IPEの果樹園2011

今週のReview

3/28-4/2

 

*****************************

IPEの想像力 3/28/11

Noos Now? ・・・何だ、これは。と思ったら、Monsoonでした。読もうと思って平積みにした本の山にあったのです。

国際経済学会の研究会で、報告者にコメントしてきました。学会はますます数理経済学の報告が中心となり、ときおり、歴史・制度・地域研究が報告されるようです。

確かに、国際政治経済学の主要な研究者は、政治学が多く、社会学や歴史がそれに続くように思います。国際経済学も含まれるのですが、数理経済学はほとんどありません。数学で示された均衡モデルの様々な条件で、政策やショックの効果を判定するなら、その解釈が必要です。ある条件のもとで特別な効果と予想外の結果を示すことはあるでしょう。それが、何か現実に起きていることと結び付けて、新しい解釈を生むこともあると思います。

移民のモデルを知っても、バブルの判定を知っても、欧米の移民論争や反移民を掲げる民族集団,金融危機に至る政策対立や政権崩壊の意味を議論してほしいです。

リビアへの制裁について安保理決議がなされたように、日本は福島原発事故を世界に公開し、安保理を開催するのがよいでしょう。そして,情報の開示や対策マニュアル,相互支援や協議体制を,日本なら積極的に提案し,合意しておくのです.将来,韓国や北朝鮮、中国で原発事故が起きたとき、その影響は日本に及びます。IAEAあるいは安保理が開催されることで,国家間の感情的な対立を回避できると思います。

リビアの軍事介入でヨーロッパが外交だけでなく安全保障においても、互いの意見統一や、軍事介入の指揮と、それにともなうコストを引き受けることは、重要な「学習過程」だ、とアメリカ政府は考えるようです。アジア諸国はどうでしょうか? アジアにおける大国間の協調や合意を促すシステムが,人権や災害をめぐっても準備されていなければなりません.中国やインドと,日本をつなぐNGOsやビジネス分野の交流が,今後,拡大するはずです.

何だ,これは? ・・・世界にはさまざまな転換が,さまざまな思想とともに,現れています.

******************************

国際通貨制度の再発見 ・・・リベラル・ネオコンか,マルチラテラリズムの成熟か? ・・・福島原子力発電所の世紀末的な不安 ・・・東北大震災の後に来るもの ・・・サウジアラビア,エジプト,アメリカ ・・・ユーロ圏の政治対立 ・・・中国の政策と世界 ・・・ラテンアメリカ民主化の教訓

******************************

主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, The Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


l         国際通貨制度の再発見

FP MARCH 14, 2011

Bring Back Bretton Woods

BY BIAGIO BOSSONE

国際通貨制度の改革は、その重要な基礎です。危機後の国際収支不均衡を調整するため、IMFを強化するさまざまな改革が提案されました。

赤字国と黒字国に均等な調整コストを求め、そのための調整メカニズムと、調整を監視する権限を行使できる改革を行います。また、IMFは意思決定を強化し、SDRを国際通貨として使用させて、融資し、為替レートの安定化する水準や幅を決めます。

FP MARCH 14, 2011

The Trouble With the BRICs

BY JORGE G. CASTAÑEDA

FP MARCH 14, 2011

Let Us In

BY CELSO AMORIM

BRICsが経済的な重要性を増して、政治的にも発言力を強めるというのは、どのような国際システムをもたらすのか? 一つは、地域的な影響力を相互に承認し合うことではないか? 世界市場システムの維持と安定化を、極端なグローバル規制や制度化を避けて維持したい、と思うのではないか?

CASTAÑEDAは、こうした地域的大国が安定的な支配の条件にならないことを示そうとする。リベラルな、民主的な政治秩序が世界的に支持される、という前提が失われる。その結果、グローバルな共通の価値や規範によって実効性を得てきた国際的なルールや制度の力も失われるだろう。

つまり、欧米からも、BRICなどの新興勢力からも、工業力や軍事力に変わる秩序の基礎を見出すための協調的な努力が求められるのだ。彼ら自身が変わり、国際的な価値や規範が変わる。アラブの春がそうであり、各地域における軍事介入や地域貿易協定がそうである。

guardian.co.uk, Tuesday 15 March 2011

Guess which policy your central bank will pursue

Dean Baker

IMFの目指す金融政策の目標は、主要国のコンセンサスに近いだろう。世界金融危機後の調整コストは、だれが支払うのか? アイルランド、ギリシャ、ポルトガル、スペインなどのように、失業によって労働者が負担するのか? あるいはアメリカのように、調整のために高いインフレ目標を認めて、インフレ(やドル安)によって銀行(そして黒字国の労働者)が負担するのか?

FT March 15 2011

Remove the risk incentive from bankers’ pay

By Jennifer Carpenter and Ingo Walter


l         リベラル・ネオコンか,マルチラテラリズムの成熟か?

FP MARCH 16, 2011

Libya Is a Problem from Hell

BY JAMIE M. FLY

軍事介入に反対する意見は多くある。ほかにもっと深刻なケースがある。介入の十分な理由がない。正確なことがわからない。知る方法がない。戦争の一部である。必然的に介入は拡大し、長期化する。

ペンタゴンの消極姿勢をブッシュ政権に伝えるため、パウエル・ドクトリンはできた。「圧倒的な軍事的優位、国際的な支持、出口戦略」がなければ介入できない。

しかし、アメリカは知識・情報がないから介入しないのではなく、介入する意志がないのである。ジェノサイドは間違いだと言い、介入する資金力、外交力、軍事力もあるが、国内政治基盤を破壊することを恐れている。カダフィは反政府派を軍事的に掃討する意志を示している。住宅を一軒ずつ回って反対派を殺戮する。もしカダフィが権力を維持できたなら、世界中の独裁者に教訓を示すことになる。徹底的に軍事力を行使して権力を維持しても、アメリカは介入しない。

亡くなったRichard Holbrookeは、ボスニアの虐殺を止めることに奔走した。そのために、外からの介入は不可欠であった。道義的な権威を得るには、単に良心に訴え、他者に行動を求めるだけでは成功しない。平和を損なう挑戦者に、自ら対抗しなければならない。

guardian.co.uk, Thursday 17 March 2011

The fatally flawed logic of a no-fly zone

Michael Williams

SPIEGEL ONLINE 03/17/2011

Courting Russia, China and India

Gadhafi Seeks to Split World Community

By Benjamin Bidder in Moscow

ベンガジの奪回を目指すカダフィは、安保理でロシア化中毒の支持を得て、時間を稼ぐことを考えた。数日前には警護隊が西側メディアを殴りつけたが、今度はロシアの国営テレビ局が代表となって、西側メディアもインタビューに招待した。

カダフィは血の報復を進めており、時間が必要だ。ロシアがチェチェンで直面し、NATOがアフガニスタンで経験しているのと同じ、武装した部族の抵抗戦争を進める、と脅した。さらに戦略的な観点から、安保理決議でリビアの石油とビジネスの利益を失うぞ、と呼び掛けた。西側のことなど捨てておけ、とロシアのテレビ局に語った。ロシア、中国、インドの企業と取引したい。同じメッセージをドイツにも伝えている。

アメリカは市民を守るために飛行禁止空域を求めた。クリントン国務長官は、他の行動も含めて、国際社会の支持が要る、と強調した。フランスはアラブ諸国にも参加を期待できる、と伝えている。他方、ドイツの外相は独裁者の退陣を求めたが、飛行禁止空域の設定を疑っている。常任理事国ではない(拒否権は無い)が、ドイツ政府がアフガンのような軍事介入に反対であるのは明白だ。

中国とロシアは拒否権を持っており、アラブ諸国の政治不安には介入すべきでないと主張している。特にロシアにとって、カダフィは重要な武器の購入者であり、天然ガスはガスプロムが独占的に扱い、リビアの軍事システム、鉄道システムもロシアが構築した。リビアへの武器禁輸決議でさえ、ロシアは長い検討時間を要した。

ロシアの国連大使は飛行禁止空域の投票を延期させるために仲裁を申し出た。ロシアはアラブ諸国との協力を主張し、外国からの地上軍の派遣は戦争を意味する、と反対している。

NYT March 17, 2011

Be Ruthless or Stay Out

By ROGER COHEN

FT March 17 2011

US and its allies are too late to help Libya

By Max Hastings

LAT March 18, 2011

No-fly zone: Putting a leash on Kadafi

By David Scheffer

FP Friday, March 18, 2011

What does the U.N.'s decision mean for Libya? For the rest of the world?

By Stephen M. Walt

独裁者が大量殺戮で恐怖を広めようとするのは驚くことではない。独裁者の追放を掲げて戦争するのと、市民の大量虐殺に目をつむることとは違う。

しかし、4つの問題を考えるべきだ。

1.これはヨーロッパの軍事行動である。アメリカよりも、ヨーロッパの戦略的な利益がかかっている。これはヨーロッパが道徳的な立場を示して、その軍事的負担はアメリカが引き受けるよう求めることを止める良い機会だ。アラブの軍隊が参加することは望ましい。欧米の植民地的な介入と見えることは、絶対に避けたい。

2.最良のシナリオは、軍事介入でカダフィの軍隊が兵士の離脱によって崩壊することだ。反政府勢力は参加者が増え、カダフィが失脚する。しかし、1999年にオルブライト国務長官がミロシェビッチをコソボ戦争から退却させるために空爆を開始したとき、数日で成功すると期待した。実際は数週間続き、しかも主要な支援者であるロシアが手を引いたためにミロシェビッチは停戦に応じた。問題は、カダフィがそれ以上に多くの魅力的なオプションを持っていることだ。さらに、空爆は簡単な作業ではない。カダフィ軍は空爆に備えて分散し、偽装されている。飛行場や軍事基地、管制塔などを破壊できるが、それでも、装備の少ない、軍連されていない反政府勢力が地上の戦闘で勝つかどうか、分からない。また、ベオグラードの中国大使館のように、空爆には誤爆が伴う。特殊部隊を送ることもリスクは大きい。カダフィ軍は次第に人口密集地に入り、殺戮を続ける。これは、イラク戦争の初期や、アフガニスタンのタリバン掃討とは、まったく違う条件だ。

3.介入しない場合の「機会費用」を考えるべきだ。アメリカがもし今、長期の失敗した占領や、イラク、アフガニスタンでの戦闘に巻き込まれていなかったとしたらどうだろうか? リビアへの介入が予想以上に困難で、長期化し、他の所(北朝鮮、南シナ海、スーダン、アフリカの角、メキシコ、ほか)でも深刻な事件が起きたとしたら、アメリカには何ができるか? 他方、カダフィの軍事的制圧が成功すれば、世界の他の独裁者たちが何を考えるか? 軍事介入が成功し、アメリカの関与と国際的な支持が強まることを願う。

4.介入を認める決議の後、カダフィはただちに停戦を宣言した。西側諸国は具体的な行動がないとして、停戦を信用しなかった。しかし、このことはカダフィが全土を失うことなく、リビアが分割される可能性を示す。それは西側諸国に、内部分裂し、長期の独裁的支配と制裁で損なわれた、イスラム教国家を、長期に占領する任務が残ることを意味する。

guardian.co.uk, Friday 18 March 2011

Relief will fade as we see the real impact of intervention in Libya

Abdel al-Bari Atwan

FT March 18 2011

And so to chapter two of the great Arab awakening

By David Gardner

SPIEGEL ONLINE 03/18/2011

Security Council Abstention

Germany Hesitates as UN Authorizes Action against Libya

FP MARCH 18, 2011

Does the World Belong in Libya's War?

国連安保理決議1973は、21世紀の最初の人道主義的な国際介入となった。民主主義を守るという言葉が空虚なものではないことを示したい、とオバマは願った。しかし、批判もある。決議は遅すぎた。あるいは、外国軍に支援された反政府勢力を攻撃することが政府軍の大義になる。など。

Yes. By Roméo Dallaire with Jeffrey Bernstein

Not Until We Know What - By Micah Zenko

Not to Own It - By Robert D. Kaplan

オバマの決断は良かった。私は軍事介入に対して懐疑的である。アメリカだけが困難な戦後構築を担うことは避けるべきだった。

最初の展開はこれで良かった。英仏が空爆の先頭を切り、アラブ連盟と国連が支持しただけでなく、エジプト陸軍も東から反乱軍に補給した。ネオコンとリベラルな国際主義者がオバマの遅い行動を批判したが、これは保険なのだ。オバマは、臆病なのではなく、ずるいのだ。介入の結果は疑わしいから、アラブ連盟やEUに政治的な負担を委ねる。1,2週間前なら、アメリカの介入になっただろう。

外国における軍事関与と国内の財政引き締めを進めているアメリカのグランド・ストラテジーとは、有志連合と民主主義諸国の分担である。オバマ政権のスタッフたちはパキスタンやアフガニスタンにおける関与を忘れていない。アメリカにとって重要なことは、虐殺を防げないという道義の退廃を避けることであって、リビアの占領ではない。

Obama's Defining Moment - By Shadi Hamid

The Security Council Has Its Duty - By Kenneth Roth

Benghazi - By Robert Pape

Hard Work Ahead - By Anne-Marie Slaughter

アメリカが、エジプト軍に市民への軍事力の行使をやめるよう説得したのだ。リビアでも、アメリカは介入を支持する。

アメリカの立場を強化し、国際秩序を強化し、中東における様々な国との関係を同じ視点で評価し、カダフィ政権との交渉にも触れ、反政府勢力の強化を準備し、中国やロシア、ブラジル、インド、ドイツなど、主要国の立場も、すべてが反映される。国際政治において秩序を可能にするものとして、飛行禁止空域をふくむ軍事力の行使をめぐる安保理とアメリカの行動が、決議として集約される。

FP MARCH 18, 2011

Libya Is Too Big to Fail

BY JASON PACK

SPIEGEL ONLINE 03/19/2011

Taking on Gadhafi

Obama Finally Has His Own War

By Marc Pitzke in New York

guardian.co.uk, Sunday 20 March 2011

Yugoslavia, Iraq, Libya: beware the lies of March

Neil Clark

イギリス人にとって、軍事介入には複雑な政治的解釈が伴うでしょう。サッチャーはフォールランド紛争によって権力を固め、ブレアはイラク侵攻で権力と名誉を失いました。

ユーゴスラビア内戦に空爆したのも、イラク戦争を始めたのも、今回のリビア空爆と同じ3月でした。リビアへの軍事介入は正しいのか? 中東において、新しい泥沼を作るのか?

The Observer, Sunday 20 March 2011

Now Libyans can finish their revolution

FT March 20 2011

Drawn-out campaign risks damping down Arab spring

By Roula Khalaf in London

NYT March 20, 2011

A Very Liberal Intervention

By ROSS DOUTHAT

オバマ政権はリベラルの戦争を実行した。これは、ブッシュ政権のユニラテラルな戦争ではなく、90年代のクリントン政権が示したマルチラテラルな戦争である。

この戦争の利点は、責任と負担を分割し、反米主義を緩和し、ヨーロッパの大国に国際秩序を担う行動に向かわせることだ。しかし、不利な点もある。合意形成は難しく、時間がかかり、常に及び腰である。それは90年代のアメリカ外交を苦しめた。

リビアへの軍事力行使でも、その目的について合意がない。しかも、リベラルな戦争はできるだけ道義的な戦闘を望む。戦争において徳を求めることは、非常に難しい。

FT March 21 2011

Hotheads, fainthearts and Gaddafi

By Gideon Rachman

LAT March 21, 2011

Libya: It's not our fight

By Edward N. Luttwak

FP Monday, March 21, 2011

What intervention in Libya tells us about the neocon-liberal alliance

By Stephen M. Walt

WP Monday, March 21

On Libya, Obama should stay quiet

By Anne Applebaum

なぜオバマが介入にこれほど慎重であったのか? その理由は分からない。戦争は二つで十分だ、と思ったのか? そうではないだろう。むしろ、オバマの決定の遅れは戦術的なものだ。

カダフィをヒトラーにたとえ、メディアが興奮を高めるにつれて、オバマも西側諸国も行動を制約される。空爆が始まったら、それに疑問を示すことは手遅れだ。オバマが沈黙を守ることで、民主主義が守られ、戦争にも勝てる。

WP Monday, March 21

Is it America’s duty to intervene wherever regime change is needed?

By George F. Will

WP Monday, March 21

In the Mideast, U.S. policy is still driven by realism

By Eugene Robinson

NYT March 21, 2011

At War in Libya

NYT March 21, 2011

Planning for a Post-Qaddafi Libya

By MAX BOOT

私の願いがかなって、カダフィの反撃を抑える飛行禁止空域はできた。その結果、私は事態の悪化を心配するようになった。

地上におけるカダフィ軍の殺戮は空爆だけで止められない。しかし、オバマは地上軍の派遣を否定している。カダフィは権力を維持するかもしれない。

たとえカダフィが退陣しても、問題は終わらない。イスラム過激派が勢力を広げ、石油をめぐる部族間の内戦になるかもしれない。カダフィ後の政権構想を立てねばならない。

WP Monday, March 21

Obama is dragged into doing the right thing on Libya

By Michael Gerson

YaleGlobal , 21 March 2011

Libya: When Bombs Fall and Allies Fall Apart

Dilip Hiro

国連決議をめぐって各国間で意見が異なっている。大統領選挙で、候補であったオバマは、世界の警察官の役割を、アメリカが自分で勝手に引き受けることを否定した。

ゲイツ国防長官とクリントン国務長官とは意見が違い、スランスとドイツとは意見が違う。フランスは地中海を重視し、ドイツは中東欧を重視するからだ。ロシアと中国は、他の手段が尽くされていない、と軍事介入に反対する。インドやブラジルのそれに賛成だ。

アラブ連盟のカイロ会議は、飛行禁止空域設定だけを支持した。外国軍が上陸することは拒否した。オバマは、それを採用したのだ。それはベンガジでカダフィ軍が殺戮を始める直前だった。

決議による空爆はBRICなどの疑念を強めた。決議はただちに異なった解釈を生んだ。イギリスやフランスの指導者たちは、その政治的意図を疑われた。電撃作戦が終わってから、こうした外交的な争いが強まる。国際社会の論争において、それは避けられない。

guardian.co.uk, Tuesday 22 March 2011

Libya: Why was pacifism not given a chance?

Symon Hill

イラク戦争について、あれほど高まった戦争反対論は、なぜリビアへの介入で敗北したのか? 暴力ではなく非暴力によって政治を変えることは、リビアでも例外ではない。それをナイーブだと批判する者は2001年にも多くいた。アフガニスタンに介入し、イラクに介入した。

戦争を叫ぶ者たちの主張は、いつも二元論だ。暴力が受動性か。殺すか、さもなければ殺される。暴力の効用を信じる方が、政治を知らず、暴力による混乱の意味も知らない、ナイーブな者たちだ。戦争以外にも有効な手段は多くある。

LAT March 22, 2011

Obama's missed break in Libya

Jonah Goldberg

NYT March 22, 2011

Tribes With Flags

By THOMAS L. FRIEDMAN

WSJ MARCH 22, 2011

We're (Almost) All Neocons Now

By BRET STEPHENS

2009年のコラムで、私は書いたように、ブッシュ以後も、ネオコンが死滅することを拒む理由は世界に死滅することを拒む独裁者たちがいることだ。」

先月までヒラリー・クリントン国務長官の政策顧問であったAnne-Marie Slaughterがいる。2008年に、彼女は暴力の使用に関して、ネオコンと大きな違いがある、と説明していた。アメリカはより控え目な役割に徹するだろう、と。

しかし、忘れがちだが、イラク戦争はリベラル派の戦争でもあった。バイデン、ケリー、クリントンなどが支持した。初めはブッシュ、チェイニー、ラムズフェルドが強硬だったが、両者は良く似た主張に落ち着いた。大量破壊兵器が見つからなかっただけだ。

単純化すれば、体制転換regime changeだけがリビアに対する唯一の解決策だ。そのためにはアメリカが行動しなければならない。しかし、オバマ政権は行動しない。国際的な合意形成を待ったのだろう。それが分裂したらどうするのか? オバマは外交政策をグローバルな世論のバランスで決める、というスタイルを採ってきた。世論は、指導力や明快さ、世論の尊重などを求めている。もたもたしたアメリカのリビア外交はそうではない。

彼らもネオコンであるしかない。リベラリズムにそれが移植された。

(China Daily) 2011-03-22

Concerns over air strikes

(China Daily) 2011-03-22

Politics behind attacks on Libya

By Li Qinggong

西側の軍事力行使は、石油資源をめぐるカダフィの排除を目指しただけでなく、自分たちの国内社会不安や政治的目的を実現するものである。

西側の圧倒的な軍事的優位により、カダフィ政権には反政府勢力と、あるいは、他の主要国や国連とも、交渉する余地がない。

guardian.co.uk, Wednesday 23 March 2011

There's nothing moral about Nato's intervention in Libya

Seumas Milne

guardian.co.uk, Wednesday 23 March 2011

The consensus on intervention in Libya has shattered

Simon Tisdall

NYT March 23, 2011

Discord Among Allies

フランスは北アフリカの資源や貿易に強い関心を示してきた。サルコジは、チュニジア革命を正しく支援できなかったことで、リビアへの介入には積極的になり、大統領選挙に向けた失点の回復を図っている。他方、オバマはアラブ諸国との反目を心配しており、リビアで戦争に関わる気は全くない。

フランスの強い主張で、カダフィ軍の侵攻を止めることに成功した。さるこじは世界的な指導力を発揮したのだ。ここで一歩退いて、コソボやアフガニスタンでそうであるように、NATOに指揮権を委ねるべきだ。外相会議による方針の決定は対立を生じる。

WP March 23

President Obama’s muddled Libya policy

FP Thursday, March 24, 2011

Victors in the Libya war (so far...)

By David Rothkopf

戦争ではない、飛行禁止空域設定による、体制転換を目指さない、警察行動による最大の勝者はだれか?

5位 リビア民衆。カダフィ政権の終わりに向かうだろう。4位 アラブ連盟。サウジアラビアなど、加盟諸国は、国内問題から外に、国民の注意を向けることができた。3位 イラン。2位 世界の権威主義体制。他国への介入はさらに難しくなった。

最も利益を得たのは、棄権した諸国だ。BRICとドイツ。

guardian.co.uk, Thursday 24 March 2011

Libya: the morality of intervention

Bernard Kouchner

guardian.co.uk, Thursday 24 March 2011

Libya, the UN and the R2P debate

Ian Williams


l         福島原子力発電所の世紀末的な不安

FT March 16 2011

Nuclear power: Too hot to handle

By Ed Crooks and Sylvia Pfeifer

FP Thursday, March 17, 2011

Where Fukushima meets Stuxnet: The growing threat of cyber war

By David Rothkopf

安全保障の関係者には、福島の原発事故がイランの原発に対するコンピューター・ウィルス攻撃、イスラエルとアメリカが行ったと言われるStuxnetを想起させる。もしサイバー攻撃が成功すれば、これほどの破壊力を発揮するかもしれない、と。

WP Thursday, March 17

Inviting a nuclear emergency

By Eugene Robinson

アメリカの原発でも、福島原発と同じような使用済み燃料棒が年間20トンも産出され、それは数千年も水中で隔離しておかなければ高い放射線を発する、という記事に恐怖を感じます。すべての原発の安全基準が見直されています。

ドイツのメルケル首相は日本の事故を見て、ドイツが原発を廃棄して、再生可能なエネルギーにできるだけ早く移行することを決意した、と言います。

FT March 18 2011

Nuclear support

The Guardian, Friday 18 March 2011

Quiet voices must be heeded to avert a future Fukushima

Alister Scott and Jim Watson

FT March 20 2011

Nuclear frictions

guardian.co.uk, Monday 21 March 2011

Why Fukushima made me stop worrying and love nuclear power

George Monbiot

 (China Daily) 2011-03-21

Prepare for contingencies

March 22 (Bloomberg)

Nuclear Power Runs Amok

Laurence Kotlikoff and Eugene Stanley

「すでに作業員が深刻な被ばくを経験し、ミルクやホウレン草、豆、などが放射能の恐れから廃棄され、魚にも及ぶだろう。しかし、最悪のシナリオはそれどころではない。福島原子力発電所には6つの原子炉があり、4277トンの核燃料が制御不能の原発内にある。それは東京から150マイルしか離れていないし、14マイルのところに民家がある。すでに水は放射能を示している。」

もし別の地震や津波が福島原発を襲ったらどうなるか? それは想像できないだろうが、起こり得ないことではない。日本の55の原発、そして建設中の11基が、次の大きなショックを待っている。

チェルノブイリによって、スイスに等しい面積(1万6000平方マイル、41000平方キロ)が300年間、人の居住できない地域になった。日本はスイスの9倍の広さがある。しかし、9基の原発事故で消滅する。

起こりえないと思うかもしれないが、700,000,000年もあれば多くのことが起きる。それはウラニウム235の半減期であり、24000年がプルトニウム239の半減期だ。セシウム137でも半減期は30年だ。日本にある使用済み燃料棒にはこうした内容物が詰まっている。使用済み燃料は再処理できるが、それは核兵器の原料になるというリスクがある。

われわれは子供たちのことや、その子供たち、そのまた子供たちのことを心配する。将来世代の人類に対して、われわれは責任を負っている。

ノーベル賞を得た物理学者Enrico Fermiはその危険を知っていた。自らマンハッタン計画に加わって原爆を作ったが、世界に原子炉を閉鎖するよう求めることに迷いを示さなかった。自然を征服することで得たパワーを賢く使えるほど、人類はいつ成長するだろうか、とフェルミは考えた。そして彼自身が創った原子炉の被ばくで胃癌を生じ、53歳で亡くなった。

FP MARCH 22, 2011

Nuclear Winner

INTERVIEW BY CHARLES HOMANS

SPIEGEL ONLINE 03/23/2011

A Quarter Century of Suffering

Fukushima Strikes Close to Home for Chernobyl Victims

By Uwe Buse

チェルノブイリを体験した人たちは、福島原発の事故に自分たちの周りで起きたことを重ねて見ています。放射能に被ばくすることの恐ろしさは、事故と闘った作業員たちの多くの命が奪われて初めて知りました。事故の原発から周囲100キロは立ち退くしかありませんでした。たとえば、一晩で住民5万人がバスで退避させられました。

Yuri Andreyevは病気や障害、死亡した人々の組合を代表しています。組合員はかつて356000人でした。今では22万人です。当時、彼らは義務の念に駆られて作業に戻りました。放射能はゆっくりと、しかし確実に、死者を増やします。際限ない訴訟が起きています。原発の周りには多くの検問所と壁があり、今も放射能が測定されています。周囲30キロは立ち入り禁止です。

ここに住むことは非合法ですが、残った者もいます。例えば、放射能で死ぬことを信じないGanya Savarotnaのような老人です。彼らがいつ静かに死ぬか、科学者にもわかりません。


l         東北大震災の後に来るもの

WP Wednesday, March 16

Will the crisis create a new Japan?

By Marcus Noland

1923年、関東大震災。1995年、阪神大震災。そして311に東北大震災が起きた。その犠牲者や経済的被害はまだ明らかではないが、間違いなく歴史的な規模である。

シンプルな真理がある。「災害は速やかに国家を転換する。良い方にも、悪い方にも。」

311日までに、日本は20年間、年平均1%の成長率で、政治的にも方針を欠いたままだった。第二次世界大戦後の政治は、人口の減少する農村部に偏った議席が自民党の安定した支配を保証し、田舎の無駄な橋や港に、そしてすべての河川のコンクリートで固めた堤防に、莫大な財源を浪費してきた。

1990年にバブルが破裂して、労働人口の割合が減少し始めた。1998年には労働人口そのものが減少し、その10年後に人口減少に至る。山のような無駄遣いに気付いた有権者は、自民党から権力を奪った。

地震の前に、低成長、財政逼迫、デフレに苦しんでいた日本が、GDP2倍を超える債務に、新たな震災のコストを追加することになる。原発事故の行方にもよるが、日本はそのコストを支払えるだろう。うまく復興を組織すれば、異なる日本が誕生するという期待もある。

国債の95%が国内で保有され、外国のヘッジファンドが保有しているのでない日本は、たとえば、仙台市を復興することに追加の債務を負っても国民が債券を売ることはないだろう。つまり、日本政府の国債管理にはまだ余裕がある。ただし、支出は根本的に改めねばならない。無駄な公共投資をやめて、東北地方の改造に集中する。

日本は震災の復興に多くの建設工事を必要とする。従来の移民労働者を拒む政策を改めるときである。それは人口や市場規模を回復し、経済的な競争力にもつながる。人口はまた、東京の一極集中を解消する点でも、地方に分散を促すべきだろう。情報通信革命によって都市からの分散が可能な時代に、東北の復興はまったく新しい産業の基盤ともなる。

農業補助金や保護政策、移民政策、防衛政策、アジアや世界における日本の役割、こうした今まで扱うことを避けてきた問題に、日本は政治を改革して取り組む姿勢を示すべきだ。すなわち、民主党と自民党が対抗して政策を掲げ、日本のガバナンスを21世紀に向けて改善する。

震災からの復興が、単に都市だけでなく、日本の政治を変えるとき、日本は良い方に変身できる。

FT March 17 2011

Woes bring out best and worst of nation

By Mure Dickie in Tokyo

WP Thursday, March 17

Tsunami crisis will test an already ailing Japan

March 18 (Bloomberg)

Just Imagine Massive Tokyo Quake, 23 Years Later

Michael Lewis

1988年、最初に作家として海外旅行を編集者が勧めてくれたとき、日本に言った。そして、日本を大地震が襲ったらどうなるか、という話を考えた。関東大震災を現代の東京に当てはめた研究がちょうど出たところで、それによれば、死者152000人、倒壊する建物80万件、不動産の損失だけで約1兆ドルに達する、と推定された。

アメリカにとって重大な関心は、日本が損失を補い、復興するために、海外資産、特にアメリカの財務省証券を売却することだった。アメリカで金利が5%上昇し、資産価格の暴落が生じる。

しかし、当時の予測では日本の株価は上昇するはずだった。なぜなら復興需要を期待したからだ。ところが、東北大震災により、日本の株価は急落した。1988年との違いは、日本の経済に対する見方だ。当時は復興が期待できた。今は停滞が宿命のように感じている。

日本人の高齢化は貯蓄を掘り崩し始めている。もし金利が3%上昇すれば、債務の利払いですべての税収が尽きてしまう。今では、アメリカだけでなく、日本のシステムも崩壊を恐れている。

The Guardian, Friday 18 March 2011

Japan: the many aftershocks

(chinadaily.com.cn) 2011-03-18

Japan disaster offers hope for diplomatic opening

NYT March 18, 2011

A Price Too High?

By BOB HERBERT

NYT March 19, 2011

The Japanese Could Teach Us a Thing or Two

By NICHOLAS D. KRISTOF

震災によって日本人が示す文化・社会現象に、アメリカ人は驚きます。日本の政府や政治家は低級で、日本の庶民は素晴らしい。ある意味で。

FT March 21 2011

The Bank of Japan averts a financial earthquake

By Sebastian Mallaby

大地震は抑制できないが、その後の景気後退は人間の力で抑制できる。日本の東北大震災による金融恐慌は、日銀が貨幣を増発して克服した。

19064月のサンフランシスコ大地震によって、アメリカ経済は大きな被害を受けた。その被害はGDP1.5%であったが、保険の請求に応えるためにニューヨークから金goldが送られ、ウォール街は流動性が枯渇した。刺激策にもかかわらず、19073月までに株価はピークから5分の1も下落した。

破綻や金融逼迫に対して、当時のアメリカには最後の貸し手となる中央銀行がなかった。銀行が経営していた投資信託が破綻した。資金を売るために保有する株式を大量に売ったのだ。失業率は3%以下から8%を超えるまでに上昇した。

緊急の融資を行う者はいなかった。破綻が無制限に伝染した。民間の銀行家であるJ.P.モルガンが主要な金融業者を図書館に集めて安定化介入のための基金を作った。この危機によって、1913年に連邦準備制度ができた。さらに1971年、ニクソン大統領は金による保証を放棄し、現代の中央銀行が誕生した。貨幣は紙幣になり、今やますますスクリーン上の数字になっている。

リーマンの破綻以後、連銀は多くの救済融資を行った。紙幣の増発は投資家を不安にし、金価格を倍増させたし、新興諸国の不満が強まっている。しかし、中央銀行の害悪を主張する者は、日本を見るべきだ。日銀の積極的な資金供給があったから、株価が激しく変動する中でも、決済システムは機能し続けた。

原発のメルトダウンのリスクは恐ろしい。しかし、その上、金融システムがメルトダウンしたらどうなるか?

March 21 (Bloomberg)

Japan’s ‘BP Moment’ Is Global Economic Problem

William Pesek

March 21 (Bloomberg)

Japan’s Coming Recovery Benefits Savvy Investors

John Dorfman

FP MARCH 21, 2011

Kan Do?

BY TOBIAS HARRIS

guardian.co.uk, Tuesday 22 March 2011

Japan's economic aftershocks

Dean Baker

東北大震災が世界経済に与える影響は? 東北地域は日本経済にとって重要な部分ではない。サプライチェーンの影響や、電力供給の限界で東京にも影響する。日本はアメリカから様々な製品を輸入しているから、アメリカ経済の回復を妨げる。

しかし、アメリカから見てその影響はわずかなものだ。失業が減らない口実にはならない。これまでも、ブッシュ政権は不況を9・11によって言い訳したし、2010年の失業が減らないことをオバマ政権はユーロ危機のせいにした。それらは根拠のない口実だが、日本の震災はこれに加わる恐れがある。

SPIEGEL ONLINE 03/22/2011

Breaks in the Supply Chain

Disaster in Japan Sends Ripples through the Global Economy

By Peter Müller and Alexander Neubacher

震災から生じた部品不足によるグローバル・サプライ・チェーンへの影響を描いています。たとえば、東京から9000キロ離れた南ドイツの街、Mulfingen Künzelsau

また、通貨市場や原子力産業への影響も。

FP Tuesday, March 22, 2011

Japan rules the global supply chain

By Clyde Prestowitz

March 23 (Bloomberg)

Buffett ‘Buying Opportunity’ Meets Next Big One

William Pesek

March 24 (Bloomberg)

Japan’s Earthquake Might Hasten Bernanke’s Exit

Caroline Baum

震災は、明らかに供給曲線を内側に移動させるサプライ・ショックである。その場合、よし少ない生産量に対して物価が上昇する。デフレと戦ってきた日本にとって良いことかもしれないが、世界にとってはそうでもない。インフレを懸念する諸国の金利が上昇圧力を受ける。しかも、災害とその後の復興が各地に需要をもたらし、インフレに影響する。

日銀は震災後に大幅な通貨供給を行ったが、物資の供給は補えない。それは日本ではなく、アメリカの金融緩和を早く終わらせる。

WSJ MARCH 25, 2011

Let Japan Be Land of the Rising Yen

By GEOFFREY WOOD

円高に対する協調介入は、復興を妨げる、と反対しています。

March 25 (Bloomberg)

Yakuza Salivate Over New Construction Paradise

William Pesek


l         サウジアラビア,エジプト,アメリカ

FT March 17 2011

Washington’s stark choice: Democracy or Riyadh

By Ian Bremmer

サウジアラビアがバーレーンに治安維持のための軍隊を送ったことは、アメリカの外交政策に重要な転機となる。

アメリカは世界一の石油消費国であり、サウジアラビアは世界の主要石油供給国である。9・11のテロ攻撃の後も、両国の外交関係は変わらなかった。しかし、ブッシュ政権と違って、オバマは旧来のアメリカの同盟者であるムバラクを退陣させた。アメリカは確かに石油価格の安定化やイスラエルとの関係を維持する穏健派に対して特別な関係を持つかもしれないが、民主化が成功すれば勝者に味方する。

サウジアラビアはバーレーンの政治不安が自国に及ぶことを心配し、シーア派の勢力が、特にイランの中東地域における影響力が拡大することを嫌っている。アメリカとの協力関係は重要だ。石油価格の上昇を抑えるサウジアラビアの姿勢は、西側の消費市場が景気回復するのを頓挫させないためであるが、石油価格の高騰がイランに潤沢な資金を与えることも避けたいからだ。

サウジアラビアの主催する湾岸協力会議は、地域安全保障をアメリカに頼る姿勢を修正するかもしれないが、ドルへの依存は変えないだろう。両国の関係は急激に変化することはないが、アラブの春が、明らかに、「特別な関係」を互いに低下させる動きを生じている。

NYT March 22, 2011

Settling the Afghan War

By LAKHDAR BRAHIMI and THOMAS R. PICKERING

FT March 23 2011

Foreign policy: A reticent America

By Richard McGregor and Daniel Dombey

アメリカ外交は変形しつつある。中東において、アメリカは民主主義と安定性とを交換してきた。民主化を求めながらも、それができない体制の安定性を支持してきた。しかし、今や安定は存在しない。「マルチラテラリズム」の中で外交を決めることは難しい。

WSJ MARCH 23, 2011

Obama's Holbrooke Moment

By FOUAD AJAMI

WP Wednesday, March 23

U.S. must take sides to keep the Arab Spring from Islamist takeover

By Ray Takeyh

アラブ諸国のイスラム過激派も選挙や民主的な政治システムに参加させるべきだ。しかし、イスラム主義は、かつてヨーロッパで広まった共産主義と同様、社会や経済まで支配しようとする。アメリカは民主化運動を支援して、経済援助や国際機関を通じた融資を積み重ね、安定した民主主義システムと親米政権の誕生を目指す。


NYT March 17, 2011

The Forgotten Millions

By PAUL KRUGMAN

 (chinadaily.com.cn) 2011-03-18

Jobs and structure in the global economy

By Michael Spence and Sandile Hlatshwayo

NYT March 20, 2011

Educated, Unemployed and Frustrated

By MATTHEW C. KLEIN

アメリカ政府や政治家たちは失業者への関心を失ったのか? 解放的な世界市場を維持するためには、各国で成長や雇用が必要である。中東や北アフリカと同様に、ヨーロッパでもアメリカでも、教育を受けた若者たちの失業は政治的抗議を街頭デモに向かわせる。


l         ユーロ圏の政治対立

SPIEGEL ONLINE 03/17/2011

The Fries Revolution

Belgium's Political Crisis Foretells EU's Future

By Walter Mayr in Brussels

ベルギーは政府が成立しない期間の世界最長記録を達成しました。イラクも及ばない、270日間。フランス語圏とオランダ語圏との対立は、ヨーロッパ政治の縮図です。国民国家は弱まり、自律を求める各地のエスニック集団が強くなります。

多様な文化を維持して政治的な統一を目指す、というEU本部のある国が、分裂しつつあります。ベルギーの統治をあきらめて、Herman Van RompuyEUの大統領になっています。

SPIEGEL ONLINE 03/17/2011

Off the Mark

Why Ditching the Euro Would Be a Bad Idea

By Sven Böll

FT March 21 2011

How Germany can avoid a two-speed Europe

By George Soros

通貨危機、財政危機、銀行システム危機の重なったユーロ危機について、Sorosは政治的な合意による制度の転換を求めます。不十分な説明に基づいてドイツの有権者が求める融資条件は間違っている、と明快に主張しています。

危機は、競争力を失い、対外債務を増やし、財政赤字を増やした赤字国だけが悪い、とドイツ国民は考えています。それゆえドイツの決める緊急融資は高い金利や財政赤字削減を求め、失業や賃金引き下げ、長年に及ぶ低成長を強いる内容です。Sorosは、危機の原因はそうではなかった、と考えます。

ユーロができたとき、投資家たちはユーロ圏内で経済条件が収斂する、と期待しました。現実には、むしろ乖離が進んだのです。その理由は、赤字国も黒字国も同じ条件で債券を発行できたことでした。ECBは加盟国の政府債券を同じ条件で割引ました。その結果、ポルトガルやギリシャ、アイルランドなどでは金利が低くなりすぎたのです。それは価格や賃金の上昇で競争力を失わせ、住宅バブルを生じました。

バブルが破裂したとき、赤字国の政府は緊急融資を必要としましたが、それは債券を保有し、あるいは融資していた黒字国の金融機関を救済するものでした。ドイツなどからの緊急融資は、赤字国を経由して、主にドイツの銀行を救済しているのです。しかし、返済するのは赤字国の国民です。債務国に調整コストを強いるのは、1982年のラテンアメリカ債務に対する国際銀行危機と似ている、とSorosは考えます。債務国に融資して、銀行の利益が回復するのを待ったのです。

このままでは二つのヨーロッパに分裂してしまいます。それを回避するには、1.欧州金融安定ファシリティーを債務の削減に使う。それはEU管理下の銀行システム整理と同時に行う。2.各国の発行する政府債券をやめてユーロ債に統一する。マーストリヒト条約の基準を超えた部分は自国の政府債としてリスクプレミアムを支払う。

ユーロ債に反対するドイツ国民が、事態を正しく理解するには時間がかかるけれど、赤字国の国民が成長できないままでは次の危機を避けられません。

FT March 23 2011

View from a Yankee in the eurozone’s court

By Steven Rattner

NYT March 23, 2011

Less Than Needed on the Euro

WSJ MARCH 23, 2011

Why European Banks Are Stressed Out

By ANIL KASHYAP, KERMIT SCHOENHOLTZ AND HYUN SONG SHIN

ヨーロッパの銀行の潜在的な損失に上限を示す。すなわち、ストレス・テスト。そして、資本不足が生じる銀行には自己資本を調達させる。資本市場で増資できない銀行には、公的なバックアップと秩序ある整理を示す。

SPIEGEL ONLINE 03/24/2011 09:10 AM

Prime Minister Resigns

EU Bailout Looms as Portugal Government Collapses

By Stefan Schultz

SPIEGEL ONLINE 03/24/2011

Solving the Euro Crisis

'At Some Point, People Will Speculate against Germany'

Lars Feld (German government advisor)

ドイツ政府の経済顧問はどう考えているのか?


l         中国の政策と世界

FT March 17 2011

Oil-hungry China needs energy security rethink

By Trevor Houser

中東の政治不安と日本の原発事故が中国のエネルギー政策を脅かしている。

中国経済は欧米に比べて石油への依存度が高く、しかも中東・北アフリカからの輸入が多いため、中東の政治不安は重大だ。中国政府は国内のインフレが加速することを恐れている。それは1989年の天安門事件を再現する心配があるからだ。中国の世紀需要は、自動車よりも農業や鉱業が重要であり、物価への影響も避けられない。

成長を維持するために、エネルギー効率を改善する投資や電化、石油依存度を減らす産業構造転換が必要だ。しかし、中国政府は三つの国営企業を使って、世界中で石油供給の安定化を目指している。それは世界中の油田に投資するが、結局、中国の石油需要を満たすには至らず、リビアで軍事介入前に約5000人の中国人を国外脱出させたように、外国の紛争に巻き込まれる。

Trevor Houserは、中国型の消費国と協力して、積極的に戦略備蓄の利用などを行うよう求めている。

WP Friday, March 18

The ‘blue national soil’ of China’s navy

By George F. Will

軍人同士の交流がある米中間で、中国人のマハンAlfred Thayer Mahan (1840-1914)に対する強い関心を憂慮しています。

YaleGlobal , 18 March 2011

Westward Ho: Asians March Into Africa – Part II

Loro Horta

FT March 22 2011

How China should rule the world

By Martin Wolf

この30年間、「改革開放」によって中国は単に経済大国として登場しただけではない。中国は世界経済に緊密に統合した一部となった。世界は、中国がその影響力を何に使うのか、大いに関心を持っている。中国は偉大な国であるだけでなく、国際的な責任を担う国になるべきだ。このようにWolfは北京の経済会議で主張した。

中国の重要な利益は、安定した、平和な、協調的、世界政治・経済環境を維持することである。どうやって維持するか? 一つは、ルールに依拠した、世界システムの制度化を継承し、発展させることだ。あるいは、それに代わる方法、階層的な支配秩序だ。そのようなアプローチは、他の大国と管理不可能な対立を生じるだろう。

中国は、開放的な世界貿易システムの守護者として、アメリカの自然な後継者である。すでに中国自身が主要なプレーヤーとして貿易自由化交渉に参加し、さらに、知的所有権や直接投資のルールを必要としている。中国の地域貿易協定も、世界的な自由化と矛盾しないようなルールを求めるはずである。

大幅な貿易黒字も、単に不均衡の基準を示すだけでなく、その調整手段や流動性の供給、融資についても合意しなければならない。中国からの投資を自由化し、為替レートを弾力化することは、他国の調整を容易にする。中国の金融システムが経済発展を支えるだけでなく、安定した世界経済の拡大を支えるために、金融システムも世界市場とリンクして中国の移行を促すという、複雑な、難しい作業が必要だ。

中国は、発展を制約する資源の安定した供給を増やすために、グローバルな投資と輸入を増やしている。それが開放的な世界貿易の一部であれば、他の消費国との共通のルールによって、競争的で、長期的な契約が可能になる。


FP MARCH 18, 2011

The Drama in Delhi

BY HENRY FOY

FT March 21 2011

India: Writing is on the wall

By James Lamont and James Fontanella-Khan

WSJ MARCH 22, 2011

Corruption on Singh's Watch

By SADANAND DHUME


FT March 20 2011

A way out of Britain’s growth dilemma

By Robert Skidelsky and Felix Martin

イギリス政府は緊縮予算によって財政破綻を防ぐと主張しますが、その前に、景気を回復しなければなりません。このジレンマを解くために、公的な開発投資銀行を提案します。

FT March 23 2011

Growth: the harsh lessons of history

By Keith Fray


FT March 21 2011

The Brotherhood will soon be left behind

By Katerina Dalacoura

guardian.co.uk, Tuesday 22 March 2011

Early Egyptian elections could damage democracy

Richard Howitt

WP March 22

Egypt’s referendum is a step toward democracy

 


l         ラテンアメリカ民主化の教訓

FT March 23 2011

Lessons in liberation from Latin America

By Luis Alberto Moreno

ラタンアメリカの民主化と自由化が、中東民主化のモデルになるでしょうか? 1980年代の失われた10年を経てから、アルゼンチン、ブラジル、チリ、ペルー、パラグアイ、ボリビア、ウルグアイで軍事体制が崩壊した。経済は破綻し、社会制度が弱く、正義、雇用、公共サービス、平等な分配が満たされていなかった。しかし20年がたって、今では民主化と成長を遂げ、ラテンアメリカの時代が来た、と言われている。

4つの学ぶべき点があるだろう。1.制度を介して民主化を進めること。たとえば、軍事政権下の人権侵害に関わった人々を告発し和解させる「真実委員会」。2.経済の近代化のために、「資源の呪い」を克服すること。3.貧しい者の必要を満たす社会的支援。4.若者たちの雇用をもたらす、中小企業への投資。

FT March 23 2011

The threat to Africa’s fledgling democracy

By Kofi Annan

******************************

The Economist March 5th 2011

The 2011 oil shock

Oil markets and Arab unrest: The price of fear

The Libyan conundrum: Don’t let him linger

Lexington: Libya and Iraq syndrome

Libya: A civil war beckons

Bricks and slaughter: A special report on property

The perils of property: Home truths

Bradford and its communities: Hope over hate

(コメント) 2011年のオイル・ショックで最も傷つくのはアラブ諸国かもしれません.食料や燃料などに多くの補助金を与えることで社会不安を抑えているからです(次号も参照).世界は,温暖化を招く,政治的に不安定な化石燃料と,その解決策として称賛された原子力エネルギーの予測できない深甚な恐怖の間に立って,異なる未来を想像します.

リビアについての軍事介入の可能性と,不動産市場が繰り返すバブル・バースと・サイクルについて,興味深い特集記事が読めます.

イングランド北部の町,Bradfordが,2001年の「暴動」で大学への志願者やビジネスへの投資が減りました.しかしその後,コミュニティーの様々な組織が町を良くすることに貢献して,再び対立を煽る政治団体が介入するのを見事に撃退した,という希望の見える記事が載っています.


The Economist March 12th 2011

Bamboo capitalism

Entrepreneurship in China: Let a million flowers bloom

The European Union: Can Angela Merkel hold Europe together?

The European Union and the euro zone: Outs and ins

Chaotic Cote d’Ivoire: Don’t forget it

The Arab uprisings: Democracy’s hard spring

Arab economies: Throwing money at the street

The battle for Libya: The colonel fights back

Regional Disparity: Gaponomics

Regional inequality: Internal affairs

(コメント) 中国の資本主義は何が優れているのか? 誰も本当のことを伝えてくれません.記事は,中国政府や国営大企業ではなく,公式の統計にも表れないような民間の中小企業が,激しい競争と地方政府の便宜供与によって拡大してきた,と考えます.

赤字国の債務危機,不均衡と融資・調整をめぐるユーロ危機が続いています.ドイツとフランスの合意した「競争力」に関する協定やユーロ圏「経済ガバナンス」の確立は,EUを分割する政治論争になっています.

カダフィ政権側の軍事的な反撃とリビアへの空爆が注目されますが,アフリカ西部のコートジボアールも,大統領選挙で敗北した側が政府に居座っています.エジプトの民主化改革も,その方針やスピードをめぐる激しい論争が続いています.アフリカが安定した民主的制度を築いて,次の経済的拡大をもたらすフロンティアになる歴史的な岐路が現れたのです.

地域格差に関する記事も興味深いです.都市の規制や貧困地域への補助金は,成長を妨げて社会政策としても矛盾しているのでしょうか?