今週のReview
8/22-27
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ベルリンの壁 ・・・未来の世界 ・・・ロンドン暴動 ・・・財政危機 ・・・ユーロ圏 ・・・世界経済の不安 ・・・バフェット ・・・日本への関心
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)
l ベルリンの壁
LAT August 12, 2011
Berlin Wall: A blessing in disguise
By Jacob Heilbrunn
土曜日は、ベルリンの壁が建設されて50周年である。2009年には、もっと盛大にベルリンの壁崩壊から20周年が祝われた。まるで、レーガン大統領の好戦的な演説がそれを成し遂げたとでも言うように、アメリカも強い関心を示した。レーガンの台詞"Mr. Gorbachev, tear down this wall!"は余りにも有名だ。
しかし、ベルリンに壁ができたのは、第二次世界大戦の終結に、スターリンが深く関与していたため、ベルリン攻撃を同時に行うという約束をアイゼンハワー大統領が守ったからだ。ドイツもベルリンも、英米とソ連とが分割・占領した。ベルリンはソ連が占領していた東ドイツ側で孤立したため、スターリンは西ベルリンを封鎖して圧力をかけたが、トルーマン大統領は空輸によって西ベルリンを維持した。さらにフルシチョフは、核戦争の危険を冒してでも、西ベルリンを終わらせるつもりだった。
このとき東ドイツは、数十万人の市民が足による投票で、すなわち、西ベルリン側に流出する結果として、消滅する危機を迎えていた。東ドイツ市長Walter Ulbrichtの、西ベルリンを監獄のように塀で囲む、という提案を、フルシチョフは承認した。西側の指導者たちはそれに対抗する用意がなかった。ケネディー大統領は、「封鎖が素晴らしい解決策とは言えないが、戦争よりははるかに良い」と側近に語った。
西ドイツの指導者も、東ではなく、アメリカやフランスとの友好関係を重視した。唯一、西ベルリンの若い市長であったWilly Brandtだけは分割に強く反対し、1960年代前半から東とのデタントを進めた。1970年代には首相となり、東西ドイツ間で経済その他の交流を活発に行い、東西の親戚が訪問することを許した。また、ソ連や東側の諸国に行って、ナチス・ドイツの行動に対する真剣な悔悟の表明を繰り返した。
ベルリンの壁は現実の一部であった。アメリカはベルリンの壁に関わって戦争したくない、東ドイツはなくならないし、彼らを孤立させることは強硬派を強くする。だから、西ドイツは東ドイツがより強く自分たちに頼り、共産主義の鎧を脱ぎ捨てるように促した。東ドイツによる、西ドイツはナチス・ドイツと同じ軍事的な脅威だ、という主張は説得力を失った。結局、デタントが自由化をもたらしたのだ。
ブラントのデタントがなければ、クレムリンにゴルバチョフらの新世代が誕生することはなかっただろう。しかし、ベルリンの壁崩壊から、ドイツとアメリカは対照的な教訓を得た。民主主義を広めるのは外交だ、と考えるドイツの指導者たちは、イラク戦争にも、リビアへの軍事介入にも参加しなかった。
確かに軍事行動が避けられない場合もある。しかし、ベルリンの壁は、東とのデタントが、保守派の非難したような、単なる宥和政策ではないことを示した。そしてベルリンの壁は、米ソ超大国の間に安定性を確保し、数十年かけて、共産主義体制の平和的な解体をもたらす条件であった。
NYT August 12, 2011
Tearing Down Berlin’s Mental Wall
By PETER SCHNEIDER
SPIEGEL ONLINE 08/16/2011
SPIEGEL Interview with Mikhail Gorbachev
'They Were Truly Idiots'
54歳でソ連共産党書記長になり、今や80歳になったゴルバチョフに対する長いインタビューです。なかなか面白い。
たとえば、なぜ中国式の改革を選択しなかったのか? クーデタの後も、ソ連は救えたのではないか? 今では、米独の多くの人は、ソ連を残すべきだった、と考えている。
しかし、彼らは事態を良く理解していなかった。ゴルバチョフが1991年のG7サミットに出席して経済支援を求めたとき、アメリカと日本は反対し、ドイツは何も言わなかった。フランスのミッテラン大統領と欧州委員会だけが支持した。そして、クーデタが起きた。
プーチンは1996年の大統領選挙でゴルバチョフを助けた。当時は賢明な男に見えたが、20年から30年の独製政治で、ロシアをアフリカの国に変えている、という。あなたの考えはなぜ劇的に変わったのか?
わたしは彼を「独裁者」と呼ばないし、今も支持している。しかし、彼が現状を維持し、あるいは、統一ロシア党がソ連共産党に戻ろうとすることは批判している。・・・民主主義はロシアに確立できるか?
FT August 18, 2011
Former USSR: A democratic deficit
By Neil Buckley
鉄のカーテンはなくなったが、今も、ヨーロッパは民主主義を受け入れた国とそれを拒む国の間で分断されている。
アメリカ政府の一部高官はロシア支援に反対した。旧ソ連から独立した共和国でも改革のモデルが無かった。若手の改革派が権力を握っても、ロシアの中央銀行が通貨発行を支配し、国有企業に補助金を与えていた。それはハイパーインフレーションをもたらし、安定化は困難だった。
官僚たちはレント・シーキングによって利益を求め、民営化は不完全で、莫大な富が少数の個人に蓄積された。
WP Friday, August 19, 2011
Twenty years later, communism’s effects linger
By Masha Lipman
l 未来の世界
FP Friday, August 12, 2011
Five big uncertainties
Posted By Stephen M. Walt
FP SEPT/OCT 2011
The Shape of the Global Economy Will Fundamentally Change
BY MOHAMED EL-ERIAN
「18か月前、一体誰が、ヨーロッパ経済クラブの最高級会員であるユーロ圏メンバーから、パキスタンよりも信用格付けの低い国が現れると予想しただろうか?」
「また、一体誰が、アメリカの神聖なトリプルA格付けを、格付け会社が再考するなどと考えただろうか? アメリカこそは国際準備資産としてのドルを、また、国際資本移動の結びつきを維持する金融システムを、グローバルな公共財として供給しているのだ。」
「また、誰が、弾力的な労働市場とダイナミックな企業家精神で有名な国が、高水準の失業率を続けるなどと予想しただろうか? アメリカの失業率は9%程度に固まっており、20-24歳の労働者については14.5%という驚異的な率である。」
これら三つの事実にはそれぞれに多くの理由があるだろう。しかし、これらは世界経済の機能に根本的な変化が起きていることを示している。そして今後、数年先まで、世界経済は変化し続けるだろう。
1.先進経済は様々な根本的問題を抱えて成長が減速するだろう。失業、財政赤字、住宅市場、銀行システム、政治的指導力、政党システム。
2.政治家たちは根本問題を解決するよりも、それを放置して対立するだろう。問題は悪化し、拡大し、危機が伝染する。ヨーロッパで特にひどい。
3.新興経済のいくつかは発展局面に突入した。先進経済の失敗に関係なく、彼らは成長できるだろう。世界市場に新領土が現れる。
世界経済の再編は今後も続くと思うべきだ。先進経済が調整を終えるには数年を要する。債務を減らし、既得権を整理する。金融システムの改革、財政再建、バランスシートを回復するインフレなど、アメリカの活力は再生できるが、その過程で政治の混乱がひどくなれば、グローバルな公共財を供給する役割が確保できないかもしれない。
その間、所得と富の再分配は進む。国際機関などでグローバル・ガバナンスの改革が求められる。我々はより早く準備することで、変化の犠牲者になるのではなく、より大きな利益を受けるだろう。
FP SEPT/OCT 2011
The South China Sea Is the Future of Conflict
BY ROBERT D. KAPLAN
ヨーロッパは土地によって景観が決まるが、アジアは海によって景観が決まる。それが20世紀と21世紀の違いになる。
ROBERT D. KAPLANの鋭く力強い考察に感銘を受けます。20世紀は、土地に制約されたヨーロッパにおけるドイツの台頭が戦争の原因となりました。21世紀は違います。それは海を舞台とした、西太平洋におけるアメリカと中国の対立です。
なぜなら、海における交易が世界の輸出入だけでなく、石油などエネルギーの世界輸送を支配しているからです。アジアの人口規模から考えて、この地域が世界のエネルギーや資源を需要する中心市場になります。海上は各国の輸送船と、それを護衛する海軍によって競争的に支配されるでしょう。
KAPLANは、マキャベリを引いて、管理された形であれば紛争は進歩の刺激になる、と認めます。さらに、地上の戦争と違って、海上の戦争はその条件がまったく異なり、人命を失うことが少なく、戦略は合理的である、と指摘します。そして、西太平洋における軍拡競争は戦争に導かないだろう、と予想します。中国は、今や、かつてないほど大陸における境界線の画定に成功し、海上における境界を意識して海軍の増強に向かっています。それにもかかわらず、リアリズムと勢力均衡は、何よりも、合理的な意味で戦争を回避する思考方法です。
9カ国が関わる資源開発も含めた、南シナ海The South China Seaの重要性について、アメリカでも中国でもなく、KAPLANはオーストラリアの積極的な外交に注目します。オーストラリアは中国の成長から大きな需要の刺激を受けています。しかも、アメリカの安全保障も欠かせないと考えます。すなわち、現状維持を目指すのです。アメリカは、南シナ海がアメリカの利益にとって無制限な介入を保証するほど重要か、と自問しなければなりません。結局、中国の海軍増強は、アメリカの部分的な後退をもたらします。中国が目指すのは、一種の帝国です。アメリカがカリブ海(そして西半球)を支配したように、中国も南シナ海を支配したいのです。すなわち、中国がこの地域の弱小諸国家に支持を与える形で、安定した秩序を保つのです。問題は、日本がこのモデルを決して受け入れないことでしょう。その場合、中米日の3カ国とインドを含む、諸国家の「ヨーロッパ型協調による平和」に向かいます。
人道主義的な介入の方が、リアリズムよりもはるかに多くの戦死者を出した、とKAPLANは主張します。21世紀の変化を意識した経済モデルや市場の活気に対して、自由の拡大が中国でも主流になるはずだ。それこそが、南シナ海の勢力均衡による平和の帰結である、と。
FP SEPT/OCT 2011
Problems Will Be Global -- And Solutions Will Be, Too
BY ANNE-MARIE SLAUGHTER
14年経てば世界は2025年になる。14年前の1997年に世界でどうであったか、それを考えてみるだけで変化の大きさが解るだろう。1997年にはアメリカの一極支配が明白であった。クリトン政権の3年目が終わったとき、アメリカ経済は健全で財政も黒字を示していた。EUは15カ国になってまだ4年しかたたず、もちろんユーロは存在しなかった。新聞のトップ記事は、ボスニア、クロアチア、コソボだった。BRICsという言葉もまだ発明されていなかった。
では、2025年の外交世界に何が起きているか、私の考えを述べよう。
世界はさらに多角化しているだろう。国連安保理は現在の15カ国から25~30カ国に拡大されている。そして、ブラジル、インド、日本、南アフリカ、そして、エジプトかナイジェリア、トルコかインドネシアが常任理事国になっている。EUをモデルとして、各大陸に地域機構ができている。中東では、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、シリア、トルコが中東の新しい自由貿易圏の中心メンバーになる。EUは新しい地中海同盟と緊密に結びつく。
こうした多角化を進める力は、問題がますますグローバルな、あるいは、リジョナルな性質を持つことである。他方で、国家の数は増え続けている。国民国家は多くの目的で主要な役割を担うが、二国間やグローバルな交渉を200カ国以上が行うことには無理がある。南シナ海の領土紛争が地域的な枠組みで交渉され、アイボリー・コーストやギニアの安定化をAUやより小規模な地域教義で話し合うようになるだろう。グローバルなレベルで、迅速な対応を求められる危機に対しては、より小規模なG20が行動する。
2025年に最強の国家とは、より少ないものでより多くを実現できる、日本のような国家である。日本の文明は、何世紀にもわたって、自然を称賛し、共存する、美しい方法を開拓してきた。中国の若者は何でも多くを求める。スカンジナビア、ドイツ、ニュージーランド、そして韓国も、強国であろう。持続的成長を受け入れることは、アメリカを変える。自動車に貼るステッカーは「アメリカは美しい」だろう。
技術革新は、かつてトクヴィルがアメリカ社会の特徴として称賛したものを、グローバルに広め、政府と市民との関係、政府と政府との関係を変えるだろう。19世紀のアメリカ人は、何にでも協会や結社を創った。
大きな危機が契機となって、世界は変わった。第一次世界大戦が国際連盟を、第二次世界大戦が国産連合を、1930年代以来の最悪の経済危機がG8をG20に拡大した。気候変動も、われわれの国家や社会を変える。適応する以外にないのだ。
FP SEPT/OCT 2011
Think Again: War
BY JOSHUA S. GOLDSTEIN
世界平和は不可能か? 戦争についての革新が起きていることを考えれば、平和はむしろ近付いている。戦死者数、組織された軍隊の衝突、は減った。非戦闘員以外の死傷者も減っている。戦闘行為はより人間的であるように求められている。アメリカはさらに多くの軍事介入をするか? 中国の軍備拡大は戦争に至るか? 国連の平和維持軍は有効か? など。
FP Monday, August 15, 2011
Democratization through the backdoor?
Posted By Paul Bonicelli
l ロンドン暴動
FT August 12, 2011
Urban riots: seven days that shook Britain
guardian.co.uk, Friday 12 August 2011
Britain burns the colour of ‘A Clockwork Orange’
By Gautam Malkani
崩壊のスピードがすべてだった。上品な、独自のスタイルを持った、世界の首都であるロンドンが、炎上するディストピアのサーキットになった。警察なんて怖くない。どうせその情報網は若者たちのBlackBerryによるメッセージより遅れている。
こうして一国から秩序が失われ、ホッブス的な雰囲気が現れた。暴徒や略奪、サイレンの音を、テレビよりも早く、自分で味わえる。これほどの不信感は過去になかった。
略奪者の人生はリアルになる。フラットスクリーンTVを盗む。その映像は世界中を駆け巡る。イギリスにはディストピア小説の豊かな伝統がある。オーウェル、ハクスレー、ゴールディンフ、バラード。
ロンドンでも他の町でも、暴徒たちは楽しそうに笑う。暴動は楽しみであり、フットボール・フーリガンと同じように、元気の証明だ。しかも、政治には無関心で、より多くの消費を求める。反資本主義や対抗文化を背景に、都市の通りを占拠した前世代の若者と異なる。彼らの目的は流行りの小売店であり、略奪する前に試着する。
1962年に出版されたA Clockwork Orangeの主人公が取った行動は、暴動と異なった反抗であった。若者の不満は放火や破壊によって示される。自己破壊はニヒリズムよりも否定的なディストピアだ。暴徒たちは社会からだけでなく、自分からも切り離された。Taxi Driverの主人公は、私に何か言ったのか? と問いかける。そして鏡に映る自分を撃つ。
イギリスの街頭を襲った暴力には、標的がない。
FT August 14, 2011
The dangers of youth’s labour lost
若者たちには仕事がない。年上の者たちには仕事がある。それは失業率が高まるにつれて大きな不満になる。財政再建を議論するのと同じように、政治家たちは若者の失業を議論しなければならない。移民と高失業率とを結び付ける証拠はない。
企業に雇用を促す補助金が効果的だ。他方、独占市場を規制し、労働市場の分割をなくし、最低賃金を緩和し、若者の技術水準を高めるべきだ。
guardian.co.uk, Monday 15 August 2011
Cameron and Miliband's speeches: a political power struggle over the riots
Anne Perkins
FT August 16, 2011
The inchoate rage beneath our global cities
By Richard Florida
グローバリゼーションが都市をさらに豊かにするが、同時に、分断し、不平等にした。ロンドンの暴動は、階級間で広がる分断化を示した。
そこには二つの移入民がいる。一つは、安い税金と世界一流のショッピングを楽しむ、国際的な兆富裕層だ。そして、もう一つは、生活の改善を渇望する未熟練な労働者たちだ。ロンドンは巨大な磁石である。
しかもロンドンは、アメリカの諸都市がそうであるほど、階層間で居住区域を分離していない。富裕層と貧困層とが隣り合って暮らしている。ネオボヘミア地区の激しい住宅改造と地価高騰は、誰の目にも明らかだ。グローバルな兆富裕層は世界経済の悪化から何も影響を受けないように見えるが、貧困層は仕事を失い、わずかな財産を失い、政府の支出削減の犠牲にもなる。
暴動は、企業が営利的に改造したこの都市に対する反発だった。今なら、オリンピック都市だ。
分断を抑える社会契約が必要だ。子供たちには早期の能力開発を、若者たちには都会の企業家に参加できる機会を用意し、社会の利益になる創造的な取り組み方を教える。すべての住民たちが本当の機会を得られるロンドンでなければならない。
FT August 16, 2011
Why the rioters should be reading Rousseau
By John Kay
Jean-Jacques Rousseauは、イギリスの経験した二つの危機、すなわち、市場の危機と街頭の危機とを経験した。ただし、彼が見たのはトレーダーや暴徒ではなく、猟師たちだった。
猟師たちは鹿を獲って町に運ぶ。しかし、もし野兎が簡単に捕まるなら、彼らは鹿を獲らない。何のためらいもなく、野兎を獲る。仲間がどうなろうと知ったことじゃない。ルソーは、利己的な行動が必ず全体の利益になることを否定した。猟師が鹿を獲るとしたら、そこには共有される利益があり、それは階層的な秩序によって強いられねばならない。そのような構造の無いところでは、夕食を得るために盗るしかない。人々がTottenhamの商店で窓ガラスをたたき割ったように。
所得と富の配分に関しては、大きく二つの経済理論がある。一つは、権力理論。すなわち、パワーだ。人々は奪い取る。森からでも、市場取引からでも、商店からでも。所得の配分とはパワー配分を反映する。ほとんどの歴史においては、地主が借り手から奪い、貴族が地主から奪い、国王は貴族から奪った。マック公爵6世が非常に裕福であるとしたら、その理由は、マック公爵1世が非常に優れた盗賊団の首領だったからだ。
もう一つの理論は、限界生産性理論だ。すなわち、彼が商品やサービスの価値に付け加えた分だけ得られる。この理論は、特に多くを得ている者にとって都合が良い。彼らが多くを得ているのは、彼らが多くを成したからだ、というわけだ。
協力的な組織化は、農業社会においてのみ、ときたま現れる。なぜならそこには資産を取引する証券などなく、商品を並べた小売店もないから。しかし、複雑な現代の経済では、生産のために多くの者が関わっている。アダム・スミスは工場による生産性上昇を絶賛したが、鉄を引き延ばす労働者の追加した価値についてはどう考えるだろうか? ピン工場の経営者や、未完成のピン製品が為替リスクを回避するために取引する業者の報酬を、スミスでさえも見逃したのか?
スミスが描いたように、ピン工場の生産性が(個人の職人の)240倍になるとしたら、労働者が限界生産物を手に入れた後に、多くの余剰利益が残るだろう。この余剰の分割において、工場内の権威が決定的である。明らかに分配はCEO(最高経営責任者)に有利になる。CEOはそれを道義的・経済的に正当化する報告を書ける。努力による報酬の倫理は失われて、所有が現実の資格なのだという文化に道を譲る。
スカイ・テレビが、子供の意識調査を公表した。何になりたいか? と聞かれたら、かつては専門職であったが、今ではスターや有名人になりたがる。教師や博士ではなく、ポップスターやバスケットボール選手になりたい。尊敬されたい・・・マック公爵6世のように。何かに貢献するのではなく、何か価値のあるものでありたい。
もちろん、子供というのは、大人たちが言うことを聞いているのだ。そして大人というのは、経済的・社会的な価値がいかに崩壊したかを確認しているにすぎない。
guardian.co.uk, Wednesday 17 August 2011
Looting with the lights on
Naomi Klein
ロンドンの暴動はヨーロッパ各地で起きた暴動と比較された。警官による暴力。忘れられた世代。
しかし、暴動は起きても略奪は少なかった。略奪にも多くの歴史的な例がある。たとえば、米軍が侵攻したバクダッドだ。無人の図書館や博物館が、放火され、略奪された。工場も襲われた。私が訪ねた工場は冷蔵庫を作っていたが、価値のあるものは何であれ、すべてを労働者たちが奪い去り、その建物は放火されて骨組みだけになっていた。
略奪に関するケーブル・ニュースは、人々にとって政治的な意味を持った。それは、彼らの目から見て、体制が正当性を失った、ということだった。もちろん、キャメロンはサダム・フセインではないが。
では、民主主義国の例はどうか? 2001年頃のアルゼンチンだ。経済状態は急速に悪化し、ネオリベラルの政策が取られる前は製造業が栄えていた地域も、外国資本が経営するスーパーだけになっていた。多くの人々がスーパーマーケットを襲った。彼らは、もはや手に入れることができなくなっていた衣類、電化製品、肉を載せたカートを持って、逃げ去った。政府は「包囲網」を作って秩序を回復しようとしたが、人々はそれを望まず、政府を転覆させた。
アルゼンチンの大量略奪はthe sackingと呼ばれた。この言葉は政治的に重要な意味があった。なぜなら、それまで民営化と称して国有資産を不正に売却し、富を海外に隠し、その揚げ句に、莫大なつけを国民に負わせた政治エリートたちが好んで使った言葉であったからだ。もちろん、イングランドはアルゼンチンではないが。
イギリス社会はこうした行動を許さない。キャメロンは、そう断言した。
しかし、空前のボーナスを支払う銀行を莫大な税金で救済したのはイギリス政府だろう。銀行家たちは誰も罰せられなかったし、金融危機が再発するのを防ぐ策も講じられていない。彼らは社会の弱い者たちを犠牲にして救済されたのだ。公務員は解雇され、教師たちはスケープゴートにされ、図書館は閉鎖され、授業料は引き上げられ、組合は抑えられ、公的資産は売却され、年金は減らされた。こうしたことを説教したのは、もちろん、銀行家やヘッジファンドだ。
人々が自分たちの社会給付の資格を奪われてしまったとき、それは白昼において、公然と行われた。しかし富裕層には恐怖が広がっていたのだ。・・・街頭で襲われるのではないか? その通り、彼らは正しかった。
ロンドンの暴徒は政治的な主張を持たない。しかし、彼らは夜の掠奪者であり、白昼の掠奪者であるエリートたちをまねている。略奪は伝染するのだ。政府は、暴動と緊縮財政は関係ない、と言う。しかし、政府の支出削減はメッセージであった。彼らは社会全体に宣言した。お前たちは掃き溜めに詰まったままだ、と。移民や難民のように、要塞化した国境で追い払うこともできないが、同じことだ。
キャメロンは警官まで削った。暴動であれ、略奪であれ、それは政治というより物理的な問題となっていた。
NYT August 17, 2011
Wrong Answers in Britain
guardian.co.uk, Thursday 18 August 2011
Recollections of the riots
Chris Elliott
l 財政危機
SPIEGEL ONLINE 08/12/2011
Why the US Should Raise Taxes
German Example Shows Way Out of Debt Crisis
A Commentary by Peter Bofinger
膨大な債務に苦しんでいるが、彼らは歳入が少なすぎる。アメリカ、アイルランド、日本は、ドイツのレベルまで増税するべきだ。
政府が不況を避けるために赤字を増やしたことは正しかった。支出を増やし、銀行を救済して、1930年代の大恐慌が再現するのを防いだ。
しかし、このままではますます多くの税収を利払いに充てることになる。長期金利が低く、成長率が高ければそれも容易に解消できただろうが、金融危機によってそれは難しくなった。
経済危機の中でも増税して、財政赤字をなくした例は1990年代のドイツ、コール政権だった。コール首相は、再統一の財源として「連帯課徴金」を含め、所得税を56%にまで引き上げた。同時に、キャピタル・ゲインにも課税し、富裕層から歳入を得た。
他方、支出削減は、特に成長を損なう点で問題だ。
BLOOMBERG Aug 14, 2011
Tea Party, Debt Deal, China and Genius of Democracy, Part 2: Noah Feldman
By Noah Feldman
WP August 15, 2011
10 ways to fix the budget
By Robert J. Samuelson
アメリカの財政再建に向けた10の計画。1.10年で再建する。2.増税よりも支出削減。3.社会保障、医療保険、年金の削減。4.新しく65歳になった者に適用する。5.防衛費の削減には独立した委員会を設ける。6.時代遅れ、非効率、無駄の削減。7.税率を引き下げ、免税措置をやめて、累進的にする。8.エネルギー・ガソリン税の導入。9.医療コストの削減。10.変化は漸進的に。
FT August 15, 2011
Why we cannot inflate our way out of debt
By Raghuram Rajan
市場のパニックを解消するのは、力強い成長の回復しかない。一部にはインフレを解決策とする意見もあるが、それは間違いだ。
債務超過の企業や家計が苦しんでいるなかで、どうやってインフレを起こすというのか? インフレは低利で長期の融資を行っている固定所得の者に支出を促し、債務の実質価値を減らし、債務超過を解消して、成長を促す。しかし、中央銀行の反インフレ姿勢は信頼を失い、予想外の結果をもたらすかもしれない。
日銀はインフレを起こそうとしたが、失敗した。日銀が債券を買っても銀行は多くの準備金を保有し続けた。中央銀行がインフレ目標を決めて、それを達成するまで資産(株でも土地でも)市場に介入し続けたら、インフレは起きたかもしれない。しかし、目標を変えると信用されなくなるだろう。
債務を減らすには、もっと迅速に、大規模なインフレが必要だ。しかし、成長が回復したら、インフレを減らせるのか? 高金利を受け入れるか? 市場型の債券や短期債務にはインフレは影響しない。貯蓄者には損失を強いる。年金制度が崩壊するかもしれない。それは、債務処理のコストを誰かに転嫁することでしかない。外国人に転嫁すればよいのか? それを恐れるなら、将来の赤字は難しくなる。
つまり、債務超過問題を、マクロ政策によって解決することは難しいのだ。たとえば、破産処理を容易にする立法措置が好ましい。住宅債務者が救済される。住宅価値を破壊する差し押さえが減る。
NYT August 15, 2011
The Clear Case for the Gas Tax
guardian.co.uk, Wednesday 17 August 2011
This disastrous 'debt crisis' myth
Mark Weisbrot
WSJ AUGUST 17, 2011
A Tale of Two Downgrades
By ALAN S. BLINDER
アメリカについて二つの評価引き下げがあった。一つは無意味であるが、もう一つは重要だ。
S&Pはアメリカの政府債券の格付けをAAAからAA+に引き下げた。格付け機関は投資家のために情報を集める。誰も知らない情報があるかもしれない。しかし、アメリカの債券について、彼らが何か特別なことを知っているのか? 幸い、誰もS&Pの評価を気にしなかった。
格付け引き下げは世界の株式市場を下落させたかもしれない。しかし、不安になって投資家が買ったのは、アメリカの債券だ。
もう一つの評価引き下げは重大だ。それはアメリカ連銀の公開市場委員会FOMCで、アメリカ経済の回復見通しが引き下げられたのだ。景気は急速に悪化する、と連銀は警告している。
二つの点が注目される。バーナンキ議長は委員会内部に反対があっても強い緩和政策を決定した。その政策は専門家たちを驚かせた。すなわち、2年先まで、現在の低金利を変えない、と約束したのだ。この政策は、ひとまず理にかなっている。金利は将来の予想によって決まる。連銀が2年先まで金利を0.25%以下にするなら、2年の金利もこの範囲に下がるはずだ。
しかし、この理論には反対がある。しかも、市場はすでに低金利を予想しているから、この政策の効果は乏しい。そもそも将来の選択肢を封じるというのは、中央銀行家が恐れることだ。何が起きるかわからない。それでも公表したのは、それほどアメリカ経済の悪化を心配している、ということだ。
LAT August 18, 2011
Daum: Invasion of the idiocrats
Meghan Daum
500年後の世界で、機能しなくなった国家を描くSF映画に登場するのが"Idiocracy"です。それは21世紀のアメリカか?
FT August 18, 2011
American taxes must reconcile equity and austerity
By David Rothkopf
l ユーロ圏
SPIEGEL ONLINE 08/12/2011
Fixing the Euro Zone
A Six-Point Plan for Ending the Debt Crisis
A Commentary by Thomas Straubhaar
市場参加者の不安が高まっている。EUとアメリカは協力して迅速に行動する必要がある。短期的に、返済できない主体の債務を減らし、新規融資を行う。長期的に、政治家たちは財政再建を進める。
ヨーロッパは6つの面で計画を必要としている。
1.独仏政府の支持。2.EFSFの拡充。3.ECBの役割限定。4.財政統合。5.格付け。6.株式市場。
(chinadaily.com.cn) 2011-08-12
Eurobonds or bust
By Simon Tilford
FT August 14, 2011
Three steps to resolving the eurozone crisis
By George Soros
ユーロ危機を脱する主要な改革の方針は決まっている。1.銀行システムの改革と資本増強。2.ユーロ・ボンド発行。3.退出メカニズム。
ユーロ圏は各国経済の収斂を前提したものだが、実際には、分散が起きてしまった。債務を支払えない赤字国はどうするか? 赤字国も黒字国と同じ低い金利で借り入れることだ。そのためにユーロ・ボンドを発行する。その返済は加盟国すべてが保証する。
しかし、ドイツは間違ったマクロ政策を実行し、他国にも求めている。ユーロ・ボンド発行がそれを条件にするのであれば、赤字諸国は耐えられない。債務は減らすべきだし、不況に対する財政赤字は許されるべきだ。債務返済と不況対策は両立できる。ユーロ・ボンドの発行に条件を課すなら、それを債務の一定割合にするとか、その上限をユーロ圏の理事会で決めるのが良い。
債務国がその条件を受け入れられない場合、ギリシャのように、ユーロ圏からの秩序正しい離脱方法があると望ましいだろう。それはイタリアにも適用できる。
ECBがユーロ圏のすべての政府債券を購入することだけでは、ユーロを価値ある通貨として維持することはできない。
SPIEGEL ONLINE 08/15/2011
SPIEGEL Interview with George Soros
'You Need This Dirty Word, Euro Bonds'
SPIEGEL ONLINE 08/15/2011
A Politically Dangerous Proposal
Europe Pressures Merkel to Accept Euro Bonds
guardian.co.uk, Tuesday 16 August 2011
Now we have a European growth crisis
Henning Meyer
SPIEGEL ONLINE 08/16/2011
Euro-Zone Crisis
Merkel and Sarkozy Plan 'True Economic Government'
FT August 16, 2011
Ghost of Keynes haunts eurozone
ユーロ圏の成長は減速している。それはユーロ危機の解決を難しくする。ユーロ圏内のいくつかの国では、それでも財政再建が必要だ。しかし、ドイツのように財政の余裕のある国は、ユーロ圏内の緊縮予算を配慮しなければならない。それを無視して健全財政を主張する北部ユーロ圏の主張は、不況によって失敗するだろう。
FT August 16, 2011
Europe need not wait for Germany
Martin Sandbu
YaleGlobal, 16 August 2011
The Eurozone Fights for Survival – Part I
François Godement
Project Syndicate 2011-08-16
Europe’s Central Bank at Sea
Mohamed A. El-Erian
ECBはギリシャの債券を購入することを嫌った。それはギリシャ危機を強めた。ECBは債務を減らすためにギリシャはもっと改革すべきだと考えた。それは政府の仕事であるから、ECBが関与するより、黒字諸国か他の機関が求めるべきだった。
ECBの資産が悪化しないためには、1.ユーロ圏を解体するか、2.財政統合するか(赤字国は東ドイツになる)、3.より小さなユーロ圏としてまとまるか、である。1.は誰も望まないが、政治家は2.を、エコノミストは3.を支持する。
政治家は2.を目指すが危機を解消できず、次第に3.へ向かうだろう。
SPIEGEL ONLINE 08/17/2011
The Price of the Pact
What Will a European Economic Government Entail?
By Stefan Kaiser
FT August 17, 2011
Breaking Europe’s cycle of enfeeblement
By Mark Leonard
FP Thursday, August 18, 2011
The coming erosion of the European Union
Posted By Stephen M. Walt
アメリカにとって、ヨーロッパとの関係は重要でなくなる。
ヨーロッパが世界の重要な役割を担う時代は終わった。人口で観ても、経済力で観ても、ヨーロッパはますます小さな役割しか果たさないだろう。
EUが重要であったのは、第二次世界大戦後にヨーロッパを安定させるため、アメリカの関与が欠かせないものだったからだ。経済復興にも、ソ連の脅威に対処するためにも、アメリカはヨーロッパに深く関与していた。
EUの加盟国は大幅に増えたのに、その意志決定は複雑なままで、重要な問題を解決できない。ヨーロッパ統合はすでに限界に達している。共通の脅威がなく、政治的意思決定が不十分で、ユーロ圏は制度的に不完全なまま、各国のナショナリズムが復活している。
アメリカは、大西洋ではなく太平洋を向き、ヨーロッパよりもアジアを重視する。
guardian.co.uk, Thursday 18 August 2011
No, EU talk of economic governance does not herald the Fourth Reich
David Gow
YaleGlobal, 18 August 2011
The Eurozone Fights for Survival – Part II
Joergen Oerstroem Moeller
Project Syndicate 2011-08-18
Eurobonds without Fear
Andres Velasco
l 世界経済の不安
FT August 12, 2011
Central banks: Two against the world
By Robin Harding and James Wilson
財政危機、景気悪化に対して、アメリカとヨーロッパの中央銀行総裁は、世界経済の安定と成長を確保するために何ができるのか? 政治のもたらす不安定さや混乱にどうやって対抗するのか? 以下のような専門家の発言が紹介されています。
Mishkin, Blinder, Krugman, Thomas Mayer, Jörg Krämer, Jean Pisani-Ferry, Charles Wyplosz
「ECBはすべての公的債務を保証しなければならない。彼らの核兵器を持ちだす必要がある。」
FT August 12, 2011
Policy dithering will further fuel the crisis
By Mohamed El-Erian
WP August 13, 2011
What is the stock market telling us?
By Liaquat Ahamed
株式市場は迷走の末に3週間で12%下落し、2兆5000億ドルを失った。市場のメッセージとは何か?
S&Pは格付けを下げたけれど、投資家は市場を去らなかった。債券市場は株式市場の2倍あるが、金利はむしろ下落した。アメリカの政府債券はリスクからの避難所である。
では、なぜ株価は下落したのか? Paul Krugmanによれば、市場は、議会が政府支出を削減するという間違った処方箋から不況をもたらす、と結論したのだ。むしろ、政府は本当に必要なインフラ投資などを増やすべきだろう。空港、道路、橋などを修理して、雇用を増やすべきだ。
しかし、政治家たちは経済のロジックを受け入れない。削減をめぐる論争ばかりだ。金利が低いから公共投資をすべきだ、と言っても聞き入れない。2008年―09年と恐慌を回避するために資金がウォール街に注入された。数か月を経て、彼らは活況を取り戻したが、失業者は減らない。
アメリカ景気は、戦略を間違ったせいではなく、その政治的な支持が失われたから、景気回復に失敗しつつある。政府はもっと大規模に、ウォール街ではなく、住宅所有者を救済するべきだ。そして消費を復活させる。それは政治的な力学も転換させる。
アメリカの繁栄を脅かすのは、財政赤字ではない。景気後退だ。
FT August 14, 2011
Global recovery requires political courage
By Jim Flaherty, Pravin Gordhan, George Osborne, Tharman Shanmugaratnam and Wayne Swan
FT August 15, 2011
The west’s crisis of honest leaders
By Max Hastings
FT August 15, 2011
Don’t let fiscal brakes stall global recovery
By Christine Lagarde
BLOOMBERG Aug 15, 2011
Ticker: Shall We Take a Double Dip This Summer?
By Tobin Harshaw
guardian.co.uk, Wednesday 17 August 2011
Economic stimulus: in search of the Goldilocks option
FT August 17 2011
The great failure of globalisation
By Jeffrey Sachs
金融危機から抜け出すとは、国民に対して、大胆、健全、そして、社会的な価値に依拠した解決策を示すことだ。欧米の政治家にはそれができない。彼らはグローバリゼーションによって切り刻まれてしまったのだ。
製造業の低熟練労働者に雇用をもたらし、産業の巨大な広がりに新投資をもたらすことが、グローバリゼーションによってできなくなった。2000年以降、欧米の雇用は住宅建設に頼ってきた。それは低金利と規制緩和で起きた住宅バブルだった。だから、景気回復にも新しいバブルを期待している。
しかし、技術や熟練を高め、輸出を伸ばし、公共のインフラを改善し、エネルギーの転換を図ることもできるはずだ。ところが欧米の政府は、最終の消費を刺激したり、逆に、緊縮策を追求して、投資を無視している。
Global Times | August 17, 2011
Global recovery requires political courage
By George Osborne, Tharman Shanmugaratnam and Wayne Swan
カナダ、南アフリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリアの政治指導者が経済危機(そして信認の危機)への取り組みを説明します。政治家としてバランスを取るなら、経済の安定化、景気回復とは、どのような政策を意味するか?
WP August 13, 2011
Imagining a world without the New Deal
By David F. Weiman
NYT August 13, 2011
The C.I.A. and Drone Strikes
NYT August 14, 2011
Drones Alone Are Not the Answer
By DENNIS C. BLAIR
NYT August 14, 2011
Cheap Robots vs. Cheap Labor
WSJ AUGUST 18, 2011
In Praise of Drones
By SADANAND DHUME
無人偵察機・攻撃機による戦争drone attacksをどう見るか? ロボットの大規模導入、工場の無人化をどう見るか? 戦争でも、工場でも、人間の価値が高まれば、その分、ロボットを多く使用すればよいのか?
LAT August 15, 2011
Fixing the economy: We got it wrong
James K. Galbraith
guardian.co.uk, Monday 15 August 2011
President Obama's re-election economic policy
Dean Baker
l バフェット
NYT August 14, 2011
Stop Coddling the Super-Rich
By WARREN E. BUFFETT
オバマ大統領は、「犠牲を分かち合う」よう求めた。しかし、私はそこから漏れている。超裕福な友人たちに尋ねたら、彼らもそうだった。痛みはやってこない。
貧困層や中産階級の人々は、われわれのためにアフガニスタンで戦い、多くのアメリカ人は生活するためにやりくりを苦労しているが、われわれ超富裕層は莫大な免税措置を利用できる。
ワシントンの政治家たちは、われわれの富を守ることが使命だと心得ているからだ。まるでアフリカワシミミズクspotted eagle owlやその他の希少生物のように、彼らは超富裕層を大事にする。そういう友人たちを持つことが彼らの望みだから。
昨年、私は連邦政府に$6,938,744支払った。それは巨額に思えるだろうが、課税できる所得の17.4%でしかない。それは私の事務所で働く20人の誰よりも低かった。彼らは33%から41%の率で支払っていた。
資金を動かして稼ぐ者は、私の超裕福な友人たちのように、私よりも少ない率でしか税金を支払っていない。仕事で稼ぐ者は、私よりも大きな率で税金を支払っている。多分、ずっと大きな率だろう。
政府の歳入はその8割が個人所得税と給与税から生じている。しかし、超富裕層は15%の所得税を支払い、給与税は支払わない。
1980年代、90年代には、富裕層への税率はもっと高かった。税率が高いから、キャピタル・ゲインや配当に課税されるから、投資が減る、という説明を聞く。しかし60年間も投資家たちと働いてきたが、私はそんな例を知らない。高い税率が雇用を減らすという者に、私は、1980年から2000年に4000万人の雇用が生じた、と言いたい。その後、税率は下がったが、雇用の創出ははるかに少ない。
国税庁IRSのデータによれば、1992年、上位400家族は合計で169億ドルの課税所得を得ていた。その29.2%を連邦税として支払った。2008年に上位400家族は合計で909億ドルを得ていた。平均で2億2740万ドルというのは驚くべき額だ。そして、連邦税に支払った率は21.5%に下がった。
もうすぐ、12名の議員が委員となってアメリカの財政を検討する。10年間で1兆5000億ドルの赤字を減らすのだ。彼らが最初にする仕事は、超富裕層にも実現できないような約束をやめて、所得が100万ドルを超える富裕層(2009年、23万6883人)に増税することだ。さらに、1000万ドル以上の超富裕層(8274人)にはもっと増税するのが良い。
私や友人たちは富裕層の友人でありたい議員たちによって長い間甘やかされてきたのだ。政府は真剣に犠牲を分かち合うときだ。
FT August 16, 2011
Warren Buffett on American taxes
LAT August 18, 2011
Taxing Warren Buffett
SPIEGEL ONLINE 08/16/2011
Chinese Rating Agency Chief
'The Whole World Will Be in Danger'
NYT August 16, 2011
The Myth of Socialist Paradise
By LOBSANG SANGAY
チベット亡命政府の首相による中国批判です。
「占領されたチベットにおける、引き続く政治的抑圧、文化の抹殺、経済的な周辺化、環境破壊は受け入れられない。」
FT August 17, 2011
New era for renminbi? Don’t bet on it
by Simon Rabinovitch
Project Syndicate 2011-08-18
China’s $3.2 Trillion Headache
Yao Yang
l 日本への関心
FT August 16, 2011
Japan fumbles with the M&A it needs to change its game
By Kevin Brown in Singapore
なぜ日本の製造業を経営することは難しいのか? 経済は20年も停滞し、最近も需要が落ち込んでいる。円高が進んで、輸出利益を奪ってしまう。政府は機能しないし、人口が長期的に減少し、国内市場が2050年までに25%も減るだろう。
しかも日本の家電産業は、アジア市場で、ライバルの外国企業に市場を奪われてきた。内外のM&Aによって日本企業は利益を増やせるだろうか? 最近の例(キリンによるブラジルでのM&A、日立と三菱重工とのM&A)を見て、それも難しい、とFTは否定的です。
BLOOMBERG Aug 16, 2011
Japan’s Troubles Will Vex S&P, Evoke Bob Marley
By William Pesek
BLOOMBERG Aug 17, 2011
When it Comes to Dollar Dumping, Don't Forget Japan: The Ticker
By William Pesek
中国がアメリカの政府債券を投げ売りすると心配する前に、もう一人の重要な買い手、日本のことを考えよう。
中国は、もちろん、輸出企業を守るためにドルを買い続けている。また、もしドルを買わないと分ければアメリカの金利が急上昇して不況になるのを恐れている。しかし、9110億ドルの財務省証券を持つ日本が、中国の立場を脅かす。
なぜなら日本は中国のように取引を規制していないし、地震や津波、今も原発事故の影響で日本経済が苦しめられる。そうであれば、アジアで中国に先んじてドルを売れば、少なくとも最初は、損失を免れる。日本が巨額のドルを円に交換した、というニュースは中国を脅かす。
もちろん、日本がドルを売らない理由は多くある。1997年に橋本首相がそれを示唆して、一瞬でドルが急落したとき、日本政府は必至でそのような考えを打ち消した。
しかし、当時と違う事情もある。日本はデフレに苦しみ、震災の復興を負担しなければならない。中国が日本以上にドル債券を保有している。
FT August 16, 2011
The global era and the end of foreign policy
By Philip Zelikow
外交の焦点は、ますます国内政策の調整に向かっている。たとえば、グローバルな資本主義を救済するために、各国は政策を行使している。
LAT August 17, 2011
Shaping a new world order
By Andrew J. Bacevich
新しい世界秩序においては、アメリカは最強であるが、多くの国家の一つになる。浪費するよりも、パワーを温存するべきだ。多極化は問題を複雑にし、失敗すれば恐慌や世界戦争を招く。その意味では、アフガニスタンに何千億ドルも浪費したのは間違いだ。
1.問題の境界線を決める。2.資源の奪い合いに規範を決める。3.軍縮と兵器の輸出に規制を設ける。4.世界の問題地域に外交の焦点を当てる。
こうすれば、アメリカが1941年以来負っているコストも軽減されるだろう。
FP AUGUST 17, 2011
Planning for Libya 2.0
BY DANIEL SERWER
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The Economist, August 6th 2011
Time for a double dip?
Lexington: An underperforming president
Brazil’s industrial policy: Dealing with the real
Foxconn: Robots don’t complain
Indian consumers: The other Asian giant
Singapore’s property markets: Flat plan
Economics focus: Why the tail wags the dog
(コメント) アメリカの債務額上限を引き上げる論争、中国鉄道省の事故処理に関するインターネット上やメディアからの批判、シェール・オイルの開発、イスラム圏の民主主義、インドの政治腐敗、など、他の論調と重なるものだと感じました。
面白いのは、アメリカの政治におけるオバマ大統領の弱さを分析した記事、インドにおける膨大な人口が示すような巨大市場は現れない、という指摘でした。
ブラジルの通貨レアルの増価に対抗する産業政策や、中国に進出した世界最大の製造企業Foxconnが2013年までにロボットを100万台採用する話、シンガポールの不動産市場におけるバブル鎮静化には、グローバリゼーションに立ち向かう政府や企業の意志を感じます。
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IPEの想像力 8/22/11
マードックのメディア帝国がどれほど非合法な手段で政治家や有名人のスキャンダルを集めていたのか、Foxニュースやメガ宗教のラジオ番組、イスラム過激派や反イスラム主義のホームページがどれほど危険であるか、幼児ポルノや人身売買、麻薬の密売や犯罪の下請けあっせんなど、闇情報のネットワークがどれほど蔓延しているのか・・・ 私は詳しく知りません。
しかし、公共の精神があるとすれば、これらを何とかしてほしい、と思います。
ますます広告・放送時間の多くを占めるようになった健康食品、美容・ダイエット、英会話教材、などの誇大な宣伝、電話によるセールス、インターネット上のニセ情報もそうです。これらは浪費であり、詐欺・脅迫行為であり、一種のオレオレ詐欺です。
情報がこれほどゆがめられ、信用できない社会では、経済活動が沈滞するだけでなく、特に、善意や信頼に基く社会活動は成り立たず、政治も機能しないでしょう。
金融危機につながった住宅市場のバブルや、さまざまなデリバティブの取引に対して、金融消費者庁をアメリカは立ち上げました。消費者の立場に立って、情報の真偽や効果・効能を確認し、詐欺的な商品への警告や告訴、生産者責任の追及、などを圧倒的に強化してほしいです。
さまざまな美容・化粧品や、ダイエット本、育毛、精力回復、速読、記憶力、語学、受験産業、金が儲かる、結婚できる、・・・など。お金があって、暇があって、心配や不安を刺激すればサプリメントを買ってしまう、という善良な人たちをだます商品があふれています。効果を確かめて、一定の条件や手続きで代金を返還させ、悪質な場合は罰金を科し、その業者や関連ビジネスを公表すると良いでしょう。
たとえば、某社の「スピード・ラーニング」という広告です。テレビや新聞でやたらに広告していますが、聞き流すだけで英語が自然とわかるようになる、というのです。一体、何人の人がそうなったのでしょうか? 人によって差がある、と言い訳すれば済むことでしょうか?
確かに、英語教材の会社であるアルクには、以前から「ヒアリング・マラソン」という教材があって、これは誇大な広告などせず、一定の支持を得ていたと思います。
さらに政府は、日本人が英語を学習するための様々な教材をインターネット上に公開し、英語の習得を助けるべきでしょう。さまざまな水準で、関心や年齢、状況に合わせた表現力、身近な情報や説明の英語表記など、画像や音声で何度でも練習できるようにします。
それは英語学校や英語教材の会社にとって、深刻な破壊的効果をもたらす政府介入でしょうか? 私はそう思いません。公立の学校があっても、私立や塾は繁栄できます。基本的な知識や情報、教育は、無料で、誰にでも提供され、そのうえで特別なサービスが評価される方が良いでしょう。
広告や公約を実現できることに限定して、その効果や限界を詳しく表示させること。本当に効果のある商品(企業、政治家)が普及するように、消費者庁で比較データを公開し、消費者と企業からの苦情を受けて行動を起こすこと。そのためにも、私は(ちょっと他の政党と紛らわしいけれど)「広告実現党」を創って、政治家や企業の不正を正したいですね。
これは、どこか変でしょうか?
インターネットは仮想的な世界における信頼によって成り立ちます。ドロドロに汚染され、病原菌や有毒物質、吸血生物がひしめく海に、あなたは何も知らず、服をたたんで泳ぎに入ります。もし本当に美しい海があれば、多くの人が集まってくるでしょう。
情報が正しく、信用できる社会では、社会のためになる経済活動が繁栄するだけでなく、特に、善意や信頼に基く社会活動が尊敬され、優れた政治家たちが続々と現れます。
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