今週のReview
3/21-3/26
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IPEの想像力 3/21/11
被災者の一人は応えました。「もう海なんか要らない。」
リーマン・ショックに加えて、日本の震災が、グローバル・インバランスの構造を変える圧力となります。世界の金融市場は一つにつながり、世界の工場も様々な部品を供給し合っています。内外で、日本政府の決断と行動が重大な意味を帯びています。地震が来ても、日本の政治メカニズムは変わらず、被災者たちにも応えないのでしょうか?
大震災に津波の被害が加わった日本で、原発事故が制御不能になる、という強い不安も生じました。世界中の原発建設計画が日本の異常事態を注視しています。さらに、急激な円高と、東京電力の供給限界に達した計画停電が繰り返されています。
日本の人口や経済規模から見て、東北地方の割合は低く、阪神大震災に比べて、より限定的な経済コストだろうと見なされていました。しかし、深刻な原発事故が起き、その事故の影響は容易に管理されない、予測不可能なものであること、また、東京電力の供給能力が大きく損なわれ、東京圏の市民生活やビジネスにも重大な影響を及ぼすことが分かるにつれて、世界の株価は連鎖的に下落しました。
他方、リビアへの制裁決議は、国連安保理で承認されたとはいえ、ブラジル、ロシア、インド、中国、そして、ドイツが棄権した、ということに驚きます。英米仏という、ドイツの政治的意志を欠いたヨーロッパやNATOの、事実上、アメリカの軍事介入に対して、新興勢力が容認したわけです。
これは、安保理の下に、各地域の秩序維持を担う大国の影響力が監視・承認される、というシステムに向けて、世界の安全保障が再編されたようにも見えます。各地で、いずれの大国、もしくは、大国間の合意や協力が紛争を収拾させる強制力を発揮するか、舞台裏で外交的な駆け引きが行われたはずです。
これは新イラク戦争であり、チベットや台湾であり、チェチェンやグルジアであり、ヨルダン川西岸やカシミールなのです。
高度な科学技術と集団的な規則を守る日本人が管理しても、原発は災害に弱く、国家を超えた被害をもたらすエネルギーです。福島原発の事故により、世界中で見直しが始まっています。地球温暖化に対する最も重要な対策であったはずが、原発の制御能力は通常の安定した状態におけるものであり、地震や津波から逃げられず、また、戦争において最も重要な攻撃目標となり、ハイジャックや自爆テロの対象、スパイやコンピューター・ウィルス、人的な過誤・不確実さ、などのもたらす破壊を、決して他の事例とは比較できないほど高めるものだとわかりました。
王族や政治家の本質・政治姿勢が問われています。石原都知事の「天罰発言」。天皇陛下のお言葉。アラブ産油諸国の王族やカダフィ大佐の威嚇。・・・「ゴキブリ」どもを殺戮せよ。
地震発生から1週間が経ち、震災関連の特別番組が終わって、民放では通常の番組に戻っています。震災の前にも、夕食時のテレビ番組がアイドルとお笑いタレントの宴会、運動会、クイズなどで埋まってしまうことを批判する声はあったはずです。再び、困窮する被災者を画面から消し去るだけで、こうした番組が復活してもよいのでしょうか?
日本社会における貧困や、就職難、臨時・派遣労働など、不安定な底辺生活を強いられる階層が形成されていることが注目され始めていました。
日本はバブルの形成と崩壊に関して、その政策や政府の責任、金融システムの改革を正しく検証してこなかったように思います。もしそれが世界に対してオープンに行われ、その成果が政策論争や内外のシステム構築に役立てられていたなら、リーマン・ショックや世界金融危機は回避、もしくは緩和されたと思います。日本を襲った地震、津波、そして原発事故と、その予防や救援、復興のプロセスを詳しく検証し、グローバルな知識や制度の構築に役立てるべきです。
戦争や原爆で亡くなった人たちがそうであるように、社会・政治過程の検証こそ、犠牲者たちの命を取り戻す試みなのです。
自分の住んでいた街が、「まるで戦場のような」姿に変わった。被災者の一人は語りました。
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アラブの春の終わりに ・・・中国における革命 ・・・東北大地震と福島原発事故 ・・・ユーロ危機と極右の台頭 ・・・リビアへの軍事介入
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主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, The Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
l アラブの春の終わりに
FT March 10 2011
Middle East: Gas leak in the house
By Abeer Allam and Roula Khalaf
FT March 10 2011
Time to embrace the Arab world
By Philip Stephens
FT March 10 2011
Saudi Arabia faces its Day of Rage
新しい国民国家に向けたサウジアラビアの改革が問われています。しかし議会は機能せず、7000人の王子たちが政治を動かし、反政府集会に対して過剰なまでの警備と「王国の安定に手を出す者は指を切り落とせ」というカダフィ風の威嚇を示しました。
宗教的保守派との政治同盟、緩やかな改革を唱えたAbdullah国王の高齢と衰弱、後継問題、強硬派の兄弟たち、国内の少数シーア派の反発、そして、バーレーンの政治不安が波及することを恐れます。
FP MARCH 10, 2011
Think Again: Arab Democracy
BY THOMAS CAROTHERS
「アラブ世界においてもベルリンの壁が倒れたのか?」 ・・・Yes and no.
体制に不満のある若者たち、普通の市民が、非暴力の反政府行動を起こした。しかし、中東と中東欧は大きく異なる。まず、中東欧諸国の体制は外から押し付けられた。ソ連が弱体化して、介入しないとわかると、一斉に崩壊した。他方、アラブ世界の支配体制は外部勢力によるものではなく、その土地の王族の正統性や石油、強力な軍事・警察組織によって維持されてきた。彼らは立ち去らず、権力を手放す気はない。一部で崩壊しても、特権を維持し、重要な点で反対派は退けられる。中東欧に比べて、アラブ世界は余りにも多様である。チュニジアとエジプトで革命が成功したとしても、リビアやイエメンは20年前のポーランドやハンガリーと比較できない。
「サハラ砂漠以南のアフリカ革命に似るのか?」 ・・・重要だ。
「民主主義は長期的に観ると拡大しないのか?」 ・・・まだ希望はある。
民主主義をうながす社会、経済、歴史的条件がある。1980年代、90年代には、世界のいたるところで民主化運動が起きた。しかし、その結果は様々だ。特に重要な条件としては、1.経済発展水準、2.富の集中、3.統一した、能力の高い国家、4.エスニック、宗教、部族などの同質性、5.政治的多元主義の経験、である。アラブ世界が民主化の難しい土地であることはすぐにわかる。しかし、国によっては民主化が成功する条件はあるし、独立当時のインドのように、条件を欠いても成功するケースがある。
「自由で公平な選挙によってイスラム過激派が勝利するのか?」 ・・・必ずしもそうではない。
民主的な政治組織はないが、インターネットの利用など、新しい選挙手法が可能になっている。イスラム過激派が政権を握っても、神政ではなく複数政党政治になるだろう。
「民主主義の専門家たちは支援できるか?」 ・・・できるが、慎重に行う。
世界中の民主化の経験を伝えるために、セミナーや研究会を開催している。アラブの活動家たちはそれを熱心に吸収している。反対派を統一すること。政治改革に時間がかかる間も、短期的な経済的成果を示すこと。
「ヨーロッパの役割は何か?」 ・・・近接性により、貿易、援助、が有効だ。ヨーロッパの指導者たちは、難民の流入、石油供給の混乱、イスラム過激派の活動、を恐れている。中東欧の民主化ではEU加盟を約束し、その経済・政治基準を達成する形で改革を促せた。アラブ世界に同じことはできないが、それでも民主化や人権を尊重する国に貿易や援助を多く提供し、改革派を支援できるだろう。
「これでアメリカは民主主義の側に立ったのか?」 ・・・まだ早い。
ブッシュからオバマになって、ムバラクの退陣を求め、カダフィの追放を求めたことで、アメリカは中東において石油よりも民主化を重視するようになった、と断定することは間違いだ。今もまだ、アメリカは石油供給の安定性を求めている。そのためには、湾岸諸国の王族の協力が必要だ。アメリカ外交は、これからも国によって様々な形の矛盾を含むだろう。
YaleGlobal , 11 March 2011
Religion May Not Dominate Post-Revolutionary Middle East
Endy M. Bayuni
LAT March 13, 2011
Eisenhower, master of the Middle East
By David A. Nichols
WP Sunday, March 13
Will Gaddafi reverse the tide of the Arab Spring?
By Jackson Diehl
チュニジアの果物を売っていた若者、Mohammed Bouaziziが抗議の焼身自殺をしてから広まったアラブの春は、86日目で、自国を焼き尽くすカダフィによって阻止されるのか? なぜなら、革命は各国の軍隊が自国民に発砲しないことによって成功したし、それは同盟関係にあるアメリカ軍・政府が求めた原則であったからだ。
しかし、カダフィは違う。トリポリの民主化運動を殺戮によって圧倒し、カダフィが生き延びることがアラブ世界に弾圧の種をまくだろう。それはすでにイエメンやバーレーンで始まっている。各地の改革は行き詰まっている。
もちろん、エジプトの自由主義者・民主化運動は力を維持している。しかし、組織は弱く、タハリール広場を占拠した若者たちは、ムバラクが残した閣僚たちの秘密警察に押し出される。「大統領選挙は勝てないだろう」と、ある知識人は言った。経済は停止したまま、政府はすぐに給与も支払えなくなり、すべての権威が失われて、経営者と労働者は工場で闘い始めた。警察官は街から消えてしまっている。
フランスやアメリカの軍隊が空爆して反政府派を支援しても、リビアの革命はアラブの春を裏切ることにならない。
FT March 14 2011
Saudi intervention raises Gulf stakes
バーレーンの反政府抗議デモにサウジアラビアが軍隊を派遣したことは、アラブの春を終わらせる転換点になるだろう。今後、革命は大衆のオープンな抗議デモではなく、武装した革命派に頼るだろう。民主的な再生と人民が尊厳を取り戻すのではなく、むき出しの戦闘が始まる。
抗議デモを鎮するために、湾岸諸国会議(GCC)に支援を求めたバーレーンに対して、GCCを動かすサウジ政府は、自国の東部に多いシーア派にも影響することを恐れて即座に軍隊を送った。最大の産油国に反政府デモが及ぶ危険があった。他方、リビアへの外国軍の介入にGCCは反対する権限があるけれど、しなかった。
アラブの春は過激な革命派と産油諸国の戦争に拡大する危険が出てきた。
WP Tuesday, March 15
High stakes over Bahrain
By David Ignatius
中東の民主化を支持するオバマ政権は湾岸の富裕な産油諸国と対立することになった。バーレーンの衝突は中東世界の基準で見ても重大な意味を持つ。サウジ対イラン、スンニー対シーア。それに加えて、最も重要な戦略物資である石油の最大の供給地が舞台である。
「14マイルしか離れていないイラン介入するのを好まない。」とサウジは言う。しかし、アメリカ政府高官は、「バーレーンにイランは影響力がないのに、サウジの軍隊派遣こそイランの介入を招く。」と警告する。
この決定的に異なる見方は、湾岸の産油王国にオバマ政権への不信を高めた。その結果、彼らはオバマを、ムバラクを見捨てた弱い大統領として、1979年のイラン革命で国王を見捨てたカーター大統領と同様に見なすだろう。すでに2月、アラブ首長国連邦UAEの指導者がアメリカ政府高官に、サウジはバーレーンでシーア派政権を許さない、と警告し、アメリカに変わる安全保障のパートナーを東方(トルコ、インド、中国)に探す意思を示していた。
アメリカは民主化を支持し、それを弾圧する安全保障は持続できない、と考える、他方王族や部族長は妥協を許さず、それはイスラム過激派を増やすだけだ、と主張する。湾岸諸国や世界経済を不安定化しない解決策はあるか? オバマ政権はこれをプラグマティックな発展過程と見なすが、エジプトが示したように、突如としてショックが起きる。
guardian.co.uk, Wednesday 16 March 2011
Germany can show reborn Arab nations the art of overcoming a difficult past
Timothy Garton Ash
guardian.co.uk, Wednesday 16 March 2011
The fate of the Arabs will be settled in Egypt, not Libya
Seumas Milne
NYT March 16, 2011
Bahrain Pulls a Qaddafi
By NICHOLAS D. KRISTOF
FT March 17 2011
Europe’s stand on Middle East peace
By Philip Stephens
リビアへの飛行禁止空域を決める軍事介入に英仏とアメリカが動きました。イラク戦争にこだわるアメリカは安保理決議を必要としました。しかし、他方でサウジアラビアはバーレーンに軍隊を送り、イスラエルはパレスチナとの交渉を受け入れません。アメリカはこの地域への影響力を失わない姿勢を示し、イギリス、フランス、ドイツはその公約を守ったわけです。
The Guardian, Thursday 17 March 2011
The Arab revolution: Of rocks and hard places
l 中国における革命
FP MARCH 10, 2011
Good Leap Forward
BY SCOTT KENNEDY, WANG QUN
NYT March 13, 2011
China’s Gradual Revolution
By GUOBIN YANG
ムバラク大統領が辞任してから1週間後、中国の主要都市でも反政府の集会を開く呼び掛けがあった。しかし、政府は速やかに反政府活動家に対する監視を強め、警察官を展開して取り締まりの姿勢を示した。
ジャスミン革命は輸入できないが、失望することはない。中国では、数年にわたって根本的改革が進んでいる。天安門事件の後、すべての抗議活動が弾圧されたと思われている。しかし実際は、賃金や土地の汚染について、さらに、ダム建設や動物の権利についても、さまざまな抗議が増えている。それらには労働者、地方居住者、出稼ぎ労働者、環境保護は、社会問題を扱う弁護士、などが参加している。
インターネットを利用した抗議がますます増えている。政府はインターネットの重要性を早くから理解しており、その監視を強めている。しかし全国規模の反政府活動を組織する政治革命を厳しく弾圧するが、同時に、地域レベルの、政府官僚の腐敗、中国人に対する不正義など、改革の動きを許容している。
中国社会が多元的で、市民の間にもさまざまな対立した利害がある以上、反対派をまとめるイデオロギーは存在せず、その意味で、政府は、各地の抗議を一定レベルまで許容することで、反体制派の活動を抑制していると言える。政府はまた、インターネットの接続を切ることが経済に与える影響を意識し、避けようとしている。
こうした政府の強力な統制に対して、インターネット上やそのつながりで行われる改革運動にも新しい展開がみられる。集会ではなく、「ぶらぶら歩く」。直接の対決ではなく、当局に恥をかかせ、挑発する。こうした活動は、たとえ統制や監視が強まっても、民衆の意識を喚起するのに有効だ。たとえば、活動家の影響で、政府は食品の安全性に関する法律が制定された。
こうした活動が広がることで、将来、人々の意識が政府の統制を超え、より根本的な反政府活動が組織されるときが来る。国家と活動家との複雑な関係は、短期的に変わるものではない。
(People.com.cn) 2011-03-14
China is definitely not Middle East
FT March 14 2011
China must bridge the growth gap
By Michael Pettis
消費を抑制し、大幅に投資に頼った高成長を転換するべきか? もっと消費を重視するべきか? あるいは、投資を続けながら消費を改善できるのか? かつて、中国だけでなく、政府の指導や補助金に頼った過剰な投資による高成長モデルが、資源配分の失敗や過剰設備、不良債権をもたらすものであった。
YaleGlobal , 16 March 2011
Westward Ho: Asians March Into Africa – Part I
WSJ MARCH 17, 2011
A WTO Win for China
WSJ MARCH 17, 2011
Reconciling China and Tibet
By PALDEN GYAL AND ARCHER WANG
(China Daily) 2011-03-17
China is not Middle East
中国は中東諸国と全く異なる。中国では過去30年間、生活水準が改善してきた。安定性と社会の調和が重要であることを国民は認めている。中国共産党と中央政府は優れた統治に努めている。中央政府の指導力が、法の支配、社会主義的発展モデル、民主主義の改善、人民の参加による討議を守っている。街頭における抗議活動は混乱をもたらすだけだ。
NYT March 10, 2011
Dumbing Deficits Down
By PAUL KRUGMAN
LAT March 16, 2011
Careful with the economy
l 東北大地震と福島原発事故
guardian.co.uk, Friday 11 March 2011
Is the tsunami too big to beat?
Bill McGuire
FT March 11 2011
Japan is rich in resilience
By Peter Tasker
東京に長く住めば、地震にも慣れる。しかし、今回の地震は全く違った。最初から、雷のような衝撃を伝え、時とともにそれは強くなった。
地震のとき最初にすること。机の下にもぐる。しかし、それは間違っていた。棚から本が飛び跳ね、机の引き出しが勝手に開いた。部屋中がポルターガイストの様相を示した。では、第二に、小さな部屋に逃げる? しかし天井が落ちるだろう。私は建物の外に駆け出した。オレンジ色の髪をした若い男女がいた。私たちは一緒に、道路の真ん中へ集まり、互いに抱き合った。それがどれほど異常なことか、伝えるべくもない。
見上げれば、電線やケーブルが猫のゆりかごのようになって落ちてくる。テレビのアンテナやお皿がわれわれに向かって降ってきた。不思議なことに、われわれが立っている大地は豆腐のようになって、エネルギーの波を伝えていた。
身ぶるいは次第に収まった。被害は深刻だ。どこかで建物が倒壊し、人が死んだと聞いた。その後、私はオフィスに戻って、インターネットでニュースを観た。電車が点検中で、野球の試合はキャンセルされたが、原発が壊れたとは聞かない。ニュースがないのは良いことだ。
日本の風俗において、地震は地下に住む大ナマズがのたうつときに起きる。鹿島神社の大岩がナマズの動きを抑えている。ヨーロッパの神話のように、天災が人間の世界にも大きな転換をもたらした。1855年の安政の大地震で、徳川の時代は終わる。1923年、関東大震災は日本の民主政治と日英同盟の時代が終わるころだった。その後の時代は大きな暗黒となった。
最近の1995年、阪神大震災では、アメリカの9・11における犠牲者数の2倍以上に達する、6400人以上が亡くなった。地震は圧倒的な工業化の終わり、デフレと銀行危機の始まりだった。村山首相の政治力が試された。また、その直前にロサンジェルスの地震被害を調査した専門家チームの「日本では起こらない」という結論の誤りを示した。
つまり神戸の震災以後、日本政府や官僚・専門家、工業力の優秀さや日本の豊かさが疑われた。間接的な効果も含めれば、日本は全く違う国になった。
日本の状態はひどいものだ。菅直人首相は、支持率低下と政治献金問題で退陣する指導者たちの最後の、最新の人物だ。金融危機により先進7カ国で最悪の影響を受け、東京の株価は1985年水準でしかない。
しかし、日本の隠された力は、国民自身にも、過小評価されている。2007年の急激な円高に対しても、上場企業は翌年に利益を出した。それはまた、1990年代の、労働がまだ固定費用と見なされていた時代から、日本がどれほど大きく変化したかを示している。
日本は高齢化し続け、しかし、移民労働者に門戸を閉ざしている。65歳以上でも働く老人たちの割合は20%に達し、EU諸国の5%より、はるかに高い。80歳になっても、警備会社やレストランなどで働く。日本は優れた家電製品で世界を指導する力を失い、老人たちが年金では暮らせない世界の最先端を行く。
老人たちは若者の無気力や政治に参加しない姿勢を批判する。しかし、阪神大震災の後、ボランティアのネットワークを彼らが動かした。地震はプラスの変化をもたらす衝撃にもなる。震災は日本を滅ぼさず、それを乗り越える人々の心を強くするだろう。大ナマズを抑える石を置いてくれる神様はいない。それは誰もが知っている。自分たちでやるしかない。日本の復活を信じる最大の理由は、社会的資本がそこにあることだ。
FT March 11 2011
Japan absorbs the forces of nature
FP MARCH 11, 2011
A Radioactive Situation
BY CHARLES D. FERGUSON
NYT March 11, 2011
An Unpredictable Test of Japan’s Resilience
By ROBERT J. GELLER
「ハリケーン・カトリーナが、X線撮影のように、アメリカ政府・社会・国民の大規模な災害に対処する能力を、あるいは、その欠如を示した。金曜日の地震の後、問題を解決して復興を成し遂げる過程が、同様の、しかしおそらくはさらに大規模な、日本に対するテストとなる。断言はできないが、日本はその挑戦に対して応える力があると思う。」
The Guardian, Saturday 12 March 2011
Japan needs leadership, but can Naoto Kan deliver?
Simon Tisdall
今や、日本政府は今までとは次元の違う指導力を求められる。日本の財政状態はますます悪化しており、復興の財政負担が追加される。日本経済や金融システムは改善したが、そのペシミズムは強い。イギリスをはじめ、支配的な経済が衰退するときの主要な特徴を示している。しかも、すぐ隣には急激に成長し、軍事的にも強化されてきた中国がある。
巨大な地震は、それに匹敵する日本人の精神的な奮起をもたらすだろうか?
The Guardian, Saturday 12 March 2011
Japan's earthquake: A wave of death
SPIEGEL ONLINE 03/12/2011
Nuclear Accident in Japan
Government Speaks of 'Unprecedented' Catastrophe
WP Saturday, March 12, 2011
Heartbreak in Japan
guardian.co.uk, Sunday 13 March 2011
The world's nuclear fate rests in Japan
Julian Glover
日本の原発事故は世界中で原発建設を遅らせるだろう。それはしかし、地球温暖化にとって、対策の深刻な遅れを意味するものだ。原発反対から支持に変わった、イギリスのChris Huhneエネルギー長官は、パニックになるな、と言った。
原子力エネルギーの専門家たちは、その安全性についての説明を求められている。疑念を強める人々に自国の原発が安全であることを説明しなければならない。しかし、問題は福島の事故が、技術水準の低い旧ソ連の原発ではなく、日本で起きたことだ。自領や信頼度の高い、正確さを重視する文化のある日本で、なんであれ可能な準備をしているはずの土地で、事故が起きた。
この損失はわれわれすべてのものだ。信頼できる、どこでも利用可能な、炭素排出量の少ないエネルギーを、大量に生産しなければならない。もし原発が建設できなくなれば、化責任領への依存は抑えられず、それはまた、民主主義国家に不可能なほど、エネルギー消費の大幅な削減を求めるしかない。
FT March 13 2011
Nuclear power: Hell and high water
By Clive Cookson
福島原発事故の程度はどれくらいか? それは明らかに原子力産業やエネルギー政策にとって深厚なものだが、原子炉の頭部が吹き飛んだチェルノブイリ事故には程遠い。
福島原発の三つの原子炉は、地震を感知すると、自動的に核反応が停止された。しかし、さまざまな冷却システムが故障して、炉心から熱を除去できなくなった。直後の津波がディーゼル発電機ダメにした。充電器は数時間働いただけだった。
こうしてウラン燃料は発熱し、システムの水分を蒸発させて、さらに、水素を発生させるにいたった。原子炉内の圧力を逃がすために、作業員がガスを輩出した結果、この水素が爆発したようだ。今や、海水を入れて原子炉を冷やそうとしている。
日本の正当局は、原子炉内部で何が起きているのかについて説明できていない。自分たちも分からないのだろう。燃料棒の一部が溶解し、原子炉の更迭やコンクリートを破壊する危険が増す。しかし西側の専門家たちは、それが原子炉内部の放射性物質を空気中に拡散するような、チェルノブイリ原発事故にまでなることはないだろう、という。
甲状腺ガンは放射能汚染で最も重大な被害であるが、チェルノブイリ事故ではヨーロッパ全体で数千人に甲状腺ガンが発生した。その最終的な被害には大幅な推定の違いがある。幸い、日本の北部では西風が吹き、日本やアジア諸国が放射線物質に汚染されるのを防いでいる。
日本人は、長い間、原子力発電に複雑な感情を持ってきた。広島と長崎に落とされた原子爆弾は、その被害の瞬時における甚大な規模と、同時に、放射能汚染の長期に及ぶ制御不能な悪影響とを示した。日本は、資源の乏しい国であるため、現在、エネルギーの約3分の1を原子力発電に頼っている。
福島原発や日本の原子力産業は、この事故から回復できるだろうか? また世界はどうか?
ドイツにはすでに、日本の事故のニュースで、5万人規模の反対デモが起きた。イギリスのグリーンピースも、原発を「ファウスト的な契約だ」と批判している。他方、推進派はチェルノブイリ以後の高い安全性を強調する。今や、その安全性は石油・天然ガス以上である、と。「第三世代の原子炉」は、さらに厳しい基準を設けている。しかし、アメリカでは安全性よりもコストの面で原発建設は見送られている。
日本は世界第3位の石油輸入国、天然ガス輸入量は世界最大である。この原発事故の影響で石油価格はさらに高まるだろう。原子力は、その他の再生可能なエネルギーと同じく、温暖化をもたらさないクリーンなイメージを売ってきた。今後、世界は太陽発電や風力発電に一層の投資を行うだろうが、それらは一時的な変動を免れないため、普及には限界がある。それゆえ、天然ガスの利用が増えるだろう。
FT March 13 2011
Japan’s nuclear policies: gutsy but witless
By Noriko Hama
FT March 13 2011
Nuclear lessons from Japan
FP Sunday, March 13, 2011
The lessons of Japan's disaster and the losses it did and did not produce
Posted By David Rothkopf
いかなる大国も自然災害には勝てない。しかし、被害はランダムではない。その予測や、被害を抑える技術は不完全だ。
そして日本ほど、こうした災害に対する予測や、コストを抑える技術に、その産業と発明をもちいた国は無い。1万人を超える被害が予想されるが、より小さな地震(しかも津波はなかった)であっても、準備のない、貧しいハイチでは25倍の犠牲者を出した。
福島原発事故の性質によっては、より深刻な被害も予測される。
しかし、自然災害に対して、日本は社会的な基礎が持つ回復力を規則的に示した。政府が示し、強制し、監視する基準がなければ、人々はむき出しのまま自然の猛威にさらされる。保険や資産についての明確な理解がなければ、復興は進まない。アメリカは学ぶべきことが多くある。
コーネル大学のThomas O'Rourke教授は、日本の地震と津波は自然災害の新しい標準的破壊力が高まったことを示す、と主張した。以前よりも大規模な破壊が、より頻繁に起きている。それは第一に、人々が危険な地域に、すなわち沿岸部などに、より集中して住むようになったこと、第二に、温暖化により海面が上昇していること、が理由ではないか。
そうであれば、犠牲になりやすい最貧困層が危険な地域に住むことを回避し、災害の直後に迅速かつ大規模な支援を行うべきだ。そのためインフラ整備の国際的な基金を設置し、災害が起きたときの迅速かつ効果的な反応を確実にする。
日本の災害には、多くの研究するべき成功例や教訓がある。
guardian.co.uk, Monday 14 March 2011
Japan's leader has been given a last chance for redemption
Masahiro Matsumura in Kobe
The Guardian, Monday 14 March 2011
Japan: the crisis mounts
FT March 14 2011
Nuclear power halted in its tracks
By Nick Butler
FT March 14 2011
How Japan’s economy will eventually rebound
By Mohamed El-Erian
甚大な人的損害を超えて、世界が日本の震災から影響を受けることを、5つの点で考えておくべきだ。1.日本の景気は当面落ち込むが、その後は復興事業による急速な回復を示す。2.サプライ・チェーンや在庫の破壊が一時的な不足やインフレ、生産の増加をもたらす。3.財政赤字と国債発行が増える。4.中央銀行は金利をゼロ近辺で維持し、そのために信用供与と現金を増大させる。5.日本は国として海外資産を売却し、海外で運用している日本居住者によるファンドも売却される。
日本は裕福な国であり、低利で借り入れることができるから、自然災害から経済的に立ち直ることができる。さらに回復のシナリオでは、災害が日本の政治的統一を促し、過去の経済運営における失敗を払拭する。
日本の迅速な回復は、世界景気や周辺諸国の利益にもなる。
March 14 (Bloomberg)
Roubini Earthquake Gloom Meets ‘Shock Doctrine’
William Pesek
ルービニNouriel Roubiniは、自信が最も悪い時期に日本を襲った、と述べた。日本は今こそ財政の債務依存を減らさねばならなかった。逆に、地震は三つの点を明確にした。
1.日本は覚醒するときだ。デフレ、賃金の低下、経済規模をはるかに超える債務、中国経済の抜かれても、国債の格付けが下がっても、日本は麻痺状態で何もしなかった。地震の前、政府は前原外相が辞任し、首相も政治資金を追求されて、最悪の時期だった。地震によって覚醒した政府は、債務を増やさずに復興しなければならない。
あるいは政治的な意志を欠けば、日本は、Naomi Kleinが指摘したような、市場自由化による急激な改革を強いられるかもしれない。いずれにせよ、日本の自由化・改革派は唱えていたことだが、大きなショックによって官僚の抵抗を抑え、日本企業が自由化と競争力を回復を実現するしかない。
2.中国との関係を改善する。韓国や日本を超えて急速に台頭した中国が、震災に苦しむ日本人に救援の手を差し伸べ、慰めの言葉をかけている。これまでの多くの対立を別にして、われわれは一つだ、と思っている。もしアジアが地域協力を進めるなら、中国と日本の指導者たちが一緒に働く関係を信頼できなければならない。震災がそのチャンスを与えてくれる。
3.日本人が自信を取り戻すときだ。震災直後の対応において、日本人は略奪や社会不安を招くことなく、世界に誇れる救援活動を示した。ここには、高度な礼節を重んじ、安定した、人民を大切にする国がある。建築基準と訓練、震災の教訓が、阪神大震災でも多くの命を救った。
もちろん、人々が悲しみと階層に耽るときである。しかしまた、明るい将来を見るべきときでもある。日本の政府はそれを目指している。
SPIEGEL ONLINE 03/14/2011
Japan's Chernobyl
Fukushima Marks the End of the Nuclear Era
チェルノブイリ原発は東欧の科学者の水準が低いから起きた、とドイツ政府は主張してきた。しかし、その傲慢さは否定された。福島原発事故は、原子力産業の9・11である。
原子力エネルギーの方が安価だ、という説明も信用できなくなった。
SPIEGEL ONLINE 03/14/2011
It's Time to Pull the Plug
By Roland Nelles
LAT March 14, 2011
Nuclear fails the test
FP MARCH 14, 2011
Leaks in All the Wrong Places
BY CHRISTIAN CARYL
FP MARCH 14, 2011
Nuclear Power Is Worth the Risk
BY JAMES M. ACTON
日本の原発事故を受けても、原子力エネルギーの拡大は続くだろう。いずれのエネルギーにもリスクはある。原発事故の可能性は低いが、そのコストは甚大である。
公共政策によって、この二つをバランスさせることだ。日本の事故は例外であり、自分たちには何も問題は無い、と主張しがちである。しかし、安全性の現状には問題があることを認めて、その欠陥を正すべきだ。
原子炉に閉じ込められた核反応は、何重にも、何重にも、安全装置が備えてある。これらの装置が同時に機能しないときしか、重大な事故は起こらない。そんなことは無いだろう、と説明してきた。しかし、限界を超えた大災害がすべての安全装置を破壊することは考えていなかった。
福島で、それが起きた。地震と同時に制御棒は入れられたが、冷却する必要があるが、そのための電源が失われ、すべてのバックアップが機能しなくなった。
原発を再開するためには、新しい安全基準が必要だ。地震についてより注意深く調査するだけでなく、洪水や地震、テロなど、すべての天災と人災について、安全性がチェックされねばならない。根本的に新しい原子炉の設計が必要だ。大衆が原子力エネルギーに対する信頼を回復しなければ、エネルギー供給の拡大に向けた、この産業は成功しない。
WP Monday, March 14
Japan’s nuclear crisis might not be the last
By Eugene Robinson
WP Monday, March 14
If the Japanese can’t build a safe reactor, who can?
By Anne Applebaum
災害の後には、その社会の強さが示される。結束と信頼、技術の高さ、そして優れた力量を日本人は示した。被災者は冷静で、プラグマティックであり、丁寧に、特には驚くべき気力で協力した。
しかし、日本における原発事故は一つの避けがたい疑問を生じる。こうした力量と技術水準を持った日本人が完璧に安全な原子炉を作れないとしたら、誰に作れるだろうか?
日本のような地震や津波が襲う国は例外だ、と思うかもしれないが、その他化にも災害や例外的状況は起こりうる。最新の最悪シナリオを考慮した、独仏系企業による「次世代」のスーパー・セキュリティ原子炉の建設が、数年前に、フィンランドで始まった。9・11以後の懸念として、航空機の墜落にも耐えられる、燃料棒の溶解も考慮した設計で、その費用は40億ドル、2009年完成予定であった。その後もさまざまな遅れが発生し、まだ完成していないが、費用は60億ドル以上になるだろう。
チェルノブイリ事故の恐怖がようやく去って、最近の気候変動を心配する情勢に対応して、原発建設がブームになっている。62基が建設中で、業界によれば、158基が計画中であり、さらに324基が提案されている。
しかし、日本の事故が教えてくれることは、原子力の本当のコストが高価な建設コストにとどまらないことである。放射能を帯びた廃棄物の処理コストは納税者が支払い、小規模な事故による清掃のコストは政府が支払い、大規模な事故における健康被害は社会が負担する、など。もし日本のような自然災害で原発が崩壊すれば、そのコストは世界が支払う。
われわれは原子力エネルギーの「真の」コストを何度も考えてみるべきだろう。それは現在の原発ルネサンスを終わらせる。
NYT March 14, 2011
Japan’s Multiple Calamities
WSJ MARCH 14, 2011
Japan and the Next Step for Disaster Preparedness
By JULIAN HUNT AND SIMON DAY
WSJ MARCH 14, 2011
Japan Does Not Face Another Chernobyl
By WILLIAM TUCKER
guardian.co.uk, Tuesday 15 March 2011
Japan's earthquake will cause a global financial aftershock
Peter Hadfield
1923年、強い地震が東京を襲い、都市のほとんどを破壊した。それは景気後退をもたらし、軍部の支配を早めただろう。しかし、世界の金融市場は何も感じなかった。
約90年後、日本の崩壊は世界の債券市場や株価に重要な意味を持つ。日本が世界中に投資している資金は、今後、どう動くのか? 震災によって多くの現金を必要とする個人や企業は、世界中から資金を引き揚げるだろう。日本はアメリカ財務省証券の世界第二の海外保有者である。また、保険の支払は、グローバルな再保険という迷路を通って、世界のリスクとなる。
The Guardian, Tuesday 15 March 2011
Nuclear power: After the flood
FT March 15 2011
Japan can meet the earthquake test
By Martin Wolf
悲劇から立ち直るとき、日本はより強くなれるだろうか? 災害に直面した日本が、その団結を20年に及ぶ経済停滞からの脱出にも生かせるだろうか?
震災は、世界の原子力産業、保険業に影響するだろう。しかし、復興が行われるのも確実だ。震災被害の推定額を、Goldman Sachsは16兆円(1980億ドル)とした。これは日本のGDPの4%であり、株価の下落(GDPの12%)はオーバーシュートだろう。
もし長引けば、電力供給が損なわれることの景気への影響が重大だ。グローバルな意味で、ニュージーランドやオーストラリアの災害に続き、民間の保険業には苦しい。しかし、最大の保険は政府が提供する。日本の財政赤字は、今年、すでにGDPの7.5%になる予想であったから、短期の復興事業追加は問題にならない。政府の債務は民間の貯蓄によって埋められる。日本は全体として見れば世界最大の債権国である。また、国民の税負担は国際的に見てまだ低いから、増税する余地があるだろう。
円高とデフレが起きることは、日本政府と日銀が抑えるはずだ。政府は改革に向けて国民を動かすチャンスを得た。日本では、企業の貯蓄がもっと利用されるべきだ。
March 15 (Bloomberg)
Debt Tsunami Battles Radiation for Biggest Risk
William Pesek
日本のバブル処理や原発事故における専門家たちだけによる処理の経験が、福島原発の情報に関しても国民や世界の不信感を強めている。
原発建設や事故に関して、もっと情報を公開して透明性を高め、国民の信頼を得ることが、事故後の日本政府やエネルギー政策にとって重要だ。
March 15 (Bloomberg)
Four Ways the U.S. Can Help Japan, Also Itself
Amity Shlaes
日本における震災を、アメリカからどのように支援するか? 伝統的な支援はもちろんだが、アメリカの政策を変えることで支援できる。日本がより高い成長を実現することは、中国の脅威を恐れず、また、アメリカの景気回復とアジアにおける中国への対抗力を得る上で有益だ。
1.貿易自由化や地域協力の条件を緩和する。2.インフラ投資を景気刺激策にしない。むしろ競争の促進だ。3.移民政策をオープンにさせるため、日本からの留学生を増やす。4.減税によってアメリカ経済を拡大する。
LAT March 15, 2011
Talk about a meltdown
Jonah Goldberg
原発事故を利用してエネルギー政策の転換をしてはならない。
SPIEGEL ONLINE 03/15/2011
Problematic Public Relations
Japanese Leaders Leave People in the Dark
By Wieland Wagner in Osaka, Japan
FP Tuesday, March 15, 2011
What ails global energy? Everything
By Steve LeVine
NYT March 15, 2011
In Japan, No Time Yet for Grief
By KAZUMI SAEKI
WP Tuesday, March 15
From Japan’s devastation, our Lisbon moment?
By Harold Meyerson
WSJ MARCH 15, 2011
Japan and the Broken Window Fallacy
By GEORGE MELLOAN
19世紀の経済学者Frederic Bastiatが指摘したように、「破壊は利益をもたらすものではない。」 震災の復興経済で成長率を高めても、それは富を増やさず、成長も続かない。
震災に直面して日本の政治的な結束を強まり、改革を実行する、という期待もあるが、逆に、ケインズ主義に冒された政治家たちが個人貯蓄を集める郵便貯金などを悪用し、インフラ投資によって公的債務を増やすだろう。
円高に直面した日銀は介入と金融緩和を続け、アメリカがハリケーン・カトリーナの後、長期の金融緩和で世界金融危機を招いたリスクを再現する。
FT March 16 2011
Nuclear power: Too hot to handle
By Ed Crooks and Sylvia Pfeifer
FT March 16 2011
The Japanese miracle is not over
By David Pilling
地震が襲ったとき、スーパーの店員たちは、避難するよりも醤油の瓶が棚から転落するのを押さえようとしていた。日本には資源がないけれど、人々の勤勉さが経済の奇跡を実現してきた。世界が長期の経済停滞を非難し、日本に飽きてしまっても、彼らは変わらない。
日本人は必ず奇跡を再現する。Wazawai wo tenjite fuku to nasu.
The Guardian, Wednesday 16 March 2011
Japan disaster: the cost of a crisis
March 16 (Bloomberg)
Earthquakes Don’t Add to the Wealth of Nations
Caroline Baum
震災後に日本経済は急速に回復すると考えるエコノミストたちは、楽天的なのではなく、間違った情報を得ているのだ。たとえば、Larry Summersだ。
ケインズは一般理論で、「ピラミッドの建設、地震、戦争でさえ、富を増やし」、非自発的失業を減らすのに役立つ、と書いた。これをFrederic Bastiatは批判した。日本は、復興事業によって豊かになるわけではない。
March 16 (Bloomberg)
Black Swan Earthquake Catches Tim Geithner Naked
William Pesek
Warren Buffettが言ったように、潮が引けば、誰が裸で泳いでいるかわかる。一つは、円高であり、もう一つは、アメリカのTimothy Geithner財務長官が抱える最大の不安、すなわち、日本によるアメリカ財務省証券の売却だ。
NYT March 16, 2011
For a Change, Proud to Be Japanese
By HIROKI AZUMA
FP MARCH 16, 2011
Japan's Black Swan
BY ROBERT MADSEN, RICHARD J. SAMUELS
FP Wednesday, March 16, 2011
Strategic implications of Japan's disaster
By Michael J. Green
WSJ MARCH 16, 2011
Support Japan Doesn't Need
WSJ MARCH 16, 2011
The Future of Nukes, and of Japan
By HOLMAN W. JENKINS, JR.
March 17 (Bloomberg)
Japan’s Disasters Loom Over Global Economy
Mohamed A. El-Erian
アメリカの金融政策を決める公開市場委員会(FOMC)は一つの重要な要因に言及しなかった。それは、日本だ。FOMCが日本の影響を見逃すはずはない。
日本の震災は、福島原発事故も加わって、世界に重大な影響を及ぼしつつある。また、復興事業をめぐる国債発行や海外資産の償還が重大な影響を及ぼす。そして、日本の震災が、孤立した問題ではない以上、中東の騒乱や石油価格上昇とも関連して、世界の供給条件に影響する。
SPIEGEL ONLINE 03/17/2011
Germany's Eco-Trap
Is Environmentalism Really Working?
(China Daily) 2011-03-17
Japan's nuclear grief
日本における原発事故は周辺諸国の関心を引くものだ。それは明らかに1979年のアメリカ、スリーマイル島の原発事故を超えているが、1986年のチェルノブイリ原発事故に匹敵するかどうかはまだ分からない。
WSJ MARCH 17, 2011
When 'Good' Is Better Than 'Best'
By JOSEPH STERNBERG
WSJ MARCH 17, 2011
Will Grief Turn to Anger in Japan?
By MICHAEL AUSLIN
地震の前に、すでに菅政権の終わりは時間の問題と思われていた。民主党政権への国民の期待は、今や、菅政権の行き詰まりと政治システムへの不信に変わっている。政治家にとって、この震災に対する発言と行動はチャンスであった。しかし、菅の姿は見えない。
震災によって強い指導力を求める国民の不満は、首相にますます厳しい目を向けるだろう。
l ユーロ危機と極右の台頭
The Guardian, Friday 11 March 2011
Eurozone crisis: The pain in Spain
FT March 11 2011
Missing the target
SPIEGEL ONLINE 03/12/2011
Summit Success for Merkel
Euro-Zone Leaders Agree to Expand Rescue Fund
By Carsten Volkery in Brussels
guardian.co.uk, Sunday 13 March 2011
Germany needs to resist the euro's sweet-smelling poison
Hans-Olaf Henkel
FT March 13 2011
Muddling through will not work this time
By Wolfgang Münchau
FT March 14 2011
Merkel’s nightmare: the voters’ revenge
By Gideon Rachman
ヨーロッパの首脳会談がユーロ圏の債務危機に対する解決策を示さずに終わることはない。そして、何カ月、何週間、何日、それが信用されるかが興味を引く。この週末のブラッセルでは4400億ユーロの救済基金強化策が決まった。それもリビアと日本の危機により影が薄れてしまう。疑いなく、危機は再現する。
なぜなら問題の性質が経済から政治に変わっているからだ。救済融資を与える国か、得る国かを問わず、EUのどこでも懐疑論が広まっている。諸国間の感情は悪化し、指導者たちによる妥協を不可能にしている。
アイルランドの例がその点を示す。アイルランドの新政権は高利貸的な水準を下げるように求めたが、極端に低い法人税を引き上げる、という条件を示された。景気回復の切り札として、新政権は投資誘致の政策を譲れない、主権の問題だと考える。他方、フランスやドイツの政府は、アイルランドの法人税「ダンピング」を許せない有権者に対して、譲歩を説明できない。
すべての政府が強い政治圧力を受けている。アイルランドのEnda Kenny首相はユーロ危機に憤慨する有権者に支持されている。フランスのNicolas Sarkozy大統領は国益を損なっていると極右・国民フロントのMarine Le Penに批判されている。ドイツのAngela Merkel首相は国内の有権者が懐疑論に傾いていることを恐れている。
このEUの政治経済情勢が妥協を不可能にしているのだ。ユーロをめぐる論争の両側で、中道派の政府を、ナショナリストや過激派の政党が攻撃している。打開策は見いだせず、経済危機は深まり、それがさらに政治的危機を招く。
ユーロ圏の改革に向けて、ドイツはフランスと一緒に提案したが、その内容はドイツの要求(財政赤字削減、年金支給年齢引き上げ)を入れたものだった。フランスと組むことで、それを隠したのだ。他方、フランスはEU内の弱さを隠した。ユーロ危機についてのドイツの立場に近いのはオランダだ。
オランダの政治家たちは、EUの創設に自分たちが果たした役割を誇りにするが、2005年のEU憲法で国民の否決にあった。その後は有権者の感情を反映して、移民でも財政支出でも、厳しい姿勢に転換した。それでも右派の拡大が続いており、自由党のGeert Wilders党首がイスラム教徒の移民やEUを批判して政治を動かしている。
メルケル首相は、ドイツにGeert Wildersが現れることを強く恐れている。フランスやオランダで極政党が支持を広げることは悪いニュースだが、ドイツでそうなれば破滅である。
こうしてメルケルは厳しい緊縮政策を融資の条件に求め、ギリシャなどの政治不安と破綻のリスクを長期的に強めてしまう。指導者たちは、債券市場と自国の有権者のどちらを強く恐れるべきか、わからないのだ。
SPIEGEL ONLINE 03/14/2011
The ECB and the Common Currency
Jean-Claude Trichet's Lonely Fight to Save the Euro
By Christoph Pauly
SPIEGEL ONLINE 03/15/2011
Toxic Assets
German Politicians Have Failed to Fix State-Owned Banks
By Christoph Pauly and Anne Seith
Der Spiegel, Tuesday 15 March 2011
Germany's banks still in dire straits
Christoph Pauly and Anne Seith for Spiegel Online International
SPIEGEL ONLINE 03/17/2011
Off the Mark
Why Ditching the Euro Would Be a Bad Idea
By Sven Böll
SPIEGEL ONLINE 03/17/2011
The Approaching EU Bailout
Portugal May Soon Go the Way of Ireland
l リビアへの軍事介入
SPIEGEL ONLINE 03/11/2011
Military Option Open
EU Demands Gadhafi Step Down
WP Friday, March 11, 2011;
A no-fly zone for Libya
By John F. Kerry
1991年の湾岸戦争で、イラク国民にフセイン政権打倒を呼びかけたけれど、軍事介入はしなかった。その後、フセイン政権は反対派を殺戮した。このままでは同じことが起きるだろう。
国連決議を急ぐべきだ。国際社会はスレブレニッツァの虐殺を繰り返してはならない。
WP Friday, March 11, 2011;
Obama's missteps on Libya cement Gaddafi's advantage
By Stephen Rademaker
WSJ MARCH 11, 2011
The Case for Backing Libya's Rebels
By PAUL WOLFOWITZ
FP MARCH 11, 2011
America Has Beaten Qaddafi Before
BY CHARLES DUELFER
FP MARCH 11, 2011
Stepping In
BY JAMES TRAUB
WP Friday, March 11, 2011
Gen. Wesley Clark says Libya doesn't meet the test for U.S. military action
By Wesley K. Clark(a retired Army general and NATO's former supreme allied commander in Europe)
ベトナム戦争後、アメリカは海外における軍事介入がいかに厳しい結果をもたらすかを学んだ、と言われた。しかし、その後もアメリカの軍事介入は行われてきた。Grenada (1983), Panama (1989), the Persian Gulf War (1991) and the Balkans (1995-2000)のように、成功例もあれば、Iran (1980), Lebanon (1982) or the Somalia (1992-94)のような著しい失敗例もある。
リビアへの軍事介入について、私は1984年のCaspar Weinberger国防長官が決めたガイドラインを修正して採用する。
「国益を理解すること。結果がそのコストに値するかどうか、決めよ。」 ・・・石油の供給は重要だが、アメリカはリビアからほとんど輸入していない。われわれはその地域における民主化を支持したい。しかし、すでにイラクとアフガニスタンでそうしている。そこで、第3の「人道的な理由」が重要になる。無防備な市民たちの命が暴力によって奪われることを、われわれは座視していられない。しかし、アフリカの内戦では数百万人が殺されただろう。リビアは比較にならない。簡単に勝利できるかもしれない。しかし、カダフィを権力から追い出すまで戦うことになる。それは地上軍の展開を含み、死傷者を出すだろう。
「目的を知り、想定される軍事行動がそれをどのように達成するかを知るべきだ。」
「介入の前に、政治的詰めを終えておけ。」
「アメリカ国民に支持され、外交的、法的な正当性を確保し、同盟国と一緒に行うこと。」
「アメリカ兵の犠牲者を出すな。」
「いったん決断したら、それをやり通せ。」
LAT March 12, 2011
War, what is it meant for?
The Observer, Sunday 13 March 2011
Instead of fearing another Iraq, the west must do right by Libya
Andrew Rawnsley
The Observer, Sunday 13 March 2011
Libya: The west can't let Gaddafi destroy his people
FT March 13 2011
Face down Gaddafi
FT March 13 2011
It is time for Europe to back a no-fly zone in Libya
Paddy Ashdown
NYT March 13, 2011
Iraq Then, Libya Now
By ROSS DOUTHAT
5年前、イラクがシーア派とスンニー派の内戦状態に陥って最悪の事態にアメリカが苦しんでいた頃、イラク戦争・「イラク・シンドローム」が今後のアメリカ外交そ支配するだろう、と言われた。
しかし、今、リビアに対する軍事介入を飛行禁止空域の設定として始めるにあたり、イラク戦争のはじまるときと同じような主張が展開されている。イラク戦争の教訓は、大量破壊兵器W.M.D.と結び付けて戦争を開始したラムズフェルドたちの失敗に要約されてしまった。
アメリカは、介入後の十分な計画を持たずに行動してはならない。アメリカは、介入し、支配するかもしれない地域について、十分な知識を予め持たねばならない。イラクがそうでなかったように、リビアについても問題だ。
どれほど周到な計画があっても、戦争はそれを超えて進む。もし東部の反政府勢力に資金や武器を与えれば、彼らが何をするか、誰にわかるだろうか? 内戦状態になれば、イラクでも、ユーゴスラビアでもそうだったが、地上軍による停戦が必要になる。侵攻、占領、国家再建。それらは飛び石に過ぎない。
戦争を支持するには、強固な戦略的ロジック、自国の国益に対する明白な脅威がなければならない。リビアについて、それはまだ支持できない。
NYT March 13, 2011
Fiddling While Libya Burns
By ANNE-MARIE SLAUGHTER
Wesley K. Clark、Wadah Khanfar、Ivo H. Daalder、に反論する。アメリカは、石油のためではなく、民主主義や人権を守るために戦う。偽善ではない。アラブ世界との新しい関係を築き、イスラム過激派の非難を退けるときだ。アラブの春にとって、欧米の介入は逆効果だ、という意見にも、民主化を助ける西側の姿勢を彼らに示すべきだ、と反論する。
空軍は重要ではない。介入で得られるものは不確かだ。むしろ、反政府派に武器を供給せよ。これらの主張にも反対する。
FT March 14 2011
A Libyan no-fly zone is only half an answer
By Philip Stephens
March 14 (Bloomberg)
Obama’s Libya Inaction Risks Missing an Opening
Lisa Anderson
SPIEGEL ONLINE 03/14/2011
The West's Nightmare
Europe's Leaders Fear Libya Could Become Next Afghanistan
WP Monday, March 14
Gaddafi has a long history as a killer — and must be stopped
By Richard Cohen
WP Monday, March 14
Does it matter if Gaddafi wins?
By Marc A. Thiessen
YaleGlobal , 14 March 2011
The World’s Responsibility to Protect Libyans
Ramesh Thakur
guardian.co.uk, Tuesday 15 March 2011
Europe fiddles as Libya burns
Simon Tisdall
FT March 15 2011
Only a no-drive zone can stop Gaddafi’s forces now
By Philip Zelikow
FP Tuesday, March 15, 2011
Take Qaddafi out!: An Egyptian view
By Thomas E. Ricks
WP Tuesday, March 15
The United States watches as Moammar Gaddafi gains
FP MARCH 16, 2011
Libya Is a Problem from Hell
BY JAMIE M. FLY
NYT March 16, 2011
Why Qaddafi Has Already Lost
By ALI ABDULLATIF AHMIDA
WSJ MARCH 16, 2011
It's Not Too Late to Save Libya
By MAX BOOT
リビア軍をたたくのは簡単だ。空母1隻 USS Enterpriseで足りるだろう。
guardian.co.uk, Thursday 17 March 2011
The fatally flawed logic of a no-fly zone
Michael Williams
戦闘計画は必ず狂う。それが正しいのは、敵と交戦するまでだ。飛行禁止空域の設定は遅かった。内戦がすでに始まってしまい、それは長期化して、オバマ政権を滅ぼす。
guardian.co.uk, Thursday 17 March 2011
Libya finally forces Barack Obama's hand as he goes for broke
Simon Tisdall
FT March 17 2011
Washington’s stark choice: Democracy or Riyadh
By Ian Bremmer
FP JANUARY/FEBRUARY 2011
Think Again: American Decline
BY GIDEON RACHMAN
アメリカ衰退・再論です。
WP Friday, March 11, 2011
Can the United States feed China?
By Lester R. Brown
WP Saturday, March 12, 2011;
The backlash against democracy
By Carl Gershman
FP MARCH 14, 2011
Managing a Changing World
BY BRUCE JONES
パワーのバランスが変わっても、国際システムを調整して、われわれは平和的な秩序を維持できるでしょうか?
FP MARCH 14, 2011
The Trouble With the BRICs
BY JORGE G. CASTAÑEDA
FP MARCH 14, 2011
Let Us In
BY CELSO AMORIM
WP Sunday, March 13
The global food crunch
By Robert J. Samuelson
FT March 15 2011
Brazil: Platform for growth
By Joe Leahy
FP MARCH 14, 2011
Bring Back Bretton Woods
BY BIAGIO BOSSONE
国際通貨制度の改革は、その重要な基礎です。
guardian.co.uk, Tuesday 15 March 2011
Guess which policy your central bank will pursue
Dean Baker
FT March 15 2011
Remove the risk incentive from bankers’ pay
By Jennifer Carpenter and Ingo Walter
FP MARCH 15, 2011
The Islamic Republic of Chechnya
BY TOM PARFITT
LAT March 17, 2011
Afghanistan, our longest war
Doyle McManus
LAT March 16, 2011
Help South Korea, not the North
By Brad Sherman
SPIEGEL ONLINE 03/17/2011
The Fries Revolution
Belgium's Political Crisis Foretells EU's Future
By Walter Mayr in Brussels
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