IPEの果樹園2012

今週のReview

8/6-11

 

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ロンドン・オリンピック ・・・北朝鮮 ・・・金融規制 ・・・ECBの行動 ・・・金融による社会革新 ・・・温暖化 ・・・保守派の間違い ・・・日本の苦境 ・・・中国とインド ・・・アメリカの選挙 ・・・シリア ・・・資本主義と文化

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  ロンドン・オリンピック

NYT July 26, 2012

London Struts on the World Stage

By SERGEI LOBANOV-ROSTOVSKY

NYT July 26, 2012

The Olympic Contradiction

By DAVID BROOKS

オリンピックは,一貫していない.だからこそ,偉大である.一方だけの主張に縛られるなら,これほど関心を集められない.

オリンピックは,人類の好戦性を称える平和の祭典である.

開幕式は,協力の美徳に対する滑稽なほどの称賛である.団結,友情,平等,思いやり,いたわり.地球共同体と,まるでペプシのコマーシャルみたいな,異なるバックグラウンドを持った人々の楽しく協力するイメージがあふれている.そして,ダンスだらけだ.人類は社会的な,群れをなす生き物であり,ダンスは仲間を映すとともに,情緒の爆発を促す.

しかし,笑顔でできるスポーツは少ない.開幕式が終われば,スポーツは戦いだ.粘り強さ,勇気,秀逸,最高,規律,格闘.

開幕式は平和を,競技は戦争を,まねている.メダルの数で中国を打ち破れ!

政治は単一の原理で支配するのが好きだ.緊縮派と成長派.経済の安定性と創造的破壊.しかし,どちらも進めるのが正しい.オリンピックも,一貫性が無いからこそ面白い.

BLOOMBERG Jul 26, 2012

Burn Your iPhone With Chinese Olympic Uniforms

By William Pesek

中国製のユニフォームで参加したアメリカ・オリンピック・選手チームに,政治家たちは憤慨する.こうしたユニフォームを山積みにして燃やすために,2014年の冬のオリンピックにアメリカ製のユニフォームを求める法案が用意されている.

選挙戦の焦点は中国叩きだ.オリンピック・ユニフォームの政治劇は,論争がどれほど悪化しうるかを示す,無意味な前座である.

オバマ大統領は,なぜ失業率がまだ8%を超えているのか,説明を求められているし,ロムニーは数百万人の雇用計画を探している.むしろ,中国の支援を得て雇用を増やす計画を示す方が良いだろう.グローバル・インバランスを解消する問題から焦点を外してしまう.

カナダの企業が作っても憤慨しなかった.カナダはアメリカに挑戦しないから.為替レートも,低賃金も,人権問題も,軍備拡大も,抑圧的な政府への支援も,宇宙開発も,財務省証券の膨大な保有も,カナダはしていない.すべて中国だ.

しかし,アメリカの苦しみを中国のせいにするのは欺瞞である.アップルの本社でiPhoneiPadを山積みにして燃やす方が良い. 深圳の低賃金労働者たちの方がアメリカ経済にとって重要だ.アメリカの消費者はバーゲンを探しており,アップル社は生産コストをできるだけ低く抑え,アメリカの法律は中国並みの賃金をアメリカ国内で許さない.

アメリカ人が応援するために降る旗も,野球チームのバットも,独立記念日の花火も,その多くは中国製である.それはグローバリゼーションの論争が続く背景だ.アップルが設計し,中国で生産する.新製品が増えても,アメリカの輸出は増えず,貿易収支は悪化する.

中国製のユニフォームを焼いたり,人民元が増加するのを待つより,世界中のFTAを刺激し,アメリカが世界で最もダイナミックな企業を生み出す経済であることを示す方が良い.

guardian.co.uk, Friday 27 July 2012

London 2012: welcome to the Idiot Games, where our leaders do battle

Tanya Gold

guardian.co.uk, Saturday 28 July 2012

Olympic pageant riled right by showing the reality of new Britain

Tristram Hunt

guardian.co.uk, Monday 30 July 2012

What the Olympics opening ceremony tells us about our economy

Aditya Chakrabortty

オリンピックの開幕式,the Olympic ceremonyは,すばらしい,狂気のイギリス史礼賛として,衰退するイギリス経済の歴史を示すものだった.あるいは,「左派の,マルチ文化的なごた混ぜ」と評された.ラスカルDizzee Rascal(ラップ,ヒップホップ・ミュージシャン)が目立つ3時間の開幕式とイギリスの統計とは関係がある.

イギリス経済はこの春,0.7%縮小した.エッ!? オリンピックによる景気刺激はどうなったのか? オズボーンが蔵相の職を維持できるか? 金融危機から数年を経て,イギリスの回復は豊かな国の中でも最低の部類に入る.過去5年を観れば,アイスランドやアイルランドに次いで,世界のワースト3位である.2011年末までの1年間のGDP縮小幅は,驚異的な14%に近い.

金融危機まで,イギリスはパワーを持たないまでも,パワー・ブローカーとして振る舞えた.ブレアは,金融とクリエイティブな産業,教育に投資する経済モデルを示し,ブラウンは,ブーム・アンド・バストを阻止することを提唱した.こうしたことの多くは幻想であった.今,イギリスの経済モデルは破たんし,金融は詐欺にまみれ,大学卒業生たちは職探しに苦しむ.

2050年にはイギリスがメキシコやインドネシアに抜かれ,7大経済大国にも入らないだろう.1908年のオリンピックでは,イギリスが超大国だった.著書A Shrinking Islandにおいて,Jed Estyは,経済が衰退すれば,文化は後ろ向きになる,と述べている.1950年代でさえ,イギリスのSF小説は,アメリカの楽観的なSF小説よりも,ノスタルジーを示していた.

FT July 30, 2012

The revival of Britain remains an Olympian task

By Max Hastings

FP July 31, 2012

What the Olympics can teach us about nationalism

Posted By Stephen M. Walt

多くの人と同じように,ここ数日,私もテレビ中継に釘づけた.しかし,ナショナリズムに悩まされる.なぜ自国のチームを応援するのか? 選手たちと同じ何に帰属しているわけでもない.

それはテレビの焦点の当て方にすぎない.「幻想の共同体」だ.このナショナリズムの強さに,われわれは翻弄される.

FT August 1, 2012

A closing ceremony to restorethenation

By Robert Shrimsley

FP August 1, 2012

Bad press for China at the Olympics

Posted By Joshua Keating

BLOOMBERG Aug 1, 2012

For Chinese Olympians, Winning Is No Longer Everything

By Adam Minter

ウェイトリフティングの銀メダリスト,中国のWu Jingbiaoは,直後のインタビューで泣きながら詫びた.「母国とチーム,支援してくれた人たちの不名誉となって恥ずかしい.お詫びします.」

しかし,中国でも,金メダルを取ることにこだわるスポーツの姿勢が論争になっている.

WSJ August 2, 2012

Alloys in China's Gold?

guardian.co.uk, Thursday 2 August 2012

The monstering of swimmer Ye Shiwen says much about declining superpowers

Anna Chen

guardian.co.uk, Thursday 2 August 2012

The London Olympics has much to delight – but forget any talk of a legacy

Simon Jenkins

guardian.co.uk, Thursday 2 August 2012

Usain Bolt is not enough – Jamaica must go the long distance

André Wright

人々は行商人から国旗を買い,誰もが国家を歌った.ボルトUsain Boltは,ジャマイカの優秀さを示すものではない.

196282日,独立してからの政府は失敗を繰り返した.世界で最も殺人事件が多い国の一つである.債務額は1兆ドルを超え,GDPに対する比率は140%でギリシャより悪い.

識字率は改善したが,大学卒業者の多くはアメリカやイギリス,ケイマン諸島などへ行く.経済の悪化を植民地時代のプランテーションのせいにするが,ジャマイカの官僚制や税制,企業家と労働者の質を高める改革を自分たちがすることだ.

Global Times | 2012-8-2

British ceremony keener to display inclusivity than preserve face

By Rong Xiaoqing


l  財政破たん・緊縮策の間違い

NYT July 26, 2012

Money for Nothing

By PAUL KRUGMAN

進行中の経済危機に就いて間違った論評が幅を利かせている.

20095月,Niall Fergusonは,債券発行の大潮がアメリカ金利を急上昇させるだろう,とわざわざ警告した.また20113月,オバマの指名した不幸な赤字委員会の副議長Erskine Bowlesは,赤字を何とかしなければ,2年以内に市場が我々を破滅させる,と述べた.など.

しかし,財政破たんを予想する彼らは間違っていた.金利は上昇するのではなく,下落したのだ.それは歴史的な最低水準であり,アメリカだけでなく,先進諸国全体に広がっている.

彼らは問題の性格がわかっていない.連銀が通貨を大量に供給したせいではない.アメリカはギリシャと同じではない.ギリシャは自国通貨を捨ててユーロを採用したのだ.アメリカはそうではない.

現在の危機は,「デレバレッジ・ショック」である.誰もが亜債務を減らすために支払っている.家計も,企業も,借り入れようとしない.銀行は仕方ないから債券を買う.彼らはどれほど金利が低くても債券を買いたいのだ.他に安心して投資できるものが無い.

政府は単位の赤字を気にせずに支出できる.もちろん長期の問題はある.特に社会保障費だ.しかし,ゼロ金利や実質マイナス金利のときに,赤字を理由に教師の首を切るとか,インフラ投資を止めるとか,考えるのは間違いだ.アメリカ経済再生のために,低金利を活かして,インフラや教育には投資を増やすべきだ.

Project Syndicate 31 July 2012

Hopeless Unemployment

J. Bradford DeLong

FT August 2, 2012

UK should have waited to enforce austerity

By Jonathan Portes and John Van Reenen


l  北朝鮮

FP JULY 26, 2012

North Korea's Extreme Makeover

BY BLAINE HARDEN

guardian.co.uk, Saturday 28 July 2012

North Korea is not just a laughing matter

Aidan Foster-Carter


l  金融規制

FT July 27, 2012

Why Citi’s architect thinks small is beautiful

By Gary Silverman

LAT July 27, 2012

Breaking up the megabanks

FT July 30, 2012

The Achilles heel of America’s financial system

By Gillian Tett

FT July 31, 2012

Finance must escape the shadows

By Sebastian Mallaby

SPIEGEL ONLINE 08/01/2012

Splitting the Financial Giants

It's Time To Break Up Massive Banks!

A Commentary by Georg Mascolo


l  ECBの行動

FT July 27, 2012

The ECB talks tough on the euro

SPIEGEL ONLINE 07/27/2012

Out of Left Field

A New Idea to Save the Common Currency

By Christian Rickens

guardian.co.uk, Sunday 29 July 2012

The eurozone can learn from financial crises in the developing world

Jayati Ghosh

ユーロ圏周辺部の危機は,これまでの発展途上諸国の経験に似ている.さまざまな良い話で,民間資本が砂糖する諸国に,通貨の増価や不動産バブルが起きて,さまざまな非難とともに,資本逃避と危機が起きる.自分たちを支配できない,ルールを決めたわけでもない,資本の流入は流出と同じように有害であり,阻止すべきだ.それがマレーシアとアルゼンチンの教訓だ.

FT July 29, 2012

Europe’s political union is an idea worthy of satire

By Otmar Issing

ヨーロッパ諸国は国家の制度を席私的に形成してきた.彼らは自分たちの国家を信頼している.政治統合は解決策ではない.それは数年以内に実現できる可能性はなく,通貨同盟の解決策として選択できるものではない.

FT July 29, 2012

IMF can end its agony over Greece

NYT July 29, 2012

Crash of the Bumblebee

By PAUL KRUGMAN

ユーロは飛べない鳥である.それが飛んでいるように見えたのは,南欧バブルが起きている間だけだった.もしユーロが救えるとしたら,ECBが南欧の債券を大規模に購入し,ドイツが高いインフレ率を受け入れることだろう.

BLOOMBERG Jul 29, 2012

Banking Union Is Last Gambit to Save Euro Dream

By Luigi Zingales

Project Syndicate 29 July 2012

Dos and Don’ts for the European Central Bank

Martin Feldstein

ECBは,各国の財政政策を無視して,債券を購入することはできない.

guardian.co.uk, Monday 30 July 2012

For Greece there is an alternative to austerity – as Argentina proved

Dean Baker

SPIEGEL ONLINE 07/30/2012

The Origins of Crisis

Corruption and Nepotism Haunt Southern Europe

By Hans-Jürgen Schlamp

VOX 30 Jul 2012

Welcome to the ECB

Charles Wyplosz

Project Syndicate 30 July 2012

Europe’s Zero-Sum Poison

Jean Pisani-Ferry

guardian.co.uk, Tuesday 31 July 2012

There is a euro crisis solution – use the European Stability Mechanism

Sebastian Dullien

guardian.co.uk, Tuesday 31 July 2012

Eurozone crisis: the bankers are happy to play Nero as Europe burns

Simon Jenkins

銀行のバランス・シートを守るために,一つの世代が不況と失業の苦しみに投げ込まれている.ローマ時代の皇帝ネロでしかやれなかった蛮行を,現代の政治家は日常的に行っている.オリンピックが広めるナショナリズムというアヘンがそれを助ける.

FT July 31, 2012

Our opt-in opt-out solution for the euro

By Hans-Werner Sinn and Friedrich Sell

Project Syndicate 01 August 2012

Mario Draghi’s Guns of August

Kemal Derviş

FT August 2, 2012

Now for Draghi’s monetary crisis medicine

By Stephen King

ECBが行動しなければ,ユーロ圏が解体して,すべての決済や金融資産の所有が根拠を失う,というパラノイアにより,国境を超えた取引が削減され,現実にユーロの死滅をもたらす.

FT August 2, 2012

Draghi’s bold move in euro chess game

SPIEGEL ONLINE 08/02/2012

Begging for the Bazooka

Europe's Dangerous Dream of Unlimited Money

An Analyisis by David Böcking

SPIEGEL ONLINE 08/02/2012

Draghi's Promise

German Opposition to ECB Bond-Buying Plan Mounts

NYT August 2, 2012

Draghi Edges Closer to Bond Purchases, but Hopes Are Blunted

By JACK EWING

 


l  ロムニー

WP July 27, 2012

Why he’s going where he’s going

By Charles Krauthammer

guardian.co.uk, Monday 30 July 2012

Ten reasons Mitt Romney's Israel visit is in bad taste

Juan Cole

FT July 30, 2012

If you liked George W. Bush, you’ll love Mitt Romney

By Gideon Rachman

FP JULY 30, 2012

How Obama Lost Poland

BY BENJAMIN WEINTHAL

FP JULY 30, 2012

Trip Wires

BY KEVIN BARON

WP July 31, 2012

Romney tour ’12 — gaffepalooza

By Eugene Robinson


l  金融による社会革新

VOX 27 Jul 2012

Finance and the good society

Robert Shiller interviewed by Romesh Vaitilingam


l  温暖化

Project Syndicate 27 July 2012

Our Summer of Climate Truth

Jeffrey D. Sachs

NYT July 28, 2012

The Conversion of a Climate-Change Skeptic

By RICHARD A. MULLER

「私を回収した懐疑派と呼んでほしい.3年前,以前の気候研究にある問題が,私の考えでは,地球温暖化の存在そのものに疑念を生じていた.昨年,10人余りの科学者と集中的な研究を行った末に,私は,地球温暖化は現実に起きており,温暖化率の以前の推定も正しい,と結論した.今,私はさらに進んで,人類が,ほとんど,その原因である,と考えている.」

FT July 30, 2012

US drought: Stuck on dry land

By Gregory Meyer

NYT July 30, 2012

Corn for Food, Not Fuel

By COLIN A. CARTER and HENRY I. MILLER

BLOOMBERG Aug 2, 2012

Corn’s 60% Surge Is More Dangerous Than Euro Mess

By William Pesek


WSJ July 27, 2012

Myths and Facts About the Gold Standard

By JOHN H. COCHRANE


NYT July 28, 2012

Poverty in America: Why Can’t We End It?

By PETER EDELMAN


WP July 28, 2012

Blowing the whistle on the federal Leviathan

By George F. Will


l  保守派の間違い

WP July 28, 2012

How conservatives misread and misuse Milton Friedman

By Nicholas Wapshott

guardian.co.uk, Sunday 29 July 2012

The world as seen by Republicans, in a land of myth and amnesia

Gary Younge

guardian.co.uk, Monday 30 July 2012

Our economic ruin means freedom for the super-rich

George Monbiot

キャメロンとオズボーンが掲げた新自由主義の政策課題は,すべての者を繁栄させると約束した.しかし,そこに現れたのは「全体主義的資本主義」であり,それが育てたのは経済危機であった.

彼らは危機を解決すると称して緊縮策を採り,二番底の危機を生じても,その政策を放棄しようとしなかった.その結果は予想されたものだった.

Colin Crouch が著書(The Strange Non-Death of Neoliberalism)で示したように,ネオリベラルたちは,市場と国家が対立するのではなく,大企業に吸収される,と考えた.国家は規制を撤廃し,民営化を行い,大企業は国家を説得して,環境破壊を可能にした.


NYT JULY 29, 2012

The Morality of Migration

By SEYLA BENHABIB


l  バルコニーの指導者

FT July 29, 2012

From the balcony

Project Syndicate 31 July 2012

Rebuilding Venezuelan Democracy

Andres Velasco


l  日本の苦境

BLOOMBERG Jul 30, 2012

Japan’s $1.45 Trillion Whale May Crush Yen Bulls

By William Pesek

日本のケースは不幸である.開発諸国で最大の公的債務,高齢化し,減少する人口,デフレ,自然資源はなく,巨大地震のリスクから逃れられない.投資家たちは躊躇する.

しかし,投資する場所を失ったために,すなわち,ヨーロッパの危機,アメリカの不調で,日本の円建資産が大規模に需要された.リーマン・ブラザーズ倒産以来,安住財務大臣と白川日銀総裁は,33%もの円高に対応してきた.

ユーロとドルの見通しはさらに悪く,円高は政府にも日銀にも抑えられない.しかし,日本の政府年金基金が動いて,円安を促そうとしている.それはドルやユーロの市場ではなく,国際商品市場に問題を起こすだけだろう.

日本経済は,中国に抜かれた.小泉・竹中による不良債権処理,中国・韓国企業との激しい競争,昨年3月の巨大地震にも苦しんだ.日本は円高によって,成長と信用格付けをさらに悪化させている.

なぜ日本は円高や産業空洞化に耐えているのか? 1.円高は,最大の有権者である老人層の生活水準を守る.2.円高は,日本企業の買収や競争促進によって新市場,革新を促す.3.円高は政府の手におえない.

日本の低い利回りでも巨大な投資を集めることができる極楽は,終わる.

FT August 1, 2012

Nomura: Bowed by overambition

By By Michiyo Nakamoto and Patrick Jenkins


l  中国とインド

WSJ July 30, 2012

Beijing Crosses a Line

By MICHAEL AUSLIN

Project Syndicate 31 July 2012

How Should China Respond to the Slowdown?

Yu Yongding

WSJ August 1, 2012

Ideas Will Determine China's Future

By ZHANG WEIYING

Global Times | 2012-8-1

Vietnam needs strong ASEAN to play pivot

By Ding Gang

FP AUGUST 1, 2012

Rising Peacefully Together

BY JING HUANG, KANTI BAJPAI, KISHORE MAHBUBANI

YaleGlobal, 2 August 2012

South China Sea: New Arena of Sino-Indian Rivalry

Harsh V. Pant

Project Syndicate 02 August 2012

The Benefits of Chinese FDI

Laura Tyson


l  アメリカの選挙

NYT July 30, 2012

Dullest Campaign Ever

By DAVID BROOKS

WP July 31, 2012

Mitt Romney’s 20th-century worldview

By Katrina vanden heuvel

NYT July 31, 2012

Why Not in Vegas?

By THOMAS L. FRIEDMAN

FT August 1, 2012

When Right-thinking is just plain wrong

By Steven Rattner

Project Syndicate 01 August 2012

America’s Constrained Choice

Mohamed A. El-Erian

Project Syndicate 02 August 2012

The Battle for Churchill’s Bust

Ian Buruma


l  シリア

FT July 31, 2012

We will pay a high price if we do not arm Syria’s rebels

By Anne-Marie Slaughter

「我々がシリアを支配したとき,アメリカは我々のことを忘れていたことを,われわれは忘れないつもりだ.」 Free Syrian Armyの亡くなった兵士の姉が,アメリカのジャーナリストに対して述べた言葉だ.アメリカはイラクやアフガニスタンのような介入を増やしたくない,と説明したことに対して,彼女の仲間は,なぜリビアには空軍を送って反政府軍を助けたのに自分たちは守ってくれないのか,と思う.

介入には多くのリスクがある.オバマの再選を損なう.国連の合意なしに行えば国際法に反する.アジア重視戦略に背く.武器がイスラム過激派に流れる.

しかし,すべての政策選択にはリスクが伴うものだ.このまま紛争が長引けば過激派が勢力を広げ,内戦状態になり,周辺地域を不安定化し,たとえ反政府派が権力を得ても報復が続き,安定した政権はできないだろう.

「アメリカは国際政治に消耗している.ヨーロッパの指導者たちはユーロ危機に集中しなければならない.オリンピックが始まり,8月の長期休暇で関心が失われる.しかし,地政学上の要地にあるシリアを最終的に支配する者が誰になるかは,その健康,富,安定性を左右する.シリアの住民は彼らを忘れない者のことを,彼らの命を助けてくれる者のことを,忘れないだろう.」

YaleGlobal, 31 July 2012

Is Partition a Solution for Syria?

Dilip Hiro

FT August 2, 2012

My departing advice on how to save Syria

By Kofi Annan


l  ロシア

FT July 31, 2012

The pussy riot act

guardian.co.uk, Tuesday 31 July 2012

The Pussy Riot trial can give Russians new hope

Masha Gessen


FP JULY 31, 2012

The Arabian Horse

BY MOHAMED A. EL-ERIAN


l  難民を武装せよ

Project Syndicate 31 July 2012

Arming the Asylum

Naomi Wolf


l  資本主義と文化

FP AUGUST 1, 2012

Uncultured

BY DARON ACEMOGLU, JAMES A. ROBINSON

WP August 2, 2012

Capitalism, not culture, drives economies

By Fareed Zakaria

ロムニーは,イスラエルの支援者たちの前で演説し,パレスチナの貧困に比べてイスラエルが活力に満ちていることを指摘し,「文化がすべての違いをもたらす」と述べた.そしてDavid LandesMax Weberを引用した.

しかし,停滞と貧困の例として,Weberが挙げた中国と日本は,その後の50年間,世界最速の成長を遂げた例に変わった.

文化は重要であるが,それは変化する.1935年のドイツと1955年のドイツは同じではない.政治が文化を変えることもあるし,変化から守ることもある.

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The Economist July 21st 2012

Emerging markets: The great slowdown

The Olympics: Rewards of the rings

(コメント) その他,来週,再論します.

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IPEの想像力 8/6/12

オリンピックに関心を奪われて,世界のニュースでも国内のニュースでも,重要な問題がどんどん順位を下げています.今朝は,消費税引き上げ法案を可決する前に衆議院解散の確約をせよ,という国内政治の後に,まだ,かろうじて,なでしこジャパンがメダル確定です,というニュースの前に出ています.

これが金メダル獲得となれば,国会解散どころではないのでしょう.

世界の<政治>意識を反映するReviewも,そうなりました.

シリアでは,毎日,政府軍と反政府軍との戦いに巻き込まれて負傷し,無くなる市民たちがいるでしょう.そして多くの難民が国境周辺へ移動しています.

政治犯や人権抑圧が問われる政府は,その領土内に多くの収容所や監獄を維持し,無実の囚人を,今も,増やしているのでしょう.

世界の数十億人が貧困によって,私たちには当然であるような,生きる可能性のほとんどを奪われ,あるいは飢餓で,子供や兄弟が死んでいくのを見守るしかないのでしょう.

財政破たんと金融規制の危機感で進む,改革をめぐる論争が,世界の富のあり方や雇用と所得のあり方を変えるはずです.しかし,金融街も,為替市場も,大統領選挙も,指導部交代も,新興諸国も,次の国際秩序を示す主張は希薄です.

環境破壊や地球温暖化の犠牲となる人々が増えても,最も深刻な事態は,貧しい,辺境の土地において始まるのでしょう.

オリンピックと並んで,パラリンピックが開催されるように,注目を集める金メダリストたちが,自国の政治や社会について,世界のメディアに語る特集を組んではどうでしょうか? ウサイン・ボルトの雄姿が称えられるなら,彼が育ったジャマイカの苦境も伝えられてよいでしょう.オリンピック開催国のイギリスが,不況による失業や都市暴動に十分な対応を採ってきたのか,イギリスと関係の深い(たとえば多くの友人が移民としてロンドンで暮らす)選手たちが語り合ってもよいでしょう.出場選手の中で最下位になった選手たちを,一人一人の練習やその国の姿によって,世界の政治意識を育てることもできるでしょう.

オリンピックがこれほど注目されるのは,世界の巨大メディア産業がそれによって潤い,世界の巨大企業がスポンサーとして商品を売り,各国の政治家にとって好ましいナショナリズムと愛国心を高める,という共通利益・癒着関係があるからだと思います.その関係を損なうような視点は消えてしまいます.

本当のスポーツ選手たちは,それを歓迎しないはずです.再び,「拳を突き上げる」ポーズで表彰台に立つ選手たちが,この無意識の政治ショーに抵抗し始めると思うのです.

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