IPEの果樹園2020
今週のReview
7/27-8/1
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パンデミック危機 ・・・トランプ政権 ・・・中国経済の不安 ・・・世界の難民 ・・・「アメリカの世紀」が終わった ・・・ボリス・ジョンソンの綱渡り ・・・スマートなポピュリスト ・・・米・欧・中の3軸 ・・・新しい金融抑圧の時代 ・・・新しい職場を創る ・・・復興基金とユーロ再生
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● パンデミック危機
FT July 15, 2020
Covid has exposed society’s dysfunctions
Martin Wolf
私たちは多重危機の時代を生きている。COV-19、経済的失望、民主的正統性、グローバル・コモンズ、国際関係、グローバル・ガバナンス。これらをどうやって解決するか、私たちにはわからない。それは、ある意味で、改革のための思想がないからだ。だが、さらに重要なのは、政治が変革を実現できないからである。
企業の過剰債務と税回避、西側諸国における若者の不満、COV-19の犠牲になる低賃金労働者に、新しい社会契約を提唱しよう。さらに、長期的視点で、中産階級の衰退と民主主義の信頼喪失に対処するべきだろう。
1944年、ウィーンで出版された影響力のある本があった。著者はともに亡命者だ。1つは、社会主義に反対したF. ハイエクの『隷属への道』。もう1つは、19世紀の自由市場がもたらす不可避の結果を描くK. ポランニーの『大転換』だ。私たちはポランニーを参考にして、市場を抑圧するのではなく、その寒風を和らげるべきだろう。
UKでは、当時、2人の偉大な思想家がこれを理解した。マクロ経済の安定化を主張したJ.M. ケインズと、福祉国家のプランを示したW. ベヴァリッジだ。私たちも、経済的安全に焦点をあてて論争し、市民という概念を再生するべきだ。
ケインズは、そのグローバルな意味を理解していた。1944年、ブレトンウッズ会議で、世界経済を管理し、経済発展を促す仕組みを導入した。戦争によって分裂した世界には、国連や欧州石炭鉄鋼共同体が必要だった。今もまた、所得再分配、社会保障、富裕税、企業のガバナンス改革、市場の競争促進が必要だ。そして、温暖化やCOV-19の解決はグローバルな協力を求めている。
しかし今、世界政治のもっとも顕著な趨勢は権威主義的ナショナリストの復活である。指導者たちは複雑な政策に関心を示さず、支持者に闘技場での血に汚れた争いを見せる。ブレグジットの論争はその典型だ。左派政治家も、政策ではなくアイデンティティーに依拠している。そのような政治は合意を生み出さない。
しかし、希望を失うべきではない。正気の、有効な政治によって動く民主主義国がある。ラディカルな、しかし意味のある、改革派の連合が誕生し、国内政策やグローバルな政治を改善できるかもしれない。COV-19危機はその触媒だ。変化をもたらすのは、常に、政治である。
FT July 16, 2020
The US is having a bank-shaped recovery
Gillian Tett
PS Jul 16, 2020
A Just Post-Pandemic Transition
NAÏM ABOU-JAOUDÉ, NICK ROBINS
COV-19のパンデミックによる経済破壊は世界中の脆弱な地位にある労働者を苦しめている。
もし現在の危機を超えて、経済をより強固な基礎に再建したいなら、2015年のパリ協定が示した目標が重要である。しかし、それを実現するのは「公正な移行」でなければならない。
脱化石燃料、再生可能エネルギーに向けた様々なプロジェクトが採用される条件は、消滅する旧雇用と創造される新雇用とのバランスを取り、労働者たちの移行を保証するものである。政府、企業、労働組合の協力する真に統合的アプローチが必要だ。
VOX 17 July 2020
Five lessons from tracking the global pandemic economy
Long Chen, Michael Spence
NYT July 19, 2020
Which Country Will Triumph in the Post-Pandemic World?
By Ruchir Sharma
西側の経済大国で、コロナウイルスの感染は遅れて始まった。政府はウイルスの深刻さを否定したり、遅らせたりすることなく、迅速に行動した。検査、追跡で、感染者の増加を早期に抑え、死者数は非常に少ない。感染を抑えるために、短期の、絞り込んだロックダウンを行ったが、失業者はそれほど増えなかった。国民の支持率は40%から70%に高まっている。
それは、ドナルド・トランプ大統領のアメリカとは対照的な姿を示す、メルケル首相のドイツである。
ドイツの州政府は協力体制を取り、EU諸国にも復興基金設立で合意した。パンデミックで世界はグローバリゼーションから離れ、内向的な転換を強め、債務依存が増している。この点で、亜米利加も中国もパンデミックへの対応は失敗している。
パンデミックから回復する、最も優れた国となるのは、ドイツであろう。効果的な統治、抑制された債務、優れた産業力があるからだ。景気回復のための支出では、デジタル技術に適した企業を一斉に強化するだろう。デジタル化し、脱グローバル化した、債務の水準が急速に高まる世界で、ドイツが勝者になる。
FT July 21, 2020
The worst of Covid-19 may still be to come
Jeremy Farrar
PS Jul 21, 2020
New Models for a New World
BERTRAND BADRÉ, RONALD COHEN, BRUNO ROCHE
FT July 22, 2020
The urgent need for a new US relief package
PS Jul 22, 2020
East Asia’s New Edge
KISHORE MAHBUBANI
死者は嘘をつかない。
100万人当たりの死者数が、日本7.8 人、South Korea (5.8), Singapore (4.6), China (3.2), 最も目立った成果は、ベトナムの死者なし。対称的に、ベルギーは846に達しており、the United Kingdom 669, Spain (608), Italy (580), and the United States (429)である。
その違いは、西側世界が「歴史の終わり」や自分たちのモデルを絶対視したのに比べて、東アジア世界は政府の諸機関を強化し続けたことだ。公的インフラに対して不断に巨額の投資を続ける姿勢は、アメリカのレーガン大統領が、政府を「解決策」ではなく「問題」の源として攻撃したことと対称的だ。
中国の台頭はアジア諸国に大きな脅威と刺激を与えている。東アジアの回復は、悲観論が支配する世界に向けた希望の光になるだろう。
The Guardian, Thu 23 Jul 2020
Bias in ‘the science’ on coronavirus? Britain has been here before
Sonia Sodha
FT July 23, 2020
The path from Covid-19 to a new social contract
Philip Stephens
パンデミックは、2008年の金融危機の後、ポピュリストたちによって動揺していた富裕諸国の民主主義に、有利なカードを配るかもしれない。矛盾するようだが、パンデミックがリベラルな民主主義を再建する政治指導者たちに、1つの道を示すだろう。
● トランプ政権
FT July 16, 2020
Ivanka Trump’s ‘let them eat cake’ economics
Edward Luce
大統領の娘、イヴァンカ・トランプが、アメリカの全国製造業協会で講演した。今年の栄えあるアレクサンダー・ハミルトン章を授与されたからだ。
アメリカの、ファースト・レディーではなく、ファースト・ドーターを自称するが、3000万人のアメリカの失業者に対して彼女が示す「新しい何か」とは、「違う仕事を見つけなさい」であった。
ドナルド・トランプが「忘れられたアメリカ人」の地位向上に尽くすと約束して4年経つが、これがその娘のやり方だ。経済学に対する誤解に与える賞があるなら、トランプ嬢に与えるべきだ。失業していることを責める話など誰も聞きたくない。
4月に20500万人の雇用が失われたアメリカにおいて、その理由は、失業した者が突如としてスキルをなしたのではなく、ロックダウンがあったことだ。マリー・アントワネットでも、これほど愚かな助言を与えることは難しい。
トランプ嬢の目立った存在は、この政権の性格を示すだけでなく、アメリカの富裕層が家族の資産を受け継ぐことで高い地位を得ていることも示すものだ。ちなみに、トランプ大統領が教会の前でバイブルを持つ写真撮影のアイデアを出したのも、彼女であった。そのイメージは、トランプ大統領の最も顕著なディストピアを表す瞬間となった。
トランプ嬢と兄のドナルドJr. は、父親が140万ドルの寄付を約束して、ペンシルヴァニア大学に入学した。ともに父親のレガシー・スチューデント(卒業者の子弟を優遇する入学枠)である。娘婿のクシュナーは、その父親がハーヴァード大学に250万ドルを寄付した後、入学した。ハーヴァードの在校生の43%は、レガシー・スチューデント、あるいは、寄付者・スタッフの子弟、スポーツ選手枠である。
世襲されるメリトクラシーは、アメリカの保守にもリベラルにも蔓延している。
トランプ嬢は人びとに「パンデミックでは、まったく新しいスキルを学ぶ必要があります」と述べた。彼女の父親の選挙は4カ月先に迫っている。無意識のうちに、自分のことも考えたのか。大学卒業後は、すべて、父親の関係で仕事をしてきた。クシュナーもそうだ。
11月に父親が失職すれば、彼女もそうなる。
NYT July 20, 2020
Trump’s Occupation of American Cities Has Begun
By Michelle Goldberg
FP JULY 21, 2020
Why Fascists Fail
BY MICHAEL HIRSH
NYT July 22, 2020
‘The Whole of Liberal Democracy Is in Grave Danger at This Moment’
By Thomas B. Edsall
保守派は変化や革新性を嫌う。しかし、権威主義者は多様性や複雑さを嫌う。この2つを区別することは重要だ。
7月20日、トランプは、反政府派を鎮圧するために武装兵を派遣するぞ、と脅した。New York, Chicago, Philadelphia, Detroit, Baltimore and Oaklandへ送る。注意してみることだ。これらの市長はすべて「リベラルな民主党員」である、と。
NYT July 21, 2020
Trump’s Wag-the-Dog War
By Thomas L. Friedman
FT July 23, 2020
Donald Trump’s little green men
Edward Luce
ウラジミール・プーチンの「わずかな緑の兵士たち」は、ロシアによるハイブリッド戦争の手段である。だれでも命令したものを知っているが、それはもっともらしく否定された。
オレゴン州のポートランドは、クリミアでも、ウクライナ東部でもない。しかしドナルド・トランプは、アメリカで同じことをしている。
トランプは成功するか?
● 中国経済の不安
FT July 16, 2020
Behind the recovery, China’s economy is wobbling
Jamil Anderlini
中国が木曜日に第2四半期の成長率を3.2%と発表した。今年の最初の3カ月は、1970年代半ばに文化大革命が終わって以来、初めての経済縮小であった。そこから力強い回復を示したのだ。
しかし、問題がある。この回復は介入主義国家の超人的な努力によって実現した。それは2008年の金融危機後に取られたものと同じ手段である。国有企業の投資は、今年の前半に2.1%の増加、民間部門の投資は7.3%の減少であった。
すでにコロナウイルス危機の前に、中国経済は過剰投資に苦しんでいた。特に、不動産部門だ。不良債務、非効率な国有企業、過少消費。それらの問題は悪化しただろう。専門家の推定では、長期の建設ブームで、少なくとも6500万のアパートが空室である。
中国にはおよそ13万の国有企業があり、非効率、汚職、浪費を重ねている。しかし、経済危機では、これらは欠かせない雇用をもたらし、中国共産党の支配に安定性をもたらす。指導者たちは、債務の膨張と国家による投資という、旧い戦略を復活させると決めたのだ。
かつて中国経済は自転車にたとえられた。一定のスピードを出さないと点灯する。今や、その自転車は多くの債務を抱え、乗り手は酔っ払い、アメリカのような競争する国が、倒してやろうとじゃましている。
FT July 20, 2020
China’s central bank has better stimulus options than the Fed
Ed Cole
PS Jul 20, 2020
China Has Blown Its Historic Opportunity
ARVIND SUBRAMANIAN
中国は世界に向けて、インフラ投資の開発銀行、流動性を供給する中央銀行、医療機器とサービスを供給するハードとソフトのパワーを発揮できたはずだ。
しかし中国の習近平は、開明的な姿勢ではなく、侵略の犠牲者として自分たちを観ており、中国の歴史的な正義を、国境を越えて実行する姿勢を示した。
● 民主主義を学ぶ
FT July 16, 2020
It’s time the US learnt how modern democracy works
Simon Kuper
1946年、アメリカ人の一団が占領した東京の広間に集まり、日本国憲法の草案を書いた。ウィーンで生まれ、日本で育った、22歳のBeate Sirotaは、監督者に言われた。「君は女性だから、憲法の女性の権利に関するセクションを書きなさい。」
2000年に、日本の議会委員会で、憲法を変えるべきか、と聞かれて、彼女は日本語で答えた。「日本国憲法はアメリカのものより良いのだから。」
歴史家のジョン・ダワーは、日本の変身について書いた。「歴史には、つかの間だが、機会に満ちた瞬間がある。人びとが座って、問いかける。『良い社会とは何か。どうすれば実現できるのか。』」
アメリカにとって、今がそうだ。アメリカ人は憲法に関して、あまりにも意見が分裂している。今度は、アメリカの同盟諸国が手伝う番だろう。
NYT July 16, 2020
President Biden’s First Day
By David Brooks
FP JULY 22, 2020
Biden Wants to Fix America. He Helped Break It.
BY ROBERT DRAPER
● 民主主義とパンデミック
PS Jul 17, 2020
America’s Compromised State
ANGUS DEATON
FT July 18, 2020
US coronavirus surge: ‘It’s a failure of national leadership’
David Crow and Hannah Kuchler in New York
FT July 19, 2020
US Covid-19 surge could trigger a double-dip recession
Gavyn Davies
NYT July 20, 2020
Elizabeth Warren: To Fight the Pandemic, Here’s My Must-Do List
By Elizabeth Warren
コロナウイルスの感染を抑えるために、アメリカ人は自宅のとどまり、数か月を犠牲にした。しかし、その時間をトランプ大統領は、自宅待機や感染予防の全国的なガイドラインを示さず、無駄にした。今や、議会が行動しなければならない。
ウイルス対策と経済とを対立して議論する者たちは間違っている。ウイルスを抑えることなしに経済を回復することはできない。4つの点で明確な法的措置を取るべきだ。ウイルス対策。学校、介護、ビジネス、地方政府への財源配分。非白人コミュニティーの負担緩和。家族への確実な現金支給。
ビジネスの再開を強いて、人びとが感染したり、死んだりした場合、ビジネスが負債を免れるというのではなく、労働者たちの安全を確保するように、基準を満たせるよう支援するべきだ。
PS Jul 23, 2020
The Open Secret to Reopening the Economy
ANNE O. KRUEGER
● フアウェー
FT July 17, 2020
Europe faces a fateful choice on Huawei
Constanze Stelzenmüller
● 世界の難民
FT July 17, 2020
Will this be the century of the immigrant?
Janan Ganesh
FT July 20, 2020
Europe shows a Janus face to migrants
Jacqueline Bhabha
世界のどこかで、毎秒、3人の難民が増えている。しかし、それはどこか遠いところであり、このショッキングな数字に多くの人は驚かない。たとえば、シリアやアフガニスタンから多数の移民がEUの国境を越えてくることはない。かつてそうだったが。
しかし、今もヨーロッパには難民危機がある。それは、統合化、ケア、社会的包摂における危機だ。その震源地はギリシャである。EUの中でも最高の失業率、最悪の経済状態、最大の新たな難民到着数である。EU全体の人道支援計画があるべきだが、それがない。
しかもEUの政策が難民に対して強硬姿勢に転じた。彼らはどこに行くと考えているのか? 退去を強いられた難民たちは自活しなければならないが、仕事も支援もない。多くがホームレスになるだろう。アテネ中心部にキャンプしている。
住民たちとの関係は悪化してきた。難民を攻撃するレトリックが増えている。パンデミックの中で、自律も包摂も不可能だ。
2015年、ドイツはこれを実行した。約100万人の難民に、言語と職業訓練のプログラムを設けたのだ。1年以内に、子供たちの95%は学校へ入り、難民の75%は少なくとも1つの言語を学び、3分の1がフルタイムの雇用に就いた。
今、ギリシャにもEUにも、同じことを行う財源や政治的意志がない。ドイツの国境は今では閉じられている。対称的に、ギリシャはトルコ経由の移民が増えている。トルコのエルドアン首相は、シリアをめぐる地政学的な交渉のカードとして難民を利用する。
ギリシャだけで、この問題に対応することはできない。しかし裕福なEU諸国は公平な分担を拒み、2015年の難民割り当てプログラムを破棄した。難民たちの立ち退き、極貧、絶望に同情することが減って、排外主義が増している。ヨーロッパの人々がこの危機を自分たちのこととして理解するのはいつか。
● 富裕税
FT July 17, 2020
CGT is a ‘stealth wealth tax’
Merryn Somerset Webb
FT July 23, 2020
Time to end handouts for heirs
Simon Kuper
● 南米の貧困
PS Jul 17, 2020
What’s the Matter with South America?
EDMUND S. PHELPS, JUAN VICENTE SOLA
南米大陸の諸国は、社会・経済パフォーマンスで他の世界の諸国に劣っている。これはガバナンスの失敗を示している。
個人の成功や革新の追求に対して有害な価値観が存在し、それらがコーポラティズムを生んだ。それは社会の調和や国民統合を理由に、政治や経済の競争を妨げる。イギリス、北米、ドイツ、フランス、スウェーデンでは19世紀半ばから20世紀に現れた、大量の、草の根的な革新を刺激する価値観がなく、緩やかな伝統主義に従っている。
● 「アメリカの世紀」が終わった
FP JULY 17, 2020
Countries Should Mind Their Own Business
BY STEPHEN M. WALT
FP JULY 17, 2020
What American Century?
BY JEREMI SURI
「アメリカの世紀」が終わったことを嘆くにせよ、祝うにせよ、問題になるのは、それが何か、ということだ。第2次世界大戦後の経済的、軍事的な支配力にもかかわらず、アメリカはすぐにソ連の挑戦を受け、その後、中国やその他の国も挑戦した。
日本が降伏してから、わずか5年後に、アメリカ兵は戦争において3万3000人も死んだ。1950年からの朝鮮戦争だ。冷戦時代に、アメリカの軍事的支配力が、指導者や国民の思うほど強かったことはない。
ワシントンの国際的指導力は、常に、制限された、不確実な、競合者のあるものだった。それが効果的であるのは、同盟諸国や旧敵国を含む協力関係を築いたときであった。戦争によってではなく、諸社会はアメリカと同盟することで、その貿易や消費を増やすことができた。
アメリカ以外に、これほどの協力を支援できる資源、ネットワーク、歴史をもつ国は存在しない。戦後の70年間を平和で繁栄する時代にした、協力を組織するアメリカの国際指導力を再生することこそが重要だ。
FP JULY 23, 2020
How to Ruin a Superpower
BY STEPHEN M. WALT
アメリカは、ソ連崩壊後に「唯一の超大国」となって、失敗を犯す最適な条件にあった。トランプ以前においても、アメリカは3つの仕方で失敗を深めた。リベラルな覇権体制を信奉し、公共の諸制度を荒廃させ、党派政治を絶対視して戦争状態にした。
そこにトランプが登場し、パンデミックが起きたのだ。
● ボリス・ジョンソンの綱渡り
FT July 18, 2020
If only Michael Gove heeded ‘Captain Foresight’ on Brexit
Henry Mance
The Guardian, Sun 19 Jul 2020
Now Britain stands at the crossroads. Will we choose dread or hope?
John Harris
FT July 21, 2020
Scotland may be the price of Boris Johnson’s place in history
Robert Shrimsley
ボリス・ジョンソンが歴史にその名を残すのはもはや確実だ。しかし、明らかになっていないのは、何をしたイギリス首相となるか、である。最初は、ブレグジットだと思われた。最近では、パンデミックの時期の首相となった。しかし今週、彼の任期の最初の1年を祝うにあたり、新しい不安が生まれた。彼はUK連邦を解体した首相となるかもしれない。
スコットランド独立の脅威がよみがえるかもしれない。SNP(スコットランド国民党)のスタージョン党首は、コロナウイルス対策で支持を高めた。
ジョンソンも問題を刺激した。2014年に行った独立を問う住民投票の失敗で、問題は1世代にわたり回避されたはずだった。しかし、ブレグジットで再燃した。スコットランドの多数はEU離脱に反対したのだ。その後、ジョンソンはメイ首相を倒したが、その理由は、メイが離脱よりもUKの維持を優先したことだった。2019年の選挙で、SNPの支持が回復した。
ジョンソンのチームはSNPに強硬な態度を示したが、それはスコットランド議会選挙でナショナリストの議席を増やすだろう。UKがジョンソンである限り、ナショナリストは2度目の住民投票を狙うだろう。UKの地方分権に関する憲法問題の担当大臣はブレグジット強硬派のM. ゴーブである。しかし、UKの政府間関係を扱う姿勢はあまりにも植民地的発想である。イングランド議会は、スコットランドやウェールズの首相を、国家の指導者ではなく、州知事のように扱っている。
分権化の構造を決めるには双方の信頼が欠けている。アメリカとの通商交渉も問題を刺激するだろう。スコットランドは食品安全基準の緩和に強く反対しているからだ。ジョンソンはUK連邦の利益を示すか、USとの合意を誇るか、選択するしかない。連邦制を支持する感情に訴える手段として、イングランド銀行(the Bank of England)を改名すること(the UK Central Bank)が話題になっている。
財源こそが最も強力な議論である。R. スナーク蔵相は予算案でスコットランドのコロナウイルス対策に財源を与えると強調した。連邦維持論者は、もっとUK連邦を維持する財政的メリットを示すよう求める。ジョンソンもまた、衰退地域における「振興投資案」をスコットランドにまで拡大することをめざすだろう。
独立への流れは変えられない。しかし、ジョンソンは資金を使って、SNPが多数を握ることを妨げたい。2度目の住民投票を拒むのは非常にジョンソン的である。たとえSNPがナショナリストの信念から(議会の認めない)違法投票を行っても、UKは制裁しない。それは分離派をかかえるEU諸国にも分断と離反を刺激する。しかし、そうやって燃え上がる怨嗟の文化こそ、ナショナリストたちが巧みに利用してきたものだ。
ジョンソンは、こうした綱渡りをして、政治家の魅力に訴える。ブレグジットがナショナリズムを鼓舞することを彼は知ったうえで、これを利用した。もしUK連邦制が壊れてスコットランドを失えば、それが彼の評価になる。
FT July 22, 2020
Brexit Britain is more welcoming than feared
Jemima Kelly
2016年のブレグジット投票の後、人種差別と外国人排斥がイギリス中に広がったように見えた。一夜にして、可法的な、寛容な国民が、内向きの場所、孤立した未来を運命にした国となった。
しかし、ボリス・ジョンソンが香港住民の300万人にイギリス国境を開放したことは、何か変化したのかもしれない。
● 経済学
NYT July 18, 2020
Republicans Keep Flunking Microbe Economics
By Paul Krugman
PS Jul 20, 2020
Economics and the Culture War
ROBERT SKIDELSKY
私はずっと経済学を、そのリアリズムの欠如について、批判してきた。人間行動に関する経済学のモデルは、良くてもマンガ、悪いときには現実のパロディである。不変的な法則を樹立すると試みるが、意図的に、歴史や文化を無視している。
● スマートなポピュリスト
FT July 19, 2020
The pandemic will strengthen smart populists
Jan-Werner Müller
リベラルな人びとの中には、COV-19が、複雑な政策対応の必要な危機において、ポピュリストたちは完ぺきな無能さをさらけ出す、と考える者がいる。USのトランプ、ブラジルのボルソナーロが大失敗したのだから、これでポピュリストのブームは終わった、と。
しかし、そのような楽観は事態を見誤っている。ポピュリストもいろいろだ。スマートなポピュリストたち、ハンガリーのオルバンや、インドのモディは、テレビのドタバタではなく、統治に関心があり、ポピュリスト戦略と過酷な強硬策とを組み合わせる。彼らはパンデミックを利用して自国をさらに権威主義的に改造する。
ポピュリストは、自分たちが、自分たちだけが「真の人民」を代表する、と主張する。それゆえ、すべての政治化は「腐敗」している。トランプは何でも政治の道具にするが、それを説明したり、擁護することはない。反対する者を攻撃するだけだ。「非アメリカ的だ」と。
非常に排他的なアイデンティティー政治である。エリートを攻撃しつつ、規制緩和し、パンデミックを口実に、ビジネス界の支持者たちを優遇する。それは富裕層のためのポピュリズムである。大衆の間には「文化戦争」を広め、ブラジルではアグリビジネス、アメリカでは石油・天然ガス産業が繁栄する。オルバンは外国企業の投資が必要なことを知っている。貿易部門には「法の支配」を約束し、国内企業は恥知らずなまでに独占体制が帝国を築く。
ポピュリストの約束は非合理的、大げさで、実行できない。それゆえ、権力を握ったポピュリストは自動的に崩壊する、と期待する者がいる。ポピュリストが政権を組織すれば、エリートを批判することもできないだろう、と。
しかし、ポピュリストが犠牲にできる敵は尽きることがないだろう。自分たちの政策が失敗すれば、「国際エリートの陰謀」を非難する。スマートなポピュリストたちは、パンデミックを経て、一層、強くなるかもしれない。
● 米・欧・中の3軸
FT July 19, 2020
Europe and US can still compete with Chinese tech
Rana Foroohar
ヨーロッパは、中国の監視国家に関する多くの懸念をアメリカと共有している。中国の示す、競争、プライヴァシー、リベラルな民主主義に対する危険な挑戦についてもそうだ。
しかしトランプ政権は、ヨーロッパと協力してデジタル・ビジネスのグローバルな新制度をめざすのではなく、敵にも同盟国にも関税を課した。その結果、世界は米・欧・中の3つを軸に分断されつつある。
米欧が対立することで利益を得るのは、第1に、ネットのハイテク大企業であり、第2に、中国だ。北京はすでに多くの新興市場を取り込み、一帯一路でもインフラ投資を進めている。
アメリカ大統領選挙でバイデンが勝利しても、米中のデカップリングは変わらないように見える。しかし、トランプと違い、アメリカは同盟諸国との協力を重視するはずだ。
FP JULY 22, 2020
The Time for America to Embrace Industrial Policy Has Arrived
BY JARED BERNSTEIN
● 新しい金融抑圧の時代
FT July 20, 2020
A flexible inflation target is not a panacea
Wolfgang Munchau
FT July 20, 2020
Negative interest rates cannot save indebted economies
Jacques de Larosière
COV-19のパンデミックがもたらす財政赤字に対して、超緩和的な金融政策を、あまりにも長く続けることが、債務超過状態をもたらす。
一部では、中央銀行が新規国債を購入し、債務の貨幣化を行うことや、マイナス金利が求められている。しかし、歴史が示すように、持続不可能な債務を処理する最も効果的な方法は、債務の組み換えである。
経済不況で、すでに低インフレとゼロ金利が広まっているが、中央銀行が金利をマイナスにすることはできない。さまざまな金利差をマイナスにして、インフレのない時代に、金融政策の効果を回復する考えだ。それには反対がある。第1に、流動性の罠だ。投資家はマイナス金利による「課税」を嫌って、銀行券のまま保有する。生産的な投資にならない。貨幣のデノミ(新通貨への切り換え)や預金者にコストを転嫁することは、危機からの脱出にふさわしいか?
第2に、インフレのリスクだ。COV-19危機の規模を考えれば、インフレは起きないだろう。高齢化や失業増、技術変化もインフレを抑える。しかし、貨幣の価値、その信頼はどうか? 中央銀行が無限に貨幣を供給する役割は、信頼を破壊する。
モラル・ハザードを生じ、また、さまざまな点で、生産的な投資を損なう。たとえば、株式の買戻しに使う。ゾンビ企業。バブル。悪質な債務者の区別がつかない。
それは「忍び寄る国有化」であり、利潤の上がる経済活動を「クラウディング・アウト」するものだ。
債務超過に対する合理的な政策とは、協調型の、市場優先で決める、債務組み換えに合意することである。予算を精査し、将来に向けた投資、すなわち、教育、健康、研究開発に投資する。
FT July 23, 2020
A new age of financial repression may soon be upon us
Russell Napier
新しい金融抑圧の時代は、何をもたらすのか?
COV-19危機で、貨幣供給は次第に中央銀行から政府の手に移る。政府は「金のなる木」を手に入れたことで家計や商店にまで支援策を打ち出すことができる。中央銀行は制御能力を失う。
株式など、長期の利回りが低下する、強力な金融抑圧が始まるだろう。生命保険会社や投資信託会社など、貯蓄機関は、インフレ率を下回る利回りでも国債を購入するよう強いられる。これは、貯蓄者から債務者への、政治的な再分配である。
1945-71年は、金融抑圧の下でも、1960年代半ばまで株価は上昇した。それは、戦時の指令経済から、債務を増やす消費経済に移行したからだ。今回は、そのような条件を欠いている。
NYT July 22, 2020
God Help Us if Judy Shelton Joins the Fed
By Steven Rattner
● 新しい職場を創る
FT July 20, 2020
Zombies are the least of Britain’s small business problems
Jonathan Ford
FT July 21, 2020
Don’t just kill off zombie jobs, create better ones
Sarah O’Connor
アメリカだけでなく、労働市場が新しい局面に入る。
ロックダウンが終わった社会で、政府が何百万もの仕事がない労働者に無限に給付し続けることは望めない。エコノミストたちは、COV-19の時代に、もはや活気のない部門や企業から、繁栄する分野へ、労働者の大規模な再配置が必要だ、と議論している。しかし、職業訓練だけ約束して、この悪化した経済に労働者を投げ出すのは、傘の引換券だけ渡して嵐の中へ押し出すようなものだ。
問題はアメリカで最も深刻だ。失業者が急増し、週の失業手当に連邦政府が週600ドルを補充している。失業したアメリカ人の約3分の2は、働いていたときよりも多くを受け取っている。5人に1人は収入が倍増した。危機になってから貧困率は低下している。
もちろん、何かがおかしい。共和党議員は手当が多すぎると考え、それは今週で終わるが、600ドルの補充を延長することに反対する。しかし、別の解釈では、アメリカの賃金が低すぎるのだ。
この制度が最適とは言えない。しかし、3000万人の失業者が給付を減らされるのは、労働者にも、経済回復にも悪いことだ。アメリカの低賃金問題を解決するよう、制度を改革するべきである。高い失業手当は、人びとに良い仕事を探すよう促し、雇用者もそれを提供しようとする。絶望的な低賃金では、人びとの健康状態にも注意しないから、パンデミックの克服に好ましくない。
「消滅していく職場」に労働者がとどまることは、経済が回復し始めたとき、支援を徐々に減らすことで回避できるだろう。失業率が非常に高いときには、政府が刺激策として新規雇用の拡大を助け、あるいは、公的部門で雇用することが望ましい。
政府は、パンデミックの期間に拡大する部門の、労働条件改善にも配慮するべきだ。感染リスクが続く小売り業は、急速にオンラインに移行していくだろう。店舗の仕事は、決して高い賃金ではないが、社会的なつながりを好む者が多い。しかし、彼らは倉庫や配送車に職場が変わるだろう。そこは、しばしば将来が不確実な、労働組合の無い、電子情報で監視された、高度な圧力を受ける職場である。
ロックダウンで政府がそうした職場への移行を促したのであれば、その改善も要求するべきだ。人びとに未来の職場に向けた準備を求めるなら、政府は未来の職場を人びとのために創るべきだ。
FT July 23, 2020
What soaring auction prices say about the Covid-19 economy
Gillian Tett
NYT July 23, 2020
The One Change That Could Save Your Neighborhood Stores
By Katherine Waldock
● 米中の領事館閉鎖
PS Jul 20, 2020
Democracy and Decency
CHRIS PATTEN
FT July 23, 2020
Closure of China’s Houston consulate raises spectre of new cold war
James Kynge in Hong Kong
● 復興基金とユーロ再生
VOX 20 July 2020
The euro needs sound and pragmatic long-term policies more than ever
Heikki Oksanen
FT July 21, 2020
Two cheers for Europe’s €750bn recovery fund
Ben Hall
FT July 21, 2020
The EU pandemic fund will transform the investment landscape
Sabrina Khanniche
The Guardian, Wed 22 Jul 2020
With its recovery deal, is the EU finally starting to act like a unifying force?
Shahin Vallée
FT July 22, 2020
Recovery fund is a huge breakthrough for the EU
FT July 22, 2020
EU crosses the Rubicon with its emergency recovery fund
Martin Sandbu
ヨーロッパの指導者たちは、わずか4日で、かつてない共通経済プログラムに合意した。彼らは、小さいが豊かな「倹約」諸国の反対を乗り越え、EUの将来の経済政策決定に関する政治を変化させた。
EU共通の復興基金は、EU経済をCOV-19の不況から救い出すような財政刺激策ではない。そのためには、規模が不十分であり、必要でもない。各国の予算がそれについて対応するだろう。それが可能になったのは、ECBが金融緩和し、EUが政府の支援策に融資するプログラムを設けたからだ。
今後の3年について、その規模は通常の予算の2倍である。受け取る国によっては重要な財政移転となる。例えば、イタリアではGDPの5%であろう。もっと小さな貧しい国の場合、それ以上である。
さらに重要なEU政治経済の変化とは、第1に、EU全体が債務(債券発行)による支出を認めたことだ。注目されていないが、それはEUのさまざまな満期を持つすべての債券に1つの市場と「イールド・カーブ」をもたらす。
これは「ハミルトンの瞬間」ではない。アメリカの初代財務長官、アレクサンダー・ハミルトンが諸州の債券を相互化したことと同じではない。しかし、ハミルトンがUS債券市場を創り、新しい連邦政府に恒久的な信用調達手段を与えたという意味では、これはまさにハミルトン的である。
第2に、指導者たちは共通の債務に支払う共通の財源を与えた。新しい炭素税だ。彼らが合意したのはプラスチック税だけだが、炭素関税案とヨーロッパにおける炭素税の拡大を考慮する。それは共通税制に向けた列車に乗ったことを意味する。
第3に、新しい支出に関するガバナンスのメカニズムで真剣な議論が始まった。指導者たちは、加盟国の拒否権というオランダの要求と欧州委員会の管理との間で妥協を行った。各国は、委員会の決定を遅らせることはできるが、止めることはない。この新しいガバナンスが機能すれば、将来の全欧的な経済政策決定がここから誕生する。
同時に、財政移転は「法の支配」という観点から「条件を付けるレジーム」に従う。北欧諸国は非リベラルな体制、すなわち、ハンガリーのオルバンやポーランドの与党「法と正義」に財源を与えたくない、という合意だ。それは条件付き多数決で制裁を加える欧州委員会の権限を強化する。
その勝利はまだ小さなものでしかないが、ヨーロッパ連邦主義者は喜んでいいだろう。
PS Jul 22, 2020
From American to European Exceptionalism
STEPHEN S. ROACH
ユーロ懐疑論者には容易に納得できないかもしれない。私も長い間、EMU(経済通貨同盟:ユーロの創設)には懐疑的であった。そこには常に決定的な要素が欠けていたからだ。財政同盟だ。
しかし、もはやそうではない。7月21日の7500億ユーロ、EU復興基金は歴史的合意であった。それは過大評価されたドルと、過小評価されているユーロに、重大な意味を持つだろう。
ドルの過大評価から急落する時期が迫っている、という私の分析は、2つのマクロ経済的な緊張を受けたものだ。アメリカのマクロ経済的な不均衡が急速に悪化していること。アメリカ政府がグローバル・リーダーシップに類するあらゆる試みを放棄していること。
アメリカ例外主義は、長い間、不滅のUSドルというケーキに載った、溶け始めたアイスクリームだった。それはもはや消えてしまった。世界で最も愛されない主要通貨として、ユーロに例外的な殺到が生じるだろう。その結果、ドル暴落が加速する。
PS Jul 22, 2020
Europe Rescues Itself
PHILIPPE LEGRAIN
FT July 24, 2020
EU sovereign bonds can reshape the bloc’s future
● フランス社会党
FP JULY 20, 2020
Is France’s Socialist Party Back From the Dead?
BY COLE STANGLER
● グローバリゼーション
PS Jul 21, 2020
A Better Globalization
JAVIER SOLANA
● 中印紛争
PS Jul 21, 2020
China’s Five-Finger Punch
BRAHMA CHELLANEY
● 中国とイラン
PS Jul 21, 2020
Is a China-US “Rivalry Partnership” Possible?
MOHAMED A. EL-ERIAN
NYT July 21, 2020
When China Met Iran
By Michael Singh
● イギリス民主主義へのロシアの介入
FT July 22, 2020
The Russian threat to the UK’s democratic system
● 国連
FP JULY 22, 2020
With the Women, Peace, and Security Act, Washington Could Be a Model for the World
BY JAMILLE BIGIO, MELANNE VERVEER
FP JULY 22, 2020
Big-Power Rivalries Hamstring Top U.N. Missions
BY COLUM LYNCH, ROBBIE GRAMER
● ウイグル問題と制裁
PS Jul 23, 2020
Trump vs. His Uighur Policy
ANNE-MARIE SLAUGHTER, WARDAH KHALID
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The Economist July 11th 2020
The world economy: Tapering without tantrum
Ethiopia: The fragile federation
The European Union: Seeking haven
(コメント) どうもポイントがつかめないまま、あちこち読むだけで時間がかかりました。大きく取り上げたのは、アメリカの人種差別、黒人問題、そして「人種」イデオロギーの害悪です。拾い読みしましたが、おもしろくない。私は無理解であったかもしれません。
パンデミックをめぐる世界経済危機と各国の政策の限界が議論されています。しかし、ここでもポイントはつかめませんでした。
エチオピアの首相がノーベル平和賞を獲得したのは、何だったのか、という崩壊状態です。パンデミックによって、民主的選挙による再生プロセスが消えました。他方で、EUの債券市場が復活する、と言うのも、瓢箪から駒か、という印象です。
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IPEの想像力 7/27/20
なぜアフリカは成長しないのか?
BS1で「国連平和ミッションの闇」(スウェーデンSVT制作)を観ました。若い国連職員サイダとマイケルが、調査の途中で何者かに殺害された。しかし、国連はその調査において、真相を隠す。
サイダはスウェーデンの若い政治家(緑の党)・社会運動家でした。彼女は人権問題にも熱心に取り組んでいた、とわかっています。そして、スウェーデンの政界ではなく、アフリカの人権問題に深くかかわったようです。
コンゴの紛争で権力を握った層にとって、政府も関与した大量虐殺を調査する国連の専門家は厄介な存在だった。国連調査団を率いたスターは、国連とコンゴ政府にもかかわる重要なポストを経た人物であった。その報告書は真実を隠ぺいしようとする(バイクタクシーを利用した2人の「軽率さ」に注目する)。しかし、映像やデータ、内部のリーク情報が明らかになった。
2人は、コンゴ民主共和国の情報機関が仕掛けた“ワナ”によって殺害されたのだ。有志が結成した調査報道チームは、殺害の瞬間を撮影したビデオ(命令を実行した犯人たちが撮った)や、政府軍高官の携帯電話の通話記録(真の指揮者を示唆する)などを分析し、陰謀を暴く。コンゴ政府が現地の裁判所に送ったのは、軍の最高検察官であり、国連の事件調査団も真相の隠蔽で合意したのであろう。
事件が起きたのはコンゴ民主共和国です。ベルギーによる残酷な植民地支配から独立した後も、地下資源とその採掘をめぐる汚職、民兵集団、住民虐殺、レイプ、少年兵、その他、長い内戦を経て、今も、最大の国連軍が駐留していながら、その大統領選挙は暴力とカネ、汚れた闇取引のカオスである。
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「コロナ倒産を防げ」も観ました。東京の中華料理店です。店長の女性は中国から日本に留学し、その後、日本で結婚し、子供も生んで、永住を決意し日本国籍を取った女性です(中国大使館で国籍を除く書類に署名するときは、手が震えた、と言います)。しかし、お店を持つのは容易でなく、子供たちを中国の実家に預けて働き続け、さあ、何とか中華料理店が軌道に乗りそうだ、と思ったとき、コロナウイルス危機によって営業自粛を強いられました。
お店の家賃とコックの給与が払えない、と彼女は激しく苦悩します。信用金庫の銀行員に助けを求め、緊急融資を受ける手続きを始めます。ぎりぎりで100万円が口座に入り、大家さんも家賃を待ってくれました。
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電車の中で、The Economist July 18th 2020を読んでいました。
アメリカ政府が、中国にスパイされる恐れがある、という理由で、フアウェーの通信機器を使用しない、それだけでなく、安全保障の情報を共有する他国にもフアウェーを使用しないよう求めたわけです。通信を傍受する、偽情報を流す、情報操作する、というのは、ロシアによる他国の選挙に対する介入として問題になっています。そもそも、アメリカ政府がメルケル首相の通信を傍受していた問題がありました。
記事は、ワクチンもそうですが、国際機関・WTOがグローバルな情報通信に関するルールの作成・交渉と監視を担うべきだ、と考えます。ソ連と違い、中国を世界貿易から排除することは不可能に近い。残念ながら、WTOは機能していません。次善の策は、情報や安全保障にかかわる分野と、そうでない分野とを切り離します。
中国側にも問題がある。記事は、フアウェーがイギリス政府(あるいはドイツ政府)に、第5世代通信を利用しつつ、その運用を各国政府が監視して、疑いが無いように検証できる保証を与えることに失敗した、と考えます。フアウェーが企業のガバナンスを改革し、外国からの投資や経営参加を認める方法もあった、と示唆します。中国政府の香港に対する国家安全法の導入は、西側政府に、「法の支配」を無視する中国の姿勢から、根本的な離反を決意させただろう、と。
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2人は殺害されず、大量虐殺に加わる政府・軍の姿勢が厳しく糾弾され、東京の中華料理店にお客さんと活気が戻って、店長の夢が膨らみ、第5世代通信機器をめぐる市場と共通ルールが確立されて、新興企業が次々に参入する。この地球に生きる市民たちの苦悩や奮起が、それぞれの土地で次の社会を築く力となる未来が、どこかにあるはずです。
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