IPEの果樹園2011

今週のReview

8/15-20

 

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世界同時不況の予感 ・・・ユーロ圏の不安 ・・・アメリカの債券格付け引き下げ ・・・中国の世界工場ロボット化 ・・・日本の原発・国債依存 ・・・イギリス都市の「ショッピング」暴動 ・・・新しい世界通貨

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Global Times (China), The Guardian, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia, Yale Global そして、The Economist (London)


l         世界同時不況の予感

guardian.co.uk, Thursday 4 August 2011

Financial markets: State of emergency

2年前の89日に、金融危機はヨーロッパで現れた。BNPパリバのアメリカ住宅モーゲージ向け投資ファンドが三つ閉鎖され、続いて、イングランド銀行がノーザンロック銀行の資金繰りについて警告を発した。

2008年の銀行危機は二つの目標に向けて政策的に抑えられた。銀行を支え、不況に結びつけないこと。危機は回避されたが、景気は回復する力がない。ギリシャのデフォルトは不安を解消されず、スペイン、イタリアの金利も上昇して、緩やかなデフォルトに近付く情勢だ。8月は取引が少ない。株価の下落や金利上昇は大きくなりやすい。

銀行は再び支援され、スペインやイタリアにも救済融資がなされるだろう。リフレ政策が再現される。しかし、ECBは資金を供給するのか? ヨーロッパ政治は動くのか?

NYT August 4, 2011

The Wrong Worries

By PAUL KRUGMAN

木曜日、ダウ平均株価指数が500ポイントも暴落したのを見た者は、もはや疑いを捨てただろう。アメリカの景気は回復などしていない。

政府も連銀も一時的な事情で悪化を説明してきた。・・・ギリシャだ! 津波だ! また、雇用を心配するより、財政赤字の削減策で紛糾してきた。

しかし、最初の崩壊から後、回復には程遠い。特に雇用増が少ない。アメリカ人は、大恐慌以来、初めて長期の失業を経験し、もしかしたら永久に失業する人も多いだろう。

住宅市場が崩壊した後、消費者は支出する用意がない。企業は需要を期待できない。政府は財政赤字に神経をすり減らす。

政府も連銀も、その優先順位を変えるときだ。心配しなければならないのは、政府の支払能力やインフレではないのだ。

もっとトルーマンのように、雇用を直接に増やす計画を実行するべきだ。危機後の2年間、数百万人が仕事を失ったまま、まだ職を得られない。

guardian.co.uk, Friday 5 August 2011

Where is Britain's leadership in this global economic storm?

Ed Balls

guardian.co.uk, Friday 5 August 2011

In this second wave of crisis, the pain has to be shared

Polly Toynbee

Turmoil, mayhem, stampede, Armageddon, bloodbath・・・ 経済崩壊を描く言葉も尽きてしまった。過去10日間の9日は株価が下げた。イギリスをはじめ、世界中で下落している。アメリカの失業、地震やユーロ危機などを思えば、どこから需要は来るのか? 各国が近隣窮乏化政策に向かった1930年代と似ている。

イギリスが再びグローバルな経済危機に落ち込めばどうなるか?  David Cameron and George Osborneは、Gordon Brown and Alistair Darlingが直面したのと同じジレンマを味わい、しかも一層の苦しみをともなう。

平均以下の所得層が再び生活水準を悪化させるのか? 南東部の不動産だけが儲かって、北部は貧しくなるのか? どちらも繰り返すことはできない。ロンドンで職を得ている人たちは不況など知らないし、心配しないのだろう。こうした「野蛮なエリート」the "feral elite"の一人、バークレーのBob Diamond会長は、政府に財政緊縮策を緩めないように激励した。彼は650万ポンドのボーナスを得た。FTSE100の企業を見ても、重役たちは、今年、その給与の中央値が32%上昇した。

フラット・タックスの右派たちはラッファー・カーブの焼き直しだ。

こんな政府の下で、次の経済危機が来たら、公平な負担など期待できるだろうか?

guardian.co.uk, Friday 5 August 2011

Financial markets and governments: No one's driving

guardian.co.uk, Friday 5 August 2011

Market turmoil and the economics of self-harm

Mark Weisbrot

株価が下落した後、アメリカの雇用統計が注目を集めていた。幸い、11月には117000人の雇用が増え、株価が回復した。しかし、まだ失業率は9.1%もある。労働力の58.1%しか雇用されていない。

しかし、木曜日の下落はヨーロッパの危機が原因だった。ECBが債券購入においてスペインとイタリアを除くと説明し、ユーロ危機が両国の債券にも及んだからだ。もし債券市場で資金が得られなければ、救済融資を必要とする。ギリシャとは比べ物にならない(ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの合計の3倍以上)。そして、もしイタリアやスペインの債券がデフォルトになれば、ヨーロッパの銀行が破綻する。

なぜECBはそのような発言をしたのか? イタリア政府に厳しい緊縮予算を強いるためか? あるいは、ECBは財政再建を求めようとしただけだが、アメリカ政府のデフォルト不安がそれを大きなショックに増幅したのではないか。

残念なことに、金融緩和が遅く、財政再建を急ぐ、というユーロ圏の間違ったマクロ政策が、次第に、アメリカにも現れ始めている。

FT August 5, 2011

Politics and the markets: Week of the living dread

By Alan Beattie

墓場あらし、吸血鬼、麻痺。そして、最も怖いのは、銀の弾丸、手斧、強力な抗生物質、が無いことだ。

政治家たちは、夏の休暇でいなくなる。

FT August 5, 2011

Only luck and wise policy can save us from a double dip

By Gavyn Davies

二番底のリスクは50%に高まった。今や主要国は世界不況の再現を回避するために全力を尽くすべきだ。

「多くのエコノミストの主要な関心は、私も含めて、需要の不足である。しかし、財政赤字を無限に拡大し、あるいは、貨幣を創造することによって本当に解決できるのか、これを心配するのも当然である。また、反ケインズ主義の騒がしい集団がいて、こうした行動が無益なだけでなく有害だ、と主張する。我々の多くは、1930年代の政策担当者や、失われた20年の日本の政策担当者が、なぜ慢性的な需要不足を解決できないなどと思いこんだのか、不思議に思っていた。しかし、この2年間を経験して、彼らの失敗がより理解しやすくなった。」

ユーロ圏の危機は収まらず、アメリカ政府の債務不履行は最後まで合意形成が遅れ、連銀による量的緩和策を再現しても、その効果は疑わしい。つまり、危機回避の力は主要国にない、それどころか1930年代に向かっている。

石油価格が下落して人々の消費支出が増えるか、企業が投資と雇用に向けて動き出すことに、期待する。

FT August 5, 2011

The unbearable lightness of leaders

Project Syndicate 2011-08-05

A Contagion of Bad Ideas

Joseph E. Stiglitz

2008年の大不況は北大西洋、主に欧米の不況であった。バブルが破裂し、深刻な不況を回避するために財政的な刺激策が必要になって、巨額の財政赤字が発生した。これを削れば、受け入れがたいほどの大量失業が起きて、資源の浪費と人々の苦しみをもたらす。

EUが、とうとう、財政危機の周辺諸国を救済することに決めた。支援なしには成長を回復できない、と認めたのだ。しかし、彼らは財政赤字の削減を唱えている。緊縮財政はヨーロッパの成長を妨げ、苦境にある国をさらに苦しめ、ギリシャが輸出を伸ばすこともできなくなる。低成長は税収を減らし、財政再建も失敗するだろう。

ECBは、破綻した、あるいは支払不能の債務を整理することに反対した。そのために、西側の銀行システムは脆弱性を解消できないでいる。もしCDSscredit-default swaps)が巨額の支払を求められ、それを発行した金融機関に破綻の連鎖が生じる、と心配するのであれば、銀行の資本の増強を求めるべきだ。ところが、ECBはそれを恐れて、格付け会社がa “credit event”にしないように、一切の債務組換に反対した。

ECBは政府債券の組み換えを受け入れないように脅迫し、自分たちが格付け会社の意思決定の人質であることを証明した。中央銀行の独立性とは、銀行業の利益を守るためにあるのか? 銀行にCDSs販売への依存をやめさせるべきだった。債券交換のために安定した担保を与えてやるべきだろう。しかし、ECBは現状維持を選んだ。規制すべき銀行業の利益に従属しているのだ。

他方、アメリカでは、極右集団が連邦政府を閉鎖すると脅した。ゲーム理論が証明するように、思い通りにやれないなら非合理的に破壊を行う集団と、合理的な個人が対決するとしたら、必ず前者が勝つのだ。

結局、オバマ大統領は不均衡な財政支出の削減を受け入れた。増税はしない。過去20年間、億万長者たちが得た富も許す。石油会社への免税措置もなくさない。たとえそれが経済効率性を損ない、環境破壊をもたらしているとしても。給与への減税は更新しない。こうした財政的な緊縮効果は、企業の借入意欲を損なう。

財政刺激策を終わるだけでも需要は減少する。住宅価格の下落、成長の衰え、高失業。財政刺激策が必要だ。財政赤字の最大の要因は成長の減速だ。

欧米間で金融危機は相互に悪影響を及ぼしている。それ以上に深刻な伝染は、間違った考えが広まることだ。政策による経済停滞が生じるだろう。

FP Friday, August 5, 2011

Day of truth for the markets

Posted By Clyde Prestowitz

The Observer, Sunday 7 August 2011

Global economy: Our leaders need to seize control of the crisis

FT August 7, 2011

Mission impossible: stop another recession

By Nouriel Roubini

昨年まで、政策担当者たちは次々に帽子からウサギを取りだして、資産市場の価格引き上げ、景気回復を促した。ゼロ金利から、QE1QE2、金融緩和。財政刺激策、流動性供給で何兆ドルも注入した。銀行や金融機関を救済した。すべてやり尽くした。もうウサギは出てこない。

債券市場が悪化する中で、S&Pはアメリカの格付けを下げた。それは単に市場の混乱と景気低迷を強め、財政赤字を増やすだけだろう。どの刺激策も行き詰まっている。我々は深刻な不況を迎えるしかないのか?

それでも、まだ債券市場から資金を調達できる政府(米英日独)は、短期の財政刺激と中長期の債券策を示せるだろう。西側の中央銀行はこぞって量的緩和を行うだろう。ECBは金利の上昇を抑えるために救済資金を供給し、債務処理により、ユーロ解体を回避するべきだ。欧米が、危機回避を確実にして、秩序正しく、家計の債務を減らし、銀行の損失を補填するしかない。

迅速で、的確な政策によって、不況は回避できる。

FT August 8, 2011

The bullets yet to be fired to stop the crisis

By Kenneth Rogoff

危機によって生じた最大の赤字は、融資が減ったことではなく、政府の政策に対する信頼が失われたことだ。

誰もが政府・中央銀行の大胆な行動を求めている。しかし、何をするのか? 大規模な財政刺激策だけでは、債務累積を避けられない。

家計や金融機関の債務を減らすことが政治的に困難であれば、インフレを続けることだ。そして、年金制度などを改革する。

guardian.co.uk, Monday 8 August 2011

Global finance has dysfunction at its heart

Ha-Joon Chang

SPIEGEL ONLINE 08/08/2011

Debt Crises and Market Turmoil

Is The World Going Bankrupt?

By SPIEGEL Staff

BLOOMBERG Aug 8, 2011

Political Leaders, Central Banks Should Stop the Stampede: View

WSJ UGUST 8, 2011

Don't Panic About the Stock Market

By BURTON G. MALKIEL

「空が落ちてくる!」と叫ぶ者は間違っている。これは2008年の危機が再来したのではない。株式をあわてて売ることはない。その理由は、1.株価は安い。2.アメリカ企業の収益はアメリカ市場だけに依存しない。新興市場で好調だ。3.アメリカ経済は今も、世界で最も弾力的な市場だ。

Project Syndicate 2011-08-08

Stagnant and Paralyzed

Michael Spence

guardian.co.uk, Tuesday 9 August 2011

When government is broken

Carne Ross

(chinadaily.com.cn) 2011-08-09

What lies behind the new international financial crisis?

By John Ross

FT August 9, 2011

How to make the best of the long malaise

By Joseph Stiglitz

ケインズ経済学は危機に対して一貫して正しい見方を取ってきた。市場は政治を反映する。

「不況が始まったとき、大恐慌と日本の長期停滞から教訓を学んだ、賢明な発言が多くあった。しかし今も、我々は学びきっていなかった。刺激策は小さすぎたし、余りにも短期で、間違った配分であった。銀行に融資を強制しなかったし、政府は明るい見通しを示したデータを隠した。真実を知れば、脆弱な信頼が崩壊するのを恐れたのだ。しかし、われわれはこの賭けに負けた。問題は明らかだ。新しい確信が現れている。何をしても、不況は避けがたい、と。長期停滞も楽観であろう。」

FT August 9, 2011

Panic measures will ruin the Bric recovery

By Jim O’Neill

欧米の危機救済策は、新興市場の景気を損なっている。特に、中国のインフレは深刻だ。主要国の金融緩和で、商品価格の上昇が避けられない。

YaleGlobal, 9 August 2011

Global Economy: Is Anybody in Control?

David Dapice

FP AUGUST 9, 2011

Three Cheers for Decline

BY CHARLES KENNY

guardian.co.uk, Tuesday 9 August 2011

The year we realised our democratically elected leaders can no longer protect us

Jonathan Freedland

WP August 10, 2011

Global crisis calls for G-20 growth pact

By Gordon Brown

世界がグローバルな問題に苦しむとき、誰がそれに応えるのか? 世界経済は、最も貧しい国の最も貧しい者にも、最も豊かな国の最も裕福な者にも、影響を与える。

もちろん、世界の指導者たちは互いに電話で話し合っている。グローバルな不況を止めるために、一国にできることはないし、二国間、三国間でも、協調してできることはない。しかも、ワシントンの債務交渉は、4つの分野を禁止した。増税しない、刺激策を追加しない、公共投資をしない、社会保障を変えない。政治的な停滞は経済を損なう。

ヨーロッパでも4つの禁止が動きを封じている。救済しない、デフォルトしない、財源がない、切下げもない。消費者も政府も支出せず、債務の救済策がない。輸出も助けてくれない。

しかし指導者たちが協力して、均衡した、持続的な成長をもたらすことは可能だ。貿易自由化や温暖化の防止を合意し、保護主義やナショナリズムを抑えることは可能だ。

最初のG20は金融危機が世界恐慌に転化するのを防いだ。その後のG20は事務的な作業でしかない。世界経済の成長に向けた合意は、産業革命以来の最大の経済再編成を意味する。予測では、2020年にアジアは世界最大の市場になり、世界消費の40%を占めるだろう。

西側政府が財政赤字を減らすためにも、世界経済の成長は欠かせない。中国やインドで貧困から脱出する数億人を助けることと、欧米の景気回復には、協力が必要だ。国際商品価格の上昇やインフレを抑制し、通貨価値変動のショックを吸収し、貿易自由化交渉を進め、温暖化ガスの排出を抑制する炭素税と新エネルギーへの転換を促す。将来に向けた投資を再生するには、現在の施策に対する信頼が必要だ。

アジアと西側が協力し、貧困と失業をなくす力強い成長を実現する。次のG20 で、オバマとサルコジが計画を示すべきだ。

11月まで、金融危機は待ってくれない。今すぐ声明を出し、行動せよ。貿易を自由化する。金融政策と為替レートの安定化に協力する。金融システムの崩壊を避けるために協力し、その改革を実現する。

ビスマルクは世界経済を列車にたとえた。安定して走行する列車が、突如、抗しがたい力で衝突する。それはグローバリゼーションにも言える。指導者の力量が求められる。

FP Wednesday, August 10, 2011

Is the world cracking up?

Posted By Daniel W. Drezner

今やグローバル・ペシミストの瞬間だ。1.アメリカの債券格付けは低下。2.世界中で株価が下落。3.ユーロ圏は危機の解決に失敗。4.ロンドン郊外で暴動。5.中国人は、アメリカの債券保有と、国内の高速列車事故で、恥をかく。

ヨーロッパ、アメリカ、中国は、クレディットアンシュタルトの瞬間に向かうのか? 1929年の株価大暴落は、1931年にクレディットアンシュタルトが破綻するまで、大恐慌にならなかった。イギリスとフランスは、ドイツが賠償に応じなければ、融資しなかった。アメリカは、英仏が第一次世界大戦の債務を支払わなければ支援しなかった。

現代との共通点は、重大な危機に対処する協力の重要性を認めているが、それを十分に行うために国内の反対派を抑えられなかった、という点だ。1931年は再現するのか?

三つの不安がある。1.開発諸国の政府はすでに政策を出しつくした。2.中国政府はナショナリズムの感情に訴える可能性がある。3.開発経済の技術革新は社会不安を高める。

1930年代、ドイツのワイマール共和国から、現代のギリシャまで、緊縮政策は社会不安や政治的に動員された暴動に結びつきやすい。

BLOOMBERG Aug 10, 2011

Is There Enough Money to Save World’s Banks?: Jonathan Weil

By Jonathan Weil

NYT August 10, 2011

Where Will Growth Come From?

Global Times | August 10, 2011

Keeping a cool head amid global unrest


l         ユーロ圏の不安

BLOOMBERG Aug 4, 2011

Europe’s Plan Won’t Cut Greek Debt

By Peter Allen, Barry Eichengreen and Gary Evans

ギリシャの救済融資が市場で信頼されなかった理由は単純だ。債務を減らさなかったからだ。金利を低くし、満期を延長したが、政府の債務額は増えた。

200億ユーロの債権買い戻しも行ったが、その資金はやはり債務増である。民間部門の参加、が強調された。IIF(民間銀行のロビー団体)によれば、銀行は債権額の21%を削減するように求められた、しかし、それは利率の低い債券を受け取ることでしかない。市場金利で見て、削減a “haircut”とは言えないだろう。

明らかに、これはギリシャにとって酷い取引だ。ユーロ圏にとっても、指導者たちは危機の解決に失敗した。ヨーロッパの納税者はすべての負担を強いられ、銀行もなにも利益を得ていない。

なぜこれほど悪い合意をしたのか?

一つの説明は、EU、フランスとドイツの指導者、IIF、誰も何が行われているか知らなかったから。しかし、これは信じがたい。

もう一つの説明は、元来の目的が間違って利用された。銀行はAAAの資産を損なうことを避けたかった。ドイツ議会は、民間銀行がギリシャ救済に「参加」を強いられる、と言われた。

この合意は破棄すべきだ。

guardian.co.uk, Friday 5 August 2011

Financial jargon is all Greek to me save one word – debt

Peter Wilby

SPIEGEL ONLINE 08/05/2011

Doubts over Euro Stability

Precipitous Market Declines Shake European Leaders

By David Böcking, Maria Marquart and Philipp Wittrock

Project Syndicate 2011-08-05

From Pain to Gain on the EU Frontier

Daniel Gros

ユーロ圏の財政危機は第一幕から第二幕に移った。第一幕では、ある国が返済できないリスクを認めて、救済融資に同意した。

しかし、第二幕はもっと難しい。債務国の成長が回復しなければならない。しかし、2008年までのブームはユーロ圏の周辺部で消費ブームを起こした。消費者は借入によって住宅や自動車を購入した。こうした消費は国外からの融資や輸入を増やしたが、それと同時に、副次的な国内の経済活動も増やしてGDPを増大させた。

金融危機でブームが終わり、輸入は失われたが、関連する国内のサービスや雇用はなかなか調整できない。GDP10%が貿易赤字である場合、同じ10%が関連するサービスによる所得の増加であろう。

経済が完全な弾力性を持たないので、彼らは必要なサービスや生産活動に転換できない。そして、GDPは低下し、財政赤字が増える。これとよく似た調整は、ドイツの再統一や、バルチック諸国の不況に見られる。ドイツは対外債務に依存していなかったし、バルチック諸国はGDPを二桁で減少させたけれど、輸出を伸ばせた。

ユーロ圏周辺部に対して、公式の解決策は「構造改革」である。しかし、たとえば労働市場の自由化は、企業に解雇の自由を与えるだけで、新しい雇用をもたらさない。長期の成長を回復するには、短期的な痛みを増やすしかない、と納得することで、漸く危機は抑えられる。

FP AUGUST 5, 2011

Just How Bad is Bad?

Nouriel Roubini and Ian Bremmer

INTERVIEW BY BENJAMIN PAUKER

アメリカの景気刺激策は尽きた。中国は、EUは、不況回避に協力するだろうか?

FT August 7, 2011

Europe needs some flexible German thinking

By Ralph Atkins

guardian.co.uk, Monday 8 August 2011

Which is the No 1 problem economy in Europe?

Aditya Chakrabortty

OECD諸国で、貧困や不平等が最も急速に増大した国はどこか? それは、ユーロ圏だ。また、西欧は賃金の水準が最低である。

ギリシャやポルトガルがあるから? いや、違う。ドイツを見ればよい。ドイツ企業の性格は再統一によって大きく変わった。イギリスでニューレイバーを懐かしがる者はいないが、それはドイツの改革の基だった。

SPIEGEL ONLINE 08/08/2011

US Economist Kenneth Rogoff

'Some European Countries Are Fundamentally Bankrupt'

株価の下落は新しい金融危機につながるか?  現在の"the Great Recession"には、財政刺激策ではなく、債務処理や秩序正しいデフォルトと整理で対処するしかない。

オバマ大統領が譲歩し続けたことは理解できない。すべてのカードを出して、ティー・パーティ―に拒否され、降伏しただけだ。彼は「テロリストたちとは交渉しない。」と言うべきだった。たとえ短期的なデフォルトが起きても、次はそうするだろう。

ユーロ圏の政治家は難しい。その対策は人気がないからだ。ギリシャには大規模な債務の組み換えが必要だ。そして結局、ドイツ政府は、ユーロ圏のすべての政府について債務返済を保証することになる。短期的には財政移転同盟になるしかない。将来は、強力なEU大統領やEU財務相を置くかもしれない。

FT August 8, 2011

Slithering to the wrong kind of union

By Otmar Issing

政治統合に先行して通貨統合することを、不可能だという者も多いが、私はできると主張した。現在のユーロ危機は、政治統合を欠いた通貨統合が失敗することを示しただけなのか? 私はむしろ、この変化を歓迎している。

政治統合はヨーロッパの憲法や議会によって実現するのであり、それを欠いたことがユーロ危機の原因ではない。ユーロの通貨統合は、独立した各国の中央銀行が通貨価値の安定を保つことが条件だった。ECBは各国の財政を救済せず、財政の安定性と成長は守られるはずだった。

そうした原則を無視して、財政移転やECBによる救済が進むことは、究極の「フリーライド」であり、財政統合や政治統合によっても解決できない。ユーロ・ボンドを発行しても、安定性の幻想を与えるだけで、問題は解決しない。

FT August 8, 2011

South-east Europe: The clouds disperse

By Neil MacDonald and Neil Buckley

Project Syndicate 2011-08-08

Eurobonds or Bust

Simon Tilford

guardian.co.uk, Tuesday 9 August 2011

There's no future for the eurozone without fiscal union

Lydia Prieg

SPIEGEL ONLINE 08/09/2011

Bond-Buying Perils

ECB Risks Inflation and Loss of Independence

An Analysis by Stefan Kaiser

FT August 9, 2011

Beware the ECB’s brave new world

By Martin Sandbu

EFSF and ESMを資本強化して金融機関の監視と緊急融資に応える。ユーロ・ボンドではフリーライドに対処できないが、こうして各国のモラル・ハザードを避けることができる。

WSJ AUGUST 9, 2011

The Italian Job

WSJ AUGUST 9, 2011

Europe's Less Than Perfect Union

By WALTER RUSSELL MEAD

株価の下落、ギリギリの救済融資、暴動、ユーロ危機が世界に波及するリスク。2008年にアイルランド危機を議論したのは、ほんの幕開けであった。

これは、われわれが国民国家に代わって国際政治の主要なアクターになると信じた国際政治制度の終わりに達したことを示している。法に基づく国際機関が国際社会の性質を変える、というのは西側に起源のある思想だ。中世の暗黒時代には、教会が世俗の権力者を超える多国籍な機関であるという思想が栄え、イマニュエル・カントが啓蒙主義の時代に恒久平和を唱えた。

第一次世界大戦後、ウッドロー・ウィルソンは、ヴェルサイユ体制の中心に国際連盟を置き、軍事力による支配から法の支配に代わる新しい時代の国際官僚機構を夢見た。実際は、この思想の黄金時代が第二次世界大戦後に現れた。

この時代に国際機関が繁栄した状況として、特に二つが指摘される。第一に、冷戦が歴史的・外交的な凍結状態をもたらした。17世紀の半ばにウェストファリアの平和条約が大国による国際政治をもたらし、19世紀には諸大国が目もくらむスピードで同盟関係や政策を変えた。しかし、米ソが対抗した40年間は、国際同盟が凍結され、変化は緩やかに起きた。

第二に、深刻な交渉を含む国際会議に参加する国家の数は少なかった。その主要国間で文化的・イデオロギー的な違いも小さかった。根本的に異なる政治思想を持つソ連や中国は、NATOEU、ブレトンウッズの国際金融制度に属さなかった。例外的に、敗戦国である日本と、ヨーロッパ・大西洋の文化と歴史を共有する諸国家が参加したが、彼らは自由民主主義と社会的な市場経済の体制を採用していた。

しかし、最近の政治変化は官僚制度に対応できないほど加速した。主要なグローバル機関に参加する国の数は多く、その利害はバラバラで、合意を形成できない。ドーハ・ラウンドの貿易自由化交渉は麻痺してしまった。国連安保理でも、中国、ロシアと、英仏、アメリカの違いは埋まらず、決定は遅く、容易に決まらない。

EU内では財政危機の対応に指導者たちが非難し合っているが、問題は市場の変化に官僚たちが付いていけないことだ。その妥協策がECBの設立だった。余りにも多くの政治集団が関わって、二つの決定的な失敗を犯した。その結果、ECBの決定も時間がかかり、しかも、他のEU機関はなく、孤立している。

結局、EUは連邦制の国民国家になるか、不完全な同盟のままとどまるか。前者の場合、フランス、ドイツ、イタリアは、テキサスやカリフォルニア、ニューヨークのようになる。後者の場合、ユーロは多くの国民通貨に分裂し、EUはローマ帝国ではなく、英連邦のようになる。

戦後世界は終わった。1945年以降、繁栄した国際機関は、現実に適応するか、死滅する。

FP AUGUST 9, 2011

The Euro and the Scalpel

BY EDWARD HUGH

WSJ AUGUST 10, 2011

A Turning Point for Italy

By ALBERTO MINGARDI

WSJ AUGUST 10, 2011

Bring Back the D-Mark

By HOLMAN W. JENKINS, JR.

FT August 11, 2011

Europe: Four steps to fiscal union

Tony Barber

ECBによる最後の貸し手。ESMによる金融規制・監督。ユーロ債券の発行。ユーロ圏の経済ガバナンス。

Project Syndicate 2011-08-11

Germany Must Defend the Euro

George Soros

Project Syndicate 2011-08-11

Can the Sun Save Greece?

Georg Zachmann

太陽はギリシャを救済できるか? つまり、太陽発電や観光によってギリシャは長期の成長を回復できるだろうか?

まず、太陽光発電は価格が高い。その輸送にもインフラが必要だ。非常に資本集約的な産業で、ギリシャに必要な雇用を生まない。ギリシャ国内で太陽光パネルは生産できないから輸入が増える。

しかし、もしドイツがギリシャ再建に取り組むなら、その成功は多いに見込みがあるだろう。ヨーロッパには、環境に優しいエネルギーの認証システムがある。ドイツには資本や太陽光発電技術があり、ヨーロッパ内に輸送しなくても、発電した電力を中東にも輸出できる。


l         アメリカの債券格付け引き下げ

FT August 5, 2011

Washington’s appetite for self-destruction

By Jacob Weisberg

FP AUGUST 5, 2011

All Guns, No Butter

BY JAMES TRAUB

WP August 5, 2011

How the super-committee can strike a Grand Bargain

By Charles Krauthammer

FT August 6, 2011

El-Erian: downgrade heralds new era

By Mohamed El-Erian

S&Pによるアメリカ政府の債券格付けが下がった。アメリカ財務省証券はリスクのない、グローバル金融システムの基礎であった。その格付けが下がったことで、週明けの市場は、ただちに、リスクや担保、流動性の管理に影響が現れるだろう。主要市場はアメリカ債券の主要な買い手がどのように行動するか、慎重に見極めるだろう。

それは借り手のコストを高くする。格付けは他のトリプルA評価にも影響し、もしフランスが格下げされたら、ギリシャ救済を頓挫させるかもしれない。格付け機関は、主要国の通貨主権を損なっている、と非難されるだろう。その政府との関係や将来は不透明になり、投資家は自分で債券の信用を評価しなければならないだろう。

さらに重要なことは、アメリカの世界金融システムにおける独占的な地位が失われることだ。世界的な公共財の供給は損なわれ、ドルによって貯蓄を保有していた国に損失を与えた。アメリカは、通貨価値のグローバルなアンカーではなくなり、多極化した通貨システムにおける資金移動が激しくなって、経済を分解するリスクが現れる。

格下げはアメリカの政治家にとってウェーク・アップ・コールとなるかもしれない。二大政党が相互に非難するのではなく、このショックを受けてアメリカ人の自覚を促し、共通のビジョンを再発見するべきだ。高成長と雇用、健全な財政を取り戻す機会にできる。

NYT August 6, 2011

Win Together or Lose Together

By THOMAS L. FRIEDMAN

アメリカは長期の衰退を回避できるだろうか? 二つの問題が結びついている。1.5つの成長条件(教育、インフラ、革新的な移民、リスクを取って企業するインセンティブ、政府による研究開発支援)を失ったこと。2.住宅所有者、工場、銀行、政府が、一斉に、債務を減らそうとしていること。

FT August 7, 2011

America can fix its inner workings

By Clive Crook

FT August 7, 2011

Time for the US to take decisive action

FT August 7, 2011

Downgrade fuels US political blame game

By James Politi in Washington

The Observer, Sunday 7 August 2011

The dysfunction that lies at the very heart of American politics

Michael A Cohen

guardian.co.uk, Sunday 7 August 2011

America's economy: Downgraded

WP Sunday, August 7, 2011

Without reform, the U.S. faces a slow-growth future

NYT August 7, 2011

Credibility, Chutzpah and Debt

By PAUL KRUGMAN

格下げをめぐる騒動について、二つのことを思った。アメリカは確かに、かつてのような安定した信頼できる国ではない。他方、S&Pの格付けも評価は低い。

S&Pは、リーマンブラザーズがどこにも問題はない、と述べていた。その破綻が世界金融危機を引き起こしたのだ。また、多くの場合、格付け会社の評価はそれを説明せず、市場を追認しているだけである。他方、日本のように、格付けを下げた国でも市場では信用されているケースもある。

しかし、アメリカには深刻な問題がある。それは短期そして中期でもなく、長期である。問題は、予算の均衡化ではなく、政治にある。高齢化に伴い、高額の医療費と世界的に観て低率の課税は財政破綻に導く。なぜこれらを変えないのか? 財政削減を議論するより、保守強硬派が責任ある政策を拒否するのだ。

Global Times | August 07, 2011

Crazy or weak politicians endanger US future

By Harvey Dzodin

FP Monday, August 8, 2011

Let them eat dollars

Posted By Clyde Prestowitz

自国通貨の過小評価を望んでアメリカの証券を購入してきた中国には、アメリカ政府が求めたにもかかわらず、ドル建資産介入を繰り返した結果であるから、格付けの下がった債券の保有と評価損を受け入れてもらうしかない。

guardian.co.uk, Monday 8 August 2011

So is the US all washed up as a global leader? Not really

Simon Tisdall

WP August 8, 2011

The welfare state wins this budget war

By Robert J. Samuelson

YT August 8, 2011

Past Time for a New Agenda

NYT August 8, 2011

The Downgrading of a Debtor Nation

By MENZIE D. CHINN and JEFFRY A. FRIEDEN

重要な問題は、誰の負担で債務を減らすか? である。格付けの引き下げは、政治システムの能力を問われている。

過去10年間に、無責任な減税を行い、費用のかかる戦争を行い、規制や制度に欠陥があって住宅市場や金融市場にバブルを生じ、それが破裂した。その解決策には誰が支払うのか?

デフォルトを回避するため、オバマと共和党との間で、債務額引き上げの合意はなった。しかし、赤字が急速に増えているわけでもない防衛費以外の項目で赤字を減らすのは間違いだ。失業率が9.1%に達し、長期の失業が増えているとき、われわれは支出を減らすのではなく、増やすべきだ。この合意は不況の二番底を促し、それは財政赤字を減らすのではなく、増やすだろう。財政赤字は増税なしに減らせないし、格下げの主要な理由はブッシュ時代の減税を引き延ばすだろうという判断だった。

今回の騒動の核心は、アメリカが負う10兆ドルの公的債務である。そのうち、約4.5兆ドルは海外で保有される。19世紀のように運河や鉄道の建設に借金することもあれば、ヨーロッパやアメリカが最近まで行ったように、住宅・金融ブームに借金を使うこともある。それが失敗して、危機をもたらし、政府に債務が累積すれば、誰がこれを返済するのか? 調整の負担を誰が引き受けるのか?

一部のアメリカ人は外国に負担させようと考えるかもしれない。債券保有者はこれを心配している。アメリカはインフレとドル安を続けて、債務の大部分を償却してしまうのではないか? その結果、外国の債権者が支払うことになる。

しかし、実際には国内でも負担が発生する。共和党員は、高所得層への増税につながる、という理由で、いかなる財政刺激策にも反対する。アメリカの上位3分の1の高所得者は失業率が4%しかなく、下位3分の1はその4倍以上ある。民主党員は、その支持基盤である、労働組合・公務員と貧困層に負担が向かわないように求める。

経済的に観て責任ある、政治的に実行可能な、危機からの脱出策に必要なコストの分配は、増税、効率的な税制、社会的支出、特に医療費の削減を組み合わせるしかない。この現実を無視するものは、事態を悪化させる。

BLOOMBERG Aug 8, 2011

Nixon Showed What Not To Do in an Economic Crisis: Echoes

By Amity Shlaes

WP August 9, 2011

The truths behind S&P’s ratings downgrade

LAT August 9, 2011

Political vs. financial risk

NYT August 9, 2011

The Revenge of the Rating Agencies

By JEFFREY MANNS

格付け会社は財政危機を自分たちの政治的なパワーとして利用している。金融規制が彼らの自律性と影響力を奪うことに反対しているのだ。

彼らの戦略は見事だ。格下げは一斉に行わず、S&Pが先頭を切った。今回、S&Pは脅し役。ムーディーズとフィッチは宥め役だ。市場は期待したように悪化した。

もし政治家たちがこれを無視すれば、彼らはさらに引き下げるだろう。政府の信認は損なわれ、金利が上昇する。

1970年代以来、寡占的な地位により、格付け会社はこの作戦を繰り返してきた。そして金融システムの利用可能性を自分たちが支配できたのだ。

しかし、金融危機後の改革でこの地位が脅かされた。これまでにないような強い監視と規制が準備されている。信用格付けが不当な結果、損失を被った市民は、格付け会社を訴えることができるようにした。また、格付け機関に並行して、資産を基に独自に評価する(今の格付け会社のように債券発行主体からの手数料に頼らない)独自の機関を、証券取引委員会が育成する。

だから格付け会社は不服従の抵抗を開始したのだ。その結果に、政治家たちはうろたえている。アメリカ政府は財政規律を再生するとともに、格付け会社の危機に果たした役割を忘れず、厳しい改革を実行するべきだ。

SPIEGEL ONLINE 08/09/2011

The Indecisive President

Obama's Weakness Is a Problem for the Global Economy

By Gregor Peter Schmitz in Washington

Foreign Affairs, August 9, 2011

America's Coming Retrenchment

Michael Mandelbaum

FT August 10, 2011

Obama needs a triple A campaign

WP Wednesday, August 10, 2011

Democracy, challenged

By David Ignatius

自由市場とは自分で不均衡を是正するものだ。民主的な政治システムも同様に考えられている。金融市場で資産価格が下落すれば、政治システムがそれに対処しなければならない。しかし最近も経験したように、実際のシステムは均衡を破壊し、中心点に回帰することがない。

これは「減衰しない振動」“undampened oscillation”である。市場や政治のシステムを介して、危機は解消されず、増幅して行く。何かショックがあると、理論では、市場に反対の作用が現れてこれを吸収し、政治における合意が促される。しかし、これが逆に作用するときもある。

1世紀も前から、経済学者や政治学者のこの問題を知っていた。市場の失敗や社会の混乱を理解することが、現代の経済学や政治学を生みだしたのだ。J.M.ケインズはこの問題に対して、政府支出による介入を提唱した。同様に、民主的政府の信頼は、1945年以降、アメリカの民主主義的な価値として広められ、1989年の東欧における共産主義体制崩壊で世界的になった。

今、進行中の危機は、この二重の信頼を試すものである。欧米の政治システムは』財政危機を解決できる、金融市場は不安を強めている。これに代わるシステムはなく、世界は動揺を続けている。

BLOOMBERG Aug 10, 2011

Fed Misdiagnoses Economy, Prescribes a Placebo

By Caroline Baum

LAT August 11, 2011

The U.S. still has a promising future

By Michael O'Hanlon

WP August 11, 2011

America’s debt is not its biggest problem

By Bill Gross

BLOOMBERG Aug 11, 2011

’Steady As You Go’ Still Good Policy for Uncertain Times

By John B. Taylor

介入主義の政策は間違っている。成長を損ない、格付けの低下を招くだけだ。


l         中国の世界工場ロボット化

FT August 5, 2011

The Asian tycoon with a one million robot vision

By Kathrin Hille

世界最大の電子機器委託製造業Foxconn Technology Group を一代で築き上げた台湾の実業家Terry Gouは、中国人労働者との労働争議が増すことを嫌って、100万台のロボットを導入する、と宣言しました。昨年、Shenzhen工場だけで11人の労働者が自殺しました。それはiPhoneの売り上げにも影響したのです。Terry Gouは、初めて、労働者を人間として考えるようになった、といいます。

北欧のような弾力的な労働、日本のようなロボットとの分担。中国南部におけるグローバル・ファクトリーの挑戦です。

FT August 8, 2011

Robots put leadership under skills pressure

By Andrew Hill


l         日本の原発・国債依存

(peopledaily.com.cn) 2011-08-05

Japan's aircraft carrier jitters unfounded

By Li Donghang

 (peopledaily.com.cn) 2011-08-05

Why is Japan sounding 'China threat' alarm again?

By Sun Chenggang

FT August 9, 2011

Tokyo tames nukes

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

How did the world get so fixated on GDP?

James Meadway

FT August 10, 2011

Japan’s ‘can-do’ bid for a nuclear-free era

By David Pilling

日本の原子力発電所の3分の2はすでに発電をやめている。日本は電力の30%を原発に頼っている。菅首相は、日本の原発を廃止して、他のエネルギーに転換することを提唱した。

国民の70%は原発に反対だが、しかし、停電した生活を耐えられるか、と尋ねられたら、答は違うだろう。原発廃止の経済コストも大きい。日本は石炭、石油、液化天然ガスに370億ドルの費用が追加でかかる。これは消費者の電力料金に転嫁される、と電力業界は言う。また、温暖化ガスの排出が増えるので、カーボン・クレジットを購入しなければならない。

日本の再生可能エネルギーの投資はまだ初期段階だ。大規模に投資しなければコストを下げられない。その可能性を試すには時間がかかり、不確実だ。すでに産業界は中国や韓国に比べて電力コストが2倍であることに不満を述べている。

日本株式会社は、電発再開の可否について、早期の決断を求められている。

FT August 11, 2011

How to make monkeys out of rating agencies

By Peter Tasker

日本の投資家はアメリカの格付け引き下げに反応したか? 日本はその地位を2002年に失った。今年の初めにS&Pはさらに格下げし、ダブルAマイナスにした。しかし、投資家は何も反応しなかった。10年の国債で1%以下でしかない。これはバビロニア時代からの金利の最低水準だ。

さまざまな団体や個人が日本の債券市場でパニックが起きると予想し、期待した。しかし、市場は日本の国債が過剰だとは考えず、まだ不十分だというのだ。皆がこの日本パラドックスに注目している。Kenneth Rogoffは、90%を超えると危険だ、と考える。

しかし、OECD諸国が債券市場で次第に「日本化」する中で、本当の問題は低成長であろう。支出や融資が減る中で、債務を減らす動きが強まる。

日本でバブルが破裂した後、1990年代の初め、日本政府の債務はGDP15%でしかなかった。日本の債務は停滞の原因ではなく、それを避けるために生じたのだ。民間部門が一斉に貯蓄を増やし、それにより需要が不足する部分は政府が債券を発行して補ってきた。債券市場はその導管として機能しただけである。

財政危機を生じる魔法の債務水準は存在しない。バブルの歴史的な水準が、民間部門の行う債務圧縮の規模と時間を決める。需要の落ち込みは何であれ埋めるしかない。巨大なバブルが起きないようにするしか、この問題から逃げる道はない。

WSJ AUGUST 11, 2011

Japan's Wasted Debt-Ceiling Fight

WSJ AUGUST 11, 2011

The Carrier of Asia-Pacific Troubles

By FUMIO OTA


l         イギリス都市の「ショッピング」暴動

The Observer, Sunday 7 August 2011

No riots here. Just quiet, ever-deeper misery

Nick Cohen

2008年の危機後、インフレは賃金上昇よりも急速に進んでいた。貧困層は1920年代以来の厳しい生活を強いられている。オズボーン蔵相は、景気停滞にもかかわらず付加価値税を引き上げ、公務員は雇用を削られた。

債務を負う者にとって、低金利だけが幸いだった。イングランド銀行は貯蓄者から得た資金でデフォルトを救った。金利がどうであれ、銀行は融資を増やさなかった。

約束された世界は実現されていない。

guardian.co.uk, Sunday 7 August 2011

Tottenham's violence was wrong. Now police need to show justice is being done

Claudia Webbe

土曜日の夜にTottenhamで暴行や略奪を働いた者たちを決して許してはいけない。住民たちの圧倒的多数は法を守り、平和な生活を望んでいる。Mark Dugganの家族が抗議した問題とまったく別に、通信機器による情報で外部から暴徒が集まった。

しかし、抗議活動の最初の扱いや事後処理には問題があった。Dugganが警官に殺されたというのは木曜日だった。警察署は彼らの声に耳を傾ければ、抗議デモが警察署に向かわなかっただろう。

歴史的な水準の不平等が生じている。高水準の貧困、一般化する失業。黒人の若者は白人の若者よりも頻繁に路上で呼び止められ、チェックされた。最初は平和的な抗議デモが、この社会の自我に潜む何者かを引き出したのかもしれない。容疑者の死には、歴史的な意味があった。

週末の事件には様々な要因が働いている。時間、資金、投資、コミュニティーの団結、秩序と信頼の回復には様々な要素が要る。しかし今、警察やこうした団体は大幅な財源カットの対象である。

殺人や深刻な犯罪に対応した特殊警察がDuggan殺害に関わった。警察がコミュニティーからの理解を得るのは難しい。1985年、Broadwater Farmの暴動についても、生活の不安定さや不平等、コミュニティーの破壊、など、同じような問題がいまだに議論されている。

guardian.co.uk, Sunday 7 August 2011

Tottenham riots: A suburb in flames

The Observer, Sunday 7 August 2011

Social mobility: We must invest in parents as well as babies

guardian.co.uk, Monday 8 August 2011

Urban riots: Thirty years after Brixton

Brixton and Toxtethの暴動から30年がたって、同じ要因もあれば、異なる要因もあるだろう。当時の暴動は、王室の婚礼と経済不況に対して不満を爆発させた。衣服やテレビが略奪された。同じようなパターンが各地で繰り返された。

異なる点は、通信技術の進歩で、過去24時間に多くの議論が行われたことだ。

Lord Scarmanの歴史的な報告書が公表された。黒人の若者たちが傲慢な警察のやり方に対して暴動を起こした。警察にも、黒人コミュニティーにも、行動が求められる。

guardian.co.uk, Monday 8 August 2011

There is a context to London's riots that can't be ignored

Nina Power

保守党千件が成立して1年の間に、多くの抗議デモがあった。学生たちが抗議し、大学を占拠した。労働組合が首都の通りを占拠した。さまざまな理由はあるが、すべて政府による野蛮な財源カット、緊縮政策の強制に抗議したものだった。

政府はこれが賭けであることを良く知っているはずだ。こうした抗議に警察官を動員して対抗することは、騒ぎを大きくするかもしれない。首都の警察による、特に黒人やマイノリティーに対する扱いは不満を高めている。またTottenhamは、高い失業率や幼児の貧困率において高い水準を示す。

ロンドンの暴動は、一歩下がって、この国の貧富の格差を考える契機にするべきだ。キャメロン首相の呼びかけにもかかわらず、社会の移動性は低い。

guardian.co.uk, Monday 8 August 2011

Tottenham violence is a wake-up call for the police

John O'Connor

FT August 8, 2011

Dousing the fires in Tottenham

1980年代、インナーシティーの人種差別や貧困が暴動を生んだ悪夢が再現された。

黒人コミュニティーにおける銃犯罪の撲滅を目的とした特別チームOperation Tridentが住民を殺害した。市民からの警察に対する抗議は受けねばならない。警察についても調査が必要だ。そのうえで、都市における破壊行為が広がったことは、若者たちの行動を危惧させる。

教育システムの再建が重要だ。

FT August 8, 2011

Economics not racism riles the Nando’s generation

By Clive Bloom

ロンドンの荒廃した地区の黒人の若者たちは、1980年代に比べて、より強く自立し、内向的である。麻薬の密売や強盗で生計を立てるが、若いころからクラブの仲間に属し、ギャングに帰属するようになる。道徳や自尊心が強く、希望のない世界でも何かを求める。これは警察のレイシズムではない。外からの圧力が増すことで社会の分裂が加速した。

guardian.co.uk, Tuesday 9 August 2011

Urban riots: The battle for the streets

guardian.co.uk, Tuesday 9 August 2011

Get up, clean up, sweep away the riots

Dan Thompson

guardian.co.uk, Tuesday 9 August 2011

The UK riots: the psychology of looting

Zoe Williams

マーケティングと消費の専門家であるAlex HillerNottingham Business School)は言う。「ボードリヤールなどの、消費に関する社会学を読めば、それは偽造された社会生活だと分かる。広告はおとぎの国をまき散らす。消費主義は、人々が世界と切り離された感覚に依拠している。」

保守党に限らず、多くの政治家は「純粋な犯罪」だと強調する。事態を鎮静化して、やつらを今すぐ刑務所に叩き込むべきだ、と。

権威主義的な見方では、与えられた生活を当然のものと見なし、寛大な刑罰に助長された、間違った感覚を持った世代が育っている。

その逆に、これは貧困の野蛮さに対する人間としての当然の反応だ、という主張をthe Independentは載せた。・・・捨てられたコンドーム、麻薬の注射針、飛び散った小便の間に暮らし、最悪の場合は強姦されるような、荒涼としたイギリスの底辺生活から抜け出し、彼らは人間的な生活を求めている。

両極端の間に、より現実的な見方では、彼らは消費から排除され、このシステムに反抗している。彼らには仕事がなく、高い報酬やクレジットカードで利用できる消費生活のシステムを利用できない。彼らは普通に消費できる商品を奪っているように見える。彼らは飢えているわけではないが、宝石や豪華なものを狙っているのでもない。

これは刑務所の暴動に似ている。囚人たちは、誰かが何か、不当なことをされた、という噂に、道義的な怒りを示そうとしている。ここは刑務所ではないが、自由は失われた。暴動に参加した者の多くは、低所得、高失業の地区に暮らし、保証された未来などない。失うものが何もないと感じる若者たちの存在に、問われるべき社会問題がある。

暴動に参加する者たちは顔を隠さない。彼らは何か報復があるとは考えていない。

SPIEGEL ONLINE 08/09/2011

Showdown with the Mob

Cameron Fights for Law and Order

By Marco Evers in London

イギリスやロンドンの国際的評価を傷つけた。速やかに秩序を取り戻せるか? 指導者たちは次々に休暇を取りやめてロンドンに帰ってきた。すくなくとも警察官などを削減する、政府の緊縮政策を続けられるのか? オリンピックの開催が迫っている。

WP 08/09/2011

Labor’s challenge in the British riots

By E.J. Dionne Jr.

ロンドンから他の都市にも広がる暴動は、キャメロン首相の連立政権だけでなく、労働党の新しい指導者Ed Milibandも試されるだろう。

労働党は政府の緊縮政策を批判してきたから、この暴動を緊縮策の結果として非難するだろう。しかし、同時にMilibandは犯罪に対する厳しい処置を支持してきた。先の選挙で敗北した理由は、白人労働者からの支持を失ったことだった。彼らがこの暴動をどう見ているか、Milibandは考えるだろう。

暴動の現場に立って、Milibandはその背景よりも、暴徒そのものを厳しく非難した。「いかなる言い訳も許されない。いかなる正当化もできない行為だ。」

そして、深い理由については中産階級の認める表現に抑えた。労働党内にある暴動への同情を抑えて、保守党の社会政策を攻撃する優位を得た。

FT August 9, 2011

The intifada of the underclass

By Danny Kruger

ロンドンには下層階級が住む。これは下層階級のインティファーダだ、と誰かが呼んだ。アラブの春で、若者たちは自由や民主主義を求めた。しかし、ここの若者たちは、得るものも、失うものがない。彼らは不名誉を晴らし、自分の物語に酔う。

彼らは間違って育った階層だ。無視され、恣意的で間違った指導を受けた。リベラリズムは、さまざまな間違った文化を広めた。

FT August 9, 2011

London’s week of humiliation

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

UK riots: a report card on our politicians' performances

Michael White

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

These riots reflect a society run on greed and looting

Seumas Milne

ロンドンのBoris Johnson市長は、暴徒たちを経済的・社会的に正当化することをやめろ、と求めた。前任者のKen Livingstoneは、暴動を緊縮財政による支出削減と結び付けたが、Daily Mail紙はこれを激しく非難した。プラスチックの警棒、放水車、軍の出動だけで十分だ、と。

もし暴動が単なる犯罪で、警察の嫌がらせや若者の失業、目に余る不平等、深刻な経済不況と何も関係ない、というのであれば、なぜ今起きたのか? 10年前ではなく? 社会の分裂やゲットーの拡大が関係ないとしたら、なぜ暴動はHenley ではなく、Haringey で起きたのか?

それが放火や略奪に言い逃れを与える、という主張は愚かである。原因に目を向けない限り、暴動は再発する。そして大臣たちは、閉じたドアの向こうで対策に追われているのだろう。

30年前の暴動と比べて、今回の暴動は多人種(エスニック)を含み、急速に、広範な地域に及んだ。政治的な抗議よりも、略奪に走った。

ロンドンは、いくつかの指標で見て、開発世界で最悪の、貧富の格差が拡大した都市である。最も裕福な10%の住民は、最も貧しい階層の273倍も富を得ている。若者たちの教育補助は削られ、大学の授業料は引き上げられた。

銀行家たちは公に国の富を奪って、逃げ去った。・・・「政治家たちはわれわれを泥棒と言うが、彼らこそ本来のギャングではないか。」「金持ちたちに、我々もやりたいことをやると示したのだ。」

ネオリベラル資本主義の30年間は、イギリス社会の社会的紐帯やコミュニティーを破壊しつくした。イギリス各地の都市で我々が観るのは、強欲によって運営された社会の姿だ。政治や社会的連帯などの有害な失敗策になった。暴動はエスニック間の紛争に転化する危険さを示す。

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

Urban riots: tough love

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

UK riots: This vigilantism is the very embodiment of 'big society'

Zoe Williams

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

UK riots: society must change fundamentally if we are to move on

Deborah Orr

guardian.co.uk, Wednesday 10 August 2011

Riots without responsibility

Shaun Bailey

FT August 10, 2011

Time to abandon Britain’s CCTV policing

By Jonathan Foreman

SPIEGEL ONLINE 08/10/2011

The World from Berlin

'Riots Reveal the Decay of British Society'

WP August 10, 2011

What’s behind Britain’s riots

アラブの春の多くが平和的なデモであったことと比較し、ロンドン暴動がむしろ略奪や放火に走ったことを指摘します。アラブの若者たちはジェファーソンが他の民主主義社会を求めました。ロンドンの暴徒は、金持ちと警察に、自分たちはやりたいことを何でもする力を示したかった、と言います。

ロンドン暴動は、アラブの専制政治が崩壊するのは、政治的な弾力性を欠き、人権を尊重しないからだ、ということを示した。

NYT August 10, 2011

Cameron’s Broken Windows

By RICHARD SENNETT and SASKIA SASSEN

LSEとシカゴ大学の社会学者が考察しています。

略奪が始まっても警官たちはほとんど止めなかった。住民たちが大型ナイフや警棒、野球のバットなどで暴徒を追い払った。警察が機能しない間、住民たちの自警団が巡回した。

若者の失業率は20%に達する。10年前の好況期にも失業者は多かったが、犯罪に走る者は少なかった。そのリスクに対応して、商店街には近隣地区の若者センターがあった。これらは緊縮財政で閉鎖された。高齢者の健康センターも、図書館も閉鎖された。政府は地方の警察官も減らした。

犠牲となった人たちは、こうしたすべてのことを「削減」“the cuts”と呼ぶ。この暴動が起きる前、政府は全国で1万6200人の警官を解雇する、と発表していた。ロンドンの削減策は、支出を19%減らす、というものであり、その負担は貧困層に集中した。

ロンドン暴動は若者が中心だ。黒人の若者という報道もあるが、多くのエスニックが混じっており、マンチェスターの暴動は明らかに白人だった。

旧式のマルクス主義者は、窓ガラスの割れる音や住宅への放火を、政府の支出削減に抗議する政治的な反抗、と見るだろう。しかし、それは皮相な見方だ。

前回、イギリスに暴動が広がったのは1980年代であるが、労働組合を弾圧し、社会サービスを削減したマーガレット・サッチャーの保守党政権に対して、長い、むなしい政治的抵抗が続いていた。今度の暴動は、もっと広がりのある不満から起きた。大型のチェーンストアも襲ったが、同じように不況に苦しむ街角の零細商店でも、暴徒たちは商品の略奪に浮かれ騒いだ。

イギリスには、礼儀正しさと、その他面に、フーリガニズムがある。この国の雰囲気が真面目な市民から犯罪者に変化したのかもしれない。週末には大量のアルコールが入る。キャメロン首相は、都市の群衆のアナーキーを恐れる感情はシェークスピアの時代にもあった、という。

キャメロンは国民にコスト削減を売り込むのには成功したが、その政策を実現する際には、ことごとく失敗し、後退や計画廃止になっている。改革の過程で、政府は無能さをさらけ出し、正当性を失った。Kingsland Roadで夜警団に加わる16歳の少年は、政府が自分たちには何も知れくれないことを自覚していた。

閉ざされた商店街、鍵のかかった公園、閉鎖された医院、ナイフやバットで武装した市民が夜警する。こんな町で暮らすのは難しい。

アメリカとイギリスは違う。しかし、ロンドンは世界で最も裕福な都市のひとつであり、多くの部分で貧困化が進む。ニューヨークも同様だ。

アメリカの右派も政府の支出削減に熱中している。キャメロンの緊縮計画はティーパーティーの理想が実現したものだ。小さな政府が、経済的、社会的な病気を治す、と多くの政治家は主張する。イギリスの暴動を見ても、それを願うのか?

WSJ AUGUST 10, 2011

London Is Burning

FP AUGUST 10, 2011

The Kids Aren't Alright

BY PORTIA WALKER

建物は黒こげになり、商店街はバリケードを築いた。ヘリコプターが低空を旋回し、ロンドンの刑務所は容疑者で満杯だ。

ロンドン暴動は、明らかに、政治運動ではなかった。スローガンを書いた横断幕も、明確な要求もない。しかし、それは単なる犯罪の急増でもなかった。暴徒たちは公衆の前で、テレビ・カメラが回っていても、略奪し続けた。

不況、ロンドンにおける貧富の併存、貧者のゲットーと富者のゲート・コミュニティ。隔離の中の安眠。不況になって、保守党政権の緊縮策は苦しみを強めた。

FP Wednesday, August 10, 2011

England's history of street violence

Posted By Sophia Jones

FP AUGUST 10, 2011

When Are British Cops Allowed to Carry Guns?

BY JOSHUA E. KEATING

BBC 11 August 2011

The competing arguments used to explain the riots

BBC 11 August 2011

England riots: Maps and timeline

BBC 11 August 2011

England riots: The return of the underclass

The Guardian, Thursday 11 August 2011

A social media crackdown is the wrong response to riots

Jeff Jarvis for BuzzMachine, part of the Guardian Comment Network

The Guardian, Thursday 11 August 2011

Cameron's marathon statement on the riots set the theme of responsibility

Julian Glover

The Guardian, Thursday 11 August 2011

We must talk to the rioters, not turn our backs on them

Martin Kettle

The Guardian, Thursday 11 August 2011

For black Britons, this is not the 80s revisited. It's worse

Joseph Harker

WP Thursday, August 11, 2011

Conclusions we can’t draw about London’s riots

By Anne Applebaum

ロンドン暴動については、多くの説明が提供されている。私が好きな説明は、下品で、不道徳な大衆文化の蔓延だが。何とも言えない。

暴徒たちは何も語らないから。彼らは何かを要求しているのではない。カメラマンやジャーナリストを避ける。自分たちの見解を示そうとしない。

エジプトのタハリール広場では民主主義が要求された。ギリシャのアテネでは無政府主義者が政府支出を増やせと主張した。しかし、イギリスのフードをかぶった男は46インチ、フラットスクリーンのHDテレビを持ち去るだけだ。ソーシャル・メディアを使って市民社会やサイバー・ユートピアを創るのではなく、強盗に利用する。

イギリスには時代を超えて、破壊を楽しむ伝統があった。さまざまな説明があり、略奪や破壊の歴史もある。これが本当に新しい現象なのか、古い伝統なのか、われわれにはわからない。

WSJ AUGUST 11, 2011

Britain's Road to Riots

By DOUGLAS MURRAY

Foreign Affairs, August 11, 2011

The Sons of Brixton

Matthias Matthijs

キャメロンは家族の崩壊に焦点を向けるだろう。ネオリベラリズムによる受益者をテーブルに乗せない。そして、階級対決の政治が始まる。

 (China Daily) 2011-08-11

City at boiling point

(chinadaily.com.cn) 2011-08-11

London riot: What goes around comes around

By Han Dongping

WP August 11, 2011

Britain tackles the welfare state

By George F. Will

WP August 11, 2011

What isn’t behind the London riots

By Jonathan Freedland

ウィルとケイトの婚礼が飾った通りも、暴動の舞台に変わります。それを意外に思う部外者は、この国のムードを誤解している。ここには怒り、不安、挫折が渦巻いている。かつて、暴徒がいた、ではなく、我々が暴徒なのだ。

30年前にも王室の婚礼があって、暴動もあった。特にロンドン南部で、黒人の不満があった当時の暴動に比べて、今回の暴動は鮮明なイメージが湧かない。

最初の事件は黒人の容疑者が殺害されたことだった。しかし、暴動の広がりに人種問題はない。誰もが略奪に加わった。警察署や市庁舎、議会に投石したが、商店や民家にも放火した。急速に集まる群衆は、携帯電話、スニーカー、大型テレビの店舗を狙った。ガーディアン紙のZoe Williamsは、これらを「ショッピング暴動」the “shopping riots”と呼んだ。1981年と違って、彼らは警察と対峙することなど望まなかった。

ソマリで生まれたMohammed Abdiは、一生かかって、ロンドンに携帯電話の店を持った。その夢が一晩で壊された。暴徒たちは、消費のために、物質的な満足のために、店舗を襲った。瞬時にメッセージを広める技術が群衆を集めた。警察は、各地の放火や略奪に振り回され、分散し、無力になった。

なぜ、こんなことをするのか? 説明を求めることは、彼らの犯罪を許すものではない。その中には、大学卒業者、陸軍の兵士、若い労働者もいた。彼らは例外かもしれないが、暴徒をthe “underclass”と呼ぶのは単純すぎる。

欲張った消費礼讃、離婚や父なしの子供、社会関係の喪失、そして、政府の緊縮政策、特に若者の支援策を打ち切った。いずれも、はっきりしたことは言えない。

FT August 11, 2011

Burning cars in Paris and London

By Dominique Moïsi

6年前はパリが燃えていた。イギリスとフランスの暴動は、似た点もあるが、異なる点も多い。

フランスは地区を大通りが区切っており、暴徒は裕福な地区に入らなかった。ナポレオン3世の都市計画家であったBaron Haussmannは以前の暴動を考慮して設計したのだ。ロンドンにはない。

イギリスには、強い警察力を支持する文化もない。フランスは、ヨーロッパの民主国家の中で、最も警察を重視する国だ。

暴徒の襲撃目標も違う。フランスの暴徒は学校や自動車に放火した。それらは社会的・物理的な移動のシンボルだ。彼らの目には欺瞞だった。社会、経済、文化、政治、セックス、都市生活、彼らは排除されたという感覚に深く憤っていたのだ。

9・11の後、アラブ系の若者は頻繁に警察に止められ、IDカードを求められた。

イギリスの暴徒は小売店を襲撃した。フランスのジャーナリストはイギリスの「ショッピング暴徒」が、酒、電化製品、衣服、スポーツ用品を奪った、と指摘した。イギリスには治安部隊がなく、放水車などもなかった。

2005年のフランスと2011年のイギリスでは、社会経済条件が異なる。海峡を超えてくるニュースは、英仏間の違いを感じさせる。しかし、エリートたちには、復讐劇の匂いがする。我々は同じボートの乗客だ。ともに、社会的不正義という火山の上でダンスを楽しむ。

深刻な経済・社会危機の中では、増大する不平等の意識が一気に暴動をもたらす。

Global Times | August 11, 2011

Broken jobs, slashed services led to London burning

By Dave Feickert

Global Times | August 11, 2011

Looters show ugly reality of UK's father-less underclass

By Daniel Wong


WSJ AUGUST 8, 2011

A Balancing Act in Bangkok

By PAVIN CHACHAVALPONGPUN


FP AUGUST 8, 2011

Revolution's End

BY SUSAN GLASSER


WSJ AUGUST 10, 2011

China's Economy Is Headed for a Slowdown

By MICHAEL PETTIS

WSJ AUGUST 11, 2011

China's Stagflation

The Guardian, Thursday 11 August 2011

China's first aircraft carrier: From Russia with love


FT August 10, 2011

The coming world of smaller banks

By Frank Partnoy


Project Syndicate 2011-08-10

The Manufacturing Imperative

Dani Rodrik

経済発展における製造業の重要な役割を整理し、特に雇用の創出をめぐって、いくつか、通常の理解を批判します。


l         新しい世界通貨

Project Syndicate 2011-08-11

What Can Replace the Dollar?

Barry Eichengreen

ドルに変わる世界通貨の可能性はあるか? アメリカが世界経済で支配的な地位を失うにつれて、ドルの地位も変わった。国際通貨は国際貿易・投資の契約・決済に使用され、政府や中央銀行の準備に使用される。

現在の国際通貨はドルとユーロである。どちらの通貨にも問題が起きているから、それ以外の国際通貨を探すのは当然だ。しかし、金は供給が少なく不安定だし、SDRは主要4通貨から構成されるだけで、民間取引がないから駄目だ。後10年もすれば、中国の人民元がこれに加わるだろう。その他の二流の通貨は、スイス・フラン、カナダ・ドル、オーストラリア・ドルなど、発行量が少なすぎる。(円には言及しない。)

単一の国民通貨が国際通貨になることはないだろう。新しい国際通貨を考えるなら、世界の準備資産として、IMFはグローバルGDPにリンクした債券を発行すればよい。その利回りは世界GDPの増加率だ。コスタリカやアルゼンチンが自国のGDPにリンクした債券を発行している。世界各地の政府や中央銀行は、ドルやユーロと同様に、IMFが発行するグローバルGDP債券にも投資する。

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The Economist July 30th 2011

Turning Japanese

The ethics of warfare: Drones and the man

The Big Mac index: Fast food for thought

Charlemagne: How much closer a union?

Chinese internet companies: An internet with Chinese characteristics

Buttonwood: Running out of options

(コメント) オバマとメルケルが祭りの着物か温泉宿の浴衣のようなものを着ている表紙に、何だろう? と思いました。そして、アメリカの債務額上限引き上げ論争、ユーロ危機をめぐる制度改革で、二人の指導者たちの困惑と、損なわれた指導力が、まるで20年前の日本のようだ、と非難されていることに、深い冷笑や軽蔑を感じました。

かつて「日本の、驚くべき、失望させる能力」という特集記事を読んだときより、この表紙の方が苦く、嫌な味がします。

その他もこれに関連する記事ですが、これらとは別に面白い記事が二つありました。アメリカが対テロ作戦でますます多くの無人飛行機による攻撃を行っていること、中国におけるインターネットの経済活動に与える刺激、その猛烈なインターネット企業家たちの競争姿勢、です。どちらも、新しい地層を形成する動きを予感させます。

なお、日本の政治や指導力、経済政策について、多くの問題が指摘されるのは無理もないと思います。しかし、ますます認められているように、欧米諸国も同じ政策の限界を知り、同じような苦境に落ちています。日本の経験や政策の試行錯誤を、もっと積極的に議論する方が良いでしょう。

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IPEの想像力 8/15/11

猛烈な暑さで,幻想を観ているような気がします.

まさか、アメリカの債務額上限が迫る中で、宗教的な過激派とも見えるティーパーティ―運動と共和党議員たちがドル体制の崩壊を準備し、そのとき、ヨーロッパではユーロ危機回避のために大胆な合意が成立した、と言われながら、危機はイタリアに波及しました。先日のノルウェーに現れたテロリストがイスラム化に反対するために実行した大量殺戮が何だったのか,それを分析した記事を読んでいると、まさか、ロンドン各地とその他のイギリス諸都市で若者たちの暴動・略奪が起きるとは、思いもしませんでした。

これが、欧米の指導者の「日本化」、国際政治や世界経済における日本の消滅を取り巻く、大変動なのです。

私が思ったのは,たまたま得た二つのイメージです.一つは,官僚の改革派,です。外務省,通産省(経済産業省),大蔵省(財務省),日本銀行,など,組織の中で改革を求める人が意志や能力を受け入れられず,容易に外へ出ることもできない.官僚制というものが国家の執行権力を支える能力の集積であるなら,それが革新と切り離されたままでは,それこそ,デフォルトや資本逃避・通貨危機,都市暴動,そして戦争や天災を経て衰微するのを待つだけでしょう.

朝日新聞の「夏,言いたい」というシリーズが始まり,その第1回は古賀成明「責任ある政治家よ 既得権と戦え」でした.シリーズが意図するように,「最前線に身を置く人たちに」聞いてみたいです.日本は,あるいは,国際社会は,どうなっているのか?

しかし,突飛な発想は組織の利益を損なうものとして排除されるのでしょうか? 既存の秩序や利益分配を変えることは,様々な不満を覚醒する,強烈な地雷を踏みつけるようなものでしょうか? 古賀氏の主張は,いずれも説得的であり,核心を衝いており,勇気と情熱のある政治家が行動しなければならないと思います.それでも実現できないのは,そして,古賀氏が排除されるのは,組織の中に作用する圧力の構造が個人には変えられないからです.

これまでにも,何人か組織を離れ,出版やマスコミで意見を述べる人がいました.しかし,組織の覚醒や転換には成功しなかったと思います.日本では,「天下り」ですが,アメリカでは,「回転ドア」です.回転ドアが理想というつもりはありませんが,政治家と官僚と研究者(大学やシンクタンク)の間を移動する人たちは圧倒的な知識や情報,それらを駆使して主張する能力を試されている,と思います.

消費増税をして,既得権や市場の独占をそのままに,強力な組織や団体が利益を確保してしまう,と古賀氏は批判します.

若者の失業率が20%とか,40%とか! 仕事がなく,住む家がない.結婚することも,子どもを育てることもできない.子供たちは学校にも行かず,遊ぶ金も,集まる場所もない.ロンドン郊外から諸都市に広がった最近の暴動でも,イングランドの北部で2001年に起きた暴動を調査したときにも,同じように眼にした解説です.

2001年の「人種」暴動については,拙著にありますが,若者の野蛮さ。”Vandalism”が注目されていました.集団で文明を破壊する行為に熱中する姿は,何を意味するのか,論叢が続くでしょう.私は,学生たちのコンパ会場が示す熱狂に,終末的な快楽主義を観ます.

現実の乏しい可能性に息が詰まり,将来を悲観する若者が増えるのは,この社会の仕組みがおかしいと思います.若者たちは絶望し,あるいは衝動的な快楽や優越感を求めて,小説や漫画,テレビに刺激を求めます.暴力でも,犯罪でも,それらをショーのように楽しめると錯覚します.保護された空間で,大騒ぎする若者たちには,周りの精神を破壊する毒性を感じます.

これが二つ目のイメージです.

私は間違っているかもしれません.しかし,もし現代の本質が含まれているなら,組織を離れて革新を目指す官僚や,絶望しても暴動ではなく仕事に生きがいを求める若者が,次の時代を切り拓く仕掛けを,私たちは切実に必要としています.

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