[後半]
l チェコの英雄、ハベル死去
guardian.co.uk, Sunday 18 December 2011
Václav Havel: director of a play that changed history
Timothy Garton Ash
ハベルはときに、人生という劇場を皮肉な視点で見る批評家のように語ることがあった。しかし、1989年、彼は歴史を変える劇の主役であり、監督になった。
市民的な抵抗を実践するときがきた。ハベルはそれを電撃的な政治的舞台に変えた。プラハのWenceslas Squareが舞台であり、30万人の市民が一つになった。
FP DECEMBER 9, 2009
The FP Interview: Vaclav Havel
Interview by SUSAN GLASSER
FP DECEMBER 19, 2011
Vaclav Havel, Man of Whimsy
BY JEFFREY GEDMIN
WP Tuesday, December 20, 2011
Vaclav Havel, the dissident who came out of the shadows
By Anne Applebaum
1989年の革命から多くの反体制派が政治の舞台に現れた。そして政治家や大臣、首長になった。しかし、そのほとんどが失脚した。民主的な政治を、特に有権者が彼らに十分な敬意を払わないと見たとき、それを無視した者もいたし、資本主義を嫌う者もいた。そんな中で、たった一人、共産主義後の政治の舞台で抜きんでた成功を示したのが、ハベルであった。
ハベルは、共産主義体制に反対しただけでなく、その政治評論、“The Power of the Powerless” によって不滅である。ハベルは全体主義体制下の人々に「真実を生きよ」と求めた。それは、そのような体制がなくても市民たちが営む日常生活だ。
全体主義的な社会では、すべての学校、すべてのビジネス、すべての財産を国家が支配し、自由な言論や出版は禁止されている。しかし、小さな音楽会や、スポーツを楽しむ人々、文学を楽しむグループはあるだろう。それらは上からの支配から独立した「社会生活」の始まりである。イランの友人や、革命前のチュニスで反体制派と思われる人物も、それはここでも有効だ、と語った。
ハベルはまた、大統領に選出されてから、以前のようなジーンズをはかなくなった。スーツを着て、プラハの城に引っ越し、そこを改造した。彼は反体制派であることをやめたのだ。
体制を破壊することに深くかかわった者たちは、その再建の重要性をしばしば理解しなかった。実は、革命の勝利とは、単に旧体制を転覆することではなく、それに代わる新しい制度やシンボルを築くことなのだ。このことを深く理解していた点で、ハベルは中欧を越えて、長く記憶される人物となるだろう。
WP Tuesday, December 20, 2011
Vaclav Havel, living in truth
LAT December 20, 2011
Kim Jong Il and Vaclav Havel: Two leaders a world apart
WP December 20, 2011
Havel’s revolution of truth
By Michael Gerson
WP December 20, 2011
Vaclav Havel, the principled president
By Madeleine Albright
ハベルは共産主義の指導者たちに警告した。自由を求める人々の強い願いを抑圧するなら、人々はお前たちの体制を破滅させるだろう、と。そして、かつて投獄されていた男が、その国の大統領になった。ハベルの言葉は、ビロード革命を成功に導いた。
1990年1月に、私はハベルに初めて会った。翌月、ワシントンで会ってから、急速に親しくなり、ハベルの顧問たちは私の住居を非公式の事務所に使った。毎日、彼らのたばこの煙と刺激的な議論があふれていた。ハベルの真骨頂はその議会演説であった。アメリカ議会は冷戦の勝利を祝う聴衆で大騒ぎだったが、ハベルは解体するソ連と挑戦者たちへの支援を訴えた。東側だけでなく西側においても、あなたたちの道義的価値が試されている、と。
倫理にこだわることをナイーブだと批判する者がいる。しかし、ハベルは単なる夢の効用を説いたのではない。ハベルこそ、革命に至る数週間を指導し、チェコの統一を守り、NATOとEUへの参加を導いたのだ。ボスニアやコソボにおけるエスニック・クレンジングを止めるための集団的行動を求め、キューバ、ジンバブエ、中国、ビルマにおける民主化運動を支持した。
ハベルは、その政治的な訴えに、独自の心理描写やパワー、情熱を与え、人々の心を貫く言葉で表現できる稀有の政治家であった。
l 金正日の死:和解・戦争・崩壊・共存
NYT December 18, 2011
Kim Jong-il, Dictator Who Turned North Korea Into a Nuclear State, Dies
By DAVID E. SANGER
「親愛なる指導者」“Dear Leader”と呼ばれた金正日は、飢餓と崩壊の淵にあるその国を鉄拳(軍隊)で制圧した、共産主義圏最後の独裁者であった。忠誠を疑われた市民は強制収容所に送られ、亡命者には暗殺者を派遣した。
guardian.co.uk, Monday 19 December 2011
Time to make peace with North Korea
Robert Willoughby
今こそ、西側は北朝鮮との平和条約を結んで、安定化を実現するべきだ。
ミサイルが大量に発射されてソウルが火の海になった、ということはない。市民の暴動も起きそうにない。北朝鮮の体制に反対することはできないのだろう。多くの人々が命がけで中国との国境となる川を越えているが、ピョンヤンにアラブの春を起こすような、決定的な多数の反抗が起きる情報通信手段はない。
「狂人の支配下で体制の生き残りだけを優先し、すべての資源を軍事に費やす国家と言われている。しかし、それ以外に何ができるだろうか? 韓国とも、超大国のアメリカとも、平和条約を結んでいないのだから。そうであるからこそ、西側は脅迫や制裁が有効ではないと理解し、すべての責めを死亡した男とその個人的な問題に向けることで、核保有の有無にかかわらず、北朝鮮を支援し、貿易し、平和条約を結ぶチャンスにするべきだ。」
注意しておくが、ブッシュ政権とそのネオコンたちが、「悪の枢軸」と北朝鮮を激しく非難し、すでにアメリカとの協力によって行われていた軽水炉開発の事業を、核兵器と結びつけて非難した後で、北は核開発を再開したのだ。イラク進攻がアメリカ政府の虚偽の情報で正当化されたことを知れば、北がそれを恐れないはずはない。
1990年代、クリントン政権の支援を受けて、韓国の金大中大統領は北に親睦と投資をもたらす「太陽政策」を提示した。ピョンヤンは核兵器開発を停止し、反米プロパガンダも止めたのだ。EUとイギリスは外交と通商関係を回復した。家族が満足に食べられるように、と彼らは願った。友人とビールを飲み、ピクニックに出かける、そんな新時代が来る、という希望を北朝鮮の人々が持った。
韓国から何十億ウォンが工場や観光施設に投資された。世界で最も軍事化された境界線で地雷が撤去され、観光客を乗せたバスが南北を往来した。韓国とEUのFTAがピョンヤンをつなぐセメントになると期待された。先週まで、米朝の担当者が食糧支援について協議を重ねていたのだ。平和条約を追加しよう。オバマ大統領は、イラクと同じように、北朝鮮との戦争も終結させるのだ。
金正日の死が、こうして歴史的瞬間に変わる。
guardian.co.uk, Monday 19 December 2011
North Korea: Kim dread spirit
guardian.co.uk, Monday 19 December 2011
In South Korea we are used to waiting, and worrying
Krys Lee, Seoul
韓国の株価は暴落し、軍は不測の事態に備えて高度な警戒態勢に入った。休日を利用して海外に出ていた韓国人はその幸運を祝うとともに、無事に帰国できるか心配した。
生の情報を知る脱北者たちの中で、北朝鮮14部隊の生存者であるShin Dong-hyukは、金正恩Kim Jong-eunを恐れていない、と述べた。しかし、変化は起きないだろう。彼らは金正恩を操って指導者に仕立て上げ、背後から支配するだろう。金正恩は余りにも若く、残された高齢の指導者たちはあまりにも多くの課題を抱えているから(彼を利用するだけだ)。
新聞はさまざまなシナリオに言及する。クーデタや人権を侵す問題まで、金正日は1990年代に200万人以上を死亡させたといわれる。数えきれない人々が2009年の通貨の切り下げで貯蓄を失った。15万人から20万人が収容所や監獄にいる。事態は改善するより、当面、悪化するだろう。金正日に対して、国民がその手で正義を下すことができなかったのは本当に残念だ、とある脱北者は語る。
多くの韓国民は事態の変化を待っている。
FT December 19, 2011
‘Great Successor’ takes power in N Korea
By Christian Oliver in Seoul
FT December 19, 2011
North Korea faces tough survival battle
By Christian Oliver and Song Jung-a in Seoul
FT December 19, 2011
Death of a tyrant
FT December 19, 2011
Kim’s death is watershed moment for N Korea
By Victor Cha
この週末まで、アメリカ政府内外の専門家たちは、北朝鮮の体制が崩壊する見込みが最も大きくなるのは金正日が死亡するときだ、と述べただろう。月曜日になって彼の死が国営テレビで明らかにされた今、我々は不確実なシナリオに直面する。
北朝鮮の権力移行は、そのもっとも若い息子、金正恩に決まっていたが、まだ進んでいない。金正日への移行には14年を使えた。しかも、金正恩は30歳にもならない。彼は自分に従う者を育てていないし、指導者としての新しいイデオロギーも用意していない。金正日の妹Kim Kyong-huiやその夫Chang Sung-taek、つまり金正恩の叔父や叔母が彼を支える、というのが理想的な権力チームとは言えないだろう。軍務経験のない金正恩を、軍の指導者たちは支持したがらない、という噂がある。
権力の移行は難しく、失敗する可能性も高い。アメリカ政府は何をするべきか?
その基本は、監視し、待機し、準備することだ。
もし軍事行動があるとすれば、その核兵器をどうするか? この場合、北朝鮮の内部に関する情報を持つのは中国だけである。米韓は2008年以来、北朝鮮が不安定化したときの問題について中国と話し合っている。北京の反応は予想通り、権力の継承を支援し、事態の鎮静化を求めている。中国の次の指導者が北朝鮮を中国のもう一つの北東部として全面的に支援する、と覚悟するかどうかはわからない。
若い指導者や、それ以外の者に関係を求めるのは望ましくない。誰が本当に決定権を持つのかわからない。関係を持つことが軍の反感を買うかもしれない。それ自身の重みで体制がついに崩壊すれば、すなわち、経済危機、食料不足、指導部の権力争い、国民の不安など、それらが深まる中で、いよいよ親愛なる指導者を失ったことが支配体制の背骨を打ち砕く。
FT December 19, 2011
Death could trigger wider Sino-US power play
By Geoff Dyer in Washington
SPIEGEL ONLINE 12/19/2011
Death of a Dictator
Kim's Youngest Son to Become 'Great Successor'
By Andreas Lorenz
LAT December 19, 2011
Kim Jong Il's death and the best-case scenario [The conversation]
FP DECEMBER 19, 2011
North Korea's Pudgy Cipher
BY ISAAC STONE FISH
BLOOMBERG Dec 19, 2011
U.S. Can Gain by Engaging New North Korean Hermit-in-Chief: View
BLOOMBERG Dec 19, 2011
Kim Jong Il Makes World Scary Place Even in Death: William Pesek
By William Pesek
WSJ DECEMBER 19, 2011
Pyongyang's Succession Drama
By HAHM CHAIBONG
Global Times | December 19, 2011
Stability first for new North Korean leadership
FT December 19, 2011
Instability of dynastic shift
By Christian Oliver and JamilAnderlini
問題は朝鮮半島にとどまらない。最も危険な状況とは、権力継承の不安から米中日が事態に関与し、地域の権力闘争に拡大することだ。また、政権崩壊時に、北朝鮮の核兵器管理をめぐって米中が軍隊を派遣し、偶発的な衝突に発展する危険性も指摘される。
権力継承の正当性をどうすれば国民は受け入れるだろうか? 若い王子の血筋だけでは不十分だ。軍事的な冒険に出る可能性もある。
FP DECEMBER 19, 2011
Reading Shakespeare in Pyongyang
BY ABRAHAM M. DENMARK
NYT December 19, 2011
Kim’s Heir Likely to Focus on Stability
By MARTIN FACKLER
NYT December 19, 2011
China’s Newest Province?
By VICTOR CHA
アメリカは、どのように中国による北朝鮮の経済領土化に対応するのか? それは、この地域が安定化するか、紛争に向かうか、決定するだろう。
北朝鮮の状況は最悪だ。経済破綻、政治的孤立、30歳にもならない息子への権力移譲、一日の軍務にも就いたことがない金正恩は年長者に囲まれ、軍の指導者に囲まれる。このようなシステムが維持できるはずはない。
アメリカ政府の計画は、政権崩壊時にどうやって核兵器を確保するか、に絞られるだろう。
中国にとっても、いくら権力の継承を支持したとはいえ、未経験の金正恩に指導者としての地位を保証することはないだろう。早期に北京訪問を計画させて、多方面の経済援助で新体制を囲い込むのではないか。そして金正恩は「経済改革」を約束するだろう。
民主化を期待する者もいるが、中国は新体制と協力して民主化を弾圧する。それが韓国やアメリカからの支援を受けた運動であれば、なおさら厳しく弾圧するだろう。
しかし、どれほど万全の計画を立てても、中国の関与も失敗するかもしれない。もはや北朝鮮の体制を救うのに、援助では小さすぎるし、遅すぎる。米韓中の緊密な交渉と協力が必要だ。
余りにも情報のない暗黒の王朝であるから、関係諸国の誤解は深刻な危険をもたらす。アジア重視に転換すると宣言したオバマ大統領に向けて、中国は情報を開くことで対話を拡大するチャンスを得た。
WP December 20, 2011
North Korea after Kim Jong Il
By Michael J. Green
WP December 20, 2011
Is a third-generation monster North Korea’s destiny?
FP December 20, 2011
Is Kim Jong Un up to the task?
Posted By Stephen M. Walt
Victor Chaは金正恩が指導者となることに疑問を示した。そして、アメリカ政府には、金正恩体制の崩壊に準備することを勧めている。
しかし、金正恩体制が維持される一つの可能性がある。それは、現体制が権力闘争に向かう時の危険性を指導者層が知っているならば、危険な不確実性を避けるために金正恩を支持する、ということだ。
歴史的に、王朝の継承者が高い能力に恵まれていない場合も多かった。それでも権力の正当な継承者には重要な使い途があったのだ。金王朝は、専門家たちの予想よりも長持ちする可能性がある。
WSJ DECEMBER 20, 2011
The World's Most Repressive State
By MELANIE KIRKPATRICK
WSJ DECEMBER 20, 2011
'The Great Successor'
By JOHN BOLTON
WSJ DECEMBER 20, 2011
Containing the Young Kim
By SUNG-YOON LEE AND SUE TERRY
制裁を強化して北朝鮮の体制転換を促すべきだ。
(China Daily) 2011-12-20
Building on ties forged
Project Syndicate 2011-12-20
After Kim Jong-il
Christopher Hill
中国は、北朝鮮が現状のまま生き残れるとは考えていない。だから指導者には、政治改革を避けて、経済改革を進めるよう求めた。しかし、隣には繁栄する韓国がある。国境の封鎖が緩和されれば、直ちに北朝鮮の再建を担う者は誰もいなくなってしまうだろう。それゆえ、中国の改革は北朝鮮に適用できないのだ。
中国が北朝鮮の改革にこだわるのは、北朝鮮の崩壊がアメリカ・韓国の勝利、中国の敗北と意識されるからだ。朝鮮半島に生き残るのは、アメリカの同盟国である韓国だけになる。アメリカは、それが中国の戦略的な敗北ではないことを、中国政府に説得しなければならない。たとえば、アメリカは韓国の安全保障に関して譲歩しないが、38度線より北での米軍駐留のような、北朝鮮の軍事・安全保障からの変化は、必ず中国の同意を得て交渉するべきだ。
また、体制崩壊によって生じる、難民など、人道上の諸問題は関与と交渉を避けられず、中国との微妙な問題にも踏み込むチャンスにするべきだ。金正日の死は、米中交渉を深める最大の好機なのだ。
LAT December 21, 2011
Kim Jong Il: Road to ruin
Nicholas Eberstadt
NYT December 21, 2011
What to Do, and Not Do, About North Korea
By ROBERT L. GALLUCCI
我々はこれとよく似た状況にかつていたことがある。1994年、金日成が死去したときだ。今は、体制転換を唱えるときではない。しかし、核開発計画を止めるべきだ。
FP DECEMBER 21, 2011
Inspector O and the Case of the Dearly Departed Leader
BY JAMES CHURCH
NYT December 21, 2011
A New Kim. A New Chance?
By NICHOLAS D. KRISTOF
1989年に初めて北朝鮮を訪問したとき、私はLoudspeakerに驚いた。それはラジオのようなものだが、消すことはできない。一日中、政府のプロパガンダを叫んでいる。
北朝鮮は単なる独裁国家ではない。それはスターリンや毛沢東が実現した以上の、完全な全体主義国家である。たとえばピョンヤンでは身体不自由な者がいない。単に隠しているのではない。そのすべてをピョンヤンから連れ去ったのだ。
地方に出たとき、私は女子高校生にインタビューを試みた。彼女たちは驚いたが、すぐ親しげに応えてくれた。同時に、完璧に同じ調子で、政治的主張を繰り返した。彼女たちはまるでロボットのようだった。
ビデオが中国から密輸されるようになった。警察は、地域の建物の電力供給をすべて止めて、一軒一軒、捜査した。プレーヤーに残っているビデオを見たのだ。密輸ビデオが見つかれば、家族全員が収容所に送られた。
l 体制は容易に崩壊しない。
l 誰もが体制を嫌っているわけではない。
l 北朝鮮を孤立させるな。
確信と恐怖が人々を団結させる。Bradley Martinの本によれば、金正日の側近の一人が妻にボスの女遊びを語った。その妻は北朝鮮体制の品格を深く信じていたから、放蕩に抗議する手紙を指導者に書いた。手紙は金正日に届き、彼女は群衆の前で非難された。
彼女の夫は進み出て、妻を処刑する許しを乞うた。その望みはかなえられ、彼は妻を撃ち殺した。
経済的な苦しみも北朝鮮を崩壊させはしない。1990年代半ば、国民の100万人は飢餓で死亡したが、体制は傷つかなかった。
ブッシュ政権は北朝鮮が繰り返し騙すことに腹を立て、交渉を打ち切った。その結果は、一層の危険な状態を招いた。北朝鮮は核処理施設の完成を速め、すでに核兵器8個分のプルトニウムを得ただろう。
中国は北朝鮮を甘やかしていると非難されるが、少なくとも彼らには戦略がある。金の体制に中国が行ったような改革開放を促したのだ。中国の商人は携帯電話やDVD、CDを販売し、少なくとも国境周辺では珍しくなくなった。こうした貿易が栄える方が、北朝鮮の体制は浸食される。
アメリカが国交を回復し、貿易や、人的交流に向かうことは、北朝鮮の体制に利益をもたらすのか? いや、彼らの終幕を用意することだ。
guardian.co.uk, Thursday 22 December 2011
North Korea's godless miracles mean nothing
Andrew Brown
WSJ DECEMBER 22, 2011
Nothing New Under the Son
By JOSEPH STERNBERG
Project Syndicate 2011-12-22
Whither North Korea?
Yoon Young-kwan
WSJ DECEMBER 23, 2011
Successor or Failure
By ANDREI LANKOV
WSJ DECEMBER 23, 2011
Japan Needs a North Korea Reset
By MICHAEL AUSLIN
日本政府は待ちの姿勢を取る。しかし、日本が明確な政策を示さなければ、そのような慎重さ、リスクの回避は、将来、一層の拉致事件や脅迫を防ぐものではないだろう。
l 中国の不動産バブル崩壊
NYT December 18, 2011
Will China Break?
By PAUL KRUGMAN
図を見ればわかるように、最近の成長は建設部門の拡大に依拠しており、それは不動産価格の上昇によるものだ。古典的なバブルを示している。信用は膨張し、しかも、伝統的な銀行ではなく、政府の監督や保証のない『シャドー・バンキング』が融資している。今やバブルは破裂した。金融危機、経済危機へ落ち込む恐れが十分にある。
これは1980年代末の日本でも、2007年のアメリカでもない。現在の中国の話だ。
しかし、本当に何が起きているのか、はわからない。統計はでたらめだ。専門家の話はみんな異なる。
中国の成長で印象的であるのは、その消費がGDPに占める割合の低さである。わずか35%でしかなく、アメリカの半分だ。誰が支出しているのか? 一つはますます増える輸出(外国人)だ。もう一つは投資である。
ここに問題がある。消費は少ないのに、投資が多い。それは利益を出せるのか? その典型が膨張し続ける不動産バブルである。不動産投資がGDPに占める比率は200年以来で倍増した。それは投資の増加分の半分以上だ。そして、数年前のフロリダ海岸と同じく、不動産バブルのあらゆる特徴を見せている。
バブルが破裂した。中国経済はどうなるのか?
心配ない、という専門家もいる。中国は民主主義ではないから、政府には多くのことができる、と。そんな話は1980年代の日本でも聞いた。大蔵省の有能な官僚たちがなんでも管理しているから、と。中国政府の政策が特に優秀だとは思えない。景気に影響しないような自動車への輸入関税の導入で、米中間の貿易摩擦を招いているように。
世界はヨーロッパの激震で十分に怯えている。新しい震源など抱えたくない。
WSJ DECEMBER 20, 2011
Meeting the China Challenge
By HARSH V. PANT
Project Syndicate 2011-12-21
The New International Economic Disorder
Mohamed A. El-Erian
突然、世界は逆立ちした。「裕福な」諸国が巨額の赤字を抱え、債権国から債務国に転落し、「貧しい」諸国が黒字を出して、西側経済に金融資産を持つようになった。これに対応した国際制度の再編成が、欧米諸国によって積極的に受け入れられる必要がある。
FP DECEMBER 21, 2011
The American Pivot to Asia
BY KENNETH LIEBERTHAL
FT December 22, 2011
The calls for global leadership will be unanswered
Kishore Mahbubani
Project Syndicate 2011-12-19
The Exchange-Rate Delusion
Michael Spence
付加価値で見た貿易不均衡は、米中間で少なく、日独などとの間でもっと多くなる。その意味では人民元の調整だけを求めるのは間違いだ。交易条件を変えるとしても、為替レートによって成長率を高めることはできない。西側の経済不況を新興諸国の通貨・為替レートに注目して解決する試みは成功しないだろう。
YaleGlobal Online 22 December 2011
Riots, Language and Britain’s Globalized Underclass
Garry Robson
イギリスでもアメリカでも、若者たちは暴動に参加し、抗議の声を上げている。グローバリゼーションを歓迎しつつも、300以上の言語で子供たちが学校に通う現実に、ロンドンは苦しんでいる。なぜなら言語の違いは社会的移動性を妨げ、貧困や、若者の失業を悪化させるからだ。社会の下層階級という意識が生じている。
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The Economist, December 10th 2011
The cracks appear
Russia: The long life of Homo sovieticus
The EU summit: Beware the Merkozy recipe
Germany’s debt brake: Tie your hands, please
Charlemagne: Those obstructive Brits
Lessons of the 1930s: There could be trouble ahead
City Building: Hong Kong in Honduras
Macau’s gambling industry: A window on China
Helping the poor to save: Small wonder
(コメント) ロシアの議会選挙が与党の支持率低下を示し、それ以上に、不正選挙と正当性の欠如、プーチンの政治支配に対する不満を国民が示したことに驚きました。ハベルと金正日の死は、EUサミットと同じように、世界の根底における変化を示しています。
イギリスがシティに特別な配慮を求めるのであれば、なぜドイツは自動車に、フランスは農業に、特別な配慮を求めないでいられるか? 結局、ユーロ圏EZはより公式の連邦国家に向かい、イギリスは主権を取り戻すことにしたのです。他方、ドイツがEU各国に財政の手を縛るように求めるのは、アルゼンチンの危機を思い起こさせます。
彼らは1930年代の教訓を一部しか学んでいない、と記事は警告します。確かに、金融政策の失敗は学ばれたし、財政均衡主義も少しの間だけ逆転したが、早くも1930年代の愚かな経済政策が各地で再生し始めているのです。そして、保護主義や外国人排斥も。
しかし、今号で面白いのは、Paul Romer の成長モデルにおける革新思想である “charter cities” をホンジュラスが法律化しつつあることです。革新を取り入れて急速に成長する機会がある土地でも、旧支配層や既得権を守る制度がそれを妨げています。改革に苦しむより、むしろ、住民たちがそのような土地を放棄して、治安のよい、革新を好む法律を整備した、新しい土地に移住すれば良いではないか? Paul Romer自身が委員長で, ノーベル経済学賞受賞者George Akerlof, 米州開発銀行の元スタッフNancy Birdsall, シンガポールの政府系投資信託元スタッフOng Boon Hwee, などが(公正・公開)統治委員会を組織します。この挑戦的な試みがどのような成果をもたらすのか、私は大いに注目します。
他方で、本土の権力移行や政治腐敗と密接に関連したマカオの繁栄、マイクロファイナンスの進化形態であるヴィレッジ・セイビング(地方における小グループの貯蓄サークル)普及にも注目します。
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IPEの想像力 12/26/11
日本政府や政治家が口をそろえて、拉致問題の解決なしには協力できない、というのは、一体、何を意味するのでしょうか? 日中首脳が北京で会談しても、世界のニュースは全く関心を示しません。何を議論したのか?
漁船の密漁、警備艇との衝突、領土問題、ナショナリストの上陸、大使館への投石、国旗を燃やす、従軍慰安婦、南京大虐殺、北朝鮮との和平交渉、などを話し合ったのでしょうか? どれほど多くの北朝鮮国民が収容所や監獄で苦しみ、飢餓にさらされても、日中首脳は北朝鮮の「ベルリンの壁崩壊」や「アラブの春」を望まない、と合意しました。
アメリカと中国が、北朝鮮の安定化や体制崩壊のシナリオについて話し合うのは当然です。中国は北朝鮮と国境を接しており、主要な支援国です。アメリカは韓国に軍隊を駐留させ、地域の安全保障を担っています。米中が東アジアの安定化に主要な責任を負い、米中の合意が地域の諸国に合意される協力体制の基礎になるでしょう。
しかし、米中が自国の利益(あるいは、リスク回避)を図って国際秩序に歪みを生じる場合、それを正すとしたら、日本やインドが発言しなければなりません。
l 弾道ミサイルが発射される。日本の国土に被害を及ぼす。
l 核実験が繰り返される。
l 38度線における軍事衝突から、米中の軍事介入に拡大する。
l 北朝鮮の体制が崩壊し、大量の難民が発生する。
l 核管理と安定化のために米中が合意して軍事介入する。
l 食糧支援、仮設住宅建設、など、人道的・経済的援助を行う。
l 分断国家を維持することで、東アジアの国際秩序を安定化する。
l 核兵器と核処理施設の解体に出資・参加する。
l 北朝鮮の軍事体制を解体するため、財政移転する(兵士の生活保障や企業育成・雇用促進)。
l 北朝鮮の治安維持・警察力の整備について協力する。
l 北朝鮮との貿易を開放し、積極的に輸入する。
l 北朝鮮の貿易赤字を融資する。
l 企業が北朝鮮に直接投資で進出する。
l 為替レートや通貨秩序の安定化に協力する。
l 民主化のための制度構築や選挙実施を支援する。
l 朝鮮半島の統一にかかわる費用を分担する。
l 南北統一国家をめぐり、東アジアの新しい国際秩序を確立する。
l 貿易・輸送、エネルギー、難民支援・移民政策・外国人雇用、食糧・資源、通貨・金融、地球温暖化防止、などの国際協力体制を促す。
こうした問題についても日中首脳は会談を重ねて、基本的な考え方を、共同声明の形で発表すべきでしょう。・・・さて、日中が合意するものか? 何か仕掛けが必要です。
The Economistの記事を読んで、私はホンジュラスだけでなく北朝鮮にも“charter cities” を建設してほしい、と願いました。それは一種の信託統治領です。たとえば、成功した国や地域から治安維持や法体系を輸入し、暫定的に確立します。将来の医療や教育制度、様々な社会保障システムもそうでしょう。そして、住民より先に統治委員会が指名されます。財源は、領土の土地利用権を貸し出し、貿易から低率の関税収入を得ることです。先進的で、革新を好む、社会規範を共有した人々が集団で移住し、その成果を目標として、世界中から移住者が集まります。
クリスマスのプレゼントとして、誰かにあげましょう。NYTの写真集(2011: THE YEAR IN PICTURES, ARAB SPRING)です。映像が示す革命の迫力に圧倒されました。
http://www.nytimes.com/interactive/2011/12/25/sunday-review/2011-pictures-of-the-year.html
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