IPEの果樹園2011

今週のReview

4/25-/30

 

*****************************

リビアへの軍事介入 ・・・アラブ世界の転換支援 ・・・アメリカの予算論争 ・・・中国は減速する ・・・北朝鮮 ・・・ポルトガル救済とユーロ危機 ・・・G20BRICs ・・・日本の危機と復興 ・・・真のフィンランド人 ・・・前略 菅直人総理

 [長いReview]

******************************

主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia そして、The Economist (London)


l         リビアへの軍事介入

FP APRIL 14, 2011

All Quiet on the Western Front

BY STEPHEN CASTLE

1990年代に行われたコソボ空爆との違いを強調します。コソボ空爆のときは、ヨーロッパ各国の主要戦略家たちが集まって、毎日会議が開かれ、最新の動きを伝えるためにメディアが世界中から集まった。今は違う。

当時、NATOのスポークスマンであったJamie Sheaは有名になって、コソボのアルバニア人に称賛された。Oana Lungescuは、ルーマニアのジャーナリストから転身し、冷戦を克服したNATOのシンボルとして多言語を使うスタッフの一人となっている。しかし、今は壊れやすい政治的コンセンサスの上に立って事態を扱うだけだ。

これまで、NATOはアメリカが最高指揮官と軍事力を担ってきた。アメリカが抜けるとしたら、それをNATOの加盟諸国が代わって引き受けなければならない。それは非常に困難だ。

コソボからリビアへ。メディアも、軍も、政治家も、大きく変化した。

WP Thursday, April 14

NATO made the right call on helping Libya

By Anders Fogh Rasmussen

もう何もするな、あるいは、まだ不十分だ、という論争が続いている。民主主義において自由なメディアは欠かせないし、リビアの人々を守ることが重要な論争になるのは当然だ。

しかし、軍事行動について広範な合意を形成することが非常に難しいことを理解してほしい。その上で、わたしがなぜ緊急にNATOが行動することを求めるか、説明しよう。

NATOが軍事行動の根拠とするのは、国連決議19701973である。我々の目的は三つだ。1.市民や市街への攻撃を止めさせること。2.すべての軍事勢力が検証可能な形で完全に撤退すること。3.人道的支援が全市民に対して迅速かつ十分に、そして安全に行われること。

もちろん、危機に対して、純粋に軍事的な解決というのは存在しない。

NYT April 14, 2011

Libya’s Pathway to Peace

By BARACK OBAMA, DAVID CAMERON, and NICOLAS SARKOZY

アメリカのオバマ大統領、イギリスのキャメロン首相、フランスのサルコジ大統領が署名した、リビア戦争の目的について国際社会への説明です。

リビアにおける危機を終わらせる。市民を守る。そして、市民たちがリビアの将来を決める。

カダフィ大佐が自国民に対する攻撃を行ったことで混乱が深まり、アラブ連盟の要請があって、われわれは介入した。反政府勢力も支援を求めていた。国連安保理は住民の保護を国家に求めており、それをリビア政府が守らないとき、住民たちを保護する必要な手段を取るよう決議した。

カダフィ軍はベンガジを制圧することを阻止され、数万人の命が救われた。

介入は政権打倒を目指すものではない。しかし、住民たちが将来の安全を得るには、カダフィが政権を退くべきだ。国際刑事裁判所はカダフィを告発している。リビアは国際秩序を無視しただけでなく、無秩序を広め、過激派をかくまう、破綻国家になった。

リビア国民の希望は、カダフィを追放して統一と主権を維持し、経済を再建することだ。カダフィが破壊した住宅や病院などを修復し、基本的な社会設備を提供して、繁栄する、開かれた社会を築くだろう。アラブ世界を含む、国際社会の幅広い支援を得て、将来に関する国際会議が開かれ、そこではリビア国民の意志が尊重される。

国連決議が守られ、リビア国民が自分たちで未来を選択するときまで、われわれは手を緩めない。

FP APRIL 15, 2011

Back in the Saddle

BY JAMES JOYNER

WP Friday, April 15, 2011

Why failed states shouldn’t be our biggest national security fear

By Stewart Patrick

オバマ政権にとって、「破綻国家」は集団的安全保障の弱点と認識されている。それは9・11が貧しいアフガニスタンから起きたことで生じたアメリカ政府の脅威認識・恐怖心だ。

しかし、「破綻国家」はアメリカの主要な脅威になっていない。国際テロ、大量破壊兵器の拡散、国際犯罪や伝染病、などを破綻国家と結び付けることはできない。それらはむしろ、機能しているが腐敗した国家によって広まっている。

guardian.co.uk, Sunday 17 April 2011

Libya's false chaos theory

Jane Kinninmont

カダフィを追放すればソマリアのような無秩序と暴力が支配するのか? アフリカ連合の和平案が拒否されたとき、リビアの元外相はそのように主張した。しかし、それは独裁者が自分の長期支配を正当化する常套句である。

社会制度が弱いから市民社会に基づく民主主義は現れない、と警告する。しかし、制度が存在しないのは独裁者による破壊の結果である。独裁を正統化する理由にはならない。

FT April 18 2011

A united Libyan nation can avoid partition

By Ray Takeyh

LAT April 18, 2011

The future of Libya

By Rajan Menon

1.英仏米の攻撃によってリビアの政府軍は壊滅され、反政府勢力が新しい政権を担う。2.政府側の官僚がカダフィから離反し、反政府勢力と和解する。3.カダフィの権力(そして石油収入)は維持され、リビアが東西に分裂する。

しかし、分離は容易な作業ではない。特に、双方が憎しみ合って、武装しているなら。チェコとスロバキアのような平和的分離は期待できない。

guardian.co.uk, Tuesday 19 April 2011

These humanitarians come to Libya with missiles, and an agenda

Simon Jenkins

空爆でできることは尽きた。作戦は難しい局面に入る。イギリスは一層の介入に踏み切るのか?

「リベラルな軍事介入はカントやユニバーサリズムとは関係ない。空爆は倫理に従うのではなく、カメラ(報道)に従う。流血によって事態が進む。リビアが今はそうだ。」

リビアの反政府派は支援が少ないと憤慨するだろう。しかし、イギリス市民であり納税者である私は資金を心配する。アラブ連盟の支持は失われ、オバマ、キャメロン、サルコジと一緒に署名することを拒んだ。キャメロンは寝る前にスエズ危機の本を読んで、アメリカがイギリスを支援しなくなればどうなるか学ぶことだ。

今は撤収するときだ。後は外交官たちに任せておけ。

guardian.co.uk, Tuesday 19 April 2011

The Libyan mission is creeping, no doubt

Simon Tisdall

FT April 20 2011

West must set limits on Libya engagement

By Max Hastings

キャメロンが介入を決めたのは、1990年代のボスニアにおける西側の臆病さが記憶にあるからだ。クリトン政権が行動を起こすまで、ヨーロッパ諸国は何もできず、市民の犠牲が増えた。しかし、当時の軍事顧問は正しく問題提起した。何が目的か? それらは達成可能か?

「人道主義的な」地上軍を派遣して「安全地帯」を設けることが検討されている。欧米の指導者たちは「体制転換」を戦後秩序に求めている。それらはどのように達成できるのか?

反政府勢力が消滅するのを阻むことはできても、それ以上のことは難しいことを軍事専門家は知っている。空爆がセルビアをコソボから撤退させたというのは神話である。ロシアが政治的な圧力をかけたから成功したのだ。カダフィの権力はいずれ失われるだろうが、リビアが内戦に向かわないという保証はない。

guardian.co.uk, Thursday 21 April 2011

Libya: another neocon war

David Swanson


l         アラブ世界の転換支援

FP APRIL 14, 2011

Picking Up the Pieces

BY LAEL BRAINARD

アラブの春によって、多くの国で民主化が成功するためには、アメリカが民主的な移行におけるマルチラテラリズム(多角的な支援)を強める必要がある。これまでの改革は政治体制によって遅れ、不公平に分配されてきた。もっと多くの若者に雇用をもたらすべきだ。西側の援助は、1.女性など、取り残された者を直接に支援する。2.内部からの改革を採用して広める。3.より長期的、多角的に進める。

1989年にベルリンの壁が崩壊した後、共産主義体制を離脱した中東欧諸国が安定的に移行するよう、国際開発銀行などがさまざまな支援を行った。1998年のインドネシア民主化でもそうだった。アメリカは世界銀行や、そのIFC、アジア開発銀行などを活用するべきだ。

WP Thursday, April 14, 2011

Will the Arab Spring bring a peace agreement with Israel?

guardian.co.uk, Friday 15 April 2011

Egypt will see this revolution through

Amira Nowaira

WSJ APRIL 16, 2011

The New Cold War

By BILL SPINDLE and MARGARET COKER

中東におけるイランとサウジアラビアの激しい対立を、「新しい冷戦」、と呼んでいる。それはスパイや過激派、資金援助が多用される現実の闘争である。イランは核武装を目指し、サウジアラビアはアメリカによる核の傘を得ている。

サウジアラビアは最近のアメリカによる民主化への支持を観てもアメリカとの関係を維持するだろう。アメリカによる安全保障は中東世界の鍵であるから。サウジアラビアは石油価格の安定化に協力し、他方、アメリカは中東における民主化を何でも支持することはしないだろう。

LAT April 17, 2011

Libya's only a part of Mideast equation

Doyle McManus

リビアよりもバーレーンが重要だ。

FT April 18 2011

Europe: In need of a lifeline

By Joshua Chaffin in Brussels, Victor Mallet in Madrid and Peggy Hollinger in Paris

地中海同盟(the Mediterranean Union: MU)について。

WSJ APRIL 18, 2011

It's in America's Interest to Stay in Iraq

Max Boot

軍事基地を持つことはアメリカがその地域でパワーと影響力を持つことである。

ゲイツ国防長官が「1231日以降もアメリカ軍にいてほしいか、イラクの指導者たちは応えるべきだ」と述べたのは正しい発言だった。イラクはまだ助けを必要としていると思うが、可能性としてはオープンである。これは問う必要がある、と。

オバマ大統領は、5万人の米兵の完全撤退、という選挙中の公約に従って、イラクのアメリカ軍については態度を示さなかった。アメリカ軍は戦闘に従事していない。イラク軍への訓練・支援・助言を行っている。そして、イラクの様々な政治党派が敵対する勢力と武力闘争に及ぶのを抑えている。

アメリカ国務省は約1000人の外交官と16000人の契約労働者・軍事サービスを備える野心的な大使館を計画している。しかし、それでもアメリカ軍が担う平和維持機能に代わることはできないだろう。

イラク軍の訓練が進んでも、防空システムはなく、わずか70台の戦車では、まるで防衛力を持たないに等しい。従って、たとえイランが侵攻しないとしても、嫌がらせや影響力を行使し、国境紛争などが起きるだろう。

イラクを撤退することは愚かである。アメリカ軍は今も、コソボや韓国のような紛争後の地域に駐留し、平和を維持している。イラクでもそうするべきだ。

WP Tuesday, April 19

Time to up the ante on Egypt

By David Ignatius

「今日、アメリカはアフガニスタン戦争に年間約1100億ドルを配分し、パキスタンへの軍事・経済援助として32億ドル、エジプトの民主革命を支援する特別資金として15000万ドルを決めた。アメリカの国益の観点からは、これらの支出水準が無意味になっている。これは逆立ちしたピラミッドだ。」

「アフガニスタンに資金の雨を降り注ぐのはアルカイダの将来の攻撃を防ぐためだ。しかし、率直に言って、エジプトの民主化が成功する方が、アフガニスタンを安定化するよりも、イスラム過激派のテロを防ぐうえで有効だろう。また、パキスタンが民主的で繁栄した国になれば、すべてに対する最善の防衛線である。」

YaleGlobal , 20 April 2011

Guide to Reform the Middle East? Try East Asia

Humphrey Hawksley

中東と同じように、東アジアでもアメリカはベトナムで失敗した。中東・北アフリカ地域において民主化とガバナンスの改善を成功させるうえで、アメリカが東アジアにおいて果たしたベトナム戦争後の役割が大いに参考になるだろう。すなわち、日本、台湾、韓国で成功し、フィリピン、インドネシアなども後を追っている。

ベトナム戦争の敗北は、今、イラクやアフガニスタンが困難な状況であるように、アメリカと地域秩序にとっての危機であった。重要なことは、その後も独裁体制は容易になくならなかったことだ。しかし、アメリカによる安全保障と地域協力制度の下、貿易を増やして、東アジアは繁栄を共有することを優先した。その上で、民主主義の成功には長い時間がかかったのだ。

地域的な市場統合は、新しい指導者たちが貿易やアイデアの交流を歓迎し、制度的な結び付きを強めて、互いの対立点や宗教問題を克服する役に立った。EUASEANが果たした役割を、中東・北アフリカ(MENA)の地域協力機構が果たすべきだ。

WSJ APRIL 21, 2011

Searching for Hayek in Cairo

By MATTHEW KAMINSKI

アラブの春が、内戦やイスラム過激派の勢力拡大、テロの増大、そして石油価格上昇や、開放型の市場経済から離脱する、という方に向かわないために、市場革命が必要だ。


l         アメリカの予算論争

WP Thursday, April 14

A budget for the 21st century

By Paul Ryan

大統領の演説に対抗して、下院予算委員会(共和党)による予算案 “The Path to Prosperity” が示された。大統領の演説は重要な問題を避けており、中身がない。ビジネスに増税し、市場を強化するよりも国家を肥大化する。

NYT April 14, 2011

Who’s Serious Now?

By PAUL KRUGMAN

Paul Ryanは怒った。オバマが脅したからだ。

Ryanの対案はカスだ。それは、社会保険のない人々や支援が必要な人々に削減すると言っている。そして、企業と富裕層には減税し、メディケアは民営化する。想定されているコスト削減は全くのおとぎ話だ。

オバマの提案は、完璧ではないが、真面目なものだ。

NYT April 14, 2011

Ultimate Spoiler Alert

By DAVID BROOKS

オバマとライアンはワシントンで最も頭の切れる政治家だろう。しかし、二人は会話を交わしたことがない、と言われている。昼食に招くこともない。その結果、二人は互いを誤解する。

もちろん、会ったからと言って対立はなくならないが、互いをよく知ることができるだろう。二人の主張を5つの点で比較すれば、より優れた妥協案の可能性を検討できる。

1.医療保険制度。2.老人や中産階級の負担。3.市場型のコスト削減。4.増税。5.政府のよる産業育成策。

FT April 14 2011

Obama’s fight back has begun

By Simon Schama

WP Friday, April 15, 2011

As in 1984, we need the courage to raise taxes

By Walter Mondale

FT April 17 2011

Tax reform can yet save America

By Clive Crook

WP Sunday, April 17

America’s elites have a duty to the rest of us

By E.J. Dionne Jr.

賢明な支配階級は、繁栄が広く分かち合われるとき、また、政府が生産的なプロジェクトに投資して、社会全体を引き上げ、社会的な移動性によってエリートにもいくらか新しい入れ替えがあるときに、ますます豊かになり、富は安全であることをよく知っている。才能ある新しい人々に対して閉ざされた支配階級は、長期において支配する階級ではなくなる。

しかしアメリカの支配階級には不思議なことが起きている。社会全体の健全性をますます気にしなくなり、金儲けだけに執着するようになった。確かに巨額の寄付をする超資産家がいるけれど、富裕層はますますキャピタル・ゲインや配当にかかる税率を引き下げるよう働きかけ、成功してきた。他方、戦争による赤字や減税も繰り返したのだ。

NYT April 17, 2011

The Middle-Class Tax Trap

By ROSS DOUTHAT

FT April 18 2011

S&P sounds alarm on US debt

By Robin Harding and James Politi in Washington and Michael Mackenzie in New York

guardian.co.uk, Monday 18 April 2011

Robin Hood: a tax whose time has come

Ha-Joon Chang and Duncan Green

イギリスの話です。金融部門にもっと早く課税するべきだった、と孫たちに言われるぞ。所得税に代わって、the Financial Transactions Tax (FTT) – or Robin Hood taxに関する支持が高まっています。あるいは、"Tobin tax"と言われたものです。

金融取引に極低率の課税をして、それをグローバルな集合財・公共財の供給に使用します。

しかも、1.資本規制、2.格付け会社の改革、3.タックス・ヘイブンの廃止、4.複雑な金融商品の廃止、と同時に導入するのが良い、と提案します。

FT April 19 2011

S&P aims to whip Congress into debt action

By Brad DeLong

S&Pによるアメリカの債券格付け引き下げに関するニュースは、ドル安を招きませんでした。金利も上昇しませんでした。なぜか? これは新しいニュースではない。むしろ共和・民主両党が財政赤字削減に向けた妥協を促すための政治的なニュースになる、と考えるからです。

WP Tuesday, April 19

Standard & Poor’s financial storm warning

By Ruth Marcus

WP Tuesday, April 19

On deficits, let a thousand firebells ring

FT April 19 2011

US: When timing is all

By Robin Harding

量的緩和から引き締めへ、アメリカの金融政策の転換はいつ行われるのか?

WSJ APRIL 21, 2011

Fleeing the Dollar Flood


l         中国は減速する

WP Thursday, April 14

What if China’s economic expansion is about to slow?

By Jack A. Goldstone

中国の高成長は続かない。1980年から2010年の間、中国の労働力の増大は世界最速であった。1.7%は成長率の5分の1に当たる。都市化や教育の改善も成長率を押し上げた。都市の居住者は20%から45%に増えた。

こうした傾向は逆転しつつある。中国の労働人口は2040年までに9%以上減少するだろう。教育レベルの上昇もその成長率への貢献は逓減的である。

かつて経済的な支配を拡大し続けるように見えた日本の経験を考察することは参考になる。1950年から1990年までに、日本は若い労働力が急速に増え、教育水準も上昇した。新しい技能の習得や、地理的、社会的に高い移動性があった。しかし、1990年、日本の労働力の成長は止まった。それ以降は人口が高齢化し、減少している。

中国には他の障害もある。高所得国向けの商品輸出額が、2000年から2008年まで、年17%で増加した。その商品輸出額はGDP30%に達した。しかし、このような成長のペースは維持できない。ヨーロッパ、日本、韓国は低成長になるし、アメリカは貿易赤字を減らすだろう。

さらに、中国はますます原材料やエネルギーの輸入を増やしており、その価格が上昇している。

2010年から2030年の成長率が5%に減速しても不思議ではない。アメリカの成長率は2.5%に回復するだろう。現在、中国経済の規模はアメリカ経済の3分の1より少し大きい程度であるが、2030年でも3分の2であろう。中国経済がアメリカに並ぶのは2050年に遅れる。

NYT April 15, 2011

China's Scary Housing Bubble Introduction

YaleGlobal , 15 April 2011

China’s Foreign-Policy Balancing Act – Part II

Shen Dingli

中国の急速な台頭や軍備強化は周辺国の不安を強める。尖閣諸島の漁船拿捕問題は日中間の厳しい外交問題になった。北朝鮮の核開発問題では、国際ルールを守らない北朝鮮をかばう立場になった。南シナ海でも海底資源をめぐって領有権争いが激しくなった。しかし中国外交は、その利益のためにも、次第にその攻撃性を避け、国際ルールによって解決するようになるだろう。

April 18 (Bloomberg)

America’s Banker May Tell Geithner to Go Away

William Pesek

ガイトナー財務長官は、中国から借金してアメリカの富裕層のために減税することは無責任である、と発言した。アメリカは金融緩和を続けるが、中国は外貨準備を増やし続けて3兆ドルに達するだろう。アメリカの金融緩和はアジアのドル購入で支えられている。

FT April 19 2011

Singapore aims to be renminbi hub

By Kevin Brown in Singapore and Robert Cookson in Hong Kong

シンガポールは中国通貨の国際化を担う最初の人民元売買を始める。

FT April 19 2011

iToys won’t fix Asia’s broken growth model

By Chandran Nair

(Chinadaily.com.cn) 2011-04-19

Changing China's growth path

By Michael Spence

中国は中所得国から発展諸国への転換を開始した。かつて中国ほどの規模と多様さを持つ国が、高成長を維持したまま、この移行に成功したことはない。

新興経済の成長は中国に依存している。中国の主要貿易相手は、日本、韓国、インド、ブラジルである。もし中国が減速すれば、その影響はこれらの国に及ぶ。

5カ年計画は、輸出向けの成長を改め、国内需要を重視し、急速な都市化、社会的包摂や機会の平等のための投資や制度整備、そして気候変動など、国際的責任を課題として示している。

「システミック・チェンジ」が必要だ。豊かになるほど計画よりも市場が重要になり、新しい経済構造は市場機会と企業のイニシアティブで誕生する。

輸出向けの労働集約的な産業は、より付加価値の大きな分野に向かうか、あるいは消滅するだろう。名目そして実質為替レートの増価は、こうした構造転換を促す力であり、弱い通貨を維持する政策は間違いだ。

貯蓄手段を増やし、貯蓄をより新しい成長産業に向けて、効率的な資本形成を実現する金融システムが必要だ。それは都市の、付加価値の高い、非貿易サービスの雇用を増やす。政府は農村から都市への移住を制限しているが、それは間違いだ。他の諸国で国内移住が問題となるのは、農村に雇用機会が無いからである。

民間部門が拡大するように、競争や市場への参入・退出、開放度、知的所有権、社会保障制度、などが必要だ。より効果的な教育システムを利用できるようにして、知識や技術の向上に投資するべきだ。

中国の公的部門は莫大なバランス・シートを維持している。土地、インフラ、膨大な外貨準備に加えて、国有企業(SOEs)の株式を保有している。それは純固定資産の半分、企業部門の利潤の3分の1に及ぶ。すべての国で、こうした資産は社会・経済の発展のために利用するよう、市民が保有している。

中国政府が高い成長率を実現しているときは、こうした問題を回避できた。しかし、それが社会的・経済的に十分な成果を上げていると示せない場合、問題が生じる。公的部門やSOEの一部はこの基準を満たせなくなっている。確かに、SOEには社会保障のコストを引き継いでいる面がある。政府予算で維持するとしても、これ以上の拡大は望ましくない。

SOEの投資が成長を減速させるなら、それは再投資されるのではなく、民間部門や家計所得、公共サービス、社会保険に回すべきだ。賃金や所得が上昇し、余剰労働力の供給が終わるなら、需要側の構造変化は、貯蓄をより高い収益の見込める分野に投資することと併せて、供給側の構造変化を実現するのだ。

中国の新しい5カ年計画は、総需要の構造を組み替えて、成長を維持し、減速を回避することに向かうべきだ。それは金融システムを改革し、財政規律、資本市場の規律、企業統治を確立することで効率的に機能するだろう。そして、より高い投資収益で消費を拡大するという、中国の指導者たちが望み、中国経済が必要としている転換が成功する。

WP Wednesday, April 20, 2011

Hold the accolades on China’s ‘green leap forward’

By Bjorn Lomborg

WSJ APRIL 21, 2011

Beijing Chases the Inflation Dragon

By DIANA CHOYLEVA

中国のインフレは食糧価格の上昇によるのではなく、2008-09年の刺激策によるものだ。

WSJ APRIL 21, 2011

Yankee, Leave Home

By JOSEPH STERNBERG


l         北朝鮮

WP Thursday, April 14

North Korea’s six-party trap

By Nicholas Eberstadt

北朝鮮が対話を再開しようとしているが、アメリカ政府はそれが何らかの譲歩をもたらすなどと期待するべきではない。

北朝鮮が考える「朝鮮半島の非核化」とは、「二つの朝鮮国家から核兵器を除去する」ことであり、それは双方の「検証」を求めるものだ。その場合、アメリカの保有する核兵器は除去されねばならず、北朝鮮に対する敵対姿勢によって、それが妨げられているから、日米安保条約の解消や、世界中の核兵器が韓国の防衛に使用されることをも除去しなければならない、と主張する。ウラン濃縮や経済支援に関しても、権力移行過程の北朝鮮が譲歩する可能性はほとんどない。

WP Wednesday, April 20, 2011

When will we stop the genocide in North Korea?

By Robert Park

数百万人のユダヤ人を殺したヨーロッパにおける「ホロコースト」の記憶は、それを二度と繰り返さないという誓いとなった。

しかし今、韓国が戦争を始めるなら「核によるホロコースト」を覚悟しろ、と北朝鮮の金正日は警告する。中東と北アフリカで人々が独裁に対する闘いを続けているが、朝鮮半島にも独裁に苦しむ人々がいる。1995年から97年の飢餓では推定で350万人が死亡した。数十億ドルの援助が送られたが、支配体制が横領したため、飢えている人々を救うことはできなかった。信仰を理由に弾圧され、信者たちは3世代にわたって殺されるか、強制収容所に送られている。

世界は、この人道に対する犯罪を止めるために、今すぐに何でもしなければならない。特に、NGOが与えている支援をすべて止める。救済すべき人々に資源を効果的に与える(外国の親戚などによる)。大規模なデモを呼びかける。

ただちに行動しなければならない。我々は大幅に遅れているのだから。

LAT April 21, 2011

Should we feed North Korea?

By Dorothy Stuehmke

たとえ限界はあっても、援助が届くのを監視する仕組みに合意できれば、北朝鮮に援助を提供するべきだ。


l         ポルトガル救済とユーロ危機

NYT April 14, 2011

An Undemocratic Bailout

辞任したポルトガル政府と決めたEUIMFによる救済融資は、民主的でないし、投資家の信頼も得ていない。

いつでも最大の苦痛を与えるような救済融資の条件を止めるべきだ。政府支出を削り、公務員の給与を引き下げ、公的部門を民営化し、労働法規を改正して大規模に解雇する。融資条件は、その国の成長を破壊して、返済するようになっている。

このような返済計画は歳入を減らすから不可能であり、その上、不正義でもある。ポルトガル国民がユーロ建で100%の債務返済を行うために、限度を超えた継続的な犠牲が強いられる。

新政権は交渉を再開し、正しい条件を要求するべきだ。

guardian.co.uk, Friday 15 April 2011

The likes of Portugal should default on their debt

Nuno Monteiro and Eduardo Sousa

ギリシャ、アイルランド、ポルトガルには、「管理されたデフォルト(a managed sovereign-debt default)」が望ましい。

救済融資の支持者たちは、債務国が政策を調整することで成長を回復し、返済が可能になる、と主張する。それは財政規律を回復させ、ユーロ圏内で政府債のデフォルトを回避することで、危機の波及を阻止できる、と。

しかし、こうした救済融資の利益はいずれも実現していない。債務国は厳しい不況を経験するだけでなく、将来の成長を失い、財政赤字・債務依存は解消されず、債券市場は返済を疑っている。そして債務国の社会不安と政治的危機が深まった結果、ポピュリズムが勢力を伸ばしている。

「管理されたデフォルト」にはメリットがある。それは債務国が一気に成長を回復する条件となる。それゆえ債券市場の信頼も回復するだろう。同時に、ヨーロッパに広がるポピュリズムの流れを抑えられる。

FT April 17 2011

Europe’s long road of tears to fiscal union

By Wolfgang Münchau

メルケルはサルコジとのDeauville会談で、2013年まで債務の組み換えをしない、と有権者に約束した。しかし、ギリシャの債務は返済できないと認めるしかなくなった。先の約束を守るために、ドイツが考えているのは、民間債権者の自発的な譲歩である。

要するに、主要債権者を部屋に集めて新しい返済条件を提示するまで説得するのだ。それは政治的な交渉だ。同じような交渉が2013年にも行われるだろう。

これはユーロ債による財政統一を行わないまま、政治的に統一を実現する長く苦しい過程である。

SPIEGEL ONLINE 04/18/2011

'Is This Your Democracy?'

By Fiona Ehlers, Mathieu von Rohr and Christoph Schult

NYT April 18, 2011

Iceland’s Way

アイスランドの債務処理と、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルの債務処理を比較します。

アイスランド政府は、高金利で預金を集めて危険な融資を増やした無責任な銀行を取り締まることもなく、巨額の債務を残して倒産させました。その債務は余りにも大きいために、債権者に損失を負担させました。国内預金と融資だけは新しい銀行に移し、公的資金で再建しました。この方が、すべての債務を政府が引き継いで倒産を避け、EUIMFが融資するよりも賢明である、というわけです。

もちろんアイスランドも深刻な不況と通貨価値の下落を経験していますが、景気回復は早く、資本市場の信用も回復しつつあります。

FT April 19 2011

Greece must meet its restructuring fate

By Nicholas Economides and Roy Smith

ギリシャの債務は支払不能である。それは市場が認めており、すでに債権銀行の株価は低下している。しかし、ECBのトリシェ総裁などは債務の組み換えを議論しようとしない。銀行危機への波及が怖いからだ。

銀行の資本増強はいずれにせよ必要である。また、ギリシャ経済の回復は緊急に必要だ。その意味で、債務組み換えを遅らせるメリットは何もない。

1990年代、アメリカの銀行は数年に及ぶ不良債権を処理した。ラテンアメリカなどの18の国が債務を「ブレディー債」と交換した。それは30年アメリカ国債で保証されていた。ヨーロッパも同じことができるはずだ。

WSJ APRIL 20, 2011

None Dare Call It Default

ギリシャをデフォルトにしてはならない。デフォルトの交渉はただちに市場における資本逃避を開始させるだろう。リーマン・ショックが再来する。それは債務組み換えを否定するのではなく、その手続きをあらかじめ説明し、誰が債権者として損失を被るのか情報開示することで回避できる。

FT April 20 2011

Europe must use borrowed time well


l         G20BRICs

FT April 14 2011

Struggle to keep G20 train on the tracks

By Chris Giles

G20による成長の回復作業は、巨大な列車事故をスローモーションで見ているようなものだ。2009年のピッツバーグ・サミットでとなえられた「国際経済協力の最重要フォーラム」となる希望は消えた。むしろ、G20は難破したドーハ・ラウンドに似てきた。

パリのG20蔵相サミットでも、画期的な国際通貨制度改革をめざしたが、不均衡を判定するための指標さえ合意できなかった。そのもっとも重要な二つ、経常収支と外貨準備、について中国の反対があり、見送られた。

たとえIMFが甘言を尽くしても、主要国が経済分析や政策効果について合意できなければ何も決まらない。アメリカは中国が対外黒字を貯め過ぎていると批判し、中国はアメリカがインフレを輸出していると批判する。ドルは準備通貨にふさわしくない、というわけだ。

「なぜこんなサーカスを我慢しているのか?」 その答えは、1.代表として自分たちがふさわしいから、2.会合の目的がふさわしいから、3.他の会合よりましだから。

共同声明の最善の成果は、G20が続く、ということだろう。脱線事故よりも、外交と交渉が続くことは望ましい。また欧米諸国は、回を重ねることで、新興諸国の理解が近寄ってくることを期待している。特に中国は、輸出に利益を持つ集団の政策は必ずしも国民の利益に一致しない、と考えるだろう。

G20列車は次の駅に向かった。問題は、目的地を過ぎてしまうかもしれないことだ。

 (China Daily) 2011-04-15

New reserve system priority for G20

By Zheng Xinli

「最優先事項は、複数通貨による国際通貨制度の確立、国際準備通貨の監視と早期警戒システム、国際金融リスクの緩和メカニズム、である。」

中国の専門家による包括的な問題提起です。

 (China Daily) 2011-04-15

BRICS expectations

FT April 15 2011

Brics: summit vision

G20後に会合が開かれて、パクス・アメリカーナに代わる世界秩序をBRICsが求めています。

「新興勢力は、ローマ帝国が崩壊したときの蛮族よりも有利な位置にある。経済成長の遺産、「普遍的に認められた国際法」という価値ある遺産を利用できる。協力を強く求める点で、これらの発展途上諸国は攻撃的でありすぎることが利益をもたらさないと承知している。」

要求することは、修復や再建よりもたやすい。

FT April 18 2011

Perils and pain of ever-rising prices

By Stephen King

「経済力が西から東に移行している時代には、商品価格の上昇は世界経済の新しい特徴として避けられない。それに慣れるしかない。」

中国やインドはまだ非常に貧しく、成長には多くの資源が必要で、インフラの整備もこれからだ。人々がダイエットを気にするのはずっと先のことだ。

高価格は供給を刺激するが、土地や生態系の限界は超えられない。しかも、中国やインドでは生産性が急速に上昇し、それは消費を増やすだろう。人民元やルピーの価値も高まる。

かつてヨーロッパの大国は、この問題を植民や奴隷によって解決した。現在、そのような選択肢はないから、中国やインドには何かが必要だ。中国は資源の豊富な国(たとえばイラン)との二国間外交を強化している。あるいは、国内では補助金や価格統制を多用するかもしれない。インフレが激しくなった近年では、中国政府が消費品目を制限し、人民元の増価を速めている。しかし、そのような手段は他者にコストを転嫁するだけだ。

高価格は続くだろう。我々は過去の公的債務のせいだけでなく、高コストによる緊縮を必要としている。新興経済との貿易を活発に行って、彼らに高水準の財やサービスを供給することだ。

西側にとって、より大きなコストは避けられない。しかし、これはゼロサム・ゲームではない。新しい現実に正しく対応しなければ、20世紀前半の失敗を繰り返す。

FP APRIL 19, 2011

Emerging Hangover

BY KATI SUOMINEN

急速な工業化、都市化を進める新興市場の成長が世界貿易を通じて世界経済を急速に拡大する、という"Super-Cycle”説が流行し、ダヴォスの世界経済会議でも新興諸国の強気が目立つ。アメリカなどの経済停滞に比べて、新興市場がデカップリングして世界景気が回復することを期待する話もあった。

しかし、新興市場の消費規模は小さく、アメリカ市場に代わるものではない。新興市場が成長を維持したのはデカップリングを示すものではなく、「ワシントン・コンセンサス」に求められた健全な経済運営を実現したからであり、豊富な外貨準備を持っていたからだ。ポピュリストの政治家ではなく、よりプラグマティックな指導者が登場している。

新興市場の成長には不確実な要素も多い。経済は過熱し、インフレ圧力が生じている。政府は通貨の増価を妨げ、資本規制や為替操作を繰り返し、本来の財政・金融政策による引き締めを行わない。BRICsの経済制度は十分でない。インドは汚職で政権が動揺し、中国政府は所有権を無視している。急激な都市化や所得格差は社会の安定性を破壊する。世界で20億人が新しい中産階級になるが、特に中国や中東では政治的自由を求める激しい圧力が生じるだろう。

それゆえ世界経済の将来はアメリカ経済の成長回復にかかっている。アメリカが財政赤字や新しい規制、増大する社会給付によって成長を低下させるなら、世界経済は対立を深め、沈滞する。財政を均衡化し、内外で貿易障壁を撤廃し、高成長企業に減税し、技術革新やベンチャー資本家を支援するべきだ。

また、グローバルな対立や不均衡、資本規制、保護主義、などを克服するうえでグローバル・ガバナンスは重要だ。この点でもアメリカの作った制度、IMFG20WTOなどがあるだけで、加盟国の増大と政治目標の分散化が機能を妨げている。

新興諸国はただ乗りを好み、ヨーロッパや日本が指導力を発揮できない以上、アメリカが指導的な役割を担うしかない。

 (China Daily) 2011-04-21

Emerging economies contributing more

世界経済の発展を指導する中国の積極的な意見表明です。


l         日本の危機と復興

WP Friday, April 15, 2011

Japan’s road to recovery and rebirth

By Naoto Kan

日本は歴史的な災害に遭った。130カ国以上、40近い国際機関、無数のNGOsと個人が、世界中から支援と励ましが届いた。心から感謝したい。特に、アメリカのオバマ大統領は即座に全面的な支援を約束してくれた。

福島第一原発事故について心からお詫びしたい。状況の制御に全力を尽くしている。原因を究明し、情報を開示することで、この事故の経験を世界の原子力エネルギー政策に役立ててほしい。

困難な時期が「日本再生」の機会であることを示したい。そして世界から得た支援の絆を大切にして、国際社会に貢献できる国でありたい。

WSJ APRIL 19, 2011

Let Tepco Go Bankrupt, If It Must

By TAKEO HOSHI, ANIL K KASHYAP AND ULRIKE SCHAEDE

事故による損失や補償で巨額の債務を負う東京電力Tepcoを、政府の保証で生き残らせることは間違いだ。この仕組みは1990年代の銀行救済と同じ発想で行われたようだが、電力会社と銀行は全く異なる。銀行の破綻が及ぼすような影響を電力会社はおよぼさない。それどころか、同じような救済の仕組みは「モラル・ハザード」の危険を冒す。

アメリカでEnronが倒産したように、東京電力も倒産させるべきだ。

FT April 19 2011

Chernobyl’s guide to tyranny

By Tony Barber

独裁政治は民衆の安全を重視しない。

April 21 (Bloomberg)

Debt at 200% of GDP Dares S&P Amid Succession

William Pesek

菅直人は死人だ。日本の指導者は、市場にも、国際政治にも、覚えられる前に辞めてしまう。サミットで友人を作る間もない。

菅は国債を減らすと言って市場に好感をもたれたが、今では日本経済も福島第一のように暗い。弱い指導者は何もかも引き受ける。そして資源を無駄にして、失敗する。

FT April 20 2011

Japan: More than a moment

By Mure Dickie

日本は、第二次世界大戦の破壊から立ち直ったように、3・11ショックによって社会や政治を変えるのか? そのような議論は実現しそうにない。

一つは、日本が漸くデフレから離脱できるかもしれない、という期待だった。デフレが生産能力の過剰を意味するなら、震災はそれを破壊した。需要の不足という面では、インフラや住宅などの債券がそれを追加する。日銀の政策に関しても、この機会に民主党との連携が生まれる、という話題があった。

たとえ国内貯蓄があるとしても、震災はその限界を引き寄せたはずだ。震災が与えた菅首相の指導力回復という可能性は、原発事故の処理ですでに失われてしまった。日本政治の失敗は、政党の再編成に向かうか、あるいは、ポピュリズムやナショナリズムに向かう、と議論されている。

FT April 20 2011

Thrift lessons from Japan’s cherry tree wars

By David Pilling


FP Friday, April 15, 2011

How to sell a trade deal in the post-crash era

Posted By Clyde Prestowitz

TPPは、単なるFTAではなく、アメリカがアジアに関与し続けることを保証し、ヨーロッパにおけるEUのように発展することを目指している。しかし、オバマはアメリカ国内を説得できるだろうか?

三つのテーマで説得するべきだろう。通貨への操作を止めさせる。金融分野の取引を増やす。競争促進(独占や政府補助の排除)政策を推進する。

FP APRIL 18, 2011

A Bad Trade

BY TODD TUCKER

アメリカの雇用を増やす。

FP APRIL 18, 2011

America's Free Trade Moment

BY ORRIN HATCH

世界の貿易システムを決定する力を保持する。

WP Monday, April 18

Trade deals require involvement from Obama and other heads of state

By Daniel M. Price


FT April 17 2011

Iran will not hinder plans for a nuclear-free world

By Tom Donilon

NYT April 20, 2011

Time for Plan B


l         真のフィンランド人

SPIEGEL ONLINE 04/18/2011

Election Success for the True Finns

フィンランドの選挙で極右の「真のフィンランド人(True Finns)」が投票の19%を獲得した。ユーロ圏を否定する政党であり、ポルトガルへの救済融資に反対していた。以前は同性愛や外国人、イスラム教徒に反対していたが、今ではユーロ圏にも反対する。

FT April 18 2011

Frustrated Finland

WSJ APRIL 19, 2011

The Price of the Euro in Finland

By MATS PERSSON

guardian.co.uk, Thursday 21 April 2011

The True Finns followed a well-known recipe for success

Jon Worth

これはスカンディナビア諸国に広がっているポピュリスト政党の一つである。ノルウェイでは2009年、Progress party (Fremskrittspartiet)22%の支持を得て第二党になっていた。

北欧諸国は、開放的な、外向きの成功した諸国である。しかし内部では、移民の増加に圧力を感じる人が増えていた。EUに対しては、ノルウェイ人の生活スタイルが破壊されるという不満もあった。彼らの主張は、左右の対立軸に位置づけられない。

すべての北欧ポピュリストが福祉国家を支持している。同時に彼らは移民に反対する。移民が入る条件や数を自分たちで決める、と主張する。それはEUのシェンゲン協定やジュネーブ協約に違反する。ドイツ、オランダ、フランス、ハンガリー、イタリア、イギリスでも、新しい右派政党が同様の主張を行っている。

彼らへの支持拡大は、既存政治システムの伝統的政党に対する不満が強いこと、移民という分かりやすい敵を利用すること、に原因があるだろう。それゆえ、政治家たちはポピュリストのレトリックに反発する、あるいは、同調するだけでなく、将来に向けた積極的な政治・社会モデルを示さなければならない。


The Guardian, Tuesday 19 April 2011

Nigeria: Zoned out

FT April 19 2011

Goodluck’s victory


FT April 19 2011

Leading the Fund

guardian.co.uk, Wednesday 20 April 2011

To make the IMF relevant will take more than a new leader

Jayati Ghosh

イギリスの元首相、ゴードン・ブラウンがIMF専務理事の候補に挙げられている。もし現在のストラス・カーン専務理事がフランス大統領選挙に立候補するため辞任すれば、伝統に従い、ヨーロッパが次の候補者を出すだろう。彼は世界金融危機に際して優れたイニシアティブを発揮した。

現首相のデイヴィッド・キャメロンは、ブラウンをイギリス財政破綻の張本人と批判してきた。しかしブラウンなら、IMF改革に政治的指導力を発揮して、アジア通貨危機などで失った新興諸国からの信頼を回復することができるかもしれない。


WSJ APRIL 20, 2011

Polling Singapore

57日の投票において主要なテーマは経済である。この3カ月間の成長率が23.5%に達し、さまざまな予測でも年成長率は4~6%であり、失業率は2%以下のシンガポールに、どんな経済問題があるのか?

2010年、所得の中間値は4.2%上昇したが、インフレを除けば1.8%であった。その数字も所得の下層では実感できない。特に、移民政策が論争になる。政府は過去10年間、労働者の流入を許してきた。外国人労働者は、今や、520万の人口の25%を占める。シンガポール人たちは賃金や公共サービスに対する影響を懸念する。

反対派は移民政策をPAPthe People's Action Party)批判のテーマにしている。そして、最低賃金や公共住宅を約束する。また、開発モデルとして政府の産業振興策や政府系投資信託に対する批判がある。それは未来にも有効なのか? 開発国家にも政治論争が必要になっている。


SPIEGEL ONLINE 04/20/2011

Greenpeace Attacks Donor Conference

'How Many Chernobyls Can the World Afford?'

Tobias Münchmeyer of Greenpeace

キエフで開かれたチェルノブイリ原発の第二次封鎖施設(石棺)に関する資金援助と建設計画を、ドイツ・グリーンピースが批判します。


WSJ APRIL 21, 2011

It's Time to Re-Align India

By SADANAND DHUME

******************************

The Economist April 9th 2011

70 or bust!

The Republican budget: Praising Congressman Ryan

Portugal: The third bail-out

Russia’s unruly north Caucasus: Islam inflamed

(コメント) 年金をどうするのか? 次の選挙を気にする政治家には、解決不可能な問題です。しかし、放置した揚げ句、財政破綻が迫ってから、漸く改革を議論し始めます。アメリカも、ポルトガルも、日本も。金融危機と財政破綻が重なってしまいました。日本は、震災と原発事故も。

チェルノブイリと同じレベルに評価されても、日本がロシアのコーカサス地方と同じほど政治的混乱やテロと似通ってきたわけではありません。しかし、イスラム原理主義に似ていなくもない、減税や、国家の威信、政争だけが重要な政治党派が関心を集める土壌は確実に広がるでしょう。

政治家と政治論争、メディアの国民に向けるメッセージが重要です。

******************************

The Economist April 9th 2011

Regional integration in Latin America: The Pacific players go to market

Libya’s fledging government: Early days, early rivalries

Nigeria’s elections: They may even be democratic

Muslims in France: On a mat and a prayer

Charlemagne: Choosing new friends

High-tech warfare: Something wrong with our *** chips today

Greece’s economic woes: The labours of austerity

The Federal Reserve: Off message

Economics focus: The Reformation

(コメント) アラブ世界では独裁と民主制との闘い、新政権に向けた政治闘争が重要ですが、それを克服したラテンアメリカ諸国は一層の市場統合と繁栄を目指します。ナイジェリアの大統領が選択した選挙制度の改革が国民の信頼を高めたことは立派だと思います。

フランスのイスラム教徒たちが路上に小さなじゅうたんを敷いて礼拝を繰り返すことは、極右政党の話題にぴったりです。与党は論争を加速するかもしれません。しかし、地方政府はもっと柔軟な解決策を模索します。

EUが拡大戦略から近隣政策へと関心を移すことは、東方においても、南方においても、「非公式の拡大」(あるいは、やわらかい帝国)を目指すものです。移民やテロを増やさないためにも、隣人たちが安定した政治秩序の下で繁栄を共有してくれることが望ましいわけです。あるいは、空爆よりもハイテク戦争でしょうか。戦争に備えて半導体チップスを監視しなければならない時代です。

ギリシャもアメリカも、財政破綻という点では同じです。それを秩序正しく解決に導くには、政治論争だけでなく、金融の管理技術が必要です。アメリカ連銀は金融引き締めをめぐって論争し、IMFは資本規制をめぐって論争します。

******************************

IPEの想像力 4/25/11

前略 菅直人総理

被災者の窮状に胸が痛みます。震災と原発事故は、政府にとって、性格が異なる二重の困難となっています。大きなプレッシャーの下で、眠れぬ日々を過ごしておられることでしょう。

政権交代の成果を示すために、民主党が最初に取り組んだ子供手当、高速道路無料化、年金問題の解決、事業仕分け、などでは国民の支持を十分に高められなかったと思います。マニフェストというものが、むしろ政治のダイナミズムを制約した点は反省しなければなりません。

民主党政権の戦略としては、こうした国内改革の成果を前提に、デフレ、財政破綻、中国との関係改善、普天間基地、環太平洋経済連携協定、などで、日本の政治・経済システムや安全保障という政治の根本を問い直す作業にも向かうはずでした。しかし、迷走と内紛、アメリカや中国との衝突で、新しい政府への信頼を大幅に損ないました。

国債の格付けが下げられたとき、その反応を見て、菅政権が終わったと感じた投資家もいたでしょう。小沢、前原と、政治献金が野党に糾弾される中では、重要課題を動かす政治力など期待できません。

その政治風景は、311日を境に、変貌しました。被災地域の人々を助けたい、と願う国民の強い思いを、政府は集約する使命を得たのです。

しかし、菅総理が指導力を回復するチャンスは、すでに失われたかもしれません。すっかり遅くなってから被災地を回って、今頃、何しに来た、黙って通るだけか、と不満をぶつけられる総理の姿に、以前、おばさんにやりこめられた上、車の中で悪態をついたことがマイクから漏れて、大いに信用を失ったイギリスのブラウン首相を思い出しました。

政治家が、その言葉や態度で人を動かし、力を合わせて課題に立ち向かう指導者としての勇気や献身を国民に示すことは重要です。また、将来に関する優れたビジョンを、雄弁に、あるいは才気に富んだ言葉で示す、即応能力を持たねばならないのも当然です。

総理が政治の前面から姿を消したのは、一つの選択であったかもしれません。危機管理を理由に権力をふるうことは政治家の欲望です。「これは戦争だ」と国民に指導力を示したブッシュ大統領が、その後、高い支持を得て実行したことは、あなたの反省材料になったはずです。

日本の政治指導者として、菅総理に望むのは、今すぐ、優れたスピーチライターを雇うことです。公式の記者会見では、枝野官房長官が総理の分身として活躍しています。しかし、それが総理の分身であると理解されるのは、総理自身が重要な政治課題や方針を国民に語りかけるからでしょう。被災者たちが不満を感じたのは、あなたと政治感覚を共有できないからです。

若いスピーチライターと一緒に、現場へ何度も足を運んでください。あなたが国民の声を聴き、彼らと感覚を共有して、その真実を代弁しなければなりません。国民が一つの言葉として語られる真実に耳を傾けるとき、政治の復興もかなうのです。

会議が多過ぎる、指導力がないから辞任しろ、原発事故への対応が悪い、といった野党やメディアの批判に委縮することは間違いです。

何よりも、菅総理がトップにいることで、民主党の若手政治家は育ったと思います。多くの、有能で、清新な政治家が責任ある地位を得て、この国を動かす機会は、かつて見られなかった水準を示しています。彼らと一つのチームを組んで、日本を指導してください。

被災者や国民、政府のチームと交わす言葉や、苦しむ姿勢を通じて、あなたは国民の政治意識を形成し、高めるのです。総理自身が、国民にとっての正しい方向を示すために、時間をかけて、深く考えてください。金融崩壊や戦争といった国難に直面して、政治指導者は国民に向けて重要課題を直接語りかける形式を採りました。FD・ルーズベルトが炉辺談話を行ったように、日本人の政治対話にふさわしい形式を見出すべきです。

厳しい難局が続くことに、あなたの政治的意志が屈するなら、退陣することです。しかしもう一度、あなたの素晴らしいチームを信頼して、国民を指導する使命を確認してはどうでしょうか。ゴードン・ブラウンでもなく、ジョージ・W・ブッシュでもない、自民党長期政権とは異なる、新しい指導者のスタイルを確立するチャンスです。

草々

******************************