命することだ。法執行機関は、どの政権よりも長持ちする開かれた市場のビジョンを受け入れる、大胆なリーダーを必要としている。
PS Mar 30, 2021
America’s Third Reconstruction
JEFFREY D. SACHS
アメリカは、1国2文化である。第1の文化は奴隷制、ネイティブアメリカンの虐殺、白人至上主義を強制する「ジムクロウ」法、そして、ドナルド・トランプ前大統領のいじめ、嘘、残虐行為をもたらし、1月6日の議事堂襲撃で最高潮に達した。第2の文化は解放、公民権運動、バラク・オバマ大統領、そして今、ジョー・バイデンの当選をもたらした。アメリカの縮小する少数派が受け入れる白人至上主義の文化は、常に暴力と有権者の抑圧に力を注いできた。
共和党は、公正な投票で国力を保持できないことを知っている。したがって、共和党が管理する州議会は、非白人を対象とした有権者の参加に新しく制限する。一方、ワシントンでは、包括的文化が議会で1960年代以来最も重要な投票権改革を進めており、すべてのアメリカ人が投票所へアクセスを確保することを目的としている。
NYT March 30, 2021
‘Babylon Berlin,’ Babylon America?
By Ross Douthat
● 移民・難民危機
The Guardian, Fri 26 Mar 2021
Priti Patel's asylum reforms will only deepen the despair of refugees
Jonathan Wittenberg
NYT April 1, 2021
The Real Reason for the Border Crisis
By Christopher Landau
人道的危機が私たちの南の国境で起きている。バイデン政権が彼らを受け入れ、滞在させることを期待して、メキシコ、中央アメリカ、そして世界中から多数の移民が到着している。
政府は国外追放を止めると宣言した。移民の追放や壁の建設をやめ、新しい「優先事項」を発表して、パンデミック中、同伴者のいない未成年者を追放する措置を停止し、難民申請の乱用、越境する家族の急増を終わらせる移民保護プロトコルを段階的に廃止し始めた。
しかし、移民流入を推進する最大の要因は、アメリカの雇用主が不法移民を雇う意欲と能力である。強制的なE-Verifyやその他の比較的簡単な手段で、米国で働く資格のあることを保証する真剣な努力をしない限り、不法移民は誘惑され、雇用されるだろう。
バイデン政権が不法移民の「根本原因」を、メキシコ、中央アメリカなどの貧困、汚職、暴力とみなして、これらの問題を攻撃する姿勢には失望する。明らかに、米国政府は、海外で根深い社会問題を解決するよりも、自国の国境内で雇用者の行動を規制することに大きな力を持っている。
先月、8人乗りのSUVに25人の不法移民が詰め込まれ、カリフォルニアの国境を越えて大きなリグに衝突したとき、13人が死亡した。移民は日常的にレイプされ、暴行を受け、その他の犯罪にさらされている。そして、最終的に私たちの領土に到達することに成功した不法移民は、私たちの法律の十分な保護なしに、影の中で生活し、働くことになる。
NYT April 1, 2021
Boris Johnson’s Government Is Built on Cruelty
By Maya Goodfellow
内務大臣のプリティ・パテルは政府の「移民のための新しい計画」を打ち出した。世界の難民の1パーセント未満でしかない第三国定住計画の人々だけが歓迎される。生命を脅かす危険な旅を強いられた他のすべての人は「違法」とブランド化され、積極的に罰せられる。昨年、パテル氏は亡命希望者を南大西洋の島々に送るよう提案し、人々が英国の海岸に到達するのを防ぐために海軍を配備することを検討した。
ボリス・ジョンソン首相は2019年12月に就任し、「ブレクジットを成し遂げる」と約束して以来、より厳しく、より懲罰的な移民・国境管理システムを確立しようと努めてきた。1月1日、新しいポイントベースのシステムが発効した。新しい規則は多くの点で、EU外からの移民が長い間苦しんでいた不当な扱いを拡大する。法外に高い移民料、基本的な国家支援へのアクセス拒否、国民保健サービスを使用するための支払い。
政府が承認したスポンサーから求人があると20ポイント、など、新しいシステムは移民を使い捨て商品にすぎないものとして扱います。11月、政府のWebサイトは、パンデミックにもかかわらず、その年に20回以上の国外追放便があったと自慢した。証明する文書を持たない多くの移民は、職場でウイルスに感染するか、貧困になるか、選択しなければならない。イギリスの歴史は、1968年の連邦移民法のように、有色人種が国に来るのを困難にする法律でいっぱいだ。
英国の政治家は、低賃金から、資金不足の国民医療サービスまで、考えられるほとんどすべてのことについて移民を非難してきた。ジョンソン氏の政府は、何十年にもわたる反移民のレトリックと政策立案の継承者だ。英国には移民問題がある。しかし、それはこの国に来る人々ではなく、この国を支配する人々の問題だ。
● バイデンと習近平
The Guardian, Fri 26 Mar 2021
The Guardian view on China, Xinjiang and sanctions: the gloves are off
Editorial
The Observer, Sun 28 Mar 2021
The Observer view on the threat posed by China
Observer editorial
10年足らずで、習近平は毛沢東以来のどのリーダーよりも大きな個人的権力を蓄積した。彼の最初の焦点は、国内の経済改革、社会統制、インターネット検閲、党のライバルのキャリアを終わらせた腐敗防止の推進だった。 2018年に、彼は事実上、任期を終身に変えた。中国の新たに戦う世界的な姿勢は、習近平の独裁的な性格を反映している。
同時に、中国を取り巻く世界が変化した。 2017年、ドナルド・トランプが米国大統領に就任し、関係は急速に悪化した。トランプは、経済問題とコロナウイルスのパンデミックについて中国を非難した。 70か国が参加する習近平の一帯一路イニシアチブは、米国のグローバル・リーダーシップに対する脅威と見なされた。トランプは中国を「戦略的ライバル」と宣言した。
共産党のサークルで人気のある論文により、アメリカは終末期にあり、衰退していると考え、習は攻撃を決意した。民主的に選出された政治家、学者、非政府組織への制裁という北京の不釣り合いな厳しい対応は、新疆ウイグル自治区でのウイグル人の虐殺とされるものに関して行われた。
それはより広いメッセージを発している。中国が香港で進める、返還条約を無視した民主的権利の弾圧。南シナ海の紛争海域における国際法を無視した北京の行動と一致する。チベットの抑圧。台湾への執拗な脅迫と一致する。新疆ウイグル自治区に対する習近平の反論は、中国の略奪的な貿易慣行、オーストラリアへの経済封鎖、秘密のサイバー戦争とも一致する。
要するに、中国は、習によって形作られ、制御された、比較的斬新な、拡大する国に変わり、巨大な国際的挑戦国へと成長した。中国は、好きなように行動できると信じている。その政府の行動は、最悪の場合、1945年以降に築かれた「ルールに基づく秩序」と、西側諸国の安全保障、主権、民主主義の価値を脅かしている。
西側諸国が他国に行動の仕方を教える時代ではなくなった。協力と競争、そして避けられない場合にのみ、計算された対立を選択する。民主主義国家の統一戦線によって一貫して追求されるなら、これが習近平の加速する権威主義的なジャガーノートを、相互利益の道に導くことができる、唯一の政策である。怒りを正当化する衝動ではなく、長期的な中国の挑戦に関する、冷静で頭の切れる分析を採用するべきだ。間違えるのはあまりに危険である。
FP MARCH 29, 2021
Records Expose China’s Maritime Militia at Whitsun Reef
BY ANDREW S. ERICKSON, RYAN D. MARTINSON
FP MARCH 29, 2021
China and Europe Are Breaking Over Human Rights
BY EYCK FREYMANN, ELETTRA ARDISSINO
2020年11月にジョー・バイデンが大統領に当選したにもかかわらず、ヨーロッパの指導者、特にドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、中国との独立した関係を築くことを決意した。たとえば、バイデンの就任のわずか3週間前に、ヨーロッパは中国との包括的投資協定（CAI）の締結を発表した。
今週は中国とヨーロッパの関係における重要なターニングポイントだった。 3月22日、欧州連合は1989年の天安門事件以来、初めて人権侵害（新疆ウイグル自治区のウイグル人）について中国を制裁した。旅行禁止と資産凍結は4人の個人と1つの企業体にのみ影響する。しかし、同じ日の劇的なエスカレーションとして、北京は「悪意を持って嘘と誤った情報を広めた」として、欧州議会の5人の議員といくつかの非政府組織を含む10人のヨーロッパ人に制裁を発表した。
CAIは、2つ目の、より困難なハードルを通過する必要がある。それは、欧州議会での批准だ。欧州の世論は、過去1年間で決定的に反中国に転じた。しかし、CAIが欧州議会で否決されても、ヨーロッパには中国からの分離に抵抗する強力な利益団体がまだある。
ヨーロッパの親中国派の次のテストは、2019年と2020年を支配したHuaweiの問題だ。
FT March 30, 2021
Profit or principle is the hard choice for foreign companies in China
George Magnus
FT March 31, 2021
Sanctions spat has forced EU to reassess its China strategy
Ben Hall, Europe editor
PS Mar 31, 2021
The New China Shock
MARK LEONARD
中国の習近平国家主席の新しい戦略は、「二重循環」の考え方に重点を置いている。技術的な言葉の背後に、世界経済の秩序を変える可能性のある考えがある。貿易と投資を通じて世界とつながる単一の経済として機能するのではなく、中国は二つに分かれた経済へと変形しつつある。1つの領域（「外部循環」）は世界の他の領域と接触したままだが、国内の需要・資本・アイデアを育む別の領域（「内部循環」）によって、徐々に影が薄くなるだろう。
二重循環の目的は、中国をより自立させることだ。以前は輸出主導の成長に基づいて中国の発展を、政策立案者は、米国に干渉されることなく、技術とノウハウにアクセスできるように、中国のサプライチェーンを多様化しようとしている。そうして中国は、また、他の国々をより依存させることを目指し、外部の経済的つながりをグローバルな政治力に転換する。
二重循環戦略への移行は、2001年に中国がWTOに加盟した後、西側経済を襲った最初の影響を縮小するような新しい「チャイナ・ショック」の懸念を生んでいる。西側の政治家たちは、西側の消費者が安価な中国製品輸入から利益を得、西側の企業が中国の経済成長から利益を得る、という「相互関与」戦略にコミットしていた。
習近平の2015年「中国製造2025」計画は、人工知能、半導体、バッテリー、電気自動車などのセクターに重点を置き、コア技術コンポーネントの国内調達率を2020年までに40％、2025年までに70％に増やすことを目指している。国の補助金、輸出規制、およびデータの規制を使用し、中国企業が外国企業に取って代わること、あるいは、外国企業をより中国的な企業にすることが目標だ。 習の計画が成功した場合、新しい「チャイナ・ショック」は、重工業と繊維で最初に起きたショックと同じくらい、技術とサービス分野で、多くの高給の仕事を空洞化するだろう。
西側の優先事項は、中国を変革したり、中国市場に参入したりすることではなく、イノベーションを促進し、その知的財産を保護するため、産業政策や投資政策を駆使して、自ら変革することでなければならない。また、西側経済の「チャンピオン企業」が、規模の経済を利用できるように、プライバシー、データ保護、炭素価格設定、その他の問題に関する、西側共通の基準を確立する必要がある。
ゲート付きグローバリゼーション、武器化された相互依存の世界で、ヨーロッパ人は、経済的強制から身を守るために、国内改革を実行するべきだ。
● インフレの幽霊
FT March 26, 2021
The return of the inflation spectre
Martin Wolf
投資家たちの間を幽霊がさまよう。インフレが戻ってくる、という幽霊だ。
予想外の高インフレは、金利を上昇させ、為替レートを不安定にし、労働市場の不安を引き起こし、債務不履行に向けて債務を累積し、資産市場を不安定にする。
40年間の十分に管理されたインフレの後、パンデミックによって解き放たれた金融政策と財政政策、世界経済の長期的な構造変化は、この快適な見通しを台無しにする可能性がある。
高所得国でインフレが制御不能に爆発した最後の時期は1970年代であった。2つの石油ショックがインフレ急上昇の重要な原因である。しかし、決定的な国内の側面があった。高インフレ、賃金管理、労働闘争の悪循環がこの10年を特徴づけた。
1970年代はスタグフレーションの時代は、高インフレと低成長。その結果、資産価格のパフォーマンスがひどい時代でもあった。債券の保有者、主に老後の安全のために債券に依存していた高齢者にとって、10年間の高インフレは金融危機を意味した。
その後、1980年代初頭、米国の連邦準備制度理事会のポール・ボルカー議長と英国のマーガレット・サッチャー首相、そのジェフリー・ハウ蔵相の厳しい金融政策が始まった。苦しい年月の後、インフレの制御は政策決定の中心になった。インフレは失業率の低下に対して支払うべき代償である、という考え方は、理論として否定された。
インフレの正式なターゲティングは1990年代初頭にニュージーランドで始まり、中央銀行の独立性とともに、特に英国を含む世界の多くの国に広がった。インフレ抑制の成功は、資産価格の長期にわたる目覚ましいブームの始まりと一致した。
インフレ抑制だけがこの大きな強気相場を推進する力ではなかった。それは、規制された第二次世界大戦後の経済から自由市場経済へのより広範なスイングの一部だった。労働組合の弱体化。減税、貿易自由化、金融規制緩和、資本移動の自由化である。ディスインフレ政策の成功の背後に、ケネス・ロゴフは、中国の世界経済への参入に起因する競争圧力の増加を挙げた。
過去40年間のもう一つの顕著な特徴は、金融規制緩和によって、債務、当初は主に民間債務の増大があった。 2007年と2008年の世界的な金融危機と、それに続くユーロ圏の危機の後、政府債務も急増した。債務の累積は、世界経済全体で需要が構造的に弱まったことの結果でもある。特に深刻な危機の際には、実質金利が低下し、最終的にはマイナスの実質金利が発生し、インフレ率が低いことを考えると、名目金利はほぼゼロまたはマイナスになる。
時期尚早の財政引き締めと金融政策の弱い対応は、米国と特にユーロ圏で、期待外れの回復となり、インフレ目標を持続的に下回った。この残念な経験からの教訓は、より速く、より大きく、より決定的に政策対応することだった。まったく異なる種類のCovid-19ショックには、経済と人々の収入を安定させるため、財政と金融の並外れた行動が取られた。
今日の経済では失業に対する賃金の反応は非常に弱い、と中央銀行は考えている。これは、インフレが過度に強く上昇することを恐れず、経済の高需要を運営できることを意味する。特に米国では政治も変化した。労働者に有利なように、労働と資本の関係のバランスを修正するべきだ、という確信がある。
拡大的な金融政策に支えられた1.9兆ドルの財政刺激策が米国議会を通過した。政府はまた、グリーン経済を含む長期的な優先事項への支出にさらに3兆ドルを検討している。合計すると、これらのプログラムは米国のGDPのほぼ4分の1に達する。支出が大幅に増大し、追加の課税はほとんどないだろう。インフレがオーバーシュートする可能性は大幅に増加している。
高インフレは、税金がインフレに対して完全に調整されないこともあり、経済を歪める。それはまた長期金利を引き上げる。債務が繰り越された結果、企業を含む多くの債務者の支払能力を損なうだろう。とりわけ、インフレの過熱は中央銀行からインフレ抑制の反応を引き起こす。それははるかに高い政策金利だ。発展途上国の債務危機が起きた1980年代初頭よりも、はるかに蔓延するデフォルトの波につながるかもしれない。
このリスクは、Charles Goodhart and Manoj Pradhanが人口動態の大逆転で示した構造的脅威と相互作用する。1980年代に始まった経済体制は、中国を含むすべての重要な経済における保護貿易主義の高まりと、急速な高齢化により、終わりに近づいていると彼らは主張する。労働力が縮小するにつれて、消費者の数が生産者の数に比べて増加し、物価が上昇することを示唆する。人口高齢化に伴い、財政負担増の圧力は容赦なく高まる。
最終的には、これらの圧力は高インフレの別の時代に至る。この見方に反対して、長期間の金融緩和でもインフレを起こせなかった日本を挙げることもできる。私たちは、皆、日本人になるのだろう。もちろん、歴史が正確に繰り返されることはないが。
PS Mar 31, 2021
China Is Missing from the Great Inflation Debate
JAMES K. GALBRAITH
米国大統領ジョー・バイデンのアメリカ救済計画（ARP）の規模は、今年の支出が1兆ドル、その後はさらに9000億ドルであり、さらに3兆ドルのインフラとエネルギーの整備計画が約束されている。多くのマクロ経済学者は驚いた。
19世紀後半の英国と戦後の米国のデータを利用して、フィリップス曲線はインフレと失業の間に反比例の関係があると仮定した。現在、アメリカの公式の失業率は6.2％であり、従来「完全雇用」と考えられていた4％の水準からそれほど遠くない。フィリップス曲線の論理では、新しい「刺激」は失業率を完全雇用にまで引き下げ、インフレ率を少なくとも2〜3％に引き上げる。
しかし、フィリップス曲線は1969年以来荒れた動きを見せた。その後約25年間、支配的な経済学は、少なくとも「長期的」には、それが垂直線であると考えた。その意味は、失業率を「自然失業率」または「インフレを加速しない失業率」（NAIRU）より下にすると、ハイパーインフレが発生する、というものだ。
現実はフィリップス曲線を消し去った。 1980年代初頭から、特に1990年代半ば以降は明らかに、インフレはなく、失業率の低下がインフレを起こさなかった。関係はフラットである。
何が起こった? その答えは、完全ではないが、一言で要約できる。中国だ。1980年代初頭から、米ドルは上昇し始め、アメリカ中西部の製造業と労働組合を押しつぶした。その後の世界の商品価格崩壊、そしてソビエト連邦も崩壊し、中国が世界有数の消費財供給国として台頭する準備を整えた。
1970年以降、ドルの切り下げ、石油価格の高騰、製造業労働者の生活費の調整（物価上昇として現れた）など、米国の消費者物価を押し上げた力はすべて消えた。中国企業は他国への市場シェアの喪失を恐れ、中国の経済倫理では、利益の最大化ではなく、社会の安定、着実な生産の成長、学習と新技術によるコスト削減を重視する。そのような企業が、余分な需要を利用して価格を引き上げ、顧客を遠ざけることはない。
唯一の本当のインフレの危険は、中国との戦争の炎を煽る人々から来る。戦争は常にインフレを起こす。私たちの最大の商品供給国である中国と戦争すれば、インフレの悪夢になる。
バイデンのお金の多くは中国にまったく行かない。それは、国内の貯蓄に向けられる。一部は過去1年間に逃したサービスに費やされ、ある程度これらのセクターの仕事を復活させる。一部は、住宅のメンテナンス、修理、またはアップグレードに使用される。いくつかは新しい家を建てることに向かう。
残りの部分は、株式・債券・不動産の購入、特にパンデミックで重要になった、土地・郊外の家・田舎の隠れ家などだ。価格が上昇するのは主にここであり、すでにそのような資産を所有している人々をさらに豊かにする。巨大な富の格差がさらに大きくなる。
つまり教訓は2つある。第1に、1960年代のネオ・ケインジアンの主流派マクロ経済学では、中国の台頭によって根本的に再形成された米国経済を理解できない。第2に、アメリカの不平等と不安定さの問題は、実際には物質的な不足の問題ではない。それらは、富と権力の持続不可能な偏在を反映するものだ。
● 経済学の個人主義的偏向
PS Mar 26, 2021
The Absent Voices of Development Economics
ARVIND SUBRAMANIAN, DEVESH KAPUR
PS Mar 31, 2021
The Individual Failings of Economics
RICARDO HAUSMANN
経済学の専門家は、合理的な意思決定を行い、よく理解されているインセンティブに対応する個人を中心に、強力なミクロ的基礎を備えたモデルを開発しました。これらの要件を順守しながら進歩を遂げるために、エコノミストは、個人と、彼らが説明しようとしていた集合的な結果との間の相互作用の層を、単純化または弱体化する必要がありました。これを行う一般的な方法の1つは、すべての個人が同一である、または予測可能な方法で異質であると想定することです。
この方法論的アプローチは崩壊しています。新古典派理論は、主に個人間に存在するメソ構造と総体的な経済的成果を露骨に無視しているため、実用的な目的にはほとんど役に立たない。
● ドイツの動揺
PS Mar 26, 2021
The Return of German Politics
JOSCHKA FISCHER
FP MARCH 26, 2021
We All Live in Germany’s World
BY QUINN SLOBODIAN
ドイツはその輸出モデルを守るため、現在の新自由主義秩序への動きを加速する。
ドイツ人は一連のターニングポイントを経てきた。そのほとんどは1970年代のものだ。 1つ目は、1971年に米国がドルから金への変換を停止し、法定紙幣と変動相場制の時代が始まったとき、略して「ブレトンウッズの終焉」として知られているものだ。アメリカの覇権と一方的な権力の表現、金の窓の閉鎖は、むしろその弱さの兆候であり、そのパートナー、フランスとドイツの協力への依存であった。
もう一つの象徴的な瞬間は、いわゆるボルカー・ショックを生み出す連邦準備制度理事会のポール・ボルカーの決定に向けて、ドイツの社会民主党の首相ヘルムート・シュミットが米国の意思決定のスペースを狭めたことだ。ボルカーに20％近くまで金利を引き上げ、新自由主義秩序への道標である第三世界の債務危機を引き起こしたのはシュミットであった。
ドイツの政策立案者は、サッチャーとレーガンのレトリックにあるような、「市場の魔法」を解き放つために「国家のフロンティアをロールバックする」という普遍主義的なビジョンから行動したのではない。それは、はるかに実用的な、彼らが世界的な競争力を危険にさらすものに対する防御的な動きであった。
冷戦後、連邦共和国は、欧州統合が共通通貨を含むように拡大し、最終的には旧共産主義諸国の吸収に伴い、バランスを取り続けることを目指した。拡大政策に対するドイツの根強い反対に起因するEU内のデフレと需要の減少は、ドイツがさらにアジアに旋回するにつれて軽減された。連邦共和国は中国自由化に早くから手を伸ばし、1970年までにすでに日本に次ぐ2番目に大きな貿易相手国になった。
しかし、パンデミック対応の緊急性と9月の議会選挙に先立って有権者を呼び込む試みによってレトリックが再形成され、変化する可能性がある。
FT March 30, 2021
How to deal with a problem like Karlsruhe
PS Mar 30, 2021
All Apologies for Democracy
HAROLD JAMES
ドイツのアンゲラ・メルケル首相が急いで発表したイースターの封鎖を急いで取り消したことは、彼女の冷静な態度を考えると、驚くべきことであり、衝撃的でさえありました。
メルケル首相ほど率直な政府はほとんどありません。世界中で、パンデミックは、民主主義が複雑で急速に変化する状況に対応するときに直面する問題を明らかにしました。政府が非常に多くの決定を下すことを余儀なくされるとき、いくつかは必然的に不公平な、誤った、またはその両方に見えるでしょう。
包括的な問題は、そのような選択をどのように行うべきかということです。人々はそれらに投票するべきですか、それとも、意見調査に記入するべきですか? 複雑な科学データを迅速に評価することも同様に困難です。
簡単な答えはありません。しかし、COVID-19危機は、2つの一般化可能な教訓を提供するでしょう。第1に、システムがルール・ベースであるほど、批判をより確実に管理できます。第2に、ワクチンの不足と不公平な配分の問題は、可能な限り多くの用量を生産することによって最も明白に対処できます。ワクチン開発の奇跡は、明確なインセンティブを備えた競争プロセスに従事するかなりの数の企業に依存していました。
2つのアプローチ（ルール・ベースの制度と、競争へのインセンティブ）は、国家が複雑な経済的および社会的プロセスにどのように関与すべきか、という古い問題に対する古典的な答えです。
FT March 31, 2021
‘We are a laughing stock’: Covid-19 and Germany’s political malaise
Guy Chazan in Berlin
ドイツ人は、ギリシャのように機能不全であると長い間非難していた他のEU加盟国が、接種で彼らを上回っていることを発見することを恐れています。 「私たちは周りを見回して、私たちがもはや主要国の1つではないことを発見しました。私たちはせいぜい平均的です。」
● テクノロジーと社会
PS Mar 26, 2021
Agents of Automation
SAMI MAHROUM
テクノロジーの社会的構築に関する文献は、テクノロジーがさまざまな内外の社会的勢力の影響下で設計および展開されていることを示す。必然的なものは何もない。
テクノロジーは一般に、可能な選択肢の範囲を拡大することによって人間のエージェンシーを強化するための手段と見なされている。しかし、これらのダイナミクスの背後には、クラス（階級）、グループ（社会集団）、個人の間の、より深い闘争から生まれた社会的勢力が常にある。自動化テクノロジーと作業を検討することは、人間のエージェンシーとその社会的状況の研究になる。
ほとんどの人間関係はプリンシパル＝エージェントのフレームワーク内に存在し、特定の技術的適用が争われるのはここである。プリンシパルは常にエージェントが自分の最善の利益のために行動しないことを心配し、それに応じてエージェントの行動を奨励または制限する措置を講じる。
今後の技術的変化は、人間と機械の間の競争によってではなく、さまざまなバリュー・チェーンに沿って、彼らの立場を改善することを目指して競争する社会的要素によって推進される。産業革命は英国で最初に起こった。その理由の1つは、機械化から利益を得る位置にあった人々に政治的権力があったからだ。 21世紀を考えると、労働力代替技術がどの程度採用されるかは、政治的権力を持つ人々の物質的利益に依存する。
これに関連して、イタリアの経済学者GiovanniDosiとMariaEnrica Virgillitoは、今日の自動化の3つのシナリオを予測している。 1つ目は、リドリー・スコットのSF映画に関連して、ブレードランナー・シナリオと彼らがよぶもの。少数の「テクノ封建」領主が不可欠な技術を独占する寡占体制である。2番目は、「テクノ封建制」。ほとんど無知なレント共有階級と領主たちは権力を共有する。これは、今日のいくつかの新興市場で進行中の傾向に似ている。そして3番目のシナリオでは、すべてのテクノロジーが集合的に所有され、共通の利益のために適用される。
効率的で公平な経済では、テクノロジーを使用してレントシーキング、独占、寡頭制を排除すると同時に、人的機関を強化し、経済的および非経済的目標の追求を可能にします。これらのダイナミクスの中心性を認識することは、自動化テクノロジーが今後何年にもわたって雇用を排除、変革、創出する場所、方法、時期を理解するための重要なステップを表します。
● 米中対話に向けて
FP MARCH 26, 2021
Biden Looks to Contain China—but Where’s the Asian NATO?
BY JACK DETSCH
FP MARCH 29, 2021
China’s Military Could Turn Small Clashes Into Major Conflicts
BY BLAKE HERZINGER
FP MARCH 31, 2021
China Wants a ‘Rules-Based International Order,’ Too
BY STEPHEN M. WALT
米国が想定している規則（ルール）体系へのコミットメントと、中国が主張している規則の欠如との違いは、少なくとも3つの点で誤解を招く。第一に、それは、規則が不便であると思われるときはいつでも、規則を無視したり、回避したり、書き直したりする米国自身の意欲を見落としている。
第二に、中国は既存の秩序の多くの原則を受け入れ、さらには擁護している。はるかに強力な中国でさえ、間違いなく、現在の秩序の特徴がその利益に役立つものは何でも保持する。
第三に、すべての国際秩序が、異なる政体間で必然的に発生するさまざまな相互作用を管理するための一連のルールを必要とすることを理解している。
「米国と中国は、国際政治を支配する基本的なアイデア、習慣、期待など、基本的なグローバルシステムを形成するために競争しています。それは究極的には規範、物語、そして正当性の競争です。」
長期的には、グローバルな取引のルールを設定するためのコンテストは、主にどちらの国（米国または中国）がよりハードパワーを持っているかによって決定される。
中国の指導者、習近平の最も高い野心が実現し、最終的に中国が21世紀の圧倒的な経済高さを占めるようになったとしても、それでも世界を完全に乗っ取ることはできない。しかし、そのような立場は国際システムの規則に大きな影響を与える。
対照的に、米国が経済的に歩調を合わせ、将来の生産性が依存するコアテクノロジーのほとんどで重要な利点を保持している場合、21世紀の秩序は北京よりもワシントンの好みを支持する可能性がある。
PS Apr 1, 2021
Changing the Face of Sino-American Relations
ANNE-MARIE SLAUGHTER, SAMM SACKS
ジョー・バイデン大統領が就任して以来、最初のハイレベル協議であるアラスカでの最近の二国間サミットに続いて、米中協力を復活させるために何が必要か?
本当に必要なのは、はるかに幅広い対話だろう。2016年に北京で開催された米中戦略経済対話の最後の会議では、国務長官と財務省が共同で率いる大規模な米国代表団に、気候政策、海洋健康、テロ対策などの問題に責任を持つ当局者が含まれていた。核不拡散、食料安全保障、および鉱物のサプライチェーン、すべての分野で合意に達した。
今なら、テーブルの米国側がどのようになるか。ブリンケンの横には、ジャネット・イエレン財務長官が座る。中国人男性の集団と対峙する、多くの非常に有能な女性を含むより多様なグループを、アメリカが米中関与の最前線に置けば、議論のトーンを変え、行き詰まりを打開するのに役立つかもしれない。
米国は、気候変動の対話とともに、サイバー・セキュリティとデータ・プライバシーの問題のみに関する二国間対話を提案できる。女性を米中政策対話のアメリカの半分の公の顔にすることは、あらゆる場所の女性にとって良いことだ。さらに、単一の広範な対話のように、複数の対象を絞った対話を同時に追求することは、二国間関係の複雑さと幅広い問題に関する協力の重要性を浮き彫りにする。
外交政策は、より広く政治のように、交渉の席だけでなく、時間外にも作成され、非公式の食事を楽しみ、共通の利益とアイデンティティを見い出すことで成果を上げる。
PS Apr 1, 2021
Is the Asian Century Really Here?
LEE JONG-WHA
21世紀は、アジアが統一された集団的リーダーシップを発揮できる場合にのみ、アジアに属す。
アジアの指導者たちは地域統合と協力についての共通のビジョンをまだ共有していない。東シナ海と南シナ海、朝鮮半島、中国とインドの国境に沿って、地政学的緊張が高まっている。軍事紛争は依然として地域の平和と繁栄に対する脅威となる。
この地域の将来の軌道は、世界的な貿易保護主義をいかに効果的に防止し、アジアの集団的リーダーシップの発展に対する最大の障害である、米中戦略的競争の影響を最小限に抑えることにかかっている。
● コットン製品と人権
NYT March 26, 2021
Women and Men Are Like the Threads of a Woven Fabric
By Virginia Postrel
FT April 1, 2021
China forces brands to make a cotton choice
● 感染予防と経済
The Guardian, Sat 27 Mar 2021
Capitalism won't save us from Covid, no matter what Boris Johnson might think
Mariana Mazzucato
PS Mar 31, 2021
Can We Prevent the Global Fire Next Time?
SIMON JOHNSON
PS Mar 31, 2021
The Post-Vaccine Risk Phase
OLIVIER BLANCHARD, JEAN PISANI-FERRY
米国とヨーロッパの大多数の人々が夏までにワクチン接種を受ける。しかし、パンデミック前の社会生活がどれだけ戻ってくるか、それがどれくらい続くかは不確実だ。
社会活動の再開のペースと範囲の格差は、おそらく所得格差と一致する。発展途上国のほとんどはウイルスを封じ込めていない。したがって、ワクチン接種された豊かな世界とワクチン接種されていない貧しい世界との間の国境管理は、特に新しい亜種が出現し続ける場合、厳しくなる。
グローバリゼーションが影響を受ける。コンテナを世界中に出荷するために人と人との接触はほとんど必要ないが、旅行に対する永続的な障害は、最終的には国際貿易と投資、生産性、そして全体的な成長を低下させる。
ワクチン耐性の亜種の出現により、政府は厳しい制限を維持することを余儀なくされ、おそらく封鎖が繰り返される。公衆衛生と経済活動の間のトレードオフはほとんどわかっていない。
ヨーロッパが秋に封鎖に備えたとき、公衆衛生対策の経済的コストははるかに低かった。その理由は、政府が最初の波から学んだからだ。第2波の応答はそれほど厳しくない、より的を絞ったものだった。マスクと保護具はより広く利用可能であり、企業は制限に適応することを学んだ。eコマースは活況を呈し、影響を受けたセクターの企業は、なんとかビジネスを続け、繁栄できた。
FT April 1, 2021
How to vaccinate the world
Simon Kuper
● スエズ運河とグローバリゼーション
FT March 27, 2021
New Suez crisis: a global economy creaking under the strain
David Pilling, Harry Dempsey and Peter Campbell in London and Kana Inagaki in Tokyo
故エジプト大統領がスエズ運河を国有化してから65年後、1956年に英国、フランス、イスラエルが侵攻した後も、水路は世界の商取引を掌握し続けている。今週、1隻の船（エンパイアステートビルの高さとほぼ同じ長さ）が、座礁し、運河の南側の入り口を塞いだとき、世界中で波及効果を引き起こした。
緊密に伸びた世界のサプライチェーンに内在する脆弱性に注目を集めています。ジャストインタイムのサプライチェーンモデルを再考するように促す。
世界的な貿易システムは、パンデミックの間、多くの点で非常によく持ちこたえてきた。160万人の船員の軍隊のおかげだ。彼らの多くは「何ヶ月も海に閉じ込められてしまった」。また、AmazonやAlibabaなどの企業、海運、運送、ロジスティクス企業の複雑なネットワークによって磨かれた配送モデルのおかげだ。
オックスフォード大学のNgaireWoodsは、「グローバルサプライチェーンは、検討する価値のある3つの異なる圧力に直面している」という。1つは、ドナルド・トランプ前米大統領が最も強く表明した、生産の自国回帰である。
2つ目は、Covid-19によって示された、医療機器、より広くは基本的な商品や主要な軍事および民間技術を他の国に戦略的に依存していることだ。
3つ目は、機関投資家や消費者が主導する、企業がサプライチェーンをより適切に把握することを求める要求であり、企業が遠く離れたサプライヤーの二酸化炭素排出量や労働慣行の取り締まりに追われているため、追加のコストがかかる。
私たちはグローバリゼーションを再編成する時期を迎えている。脆弱なグローバルサプライチェーンは、一時的な混乱や構造変化に対応する能力を繰り返し示してきた。
FT March 30, 2021
Russia seizes on Suez blockage to promote merits of Arctic route
Nastassia Astrasheuskaya in Moscow
「北極海航路の開発は、ロジスティックリスクをヘッジし、世界貿易をより持続可能なものにします。間違いなく、中国、日本、韓国などのアジア諸国は、長期戦略計画においてスエズ運河の封鎖の先例を考慮に入れるだろう」と、ロスアトムの北極圏開発の特別代表であるウラジミール・パノフは述べた。
NYT March 31, 2021
The Stuck Container Ship on the Suez Canal Was a Metaphor
By Marc Levinson
かつて製造業は豊かな国の活動だった。貧しい国々は、豊かな国の工場に原材料を供給し、その輸出する工業製品を購入した。豊かな国の政治家は、開かれた市場の美徳を説く傾向があり、貧しい国のカウンターパートは貿易と外国投資を疑っていた。
しかし、1980年代後半から、より安価なコンテナ輸送、通信コストの消失、およびコンピューティングの改善の組み合わせにより、状況が反転した。製造業者と小売業者は新しい戦略を採用し、たとえば、A国で化学薬品を購入し、B国でプラスチックに変換し、C国でプラスチックをコンポーネントに成形し、D国の組立工場に配送するように手配した。
コンテナ船は、部品やコンポーネントをある国から別の国に低コストで移動するが、テクノロジーがインターネットによって加速され、管理者は遠く離れた本社からサプライチェーンを監視する。
2つの要因がこの産業の再配置を推進した。 1つは賃金。中国やメキシコの工場労働者と西ヨーロッパ、日本、北米の工場労働者の賃金の差は非常に大きくなった。もう1つは規模の経済だ。全世界にサービスを提供する工場は専門化することができ、膨大な量の製品の小さな配列を作り、各ユニットのコストを下げることができた。
アウトソーシングでは、チェーンのトップにいる会社（多くの場合、最終製品のブランド名）が、コンポーネントや完成品の生産を希望する国に大規模な投資を行う必要はない。企業は、株主の資本をプラントや設備に縛り付けるのではなく、安価なサプライチェーンを構築し、他の企業と契約して製造作業を行う。多国籍企業の幹部は、生産を海外にシフトすることで節約するのに夢中だった。ヨーロッパ、日本、カナダ、米国の工場は、企業が低コストを追求したため閉鎖された。 1980年代後半から20年間、製造品の貿易は世界経済の2倍の速さで成長した。
しかしビジネス・リスクは、スエズ運河の混乱に限定されない。有名な企業は、サプライチェーンのはるか下流にある無名の企業での労働条件や環境慣行を含むスキャンダルによって彼らの名前が傷つけられているのを見た。中国のウイグル族抑圧を懸念するヨーロッパと北アメリカの消費者が、アパレル企業に新疆ウイグル自治区で栽培された綿が含まれているかどうかを開示するよう要求した。
1980年代以降、私たちが知っているグローバリゼーションの段階はピークを過ぎている。その代わりに、工場生産と外国投資がサービスやアイデアの流れより重要ではなくなるグローバリゼーションの新段階が急速に進んでいる。お気に入りのストリーミングサービスで観る、インド・ボリウッド映画や日本のテレビ番組はその流れの一部だ。地元の才能を活用し、地元の好みに合わせて製品を形作るために、企業がますます複数の国に分散する研究・エンジニアリング・設計もそうだ。
グローバリゼーションの次の段階では、物でいっぱいの金属製の箱を運ぶコンテナ船がもはや物語の中心ではなくなる。
FP MARCH 31, 2021
Without Shipping, the Global Economy Sinks
BY ELISABETH BRAW
今日、約170万人の船員を雇用している世界の船には、主に中国国民（主に中国の船で働いている）、フィリピン、インドネシア、ロシア、ウクライナが配置されており、インドも主要な原産国です。日本が所有するエバーギブンはインディアンだけが乗組員であり、ステナインペロの乗組員のほとんどもインディアンでした。
● スコットランド独立問題
FT March 27, 2021
John Major: Westminster should not refuse Scotland a referendum
John Major
EUからの離脱後、焦点は英国の破綻の可能性に向けられている。ウェールズでは独立への支持が高まっており、北アイルランドでは統一に関する世論調査のリスクが高まっている。しかし、主なリスクはスコットランドにある。分離の現実を明らかにすることなしに、スコットランドの野心を却下したり、投票を延期したりすることは賢明ではない。
人口が500万人のスコットランドは、EUへの加盟が許可された場合、4億5000万人の集団の小国になる。EUの政策において小さな声しか持てない。スコットランドにとって、分離の経済的コストは厳しいものだ。経済を後押しするための北海油田収入はもうない。財政赤字はGDPの7パーセントを超えている。スコットランドの貿易の60％以上は英国の他の地域に行き、EUとの貿易の3倍だ。
ブレグジット後のウェストミンスター政府は連合の価値を主張できない。それは「主権」と「支配を取り戻す」の叫びで英国をヨーロッパとの連合から外したからだ。今では、まったく同じ理由でスコットランドを英国から分離するSNPに反対しなければならない。
連合が維持されるなら、それは真のパートナーシップとしてでなければならない。
FP MARCH 31, 2021
Scottish Activists Want a Quiet, Safe, Progressive Independence
BY LINDSEY KENNEDY, NATHAN PAUL SOUTHERN
● 第2次冷戦
FT March 28, 2021
The puzzle of Joe Biden’s ‘middle class foreign policy’
Edward Luce
バイデンの「中産階級のための外交政策」には魅力的な響きがある。懐疑論者は、このアプローチを人間の顔をしたトランピズムと呼ぶだろう。
バイデン政権の最も印象的な側面の1つは、彼の外交政策と国内政策の間のギャップだ。大規模な民主党分裂の懸念とは逆に、左派は彼らの指導者の急進的な国内計画を喜んでいる。彼の比較的慎重な世界へのアプローチについては、ほぼ逆だ。
バイデンは、外交を披露する際に2つの問題に直面している。第一に、米国の同盟国はより多くの経済的関与を切望している。しかし、米国がアジアやヨーロッパのパートナーと取引する準備ができていない限り、中国は米国の市場シェアを食いつぶし続ける。
第二に、多くのアメリカ人が収入の圧迫でグローバリゼーションを非難している。あらゆる種類の貿易交渉は、米国の政治では有毒なものとして扱われる。サリバンの見解では、貿易協定への信頼を再構築する唯一の方法は、米国の製造業者に生産の国内再配置と海外の税の抜け穴を閉鎖することだ。アメリカ人は自動的に貿易の増加を恐れるのではなく、中国との貿易だけを恐れる。
米国の幸運の鍵は、バイデンが2つのことを同時に巧みに行うことができるかどうかにある。それは、世界経済の舞台で中国を凌駕しながら、アメリカの中産階級を強化することだ。
PS Mar 29, 2021
Building a Democratic High-Tech Alliance
ANDERS FOGH RASMUSSEN
NYT March 29, 2021
How Will We Win the Second Cold War?
By Bret Stephens
第一次冷戦で、米国とその同盟国はソビエト連邦とその衛星に対して秘密兵器を持っていた。共産主義だ。
共産主義は、帝国主義のロシア国家を、実行不可能で人気のない経済システムで支えた。「彼らは私たちにお金を払うふりをし、私たちは働くふりをする」という労働者の楽園での典型的なロシアのジョークは、何万もの核弾頭を持つ政権が衰退した理由を説明する。
今、私たちは第二次冷戦に突入している。今回の相手は中国だ。双方は、利害の衝突だけでなく、相容れない価値観も持っている。ブリンケン国務長官は、中国が「世界の安定を維持するルールに基づく秩序」を脅かしていると率直に非難した。中国の楊氏は、米国は「世界の他の地域での民主主義の推進をやめなければならない」と応えた。数日後、中国とイランは、共同兵器開発と情報共有の規定を含む、25年間の4,000億ドルの戦略協定に署名した。
今回の秘密兵器は何か? 3つの候補がある。
一つ目はナショナリズム。中国の指導者たちが正統派マルクス主義を放棄して以来、ナショナリズムは政権の正当性の2つの柱の1つだ（もう1つは生活水準の向上）。問題は、隣人がどのように反応するかである。日本は、中国を最優先に、大規模な軍事力増強に取り組む。オーストラリアは、中国の影響力を抑えるため動いている。ベトナムは米国に近づき続けている。
二つ目は、個人崇拝の政治。一人の男が持つ力が大きければ大きいほど、政権全体が彼の誤解に対してより脆弱になります。
最後に、神を規制し、監視し、制御するための中国のキャンペーン。宗教は政治的支配のない道徳的良識を育む。
FP MARCH 29, 2021
Biden Revives the Truman Doctrine
BY DAVID ADESNIK
FT March 30, 2021
A second cold war is tracking the first
Gideon Rachman
私には、今日の出来事と冷戦の初期との類似点は、ますます説得力があり、不気味でさえあるように見える。
先週、米国大統領のジョー・バイデンがEU首脳会議で演説し、国務長官のアントニー・ブリンケンがNATOでスピーチを行い、中国の軍事的野心とロシアの「侵略」を阻止するための西側の統一を求めた。その間、ロシアの外相セルゲイ・ラブロフは中国にいて、北京とモスクワに米国の権力に反対するよう呼びかけた。
中国空軍は、台湾領空への史上最大の侵攻を開始したばかりだ。先週、中国は新疆ウイグル自治区の人権について発言したEUと英国の政治家にも制裁を課した。今月、ロシアは、米国からの前例のない行動と呼ばれるものに抗議して、大使をワシントンから撤退させた。バイデン政権の高官と中国政府との最初の会合は公の場で悪化した。
最初の冷戦の初期のように、いくつかの重要な出来事が西側の首都で増大する不安を具体化した。過去1年間、香港での民主化運動の崩壊と、中国当局によるウイグル人の迫害に関するより詳細な暴露。バイデン政権の到来により、イデオロギーの競争が復活した。バイデンは、民主主義の首脳会談を招集したいと述べており、「自由世界のリーダー」であるという米国の主張を再確認することを明確に意図している。ハリー・トルーマンのように、バイデンは元副大統領で民主党の上院議員であり、かつて彼の党の知的エリートに見下されていた。
技術的な競争は、再び超大国の競争の中心にある。最初の冷戦では、それは核技術と宇宙開発競争だった。今は、5G通信と人工知能に焦点を合わせている。
FT March 30, 2021
The US cannot be choosy about its allies
Janan Ganesh
FP APRIL 1, 2021
Great-Power Competition Is a Recipe for Disaster
BY EMMA ASHFORD
● ヘッジファンドの破綻
FT March 29, 2021
Archegos poses hard questions for Wall Street
Robin Wigglesworth
Archegos Capitalは、壮大なヘッジファンドの破綻の歴史のどこに位置するのか。初期の兆候は、1998年のロングターム・キャピタルマネジメントLTCMの崩壊以来、おそらく最大のものになるだろうということだ。
先週の金曜日、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーがカバーを破り、米国と中国の株式に数十億ドルのポジションを売却し始めたとき、オープンになった。アルケゴスは、タイガーマネジメントのヘッジファンド・マネージャーのビル・ファンBill Hwangが運営する、あいまいで、非常に不透明な投資グループである。月曜日までに、クレディ・スイスと野村は、フォールアウトでおそらく数十億ドルを失うことを認めた。
世界最大の投資銀行のいくつかは、創設者が問題を犯した、経歴の不透明なファミリーオフィスに、数十億ドル相当のレバレッジを獲得できるようにしたとき、いったい何を考えていたのか。ファンは、2012年に米国の違法取引費用を解決するために4400万ドルの罰金を支払い、2014年に香港での取引を禁止された。
銀行は、誰もが数百億ドル相当の株式を売却しなければならない場合、契約に記した担保は不十分になることを理解していなかった。1998年のLTCMの爆発では、ファンドはウォール街の手数料への渇望を巧みに利用して銀行を互いに争わせ、それぞれから多額のレバレッジを利用できるようにしていた。
15人以下の顧客を持つ企業は免除されているため、ファミリーオフィスは証券取引委員会に登録する必要はなかった。金融デリバティブを使用し、大きな利害関係に関する報告要件を回避できたかもしれない。
最も重要なことは、LTCMのように、アルケゴスの破綻が広範な金融危機を引き起こすかということだ。答えはおそらくノーである。2008年以降、はるかに資本が充実しているから。
FT April 2, 2021
Archegos avalanche shows cracks are hidden under the surface
Gillian Tett
先週の大失敗は、今日のシステムが複数の半分隠された亀裂に悩まされていることを示す。最近、規模と影響力が爆発的に増加したにもかかわらず、ファミリーオフィスについての透明性はまるでない。 Archegosが賭けをするために使用したデリバティブについてはさらに明確でない。
最も印象的なのは、Archegosが5倍以上のレバレッジで動いていたことだ。これは2008年の危機以前に見られたパターンに匹敵し、ポートフォリオの集中性を考えると、「まさに狂気」であった。効果的な監視を逃れたのは、金融セクターの一部であるファミリーオフィスだけではないだろう。
アルケゴスの瓦礫は、何年にもわたる過度に緩い金融政策が資産価格を上昇させただけでなく、半分隠されたレバレッジのポケットも生み出したことを示す。 2つが衝突すると災害が発生する。そして今日の大きな頭痛の種は、バブルは見えるが、シャドーバンキングセクターが非常に不透明なことである。
● ロシア制裁への防御
FT March 28, 2021
Fresh sanctions may barely dent Fortress Russia
Ruchir Sharma
不安定な独裁者と比較すると、プーチンは長い間マクロ経済政策に比較的注意を払ってきた。 2014年以降、彼はさらに防御的になり、外圧に対して防備した金融要塞にロシアを変えることに焦点を合わせ、驚くべきことに、成功した。かつては最も危機に陥りやすい新興国の1つであったが、現在、ロシアは最も財政が保守的で、通貨や石油収入に関しても、安定している国の1つである。
FP MARCH 31, 2021
Russian Opposition Leader Navalny Announces Hunger Strike
BY AMY MACKINNON
FP APRIL 1, 2021
In Putinism, Hurting the United States Is All About Payback
BY NATALIA ANTONOVA
● グローバルな米英関係
The Guardian, Tue 30 Mar 2021
Biden's tariffs threat shows how far Brexit Britain is from controlling its own destiny
Tom Kibasi
NYT April 1, 2021
Britain Holds On to a Colony in Africa, With America’s Help
By Philippe Sands
● 女性、介護、福祉
FT March 29, 2021
Carers are due a living wage and pension too
Frances Coppola
Covid-19は女性よりも多くの男性を殺すが、女性はより大きな経済的打撃を受けている。彼女たちは一時解雇される可能性が高く、職を失う可能性が高くなっています。彼女たちは、家事、育児、ホームスクーリングの不均衡な割合を占めています。そして、パンデミックは高齢者、特に女性の仕事の見通しを悪化させた。
コロナウイルスがなくても、英国経済は主に家族や友人、男性と女性の両方による無給のケアに依存している。介護者の収入は哀れだ。多くの場合、介護者になるということは、女性の高給のキャリアが時期尚早に終わることを意味する。多くの人にとって、それは老後の貧困を意味する。
Covid-19の前でさえ、年配の女性は働くことへの障害を経験した。多くの人が時期尚早に仕事をあきらめる。年配の女性はまた、親戚の世話をするために労働力を離れるように社会的圧力を受ける。雇用主は、55歳以上の女性は生産的な仕事には弱すぎると信じた。彼女たちは死ぬまで両親の世話をし、その後、女性を差別する雇用市場に投げ込まれた。
彼女たちの貴重な仕事を認めなければならない。「給付」を与える代わりに、彼女たちに生活賃金と職業年金を支払う。そして、世話をする人としての時間が終わったとき、彼女たちをスクラップの山に投げ込まない。キャリアを再開する必要な助けを彼女たちに与える。
FT March 30, 2021
Living longer does not mean we should all work longer
Sarah O’Connor
1917年に英国で、ジョージ5世は、100歳の誕生日を迎えた市民に24通のお祝い電報を送った。1980年代半ば、約3,000人の百歳以上の人がいた。2019年には13000人を超えた。こうした統計は、政府によって、年金を受け取る年齢を上げる決定を正当化するために引用される。
しかし、平均余命は、豊かな地域やロンドンのような裕福な地域の貧しい地域で上昇し続けているが、2010年以降、北東部のような貧しい地域の最も恵まれない地域で低下し始めた。これは、すべての人にとって同じペースで国営年金の年齢を引き上げることの公平性について疑問を提起する。最も貧しい労働者がより長く働くことができるかどうかについても懸念がある。
ウイルスは金持ちと貧乏人の間の健康格差を悪化させる可能性がある。その長期的な影響についてはまだわからないが、貧困地域が最も感染率が高く、入院した人々の多くが完全な回復に苦労している。
デンマークは昨年、61歳の労働者が42年以上労働市場で過ごした場合、1〜3年前に退職することを許可すると決定した。メッテ・フレデリクセン首相は、「疲れ果ててしまう前に、仕事をやめることができるはずだ」と述べた。
FT March 31, 2021
Thatcher’s legacy put in reverse by new plans for buses
Sebastian Payne
● アマゾンと労働組合
FT March 29, 2021
‘The ultimate David and Goliath story’: the fight to open a union at Amazon
Dave Lee in San Francisco and Taylor Nicole Rogers in New York
アマゾンは全米に800以上の施設を持ち、95万人のフルタイムとパートタイムの労働者がおり、配達ドライバーの広大なネットワークは含まない。その労働力は40年前の自動車製造ブームにおいてゼネラルモーターズが雇用した規模を凌駕し、今日ではウォルマートに次ぐ第2位だ。
アマゾンの労働力の柔軟性と、それが生産性を監視する方法は、アマゾンの成功の中核であると、アマゾンの成長が社会に与える影響を調べた新刊 『フルフィルメント』のアレック・マクギリスは述べている。
「常に効率を最大限に高めている企業にとって、労働組合と交渉しなければならないことは、準備が整っていないでしょう」と彼は言う。それは企業が「非常に受け入れられない」と感じるものだ。
● 日本
FT March 29, 2021
Extradition in Carlos Ghosn case highlights strength of US-Japan relations
Leo Lewis
FT March 30, 2021
Japan powers up for the new battle over batteries
Leo Lewis
FT March 30, 2021
Chip industry pressures spur Renesas to diversify
Kana Inagaki in Tokyo
● 金融緩和政策の先に
FT March 29, 2021
It’s time to abandon autopilot monetary policy
Andrew Parlin
パウエル氏は、今年後半に経済が再開するにつれて経済成長が急上昇するだろうと確信している。しかしインフレは目標を少し上回った後、約2％に戻り、そこにとどまる。したがって、今年、来年、または翌年に金利を引き上げる必要はない。2024年になって初めて、金利引き上げの必要性を予見した。
パウエルの見通しでは、2021年の6.5％の成長率と4.5％の失業率が、ゼロ金利と年間1.4兆ドルのFRBの資産購入をともなう金融刺激策と共存している。この政策スタンスが矛盾している。
VOX 01 April 2021
Preparing for a wave of non-performing loans: Empirical insights and important lessons
Johannes Kasinger, Jan Pieter Krahnen, Steven Ongena, Loriana Pelizzon, Maik Schmeling, Mark Wahrenburg
● 債務危機の回避
PS Mar 29, 2021
Brazilian Debt Jitters
ANDRÉS VELASCO, FRANK MUCI
VOX 30 March 2021
External sovereign debt restructurings: Delay and replay
Clemens Graf von Luckner, Josefin Meyer, Carmen Reinhart, Christoph Trebesch
債務リストラには2つの種類がある。債務危機を終わらせる決定的なリストラと、持続可能な道に債務を置くには不十分な暫定的なリストラ。その結果、国は2年以内に再発することになる。
債務危機の解決に時間がかかることが多い最初の説明は昔からあるものだ。債権者（政府、商業銀行、債券保有者）は通常、大幅な債務救済を迅速に提供することを躊躇した。それゆえ最初のリストラ条件（「ヘアカット」）が債務の持続可能性を達成するために不十分であった。
透明性と開示がなければ、個々の債権者は債務再編に向けた最初の一歩を踏み出すことを望まず、再編交渉の失敗によって中断された「デフォルトの呪文」が長引くだろう。
VOX 01 April 2021
Three steps to stop the health crisis turning into the biggest emerging market debt crisis
Avinash Persaud
COVID-19の経済的影響は高度に差別化されており、健康上の結果に反比例するだけではない。初期のGDP推定では、2020年のGDPを変化させる要因は、各国が貿易、旅行、外国直接投資の世界的な停止に見舞われた程度と、相殺するための政策スペースであった。
中所得国が直面している主な問題は、債務水準の増大、歳入崩壊、公的融資の適格基準、一人当たりのGNIの高さによる借入不能であった。制約の一部は、資本逃避と信用格付けの低下に現れた。通貨はドルに対して下落し、GDPに占めるドル建て債務の割合が増加、債券価格は数週間でほぼ20％下落した。
アメリカ国内の理由で、米連邦準備制度理事会は量的緩和を強化した。量的緩和は、COVID-19の高い不確実性とともに、主要通貨のバスケットに対して米ドルを14％下落させ、新興市場の債券価格は回復した。しかし米国の財政刺激策と予防接種が2021年に経済を力強く回復させると、2020年3月はリスクを高める可能性がある。
経済が弱いために貯蓄をめぐる争いがほとんどない場合、またはドルの下落によりドル債の資金調達が容易になる場合、資金調達またはロールオーバーされる債券の大量供給はそれほど問題ではない。しかし債務が多ければ、世界経済が回復し、ドルは上昇し、混乱する。1982年8月12日にラテンアメリカの債務危機を引き起こし、「失われた10年」を告げたのは、1981年の経済回復に続く米ドルの上昇、および米国の財政赤字増だった。
次の3つのステップは、債務危機回避のロードマップを提供する。
1.新規および未使用の特別引出権（SDR）の半分をリサイクルして債務を買い戻し、買い戻しを公的債権者が保有する債務に限定し、気候変動やCOVIDなどの自然災害からの支出に等しい金額のみでモラルハザードを回避する。
2.新規および使用済みのSDRの半分をリサイクルして、開発銀行に資本を再投入し、グリーン復旧をサポートするために民間セクターにより多く融資する。
3.すべての債務証書におけるバルバドス式の自然災害条項。
● ドル圏からの離脱
PS Mar 29, 2021
Is Bitcoin Good for Business?
WILLEM H. BUITER
フィナンシャルタイムズの最近の解説で、エコノミストのダンビサ・モヨは、ビジネスリーダーがビットコインに投資すべき理由を主張している。ビットコインは企業のリスクを軽減する方法である。暗号通貨は、新興経済国でビジネスを行うためのソリューションを提供する。デジタル通貨は、「通貨プラットフォーム」のエキサイティングな新しい未来を切り開く。すべて間違いだ。
ビットコインは非常にリスクが高く、環境的に望ましくない投資だ。これは新興市場の問題に対する解決策ではなく、価値の貯蔵または信頼できる交換媒体として機能しない。それと他の暗号通貨が経済史の脚注に追いやられるのが早いほど良い。
PS Mar 30, 2021
The Dollar’s Fragile Hegemony
KENNETH ROGOFF
中国当局はおそらくいつか人民元を通貨バスケットに固定することをやめ、為替レートがドルに対してはるかに自由に変動するインフレターゲット体制に移行する。それが起こったとき、アジアのほとんどが中国に従うだろう。やがて、現在世界のGDPの約3分の2のアンカー通貨であるドルは、その重量のほぼ半分を失う。
米国がCOVID-19の経済的破壊と戦うために赤字財政を積極的に使用していることを考えると、その債務の持続可能性は疑問視されるかもしれない。
より柔軟な人民元に対する長年の議論は、たとえ資本規制があっても、中国は単にその経済を米国の金融政策に合わせて踊らせるには大きすぎるということだ。
最近、ドルの中心性が米国政府にグローバルな取引情報へのアクセスを過剰に与えている、と主張される。これはヨーロッパでも大きな懸念事項だ。さらに中国の貿易支配をチェックするドナルド・トランプ前米大統領の政策は維持され、貿易のグローバル化におけるドルの地位を損なう。
中国は徐々に外国の機関投資家に人民元の購入を許可しており、2016年にIMFは特別引出権SDRの価値を決定する主要通貨のバスケットに人民元を追加した。さらに、中国人民銀行は、中央銀行のデジタル通貨の開発において、他の主要な中央銀行よりもはるかに進んでいる。
米国は確かに、できるだけ多くの経済をドルの周りに維持するため努力するだろう、しかしそれは困難な戦いだ。19世紀の終わりに米国が世界最大の貿易国として英国を凌駕したように、中国はずっと前に米国を上回った。
今日のアジアとドルとの緊密な連携は、1960年代から1970年代初頭のヨーロッパの状況と著しい類似点がある。その時代は高インフレと戦後の固定相場制のブレトンウッズ体制の崩壊で終わった。その後、ヨーロッパのほとんどは、域内貿易が米国との貿易よりも重要であることを認識し、数十年後に単一通貨ユーロに変形する、ドイツ・マルク圏が出現した。
中国の人民元が一夜にして世界の通貨にはならないが、中国の為替レートの取り決めの近代化は、ドルの状況に痛ましい打撃を与えるだろう。
● EU復興基金
FT March 30, 2021
Europe’s ‘green and just’ transition starts with its recovery fund
Stephany Griffith-Jones
ヨーロッパが将来のショックに耐えることができる経済を構築しながら「グリーンで公正な」移行の道を歩みたいのであれば、ヨーロッパはその経済ガバナンスを作り直さねばならない。今日、財政ルールは、景気循環、支出の質、環境的および社会的不均衡が長期的な債務の持続可能性に与える影響をほとんど考慮していない。
FT March 31, 2021
Time is ripe for EU to start a carbon club
Martin Sandbu
FT April 1, 2021
Europe’s chance to lead the green technology race
Stephanie Butcher
● バイデン財政刺激策の賭け
NYT March 30, 2021
The Biden Boom
By Thomas L. Friedman
NYT March 31, 2021
The Fate of Biden’s Agenda Hangs in the Balance
By Thomas B. Edsall
The Guardian, Thu 1 Apr 2021
The Guardian view on the US infrastructure plan: Joe Biden's bold bet
Editorial
FT April 1, 2021
‘A big and heavy lift’: Biden plans infrastructure spending spree
James Politi in Washington
● 地政学と小国の安定化
FP MARCH 30, 2021
Biden Can Help Armenia and Azerbaijan Make Peace. Here’s How.
BY DANIEL BAER
バイデン政権の高官は、状況を監視しつつ、他の場所に力を注ぐべきであり、外交的に主導的な役割を果たそうとしないことを社内で主張するかもしれない。
これは間違いだ。代わりに、新しい米国政権は、南コーカサス地域を深刻な米国の関与の価値を実証する機会と見なし、普遍的な価値と人権を中心とした民主化外交政策へのジョー・バイデン大統領のコミットメントの例として使用するべきだ。
バイデン政権がアルメニアとアゼルバイジャンを永続的な平和に向けて奨励するために取ることができる4つのステップがある。
第1に、説明責任と是正の問題に対処し、停戦の実施を求める。第2に、人道的活動と第三国定住活動を支援する。第3に、協力を推進する最も妥当な手段は、インフラ開発を含む新しい地域経済戦略だ。第4に、外交を活性化させる。
地政学によってますます定義される時代は、大国の競争を通して、世界の舞台に焦点を合わせ、他の地域、特に小さな国を無視する。しかし、人権は「家に近い小さな場所」から始まる。地政学的コンテストが権力のコンテストだけでなく、イデオロギーと世界観のコンテストであるなら、小さな場所でさえ大きな試練になる。
● 気候変動
PS Apr 1, 2021
Food, Not Steel, Is Our Biggest Climate Challenge
ADAIR TURNER
● イエレンとドラギ
FP APRIL 1, 2021
Janet Yellen and Mario Draghi Have One Last Job
BY ADAM TOOZE
1970年代と80年代の市場革命家は急進的であり、既成左翼の最後の砦を押しつぶし、組織化された労働力を乱暴に扱ったが、ドラギとイエレンは1990年代に「グレート・モでレーション」として知られているものの管理者として登場した。それは彼らが現状を偶像化したということではない。イエレンがかつて述べたように、「資本主義経済は、日常的な介入がない場合、完全雇用で運営されない。政策立案者は、事態を悪化させるのではなく、マクロ経済の成果を改善する知識と能力を持っている。」 しかし、彼らの政策介入は、既存の制度的視野を取った。彼らは独立した中央銀行家としての地位を確立した。おそらく、民主主義政治と新自由主義時代の典型的な政策レバーに対する説明責任が最も少ない政治的立場だ。
現状の管理と改善に取り組む市場革命の継承者、ドラギとイエレンの行進は輝かしいものだが、2人のキャリアは、予測不能、制御不能の、政治的および経済的ショックへの絶え間ない調整によって定義された。これらのショックにより、イエレンとドラギはテクノクラート権力の政治的および経済的境界を探求するようになった。
● 反政府運動の失敗
FP APRIL 1, 2021
Romanticizing Dissidents Plays Into the Hands of Repressive Governments
BY SUZANNE NOSSEL
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The Economist March 13th 2021
Biden’s big gamble
Five-year plan: The big target
Canada and China: Hostage diplomacy
Violence against women: A terrible toll
The world economy: The $3trn question
Fintech in China: Mood swing
Free exchange: Many hats
（コメント） 電車で、つい、居眠ってしまい、The Economistを置き忘れて新田辺駅で下車しました。シマッタ！ と駅員さんに聞いたら、30分ほどしたら車庫から出てくるので、見つかるだろう、ということでした。・・・待った末に、なるほど発見しました。
眠っていたせいか、特集記事は読む気がせず、中国の5か年計画、カナダ外交官を人質にする外交、アント・ファイナンスなど、フィンテック規制の記事がおもしろいです。
他方で、バイデンの特大財政刺激策やインフラ投資のように、中央銀行の金融緩和は政府の投資計画と一体化し、中国と似た様相を示し始めています。
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IPEの想像力 4/5/21
今年の始めに、新海誠『天気の子』をテレビで観て、感銘を受けました。都市の景観と気象の変化がとても印象的でした。同時に、『ブレードランナー』を思い出したのは、人間を取り巻く技術や環境が大きく変化する中で、自分たちの生き方が決まる重さを感じるからです。
東京が水没するより、熱帯のような豪雨に繰り返し襲われ、川の形が変わり、さらに、山も大きく崩れ、各地の森が失われてしまうのではないか、と不安になりました。今とまったく違う、環境崩壊国家の姿です。
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朝日新聞 GLOBE+ コロナウイルス危機より、気候変動に対する行動は難しい。
（2021.04.04）星野眞三雄/中村靖三郎
・・・映画では「何年間も雨が降り続く」という想定で、我々が生きている間にそうなることは多分ないとは思います。一方で、映画が公開された2019年の台風19号では、東日本を中心に100人を超す死者・行方不明者が出る豪雨となりました。長期的にずっと雨が降り続けるというより、短期的にすごい大雨になることは十分に考えられます。
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報道写真を観て、私は自分の幸運に感謝しました。そして、たまたま幸運ではない境遇に生まれた人たちが苦しむ姿に、心から同情し、罪悪感を持ちました。
難民、黒人差別、女性への暴力。世界に、自分のせいではない不幸を強いられる人々が多くいることを知った以上、自分の幸運に感謝するだけでは済まされない、グローバルで、複雑な時代を実感します。
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朝日新聞 GLOBE+ 世界が眼を向けない「最悪の人道危機」の一つが中南米に 逃げた先でも待つ過酷な生活
（2021.03.19）山本大輔
・・・ベネズエラから徒歩でアマゾンの大密林を抜けてコロンビアまで逃げてきた家族の所持品は、ごくわずかだった。政治・経済危機が深まるベネズエラから逃れる人が後を絶たない。そのルートには密林や山脈、砂漠など厳しい自然環境が広がり、「把握できないほど多くの人が命を落としている」。
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朝日新聞 GLOBE+ 愛する息子が「脅威」になる 黒人と結婚した日本人女性が「闇」を知った時
（2020.06.26）ランハム裕子
・・・その「闇」は突然爆発した。家族と友人で集まった時のこと。反抗期だったティーンエイジャーの息子たちはこの時期、なかなか言うことを聞かず、非行に走りかけていた。・・・黒人男性の友人が続けた。「悪ぶっているのなら本当に悪い奴らがたくさんいる俺の出身地（ニュージャージー州）に連れて行ってやる。そうやって悪くなった末に奴らが黒人としてどんな扱いを受けて、どんなひどい生活をしているのか見る勇気はあるのか？」
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日米首脳会談が始まります。コロナウイルスのワクチン供給問題、中国も参加する気候変動サミット、アメリカのインフラ投資、新興技術に関しても、中国への対抗姿勢を問う。人権や民主主義を求める声に応えるのは、世界中、どの国にとっても避けられない、難しい課題です。むしろ自国の間違いを正す競争に注目することで、時代のフロンティアを拓いてはどうでしょうか。
どこにも魔法のような答えはない。十分な信仰心や政治的野心を持たない。それでも、良心を問われる厳しい瞬間に至るとき、奇跡に期待せず、他者にも利益となるような技術や環境を生み出すため、まじめに働き、学び続ける、静かな人たちに出会いたい、と私は願います。
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