IPEの果樹園2020

今週のReview

11/16-21

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大統領選挙の終わり方 ・・・アメリカの次期大統領の苦悩 ・・・バイデンの内政・外交 ・・・政府開発銀行 ・・・トランプ主義の勝利 ・・・民主主義国のネットワーク ・・・香港返還から国家安全法へ ・・・ドルと為替市場の不気味な安定性 ・・・ロックダウン・ライトより閉鎖補助金

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL International, VOX: VoxEU.orgそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 大統領選挙の終わり方

NYT Nov. 5, 2020

Is America Becoming a Failed State?

By Paul Krugman

ジョー・バイデンが大統領になれるだろう。しかし、問題は、彼が望むように統治できるか、ということだ。

アメリカ国民を代表しないことが著しい上院において、過激な共和党が支配を維持しそうである。彼らはあらゆる方法でバイデンをじゃまするだろう。

上院が、各州から2人の上院議員を出すことは、ワイオミングの579000人も、カリフォルニアの3900万人も同じ、ということだ。こうした過大な代表権を得ている州は、国の全体から見て都市化の進んでいない州だ。都市部と地方との政治的分断が進む中で、これは上院を右寄りに変える。FiveThirtyEight.comによれば、上院は、平均的な有権者よりも7%多く共和党に偏っている。

上下院の1つを支配することが重要か、と思うだろうが、オバマのときもそうだった。共和党の強硬な戦術は、債務の上限を使って政府のデフォルトで脅し、財政支援を早期に打ち切って景気回復を遅らせるものだった。今は、2011年よりも、一層強く財政支援策の追加が必要である。コロナウイルスが1日に10万人もの新規感染者を出している。

医療サービスや、失業者、企業への支援、そして州や地方自治体への財政支援が連邦政府に求められる。パンデミックの終息まで、毎月2000億ドルの支出が必要だ、と推定される。それでもマコーネルの支配する上院共和党が同意を拒むとしたら、それは衝撃である。

通常、大統領は行政府として行動する。民主党は、議会を経由しない行動リストを準備している。しかし、ここでの心配は、非常に党派的になった最高裁だ。マコーネルの常識破りな行動は、投票日の数日前にバレット判事を最高裁に押し込んだ。最高裁判事9人のうち6人が、過去8回の選挙で1度しか多数を得ていない共和党の大統領によって指名された。F>D>ルーズベルトのニューディールを阻止した、1930年代の最高裁のように、その抵抗は重要だ。しかも、当時のように判事の数を増やす脅しは、共和党が支配する上院で利用できない。

ドナルド・トランプが退いても、共和党と選挙制度の問題はそのままだ。次期大統領が取り組むべき、感染拡大、経済危機、環境問題が明白でも、その政府は手を縛られている。これほど政治機能が崩壊した国が、もし外国にあれば、われわれはそれを「破綻国家」とよんだ。

FP NOVEMBER 5, 2020

Is an Undecided U.S. Presidential Election a National Security Threat?

BY EMMA ASHFORD, MATTHEW KROENIG

The Guardian, Sun 8 Nov 2020

The rotten state of American politics made Trump smell fresh

Nesrine Malik

TVネットワークがジョー・バイデンの当選確実を伝えたあと、アメリカ中の都市の通りで自然発生のパーティーが始まった。リベラルは4年間も待った瞬間を祝福した。ドナルド・トランプの任期が終わったのだ。呪文が解けた。

しかし、トランプの毒素は垂れ流されたまま、まだ除去されていない。なおも7000万人以上がトランプに投票し、ヒラリー・クリントンが2016年に得た票を超えている。

投票日前には、トランプとトランプ主義が明確に否定されるという期待があった。彼の岩盤支持層は態度を変えないだろうが、クリントンよりトランプを得蘭型の有権者は、この4年間で考えを変えただろう。郊外に住む女性票がトランプから離れた、という分析があった。

しかし、それは間違っていた。トランプは2016年よりも800万票を追加し、アジア系、黒人、ラティーノ、女性にも支持されている。

なぜ有権者はトランプを支持し続けるのか? これはいやいやながらの選択ではない。トランプの毒素を知りながら支持している。それは民主主義の問題である。トランプのような人物が、エスタブリシュメントを冒涜し、規範をあからさまに破壊することで、思考や政策が極端に狭められているとき、常に現れるのだ。超党派のコンセンサスに対する外部からの挑戦が魅力的で、破壊的に見えるのは、単に時間の問題であった。

この20年間で、最富裕層と最貧困層との格差が倍増したアメリカで、目に余る不平等を是正するため、民主党が再分配政策を取ることに臆病であったから、トランプの右翼が自分たちを故障したシステムの解決策として売り込む余地を与えたのだ。

トランプの経済政策は富裕層に大きな利益をもたらすものであったが、パンデミックの死者が増えるまで、バイデンよりも支持されていた。有権者は、経済が最優先課題である、というトランプを支持した。しかし、それは政策ではなく、メッセージである。バイデンの変化というメッセージは、より強く、よりシャープでなければならない。

バイデンは、昨年、富裕層の献金に感謝し、自分の政権では誰も罰するつもりはない、と述べた。不平等の解消には、激しい論争と基本的な革命さえ必要になる、と彼らが恐れたからだ。しかし、有所臆人種や女性の不平等を解消したいなら、根本的変化を避けられない。

アメリカ政治の中心に広がる自己満足があったから、トランプは血の匂いを嗅ぎつけた。投票を妨げ、公民権をはく奪する露骨な差別が支配的でなければ、トランプの犯罪にもっと関心が向いたはずだ。有権者たちはトランプの野卑な暴言を「正直さの表明」とみなした。

あまりにも多くの有権者がトランプを観て、その邪悪さより、壊れたシステムのルールを破壊する意志がある男とみなした。根本的な変化を避けるなら、もっと多くの邪悪さが現れるだろう。

SPIEGEL International 10.11.2020

Economist Jeffrey Sachs on the U.S. Election

Our Political System Is Very Corrupt”

Interview Conducted By Benjamin Bidder

サックスJeffrey Sachsは、東欧の計画経済が崩壊した30年前、意欲的なエコノミストとして、ポーランドの指導者たちに顧問となってショック・セラピーの市場改革を行った。1990年代初め、ロシアの民営化が行われたときには、エリツィン大統領の顧問だった。

かつて、NYTはサックスを「おそらく世界で最も重要なエコノミスト」と書いたが、ロシアが貧困になると、西側メディアの一部は、冷血なネオリベラリスト、というラベルを貼った。

DER SPIEGEL: あなたは改革を必要とした諸国で働いた。ソ連崩壊後のロシアもそうだ。もし政府顧問であれば、バイデン政権は何をするように助言するか?

Sachs: 私は社会的市場経済、あるいは、社会民主主義的経済を信じている。それは法の支配に従って統治される市場経済だ。医療、教育、環境、社会的保護に関して、すべての者に権利を保障する社会制度がある。それは政府が強い役割を果たす混合経済体制を必要とする。

DER SPIEGEL: メディアはあなたを強硬派のネオリベラリストと描いたが、今のあなたは「社会主義者」のサンダースに近い。いつ変心したのか?

Sachs:  変心したことはない。1989年にも同じ質問を受けた。私は、「ミルトン・フリードマンやマーガレット・サッチャー、アメリカ版自由市場のロナルド・レーガンを支持しない。私はリベラルの民主党員であり、最も好きな国はスウェーデンだ。」と答えた。

DER SPIEGEL: アメリカが従う他国、他のモデルはあるか?

Sachs: 私はヨーロッパの国民皆保険制度を推奨する。アメリカ社会はあまりに不平等であり、アメリカ政治は大学卒業者と高校卒業者との間の闘争になっている。

DER SPIEGEL: 世界で最大の、最も豊かな国が、政府を資金不足で飢えさせているのは不思議ですね?

Sachs: 1980年以来、ロナルド・レーガンが大統領に選ばれてから、リバタリアンの政府が続いた。それはアメリカ的な意味で、社会保障を削り、環境を保護する政府の責任を否定し、低課税が経済発展にとって最重要だというイデオロギーに従い、政府のインフラ投資を最小限にした。トランプの経済戦略は減税と、連銀による低利融資でしかないが、その長期的結果は同じである。

DER SPIEGEL: なぜキリスト教徒はトランプとその政策を支持するのか?

Sachs: ドイツのルター派とアメリカのエヴァンゲリカル(福音派)プロテスタントとは非常に異なっている。アメリカの福音派の哲学は、繁栄の福音とよばれる。巨大な教会で繁栄を称える説教をする。貧しい人々の経済的必要は、社会福祉ではなく、イエス・キリストの祝福だけが満たすことができる。懸命に祈り、ひたすら進行すれば、社会的給付は必要ない。神様があなたの銀行口座を満たしてくれる。そういう話だ。私は悲しく思う。

DER SPIEGEL: なぜ多くの有権者が、トランプに制度改革を期待するのか?

Sachs: 社会民主主義的な指導者ではなく、トランプを支持するアメリカの労働者たち、特に、白人労働者たちは矛盾している。政治を変える建設的な方法ではない。それはギミック(見せかけのトリック、詐欺的手法)だ。公共政策の改革ではなく、リアリティー・ショーの詐欺師に頼る。

バイデンは全く違う。そういう人間ではない。平和を信じ、国際協調を信じている。

FT November 12, 2020

Donald Trump is not done with America yet

Edward Luce

ドナルド・トランプは敗北宣言しないだろう。政権転覆をめざした指導者として、たとえ選挙に敗北しても選挙の不当さを訴え続ける。アメリカは現職大統領による反抗を経験したことがない。

トランプの抵抗がどの程度まで重要かは、共和党の姿勢に依存する。共和党議員の多くは選挙を経て地位を得たにもかかわらず、大統領の選挙無効を支持している。その姿勢には3つの李湯がある。

1に、心理だ。トランプは、敗北を受け入れるより、そのような説得に怒りを刺激される。

2に、保守派の政治基盤を守るためだ。マコーネルは常時あの決選投票で勝利し、上院の多数を確保したい。その時まで、バイデンの勝利は認めない。

3に、バイデンが勝利しても、選挙人制度を維持して、共和党は少数得票の支持による大統領を狙う。

米軍の将軍たちは、ホワイトハウスが市中における軍の行動を命令しても従わない、と示している。しかし、アメリカの立憲体制に対する脅威はもっと陰湿なものであろう。トランプは、共和党員の多くが「バーセリスト」の陰謀論を受け入れた。それはオバマがアメリカ国籍を持たない、大統領の資格がない、という主張だ。他方、民主党員の多くは、2016年の大統領選挙でトランプの勝利を認めない。それはロシアによる選挙への介入があったからだ。前者は間違っており、後者には強い証拠がある。しかし、これらの主張は有権者の政治意識を変えた。

トランプが残り70日で何をするかわからない。しかし、共和党はバイデンを正当性がない、と主張するだろう。その姿勢は、トランプに共和党を支配する地位を与える。

PS Nov 12, 2020

The Lost Cause of the Trumpocracy

ELIZABETH DREW


 アメリカの次期大統領の苦悩

PS Nov 6, 2020

Biden’s Precarious Victory

ERIC POSNER

PS Nov 6, 2020

The Market’s Best of All Possible Worlds

WILLEM H. BUITER, ANNE SIBERT

バイデンが圧勝するという予想があった。その場合、バイデンは改革を進めるために積極的な財政政策を採用するだろう、と市場は懸念した。すなわち、医療や教育に関する改革への支出、ビジネスには嫌われるような課税と規制、保護主義的な通商・外国投資政策、所得再分配である。その場合、投資家がリスクを取ることは難しい。

選挙結果は、バイデンのそのような改革を阻むものになった。共和党が上院を支配し、最高裁は下院の改革法案を阻むだろう。協力できるとしたら景気対策だ。

ドナルド・トランプ大統領が選挙結果に関して不正があったと主張し、法廷闘争をすることは予想されたことだ。不確実さはあるが、制度を崩壊させるような危機ではない。

選挙はプラスの影響を市場に与え、より広い経済全体にも概ね中立的な効果である。

DER SPIEGEL International 06.11.2020

A Ripple, Not a Wave

Joe Biden's Almost Impossible Task

By Matthias Gebauer, Roland Nelles, René Pfister, Ralf Neukirch und Alexander Sarovic

NYT Nov. 6, 2020

Biden Can’t Be F.D.R. He Could Still Be L.B.J.

By Anand Giridharadas

ジョー・バイデンは、トランプではない候補として支持された。しかし、控えめで、構造的な公正さをめざすことが、大統領としての支持を得られるのか。

もし歴史的な類推を求めるなら、それはリンドン・ジョンソンである。長く上院議員として働き、副大統領も務め、大統領のようなカリスマを欠いたが、政権を継承して歴史的な結果を残した。

FT November 7, 2020

US gridlock: ‘Biden will have one hand tied behind his back from the start’

Edward Luce in Washington

FP NOVEMBER 7, 2020

How President-Elect Biden Could—Believe It or Not—Help to Heal America

BY MICHAEL HIRSH

驚くべき接戦により、ドナルド・トランプはアメリカを絶望的に分裂国家にしたという悲観論が強まっただけだった。

彼が仕えたオバマ大統領は尊大で、民主党内でも批判されたが、彼と違ってバイデンは、常に仲間が多かった。バイデンは無駄話を重ねて、敵との取引を繰り返した。

確かにトランプは敗北宣言をしないし、マコーネルもバイデンに当選の祝意を伝えていない。彼はすでに、繰り返し、バイデンがウォレン上院議員、サンダースなど、進歩派を閣僚に指名しないように圧力をかけている。マコーネルはまた、アメリカがパリ協定やイランとの核合意に復帰することに強く反対している。

こうしたことすべてが、バイデン大統領の試練である。政治は機能するか。分断が支配し続けるのか。

しかし、国民には怒りや分断を行き過ぎと感じている多くの人がいる。彼らは政府の行動を求め、冷静さを求め、何よりCOVID-19に効果的な対策を求めている。もしワシントンの政治共同体を回復するとしたら、それができる者はバイデンしかいない。

この破れた国に癒しを与えるときだ。

The Guardian, Sun 8 Nov 2020

We were told Joe Biden was the 'safe choice'. But it was risky to offer so little

Naomi Klein

FT November 8, 2020

Joe Biden can get plenty done, even if Congress is divided

Rana Foroohar

トランプは、民主党の支配する議会が賛成しなくても政策を実現する方法を見つけた。バイデンも、共和党の上院に対して同じことをする。

FT November 8, 2020

A president-elect with big ambitions but more prosaic skills

Peter Spiegel in New York

PS Nov 9, 2020

America’s Dangerous Interregnum

BARRY EICHENGREEN

1932年は、フーバーHerbert HooverからFranklin D. Rooseveltルーズベルトへの政権移行が、比類ない経済不況と銀行危機の中で行われた。退任する大統領は、後継者をひどく嫌い、精神の鋭敏さを欠くだけでなく、ルーズベルトには部分的な麻痺があることを気にした。チェック柄のカメレオンと侮辱し、デッキの底から執務する、と非難した。FDRの社会主義的傾向は、「モスクワに進む道」である、と示唆した。

銀行の封鎖、パニックが広がっていた。しかしフーバーは、一方的な銀行休日の宣言を拒んだ。19333月にFDRが就任するまで、銀行システムと経済は停止したままであった。

フーバーは危機を認識していた。しかし、イデオロギー的に、連邦政府が介入することには反対だった。彼はまさしくその考えを確信していたのだ。新しい政策は必要ないし、新大統領が選択肢を持つことを制限するために何でもした。FDRが市場の信頼回復のために声明を発表するよう求め、フーバーが指名した代表団を国際会議に送って、ヨーロッパの戦債や金本位制の回復を議論させるようFDRをけしかけた。

FDRが次期大統領としてそれを拒むと、フーバーは激怒し、その時の会話記録を公表して、国民が憤慨するように仕向けた。

PS Nov 9, 2020

The Democrats’ Four-Year Reprieve

DANI RODRIK

どうやってトランプはこれほど多くのアメリカ人に支持され続けたのか? 嘘、腐敗、パンデミック対応のもたらした破滅にもかかわらず。

アメリカに限らず、中道左派の政党は右派のポピュリスト政党に対して巻き返しを図っている。民主党は明らかに、アメリカの基準では、左派に傾いた。

残念ながら、この辛勝がもたらす教訓とは、アメリカ政治が2つの軸で分裂状態にあることだ。すなわち、文化と経済である。これらの問題で、民主党は左傾化しすぎたと思う人々と、民主党はもっと左派の議論を受け入れるべきだと思う人々とに、分けられる。

文化戦争とは、社会的に保守的な、白人の支配的地域と、いわゆる「目覚めた」態度が支配的な都市部との、対抗関係である。前者は、家族の価値、人工中絶反対、銃の権利を主張する。後者は、LGBTの権利、社会的正義、「システミックな人種差別」に反対する。

経済に関して、民主党の穏健派を含む多くの人が、左傾化し過ぎると保守派の票を失う、と考えている。共和党は、増税の恐怖、雇用を減らす環境政策、製薬企業の国有化という不安を煽っている。どの政党も、企業家がすることは最善で、政府は最悪、という神話を信じている。

これに反して、進歩派は、バイデンの選挙公約が外国の基準で観てラディカルではない、という。バイデンが、選挙をトランプの信任投票に変えたのは失敗だった。サンダースやウォレンの強調した雇用、経済安定性、再分配がもっと取り入れられるべきだ、と考える。

選挙は、中道左派や民主党の多年にわたる難問に答えられなかった。すなわち、ピケティが主張してきたように、左派政党はますます、都市部の、教育を受けたエリートの政党になっている。伝統的な労働者階級は影響力を失い、グローバル化した専門職、金融ビジネス、大企業の利益を代表している。こうしたエリートは、しばしば、中産階級や、さらに低い階層、取り残された地域の利益を無視して、経済政策を唱える。エリートたちの文化的、社会的、そして空間的な孤立が、より恵まれない人びとの世界観とは共鳴しないのだ。それゆえ文化エリートたちは、トランプがつかんだ7000万票に当たる人びとを、容易に無視する。

左派は、現在の私たちにとって焦眉の問題に答えを示さない。すなわち、良い職場はどこから来るのか? 累進課税、教育やインフラへの投資、(特にアメリカでは)国民への医療サービスは重要だ。しかし、十分ではない。中産階級の良い職場は減った。COVID-19が労働市場のひっ迫を強めている。

良い職場を失うコミュニティーは、薬物中毒、家族の崩壊、犯罪の増加にも苦しんでいる。人びとは保守化し、権威主義的な強権指導者を支持しやすい。経済不安がそれを悪化させる。

左派政党には、文化エリートが作った社会的亀裂を修復する多くの橋を築く必要がある。

FP NOVEMBER 9, 2020

America’s Economy Is Fragile. So Is Biden’s Economic Team.

BY ADAM TOOZE

FP NOVEMBER 9, 2020

Representation, Now Taxation

BY EDOARDO CAMPANELLA

SPIEGEL International 09.11.2020

"It's Time for America To Unite"

Joe Biden Sets Out to Make America Great Again

By Matthias Gebauer, Roland Nelles, Ralf Neukirch, René Pfister, Marc Pitzke und Alexander Sarovic

NYT Nov. 10, 2020

How Biden Can Govern in Spite of Everything

By Kevin Baker

NYT Nov. 12, 2020

Joe Biden Will Face This Overlooked Crisis on Day 1

By Mark Schmitt


 バイデンの内政・外交

PS Nov 6, 2020

One America, Two Nations

RICHARD HAASS

大統領選挙のプラスの面は、民主主義が強固であったことだ。投票率は高く、開票も手続き通りに進んだ。暴力は最小限だ。裁判所は郵便局の決定に政治的な意味があったか審議している。トランプの時期尚早の勝利宣言は無視された。開票をやめろという主張も。

しかし、アメリカの有権者は深刻な分断を示した。それは当然、政府を分断するだろう。ホワイトハウス、下院、上院、最高裁も。

トランプは2016年よりも500万票も多くを得た。それは、過去のいかなる大統領よりも多い。トランプがたとえ敗北してもその発言力は維持される。

アメリカ市民は、ますます、分離した異なる世界に住んでいる。自分のコミュニティーや地域で、同じような見解の人々だけが集まってしまう。ケーブルテレビも、ラジオも、ポドキャストも、ウェブサイトも。国民的な市民教育がない。

それは国連安保理に似ている。システムは深刻な欠陥を持っており、世界の意見を代表していない。しかし、改革に関するいかなる合意も不可能だ。なぜなら、どの解決策も、ある者に有利だが、他の者には不利であるから。損だと思う者は改革に反対する。

統治は困難である。この国には2つの国民が住む。バイデンが妥協を可能にするのか、それが問われるだろう。

PS Nov 6, 2020

Has America Lost Its Soul?

PETER SINGER

FT November 7, 2020

The movement that backed Donald Trump is here to stay

Christopher Caldwell

世論調査はバイデンの優位を示し、民主党は興奮していた。投票日の前に、Robert Reichライクは、南アフリカでアパルトヘイトの終結時に設置された、「真実と和解のための委員会」を求めた。

しかし、投票日の夜、そのようなトランプの終わりは来なかった。週末になって、トランプは負けそうだが、彼を押し上げた運動はアメリカ政治に残っていることが分かった。

この運動の核心とは、専門家に対する民主的な反抗である。西側の市民は、多くの意思決定で、権力を専門家たちに与えた。たとえば、中央銀行、検索エンジン、感染症の専門家だ。トランプは、専門家から権力を取り戻すべきだ、という人々の声を代表している。彼は専門家たちの動機を疑う。そもそも専門家であることを疑う。むしろ、自分たちの利益のためにこの国を利用している、と考える。

企業や政府の指導者たちが、技術革新や社会的進歩をもたらすことに対して、ポピュリズムは反抗する。それは長期的に勝利するわけではない。しかし指導者たちが彼らをバカにし、利己的であるなら、彼らの時代が来る。

「われわれは労働者の党だ。」 と、ミズーリ州の上院議員Josh Hawleyは投票日の夜にツイートした。「共和党の未来だ。」

NYT Nov. 7, 2020

We Still Don’t Really Understand Trump — or America

By Frank Bruni

NYT Nov. 7, 2020

Confronting the Damage of Trumpism

By David W. Blight

FP NOVEMBER 7, 2020

The Election Is Over. The Ideological Fight Is About to Start.

BY STEPHEN M. WALT

次期大統領の外交をめぐる論争は、2つの重要な問題に対する答えにより、4つの大きなグループの間の論争になるだろう。問1:政府の役割、特に連邦政府の正しい役割は何か? 問2:アメリカは多くの土地で政治を変える野心的な外交を採用するべきか? あるいは、もっと選択的に、抑制した外交を取るべきか?

多くのアメリカ人は、強く、有能な、財源を持った連邦政府が、より大きな善(その意味はいろいろだ)をなすために社会を規制するパワーを行使することを願う。その古典的な例は、進歩派リベラルのニューディール国家である。

しかし、他のアメリカ人はこの考えの基本要素を拒む。連邦政府はできるだけ小さくて、税金を少ししか取らないことが好ましい。政府は自由に対する潜在的な脅威である。政府の介入は経済成長を妨げ、個人の自由を損なう。

野心的なアメリカ外交の支持者がいるのは確かだ。コアの政治的諸価値を掲げて、世界の指導的国家になる。同盟諸国の安全保障、テロ対策、諜報・情報収集、民主主義、競争市場、基本的人権、法の支配、などを、他国に広める。リベラルな、グローバル秩序をさらに長期にわたって維持する。

しかし、かなり大きな割合でアメリカ人の多くはこの見解を採用しないだろう。特に、多くのコストがかかる場合は。

こうしてアメリカ外交に関する4つの集団に分かれる。

1:リバタリアン。・・・自由、個人の選択を重視し、政府の権力を疑う。最小限の外交で、自由な市場が解決する。アメリカの安全は核抑止と2つの海が守っている。

2:共和党主流派。・・・大きな連邦政府を嫌い、大企業の利益を実現する。税金や社会的給付を削減する。しかし、次第に共和党は社会問題を政治利用し、強い軍事力を称賛しながら財政赤字を続けて、矛盾した姿勢を取るようになった。

3:サンダースやAOCのような進歩派。・・・強い国家が、不平等、気候変動、社会的正義、警察改革、金融規制などを実現する。しかし、外国では抑制する。国内と国際での支出をトレード・オフで考えるからだ。

4:旧民主党。・・・進歩派の信念を継承する。政府が社会進歩に貢献し、グローバルな指導力も発揮する。しかし、巨大な野心的外交は、強い国家と、国民統合を前提とする。

トランプの外交は寄せ集めだ。リバタリアンで、サンダース型の進歩派に似た主張をし、明らかに共和党主流派の政策を実行した。巨大な防衛予算、行政権の制約無視、ドローン攻撃、外国での殺害命令、おなじみの他の外交戦術を駆使し、人種と社会の分断を煽った。最終的に、トランプは共和党の潜在的自我を表現している。

バイデン外交は、抑制された進歩派になるだろう。それは国民が新しい戦争を望まず、多くの解決すべき課題を並べているからだ。旧外交を超党派で支持する交渉に手を出すことはないだろう。外交に大きな改善は望めない。それがこの選挙の結果である。

The Guardian, Sun 8 Nov 2020

A lesson from the US election: we'll never understand voters just by looking at polls

John Harris

The Guardian, Sun 8 Nov 2020

Trump was no accident. And the America that made him is still with us

Michael Goldfarb

FT November 10, 2020

Joe Biden will not be able to unify the US

Janan Ganesh

NYT Nov. 10, 2020

The Republican Party Is Attacking Democracy

By Jesse Wegman

NYT Nov. 10, 2020

Only Truth Can Save Our Democracy

By Thomas L. Friedman

FT November 11, 2020

Democracy in a time of division

Martin Wolf

民主主義に対するグローバルな不満は2008年の金融危機直前から高まっていた。たとえトランプが去っても、プルートクラシー(富裕層の寡占体制)とネイティビストのポピュリズム、社会的反動とを結婚させたトランプ主義は、共和党のイデオロギーとして残る。低税率、レッセフェールに集約される戦略は、大きな不平等の分散型民主主義を支配する戦略である。

しかし、たとえ上院と最高裁が逆らっても、大統領には大きなパワーがあり、内外で改革を進めることができる。民主党自身が富裕層の献金に依存し、プルートクラシーとのつながりを断てないことが問題だ。民主主義の栄える国家は、あらゆる市民に対して奉仕しなければならない。それは愛国心を絆とする共同体だ。社会的地位、政治的信念、経済的利益の違いを超えて、国家を愛する。

バイデンはヨーロッパと組んで、中国と対抗し、競争と協力を組み合わせて、例えば気候変動の国際秩序を改革するだろう。そのためには自国内の改革を進めることだ。

SPIEGEL International 11.11.2020

The Cult Myth

Why Trumpism Won't Disappear with Trump

A Commentary by Torben Lütjen

The Guardian, Thu 12 Nov 2020

Donald Trump has lost the election – yet Trumpland is here to stay

Aditya Chakrabortty

NYT Nov. 12, 2020

How Trump Almost Broke the Bounds of Reality

By Bruno Maçães

FP NOVEMBER 12, 2020

Biden Can’t Stop America’s Democratic Decline

BY JAMES TRAUB


 政府開発銀行

PS Nov 6, 2020

The Age of Public Development Banks Has Arrived

STEPHANY GRIFFITH-JONES, RÉGIS MARODON, JOSÉ ANTONIO OCAMPO, JIAJUN XU

世界の主要な脅威に対して、大規模な協調行動が求められている。パンデミック、気候変動、不平等の是正。巨大な構造転換には、同時に、経済を生産的で、包摂的で、脱炭素化するような成長が求められる。

人と地球のために、長期にわたって経済を改善する。そのためには、公的融資や民間融資を支援することで、投資を促すことが重要だ。公共開発銀行PDBsがその手段になるだろう。

PS Nov 9, 2020

The Case for an EU Development Bank

WERNER HOYER

FT November 11, 2020

An investment bank to help the US prosper

Stephany Griffith-Jones

アメリカの次期大統領、ジョー・バイデンは、クリーン・エネルギーから医療サービス、住宅まで、あらゆるものに投資を大幅に増やしたいと考えている。しかし、競争相手や同盟者に頼る限り、その手段がない。

COVID-19、経済不況、不平等、気候変動など、アメリカが直面する挑戦に応えるためには、政府投資銀行を創設するべきである。

十分な資本を備えた、活気ある政府融資機関は、民間部門と協力して、景気下降期の衝撃を緩和し、上昇期の繁栄を拡大する。インフラ投資、中小企業支援、特に革新的部門への投資や、脆弱なコミュニティーへの支援を行う。

矛盾するようだが、アメリカ政府は、第2次世界大戦後の理想主義的な行動としてマーシャル・プランを実施し、その資金を使って、ドイツの開発銀行KfWを設立した。しかし国内では同じことをしなかった。

今やKfWの資産は5000億ドル以上に達し、ドイツで2番目の規模である。戦後復興、再統一後の東ドイツ統合化、2008年金融危機からの回復に、KfWは推進力となった。COVID-19の期間にも、KfWと地方銀行が個人、企業に融資を提供している。

アメリカ政府も、政府投資銀行を設立するべきだ。

全国気候銀行は、オーストラリアのような国々や、ニューヨーク州、ミシガン州にも設立されたが、the Moving Forward Actの一部として下院を通過した。

同様に、アメリカ投資銀行(AIB)を設立すれば、重要な公共プロジェクトに向けた投資を指導できるだろう。民間部門は初期の投資に問題を感じるような、再生エネルギーのための電力供給グリッド、地方へのブロードバンド拡大、海岸沿いの高速鉄道、などだ。

AIBは独立し、党派を超えて、厳格な規制と政府監査に従う。金融的に持続的かつ利潤を生みだすよう運営されるが、利潤目的ではない。その目標は、ダイナミックで、持続可能な、より公平な経済を創出することだ。

経済危機では、エッセンシャルなサービス部門に、低コスト、長期の融資を供給する。的確な企業や地方政府に対して運転資金や賃金支払いを支援する。また常に、ショックに脆弱なコミュニティーに向けて資源と技術支援を提供する。黒人、有色人種、先住民などは、しばしば周縁化され、融資を得られないからだ。

COV-19によって生じた経済危機からの回復を助け、改革を促して、活力がある、革新を進め、競争的な、包摂的部門や企業に投資することで、AIB21世紀のアメリカ経済を繁栄に導く。

PS Nov 11, 2020

How Public Development Banks Can Help Nature

ELIZABETH MREMA, CARLOS MANUEL RODRIGUEZ


 トランプ主義の勝利

PS Nov 6, 2020

Donald Trump, Made in America

NINA L. KHRUSHCHEVA

NYT Nov. 7, 2020

We Are Finally Getting Rid of Him

By Michelle Goldberg

FP NOVEMBER 7, 2020

Trump Was a Warning

BY ELISABETH BRAW

「人生はキャバレーだ。」とSally Bowlesは歌った。

トランプはアメリカを本物の独裁制とカオスの淵まで追い込んだ。今、民主党候補のジョー・バイデンが勝利し、アメリカは踏みとどまったように見える。しかし、この選挙はウェイクアップ・コールだった。それはアメリカだけではない。

ヨーロッパ中で、バイデンオ勝利は陶酔感を広めた。「アメリカ人は2度とホワイトハウスに子供じみた支配者を入れないだろう」と叫び、悪夢は終わった、と。しかし、同じ多くの人々が、トランプのような行動を取っている。人身攻撃と名誉棄損。機能する、謙虚な民主主義と、ホッブズ的な戦争状態との間には、薄いべニア板の壁しかない。ヨーロッパにもトランプは現れるだろう。

民主主義とは何か、学び直すときだ。

SPIEGEL International 08.11.2020

Former Aide Scaramucci

Trump "Is an Orange Wrecking Ball"

Interview Conducted By Tim Bartz

スカラムッチAnthony Scaramucci11日間だけドナルド・トランプ大統領の広報官を務めて解任された。ニューヨーク出身、56歳。建設労働者の息子。Lehman BrothersGoldman Sachsなど、投資銀行で働、2005年、ヘッジファンドSkybridgeを設立。トランプ政権や共和党を批判。共和党支持者だが、2020年の大統領選挙ではバイデンを支援した。

Scaramucci: トランプはデマゴーグのように行動している。トランプのような「いじめっ子」を排除するのは非常にむつかしい。こういう連中は他の者たちに正しくないことをやらせる。

トランプは7000万以上も得票した。2016年の得票よりも多い。

それはエリートやメディアへの批判票だ。有権者はトランプを支持するというより、システムを嫌っている。システムは彼らのためにならない。だからトランプという危険球orange wrecking ballを投げたのだ。

FT November 9, 2020

Liberals misunderstand the seductive appeal of populism

Jan-Werner Müller

選挙結果は、しばしば、X線検査よりも、ロールシャッハ・テストである。われわれはその中に知っていたことを読んでしまう。

政治家や評論家たちは、ドナルド・トランプの驚異的な接戦を、右派ポピュリズムのパワーが確認された、と考える。期待された(民主党支持の)ブルー・ウェイブは起きず、深刻な分断状態を観る。しかし、その解釈は、リベラルがポピュリズムをどれほど誤解しているかを示すものだ。

リベラルは複雑な現実を理解していると思いたがる。そして、ポピュリストは単純な解決策で大衆をだましている、と。しかし、リベラルもツイート的な短い説明でグローバルな趨勢しか示さない。トランプの勝利で、彼らは、アメリカ中西部の食堂で人々が何を話しているか、調べるようになった。

リベラルは、成功する政治運動は単一の政治アイデンティティーに依拠しない、ということを忘れている。トランプ主義は、常に、異なる人々にとっての異なる出来事だった。アメリカの保守派は、「社会的な保守と、複数のエスニックに応じた経済ポピュリズム」から、リアリティー・ショーの規範破壊者を取り除いたものを、トランプ主義として称賛した。しかし、トランプの道化的な言動は、反エスタブリシュメントの庶民に受けたのだ。

ポピュリストは、何よりも反エリート主義に傾く者たちではない。トランプを崇拝する下院議員Jim Jordanは、数週間前にツイートした。「アメリカ人はアメリカを愛する。近所がサンフランシスコのようになってほしくない。」 まるでカリフォルニアの都市は国内の外国人に占拠された拠点で、投票に数えるべきではない、というように。

ポピュリズムは単なるスタイルではない。トランプや、インド首相のナレンドラ・モディは、ツイートや衣装、経済政策を観るだけでは理解できない。彼らは排他的で、反多元主義の、アイデンティティー政治を推進する。キリスト教徒やヒンドゥー教徒を称え、彼らだけが「真の人民」である、という。彼らはつねに敵の攻撃にさらされている。「便所のような国」やイスラムだ。

ポピュリストは社会の分極化を刺激するのが非常にうまい。多くの市民が選挙のたびに、われわれ対彼ら、という世紀末的な演出を観る。しかし、多数を得るには十分ではない。彼らの大義が決定的な支持を得るのは、伝統的な金融・ビジネス界のエリートたちに支持されるときだ。彼らは低税率や規制緩和と交換に、権威主義的な行動には目をつむる。ヨーロッパでも北米でも、保守派のエリートと協力しなければ、右派ポピュリストが政権を得ることはなかっただろう。

トランプは、共和党が「富裕層のポピュリズム」に転じた趨勢の、原因ではなく、その兆候であった。最も裕福な1%の者が利益を得る政策を、容赦ない文化戦争と組み合わせた。多くの人々が、民主主義よりも、党派や経済的関心に支配され、権威主義的行動を容認するという事実は、恐ろしい。

NYT Nov. 9, 2020

How to Protect America From the Next Donald Trump

By Bryan Garsten

NYT Nov. 10, 2020

The Long Shadow of the Reagan Years

By Jennifer Finney Boylan

1980115日、二日酔いの私は階段を下りながら歌っていた。“This is the end, beautiful friend, the end.”

テレビでは司会者がレーガンの優位の大きさを議論していた。まだカリフォルニアの開票中であったが。ジミー・カーターはたった6つの州とワシントンで勝っただけであった。

それはレーガン時代の始まりであった。共和党員の母は幸せだった。

現在の混乱は、ドナルド・トランプが始めたものではない。彼が敗北しても、それで終わることもない。40年前の1980114日、今では遠い過去であるが、現在の世界を創る触媒が広がった。

レーガンの起こした反乱は上院で12議席を奪い、1952年以来、共和党に初めて主導権を与えた。私は穏健な共和党員だったが、最悪だと思った。トリクルダウン経済学も、「ブードゥー経済学」も私には信じられなかった。しかし、それだけではない。レーガンが広めたアイデアが問題だった。「政府は解決ではない、政府が問題である」というものだ。

良い統治を求めても不可能だ。生活を改善するすべての希望は、企業に利益をもたらすこと、企業を愛することだ、という。それはバカげていたし、今もそうだ。

多くの共和党員が愛国心を語り、国旗を愛する。しかし、愛国心とは、統治を憎み、すべての条約をエクソン・モービルの視点に委ねることなのか? 共和党員は、この何年もオバマケアを憎み、廃棄することに費やした。法を守るという宣誓に反して。マスクをつけることも人びとは拒んだ。自由への抑圧だ、と。

ドナルド・トランプはパンデミック対策に失敗して非難される。しかし、ロナルド・レーガンは自国の統治への憎しみを奨励し、共通の善のための自己犠牲を独裁とみなした。ジョー・バイデンは、この核心的な信念を変えなければ、政府こそが自由への侵害だ、と反対される。

NYT Nov. 11, 2020

What Is Trump Playing At?

By Thomas B. Edsall

NYT Nov. 11, 2020

Trump Still Has 70 Days to Wreak Havoc Around the World

By Robert Malley and Philip H. Gordon


 民主主義国のネットワーク

The Observer, Sat 7 Nov 2020

What will President Biden's United States look like to the rest of the world?

Timothy Garton Ash

アメリカのバイデン大統領に世界が望むものは何か? 私の答えは、覇権後の秩序として、民主主義諸国によるネットワークである。

アメリカが指導的大国になることではない。アメリカの衰退と、他国の興隆で、超大国の時代は終わった。内政において手を縛られるだろうが、幸い、外交には多くの自由がある。バイデンは外交チームで経験を重ねてきた。最大の脅威は、3つのCである。COVID-19、気候変動、そして、中国だ。

NATOは今も、ロシアの攻撃に関するヨーロッパ安全保障にとって欠かせない。しかし、新しい質のパートナーシップ関係が求められる。防衛予算のGDP2%という旧い論争を続けるより、ドイツの戦略家Wolfgang Ischingerが示唆したように、3つのD3%を目標にする方がよい。それは、防衛、外交、開発だ。EUは近隣地域(地中海、中東、北アフリカ、そしてベラルーシ、ウクライナ、ロシア)におけるより大きな負担を引き受けるだろう。

アメリカは他の民主主義諸国と協力する。それはネットワークであり、だれがメンバーか、論争する必要はない。そして、非リベラルな諸国や、中国とも、問題によっては積極的に協力する。競争と協力の2経路が必要だ。アメリカの軍事力だけで、台湾の民主主義を習近平から守ることは難しい。

世界の民主主義諸国は、ホワイトハウスの新しい友人、バイデンとの協力関係を待っている。

FT November 8, 2020

What does a Biden presidency mean for the world?

Katrina Manson and Aime Williams in Washington and Michael Peel in Brussels

FT November 9, 2020

Populists worldwide have lost their leader

Gideon Rachman

PS Nov 9, 2020

International Institutions Still Matter to the US

JOSEPH S. NYE, JR.

FP NOVEMBER 9, 2020

How Biden Could Cause a Headache for South Korea’s President

BY MORTEN SOENDERGAARD LARSEN

PS Nov 9, 2020

The Transatlantic Reunification Agenda

SIGMAR GABRIEL, JOHN B. EMERSON

PS Nov 10, 2020

Joseph S. Nye, Jr.

Says More…

PS Nov 10, 2020

America’s Alliances After Trump

KENT HARRINGTON

FT November 11, 2020

Biden is likely to rethink much of Trump’s Middle East policy

David Gardner

NYT Nov. 11, 2020

Great-Power Politics Is Back

By Thomas de Waal

FP NOVEMBER 11, 2020

Taiwan Is Beating Political Disinformation. The West Can Too.

BY WALTER KERR, MACON PHILLIPS

FP NOVEMBER 11, 2020

Putin Expects a Long Confrontation With America Under Biden

BY ALEXANDER GABUEV

PS Nov 12, 2020

How Europe Can Work with Biden

KEMAL DERVIŞ, SEBASTIÁN STRAUSS

ヨーロッパはバイデン政権と何を、どのように、協力できるか?

PS Nov 12, 2020

Building Back a Better Transatlantic Alliance

MARK LEONARD

PS Nov 12, 2020

Back to Liberal American Hegemony

JOSEF JOFFE

FP NOVEMBER 12, 2020

Why China Isn’t Congratulating Biden

BY EYCK FREYMANN


 フランスの政教分離

FT November 7, 2020

French battle against Islamist ‘separatism’ is at odds with commitment to liberty

Olivier Roy


 Amazonと競争する

FT November 7, 2020

A literary antidote to Amazon’s remorseless rise

Henry Mance

避けたい状況はいくつもある。例えば、ドナルド・トランプと選挙を戦いたくない。しかし、もっと避けたいのは、Amazonと競争することだ。書店の多くは潰れた。

しかしBookshop.orgは、町の書店を応援するサイトで、Amazonと競争する。それは多くのしないことを明示している。eブックでAmazonと競争しない。ネットワークや配達網もない。価格は少し高い。しかし、社会的良心に訴える。

書店があった方がよい。


 香港返還から国家安全法へ

NYT Nov. 9, 2020

Xi Jinping’s Strength is China’s Weakness

By Richard McGregor

FT November 10, 2020

China economy: will hot property market threaten post-pandemic rebound?

Thomas Hale in Hong Kong and Sun Yu in Shanghai

FT November 11, 2020

China’s ‘recolonisation’ of Hong Kong could soon be complete

Jamil Anderlini

199771日に、イギリスのチャールズ皇太子は香港の港から航海した。植民地化について何と言われようとも、香港はその成功例だ、と述べた。

イギリス帝国はもっと早く滅亡していたが、多くの点で、香港の脱植民地化が完成したのは2020年の71日であった。このとき北京が一方的に香港に「国家安全法」を導入し、いかなる反政府行動も違法にしたからだ。

この法律の直接の目的は、1989年の天安門事件以来、最も大規模な反政府抗議デモが続いた香港で、これを粉砕することだった。

チャールズ皇太子のイギリスに対する評価は、どれほど時代錯誤を含んでいたとしても、正しかった。香港、そして、中国の台頭に、イギリスの支配は、清潔な行政、法の支配、言論の自由、という足場を提供したのだ。

過去18カ月の行動を観ると、中国の指導部が言論の自由を抗議活動の原因として責めていることは明らかだ。中国の習近平主席は、「激しい悪意に満ちた」、「西側の」リベラリズムや民主主義という思想と、中国はイデオロギー闘争に入った、と確信している。

毛沢東の共産党は、世界に革命を輸出しようとした。現在の共産党は、世界を自分たちのテクノ・ナショナリスト的な、権威主義体制にとって、安全な場所に変えたいだけである。

しかし、この法律には領域の定めがない。地球上のどこでも、彼らは「犯罪」を問うだろう。中国大使はイギリス政府に、「違反者を速やかに裁判にかけよ」と要求した。

チャールズ皇太子が香港港を出てから25年を経て、中国の法的支配はイギリス本土にまでおよんだ。


 ボリス・ジョンソン

The Guardian, Mon 9 Nov 2020

Boris Johnson has to stop playing games and agree a deal with Europe

Simon Jenkins

The Guardian, Wed 11 Nov 2020

The Covid-19 blunders drive home a harsh truth: the state has failed us

Larry Elliott

The Guardian, Wed 11 Nov 2020

The Guardian view on Covid and the north-south divide: inequality kills

Editorial

FT November 12, 2020

The ‘special relationship’ has run out of time

Philip Stephens

ジョンソン首相はアメリカとの自由貿易協定を渇望しているが、バイデン大統領は北アイルランドに関するブリュッセルとの合意を欠くようなジョンソンと合意する気はない。

バイデンは、ロンドンよりも、ベルリンやパリとの大西洋関係を重視するだろう。ブレグジットのイギリスは、ゆるやかに、無意味な存在になっている。

FT November 13, 2020

Time for the UK to put its big-boy pants on

Robert Shrimsley


 トルコ

FT November 10, 2020

Turkey needs a profound change in economic policy

FT November 12, 2020

Time for Turkey to send a positive signal with rates

Robin Brooks


 ドルと為替市場の不気味な安定性

PS Nov 10, 2020

The Calm Before the Exchange-Rate Storm?

KENNETH ROGOFF

パンデミックの中で、金、ビットコイン、他にもドルに代わる資産がある。ドル価値が急落する、と予告する者もいた。しかし、今のところ、ドルの価値は非常に安定している。

アメリカのパンデミック対策は失敗し、経済崩壊に対する支援で財政が大幅な赤字を出している。連銀のパウエル議長は「多くの禁止ライン」を超えて金融緩和を実施した。ドルのコア・レートがこれほど平静であるのは気味が悪い。

こうした安定性は驚きだ。通常、アメリカが不況のとき、為替レートの浮動性が顕著に増大するからだ。それは、パンデミックのもたらす主要なマクロ経済的謎である。

もっとも納得できる理由としては、伝統的な金融政策がマヒ状態にあることだ。主要な中央銀行の金利が、すべて、実質ゼロである。たとえ成長が回復するシナリオでも、この状態は数年も続くと予想されている。

しかし、現在のような停滞が永久に続くことはないだろう。相対的なインフレ率をコントロールしたとき、ドルの実質価値は10年ほども上昇してきた。ある点で、それは平均に戻るだろう。アメリカが選挙後の混乱でパンデミックの医療サービスやマクロ経済政策を示せない場合、その逆転が起きるかもしれない。グローバルな市場で保有されているアメリカの政府債券や社債のシェアが増えており、長期的な脆弱性になる。

単純に言えば、世界市場におけるUS債務のシェア増大と、グローバル経済に占めるUS経済の規模のさらなるシェア縮小との間には、根本的な矛盾がある。これは、1960年代前半にイエール大学のロバート・トリフィンが指摘し、その10年後、固定レートのブレトンウッズ体制が崩壊に至ったことと重なるものだ。

短期、中期においては、さらなるCOVID-19の波が金融市場を圧迫し、安全資産への逃避が起きるから、ドル価値は上昇するかもしれない。2030年でも、ドル紙幣は王様でありうる。しかし、われわれが経験しつつある経済的なトラウマは、痛みをもたらす転換点であった、と分かるときが来る。

VOX 10 November 2020

Exchange rate regimes in emerging countries: A historical monetarist perspective

Sebastian Edwards

1953年に出た、ミルトン・フリードマンの変動為替レートを支持する論文“The case for flexible exchange rates”は有名だ。しかし、それは経済発展した諸国に関するものだ。新興諸国、発展途上国に関しては、彼は別の考えを持っていた。

1955年、インドを訪問して、ネルー政権に助言した。恣意的な為替の割り当てや配分をやめて、まず、大幅な不均衡をもたらすインフレやデフレを是正する。そして、変動レートを採用する。政治的理由でそれができないなら、オークションで外国為替を落札させる。

1970年代の初め、the Horowitz Lecturesで、フリードマンは新興市場に関する考えを変えた。変動レート制より、カレンシー・ボード(彼はa ‘unified currency’ regimeという)を優先した。それは、貧しい国が通貨の価値を先進国の通貨価値に不可逆的に固定する体制である。

香港がその成功例だ。ポンド・スターリングに固定し、通貨の発行には、それを一定割合で保有した。また、ブレトンウッズの調整可能な固定レートを批判し、ブラジルの「クローリング・ペッグ」をその改善策として支持した。

1970年代、80年代に、多くの国が急激なインフレに苦しみ、為替レートの固定をその管理方法に使った。とくに有名な例は、チリとイスラエルだ。幸・不幸があったけれど、チリはインフレを抑えられないまま、硬直的な為替レートを、永久的に固定し、失敗した。イスラエルは、固定する前に切り下げて余裕を持ち、しかも、一時的な固定によってインフレの鎮静化を図った。

カレンシー・ボードを採用したチリは経済危機に陥り、その記憶が新興諸国のカレンシー・ボード採用に悪い影響を与えた。


 エチオピア

NYT Nov. 11, 2020

What’s Happening in Ethiopia Is a Tragedy

By Tsedale Lemma

FT November 12, 2020

The curse of the premature Nobel Peace Prize

David Pilling


 ナイジェリア

PS Nov 11, 2020

A Tech Role Model for Nigeria

ELO UMEH


 イタリア

PS Nov 11, 2020

How Italy Can Green “La Bella Vita”

ENRICO GIOVANNINI


 労働組合

VOX 11 November 2020

Unions raise worker wellbeing

Richard Freeman, David Blanchflower, Alex Bryson


 軍事革命

FP NOVEMBER 11, 2020

The United States Can’t Sleepwalk Into the Coming Military Revolutions

BY ZACHERY TYSON BROWN


 ロックダウン・ライトより閉鎖補助金

VOX 12 November 2020

Dealing with the second wave: Subsidise, instead of ordering closures

Daniel Gros

2020年秋、ヨーロッパの多くの政府が「ロックダウン・ライト」を実施しつつある。レストラン、バー、ショップなど、必要不可欠ではないものを制限する。

閉店の強制は激しい抵抗を引き起こした。それは多くの個人商店やレストラン所有者の生活を脅かすからだ。彼らはすでにe-コマースとの競争で苦しんでいる。たとえライトでも、2度目のロックダウンは閉店に危機になる。

政府は失った所得に支援や補償を行った。しかし、補償は遅く、不十分であるし、効果的に的を絞ることができない。

補償ではなく、課税と補助金で対応できるなら、その方がよい。具体的には、特定の業態に、長期の閉鎖を促すことだ。なぜなら、冬季に感染を抑えるためには、その方がよいからだ。面積当たりの顧客密度を基準に、店内での食事やショッピングに対して、政府は数か月間の閉鎖に対する補助金を支給する。持ち帰りやネット販売は自由である。

社会的利益と個人の利益が一致しないことは、気候変動でも議論された。そして、炭素排出に対するピグー税が、汚染活動を規制するよりも、効率的に排出抑制を達成する、と認められた。しかし、パンデミックに関しては明確ではない。

コースに従えば、取引コストを無視できるなら、この差をなくす解決策は、財産権の配分から独立である。パンデミックでも、政府が取引コストを低くして、店の所有権が個人なのか、社会なのかとは、関係ないようにするべきだ。しかし実際は、個人に閉店するかどうかの決定を委ね、レストランへの課税よりも、閉店する個人オーナーに政府が補助金を支払う。

限界にある零細商店・レストランにとって、閉鎖への補助金は財政コストが小さい。こうした補助金支給は、業態や業種による開店規制の恣意的な混乱を回避できる。また、限界的な商店に、最新技術を採用するか、閉店するか、という選択を促す。

GDPや雇用に与える影響により、閉店命令は抵抗を生むだろう。しかし、感染拡大が冬季に加速することが予想されるから、すぐに対策を採るべきだ。

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The Economist October 24th 2020

Who controls the conversation?

Brexit: Seal the deal

Illegal fishing: Monsters of the deep

Trade: Tariff man

Chile: In need of a new edifice

Swedish defence: Less neutral, more beefy

Lael Brainard: Top contender

(コメント) ヨーロッパにおけるコロナウイルス感染の再拡大は続いています。しかし、アメリカ大統領選挙直前の週に、冒頭を飾ったのはSNSの規制でした。どのように嘘やデマ、政治的妄言と非難中傷、憎悪、攻撃、陰謀論などを抑制するのか? このような汚れた水の中で、民主主義や選挙は生きることができるのか?

おそらく同じことが、海洋資源の乱獲にも見られます。

チリの新憲法制定、スウェーデンの防衛予算大幅増額、アメリカの財務長官候補Lael Brainardについて記事を読むなら、きっとさまざまな想像力を刺激されるでしょう。民主主義は多くの土地で危機の中にあり、その中から、次の姿に変態する機会を模索しているのだな、と。

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IPEの想像力 11/16/20

「うわさの保護者会」(NHK教育)を観ました。尾木ママの話す、匿名参加者のトーク番組です。

仕事が減り、あるいは、職を失った親たちは悩みます。子どもたちが学校へ行くにも、その前に、家賃、食費や光熱費を支払わねばなりません。貯蓄は減っていくばかりです。

学校で進路相談の後、子どもが進学をあきらめることに同意した姿を、親は観ています。本当は専門学校でギターを習いたかったことを知っているけれど、家計を助けるために仕事を探すと答えてくれた子どもに、感謝するしかありません。

吹奏楽部の全国大会やクラブ活動がなくなって、勉強にも身が入らなくなった、と娘ががっかりするのを、母親はだまって聞いています。娘がとても熱心に取り組んでいたことを知っているからです。リモートの授業にも身が入らず、成績が下がって、志望校を変えた、と言います。

3人の子供がいる両親は、父親の仕事、母親のパート、子供のバイトもすべて減って、収入が大きく減りました。予想もしなかったことだ、と父親は苦悩します。子供たちの受験料、入学金、授業料を払えるだろうか、心配します。2人の娘の受験が重なるから、と。受験勉強に、他の子供が通う塾や予備校には行けない。自分の子どもには余裕がないとわかってもらう、と言います。

番組には、何の答えも、解決策もありません。そうでしょう。

尾木ママやゲストの2人は、子供たちの思いや、親としての苦悩を理解し、励まそうとします。食事をしっかり取らないと勉強に集中できず、記憶力も劣るようになるから、と貧しい若い時代を芸人は回想します。

政府はもっと子供たちに支援を与えるべきだ。子供たちの教育を支えることは、国にとって重要な投資なのだから。

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コロナウイルスの第3波がせまっても、アメリカ大統領選挙で深刻な不安が残っても、株価は上昇し続けています。

かつてないような質的量的金融緩和に費やされる莫大な資金は、本当に、その価値にふさわしいものなのか?

Go to TrabelGo to Eatによって支出される政府の財源は、もっとほかの仕方でも支出できるはずである。誰の負担で、何を支援したのか、明確な意図と効果を、政府は国民に対して説明する必要があるでしょう。

女性の雇用が、特に大きな影響を受けている。家賃を補助する「住居確保給付金」によって何とか住む場所を維持できている人たちが、12月に終わる。ホームレスの急増につながるかもしれない。(清川卓史「記者解説:コロナ 広がる生活危機」朝日新聞1116日)

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どのような構造変化を、政府は支持しているのか? 菅政権は何も説明しない。どのような社会を望むのか、と国民に尋ねもしない。

コロナウイルスに対抗する持続可能な経済があるとしたら、それは、おそらく共通のインフラを備えている。PCR検査体制、追跡、隔離、医療サービス、そして、経済的保障、ベーシック・インカム、公的教育と雇用機会の保障。

感染の無い土地で、自律的な経済圏を築くことに、日銀と政府が、地方政府・銀行を介して財源を与えるほうが良い。そういう時期が来たと思います。巨大都市のロックダウンではなく、外国人観光客を期待して膨張した航空機産業やホテル・旅館の維持、金融機関や株式市場への途方もない資金投入でもない。

長い目で見れば、高齢化とデジタル化。この2つの波を経験する世界の中で、優れた政府は、国民に議論を促し、新しい経済に向けて参加するように説得するでしょう。

各地に分散したハイテク都市や開発区は、小規模で、周囲の農村と結びついている。自律的な経済単位は、早期の、迅速なロックダウンと、他の経済圏との協力関係により、パンデミックを受け止めるだろう。

都市を脱して参加する食堂や中小企業、学生や労働者の採用と人事は、極めて公平・公正で、その基準をしっかり説明する。地域の代表や就労希望者の発言を大切にする。

子どもと一緒に、移住するか! そういうお父さんやお母さんと、子供たちに、日本の未来は支えられている。能力の高い女性やシングル・マザー、希望を失っている学生、学びながら働くため日本に来た外国人、不安定・不確実な雇用を必死につないで生きてきた、非正規で十分に評価されない、しかし労働意欲の高い人たちが、積極的に雇用され、移住してくれば、開発区の成長を通じて日本全体の活気を取り戻す。

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