IPEの果樹園2011

今週のReview

10/3-/8

 

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世界経済の回復を指導する ・・・パレスチナとトルコ ・・・台湾の防衛 ・・・ユーロ危機の出口 ・・・国際通貨制度の改革 ・・・イタリアとルワンダ ・・・アメリカの回復策 ・・・ウォール街を占拠せよ ・・・ハード・カレンシー・クラブ ・・・中国による救済

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l  世界経済の回復を指導する

FT September 21, 2011

International Monetary Fund: Into the fire

By Alan Beattie

DSKDominique Strauss-Kahn)に代わって新しいIMF専務理事になったChristine Lagardeの課題を考えます。その組織運営のスタイルが最初に紹介されています。政治家でエコノミストでもあったDSKより、Lagardeはスタッフの意見を重視し、ヨーロッパの銀行に対する自己資本不足を批判したことでIMF組織の信頼を得た、と評価します。ヨーロッパの財政当局が赤字削減にばかり関心を向けることも批判します。

しかし、課題は深刻です。

1.  ユーロ危機の鎮静化。

2.  不均衡の監視と通貨戦争を和平へ導く。

3.  IMFが将来も重要な役割を果たせるか?

いずれも解決の方針は明確になっていません。IMF自身がギリシャ融資に深く関与しており、EUの救済融資に結びつけられてしまいます。この特別な関係を切らなければ、IMFの他の加盟諸国から批判されます。

為替レートや外貨準備、国際収支不均衡に関する解決策も示されていません。金融危機から世界不況への転落を阻止するG20の方針は、理論として支援されただけで、実際は目標を達成できていません。アメリカが望んだような主要諸国の数値目標はなく、IMFの監視がどこまで有効か、主要国の関心はバラバラです。

IMFは、ギリシャへの救済融資を繰り返すことで、2001年のアルゼンチンがデフォルトした状況を再現したくはないでしょう。債務の削減など、思い切った決断を求めねばなりません。

Project Syndicate 2011-09-25

Global Action for Global Recovery

Christine Lagarde

世界経済は新しい危機の局面に入った。世界は、指導力、国際協力、行動を求めている。特に、先進諸国において、債務が過大である。政府、銀行、家計について。それが支出、投資、雇用を妨げている。

世界経済の回復にむけて、4つの政策を実行するべきだ。1.政府、家計、銀行のバランス・シートを回復する。2.金融システムを改革する。3.需要を回復する集団的行動をとる。国内では政府より民間の需要を回復し、国際間では黒字国の需要を高める。4.低所得国を支援する。

中途半端な政策や成り行きの危機回避では失敗する。手遅れにならない内に、力強い、持続的で、バランスのとれたグローバルな成長を回復しなければならない。今すぐ、一緒に、行動するべきだ。

 (chinadaily.com.cn) 2011-09-26

West can learn from China's financial success

By John Ross

WP September 26, 2011

Repeating mistakes of the 1930s

By Robert J. Samuelson

世界経済の悪化をだれもが心配している。しかし、なすべきことの合意はなく、いつになったら合意できるのかもわからず、政治家たちは狭い選挙区の中にしか関心がない。アイデアとパワーの真空状態が広がっている。

悪循環がある。成長は減速し、財政赤字を増やし、投資家はヨーロッパ政府の債券を売り、金利は上昇し、銀行は弱体化し、そして、経済は悪化していく。

この循環を断つ一つの方法は、新しいグローバルな貸出機関を設立することだ。その機関がヨーロッパの債券を購入し、満期を長期化して、金利を穏やかな(パニックのない状態の)水準に下げる。これによってヨーロッパは時間を得て、漸進的に改革を進め、財政を健全化する。

その融資を何と呼ぼうが、成功するには中国の協力が要る。事実上、中国がヨーロッパの銀行になる。32000億ドルの外貨準備を持ち、毎年数千億ドルが追加されている。しかし、アメリカやヨーロッパは中国に頼まないだろう。中国も呼ばれたくない。こうして経済停滞は続く。

その理由は簡単だ。アメリカもヨーロッパも、中国が新しい世界秩序を求めることを嫌うのだ。既存の「開放的で、ルールに基づく貿易」を捨てて、自分たち(中国)の利益に従うように求める。政治的な麻痺が経済を漂流させる。

その代替策は、このままヨーロッパが危機を回避し続けることだ。可能かもしれないが、ますます疑わしくなっている。ギリシャだけでなく、その他の周辺諸国やフランスにも危機が及ぶだろう。ドイツの債務依存が特に低いわけではない。

かつてCharles Kindlebergerは、大恐慌の深刻さを権力の空白に見た。イギリスはもはや単独で指導するパワーを持たず、アメリカには助ける用意がなかった。同じことが、アメリカと中国によって起きるのか。われわれは1930年代の失敗を繰り返しつつあるのか?

FT September 26, 2011

Only the IMF can solve the eurozone crisis

Raghuram Rajan

ユーロ圏内の債務危機を、IMFの特別融資制度によって救済するべきだ。なぜなら、ユーロ圏内の銀行は自己資本を増やすこと、イタリアやスペインが財政赤字で必要とする資金を融資できること、ギリシャの救済が他の債務諸国に波及しないようにすること、が必要であり、EUやアメリカはその資金を出せないからだ。

EFSFには問題がある。その資金をECBに依存するとしても、結局、EU諸国、特に独仏政府が負担しなければならない。それでは、危機がさらに悪化するとき、独仏政府の財政基盤をも破壊するから、市場参加者の不安を深める危険がある。それゆえ、ユーロ圏の崩壊が世界経済にとって受け入れがたい大きなショックであることを認めて、IMFによる特別融資制度を設け、アメリカや中国も資金を提供しなければならない。

これに対して、Simon Tilfordは反対している。なぜなら、融資を増やしても、ユーロ危機の原因は何も解消されていない。赤字国の競争力は無いし、成長ができなければ、財政赤字が解消するとも思えない。このままIMFがユーロ危機だけに融資を増やすことは加盟諸国によって支持されない。IMFへの信認が損なわれるだろう。

ヨーロッパは世界で最も裕福な地域なのであり、自分たちで融資できる。解決する政治的な意志や政策実行が欠けているのだ。

FP Monday, September 26, 2011

Five takeaways from the IMF meetings

Posted By David Bosco

Project Syndicate 2011-09-30

Globalization’s Government

Jeffrey D. Sachs

重要な諸力は、ローカルではなく、グローバルに影響する時代になった。すなわち、中国やインドで起きたことが、アメリカに影響する。

グローバリゼーションは利益も損失ももたらした。先進的な技術が急速に普及し、世界の貧困が減少した。しかし、ますます脱税の余地が生まれ、タックスヘイブンやその他の手法で多国籍企業は脱税する。

米欧日の豊かな世界で、グローバリゼーションにおける最大の敗者は、発展途上諸国の貧しい労働者たちと競争するのに必要な教育を受けていない労働者たちだ。何百万人もが失業し、賃金は低迷するか、下落している。

グローバリゼーションは問題の急速な伝染・波及を生じる。金融危機、病気、テロ。それらにはグローバルな対策が必要だ。

すなわち、政府はスマートになる必要がある。若者たちがグローバリゼーションに対処できるような質の高い教育を施し、近代的なインフラや科学・技術にも投資する。グローバルな規制・対策を実現するために協力しなければならない。

政府は小さくなるのではなく、大きくならねばならない。ただし、ますます統合化する世界に対応した特別な役割に集中するべきだ。

アメリカは過去30年間、それに失敗してきた。富裕層が政治を支配し、若者の教育やインフラ整備を軽視した。短期的な利益を得るために減税を支持し、大恐慌の水準まで失業者が増えてしまった。

富裕層による政治的支配に対して、社会正義を求める運動は各地で強まっている。オバマ大統領も方針を転換しつつある。欧州委員会は金融取引税を提唱した。

今や、世界で最も成功している経済はアジアではない。スカンジナヴィア諸国だ。国民は高負担を受け入れて、政府のサービスを高めている。彼らは経済的繁栄と社会的公正さの間で、環境の持続可能性についても、バランスを取っている。

世界はこの新しい現実を理解しつつある。


l  パレスチナとトルコ

LAT September 22, 2011

Palestinians' U.N. gamble could backfire

By SareeMakdisi

FP SEPTEMBER 22, 2011

The Do-Nothing Strategy

BY AARON DAVID MILLER

guardian.co.uk, Friday 23 September 2011

A token state of Palestine is a compromise too far

Ghada Karmi

アメリカが拒否権を行使することへの怒りは言うまでもない。アッバス議長に、国連でパレスチナ国家の承認を求めないよう、イスラエルやアメリカ、EUは圧力を加えた。

もし「パレスチナ」が完全な国家として承認されたら、西岸、ガザ、エルサレム東部は、占領地ではなく、占領された国家になる。それは1990年に占領されたクウェートと同じように、占領を終わらせるために国際的な支援を求めることができる。

しかし、パレスチナ側の意見も分裂している。ガザ地区のハマス政府は反対だし、一般民衆も統一されていない。

国連における国家性の論争は、真の重要問題を避けている。イスラエル/パレスチナ問題は、1967年のイスラエルによる占領であり、歴史的なパレスチナを二つの国家に分けることが解決策として示された。これを新しい現実として受け入れるよう、国際社会は推奨(強要)されたのだ。

しかし、事実は、1948年、多数派のパレスチナ住民を排除してイスラエルが建国されたことによって紛争は始まった。現在、650万人のパレスチナ難民が存在する。この恐るべき不正義を正すことが、唯一の持続する解決策である。

アラブ世界の革命派拡大し、イスラエルの孤立は深まっている。アラブの革命政府は、まだ、そのわずかな権利を得るためにも戦っていないし、完全に新しい秩序を求めていない。ペレスチナ指導部はその機会をつかもうとしない。それは時代を読み違えている。

Project Syndicate 2011-09-23

Which New Middle East?

Joschka Fischer

アラブの春は、国内の世論を無視して統治できる者は誰もいない、ということを示した。その地殻変動は、アラブ世界にとどまらず、アメリカ、ヨーロッパ、トルコ、そしてある意味では、イランにまで及ぶだろう。

オバマ政権がもたらした期待は、イスラエルの無視によってさまよってきたが、アラブの目覚めthe Arab Awakeningがそれに応じるだろう。ヨーロッパはユーロ危機に忙殺されているが、この数年、メルケルとサルコジによってトルコ加盟は拒まれた。その結果、トルコは「新オスマン」外交戦略を採用した。アラブ世界だけでなく、コーカサス、中央アジア、バルカン半島で重要な役割を果たしつつある。トルコはEU内ではなく、その外で自身の利害を反映した外交を実現し始める。イスラム世界で民主的な繁栄をもたらしたモデルとして重視されるだろう。

トルコとイスラエルの関係は悪化した。トルコの影響力が高まることは、イランやイスラム過激派を抑える点で、イスラエルにとっても望ましい。しかし、地域の指導国家として、トルコ政府はイスラエルよりもパレスチナとの関係を重視する。

アラブの目覚めによって、イスラエルはますます孤立し、対応が難しい状況になるが、パレスチナは政治的なダイナミズムを再生し、支持されるだろう。イランと結びつくハマスや過激派の影響は「トルコの大義」と衝突し始める。

この国連外交は成果をもたらすのか? それとも次の戦争に向かうのか?

FT September 25, 2011

Putting the process into peace

YaleGlobal, 26 September 2011

After the Arab Spring – Part III

Dilip Hiro

Recep TayyipErdoğanエルドガン首相は、AKP Adalet veKalkınmaPartisi)公正発展党を率いて、イスラム主義政党の性格を緩和し、近代化することに成功した。またケマル・パシャ以来の、トルコ近代化が持つ国家統制的な性格も薄めた。AKPの改革は国民に支持され、議会で3分の2を超える議席を得ている。

エルドガンは、自分の改革とハマスに類似する部分を見ているだろう。彼の組織もトルコの軍や市民社会のエリートからパーリアとみなされていた。

世界経済フォーラムで、エルドガンはイスラエルのペレス首相と対談し、イスラエル側の姿勢を激しく非難した。お前は殺し方だけよく知っているだろう、とペレスを攻撃して対談を中断したが、アラブ世界の支持を得た。他方で、エジプトのムバラクはアラブ世界で支持者を失った。

エジプト、リビア、シリアで、エルドガンはアラブの春を支持した。「民主主義と自由は、我々にとっての水と同じである。」

中東から北アフリカまで、民主主義の新しい時代を迎える期待が満ちている。それは、平等で、パートナーシップに基づく西側との関係をもたらす。トルコがすでに得ているような。

NYT September 27, 2011

2 for 2, or 2 for 1?

By THOMAS L. FRIEDMAN

Project Syndicate 2011-09-27

The Arab Spring’s Unintended Consequences

Christopher Hill

LAT September 29, 2011

A win-win strategy for the Palestinians

By Barbara F. Walter and Andrew Kydd

アメリカが国内政治の混乱から解放されて中東和平に取り組み、パレスチナが外交による成果を得て、イスラエルがテロの鎮静化と占領の長期化による代価を支払うなら、解決に近づく。


l  台湾の防衛

(chinadaily.com.cn) 2011-09-22 11:09

Breaking US arms sales pattern

By Shih Chih-yu

米中合意に背くアメリカ政府の台湾への武器売却は、中国の平和的台頭を妨げるものだ。それは冷戦の枠組みを維持し、台湾が南シナ海や北東アジアへの介入の一部あることを示している。

世界の平和と繁栄のために責任ある米中のパートナーシップを求めたアメリカ政府の姿勢と、全く矛盾している。両国は譲れない国益に対する敬意を示し、より高度な関係を築かなければならない。

FP SEPTEMBER 23, 2011

This Week at War: Let's Talk About China

BY ROBERT HADDICK

SPIEGEL ONLINE 09/23/2011

Will China's Rise Spoil the Trans-Atlantic Relationship?

By Daniel M. Kliman and Andrew Small

中国に代表されるアジアの台頭はアメリカの関心を、ヨーロッパではなく、アジアに向けるだろう。それは大西洋間の同盟にどのような影響を及ぼすか?

西側の中国認識も、中国側の世界認識も、大きく異なっている。アジアは、ソ連の脅威や、1990年代のバルカン諸島の紛争、911後のアフガニスタンと比べて、協力が育つ自然な基盤がない。

Global Times | September 23, 2011

China needs to do more than condemn

Global Times | September 24, 2011

US arms sales deserve substantial retaliation

中国はアメリカ政府を非難するが、具体的な行動は取らない、とNYTなどは批評している。そのような雰囲気は、中国政府の外交にとって望ましくない。中国政府は、領土の不分割性を示すために、アメリカの武器売却に対する十分な報復・制裁を科すべきだ。中国が報復しても、米中関係が崩壊することはない。

WP September 24, 2011

A power shift in Asia

By Robert D. Kaplan

アメリカによる台湾への武器売却は、グローバル・パワー・シフトを最もよく示している。

アメリカ政府高官は、台湾のLockheed Martin F-16 A/Bジェット戦闘機をグレード・アップすることが、台湾政府の望む新型F-16 C/Dモデル66機を売却するのと同じくらい高い能力をもたらす、と説明する。しかし、グレード・アップには新型エンジンが含まれない。この決定は、明らかに、オバマ政権の妥協を伝えるシグナルだ。

ランド研究所の報告は、アメリカが2020年までに、沖縄の嘉手納基地から2隻の空母とF22を使っても、台湾を中国空軍の攻撃から防衛することができなくなる、と見ている。さらに中国はアメリカの輸送船を脅かす対艦弾道ミサイルを配備しつつある。ロシアの設計したSu-27 and Su-30戦闘機が300400機あれば、台湾のF16を、たとえグレード・アップしたものでも、圧倒するだろう。

中国からわずか100マイルの台湾を、世界の半周近い遠方からアメリカの海・空軍が防衛することは不可能だ。アメリカが台湾の事実上の独立を保証する、という主張は次第に消滅しつつある。米中の指導者による会談を通じて、台湾の安全は米中間の軍備競争ではなく、外交的な理解を深めることで達成するべきだ、という考え方を強めつつある。

しかし、これはアメリカ側が中国の経済・軍事的パワーに応じて、その航路を修正しつつあるのだ。台湾を支援するが、し過ぎることはない、と。

しかし、アメリカの衰退は一気に起こるのではない。中国は次第に台湾を西太平洋の軍事的な多極化に適応させるだろう。第二次世界大戦の終わりから、太平洋はアメリカ海軍の湖だった。それは終わりつつある。他方で、アメリカは衰退を押し返そうとしている。太平洋とインド洋における拠点として、オーストラリアとの軍事度名を強化した。

また、衰退は相対的なものだ。もし中国の政治・経済が混乱すれば、その影響は防衛予算にも表れるだろう。中国の台頭とアメリカの衰退、という単純な歴史は存在しない。

未来は予測できないが、傾向として、中国は台湾を本土に帰属させ、吸収していくだろう。様々な力が連動して調整するから、中国は軍事的衝突を急ぐことはない。すでに、1500基以上の短距離弾道ミサイルが台湾の標的に向けられている。しかも、台湾と本土の間で週に270便も商業飛行が運営されている。台湾の輸出の3分の1は中国本土に向かう。こうして独立は溶解していくのだ。中国の戦略は台湾ではなく、資源の豊富な南シナ海と、インド洋に向けられる。

これがパワー・シフトだ。混沌とした中東よりも、ダイナミックで、繁栄する東アジアこそが重要だ。台湾が、我々の位置を示している。

WSJ SEPTEMBER 29, 2011

Rethinking Taiwan's Defense

By DAN BLUMENTHAL

台湾は望む高性能戦闘機を手に入れられなかった。しかし、アメリカは台湾の防衛力を強化できる。ワシントンと台北は新しい防衛政策の作成に協力している。

その要点は、台湾を中国人民解放軍PLAの弱点に対して強力な形に改造することだ。北京はできるだけ短時間で制圧する作戦を立てている。それは占領よりも制圧を目指す。NATO軍が1990年代のコソボで行った作戦だ。

台湾は、PLAが地上軍を送らなければ制圧できないように準備するだろう。LADの犠牲は、人命と財源において増大する。そのために高度な情報の監視ネットワーク、諜報活動を組織する。小型の船舶や潜水艦で、海峡の敵を監視する。

上陸したLPAは、ゲリラ部隊や狙撃手に狙われるだろう。台湾は、都市や農村で、くまなく抵抗を組織する。食料や燃料を備蓄し、行動を計画する。オバマ政権は最新鋭戦闘機を売却しなかったが、こうした「戦闘域」戦略を支援できる。それは中国が立ち入るべきではない、あまりにも大きな代償を支払う土地として認識される。

FT September 29, 2011

A show of force

By Kathrin Hille

地図を見ながら、PLAの記事を読むことです。


l  ユーロ危機の出口

SPIEGEL ONLINE 09/23/2011

Rescuing the Euro

The Fatal Mistakes of Berlin's Bailout Strategy

Project Syndicate 2011-09-23

Argentina’s Bumpy Ride

Andres Velasco

アルゼンチンが2001年に経験した危機の過程を説明しています。

WP September 24, 2011

Without the euro, would Europe have turned to war?

By John Kornblum

1990年に冷戦は終わった。共通通貨ユーロは、戦争への恐怖によって成立した。新しいヨーロッパには、再統一したドイツがあった。それは古いナショナリズムをよみがえらせ、ヨーロッパに戦争をもたらすという恐怖があった。

コールとミッテランは、共通通貨ユーロを政治プロジェクトと考えた。ヨーロッパを固めるセメントであり、戦争の恐怖を取り除くものだった。

この恐怖があったから、ユーロ圏は必要な政治組織に関する合意を欠いたまま急いで成立した。それはヨーロッパが真に統一された経済圏となるためには必要であった。それがないことは、各国に勝手な経済政策を許した。ドイツは貯蓄し、ギリシャは支出したのだ。市場がこの弱点を突いた時、ギリシャやポルトガルは破産した。

ユーロがなくても、ヨーロッパは戦争しなかっただろう。しかし、1997年にMartin Feldsteinは、これほど多くの国が共通通貨を導入したことは、各国の摩擦を増やし、攻撃的なナショナリズムを復活させる、と警告した。

今も、ユーロ危機をよそに、ドイツの新聞は、税金を支払わないギリシャの大富豪や50歳で引退するギリシャの労働者、港に並ぶ金持ちのヨットを紹介する。これに対して、ギリシャ人はナチスの悪行を回想し、ドイツ人も戦後の膨大な賠償金を負っていた、と主張する。

1990年のユーロを成立させたもう一つの恐怖は、ユーロがなければ、再統一したドイツがヨーロッパ大陸を支配する、ということだった。ドイツは自国通貨マルクをあきらめ、フランスは再統一を許した。ユーロがベルリンをヨーロッパにつなぎとめるはずだった。しかし実際は、ドイツが再統一後の経済改革に耐えたことで、ユーロによって、フランスが指導するのではなく、ドイツが5億人のEU経済を率いている。

ユーロのせいでアイルランドやスペインはクレジット・カードを持ち、ドイツの金利で住宅バブルの買い物を続けた。ギリシャやポルトガルも支出を増やした。しかし、彼らが買ったメルセデスやBMWsは、ドイツの輸出を増やし、ドイツ企業の利潤も増やしたはずだ。

こうしてユーロは危機を増幅しただけでなく、域内の低金利を利用して、アメリカのサブプライム・モーゲージも大規模に購入した。銀行はギリシャなど赤字国政府の債券も購入した。それは莫大な損失に変わりつつある。

ガイトナーが理解していなかったのは、ヨーロッパの蔵相たちが抱える政治的ムードである。彼らは戦争の恐怖を共有している。劇的な行動を避けたいのだ。それは政治的なゲームであり、富裕なヨーロッパ人と貧窮したヨーロッパ人とがサッカーでパスを交換する。貧しい国はドイツのような緊縮策を取らない。豊かな国は経済共同体を救済する十分な支援を行わない。ゲームは進まない。

ヨーロッパの政治家は金融の専門家ではないが、国民感情を読むプロである。恐怖による共通通貨の維持が、第二次世界大戦の遺産である。

FT September 25, 2011

Zero hour for the euro

By Wolfgang Munchau

先週のワシントンで、ヨーロッパの政策担当者たちがこれほど怯えているのは見たのは初めてだ。

FT September 25, 2011

A bail-out by Bric nations would leave Europe even worse off

By Michael Pettis

BRICsなど、外国からの投資が増えても、ヨーロッパの債務危機は終わらない。むしろ事態は悪化するかもしれない。各国は自国が資金を得るために債券を割り引くだろうから、全体の利益を損なうだろう。

NYT September 25, 2011

Euro Zone Death Trip

By PAUL KRUGMAN

ユーロ危機の長さには、恐れるよりも呆れるだろう。多くの専門家たちが共感するはずだ。

ユーロ危機は本当に深刻だ。しかし、同時にヨーロッパの政府は危機回避を少しずつしか認めない。そして基本的な事実、積極的な財政・金融の景気刺激策で成長を回復しなければ、危機は終わらないことを認めない。

1999年にユーロができたとき、投資家たちはギリシャやスペインの債券もドイツと同じように安全だと思った。周辺諸国に資本は流入したが、非難されているような放漫財政や無駄遣いではなかった。個人消費や投資が伸び、次第に住宅バブルに向かった。

ブームが突然終わって、経済不況と財政危機が起きた。税収は急減して赤字になり、さらに銀行の救済による債務も増えた。投資家の信頼は特に周辺諸国に対して崩壊した。ヨーロッパは緊縮を叫び、財政赤字や融資を削っている。民間投資家の信頼が回復するまで投資は戻らない。

もし国際経済が好調であれば、緩やかなインフレを含みながら成長しているのであれば、こうした緊縮策も効果があるだろう。しかし、ヨーロッパの政策担当者たちは債務諸国に必要な条件を提供していない。ドイツとECBはデフレに偏っている。

彼らは1920年代のドイツで起きたインフレの記憶に今も執着している。しかし、むしろ1930-32年のブリューニング首相が均衡財政と金本位制の維持を主張し、ドイツの不況を悪化させた、という記憶に戻るべきだ。その歴史的な結果であるヒトラーの権力掌握と戦争を含めて。

ヨーロッパが必要としているものとその政治家たちの主張とはかけ離れており、楽観を許すいかなる理由もない。

NYT September 25, 2011

Germany’s Mediterranean Envy

By TODD G. BUCHHOLZ

FT September 26, 2011

Germany and the eurozone: Besieged in Berlin

By Quentin Peel in Berlin

SPIEGEL ONLINE 09/26/2011

Currency Crisis

German Central Bank Opposed to Merkel's Euro Course

guardian.co.uk, Tuesday 27 September 2011

Without a growth plan, the EU faces financial Waterloo

Simon Jenkins

guardian.co.uk, Tuesday 27 September 2011

The eurozone: a crisis of policy, not debt

Mark Weisbrot

FT September 27, 2011

Fear and loathing in the eurozone

By Martin Wolf

ユーロ圏の政府債務は65000億ユーロある。その約半分がリスクを高めている。それはもはや黒字国による救済の余地を超えている。債務危機と金融市場の悪化が循環し始めている。

解決策は二つだ。銀行システムの資本を増強する。パニックを防ぐために十分な流動性を供給する。EFSFの増資はよいことだ。しかし、本当に危機が行動を求めるときは、中央銀行しかない。その問題も含めて、対応することだ。ほかに選択肢はない。

FT September 27, 2011

Only a finance minister and full fiscal union will do

By Guy Verhofstadt

FT September 27 2011

Bracing Europe

Project Syndicate 2011-09-27

Europe’s High-Risk Gamble

Martin Feldstein

ギリシャ経済の現状は耐えがたい。政府債務はGDP150%。経済は崩壊し、GDP7%以上も減少し、失業率は16%だ。慢性的な収支赤字がGDP8%。支払い不能の銀行から預金が流出している。

唯一の出口は、政府債務のデフォルトである。少なくとも債務額を50%削減する。そしてユーロ圏を離脱して新通貨を切り下げる。それは輸出を増やして景気回復に役立つ。この「デフォルトと切り下げ」戦略は、返済不能なほど膨大な債務を抱えた、慢性的な経常収支赤字の諸国で繰り返された解決策である。ギリシャの場合は新通貨の導入が追加されるだけだ。

市場はギリシャのデフォルトを十分に覚悟している。では、なぜドイツやフランスの政治家たちはそれを邪魔するのか? 二つの理由がある。

1.自分たちの銀行に処理の時間を与える。銀行は資本を増やし、満期になった融資を減らし、債券をECBに売却する。2.ギリシャのデフォルトが他国に波及し、銀行システムに、特にスペインやイタリアで取り付けが起きるのを恐れている。2年間、デフォルトを遅らせた間に、スペインとイタリアが市場に対して返済する力を示すはずだった。スペインは銀行や地方政府に債券保証を与え、イタリアは財政赤字を抑える。

もしギリシャへの融資を続ける2年間でそれができなければ、金融市場はスペインとイタリアをデフォルトにし、ユーロ圏は解体される。それ以前でも、市場がギリシャ、もしくはスペインやイタリアに対して資金を供給せず、金利が急騰するかもしれない。市場を騙す戦略は危険すぎる。

BLOOMBERG Sep 27, 2011

A Road Map to a Prepackaged, Orderly Greek Default

WP September 27, 2011

The global economy waits on action from Berlin

WSJ SEPTEMBER 27, 2011

A Fannie Mae for Europe's Bonds?

SPIEGEL ONLINE 09/28/2011

Confusion over EFSF

Is the New Euro Backstop Fund Just the Beginning?

By Charles Hawley

FT September 28, 2011

Leveraging the EFSF is attractive, but risky

Gavyn Davies

FT September 28, 2011

Greece is not leaving the eurozone, not now, not ever

Ian Bremmer

ギリシャに出口はない。ユーロ圏離脱は解決を意味しない。

ユーロ圏を離脱する法的な根拠はない。それは混乱し、長引くだろう、政治的な対立も起きる。しかも、企業の債務処理が加わる。ギリシャの民主主義は問題を悪化させるだろう。

ギリシャが新通貨ドラクマを導入し、切り下げることで輸出を伸ばす、という主張がある。しかし、ギリシャはユーロ圏の他国に比べて貿易に依存していない。しかも、ユーロ建の債務がある。ドラクマの切り下げは返済を難しくするだけだ。

ユーロ圏離脱のメリットは持続しない。ギリシャはユーロ圏諸国から関税によって締め出されるだろう。そして、EUの構造調整基金を受け取れなくなる。

1980年代に、ギリシャは切り下げとインフレーションを経験した。それは競争力を回復せず、高インフレが国民の貯蓄を破壊した。切り下げによって同じことが起きて、生活水準が低下する。

国民は緊縮策を嫌っているが、議会のほとんどが支持している。また国民の60%がユーロを支持している。ポルトガルやアイルランドは恐れているし、ドイツも被害を受ける。イタリアには間違った先例となる。だからギリシャは離脱しないほうがよい。

guardian.co.uk, Wednesday 28 September 2011

Europe: never closer union

SPIEGEL ONLINE 09/28/2011

Confusion over EFSF

Is the New Euro Backstop Fund Just the Beginning?

By Charles Hawley

FT September 29, 2011

How to stop a second Great Depression

George Soros

FT September 29, 2011

Debt swap needed to cauterise Greece

SPIEGEL ONLINE 09/30/2011

National Governments Can't Be Trusted

Barroso Calls for More Power for EU Institutions


l  国際通貨制度の改革

Project Syndicate 2011-09-23

Big Reform in Small Packages

Jean Pisani-Ferry

サルコジ大統領が主宰するカンヌのG20は国際通貨制度改革を扱うはずであったが、予定したような世界金融危機の鎮静化ではなく、その後も様々な問題が悪化してテーマを忘れさせている。

しかし、国際通貨制度にはシステムとしての問題がある。過剰な流動性の供給、ドル建準備資産の累積、経常収支不均衡に対する政策、必要な為替レート調整への抵抗、インフレとデフレの世界的な併存。こうした問題は部分的な改革を積み重ねても解消できないだろう。

世界は多通貨型システムに移行していく。ドルに加えて、ユーロや人民元も利用されるだろう。それは多極的な通貨の調整を円滑・容易にするのか、それとも、ますます国内経済重視となって変動を強めるのか、断定できない。危機の際には国際的な協調が求められる。

グローバルな通貨システムが、真に、グローバルな通貨と流動性を供給するに遠い現実がある。SDRの設定を調整する専門的な問題にとどまるものではない。

Project Syndicate 2011-09-23

The Great Debt Scare

Robert J. Shiller

市場への信頼が低下することは、消費や投資の減少と悪循環を形成する。ヨーロッパでもアメリカでも、消費者は支出を抑制している。

FT September 28, 2011

Europe’s search for a silver bullet

トービン税(金融取引課税)を支持した欧州委員会に対する強い批判です。

アメリカの支持がなければ成功しない。金融貿易戦争になるだけだ。たとえ導入できても良い効果は期待できない。

guardian.co.uk, Wednesday 28 September 2011

A Robin Hood tax could turn the banks from villains to heroes

Bill Nighy

NYT September 28, 2011

To Ease the Crisis, Tax Financial Transactions

By PHILIPPE DOUSTE-BLAZY

株式、債券、デリバティブ、通貨、金融市場取引にわずか0.05%課税(F.T.T.)することで、われわれはカジノのように興奮を煽る金融の過熱した取引を抑え、金融危機や不況によって苦しみを増した世界の貧困層を救済できる。

援助ではなく、それが21世紀型の解決法だ。


l  イタリアとルワンダ

FT September 23, 2011

Why Italy is short of statesmen but long on scoundrels

By Tony Barber

グラムシからクローチェまで、イタリアは20世紀の重要な政治思想家を生んできた。これと対照的に、この100年間、イタリアは優れた政治指導者を持たなかった。なぜか?

イタリアの政治はキリスト教民主党が支配してきた。党が分派に分かれたことで、その利権は厳密に得票数で分配されるようになった。その結果、一握りの政治家が権力を支配し、私的な利益を政治システムを通じて実現するようになった。国民は政治を嫌い、法の支配や権力の正当性は劣化した。1861年の半島統一以後、国家は野蛮さと無法を象徴した。それ以上に、多くの国民はその忠誠心を、国家ではなく、カソリック教会と政治的なパトロン、そして、マフィアに捧げたのだ。

ファシズムはイタリア国民の自画像だ、と1920年代の知識人Piero Gobettiは述べた。イタリア人にふさわしいイタリア政治家しか生まれてこない。今もそうだ。

NYT September 24, 2011

Whatever Happened to the American Left?

By MICHAEL KAZIN

WP September 23, 2011

A cynical progress in Rwanda

By Anne Applebaum

ルワンダ大統領Paul Kagameは、民族虐殺を乗り越えて安全と成長をもたらしました。彼の理想はシンガポールのリー・クァン・ユーです。しかし、シンガポールと違って内陸国であるルワンダは輸出が困難で、成長のモデルをアフリカ中央部のハブ国家、知識・情報集約産業に求めました。その限界は、今も、民族対立の再現を理由に発言やジャーナリズム、政治的な自由を奪っていることです。


l  プーチンの国家

FP SEPTEMBER 24, 2011

The Return of the King

BY JULIA IOFFE

The Observer, Sunday 25 September 2011

Putin's presidential ambitions signal a return to autocracy

SPIEGEL ONLINE 09/26/2011

Kremlin Comeback

Prince Putin Reigns Supreme in 'Putlandia'

Benjamin Bidder

Putlandiaとは、プーチンが作った架空の国です。ここではプーチンがメドヴェージェフと職位を交換する喜劇を演じます。

「われわれは国家を崩壊の危機から救った。」 と、プーチンは自慢します。「パワーがないことはロシアにとって死をもたらす危険である。」 そして彼らは国家を強化し、それを乗っ取った。民主的な制度は弱く、骨抜きにされた。

FT September 26, 2011

Russia takes a step backwards

By Gideon Rachman

WP September 26, 2011

Russia’s corruptionism

FT September 28, 2011

Europe urgently needs a new Ostpolitik

By Thomas de Waal

FT September 28, 2011

Out of the shadows

By Charles Clover

Project Syndicate 2011-09-30

The Eternal Putin

Nina L. Khrushcheva


NYT September 24, 2011

On Top of Famine, Unspeakable Violence

By NICHOLAS D. KRISTOF


l  アメリカの回復策

WP September 24, 2011

Beyond the ‘Buffett rule,’ how the Sage of Omaha can help Obama and the economy

By Alice Schroeder

FT September 25, 2011

Why Obama is right to back Buffett

By Bruce Bartlett

WSJ SEPTEMBER 26, 2011

Stimulus and the Depression: The Untold Story

By HAROLD L. COLE AND LEE E. OHANIAN

WSJ SEPTEMBER 28, 2011

Ben Bernanke Deserves a Break

By ALAN S. BLINDER

バーナンキは何をなすべきか? ツイスト? QE3? 独立性?

WP September 29, 2011

Where Obama’s jobs bill falls short

By FareedZakaria

減税や消費を促す手段は、雇用を増やす点で、効果的でないだろう。むしろ、民間資本も呼び込んで、インフラ投資銀行を設けるべきだ。

Project Syndicate 2011-09-29

America’s Free-Trade Abdication

Jagdish Bhagwati

Project Syndicate 2011-09-29

A Free Lunch for America

J. Bradford DeLong

アメリカは低金利を利用して公共投資ができるはずだ。しかも、現状のような失業者の多い時期には、その利益が非常に大きい。

連邦政府が5000億ドルのインフラ投資を追加した場合、今後2年間で1兆ドルの追加の財・サービスが生産される。それは約700万人の雇用をもたらす。それは失業率を毎年2%低下させる。

そのうえ、インフラが改善されたことで200億ドルの追加の所得や社会福祉が生じる。低い失業率は将来に向けて年に200億ドルの生産を増やす。追加の財・サービス1兆ドルのうち半分は家計が得る。仕事が増え、消費が増え、所得が増える。

納税者、家計、企業、失業者が利益を得、投資家も利益を得る。何も嫌なものは生まれない。

エコノミストはフリー・ランチがないことを主張する。しかし、今は二つの点が異なる。労働市場はひどく不均衡にあるから、政府支出は社会の資源を奪わない。債券市場はあまりにも狂っており、安全な政府債券に殺到している。

WP September 30, 2011

Why Europe’s crisis matters to U.S.

By Michael Gerson

WP September 30, 2011

We already have the infrastructure bank we need

By Howard Schweitzer, Mark L. Alderman and Evan Bayh


l  ウォール街を占拠せよ

guardian.co.uk, Sunday 25 September 2011

Occupy Wall Street rediscovers the radical imagination

David Graeber

WP 09/26/2011

Why ‘Occupy Wall Street’?

By James Downie

若者たちは正義を求める。“Occupy Wall Street”・・・街頭占拠は10日目に入った。数百人の活動家たちがウォール街に近いZuccotti Parkを占拠している。週末には数千人が集まった。

こうしたデモは、終わった途端、忘れられてしまう。しかし、違うところは、アメリカが直面する経済状態である。特に若者たちだ。ジェノサイドでも、パレスチナでも、グローバリゼーションでもなく、遠い政治的目標でもない。自分たちの初めての苦境に抗している。

guardian.co.uk, Thursday 29 September 2011

Occupy Wall Street and the limits of spontaneous street protest

Eric Augenbraun


l  ハード・カレンシー・クラブ

Global Times | September 26, 2011

Strategic dependency on US still Japan's Achilles' heel

By Han Zuomin

FT September 29, 2011

When a strong currency is not a badge of pride

By Peter Tasker

もしアメリカ経済が過去4年間で30%も縮小したら? あるいは、中国経済が年10%でなく、わずか2%で成長したら? イギリスの住宅価格が60%も下落し、商品物価が1970年代の半ばの水準に戻ったら?

こんな凍結した水面下の世界があるのだろうか? 世界最後のハード・カレンシー、日本円が作る世界だ。通貨価値が高まることは、必ずしも、よいことではない。

震災、津波、原発事故が襲ったときも、1兆ドルを超える外貨準備を持つ日本への反応は、円高だった。日本銀行は動かず、避難所となった円に資金が流入し、円高は続いた。

かつて通貨価値の高いことは勲章だった。クリントン政権が呪文のように唱え、ドイツのフンデスバンクも執着した。世界金融危機がそれを変えたのだ。政策担当者は国内需要の冷え込みや債務の圧縮に直面して、輸出や賃金、物価水準を維持するため、通貨価値の低下を求めた。通貨価値の維持を守る諸国は、1930年代の金ブロックのように、デフレを輸入してしまう。

日本・円と同じように通貨価値を誇ったスイス・フランも方針を転換した。しかし、円だけはまだハード・カレンシー・クラブだ。15年間のデフレを利用して企業は賃金やコストを下げ、日本は円高を耐えた。若干インフレであったスイスは通貨価値の高さに耐えられなかった。

日本もデフレの悪影響は深刻だ。税収が減り、経済停滞による財政状態の悪化が続いた。賃金は下がり、労働条件は悪化し、他方、退職者たちは生活コストの低下を歓迎する。

家電、自動車、造船、・・・日本企業は韓国企業に敗退しつつある。2007年以来、韓国・ウォンの円に対する価値は半分になった。それはアジア通貨危機後の韓国企業の躍進と同じだ。

日本は追い越されるままではないだろう。スイス・フランをまねて、円高を阻止するはずだ。こうしてハード・カレンシーは世界から消滅する。


l  新興市場諸国

Project Syndicate 2011-09-26

Thick as BRICS

Jorge G. Castañeda

WSJ SEPTEMBER 28, 2011

Development Without Statism

By AJAY CHHIBBER

国家介入主義ではない開発モデルを求めて、新興諸国は成功しつつある。ヨーロッパの福祉国家は高価すぎる。

Project Syndicate 2011-09-30

The “Asset Crisis” of Emerging Economies

Yu Yongding


l  北朝鮮

WSJ SEPTEMBER 27, 2011

Pyongyang Looks for the Next Payoff

By ANDREI LANKOV

FT September 29, 2011

Kim Jong-il must see the dark path that follows failed talks

By Victor Cha


l  中国による救済

BLOOMBERG Sep 27, 2011

China as J.P. Morgan Might Have to Save World

By William Pesek

ユーロ危機は、アメリカと中国を道連れにするかもしれない。私たちは、中国人民銀行総裁やアメリカの財務長官と、心配を分かち合っている。「デフォルトの雪崩、銀行取付、破局的なリスク」に向かっている。 ・・・なぜオバマ政権はユーロ危機の救済に向かわないのか? とアジア各地で質問される。IMFにはギリシャを救う資金しかない。スペインもイタリアも救えない。

1907年の金融恐慌で、秩序を回復したニューヨークの金融家、J.P.モルガンの役割を、これまで自分たちの通貨危機に備えるばかりであったアジアが担うよう求められる。しかし彼らは、違う大陸の救出に使うとは考えもしなかった。それを断る理由はある。ヨーロッパはギリシャに、数年前に、財政規律を求めるべきだった。しかも、不況が深まれば新興市場にも危機が波及し、資金が必要になる。

アジアには、雇用創出や教育、インフラを整備する資金が必要だ。ヨーロッパに比べてはるかに多くの貧困がある。

Global Times | September 27, 2011

China must step carefully in debt-ridden Europe

By Zhao Kejin

FT September 28, 2011

China warns neighbours over US backing

By Kathrin Hille in Beijing

FT September 29, 2011

China bashing is back with a bang

Project Syndicate 2011-09-29

Can China Rescue Europe?

Minxin Pei

新興諸国、特に中国が、その32000億ドルの外貨準備を使って、ユーロ圏の債務問題を解決してほしい、という要請が聞かれる。しかし、中国の指導部はその交代期にあり、著しくリスクを嫌う。ヨーロッパ経済が安定することに大きな利益を見ているが、ユーロ圏内の政治的な交渉が問題を解決しなければ中国が投資することはないだろう。

しかし、中国は三つの方法で危機を緩和できる。1.EUから中国への輸入を増やす。2.ヨーロッパの銀行に対する資本を追加する。3.ヨーロッパへの直接投資を増やす。

Project Syndicate 2011-09-30

China’s Landing – Soft not Hard

Stephen S. Roach

中国経済の減速はハード・ランディングを意味しない。それは世界経済の減速を受けた結果であるし、望ましい調整過程である。住宅建設ブームは問題であるが、都市への人口流入は続いており、この余剰を吸収する。インフレの問題にも、食料供給の促進、銀行融資の抑制、人民元の増価、金利の引き上げ、において政府は積極的に対処している。

2008年の金融危機に続いて、今回の世界金融不安は二度目の警告である。これによって、中国の成長モデルの転換とソフト・ランディングは確立されるだろう。


FP SEPTEMBER 28, 2011

Atomic Dogs

BY KONSTANTIN KAKAES


YaleGlobal Online 28 September 2011

The Four Horsemen of Economics

Stewart Wallis


FT September 29, 2011

An indecent rush to the Afghan exit

By Philip Stephens


l  アメリカ人の国際テロリストAnwar al-Awlaki

guardian.co.uk, Friday 30 September 2011

Taking down Anwar al-Awlaki shows the US is winning against al-Qaida

Wesley Clark

guardian.co.uk, Friday 30 September 2011

Anwar al-Awlaki's extrajudicial murder

Michael Ratner

FP SEPTEMBER 30, 2011

More than a Feeling

BY DANIEL BYMAN

FP Friday, September 30, 2011

What the al-Awlaki strike tells us about Obama as a wartime commander-in-chief

Posted By Peter D. Feaver

WP Saturday, October 1

Anwar al-Aulaqi is dead, but the al-Qaeda ideology lives on

By Philip Mudd

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The Economist, October 17th 2011

How to save the euro

The euro-zone crisis: Fighting for its life

The proper diagnosis: Profligacy is not the problem

The costs of break-up: After the fall

Reforming education: The great school revolution

Economics focus: Prices or jobs?

(コメント) ユーロ危機特集です。ユーロ危機はもはや古いニュースです。その解決策をめぐる論争と、いわば歴史的な回顧です。ニクソン・ショックに戻り、マーシャル・プランに戻る。

「最後の貸し手」はあるのか? 融資ではなく財政移転に切り換えるのか? デフォルトと切り下げは行われるのか? 景気回復はできるのか? グローバルな危機に向かうのか? ギリシャが離脱しても、ドイツが離脱しても、そのダメージは受け入れがたい? 突然の資本流出が危機を破局によって終わらせる「新興市場型」に変わったのはなぜか?

他の記事で注意を引いたのは、「教育の革命」と「金融政策」です。しかし、予想されるように、どちらも答えはありません。

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IPEの想像力 10/3/11

朝のテレビで、カタツムリの養殖を観ました。野菜を食べて大きく太っています。これはフランスに輸出されるのでしょうか。

カタツムリを食べるなんて、と思っている人でも、輸出で利益をもたらすなら大歓迎でしょう。もし世界貿易が途絶したら、各地に消費されない余剰の商品が山積し、廃棄されたまま腐り始めます。

ギリシャの政府債務危機で国民はどのような生活を送っているのか? と司会者は語ります。農村の暮しには大きな変化がありません。特に、その消費者がギリシャの外にいる場合は。

ギリシャの観光業では、むしろ利用者が増えているような話です。少し物価が安くなったからでしょう。しかし、ドラクマに戻って切り下げても、急にホテルへの投資が増えるでしょうか? 政治や社会が混乱すれば、観光業も打撃を受けると思います。

「救済」融資を受けたことによる緊縮策の影響は、公務員の給与引き下げや失業の増加によって、アテネ中心部で顕著です。アテネの多くの商店が値下げを実施し、閉店するケースも多いと言います。

通貨危機も、救済融資も、構造調整も、発展途上諸国で以前から議論されてきたテーマです。ようやく欧米もそれに気付いたのか? と多くのIMF加盟諸国が思っているはずです。そうであれば、アメリカや中国の対応も含めて、ユーロ危機の終息過程は今後のグローバルな貧困=失業対策・開発モデルに組み込まれるでしょう。

戦争と、ドイツが怖いから、ヨーロッパは共通通貨を急いだ、とJohn Kornblumは書いています。冷戦終結がドイツの東西再統一と共通通貨をもたらしたのであれば、その逆転は何を意味するのか? ドイツの納税者はギリシャの年金生活者や脱税を嫌い、ユーロ圏の財政統合を嫌います。ギリシャの失業者は、ドイツの経済支配や自分たちを守れない政府を嫌います。

もし、アメリカと中国が共通の通貨や財政制度を持つ連邦(チャイメリカ)だったら、世界景気は速やかに回復し、ユーロ危機の救済にも積極的に動いたでしょうか? その場合、ドルによる外貨準備は何が引き継ぐのか? それでも日本は、海に囲まれた特殊な安全保障体制を確立し、台湾のように、独自通貨と政治的主権を維持するかもしれません。

・・・なぜ十分な雇用と安定的な成長は実現できないのか? なぜ極端な貧困や資産の蓄積はなくせないのか? デフレの地域があれば、なぜ黒字地域・諸国は輸入を増やして全体の景気を維持しようとしないのか?

<アラブの春>や、ロンドンの<ショッピング・暴動>に刺激されて、「ウォール街を占拠せよ」という呼びかけに応えた若者たちが集まりつつあります。Jeffrey D. Sachsが<文明>と呼んだスマートな政府は成立しません。彼らの怒りは政治家たちに届くでしょうか?

余りにも緊密な経済の統合化が、政治的な摩擦を強め、攻撃的なナショナリズムが復活する、という不安があります。輸出向けのカタツムリを養殖するなら、それと同時に、社会統合の条件を整備し、政治的な結束を高める教育や企画(留学・研修制度)、お祭りや運動会を開く必要があることを、私たちは再認識しつつあります。

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