今週のReview
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アラブ世界の政治経済統合 ・・・リビアにおける軍事作戦 ・・・真のフィンランド人 ・・・イギリス王室の婚礼 ・・・ラテンアメリカの貿易拡大 ・・・中国の人口問題 ・・・原子力発電を続けるべきだ ・・・食糧不足の新しい地政学 ・・・暴力を抑えるグローバルな投資 ・・・温暖化ガス排出税
[長いReview]
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主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia そして、The Economist (London)
FP APRIL 20, 2011
How to Talk to a North Korean
BY JOEL WIT
WSJ APRIL 25, 2011
The View North From Down Under
By ANDREW SHEARER
(China Daily) 2011-04-26
Breaking Peninsula stalemate
By Hu Mingyuan
WSJ APRIL 27, 2011
A Messenger for Pyongyang
今更、北朝鮮と交渉して何か意味があるのか? それぞれの政府が国内向けの得点を与えられると合意しつつあるのか? 北朝鮮に「封じ込め」以外の西側選択肢はあるか? 中国抜きに「封じ込め」など無意味ではないか? 交渉を継続することで情報を得ることが目的か?
南北会談でもなく、米中交渉でもなく、米朝交渉でもなく、6カ国協議でもなく、日本の関与でもなく、オーストラリアが積極的にかかわって朝鮮半島非核化と米中日の戦略合意を形成することで、地域安全保障を制度化する可能性があると思います。
貿易、移民、成長、そして安全保障において、オーストラリアの政治指導者はそれを具体的に構想し続けています。
l アラブ世界の政治経済統合
FP APRIL 20, 2011
The Coming Arab Renaissance
BY PARAG KHANNA
アラブの人々は自分たちで問題を解決できることを知った。
オスマン帝国の支配や、ヨーロッパの帝国主義、アメリカの覇権、イスラエルを責める必要はない。その最悪の指導者たちがいなくなれば事態は改善するに違いない。初めて地域を包括するガバナンスが誕生しつつある。
植民地体制とそれを受け継いだ独裁者たちの支配は崩壊しつつある。その後の政治秩序はナセル時代の不安定なナショナリズムに戻らないだろう。アラブ世界に普及した衛星テレビや、若い世代の政治に対する厳しい要求は、ガバナンスの強さに変わる。アルジャジーラが普及しただけでなく、アラブ連盟はリビア空爆を支持したし、パレスチナとレバノンへの平和維持軍を派遣する。国家を超えたアラブ世界の政治空間が誕生している。
アラブ・ルネサンスの次の一歩は、人為的な境界線を物理的に超えることだ。EUが示すように、集団的安全保障と政治経済秩序は、単に部分を足すだけでなく、物理的な全体として建築される。イスタンブールからメジナまで、さらに、地中海沿いのハイファまで、ヒジャズ鉄道を再建せよ。
国境を超えるインフラへの投資ほどアラブの経済や政治における苦しみを取り除く優れた手段はない。新しい汎アラブ鉄道網を建設して、トリポリ、カイロ、アンマン、バクダッド、ダマスカス、ドバイ、を結びつける。さらに多くのパイプラインと運河が、石油の豊富な、人口の少ない国と、石油のない、貧しい人口大国とを結びつける。それこそがアラブ社会の開放とグローバリゼーションを生かす道だ。
アラブ世界は第三世界と違って、それらの投資をする十分な富を持っている。サウジアラビアや湾岸諸国GCCはパレスチナの開発銀行を容易に設立できるだろう。アラブ世界の発展を促すアラブ全域輸送幹線を建設できる。カタールの2022年ワールドカップをその一部とすればよい。
政治の近代化はただちに民主化を意味しないかもしれない。しかし、政府は国民に説明を求められ、政党や市民社会は活発化し、独立したビジネス勢力が政治的な代表権、そして憲法を求めるようになる。アメリカやEUはこうした新しいアラブ主義運動を支持しなければならない。彼らの目標は世俗的な改善である。雇用、教育、女性の権利、統治の改善。彼らは将来の選挙を動かす勢力になる。もし彼らを支援しなければ、すなわち、アラブ主義者への投資や技術移転を拒めば、下層における宗教的イスラム主義の蔓延が続くだろう。
まだGCCは中央銀行の所在地を決めることにも紛糾しているが、アラブ諸国は踏み出すだろう。機は熟した。アラブは諸国家ではない。都市のオアシスの群島である。何百年を経て、ルネサンスは実現する。
FP APRIL 22, 2011
What Happens When the Arab Spring Turns to Summer?
BY DAVID IGNATIUS
エジプトの元駐米大使、Nabil Fahmyは注意した。「アメリカ人は彼らの気候を理解していない。アラブ人にとっては、常に、夏か冬しかない。」・・・
「革命がその幼年においては愛すべきものであっても、歳月を経るとともにそうでなくなる、というのが歴史の真実だ。」 フランス革命もそうであったように。
アラブの春は「グローバルな政治的覚醒"global political awakening"の一部である。」
1989年東欧民主化、1979年イスラム革命、1848年の革命と『共産党宣言』、1917年ロシア革命とウィルソン大統領、1947年のジョージ・マーシャル。オバマも同様に明確に語るべきだろう。「アメリカの将来の安全保障は、アラブの春の性向にかかっている。」
WP Friday, April 22, 2011
Reforms the Arab monarchies cannot avoid
By Abdulaziz Sager
FT April 24 2011
Fund Egypt’s future to save the Arab uprising
By Ahmed Zewail
ムバラクが辞任してカイロを去ったとき、革命を指導する一人の若い女性に尋ねた。「あなたの目的は何か?」 ・・・「システムを変えること。」
エジプト人はシステムの支配者を退けた。しかし、システムを倒すのではない。この挑戦にアラブ社会は応えられるか? エジプトはチュニジアとともに、社会の統一性が高く、民主化できるだろう。しかし、イエメンやリビアは違う。部族や宗派に拠る対立が内戦をもたらす。それはアラブ地域全体に紛争や宗教的過激派を蔓延させる。
どうすれば世界のエネルギー供給を担う地域の安定性と平和を維持し、民主化を支援できるのか? それは教育システムを改善することだ。
FT April 24 2011
The economics of the Arab spring
アラブ諸国の経済が機能しないのは、それが不労所得国家であること。あるいは、石油などの資源がない国は、さまざまな生産活動を独占してできた不労所得国家であることだ。経済的機会と政治権力は集中し、悪循環を成す。
それゆえ、不労所得国家を解体して資源を開放することが第一に必要だ。
FT April 25 2011
Egypt’s liberals are losing the battle
By Gideon Rachman
革命を指導したリベラル派が9月の選挙で5%か10%しか得票できないかもしれない。エジプト社会で彼らは少数派だ。ムスリム同胞団は民主的に支配権を得るだろう。
WP Monday, April 25, 2011
How the U.S. can help Egypt
FT April 26 2011
America must regain the initiative abroad
By Philip Zelikow
l リビアにおける軍事作戦
WP Thursday, April 21, 2011
What happens after Gaddafi is removed?
By Michael Chertoff and Michael V. Hayden
WP Thursday, April 21, 2011
Field manual for despots
By Eugene Robinson
「もし私が中東の専制君主なら、自分の支配を脅かす民主化運動の扱い方を知っている。武力で弾圧し、市民を軍隊に殺させて、一切、譲歩しない。西側は多いに非難し、気取った態度を取るだろうが、断固として介入することはない。私が生き残る。」
シリアのアサドがそうだ。イエメンも、バーレーンも。彼らは確実にリビアを観察してきた。NATOはカダフィを追い出せない。西側の指導者たちは言い争うだけで戦う勇気はない。カダフィの体制は、傷ついたとしても、生き残るだろう。
反乱軍は勇敢だが戦力にならず、ヨーロッパの空爆だけではミスラータのような都市を守ることもできなかった。西側の連合内部で不満が高まった。アメリカの攻撃が足りないというヨーロッパの声に、バイデン副大統領は反撃した。「神がアメリカをNATOから救い出し、火星に移したら、われわれはもはや作戦に参加しない。」 これは軍事力の問題ではなく、他国が意志を欠いている、という問題だ。
「外交におけるリアリズムとは、良くも悪くもない。究極において、避けられないものだ。」
FT April 22 2011
Maintaining the pressure on Libya
FP APRIL 22, 2011
This Week at War: Billions for Libya?
BY ROBERT HADDICK
西側の政策担当者たちはリビア軍の能力を明らかに過小評価していた。1999年のコソボ空爆と同じように考えたのだ。
もし地上軍の投入を選択肢から除くなら、カダフィを追放するには反政府軍を支援してトリポリを陥落させるしかない。この作戦には時間も費用もかかる。
LAT April 23, 2011
Lost in Libya
LAT April 23, 2011
In Libya, 'mission creep' sets in
Tim Rutten
LAT April 24, 2011
Breaking point in Libya
Doyle McManus
FP Monday, April 25, 2011
Taking Qaddafi out (and not for dinner)
Posted By Stephen M. Walt
トリポリ近郊にあるカダフィの住居が空爆された、というニュースを聴いた。なるほど、作戦の目的はカダフィではない、という説明にもかかわらず、明らかに空爆はカダフィを狙っている。1930年代にヒトラーと取り除くべきだった、と思うように、なぜカダフィを直接に殺さないのか?
Ward Thomasによる国際的暗殺の研究を読むべきだ。数世紀前には、敵対する国の指導者を暗殺することは普通の外交手段であった。しかし、物質的な利益と規範が影響し合って、国際的暗殺は、たとえ戦時においても、避けられるようになった。
その理由は、大国が戦争を軍事力の破壊に限定することに利益を見出したこと。それは弱小国に比べて大国を有利にする。また、戦争を個人ではなく、国家の行動として定義したこと。それによって、国家の政治的正当性は強められた。
また、あまりにも経済的なコストが大きくなって戦争をなるべき回避するようになり、暗殺集団は必ずしも言うことに従わず、国家の指導者でさえ道徳律を免れないことが、国際刑事裁判所などで、次第に認められるようになった。
そもそも、アメリカのような圧倒的軍事力を持つ国が暗殺を行えば、他国は規範を容易に捨て去るだろう。長期的に観て、指導者を暗殺する能力はアメリカと貧しい弱小国家との間で大きな差を生じないため、暗殺の国際競争が激化するだけだ。
NYT April 25, 2011
Finish the Job
By JAMES M. DUBIK
NYT April 21, 2011
Fair Vote, Fragile Future
By DELE OLOJEDE
ナイジェリアは平和的な選挙で大統領の再選を決めた。今度は、いつもと違い、われわれの投票が正しく数えられたと信じる。勝利は正当だ、とGoodluck Jonathanは内外に示した。貧しい地域の反対派指導者を招いて、その開発に協力するという約束から始めることだ。
NYT April 21, 2011
Patients Are Not Consumers
By PAUL KRUGMAN
guardian.co.uk, Tuesday 26 April 2011
What we're not being told about Paul Ryan's Medicare plan
Dean Baker
l 真のフィンランド人
FT April 22 2011
The frustrations of True Finns tap into Europe’s Tea Party
by Tony Barber
サンタクロースとノキアで有名な北欧の小国フィンランドが、ヨーロッパ政治を震撼させた。「真のフィンランド人」党the True Finnsが選挙で大幅に当選者を増やしたのだ。彼らの主張は反支配階級、反ユーロ。そして移民排斥だ。
ユーロ危機は今も解決していないが、フィンランドが救済融資に反対することで危機が一気に爆発する恐れもある。
彼らの支持者は工業化以前のフィンランドから引き継がれた伝統に依拠しており、現代において成功したのは、1989-91年の冷戦終結後、フィンランドで起きた急激な近代化に反発する感情だった。冷戦期には、「ソ連への恐怖」がフィンランドを支配し、「フィンランド化」という言葉が1970年代の西ドイツやアメリカで使われたのは、主権を維持しながらも自己検閲でソ連を怒らせないような姿勢を表現するものだった。
1991年以降はすべてが変化した。4年でEUに加盟し、2001年にはユーロを採用、シェンゲン協定で移動の自由を保証した。それまでの孤立した小国が、一気にグローバリゼーションを受け入れて、世界がうらやむ競争的な経済と優れた教育システムを発展させた。
こうして政治家たちはフィンランド国民に、世界経済への統合による繁栄と、同時に、福祉国家を守ると語ってきた。しかし、かなり多くのフィンランド人は、失われたものが多すぎると感じたのだ。
失業率は8.4%のままで、職場は次々に海外へ流出し、製紙・パルプ工場は閉鎖された。フィンランドのような小さな田舎町で工場閉鎖の影響は、人口の多い国と異なる。それはしばしば町で唯一の雇用主であったからだ。グローバリゼーションで失ったものを恨む人々がthe True Finnsに集まった。
オーストリア、ベルギー、オランダ、フランス、イタリア、スイスでも、同じような政党が勢力を得ており、the True Finnsは移民やフィンランドにおけるスウェーデン人マイノリティーを攻撃している。アメリカのティー・パーティ―運動ともよく似ている。
フィンランド人は、オーストリア人やオランダ人、ドイツ人と同様に、財政危機ですぐに救済案に頼ると彼らには見える、ごまかし、怠け、贅沢に暮らしたギリシャ人やアイルランド人、ポルトガル人を嫌う。1991年以後の開放政策で、自分たちの税金を赤字国に吸い取られる状態になった。政治家たちは、彼らの不満や不安をもっと聞いて、対応しなければならない。
SPIEGEL ONLINE 04/25/2011
Brussels' Fear of the True Finns
Rise of Populist Parties Pushes Europe to the Right
WSJ APRIL 27, 2011
The Rise of the European Populists
By DALIBOR ROHAC
反EU政治がヨーロッパ大陸を動かしつつある。ヨーロッパの政治エリートたちは国民に良いことばかり述べてEUを売り込んだ。そして、規制から課税まで、何でも共同市場のハーモニゼーションで一致させた。
それが間違いだった、と各地の有権者たちは不満を示している。どれほど小さな、愚かな正統であろうとも、彼らがそのように主張すれば票が集まる。
l イギリス王室の婚礼
FT April 22 2011
Richer or poorer
キャメロン首相は、Prince WilliamとKate Middletonの婚礼の日を国民の祝日にした。緊縮財政を主張する政府にとって、国民が喜ぶ、安上がりの国威高揚策だ。しかし、これも経済的にはギャンブルである。沈滞するイギリス経済に需要を追加する面と、供給が減って輸入が増える面がある。パレード見物で生産性も低下する。
婚礼は典型的な顕示的消費であり、無駄な支出である。タジキスタンでは披露宴の食事は1皿のみ、3時間を超えてはならないと法律で制限する。公的債務を気にする政府であれば、首相は婚礼を日曜日にすればよかった。
The Observer, Sunday 24 April 2011
Royal Wedding: Enjoy the day - but the monarchy's out of date
どんなウェディングドレスか? 誰の帽子が一番大きいか? 新郎と新婦はせりふを間違うか? 披露宴で一番面白いダンスをするのはだれか?
政府は能力主義の社会を称賛してきたはずだが、これは王様の婚礼だ。共和制を支持するわれわれは、国家元首を自分で選ぶべきだと考える。世界中の民主国家がそうしているように。
王制の改革や宗教についても、イギリスは加速するだろうか? 君主制と開かれた能力主義の社会は結婚できない。
FT April 25 2011
Britain: The fairy-tale fantasy
By Nick Timmins and Emma Jacobs
王室の結婚は、シンデレラ物語だ。誰もがいつが女王様になれる。
新婦となるミドルトン嬢の母、Caroleは、その曾祖父がダーハムDurhamの炭鉱夫であった。その鉱山を所有していたのは女王の亡き母の一族であるthe Bowes-Lyons家であった。4世代を経てではあるが、鉱夫から王宮へ、というのはイギリスの階級社会を熱くする物語 pit-to-palace narrative だ。もちろん、ミドルトン家は裕福な中産階級で、ケイトはシンデレラではない。父はパイロットで、リーズの弁護士と商人の家族出身だった。母は子供用の娯楽ビジネスで成功し、各地に豪邸を持つ。
しかし、論争になっている「社会的移動性」で見れば、イギリス社会には今も階級がある。政治家、医者、ジャーナリスト、重役、弁護士、裁判官により多くなるのは偏った集団だ。しかし、同時に、グローバリゼーションで富を得たのは出自に拠らない新富裕層だった。
階級社会は衰退するだろう。労働党と保守党であるが、イートン出身の首相が続いた。すでに炭鉱夫のような肉体労働者はイギリス社会にいなくなった。イギリスでも、多様なエスニックの移民が増えている。特に、中国人や東アフリカ系のアジア人は社会的上昇の程度が大きい。その理由はまだよくわからないが、ある種の文化的背景があれば、彼らは3世代ではなく、1世代で貧困地区から脱出する。
社会的移動性を高める優れた方法は、少なくとも、王子との結婚ではない。4世代も待てないし、それほど多くの王子はいない。
WP Monday, April 25, 2011
What compels us to watch William and Kate
By Anne Applebaum
二人の結婚について、友人と話し合った。会ったこともない二人だが、私たちはいろいろなことを知っていた。ケイトの妹の名はピッパ。ケイトがシースルーの服で学生のファッションショーに出た写真。ウィリアムは地理学の学士だ。ケイトはいつも幸せそうに自分を表現してきた。それは容易なことではない。
しかし、同じ有名人でも、この二人はマドンナやトニー・ブレアとまったく違う。二人が選挙に立候補することはない。誰かに何かを約束することもない。減税するとか、社会保障制度を改善するとか。だから、彼らは誰も失望させない。彼らがポップ・ソングを歌うことはないし、映画にも出ない。評価が高すぎるとか、盛りを過ぎたとか、音が外れたとか、文句を言われることもない。
彼らが他の有名人と似ているのは、テレビによく出ることだ。ケイトは、この余りにも長期にわたる公開のソープ・オペラに参加することを決めた。ケイトのドラマは生涯続く。ウィリアムが有名になったのは、彼の才能でも、野心でも、知性でもなく、富でもない。彼の生まれだ。ケイトはその運命を分かち合う。だから彼女のことが気になるのだ。
ウィリアムがかわいそうだろう。彼は公衆の面前で運命を生きるしかない。あるいは、ウィリアムがうらやましいかもしれない。高齢になるまで本当の仕事に就けないが、彼はいつかイギリスの王様になる。いずれにせよ、その細部が重要だ。
会ったこともない何百万もの人々が彼らのことを話すだろう。婚礼の晩餐会メニューについて、招待客について、新婚旅行の過ごし方について。そして、彼らも楽しもうと決めたようだ。それが好ましい、と私は思う。・・・ご結婚おめでとう。お幸せに。
FT April 26 2011
A revolutionary republic embraces the royals
By Geoffrey Wheatcroft
FT April 27 2011
Love and leverage in an age of global royalty
By Tristram Hunt
イギリスのソフト・パワーが爆発した。世界中のテレビに婚礼が映る。20億人が観るだろう。かつては軍事的な儀礼であったが、今ではイメージとメッセージだ。二人はイギリス風の商品を売る最高の王室イメージだ。
1870年から1914年にかけて、外国人であったイギリス王室は大衆のイメージに大きく変わった。王室は民族性ではなく、多様な民族の統一を象徴していた。イングランドとスコットランドとウェールズの統一。そして、憲法の定めるイギリス帝国が拡大するにともなって、王室も世界へ拡大した。アフリカ、インド、カリブ海域、オーストラリア。
王室は珍しい古道具であり、ポストモダンなソープ・オペラだ。王室があることによって、イギリスの分散した社会が摩擦を抑制できている。王室は、社会的移動性と近代性を、歴史と遺産に溶け合わせる。
二人の婚礼を観た人たちがイギリスのことを知り、イギリスの商品を買い、イギリスに投資してくれることを願っている。
FP APRIL 27, 2011
Royal Flush
BY SIMON HENDERSON
WSJ APRIL 27, 2011
The Entrepreneurs' Princess
By JOHN BERLAU
ケイト・ミドルトンの父母は英国航空のパイロットや乗務員として働いた。しかし、彼女が英国貴族に知られるようになったのは、父母がその後にビジネスで富を築いて、彼女や兄弟姉妹をエリートの学校へ入れたからだ。
ケイトを庶民の王女と称える者もいるが、彼女の家族は高貴さを得たのだ。それは、家族と社会を豊かにする、企業家という貴族である。
イギリスでは何世紀も、貴族社会において商業活動が軽蔑されてきた。彼らの富は土地所有にあり、商売にバタバタするようなことはなかったからだ。今週の婚礼は、長い時間をかけて、企業家の社会的地位が上昇する過程の総仕上げである。
1987年、ケイトが5歳のとき、その母は子供たちのパーティー・グッズを販売する、という隙間市場・ニッチに参入した。マイクロソフトやGoogleと同様、Party Piecesはガレージで誕生したのだ。企業家を育てるには、生まれよりも、それを尊重する文化が重要だ。普通の人々が事業で成功するというアイデアを、つまり「アメリカン・ドリーム」を、今では、たとえばBBCの番組「ドラゴンの住処」"Dragons' Den"として放送している。
「ミドルトン家は、自由市場システムに備わる機会を生かすことの象徴だ。彼らがParty Piecesを設立したのはサッチャーの時代だったことに注目すべきだ。保守党政権が税率を下げ、規制緩和と民営化で、企業家に対する障壁を取り除くことに尽力していた。偶然であろうが無かろうが、ケイトの両親が起業した1987年は、彼らが長年務めた英国航空の売却と、労働者への株式配分が行われた年だ。」
LAT April 28, 2011
Royal wedding: Her Royal Blandness
Meghan Daum
LAT April 28, 2011
Royal wedding: No gift, but good luck!
LAT April 28, 2011
Royal wedding: Save the throne
By Timothy Garton Ash
このまま順調に、チャールズ皇太子が王位を継承し、高齢で亡くなるとき、つまり2040年頃、ウィリアムは王に、キャサリンは女王になる。そのとき英連邦の何が残っているかは知らないが、偶然の出生が、ウィリアムを国家元首にするわけだ。これは正しいか? 理論的には間違っているが、実際には正しいだろう。
近代的な、抑制された、立憲君主制は、ほかの制度よりもうまくいっている。ヨーロッパにはスウェーデン、オランダ、デンマーク、スペインにも王室がある。彼らは政党政治家よりも羽振りが良くない。あなたがバッキンガム宮殿をトニー・ブレア大統領の住処にするのを望むなら別だ。
1000年以上も、17世紀に革命家たちが王を処刑した一時期を除いて、イギリスは王制を守ってきた。驚くべきことだが。そして多くの詩やシェークスピアの作品が書かれた。今週の婚礼にも、世界のメディアがロンドンに集結して、イギリスのソフト・パワーや、観光収入について書くだろう。たとえヨーロッパ最強の国がドイツでも、誰もベルリンの王宮で衛兵が交代するのを見に行く者などいない。
「それでいいさ。ドイツ人はBMWやメルセデスを作って中国に輸出できるから。イギリスにはできない。その代わりに王室がある。ウィリアムとケイトだ。」
もし王制が民主政治をゆがめたり、誰に対しても開かれた人生の機会を奪ったり、過去の階層制や特権を守るものであれば、こうした歴史も、文学も、ソフト・パワーも、支持できない。
理論的に、そうしたことはあるだろうし、英紙the Guardianは王制廃止を主張している。読者の多くがそうであるから。しかし実際は、こうした悪用のわずかなもので、しかもチャールズとダイアナが結婚した30年前に比べてずっと減っている。イギリスの政治システムには非民主的な要素が多いが、王制はその中で重要なものではない。もし民主的に選ばれていない個人に権力が集中している例を挙げるなら、第一に挙がるのはメディアを支配するルパート・マードックだ。
イギリスの女王が他国の大統領ほど政治に介入したとは思えない。ヨーロッパの多くの国で大統領と首相とが異なる政党から選ばれ"cohabitation"、政治が混乱するとき、国民は誰が真に中立の立場で、国民の団結を示す人物がいてほしい、と願うこともあるだろう。確かに、ネルソン・マンデラやハベルのような人物はいるが、特別な時期に現れただけだ。30年前、スペインの民主政治がまだ幼年期にあるとき、カルロス国王は軍のクーデタを阻止した。
イギリス王室が階級のピラミッドや特権の頂点にあるというのは、30年前に比べて真実から遠いように思う。今では選出されていない銀行家の方が貴族の階層性より大きな力を持つし、サッカーのスター選手の方がどの「王族」よりも有名だ。
ケイト・ミドルトンのようなアッパー・ミドル階級(パブリック・スクールに行く国民の7%)と王室の関係よりも、公立学校に通う多数の国民が社会的な移動性を享受できていないことが重要な問題だ。たとえば、開放的で平等な社会と共存しているスウェーデン王室に比べて、イングランドの状態は「イギリス病」と呼ぶべきものだ。これを改善することが、立憲君主制の存続にとって欠かせない。
もし二人がそれに失敗するなら、あるいはチャールズとカミーラが妨げるなら、たとえ保守的なイギリスであっても、彼らが継承する地位は2040年までになくなっているかもしれない。
guardian.co.uk, Thursday 28 April 2011
This royal wedding cannot bear the weight of meaning that's being heaped on it
Simon Jenkins
FP APRIL 22, 2011
Hard Power
BY ANATOL LIEVEN
アメリカはパキスタンと今後も協力するべきか? テロを防ぐためには、それが正しい戦略だ。
l ラテンアメリカの貿易拡大
FP APRIL 22, 2011
A Market for Good
BY MAX BAUCUS
アメリカにとってコロンビアとのFTAを成立させることは、農産物などにかかる関税を取り除き、韓国の規模の人口を持つ成長する市場に参加できる。労働組合はコロンビアの労働者の権利が弱いと批判してきたが、コロンビア政府は法を整備してきた。2月に無効となったが、アメリカ側でもグローバリゼーションにさらされる労働者へのTAA(貿易調整支援)を再び利用するべきだ。
FT April 27 2011
Latin America’s trading bootstraps
独立以来、ラテンアメリカ諸国は大陸規模の統一市場を夢見てきた。各国におけるナルシシズム政治が克服されて、いよいよその機会が実現されつつある。
ラテンアメリカほど地域統合のメリットが期待できるところはない。共通の文化的背景と言語がある。物理的な障壁を乗り越えるコストを十分に超える利益があった。それを阻んだのは内向きの間違った政府介入であった。
今や変化が起きている。輸入代替の時代は去って、中国による世界貿易システムの再編が大きく影響している。中国とアメリカはこの地域の貿易相手として張り合っている。しかも、ラテンアメリカの域内貿易が増えている。中国との貿易が資源の不躁状態を反映して、資源と工業製品との分業となってしまうのに比べて、域内貿易は域内の農業や工業を相互に刺激し、規模による生産性の改善を可能にする。
ラテンアメリカの輸送インフラや民間のビジネス・ネットワークは未発達で、今年、大西洋側と太平洋側とをつなぐハイウェーが完成する。もっと多くのインフラ投資が行われることで、域内貿易は急速に拡大するだろう。
人口は6億人、年間生産額3兆ドルの地域市場は、中国にも匹敵する。ラテンアメリカはまだヨーロッパやアジアに比べて少ない域内貿易しか実現していない。それは、獲得できる利益の大きさを示している。
l 中国の人口問題
WP Friday, April 22, 2011
China’s train wreck
By CHARLES LANE
FT April 23 2011
Shanghai offers fee cuts to defuse strike
By Leslie Hook in Beijing
April 25 (Bloomberg)
That $4 Trillion Isn’t Enough to Build Future
William Pesek
FT April 25 2011
Expand cities to stop dissent
By Yukon Huang
中国は農村戸籍によって都市への移住を制限してきたが、その結果、地域による不平等が拡大し、不満が高まっている。移住を自由化して、急速な都市化による機会の平等を保証することが社会不安の解消に役立つだろう。都市における社保障制度や住宅供給を急ぎ、特に農村でも都市でも土地所有権を確立しなければならない。
困難であっても、不可能ではない。韓国はそれに成功し、中国よりも不平等化を抑えた。
guardian.co.uk, Thursday 28 April 2011
China may grow old before it grows rich
Isabel Hilton
4億の家計にインタビューした第6回国勢調査は、中国の人口が13億3900万人、中国史上初めて都市人口が半数を超えたことを示している。ソ連との核戦争が起きても中国が生き延びるために、毛沢東はより大きな人口を目指した。その後継者たちは人口爆発を恐れて一人っ子政策を採用し、30年を経てその社会・経済的な結果を目にしている。
1.中国の急成長を30年間支えた労働力供給が枯渇する。2.性別による人口差が拡大した。3.世界最速の拡大する高齢者人口を、減少する労働人口が支えなければならない。
政府は労働者不足に対応して、日本や韓国のように高付加価値の分野に産業を転換しようと考えている。しかし、中国は豊かになる前に老いてしまうだろう。都市への出稼ぎ労働者は倍増して2億6100万人を超え、都市は彼らの居住を認めず、医療や学校のような公共サービスを提供していない。それは深刻な社会的亀裂を生んでいる。
計画では、2020年に中国は中所得国に移行し、さらに3億人が農村を離れる。残された小規模農家で食糧を供給しなければならない。また、性別の人口差により、3000万人の男性が結婚できない。その結果、社会不安が高まるかもしれない。
NYT April 23, 2011
What About American Girls Sold on the Streets?
By NICHOLAS D. KRISTOF
インドやカンボジアで人身売買の話を聞くと、私たちの心が砕ける。犠牲者は誘拐され、閉じ込められ、文字通り、檻に入れられることもあり、私たちに奴隷制のイメージをよみがえらせる。
しかし、私たちはアメリカでも多くの人身売買で連れてこられた少女たちを観ている。しかし私たちの心は堅いままだ。少女たちはカゴに入れられていないから。彼女たちは、しばしば、短いスカートや胸を出した服のまま逃亡する。アメリカ人の多くは彼女たちを人身売買の犠牲者ではなく、そうした生活スタイルを選んだ犯罪者として見ている。だから14歳の少女でも逮捕され、訴追されるのだ。そして人身売買に関わるものは逃げてしまう。
彼女たちの実情も、インドやカンボジアの少女たちとそれほど変わらない。アメリカの複雑なセックス産業を暴くため、それを生き延びた女性が“Girls Like Us”という本を書いた。彼女は23歳のとき、人身売買の犠牲者を救出する運動GEMS(Girls Educational and Mentoring Services)によって立ち直った。
l 原子力発電を続けるべきだ
WSJ APRIL 23, 2011
Why I Still Support Nuclear Power, Even After Fukushima
By WILLIAM TUCKER
FT April 24 2011
Time to revive, not kill, the nuclear age
チェルノブイリ事故から25周年の火曜日、反核運動が盛んに行われた。たとえば、9人のノーベル平和賞受賞者が、核エネルギーを放棄して、人類が「より平和で安全な暮らしをできる」ように求める書簡を公表した。
現実には、核エネルギーのない世界はより安全でない世界になる。予想しうる将来において、原子炉が供給している世界電力の14%を化石燃料や再生可能燃料で、エネルギー市場に深刻な不安定さや欠乏を生じることなく、代替できる可能性はないからだ。エネルギーの安全保障は、核を含む、多様化を必要とする。
安全性という問題はまた別だ。核兵器として始まった核エネルギーに、人類は恐怖と期待を併せ持った。核エネルギーに関わる死傷者の数は、気候変動の二次的な影響を議論するまでもなく、石炭、石油、天然ガスの利用による死傷者の数よりけた違いに少ない。
人々が放射能に対して恐怖を覚えることを政治家が無視できない。チェルノブイリでも福島でも、生活への影響は長期にわたる。福島第一の事故により、世界各地の原発建設計画は中止されている。しかし、政治家がエネルギー政策の困難な、しかし、不可欠の選択を避けてはいけない。
スリーマイル島の事故やチェルノブイリの影響で中断された結果、世界で稼働している原子炉の設計は20世紀半ばの技術である。今日、第三世代の原子炉では、自動冷却システムがあり、津波の跡に福島で起きたような問題は回避できるはずだ。
もちろん完全なものではないから、今後も研究が必要だ。たとえば、燃料をウラニウムではなくトリウムにするとか、深い地下に設置するとか、研究されている。使用済み燃料の長期保存方法なども研究が必要だ。
SPIEGEL ONLINE 04/27/2011
North Coast Doldrums
Why Germany's Offshore Wind Parks Have Stalled
By Frank Dohmen and Alexander Jung
SPIEGEL ONLINE 04/27/2011
A Green Future for Europe's Biggest Economy
What Germany Must Learn from Chernobyl and Fukushima
An Editorial by German Environment Minister Norbert Röttgen
The Observer, Sunday 24 April 2011
The United States faces a crisis not seen since the Depression
Will Hutton in America
LAT April 26, 2011
Thank you, Standard & Poor's
Michael Kinsley
S&Pによるアメリカ債券格付けの引き下げについて、アメリカ人はまるで無視してしまった。「いつだってドルを印刷できるから。」
それは間違いだ。一度、ドルを印刷して支払った債務は、前と同じように誰も保有してくれないだろう。確かに過去の高インフレが再現すると思う者はいない。むしろ、少々のインフレなら良いことだ、と言い始めた。債務が軽減されるからだ。不平等を悪化させるけれど。
ケインジアンは債務があった方が良いという。それは景気を刺激するために増やしたり減らしたりする。赤字は問題ではない、と。
では、誰が増税するのか? そして、すでに1兆6000億ドルの債務があることを無視している。S&Pは格付けを下げて当然だ。
FT April 24 2011
The eurozone’s quack solutions will be no cure
By Wolfgang Münchau
通貨同盟は危機の処理に弱い。統一政府がないから政府間の交渉が必要になるが、それは漏れてしまう。
ユーロ圏の債務危機は解決できる、という騒がしい誤解がある。たとえば、今すぐにデフォルトさせればよい、と。ドイツのキリスト教民主党やフィンランドの孤立主義者がギリシャに税金を移転するのは嫌だから、デフォルトさせろ、と主張している。
しかし、ギリシャは短期的な流動性危機を生じていない。融資を与えられている。また、デフォルトすれば銀行システムがそのまま残る、とは言えない。
それでもギリシャ政府がデフォルトすれば、すべてが変化するだろう。ポルトガルも、アイルランドも、条件を変更したいと思うだろう。ドイツやフィンランド、オランダもEMSに参加しないだろう。ギリシャ議会は緊縮策を否決するだろう。スペインの貯蓄銀行は破綻するだろう。フランスの債券も信用を失うだろう。
こうした偶発的な事件が続き、その過程で政治的な処理は失敗するに違いない。
FT April 25 2011
Crisis will help Portugal kick its debt habit
By José Maria Brandão de Brito
l 食糧不足の新しい地政学
FP MAY/JUNE 2011
The New Geopolitics of Food
BY LESTER R. BROWN
食糧の地政学が重視されるようになるだろう。世界の食料供給能力は低下しつつあり、人口増加と需要の増大は、世界の食糧価格を上昇させる。世界各地でパンやコメの価格が倍増した。それは所得の半分以上を食糧の購入に充てている貧しい数億人にとって、暴動や政治不安をもたらす死活問題だ。
食糧価格を安定化していたアメリカの食糧供給能力も限界に達した。世界の土壌は失われ、温暖化が進み、水の供給は各地で不足しており、既存の農業技術の普及もすでに終わった。世界人口は90億人まで増加し続けるだろうが、それに見合った食糧供給システムは見出されていない。毎晩、主に貧しい発展途上諸国で、21万9000人が食卓に加わる。
世界は食糧をめぐる地政学を発見する。
各国は食糧市場に頼ることができず、長期の輸入契約を結び始めた。サウジアラビア、韓国、中国など、豊かな国や交渉力のある国は、さらに輸出国の耕作地について地主や政府と長期借用契約を結びつつある。こうした契約はしばしば秘密に結ばれており、水や土地をめぐる現地の紛争に関わることになる。現地の住民や政府がこうした土地の支配に反感を持つのは当然だ。
土地に対する海外からの投資は、現地の食糧生産や発展を助けるだろうか? 多くの場合、インプット(機械、肥料、農薬、種子)は海外から持ち込まれ、収穫された食糧は輸出される。せいぜい農業労働者が雇用されるだけだ。しかも機械化が進んでいるから、その利益もわずかなものだ。結局、食糧が増えるより、地域の不安定化を加速する。
第二次世界大戦後に国際協調を促す機関が設置されたが、食糧の国際争奪が強まれば、各国は自国の利益を優先する姿勢に転換してしまうだろう。食糧ナショナリズムも土地争奪も、世界の食糧供給を増やすことにはつながらない。食糧不足が支配的になれば、食糧安全保障と地政学が支配し、世界市場システムは破綻する。
FP MAY/JUNE 2011
More Than 1 Billion People Are Hungry in the World
BY ABHIJIT BANERJEE, ESTHER DUFLO
FP APRIL 27, 2011
How Goldman Sachs Created the Food Crisis
BY FREDERICK KAUFMAN
ゴールドマンサックスは、主要な国際商品を集めた投資手段を開発しました。すなわち、the Goldman Sachs Commodity Index (GSCI)。貴金属からエネルギー、コーヒー、ココア、牛、トウモロコシ、豚、大豆、小麦、など、24の商品が含まれた金融デリバティブです。
先物市場が農家と投機家による価格変動の抑制に役立っていた時代から、デリバティブ取引の発達は金融の流れが価格を支配するようになりました。
WSJ APRIL 26, 2011
Thailand Going Rogue
タイとカンボジアの国境紛争が解決できません。国連安保理やASEANが外向的な解決を求めたにもかかわらず、タイ政府は非難し続けています。国内政治において、軍とビジネス・エリート、王室関係者は、タクシン派が選挙で勝利することを恐れているから、というのが理由ではないか。カンボジアとの国境紛争は、選挙によってタクシン派への支持を殺ぐとともに、支配層への支持を強めるための材料なのです。
しかし、民主化を支持するASEANを無視して、カンボジアとの軍事紛争が激化すれば、各国に立場を決めるときが来ます。タイは地域の平和を破壊する国になるでしょう。
WSJ APRIL 26, 2011
Thailand Caught on the Thaksin Rebound
By MICHAEL MONTESANO
タクシンを批判する論説です。
YaleGlobal , 26 April 2011
Limits of Chinese Power in Southeast Asia
Evelyn Goh
WSJ APRIL 26, 2011
Indonesia's Institution-Builder
By GITA WIRJAWAN
FT April 26 2011
Asia: Region riven by disputed terrain
By David Pilling
経済成長を背景に、中国の強硬姿勢は続くだろう。アメリカはアジアにおける存在を明確に示すべきである。
(China Daily) 2011-04-28
Stronger ASEAN ties
l 暴力を抑えるグローバルな投資
FT April 26 2011
Remove the scourge of conflict
By Martin Wolf
人間は暴力的な生き物である。しかし人類は、国家間で、また国内での大規模な紛争を減らすことに成功した。例外は、貧しい国々や貧しい人々である。紛争が彼らの間にあるうちは彼らの災難でであったが、グローバルな影響を及ぼすかもしれない。
世界銀行のWorld Development Report (WDR)は“conflict, security and development”を分析している。それは長すぎて(統計が目的の読者ばかりなら)誰も読まないかもしれないが、重大なメッセージを含んでいる。
幸いなことに、戦争や内戦の数は減っている。しかし、暴力はなくならない。政治と犯罪とが緊密に結びつく地域がある。紛争は国境を越えて破壊力を示している。グローバリゼーションの一面として、人身売買や麻薬戦争が拡大している。
暴力の原因は様々だが、共通しているのは、市民に安全と法の裁き、仕事を提供できる正当な制度が崩壊していることだ。いったん大規模な暴力が根づいてしまえば、これを根絶することは非常に難しい。世界人口の約4分の1、15億人が内戦と組織犯罪との悪循環にさらされている。その破壊のコストは甚大である。アフリカの角からインド洋における海賊行為の被害額は毎年13億から20億ドルに達する。内戦や組織犯罪に冒された国が開発目標を達成することはない。男たちは暴力で殺し合い、女や子供はレイプされ、難民となる。社会にとって子供を育てる力が破壊されることは深刻な長期の影響を残す。
暴力が広がる前に、先行的な投資を国際協力によって行うべきだ。
WP Tuesday, April 26, 2011
What Mr. Bernanke’s news conference could do for the markets
FT April 27 2011
Bears put dollar on track for record lows
By Michael Mackenzie
FT April 27 2011
Letting daylight in on the Fed
バーナンキ連銀議長による初めての記者会見がありました。
NYT April 27, 2011
The Limits of Fed Policy
その話の内容は新しい情報に欠け、アメリカの景気回復が遅くても、連銀にできることには大きな限界がある、というものでした。財政政策によって解決するべきですが、議会は動けません。急激な金融引き締めはない、と言うにとどまります。
WSJ APRIL 28, 2011
Asia Surfs the Bernanke Money Tide
By FREDERIC NEUMANN
しかし、それはアジアにとって問題だ。食糧、賃金、ガソリン、住宅、・・・ドルの洪水でインフレが膨張しつつある、と不満を強めます。
そうであれば、アジアはアメリカの金融政策から自分たちを切り離すべきなのです。
FT April 27 2011
Trump bid reveals myth of the CEO president
By Francis Fukuyama
guardian.co.uk Wednesday 27 April 2011
Birthers and the persistence of racial paranoia
Michael Tomasky
WP Wednesday, April 27, 2011
Obama is an American. Let’s move on.
NYT April 27, 2011
A Certificate of Embarrassment
オバマ大統領に対する出生証明を要求する嫌がらせです。黒人の大統領に対する陰謀説。
l 温暖化ガス排出税
NYT April 27, 2011
Pain at the Pump? We Need More
By DANIEL C. ESTY and MICHAEL E. PORTER
ガソリン価格の高騰に対して、温暖化ガスの排出に課税することを主張します。それはガソリンの消費を抑制します。さらに、課税は2012年の排出量1トン当たり5ドルから2032年に100ドルまで、次第に引き上げます。これによって温暖化ガスを排出しないエネルギーへの技術革新が加速します。それはまた、石油の輸入を減らし、アメリカの国際競争力も高めるのです。こうして貿易赤字(そして財政赤字)の解消にもつながるだろう、と考えます。
国家の競争戦略で有名な、ハーヴァード・ビジネス・スクールのポーター教授が共同執筆しています。・・・一石三鳥、四鳥の話です。
WSJ APRIL 28, 2011
Where Is Japan's Chris Christie?
By MICHAEL AUSLIN
有権者に耳の痛い真実を語り続け、既得権や資格にまでメスを入れる必要を訴え続けた、ニュージャージー州のChris Christie知事が日本にも必要だ。
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The Economist April 16th 2011
Central America’s woes: The drug war hits Central America
Central America: The tormented isthmus
Conflict and poverty: The economics of violence
Nigeria’s successful elections: Democracy 1, vote-rigging 0
Corruption in eastern Europe: From Bolshevism to backhanders
India and foreign investment: Fling wide the gates
Retailing in India: Send for the supermarketers
Charlemagne: A parable of two debtors
China’s foreign reserves: Who wants to be a triple trillionaire?
Economics focus: BRIC wall
(コメント) 中米にも麻薬戦争や政府の崩壊が広がっています。アメリカの裏庭で、あるいは、アメリカに近いから、麻薬や人身売買による犯罪組織の方が沈滞する経済活動よりも好ましい状態が生じるのです。それは、アフリカや東ヨーロッパでも、それぞれの問題を反映しながら、政治・社会のカオスが共鳴しています。
インドと中国の話も興味深いです。インドでは大型小売店の海外からの投資を制限しています。国内の零細店が政治的に抵抗するからです。ウォルマートの説得が正しいのであれば、インドはこれを利用すべきではないか、と思いました。ウォルマートは店舗や雇用に投資し、人材を育成し、地元の供給企業と利潤を分かち合い、冷蔵設備や流通システムに投資する。それはインドのインフレを緩和するし、メキシコでは小規模店も半分が生き残った。
中国の外貨準備が2兆ドルを超え、3兆ドルに達しつつあります。この大きさをどう見るか? 中国が外貨準備を減らすためには何か買うしかありません。ユーロを買う。ギリシャなどの国債を買う。アップル、マイクロソフトなど、アメリカの一流企業を買う。あるいは、ロシアの富豪のように、イングランドのサッカー・チームも。不動産を買う。マンハッタンをすべて買い取ってしまう。アメリカ軍や国防総省も買う。3兆ドルというのは、それほどの額です。
これまでの例を見れば、新興国が一人当たり所得(PPPで)1万6740ドルになれば、高成長から減速する。中国も、それを準備するときです。
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IPEの想像力 5/2/11
歴史の中では、人の生きる時間は短いものです。他方、一人ひとりとしては、同じ一生を生きるにも大きな違いがあるわけです。
イギリス王室の婚礼は歴史上の事件を再現する映画のようでした。それに関する論説は、日本の皇室記事と違って、深い考察にあふれ、興味を惹かれます。
日本中が、もちろん、全く関心がない人たちや嫌いな人もいたでしょうが、キコ様やマサコ様の婚礼で騒いでいたことを、少し、思い出しました。そして、出産や皇位継承、神経障害かイジメなのか、なんだかよくわからない皇室ウォッチャーによる内幕報道が過熱した時期もあったな、と。
王族が何をしているのか、よくわかりません。明日からは、また、イギリスのタブロイド紙が王室のスキャンダルを流し続けるでしょう。しかしこの1日だけは、アメリカ人の何人かが今も英連邦であればよかったのに、と思ったかもしれません。
毎日、21万9000人が世界人口に加わります。もちろん、そのほとんどすべてが王族と関係ありません。
また、世界各地で、事故、災害、犯罪、戦争などにより、多くの人が死にました。
NATO軍による空爆で、カダフィ大佐の息子セイフ・アルアラブ氏と孫たちが死亡した、というニュースを聞きました。
今も、地震と津波によって行方不明となったままの子供を探す親たちの話を読みます。
アメリカの失業率(8.8%)はなかなか減りません。
人身売買の犠牲者について、東ヨーロッパやアジア、アフリカだけでなく、アメリカでも告発するコラムがあります。
革命、クーデタ、内戦が続く地域は世界で拡大していくかもしれません。
移民、難民、出稼ぎ、国内で強制移住させられた人たちが、差別され、奴隷のように働かされています。
パキスタンの堅牢な建物で、オサマ・ビンラディンとその妻や息子が、アメリカの特殊部隊によって殺害されました。
バチカンでヨハネ・パウロ2世が「福者」に認定された、というニュースを観ました。ポーランドの民主化に貢献したからではなく、ある女性のパーキンソン病が治ったから、という理由です。
宗教が支持されるのは、個人が救済を求めるからでしょう。社会の亀裂や個人の不幸を救えるのは、イギリス王室の婚礼ではなく、真に宗教的な指導者だと思います。しかし、地域によっては異なる宗教・文化間が激しく対立しています。
強度のストレスと不安をともなう社会的移動性より、所得分配の格差を小さくしたまま、個人が能力を高め、発揮できる方が重要だ、と私は思います。
リー・クァン・ユー氏のインタビュー「世界は強いアメリカを必要としている」(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2011年4月27日)を興味深く読みました。
生きるのが難しい時代、難しい社会です。王室よりも、もっと自分たちの生き方を支持するインフラ・社会制度が必要です。震災からの復興を学ぶ中で、日本がそれを示すことです。
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