IPEの果樹園2012

今週のReview

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北朝鮮の行方 ・・・中国2012 ・・・2012年の危機 ・・・アメリカ中年国家の危機 ・・・ヨーロッパの30年戦争Ⅱ ・・・道徳を満たす資本主義

[長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  労働組合の変化

FT December 22, 2011

Trade unions and the age of austerity

30年来の最大のストライキだ、などと喜んでいる場合ではない。キャメロン首相の緊縮政策に反対する労働組合は、結局、自分たちの利益を主張しているだけではないか。政府が公務員を減らそうとしているが、民間と比べてまだまだ優遇されている自分たちの地位を、組合は守っている。

低成長のイギリスに組合が不満を強めても仕方ない。どこでも賃金は下がっている。若者や民間部門の労働者は組合が自分たちの利益を代表していない、と疑うだろう。雇用者側は厳しい競争にさらされて、労働者の非弾力的な慣行にうんざりしている。

健全な労使関係は生産現場での不満や問題を処理し、生産性を高めることで、成長をもたらす。労働組合は労働者の声を代表し、同時に、政府や雇用者側と同様に、この低成長時代を乗り切る知恵を出すべきだ。


l  北朝鮮の行方

guardian.co.uk, Friday 23 December 2011

Kim Jong-il on the escalator: dictatorships are going down

Jonathan Jones

SPIEGEL ONLINE 12/23/2011

The Third Kim

North Korea's Mysterious New Leader

外国の専門家たちが警告してきた体制崩壊は起きなかった。北朝鮮の体制は市民たちを厳しく統制し、弔問者の涙まで管理している。

アメリカ政府は金正日の死が知らされてからわずか90分後に韓国の大統領に電話し、慎重な対応を求めている。体制の強さと決意を示すため、北が軍事的な挑発に出る可能性は高い。

政治システムや金正恩の人物・思想はわからない。いずれにせよ、北朝鮮の経済は中国からの支援を必要としている。さらに、北朝鮮の変化を管理することが金正恩には求められるだろう。すでにピョンヤンには自動車が増えており、イヤリングとハイヒールの女性、携帯電話に熱中する若者もいる。韓国からTVDVDが流入している。

南北の親善ムードはすでに冷えている。韓国民の56%が南北統一を支持するが、それは1990年代の80%台から大きく落ち込み、若者ではさらに低い。再統一によるコストが韓国の繁栄を奪ってしまうことを恐れるのだ。

415日は金日成の生誕100周年だ。それまでに金正恩は新しい権力体制と方針を示さねばならない。西側で子供時代を過ごした正恩が開放的な姿勢を取るという期待がある。他方、権力は軍隊に依存し、中国への依存を強める、という見方もある。

FP DECEMBER 23, 2011

This Week at War: Preparing for the Next Korean War

BY ROBERT HADDICK

昨年、北朝鮮は韓国の艦艇を沈没させ、また島に砲撃して、合わせて50名を殺害した。金正恩が権力継承の争いを有利に進めるため、同様の軍事衝突を起こす危険性は高い。韓国は北朝鮮との軍事的エスカレーションにおいて自制を求められ、常に不利な取引を強いられる。

朝鮮戦争が再発することに準備するより、通常兵器による戦闘ではない、情報インフラの破壊などに備えるべきだ。すなわち韓国の防衛費は、ミサイル、潜水艦、情報網に関して、もっと防衛体制に投資するべきだろう。

オバマはアジア重視を主張したが、米軍が台湾を防衛するのはすでに難しいだろう。台湾の制空権を維持するためには中国本土への大規模な爆撃が必要になるからだ。アメリカの空海軍に太平洋の大規模な軍事行動を行う装備はない。

たとえアメリカの最新鋭戦闘機が中国の戦闘機より優れていても、アメリカには距離の負荷がある。グアムの基地から台湾まで3時間かかる。沖縄や日本本土の高度な基地から攻撃を加えるとしても、その場合は中国に近いため、大規模なミサイル攻撃に弱い。

NYT December 24, 2011

The Dear Leader Is Dead, Again

By WENGUANG HUANG

偉大な指導者・金正日の葬儀をYouTubeで見ていると、19769月の記憶が戻ってくる。我々が崇拝していた偉大な指導者、毛沢東が死去したときだ。

私は西安市の中心部にある中学校の生徒だった。私には理解できなかった。毛は不死身であると習っていたからだ。西側の子供たちがクリスマスを祝うように、私たちは1226日の毛沢東の誕生日を祝った。

先生たちは本当に悲しんで泣いていたと思う。黒い腕章をつけて、白い花を持ち、学校に行った。誰も冗談を言う者はいなかった。住民たちは労働隊ごとに人民広場で整列し、毛の肖像画の前で泣いた。それは、ある意味で、忠誠心を示すための競争だった。学校では各クラスで4人を選抜し、毛沢東の祭壇に4時間交替で立つことになった。私はその役に選ばれて大きな名誉を感じた。

人は死ぬものであり、死後には何もない、という唯物論を生涯において掲げた毛沢東が、その後継者たちに神のように崇められ、王朝を統率した皇帝たちのように不死の人になったのは、皮肉なことだ。

毛沢東の死後、中国はソ連のようになる、と専門家たちは予測した。スターリンの死後に、雪解けが起きたからだ。華国鋒は無名の指導者であったため、その後、毛沢東の夫人であった江青を巻き込んだ権力闘争になった。しかし、権力を握った穏健派が開放政策に転じたのだ。

私たちは慎重に世界を見て、それまで学んでいた世界で最も偉大な社会主義国家が最貧国の一つであることを知った。私たちの聖なる指導者が、実際は、政治キャンペーンのために数百万人を死亡させた野蛮な独裁者であったことも。

毛の個人崇拝は外の新鮮な空気に触れると消滅した。いたるところにあった彫像は倒され、無数にあった毛沢東バッジは鋳潰されて台所器具に変わった。

35年後の今、私は毛と同じ葬儀を北朝鮮に観て吐き気がした。子供時代の私や、先生たち、両親がそこにいる。しかし、毛沢東の死後にすべてが変わったように、私はヤドカリ王国である北朝鮮も変わると信じている。

若い指導者には何の政治的正当性もなく、改革派の指導者たちが鄧小平やフルシチョフ、ゴルバチョフに従うチャンスだ。国を開いて、経済を改革せよ。私は北朝鮮の春やグラスノシチが実現すると楽観している。

WSJ DECEMBER 28, 2011

Falling Out of Love With North Korea

By CHUNG MIN LEE

WP December 30, 2011

North Korea’s human rights abuses must end

By Kim Moon-soo

推定で10万人の韓国民が北朝鮮へ拉致された。朝鮮戦争後、約15万人の北朝鮮国民が政治犯として収容所に送られた。逮捕や飢餓を免れるために、毎日、命がけで北朝鮮を逃れる者がいる。

1980年代に2年半の間、韓国が軍政下にあった暗黒の時代、私は民主化と労働運動のために活動し、投獄された。内外の人権運動が私の最大の希望であった。暗黒の時代にあれば、誰かがあなたのことを想い、あなたのために祈っているということこそ、最大の頼りである。

北朝鮮の抑圧体制に、我々が希望の光を投げねばならない。もしそうしなければ、南北が統一されたとき、「私たちが絶望していたとき、あなたは何をしてくれたか?」と問う北朝鮮の人々に、我々は何と答えるのか?


l  ハベルを読む

SPIEGEL ONLINE 12/23/2011

Remembering Vaclav Havel

A Moral Giant among Pygmies

By Erich Follath

Project Syndicate 2011-12-23

The Power of China’s Powerless

Ma Jian

北朝鮮で金正日が死亡し、中国の烏坎(Wukan)村では住民運動が激化した。もし死ぬ前に、前者を知ればハベルは悲観し、後者を知ることで希望を持っただろう。中国でも、ロシアでも、人々は物質的な満足のために受動的な政治姿勢を取ることをやめつつある。

尊厳と自由を取り戻す中国の08憲章も、ハベルの77憲章に従ったものだ。

WSJ DECEMBER 28, 2011

Beijing's Fear of the Powerless

WSJ DECEMBER 29, 2011

Reading Havel in Beijing

By ROWENA XIAOQING HE

現代の中国ほど、1970年代の東欧に似たところはない。ハベルは平和的な闘争によって、チェコスロヴァキアに自由を取り戻した。

ハベルは警告した。親族を守り、消費を求めることで、われわれは人間性を失い、互いの道義的な関係も破壊する。誰が始めるのか? この悪循環を破るのはだれか? 唯一の出発点は、私自身だ。


l  中国2012

FP DECEMBER 23, 2011

The Spirit of Wukan

BY RACHEL BEITARIE

WP December 24, 2011

We all have a stake in China’s real estate bubble

NYT December 26, 2011

Dealing With China’s Troubles

中国経済は困難に直面しているようだ。中国の指導者と貿易相手国がこの世界最大の輸出国に起きた経済的苦境を世界中の貿易摩擦に結びつけることがないように注意しなければ、これが世界にとって大問題になるだろう。

中国の住宅バブルは破裂し、建設への需要が低下して鉄鋼生産は減少しており、不動産開発業者がよろめき、銀行も危機にある。金融政策を引き締めてきたが、政府は先月から緩和に転じ、銀行の準備金も減らした。何より、中国の輸出が減速している。

中国がハード・ランディングすれば、それはブラジルからロシアまで、中国の建設需要を満たしてきた鉄鋼、木材、その他の一次産品の輸出業者に影響する。中国は世界経済に残された重要な成長のエンジンであった。

貿易戦争に向かう、という大きなリスクがある。中国の指導者たちは成長を実現するパワーを示すために、近隣窮乏化政策を取る誘惑にかられる。それはすでにユーロ危機で傷ついた脆弱な世界経済を不安定化するだろう。

中国の政策はその危険な兆候を示した。今月初めにアメリカ製の高級車の輸入に関税を課したのだ。そんな自動車はもともと中国で少ししか売れないから、それは、アメリカが中国の輸出補助金に対して制裁すれば中国も報復するぞ、という警告と見られている。また、人民元の増価も顕著に遅くなった。

オバマ政権は中国の開放性をWTOで求めるべきだが、その主張は多角的に行うべきだ。すなわち、ルールに従うよう、他国と一緒に中国に圧力をかけるのだ。議会が人民元レートの操作に対して制裁を科すようなことは、むしろ有害である。

中国の行動が求められている。中国政府は輸出に頼ってはいけない。むしろ国内の低所得者向け住宅建設に投資し、公的な医療保険制度を整備するべきだ。それは消費による成長を促し、輸出市場への依存や投資バブルに頼る中国経済を変えるだろう。しかし、そのような国内需要による中国の成長が、世界経済も刺激するのだ。

Global Times | December 26, 2011

China still long way from scaling economic peaks

By He Zili

Global Times | December 26, 2011

Speculative frenzy threatens real economy

Long Guoqiang()

FT December 27, 2011

China in 2012: fixated on stability as the pressures grow

Yukon Huang

2012年、中国は第5世代の指導者に交代するだけでなく、低成長に減速する年になる。しかもこの移行は、社会不安、所得格差、環境破壊、など、国内に多くの課題を抱え、国際的にもアメリカとのアジアにおける衝突やアジア諸国の不安に対処しなければならない。ところが、政治指導部の交代は安定性を重視させるために、政策の弾力性を失うだろう。

8%の低成長なら中国の環境にとってより持続的であろう。しかし、ユーロ危機など、様々な力が経済危機の衝撃を強める。中国にも金融的な脆弱性や下降の悪循環が現れる。政府がこれを政策によって完全に管理することは難しい。

特に、不平等は不公正の感覚をもたらし、下層市民とされたままの2億人の出稼ぎ労働者や、官僚の腐敗は深刻な問題だ。また、中国の台頭は、文化大革命を知らない世代のナショナリズムを刺激する。その好戦的な姿勢が、領海や領土問題で周辺諸国との摩擦や警戒心を強めている。さらにアジア地域における米中の役割が変化する場合、その衝突が強まるだろう。

2012年は、指導部が後退する前であるから、政策に積極的な長期の視点を欠いてしまう。

(China Daily) 2011-12-27

US' empire state of mind

By Doug Bandow

アメリカの対中政策は"congagement" - mixing containment and engagementである。封じ込めと世界市場への包摂とを兼ねているのだ。貿易による利益を得ると同時に、より豊かで、自己主張するようになった中国を恐れている。その結果、アメリカの政策は矛盾したものになる。

アメリカはその政策を技術や経済競争力の優位によって実現したいのだが、同時に、その莫大な債務を維持している債権国が帝国を維持しているのを無視しようとする。しかも、アメリカの軍事的な拡大は利己的なものではなく、友好諸国を守り、グローバルな公共財を供給している、という。ところが、中国は利己的で、アメリカの利益を脅かす、というわけだ。

アジア太平洋における軍事強化を主張するオバマ政権に対して、Xinhua News Agencyが「アヘン戦争以来中国は470回以上の攻撃を受け、海からの侵略に苦しんだ」と指摘したのは当然だ。この数十年間で、アメリカ、インド、日本、ロシア、韓国、ベトナムと戦争した中国の安全保障に関する懸念こそ、正当なものである。

アメリカは中国に対する政策を変えるべきだ。米中との衝突を回避することが主要な目的である。現在の超大国と次の超大国が、協力するか、敵対するかで、21世紀は大きく変わる。アメリカは地球の裏側から地域の個々の事件を管理するような政策をやめるべきだ。インドも中国と同じように考えるだろう。アジア太平洋は、アメリカ一国の管理ではなく、多極化する。

(chinadaily.com.cn) 2011-12-27

China's pivotal role in world economy in 2012

By John Ross

WP December 28, 2011

Why isn’t the West reacting to China’s crackdown?

Project Syndicate 2011-12-28

When China Rules

Ivan Krastev

中国の支配する世界は、アメリカが支配する世界と異なるだろう。それは、アメリカが移民を受け入れるだけで、自ら移民となって国を離れたことがないからだ。アメリカは自分たちを「るつぼ」とみなし、アメリカン・ドリームによって世界中をアメリカ化してきた。他方、中国人は歴史上、何度も国外に流出して、外国の支配者の下で生きてきた。彼らは外国の支配を受け入れながらも、それとは別にチャイナ・タウンを設けて、自分たちの暮らしを守った。中国人は、その土地に適応するだけであり、自ら変容することはない。

アメリカ人は外国も自分たちと価値を共有することを好む。中国人は、誰もが中国人のようにふるまう世界を恐れる。だから中国が支配する世界では、中国人が新しいルールを決めるよりも、既存のルールから中国が最大の利益を得るようにするだろう。

FT December 28, 2011

Stop fretting about Beijing as a global policeman

By Jonas Parello-Plesner and ParagKhanna

ヨーロッパの債務危機とアメリカの防衛予算削減とが重なって、中国は国際的な安定化により大きな責任を果たすという期待が高まっている。予想より早く、アメリカは中国を世界の警察官として迎え入れるのか?

中国のビジネスが世界中で摩擦なく拡大できるハネムーン期間はすでに終わった。中国の利害は国境を越えて拡大し、海外投資、油田、海上輸送の安全保障、出稼ぎ労働者の身の安全、などを求めて、フロンティアの治安にかかわりを深めている。

10月、メコン川で中国人船員が13人も殺害された後、中国は武装した哨戒艇をビルマ、ラオス、タイにおいて活動させるようになった。そこは悪名高い「黄金のトライアングル地帯」であり、中国は今や、事実上、メコン川の警察官だ。

ザイールの選挙で中国投資が問題になったり、親中のビルマが地域住民の反対で中国企業のダム建設を止めたりしている。中国はますます、資源を求めて海外に投資し、労働者を派遣している。リビアでは35000人以上の中国人労働者が、空爆を逃れて国外退去した。

かつて大国は自身の戦略によってではなく、むしろ突発事件によって、外国への関与を深めた。東インド会社の商業的な冒険が、イギリスに中国への介入を強いて、結局、アヘン戦争につながった。

従来、中国は外国政府に協力し、その安全と利益を守ったし、アフガニスタンのように、西側の治安維持活動にただ乗りした。しかし、信頼できる政府のないソマリアでは、アデン湾における海賊の取り締まりに大規模な関与を強いられている。中国は、国連についてもその姿勢を変えつつあり、4つの常任理事国の中で最も多くの兵士を平和維持軍に出している。かつて西側がしたように、今では国連の正当性を中国が利用する。

西側は、これを脅威ではなく、機会とみなすべきだ。中国がこれまで、イラン、北朝鮮、スーダンについて不介入の立場をとってきたことを転換させるチャンスである。これは西側が主張してきた「責任あるステークホルダー」を引き受けたというのではなく、中国自身の利益なのだ。既存の政治体制と交渉するだけでは不十分だ、と中国も気付いた。メコン川、アデン湾、カタンガの銅山地帯、など、世界の資源採取や輸送路を確保するには、その一帯に広がる武装集団や海賊を鎮圧しなければならない。それは各国の独裁者と手を結ぶだけでは実現できない。

もし中国の行動を促すなら、帝国主義の失敗や多くの欠陥を回避して、中国は一気に国際的な役割を引き受けるかもしれない。

FT December 28, 2011

China’s greatest threat is internal

By Richard Haass

中国の脅威をアメリカやアジア諸国は議論しているが、中国が議論しているのはもっぱら国内の脅威である。

アメリカはこれを利用してはいけない。中国を孤立させることは、彼らの怨嗟を強めるだけだ。経済、温暖化、核拡散防止、グローバルな枠組みに中国の参加を維持することが世界の利益になる。挑戦は党が平和的に再統一し、イランが核武装せず、パキスタンが崩壊するのを食い止めるには、中国の協力が必要だ。

中国が攻撃的になることを抑える手段も必要だが、封じ込め政策は敵対関係を強め、誰の利益にもならない。

WSJ DECEMBER 29, 2011

Happy New Year, China?

By JOSEPH STERNBERG


l  ロシアの春

FP DECEMBER 23, 2011

The Man Who Got Russia Right

BY SUSAN B. GLASSER

ロシアを理解した最高の外交官について歴史家が評伝を書いた。John Lewis Gaddis, George F. Kennan: An American Life.

ロシアは、ナショナリズムと国際共産主義という毒性の高い混合物であった。それが、弾圧はできるけれど、決して征服することはできない人民を吸収して、過剰拡張した帝国となっていた。「封じ込め政策」は、ソ連社会の弱さを観て書かれた。

NYT December 23, 2011

The Next Russian Revolution?

By ROBERT SERVICE

20年前、ミハイル・ゴルバチョフはグローバルな大実験に終わりを告げた。ソビエト連邦は解体し、15の独立した共和国になった。そして資本主義がソビエトの計画経済に代わった。

その後、20年間、ロシア人は抑圧的で腐敗した体制の下で沈黙してきた。しかし、今月初めの選挙における顕著な不自然さに、推定で5万人が街頭に出て抗議した。それは共産主義が崩壊した日から、最大のデモとなった。

ソビエト連邦崩壊から20年を経て、ようやくロシア人は自分たちの権利を主張し始めた。

NYT December 24, 2011

When Regime Change Came With a Whimper

By SERGE SCHMEMANN

FP DECEMBER 24, 2011

Won't Get Fooled Again

BY JULIA IOFFE

NYT December 25, 2011

Putin’s Children

By BILL KELLER

FP DECEMBER 28, 2011

The End of Putin

INTERVIEW BY JULIA IOFFE


l  2012年の危機

WP December 23, 2011

For the world’s bad guys, 2011 was a dangerous year

By Richard N. Haass

FP DECEMBER 27, 2011

Next Year's Wars

BY LOUISE ARBOUR | DECEMBER 27, 2011

FP DECEMBER 27, 2011

Why attacking Iran is still a bad idea

Posted By Stephen M. Walt

イランの核武装を未然に防ぐため、アメリカは戦争するべきだ。Matthew Kroenigは最近のForeign Affairsでそう主張した。私の以前の反論は同じように有効だ。攻撃しなかった場合の最悪のケースと、攻撃した場合の最善のケースを使って、彼は攻撃を支持する。

guardian.co.uk, Thursday 29 December 2011

Simon Tisdall's 2012 world preview: no peace, no prosperity, no progress

Simon Tisdall

2012年の世界に起きる政治的ショックを予想する。

中東、アフリカ、アジアの紛争地帯では、2012年も解決の見込みはなく、むしろ悪化する条件がある。

欧米の通貨・政府債務危機は世界市場を脅かし、広範な不況につながる恐れがある。

ナショナリズムの再生、腐敗した選挙、不安と妬みを煽る政治が広まっている。グローバルな指導力は形成できないだろう。

5つの安保理常任理事国のうち、4つで選挙がある。これらの国の政治家たちは国際情勢に関心を持たず、関与したがらない。特にアメリカだ。

中国とロシアでも選挙がある。プーチンの当選は今も確かだろうが、その輝きは失せた。そして好戦的なナショナリズムに傾斜していくだろう。っ中国では共産党大会が後継問題を起こすことはない。しかし、国内では経済の悪化と関わって社会不安が生じ、輸出の減少とアジア太平洋における緊張が、攻撃的な外交に結びつきやすい。

フランスでも、サルコジは2期目を目指すが、改革派よりも保守派のド・ゴール主義に向かうだろう。ユーロ危機の処理とその影響である失業やフランス経済の不況によって評価される。財政赤字を削る政策は転換できそうにない。イギリスを悪者にし、メルケルとの反目も生じる可能性がある。

アラブの春は1年を経たが、その成果はあいまいだ。2011年の素晴らしい民主化と自決の広がりは、2012年のシリアにおけるアサドの生き残りに関心が移る。もしシリアでアサド大統領が失脚すれば、それはレバノン、パレスチナ、イラクの混乱を生むだろう。それを機会と見て、シリアの同盟者を失ったイランにイスラエルが行動を起こすかもしれない。それはアメリカ大統領選挙にとっても致命的だ。

2012年には潜在的な紛争の種が増える。境界や資源をめぐって多くの紛争が起きそうだ。コンゴ民主共和国の選挙後の紛争はもっと広がるかもしれない。キリスト教とイスラム教のぶつかるナイジェリアの過激派Boko Haramによる殺戮は収まりそうにない。

東アジアでは北朝鮮の金正恩が体制を維持できるか、ビルマの政治改革が続くのか、わからない。アフガニスタンもパキスタンも慢性的な不安が続く。

ユーロ危機がヨーロッパの政治的分裂を強め、独仏同盟を破壊するかもしれない。ヴェネズエラやジンバブエの指導者は予想外の切り札だ。

FP DECEMBER 29, 2011

Why we (keep) fighting

Posted By Stephen M. Walt


Project Syndicate 2011-12-23

The Insider Brain Gain

Esther Dyson

FP DECEMBER 29, 2011

In Praise of Brain Drain

BY ROBERT GUEST


l  アジアの均衡

Project Syndicate 2011-12-23

Present at the Asian Creation

Jaswant Singh

アジアの安全保障に関する秩序が、今、構築されつつある。それは中国の台頭だけでなく、アメリカや西側がアジアの安全保障から退くかもしれない、と予想するからだ。

少しずつ、地域の大国は行動し始め、安全保障を高める協力関係を築いている。たとえばオーストラリア政府は、インドに核燃料を供給し、西部にアメリカ軍の駐留を認めた。インドとアメリカは日本との安全保障を強化し、3国が三角形で行動し始めている。インドは日本や韓国との関係も今まで低調であったが、強化している。日本とインドは防衛政策の協議を開始した。

中国はこうした動きに反発しているが、南シナ海だけでなく、太平洋からインド洋まで、海上の安全保障はつながっている。


l  アメリカ中年国家の危機

FT December 23, 2011

The year Americans will decide about inequality

Michael Ignatieff

FDR(フランクリン・D・ルーズベルト)からオバマは何を学ぶのか? まず、不平等を非難する演説を学ぶ。

NYT December 26, 2011

Midlife Crisis Economics

By DAVID BROOKS

オバマ政権は大恐慌や1930年代、FDRのニュー・ディール政策から学んだ。しかし、1930年代は今と違って、人々は不安を和らげ、自信を回復してくれるよう政府に求めた。今は、むしろ人々が政府を恐れている。

オバマの政府はニュー・ディールをあきらめたが、まだ20世紀の進歩派の政府を目指している。上層部への富の集中を非難している。

しかし、これは表面的だ。今はかつてのように活発な成長が雇用をもたらさない。金融危機後の回復では、企業が雇用を増やさず、活力を欠いている。さらに情報経済が様々な変化をもたらした。

不平等も拡大したが、それは20世紀に政府が再分配したように管理すべきではない。かつてはアメリカ経済が思春期であり、今は中年だ。経済に必要なのは若返りである。

政府の挑戦も変わった。かつて労働も安全規制も制度もなかったが、今では、巨大な政府と多くの規制がある。むしろ、制度の効率が不足しているのだ。アメリカはどこよりも多くの支出を教育や医療に対して行っているが、その成果は乏しい。

100年前は、リバタリアンの経済学と保守的な価値観があった。今は、寡占型の経済学とリバタリアンの価値観がある。それは経済活動にとってひどい組み合わせだ。

アメリカはその若さと活力を失い、中年となって、勝手な暮らしをしている。アメリカは、生産的な中年の危機を必要としている。


l  ヨーロッパの30年戦争Ⅱ

FT December 23, 2011

Will Europe’s crisis reconcile Asia with the IMF?

Jean Pisani-Ferry

なお貧しいアジアがなおも裕福なヨーロッパを救済する、というのはやりにくい話だ。アジア諸国は1990年代後半の危機でIMF融資を得るのに苦しんだことを覚えている。

それでもアジアがユーロ危機を抑えることには意味がある。なぜなら、アジアはヨーロッパの不況から損失を受けるし、ドル安に代わる投資先としてユーロを重視しなければならないからだ。しかし、直接に投資してヨーロッパ諸国での改革を進める、とは期待できない。つまり、IMFを介して改革を進めつつ、ユーロ圏に融資するのが望ましいのだ。

こうしてユーロ危機のおかげで、アジアとIMFは和解できる。

Project Syndicate 2011-12-27

Restoring European Growth

Jim Leitner, NunoMonteiro and Ian Shapiro

ユーロ危機を克服するためには、債務を大幅に減額するだけでなく、債務国の成長が必要だ。そこで、アルゼンチンの経験から学び、債務国のGDPに結びつけたワラント(GDPワラント)と一緒に、旧債券を新債券に転換する。こうすることで債務国の成長を促す条件を債権者(銀行や債権国政府)も共有できるからだ。

FT December 28, 2011

Grim lessons from the 30 years war

By Wolfgang Münchau

現在の金融危機を歴史的な比較で考察するとき、大恐慌と比較するより、1618-48年の30年戦争と比較することも有益だ。

ユーロ圏の危機や戦争は突然のパワー・シフトに際して起きた。それは小さな事件から始まって、次第に複雑になった。それはまた地域のパワー・シフトをともなった。1618年には、それまでに神聖ローマ帝国がカソリックとプロテスタントの領地に分裂していた。1617年、ボヘミアの王が代わったとき、パワー・シフトが起きた。1年後に暴徒が王宮を襲った。戦争は4期に分かれ、それぞれ外国勢力(デンマーク、スウェーデン、フランス)の介入をともなった。

ユーロ圏の内部でも、増大するドイツの経済パワーにともない、この5年間にパワー・シフトが起きた。30年戦争と同じように、小国の債務危機から始まって、プロテスタントの北部とカソリック/ギリシャ正教の南部とが対立している。さらに古い、イギリスと大陸との戦いも重なった。ヨーロッパはますます複雑になっている。

ドイツ圏は30年戦争にかかわって20-45%の人口を失った。ユーロ危機が戦争になるとは思わないし、30年間も続くとは思わないが、もしドイツがその財政緊縮策をユーロ圏全体に押し付けるなら、同様の経済的惨禍を残すだろう。

確かに土地をめぐる国家間の争いはヨーロッパ統合において克服された。紛争は深夜に及ぶブラッセルのサミットに代わったのだ。しかし、プロテスタントとカソリック、南北、イギリスと大陸、のような文化的対立はなくならない。それこそヨーロッパの通貨統合がこれほど非合理的で不均衡な理由の一つだ。それは合理的な経済理論ではなく、非常に古くからあるドイツ的な疑念である。

むしろ、私が非常に戸惑うのは、1648年に30年戦争を終えたヨーロッパと、ユーロ危機を抑えるために合意する内容とが、非常に似ていることだ。オランダはスペインから独立し、ドイツのプロテスタントは影響力を強め、バヴァリア、ブランデンブルグが独立した。後者は半世紀後のプロシアに発展する。神聖ローマ帝国は完全に形骸化したまま150年を生き延び、ヨーロッパの分裂状態は続き、300年後の大殺戮に向かう。

1968年、30年戦争はウェストファリア条約で終わった。それは現代のファン・ロンパイが包括的解決策と呼ぶものである。紛争は何も解決していない。30年戦争が教えるのは、ヨーロッパ人が問題の解決をいかに長く引き伸ばすか、ということだ。

SPIEGEL ONLINE 12/28/2011

Deeply Divided 

New Greek Government Runs Out of Steam

By Ferry Batzoglou in Athens

Project Syndicate 2011-12-28

The French Don’t Get It

Martin Feldstein

フランスはユーロ圏が財政破たんした諸国と同じ通貨を利用することだというのをわかっていない。フランスの格付けが下がったからと言って、イギリスの格付けは下がらない。イギリスの財政破たんは起きないからだ。逆に、フランスは勝手にユーロを発行できない。イギリスはポンドの減価で対外赤字を減らすこともできる。フランスにはそれが期待できない。さらに、異質な経済を共通の金融政策で結びつける結果は、その失業者増大に見られる。

ユーロ危機を解決するのは、フランスが主張するような政治同盟ではなく、各国の政策転換だ。イタリア、スペイン、フランスが、グローバルな投資家たちに、財政の黒字化と債務のGDP比率を低下させる見通しを確信させることができたら、それでよいのだ。

guardian.co.uk, Thursday 29 December 2011

Ireland has done what the IMF wanted, but where is the reward?

Gavan Titley and John O'Brennan

20089月に政府の保証した銀行部門が破たんして、アイルランドはIMFEUECBのトロイカによる緊縮政策実験場になった。トロイカの融資条件として繰り返し財政支出を削減し、政府は抵抗することなくこれらを実行した。国民一人当たり4600ユーロの削減を実行し、これは豊かな世界では最大規模である。世界金融危機のコストを労働者や貧しい人々に押し付けた、と批判されている。

IMFは融資条件を守らないギリシャを非難するが、それを忠実に守ったアイルランドでも財政赤字は増大し、成長は失われ、人口流出が続き、失業率は15%に達している。アイルランドの優秀さをIMFが称賛しても、この成果には誰も喜ばない。債務の負担を社会化しただけであった。

FT December 29, 2011

It’s time for the IMF to stand up to the European bullies

Mohamed El-Erian

Project Syndicate 2011-12-29

Two Models for Europe

Hans-Werner Sinn

再びユーロ圏内の政府債券の間で金利差が広がってきた。夏以降、イタリアとフランスから3000億ユーロが流出した。紙幣を印刷しても流出は止まらない。

もし資本規制を望まないなら、ユーロ圏は二つの選択肢を持つ。各国によるユーロの印刷を止めるか、不確実とみなされた政府に保証を与えるか。

前者はアメリカ型だ。債券購入者がリスクを負い、州政府は破たんすることもある。後者は社会主義型だ。投資家への保証は、ユーロ債などを通じて、政府債務を社会化する。相互に補償する結果、政府債券間の金利差はなくなる。健全でない国も低金利を得られる。

ユーロ圏が各国の自由なユーロ印刷を許す現状では、社会主義型に向かうだろう。これをドイツが黙認すれば、その結果、ヨーロッパの破滅に至る。ルクセンブルグのEFSFが社会主義計画局に代わり、投資を配分する。資源配分の浪費が成長を奪い、コア諸国でも停滞が広がる。

財政赤字への融資をユーロ圏の財務省が管理しても、事態は改善できない。債務諸国が集まってルールを決めるからだ。ユーロ債の追加供給は政府部門を潤すだけで、民間部門は資本を得られず、財政規模の拡大に圧迫される。ECBの設立時に主任エコノミストであったOtmar Issingは、これを「隷属への道」と呼ぶ。

しかもこれは容易な道ではない。資本輸出国の納税者も労働組合も反発するだろう。特にドイツでは、ユーロ誕生と同様に、ユーロ債の導入で赤字国の危機が再発すれば、大きな不満が生じる。

ユーロ圏にはアメリカ型しか残されていない。各国の信用に応じて長期・短期の金利は決まる。低金利を望むなら、本物の担保で保証するしかない。アメリカ型を緩和する方法はある。

WSJ DECEMBER 29, 2011

Britain's Future Lies With America, Not Europe

By IAIN MURRAY AND JAMES C. BENNETT


l  道徳を満たす資本主義

guardian.co.uk, Sunday 25 December 2011

The case for moral capitalism

Roger Backhouse and Bradley Bateman

社会に受け入れられるようなビジネスマンとは何か? 道義的に受け入れ可能な資本主義に改造できるか? 金融ビジネスの暴走について、多くの人が考えた。

それは1923年のJ.M.ケインズも指摘した問いだ。ドイツのハイパーインフレーション、マルク価値の暴落、物価の変動により外国為替市場は混乱し、雇用が大きく損なわれた。

ケインズは社会主義や共産主義、ファシズムを攻撃し、資本主義こそが生活水準の改善と個人の自由を保障すると信じていた。しかし、共産主義やファシズムに向かった多くの者と同じように、ケインズも資本主義に革命を求めた。そのためには失業を解消し、資本主義を破滅させる国際通貨制度を設計する責任を負った。

我々は今、道義的に受け入れ可能な資本主義、という同じ課題に直面している。そのためには過去の思想や外国の経験から学ばねばならない。投機とビジネスを分けるのは難しいし、市場において合法的な取引と非合法な取引とは変化してきた。支出削減だけを重視するのではなく、支払う能力のある者に増税することは悪ではなく、公共財の供給に必要なことだ。金融取引にトービン税を課すことは、ユーロ危機を鎮静化する財源ではなく、金融システムの安定化や貧困救済の「ロビンフッド税」と見なせる。

繁栄と自由を望むなら、資本主義システムの道義的な欠陥を無視してはいけない。

NYT December 25, 2011

Springtime for Toxics

By PAUL KRUGMAN

クリスマスに、我々が健康で豊かになれる贈り物は何か? と考えた。EPA(環境保護庁)を子供たちに贈ろう。

FT December 27, 2011

Capitalism is dead; long live capitalism

資本主義は人類が知るもっとも繁栄をもたらすシステムだ。しかし、市場システムは変化しないのではなく、むしろその高い適応力によって繁栄してきた。200年前には、有限責任も、個人破産も、中央銀行も、環境規制も、失業保険もなかった。それらは、強い経済的・政治的圧力が市場の制度を変えた結果である。

FT December 28, 2011

The Tories must lead our soul-search on capitalism

By Jesse Norman


l  日本は?

Global Times | December 26, 2011

A fresh method of looking at Japan

By Yu Jincui

日本の侵略に対する防衛策を考えることから、中国がその地位を上昇させるための様々な障害を反映した隣国とみなすときだ。あまりにも高い期待が不満を生じさせる。

中国と日本が東アジアの覇権を争うといわれるが、東アジアは一国が支配できる地域ではない。パワー・ゲームをやめるべきだ。発展を通じて自信を深めた中国は、日本からも学べる。

guardian.co.uk, Tuesday 27 December 2011

Japan leads the way in sexless love

Roland Kelts

(China Daily) 2011-12-27

Neighborly partners rather than rivals

By Ye Xiaowen

(China Daily) 2011-12-27

A tale of two Asian neighbors

By AthushiKokethu

WSJ DECEMBER 28, 2011

Criticizing the Yen Again

WSJ DECEMBER 28, 2011

U.S. Criticizes Japan, China on Currencies

By TOM BARKLEY And SUDEEP REDDY

アメリカ財務省は、中国人民元の通貨操作を監視するだけでなく、日本の円にも強い警告を発した。

Project Syndicate 2011-12-28

Asia’s Natural-Born Allies

Brahma Chellaney

将来のバランス・オブ・パワーは東アジアとインド洋で決まる。日本とインドの関係を強化せよ。

WSJ DECEMBER 29, 2011

The Wrong Tax for Japan

By RICHARD KATZ

消費税の増税よりも、都市部における「農地」の非課税を改めるべきだ。


WP December 26, 2011

From Iraq’s guardian to its counselor

By David Ignatius

WP December 27, 2011

The lost opportunity in Iraq

By Jessica T. Mathews

NYT December 27, 2011

How to Save Iraq From Civil War

By AYAD ALLAWI, OSAMA AL-NUJAIFI and RAFE AL-ESSAWI


l  集団行動

FT December 27, 2011

Crowd behaviour: United they stand

By Clive Cookson and Daryl Ilbury

ユーロ危機とアラブの春には共通した社会・政治的特徴がある。

2011年の社会変動を支配したのは、共通のアイデンティティを示し、政治的意思決定に参加する能力を得ようとする人々の行動だった。

集団の中で個人がどのような行動を取るか、社会学や心理学は研究してきた。社会や政治には新しい亀裂が深まって、競争や不信を強めているが、社会に広がる革新的な情報メディアは新しい帰属意識や集団間の対抗関係をもたらしている。


FT December 27, 2011

Far too soon to write off America

By Ian Bremmer


Project Syndicate 2011-12-27

Why India is Riskier than China

Stephen S. Roach


WSJ DECEMBER 29, 2011

Thailand's False Peace

By PAVIN CHACHAVALPONGPUN

タイにおける政治闘争は、都市エリートと農民の対立から、次第に王室も巻き込んだ都市下層の不満によって激化しつつある。新首相が官僚制度や軍、旧エリートとの妥協に依拠して鎮静化を図る姿勢には限界が来るだろう。

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The Economist, December th 2011

Central Asia: Make a new plan, Stans

Kazakhstan at 20: Not-quite-eternal Nursultan

Exams in South Korea: The one-shot society

(コメント) 特別号から、今週は、アジアについて面白い記事、中央アジアのカザフスタンと、韓国の受験戦争、を紹介します。

ソ連が崩壊したことで独立国家になったカザフスタンは、そのままナザルバーエフが共産党書記長から大統領になって、民主的な選挙を建前としては取りながら、強固な独裁体制を続けています。辺境における豊富な資源(ウラン、石油、など)が世界市場と結びついて富をもたらし、それを管理する少数者に権力を集中させる結果、腐敗や内戦が起きることは各地で見られます。ナザルバーエフは、隣国のウズベキスタンが経済統制を緩和しなかったのに比べて、市場の自由化・開放を指導し、外国資本を招き入れました。そして、富の流入による社会変化を管理して、一人当たり1万ドルを超える豊かさで政治的支持を買ったわけです。首都も、国境近くから内部に移し、人工的な超近代都市を建設しました。

記事は、もしナザルバーエフが、息子への権力移譲ではなく、複数政党制の民主的選挙によって後継者を選ぶなら、彼が広めたがっている中央アジアの安定の支柱というイメージを称揚して、カザフスタン政府を欧米が支援するべきだろう、と主張します。しかし、広大な面積と分散した部族の持つ支配が、権力の移行期に発火する危険性は高まるはずです。

全く異質な視点から興味深いのは、韓国の受験戦争です。チェボルと呼ばれる財閥企業群が先進工業諸国に向けてキャッチ・アップする過程を支配した間は、この受験戦争が成長のために有効でした。しかし、若者や女性を抑圧し、1世代で人口が半減していくような出生率に落ち込むに至って、親たちの受験意識は変わらなくても、政府は方針転換を模索します。

中国の経済政策、インドの市場改革をめぐる政争、日本の国内停滞に窮した企業の海外投資、も紹介されています。

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IPEの想像力 1/2/12

The Economistのクリスマス・年末特別号から。

1110日は韓国の大学受験日です。町は静かで、飛行機も飛ばず、会社は遅く始まります。受験生が大学に向かうのを優先するからです。試験会場を探す学生には、緊急車両が急行します。

韓国社会にとって最も重要な一日とは、大学の受験日なのです。

入学試験の成績が、官僚や大企業への道を開き、終身雇用と栄達を約束するのであれば、そのために親子が最大限の努力と投資をささげるのはやむをえません。少なくとも、最近まで。

記事はそのメリットとして、何よりも効率性を挙げます。社会に限られた数しかいない、秀でた知性を持つ若者を政府や大企業が活用することで、韓国は「奇跡」を実現しました。1960年には裸足の貧しい労働者の国が、今では世界有数の先進工業国・輸出大国です。

しかし、そこには膨大なコストがともないました。・・・「高校は地獄だ。」 子供たちは、すべての楽しみをあきらめます。朝の7時から午後4時まで学校で勉強し、そのあと、図書館で深夜まで勉強します。休日もなく、3つの塾に通います。大学に行きたいとは思わないが、周りがそれを求めるから、と子供たちは答えます。韓国では、大卒でなければ、まともな企業に就職できない、と。

「狼のように」がつがつと、短時間に弁当を食べて、昼休みだけは友人たちとサッカーできる、という描写が胸を打ちます。15-24歳の人口10万人当り自殺者の数は、アメリカ10人、中国7人、イギリス5人、それに比べて、韓国は15人です。

両親が負担する経済コストも重大で、塾の費用が月の収入の16%を占める、と指摘します。ところが今や、大卒者の46%が職を見つけられない、というのです。それ以上に深刻なのは、大学を出た女性が結婚や出産を避けることです。休職や復職は韓国の企業文化に受け入れられず、子供の受験にも女性は大きな責任を負わされます。女性が生涯に産む子供の数は、1960年の6から、2009年には1.15にまで低下し、その数字は各世代で人口が半減するという破壊力を示しています。

そして、子供たちも勉強をやめてしまいます。ミュージシャンになる若者、終身雇用を嫌い、短期・不定期雇用に就く若者、我慢して仕事を続ける若者。・・・自分の企業や職場を嫌う比率は、日本を除いて、他国よりも高い、というのです。昼夜を問わずにハード・ワークで会社に忠誠をささげるのは、大企業のごく一部の社員であり、多くの優れた人材は育たないまま捨てられています。

今では、外国で学ぶ者や、大学に進まず、自立して起業する者も少しずつ現れています。

ロナルド・ドーアの『学歴社会』は、キャッチ・アップ型の成長を目指す途上諸国がかかる社会的病気として「学歴病」を考察しています。日本ではタクシーの運転手も大学卒の資格を持っています。それと同時に、学歴インフレーションも進み、学歴爆発とでも呼ぶべきか、入学者を膨張させる大学や底なしになる大学が現れます。

受験に苦しむ世代がどのように数年を過ごすか(消耗し、疲弊し、自虐的に鬱屈する・・・)は、彼ら個人の問題である以上に、社会の示す姿勢や病癖です。豊かになった韓国は、これを変えなければなりません。急速に若者や労働者は減少します。受験勉強のストレスも受け入れないでしょう。10代の子供たちが、その潜在的な才能を、もっと多くの方法や場所で高められる方が、社会は豊かになるでしょう。

それはまた、日本についての不安です。最近届いた『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2012 No.1の中身に感心します。たとえば、チャールズ・クプチャン「漂流する先進民主国家:なぜ日米欧は危機に対応できなくなったか」を読むと、日本について書いてありました。

「日本は今や『所有者のいない土地』と化し、グローバル経済に伴う混乱にさらされているにも関わらず、世界で効果的に競争できるほどリベラルなわけでも戦略的なわけでもない。」・・・つまり、アメリカの一部にもなれないし、中国の一部にもなれない。

学ぶことをやめてしまった子供たちに、私は、急速に変化する国際秩序の中にいる日本のことを、真剣に考えてほしいと思うのです。

ASEAN+3として、今、日中韓がインフラ整備や直接投資を競っています。しかし将来は、米中+インドが関わりを深め、さらに30年後は、米欧+アフリカがアジア統合の安定化にかかわるでしょう。その過程で、ジョージ・ケナンやブレジンスキー、クプチャン、パラグ・カンナなどのように、平和と繁栄の仕組みを考察しているアジアの若者たちの姿を想像します。

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