IPEの果樹園2012

今週のReview

3/12-3/17

 

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ギリシャ救済融資 ・・・シリアの変化 ・・・湾岸戦争の懸念 ・・・プーチン大統領 ・・・世界銀行総裁指名 ・・・不況と右傾化 ・・・アジアの成長不安 ・・・震災から1年 ・・・グローバル・ガバナンス ・・・イラン制裁と石油価格上昇

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  ギリシャ救済融資

VOX 23 February 2012

Contagion during the Greek sovereign debt crisis

Jakob de Haan   Mark Mink

NYT February 23, 2012

America Is Europe

By DAVID BROOKS

FT February 24, 2012

G20 must protect the IMF from Europe

Mohamed El-Erian

Project Syndicate 2012-02-24

Weimar Europe?

Harold James

ドイツの立場は,ますます,ヨーロッパにおいて,特異な,傷つきやすいものになっている.1990年に東西ドイツ再統一がもたらす混乱を近隣諸国は恐れた.そのとき,ヘルムート・コール首相は,ドイツ的なヨーロッパを求めるのではなく,ヨーロッパ的なドイツになる,と約束した.しかし,今や,ヨーロッパの救済融資の条件を決めているのは,ドイツである.

成長しなければユーロ危機は終わらない.しかし,ドイツの関心はもっぱら安定化(インフレ抑制)である.今やドイツ叩きはヨーロッパ中に広まっている.ドイツへの非難は二つだ.ドイツの黒字こそが問題だ.ドイツは過去に(間違って)固執している.

ドイツが対外黒字を続けるなら,それを融資しなければ,赤字諸国が調整のためにデフレを強いられる.1960年代以来,ドイツの貿易相手国,特にフランスは,繰り返し財政緊縮とデフレを強いられた.それは政治家にとって避けたいことだった.なぜなら成長を抑え,失業を増やす政府は,有権者に嫌われるから.

フランスは,ドイツが財政・金融の拡大策を取るように求めた.それはドイツの輸出圧力を緩和する.しかし,ドイツ人はそれを嫌った.ドイツ人の戦間期の記憶では,インフレをもたらす懸念がある政策は何であれ選択すべきでなかったのだ.

ドイツの政策担当者たちは,単一通貨になったのだから,もはや(国際不均衡の)問題は消滅したはずだった.たとえば,カリフォルニアが大幅な対外黒字を出しても,アメリカではだれもそれを気にしない.景気刺激策を取れとか,仕事を止めてビーチで泳いでいろ,などとカリフォルニアに求めない.

また,ポール・クルーグマンが繰り返し批判したように,ドイツの歴史は間違って理解されている.ドイツのハイパーインフレーションがワイマール共和国を破壊した,そしてナチスの独裁が勝利した,と思われている.しかし,民主主義を破壊したのは,それから10年後の不況とデフレであった.

それにもかかわらず,こうした批判は重要な点を見逃している.1930年代初めにドイツが政策を正しく決定できなかったのは,それ以前に,間違った選択を重ねたからだった.ドイツ人の政治意識に深く根付いたのは,その教訓である.そして,ドイツ人が戦間期の経験と現在のユーロ危機とを重ねて見るのは正しい.通貨制度の選択とその政治的な帰結は,民主主義を脅かす.

すなわち,ハイパーインフレーションの後,ドイツが選択したのは国際金本位制だった.それは政策を厳しく制約し,離脱することもできなかった.しかし,期待通りに,ドイツの復興を信じた資本が大量に流入した.政府は,政治的に魅力のある,しかし高価なプロジェクトに外国資本を利用できた.

資本流入がもたらした好景気とインフレの経験から,賃金は生産性の上昇を超えて急速に引き上げられた.その結果,1920年代後半には,ワイマール・ドイツは競争力を失ったのだ.それは2000年以降に南欧諸国で起きたのと同じである.しかも,資本流入が永久に続かないことも同じだった.

資本流出が始まると,銀行から預金が引き出され,資産は正しい価格で売買できなくなった.政府は破たんした銀行を救済したが,それは債務を増やし,金本位制を維持するには厳しい緊縮策を必要とした.こうした状況を解決する政策はなく,1931年の銀行危機によって資本規制を導入した.

危機は民主主義を終わらせた.最悪の経済危機において,民主的な諸政党は政治的責任を果たさなかった.支出削減は左派の反対に遭い,増税は右派に反対された.その結果,議会の承認を経ずに,憲法の非常時の規定を多用し,19331月にヒトラーが政権を得る以前に,ワイマールの民主主義は崩壊していたのだ.

銀行と予算の問題,財政緊縮,「非政治的」テクノクラート政権,などは,すべてドイツの過去とそっくりである.まねてはならない教訓は,財政赤字で問題を解決することだ.学ぶべき教訓は,国民が反対する難しい政策を実行しなければならない民主的政府を,国際的に支援することだ.

FT February 27, 2012

Eurozone countries must not be forced to meet deficit targets

Jean Pisani-Ferry

SPIEGEL ONLINE 02/27/2012

Interview with Bundesbank President

Bigger Debt Cut for Greece Would Set Bad Example

Project Syndicate 2012-02-27

Europe’s Empty Fiscal Compact

Martin Feldstein

政府債務の上限を憲法によって各国が守るという「財政協定」は,ヨーロッパの政治統合を目指す現時点での重要課題になっている.しかしそれは,経済の現実を政治家たちの都合に合わせるヨーロッパの悪弊であり,残念ながら,意味がない.

「財政協定」は,この数か月の間に急速に注目されるようになった.その背景には,政治的に不人気な「財政移転同盟」から離れたい,というドイツ政治家たちの願いがある.財政緊縮策を要求し,1997年にできたが機能していない「財政安定・成長協定」を復活させるためである.

しかし,もし不況のために税収が減って赤字が出たとき,政府が赤字を減らすために支出削減や増税をするなら,不況を悪化させるだけだ.幸い,こうした要求は緩和されたが,景気循環を通じて財政赤字を出す状態とは何か,スペインのような国の場合,明確に定義できない.永続的な失業諮詢が15%に及んでも財政緊縮を強制し,それに失敗すれば罰金を科すのか? それが政治的判断に委ねられるなら,結局,この協定には意味がない.

アメリカの場合,連邦政府はGDPの約20%を徴税し,ほぼ同じだけ支出する.中央集権化した徴税と支出によって,不況をけんけんする地域への自動的な安定化機能が働くのだ.ユーロ圏は同じような機能を持っていない.

他方,金融市場はユーロ圏の各国政府債券の評価を区別するようになるだろう.赤字国の政府がユーロ圏だからといって同じ低金利で資金を調達し,債務を累積できなくなる.つまり,政治家たちは失敗したが,金融市場の圧力が財政赤字を削減させる.EUの「財政協定」など,余興でしかない.

Project Syndicate 2012-02-28

Who Lost Greece?

Jean Pisani-Ferry

SPIEGEL ONLINE 02/28/2012

'Europe Remains a Question of War and Peace'

Kohl Urges Germans to Stay Committed to Europe

FT March 1, 2012

Banks should learn to go it alone

Lorenzo BiniSmaghi

SPIEGEL ONLINE 03/02/2012

Euro Crisis Debate

All Systems Reverse!

A commentary by Wolfgang Kaden

もうこれ以上の救済融資を止めるべきだ.各国は自律性を取り戻し,自分の財政政策によって責任を果たす.

共通通貨は各国間の経済的な違いを収斂させ,政治的統合をもたらすものと考えられていた.しかし,そうではなかったのだ.ユーロ圏を解体することなく,各国が自分の政策で危機を解決する道を開くべきだ.

Project Syndicate 2012-03-01

A Devaluation Option for Southern Europe

Gita Gopinath, Emmanuel Farhi and Oleg Itskhoki

Project Syndicate 2012-03-01

Can Europe Be Saved?

Alfred Gusenbauer

Project Syndicate 2012-03-05

Greece’s Soft Budgets in Hard Times

Daniel Gros

Project Syndicate 2012-03-05

Alexander Hamilton’s Eurozone Tour

Harold James

アレキサンダー・ハミルトンは,今,ユーロ圏で救世主になっている.ハミルトンは州の債券を連邦政府に吸収した.それは返済の確実さを高めて金利を減らすだけでなく,独立戦争を戦ったアメリカ国民が共通のコミュニティーを築く過程に参加するという,道義的な意味があった.

道義的な合意が無ければ,合理的な制度でも機能しない.

Bloomberg Mar 6, 2012

History Blinds Europe to a Germany Worth Emulating

By Harold James

ヨーロッパには妖怪が歩いている.それは,国益を追求し,国内政治に支配される強大なドイツと,どのようにして一緒に生きるのか,という不安である.

その答えはショッキングなものである.近隣諸国が,ドイツをこれほど強大にした成功モデルを模倣し,それと同じ通貨・財政の安定性を実現するべきだ,というものだからだ.1871年以来の,ヨーロッパにおける「ドイツ問題」は,こうして解決されるのか?

1945-90年には,分割されたドイツが弱かったために,この問題は見えなくなった.しかし,1990年に再統一を果たしたとき,ヘルムート・コール首相はトーマス・マンの解決策を採用すると公言した.すなわち,ドイツ的なヨーロッパではなく,ヨーロッパ的なドイツを目指す,というものだ.

繁栄するドイツ経済を背景に演説したビスマルクと違って,今の各国はグローバリゼーションの挑戦に対抗する力が求められている.EUを動かすのは,もはやアデナウアーとド・ゴールのような独仏同盟ではない(フランスは弱すぎる).グローバリゼーションと向き合うには,ドイツと組むことだ.ドイツの近隣諸国と南欧の改革はドイツと一緒になれば前進できる.

それは,19世紀のようなドイツの支配を拡大することではない.ヨーロッパにおける経済的繁栄の条件なのだ.

SPIEGEL ONLINE 03/06/2012

The Hundred-Billion-Euro Bomb

Euro-Zone Central Bank System Massively Imbalanced

By Stefan Kaiser

SPIEGEL ONLINE 03/06/2012

Euro Crisis Crucible

By Sven Böll, Martin Hesse, Christian Reiermann, Michael Sauga and Anne Seith

FT March 7, 2012

Greece’s private creditors are the lucky ones

By NourielRoubini

ギリシャの債務が削減される.民間部門はその負担を引き受ける(Public Sector Involvement PSI)ことを求められて,渋っているが,彼らの主張は間違いだ.

IMFや中央銀行のような公的債権者への返済が優先されるはずであるのに,むしろ公的な追加融資を使って、すでに民間債権者が逃げ出している.公的融資の返済が止まれば、それは債権諸国の納税者が追加融資として負担する。また、新しい融資はギリシャの法ではなくイギリスの法によって行われるため、ギリシャがユーロ圏を離脱しても、それをドラクマに転換することを強制できない。

要するに、民間部門が負担を分かち合った、というのは幻想でしかない。民間部門はその利益を独り占めし、損失が発生したときは納税者に転嫁できるのだ。

NYT March 7, 2012

In Athens, Austerity’s Ugliness

By NICHOLAS D. KRISTOF

FT March 8, 2012

A spoonful of sugar will help Mario’s medicine go down

By BeppeSevergnini


FP FEBRUARY 23, 2012

The New Asian Tiger?

BY MARCO BREU, RICHARD DOBBS |


l  シリアの変化

NYT February 23, 2012

How to Halt the Butchery in Syria

By ANNE-MARIE SLAUGHTER

反政府勢力に武器を供給するより、シリアからの避難民を守る「安全地帯」を築くべきだ。それらは国境地帯に設けられて、随時、赤十字などが食料や衣料品を届けられるような「人道支援回廊」を決める。それらは民間団体によって管理される。

WSJ FEBRUARY 23, 2012

America's Alibis for Not Helping Syria

By FOUAD AJAMI

FT February 28, 2012

Are we going to sit back and let Homs burn?

Michael Ignatieff

WP March 1, 2012

How to advance Syria’s transition

By Anne Applebaum, Published:

シリアでは、イラクのように、エスニシティが分裂している。反政府軍は混乱している。シリア軍の装備はリビア軍より優れている。西側の大衆は戦争に疲れている。しかし、それでもできることはある。

ひとつは、シリア政府が自分たちを民主的で人権を守る政府であると自称しているから、これを利用するのだ。シリア軍の将校たちが以下に非武装の市民を虐殺するように命令しているか、人権擁護団体は多くの証拠を持っている。これを公表して、アラブ世界やシリアの民衆に伝えるのだ。

確かに、アサド大統領や政府幹部を「戦争犯罪者」と非難することは、彼らの退陣を難しくする恐れがある。しかし、シリアの反政府勢力や民衆は、今や、アサドが去った後の、国際的な正義について語るべきである。旧体制と単なる協力者の処遇、犠牲者への補償、内戦を回避して少数派の権力独占を終わらせる方法について。

それは不可能ではない。南アフリカは、白人支配を終わらせるときに、内戦を回避できた。その条件とは、支配する少数民族が権力の移行に参加することである。アサド政権内部には、民衆の弾圧に関与していない者などいない。しかし、支配集団に内部で政府支持から離脱する者が現れるだろう。

戦争のさなかであっても、戦後の体制を考えることが、まさに重要である。

FP MARCH 8, 2012

How Not to Intervene in Syria

BY AARON DAVID MILLER |


NYT February 23, 2012

Romney’s Economic Closet

By PAUL KRUGMAN

guardian.co.uk, Sunday 26 February 2012

The itinerant US left has found its home in the Occupy movement

Gary Younge

guardian.co.uk, Wednesday 7 March 2012

Mitt Romney still can't seal the deal on Super Tuesday

Gary Younge

LAT March 7, 2012

Will Occupy be heard from?

WSJ March 9, 2012

A Look at the Global One Percent

By ALLAN H. MELTZER


l  湾岸戦争の懸念

guardian.co.uk, Friday 24 February 2012

Iran: drumbeat of war has a familiar sound

Simon Tisdall

WP February 24, 2012

Gulf War III isn’t an option

By Eugene Robinson

LAT February 25, 2012

Iran and Israel: Who's the bigger threat?

WP March 3, 2012

Before attacking Iran, Israel should learn from its 1981 strike on Iraq

By Colin H. Kahl, Published:

FT March 5, 2012

America and the Middle East: An explosive mix

By Geoff Dyer and Richard McGregor

FT March 8, 2012

Don’t play politics with the bomb

By Philip Stephens


FT February 24, 2012

Why we all need a drone of our own

By Francis Fukuyama


SPIEGEL ONLINE 02/24/2012

Airline Trade War?

Global Opposition Grows against EU Emissions Law

By Aaron Wiener


l  プーチン大統領

SPIEGEL ONLINE 02/24/2012

'I, Putin'

An Inside Look at Russia's Aging, Lonely Leader

By Markus Brauck and Matthias Schepp

WP March 3, 2012

Five myths about Vladimir Putin

By Andrew S. Weiss, Published:

LAT March 4, 2012

Putin's Pyrrhic victory

By Leon Aron

WP March 5, 2012

The end of Putinism

By Jackson Diehl,

プーチンが勝利することはわかっていた。人々が心配しているのは、それがいつまで続くか、である。6年の任期を無事に終わることは期待できないだろう。中国でも、ロシアでも、専制支配はかつてほど強固な支持を得ていない。

中産階級が育って、政策に関する論争が始まる。もっと優れたガバナンスを求めて、人々は発言するようになる。要求は複雑になって、社会的緊張が高まる。すなわち、政治的な決定を独占することは危険である。

問題は、変化が内側で起きるのか、外側に起きるのか? 専制支配体制の崩壊は、混乱なしに実現するのか? 民主化運動への弾圧と、アメリカの外交政策はどう関わるのか?

WP March 7, 2012

Behind Putin’s victory

By Anne Applebaum, Published:

WP Friday, March 9, 2012

The promise of Russia’s urban middle class

By Condoleezza Rice,


 

WP February 24, 2012

The knowledge class vs. the factory class

By Henry Allen

NYT March 7, 2012

Narrowing the New Class Divide

By CHARLES MURRAY


l  世界銀行総裁指名

Project Syndicate 2012-02-24

A World Bank for a New World

Jeffrey D. Sachs

世界銀行の総裁は、持続可能な発展を実現することが目標でなければならない。アメリカの政府がそれを指定席とみなして、ウォール街の銀行家やワシントンの政治家を指名する時代は終わった。世界を変える挑戦に取り組まねばならない。

SPIEGEL ONLINE 02/28/2012

Breaking the US's Dominance

Beijing Wants Say in Choice of World Bank Head

By Gregor Peter Schmitz in Washington

FT March 5, 2012

The World Bank is flirting with irrelevance

By Ian Goldin

FT March 5, 2012

Critical tips for choosing a World Bank head

Moisés Naím

世銀総裁にふさわしい者とは、銀行家、アメリカ大統領に親しい政治家、経済開発の専門家、外交官、巨大な多国籍企業の経営者、であるべきか? そうではない。超人的な人物しか務まらない? そうでもない。しかし、開発に関わった人物、グローバルな組織をうまく管理したことのある人物が好ましい。

FT March 8, 2012

Fresh hopes for an end to feudalism at the World Bank

Mohamed El-Erian

guardian.co.uk, Thursday 8 March 2012

Why Jeffrey Sachs would make a better World Bank president

Mark Weisbrot


WP February 26, 2012

Workers of the world: Invest!

By Steven Pearlstein, Published:

NYT March 4, 2012

A Government Bailout Saved the Auto Industry, but the City of Detroit Was Left Behind

By DAVID FIRESTONE

FT March 6, 2012

Obama is right to focus on US manufacturing

Laura Tyson

guardian.co.uk, Wednesday 7 March 2012

A good job is hard to find for Britain's young unemployed

Posted by Larry Elliott, economics editor


l  不況と右傾化

VOX 27 February 2012

Right-wing political extremism in the Great Depression

Alan de Bromhead   Barry Eichengreen   Kevin H O’Rourke

グローバルな金融危機に続く不況は、1930年代のように、政治的な分極化と過激な主張を強める危険がある。

特に民主政治の歴史が浅い国では、その崩壊の危険がある。政治システムや憲法に、ある種の柔軟性があり、新しい、反システム型の政治運動を受け入れやすい。政治文化が重要である。民主主義の歴史が長い国には、民主的な資本がある。

VOX 6 March 2012

A tale of two depressions redux

Barry Eichengreen   Kevin H O’Rourke

Project Syndicate 2012-03-08

The Inequality Trap

Kemal Derviş


guardian.co.uk, Monday 27 February 2012

Britain is being rebuilt in aid of corporate power

George Monbiot

guardian.co.uk, Monday 5 March 2012

How Ayn Rand became the new right's version of Marx

George Monbiot

FT March 8, 2012

Inequality may lead to rage against the machines

By SebastianMallaby


l  アジアの成長不安

Project Syndicate 2012-02-28

Asia’s Take on Austerity

Stephen S. Roach

WP March 1, 2012

To sustain growth, China must boost freedom

By Editorial Board, Published:

FT March 5, 2012

China’s growing inequality is undermining the regime

Yukon Huang

FT March 6, 2012

We should stop talking of an Asian century

By Chandran Nair

FP MARCH 7, 2012

Riding the Dragon

BY TREFOR MOSS |

WP March 8, 2012

Is China No. 1?

By Robert J. Samuelson, Published:

WSJ March 9, 2012

American Crisis, Chinese Opportunity

By MICHAEL AUSLIN


VOX 29 February 2012

Preventive macroprudential policy

Charles A.E. Goodhart   Enrico Perotti

ロンドン大火から学んで、次の年火災に耐えられるように、住宅は石かレンガで建築するように強制した、という歴史を、金融市場も学ぶべきだ。バーゼルⅢは、次の金融危機が拡大するのを防げるか?


l  震災から1

Bloomberg Feb 29, 2012

Japan Meltdown Moves From Reactors to Rice Bowls

By Paul Blustein

日本人は、あわてて出国した外国人たちと違って、冷静に対応した、と思う。しかし、最近の被災地から来る農産物や瓦礫に対する反応は異常である。問題を正しく理解する日本人が多数派であるなら、彼らを組織して運動を起こすべきだ。

SPIEGEL ONLINE 03/01/2012

Fukushima's Legacy

What Future Does Nuclear Power Have in Japan?

By Wieland Wagner

FT March 6, 2012

Seismic risk: from shaken to awakened

By MureDickie

Bloomberg Mar 6, 2012

Japan’s Nuclear Mobsters Don’t Share Tsunami Pain

By William Pesek -

Project Syndicate 2012-03-06

Japan’s Resilience Lessons

Margareta Wahlström

国連の災害リスク管理事務局が、兵庫フレームワークに代わる減災の考え方をまとめて、世界の政治に反映させるよう主張しています。被災地で生き残った人口の90%以上が安全な地域に逃れたことをすばらしい成果とみなすのは、世界中で、それが容易でないことを、逆に示しています。災害に強いことが、21世紀の優れたガバナンスの条件となっているのです。

2億人以上の命が災害のリスクにさらされ、昨年の経済コストは3800億ドルに達した、と推定されます。毎年1億人以上が洪水に苦しみ、37000万人が地震の多い都市に暮らします。新しいリスクが同時に影響し合って被害を拡大します。地震が福島の原発事故を導いたように。

Project Syndicate 2012-03-07

The Fukushima Syndrome

Martin Freer

guardian.co.uk, Thursday 8 March 2012

Japan tsunami: the recovery, one year on - interactive

Paddy Allen and Martin Shuttleworth

guardian.co.uk, Thursday 8 March 2012

Japan tsunami: parents still praying for chance to lay their children to rest

Justin McCurry

guardian.co.uk, Thursday 8 March 2012

After the tsunami: fishermen return to the sea to rejuvenate economy

Justin McCurry

SPIEGEL ONLINE 03/08/2012

'It Was Like the Reactor Was in a Shaker'

WP Friday, March 9, 2012

A year after the disaster of 3/11, Japan looks inward

By Fred Hiatt

何一つ、震災の前と同じであるはずがない。しかし、すべてが変わるとも思えない。困難な問題は今も困難であり、政治の動きは今も遅い.

日本人は、アメリカ人がハリケーン・カトリーナに対して示したのと同じ感情の変化を示してきた。危機を予測できなかった政府への不信、機能しない政府への怒り、復興の遅いことに対する不満。すべてが同じではない、という感覚へ。

しかし、日本人はアメリカ人のような社会の分裂を示さない。むしろ、アメリカ人と違って、日本人はアイデンティティー・クライシスの中にあって、これまでの経済成長の見直しや世界における地位の低下を受け入れて、新しい目標を模索しているように見える。人口は減少し、急速に高齢化している。

震災の後に、敗戦後や石油危機後と同じく、急速な成長を実現するのではないか、という期待があった。しかし、かつてのような成長は、今の日本に実現できないのだ。

Global Times | March 09, 2012

National bonds hide disaster exploitation in Japan

By Jiao Kun


guardian.co.uk, Wednesday 29 February 2012

Egypt a year on: This is not the Tahrir dream, but there's much to be won

Timothy Garton Ash in Cairo

guardian.co.uk, Wednesday 7 March 2012

America, the Middle East and the strange tale of Sam LaHood

Timothy Garton Ash


SPIEGEL ONLINE 02/29/2012

Fiscal Pact Referendum

'A Decisive Moment' for Ireland in Europe

By CarstenVolkery in London

FT March 5, 2012

The Irish know what is right and will vote Yes

By PeterSutherland


l  グローバル・ガバナンス

Project Syndicate 2012-02-29

Free Trade Ad Nauseam

Jagdish Bhagwati

FT March 8, 2012

Pray for no more crises for we govern by default

By Alan Beattie

ギリシャが民間部門の債券交換に成功しても問題を解決することはできないし、アメリカ共和党の大統領候補者争いが世界貿易への脅威になっているし、世界銀行の新総裁にふさわしい者を新興諸国から指名せよという声は過剰なレトリックに満ちている。こうした出来事から、世界経済のガバナンスが改善されたなどと思う者はいないだろう。


NYT February 29, 2012

Talking to North Korea, Again

FP MARCH 7, 2012

Let North Korea Keep Its Nukes

BY ANDREI LANKOV |

WP Friday, March 9, 2012

Stop feeding North Korea’s nuclear ambition

By Andrew Natsios,


l  イラン制裁と石油価格上昇

FT March 6, 2012

How to keep pressure on Iran and avoid rise in oil prices

By Ian Bremmer and Clifford Kupchan

イランに対する制裁が、石油価格の上昇によって景気回復を損なう、という危険が増している。おそらく初めて、制裁する者が制裁を受ける者よりも傷つくようなケースが起きる。

オバマ大統領のジレンマに直面する。もし制裁をしなければ、イランに対して弱腰だと非難され、再選が難しくなる。しかも、イスラエルが単独でイランの各施設を空爆する恐れがある。もし制裁すれば、景気回復が頓挫して、再選されないだろう。経済や金融と外交は切り離せない。地政学が市場を決定するように、市場が地政学を動かす。

たった一つ、オバマにできる成功する可能性のある戦略は、イランに対する強い交渉姿勢と制裁を利用しながら、中国とインドにはイランからの石油輸入を増やすように暗黙の合意を与えることだ。ただし、それは大幅に割り引いた価格である。こうすることで石油価格の上昇は抑えられ、新興諸国の景気回復は刺激され、アメリカの外交と景気回復が両立するだろう。

FT March 6, 2012

Ian Bremmer

Iran oil sanctions threaten the global economic recovery

FT March 7, 2012

Oil is the new Greece

Stephen King


Project Syndicate 2012-03-06

Burma’s Turn

Joseph E. Stiglitz


Project Syndicate 2012-03-08

What’s Wrong with Transformational Leadership?

Joseph S. Nye

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The Economist, February 25th 2012

Bombing Iran: Financial innovations: Such seething brains, such shaping fantasies

Such seething brains, such shaping fantasies

Fishing and rights: How to stop fishermen fishing

(コメント) イランが核保有すれば,その攻撃的な外交政策が地域を不安定化する,と懸念されます.特にイスラエルは,その生存をおびやかす問題です.しかし,イランの核施設を空爆しても,問題は解決できないでしょう.

しかし,イランが核武装すれば,サウジアラビアも核を手に入れ,さらにトルコやエジプトも核武装します.5か国が不安定な中東世界で核保有することの危険性は,冷戦期の米ソの核軍拡よりも危険です.

金融技術の革新が,経済や社会にとって望ましいものかどうか,グリーンスパンはその有益性を称賛しましたが,金融危機後は,それを無意味な危険として否定するヴォルカーの評価が高まりました.

ヨーロッパでも,過剰な漁獲が問題となっており,漁師の権利と漁業制限とが対立しています.どこでも漁師たちが,アイスランドのように,漁獲量を制限する規制を支持するとは限りません.

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IPEの想像力 3/12/12

226日から10日間,東北の被災地を歩きました.ガバナンスを研究するなら,日本が震災に対して示すガバナンスの意味を考えてみたい,と思ったからです.

なぜ繰り返し通貨危機に陥る国と回避できる国があるのか? なぜ大恐慌のとき,ファシズム運動や軍部の政治介入を招き,周辺諸国への侵略を選択する国と,もっと違う不況対策を選択する国があったのか? なぜ戦争や災害の後に,経済を再建する力が時代や国によって大きく異なるのか? 私はそれをガバナンスの違いとして理解できるのではないか,と思います.

被災地に行って思ったことはいろいろあります.まず,こんなに寒かったのか,ということも,実際に町を歩いてみて実感しました.洪水に流され,電気やガスもなく,暖まる術のなかった多くの人が,余震の続く夜を過ごす中で命を落としたのは無理もない,と思ったのです.

また,トンネルを超えて海の見える谷間に来れば,津波で一掃された村落の跡が現れます.三陸の地形によって,津波はその圧倒的な破壊力を強めたのだ,と思いました.人間が地形によって支配されているように感じました.

1年を経て,多くの被災地では瓦礫が(旧)市街地から一掃され,整然と集積されていました.ほとんど更地になった土地に雪が積もって,そこに町があったことを知る人でなければ,まるで開発を待つ新しい用地のように見えます.ましてや,そこで多くの人が命を失い,住宅も商店も,工場も流されて,仮設住宅に移って暮らすしかないのだ,という厳しい現実を,どうすればそれにふさわしい重さで理解することができるのか,私にはわかりませんでした.・・・あなたも肉親を失って,仮設に住んでみなければわからない,と言われても仕方ない,と恐れました.

私が被災地を歩いたのは,津波の被害を知るためではなく,コミュニティーや経済活動に対するその破壊的な影響を,この国や土地のガバナンスが,どのように効果的な救済や支援を通じて抑制できたのか,人々の苦しみを緩和し,震災で失った住宅と雇用を再び手にすることが可能であると示すことができたか,見てみたいと思ったのです.

被災地で出会った22人の方に,質問票を10枚渡して,返送してくれるようにお願いしました.10か所の仮設住宅,5か所のボランティア関係者,2か所の医療機関,そして5か所でお話しした住民の方です.

震災によって生命や財産,住宅と職場,将来に向けた様々な計画,希望を奪われた被災地域の住民にとって,私はガバナンスが3つの時間で影響したと考えます.すなわち,震災前,震災直後,復興計画,です.また,通常の行政からは大きく異なる公的サービスを求められた人々,公的部門が能力を超えた分野で,災害に積極的な対応して集まったボランティア組織や,企業のスタッフたち,彼らのもたらす新しい能力や感覚に応えた住民の側の反応が,何か新しいガバナンスの可能性を示したか,私は知りたいと思いました.

これまで私が扱ってきたガバナンスの問題は,主に二つでした.一つは通貨危機をめぐる考察,もう一つは移民問題をめぐる政策論争でした.特に,危機によって,ガバナンスの選択肢が大きく広がること,指導者やそのイデオロギーが選択に大きな意味を持つこと,住民の側にある危機・問題への「受容力」によって決定的な差が生じること,などを考えました.同じことが,震災のガバナンスによっても示されたのか,考えてみたいと思います.

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帰宅すると,『フォーリン・アフェアーズ・レポート』(2012 No.3)が届いていました.そこには二つの興味深い論説が日本語で紹介されています.A.ロビンズ「石油も石炭も原子力も必要ない世界」と,F.アジャミー「「アラブの春」とその後」です.

もしこの震災と津波の影響が日本のガバナンスを大きく変えるとしたら,それは原発とエネルギーに対する新しい姿勢を私たちが論争の中から見出すからでしょうし,「アラブの春」に負けない,日本人の政治的な覚醒が,東北だけでなく,日本各地から始まる契機になるからでしょう.

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ソフトバンクの孫正義氏はテレビ番組でスーパーグリッド構想を紹介し,人口200万人しかいないモンゴルのゴビ砂漠は,東京から北海道までと同じ距離しかなく,豊富な太陽と風力を利用できる.これを使って発電し,スーパーグリッドで日本に送れば,原発2000基分のエネルギーが手に入るだろう,と主張しました.

欧州復興開発銀行の初代総裁であったジャック・アタリ氏は,震災1年の日経新聞記事で,政府債務危機にも,人口減少の長期的展望にも,アジアの秩序再編にも,積極的な関心を示さない日本人と,政治システムの不安定さを指摘します.それでもなお,未来において必要とされる優れた技術を持ち,他人の幸福を願う日本社会の特質を実現するために,アジア共通市場を支持しています.アジア太平洋が世界貿易の中心となって,日本に人やサービスを集める中で,震災前から続く閉塞感・自殺願望を打ち破れる,と考えたからです.

NHKBS「こんなステキなにっぽんが」で,北海道函館市の大謀網の漁を観ました.北の海の豊かさを実感する映像を,被災地の荒々しい破壊の跡と比べるとき,これが同じ自然であり,接し方次第で人間に全く異なる結果をもたらす,ということを想うのです.一人ではなく,社会として,私たちの能力を高める仕組みがもっと必要です.

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