IPEの果樹園2011
今週のReview
2/28-3/5
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IPEの想像力 2/28/11
年金や医療保険制度の問題を解決しないまま日本の政治が紛糾していると、アラブ世界の民衆蜂起や石油価格高騰、国際的に波及する財政危機のせいで、議論の条件が一気に変わってしまうかもしれません。かつて、債務危機・財政危機によって、自由化・民主化を加速する国がありました。
貿易自由化と国際投資が盛んになったことで雇用が増え、グローバリゼーションが急速に受け入れられた後、通貨・金融危機による不況と政治不安、金融市場を安定化し、銀行を救済する政府の行動が増えました。さらに、極端な金融緩和や為替レートへの不満、食糧や資源の国際的な争奪戦が始まって、アメリカ中心の国際秩序が揺らいでいます。予想もしないほど急激に、そして広範に、エジプトの民衆デモは波及し、自由化とグローバリゼーションを称賛する声は消えて、革命・虐殺・難民・安全保障を指導者たちは懸念しています。
アメリカやEUがチュニジアやエジプトの政治改革を支援することで、革命後の混乱・不安を鎮め、民衆に支持される安定した政治体制が実現するでしょうか? それでも食糧不足やインフレが悪化し、石油輸出基地へのテロ、資源や武器を支配するための内戦状態が手に負えなくなる、という不安があります。日本の政府も、国際秩序の一部として、彼らの議論に参加しているのでしょうか? 諜報活動、移民・亡命・出稼ぎ、インターネットの自由、外交、軍事力、一方的に介入する、二国間交渉、多国間合意、国連安保理、さまざまな関与・介入の可能性が議論されています。
日本にとっても、すでに世界的な騒乱が始まっています。アラブ世界の王朝に不安が広まる中、サウジアラビアはどうなるのか? イランはどうなるのか? 世界の石油市場はどうなるのか? ロシアはどうなるのか? 中国政府はどう動くか? イスラエルがどう動くか? 北朝鮮は再び脅威を高め、戦争準備を始めるか? 「アラブの春」がアジアの革命を波及するとき、アメリカはどうするのか? 中国経済はどうなるか? 各地の難民はどこに向かうか? 人民解放軍はどうするか? ナショナリズムはどうなるか? タイ、ミャンマー、パキスタンは破綻国家になるのか? 朝鮮半島と核兵器はどうなるか?
エジプトには、東ドイツの破綻を救済する西ドイツ(あるいは、東欧諸国が参加したEU)がない。もちろん、日本もそうです。
エジプトには、政治対立よりも改革を進めるマンデラのような指導者がいない。もちろん、日本にもいません。
民主党は国会で野党との論戦をもっと持つ必要があります。あるいは、さまざまな政党をオープンにして、党員たちの論争を組織してはどうですか? 国民が知りたいのは、政治家たちが対立する事情ではありません。彼らが国民のために何をしているかです。
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京都大学、早稲田、立教、同志社、・・・入試における不正のニュースに驚きました。Yahoo知恵袋に入試問題を投稿し、回答が寄せられる。途中計算もよろしく!? ・・・何だ、これは。
厳しい身体検査をするしかない。飛行機の乗客に行うテロ対策と同じだ。電子機器のチェックを行い、すべて取り上げる。しかし、身体をチェックすることはどこまで許されるか? かつらや病気などの自己申告を認めるか?
鉛筆や時計の用意。そして、監獄と同じように、着替えもすべて用意する? しかし、情報技術は進化し続けます。左目で動画を送受信し、右目で解答をインターネット検索する眼鏡もある? インプラント(埋め込まれた医療器具)はどうするか?
エジプト政府や中国政府がするように、無線インターネットを遮断し、受験生を隔離する? 検索の妨害、内容の検閲を行うのか? イギリスの街のように、監視カメラを受験会場に乱立させて記録する?
むしろ、これはマンモス入試の終わりです。入試の存在理由が問われるでしょう。どの大学を卒業するかが就職や経歴のための重要な出発点だ、という理由で、学ぶことは「受験」と「大学入試」に矮小化されました。独裁国家を支える巨大な官僚制度が必要で、それを担う法・行政組織の知識、事務処理能力を高めるために、こうした制度が存在する理由があったのでしょう。今は違います。
有名ブランド化した大学が、全国で入試を行い、マンモス化を競う姿は異常です。富と権力がピラミッド型に集中する社会で生きる人々に、公平な競争条件を用意した大学入試は意味がなくなったと思います。イギリスの多くの社長は大学など出ていない、と読んだことがあります。
確かに、ハーヴァードもケンブリッジも、アジアからの受験熱に感染したようです。彼らが学ぶ知識や、政治制度まで含めた自由の可能性を、世界が試すことには意味があるでしょう。アジアの官僚独裁体制が世界の大学を侵食するのか、優れた教育システムがグローバルな社会・政治制度の革新を刺激する媒体となるのか、まだわかりません。
入試を廃止して、入学選考委員会がさまざまな方法で候補者を集め、個別に面談するようになるでしょう。すでに一部で始まっています。また、大学定員の一部から半数程度は、自由に受講できるようになるでしょう。公開講座や聴講生が正式に単位を認められ、卒業資格を与えられます。
大学で何をするか、何が学べるか。入試がなくなったとき、皆が真剣に考えるでしょう。・・・あるいは、養鶏場ビジネスを目指すのか?
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アラブ世界の革命 ・・・超大国の財政赤字 ・・・パリG20の課題 ・・・アイルランド危機と選挙 ・・・養鶏場ビジネス ・・・現代の革命 ・・・グローバル金融危機 ・・・3次元プリンターと都市の反乱
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主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, The Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
l アラブ世界の革命
FP Thursday, February 17, 2011
The struggle to define the Egyptian revolution
Posted By Nathan J. Brown
エジプト革命は勝利したのか? それはまだ確かとは言えない。移行過程がどのように進むか、まだ明確になっていない。革命は急激に起きたが、限定的である。
軍隊はエジプトの政治に重要な役割を果たしてこなかったし、今後、政権を長期に支配する兆候もない。軍政は憲法改正のための委員会を指名した。委員は専門家からなり、旧体制に近い者もいるが、委員長はエジプトの国民に支持された、体制に批判的な人物である。委員会の権限がどの程度あるのかわからない。清潔な選挙と大統領の決定を可能にする役割を担う。
今後、憲法改正の国民投票が行われ、議会選挙、そして、大統領選挙が予定されている。最悪のケースでは、これまでの体制が、穏健な、リベラルな形で残る。最善のケースでは、代議制民主主義が実現し、民衆に支持された大統領が政治システムを支配する。そして、任期が終われば選挙によって次の大統領を決める。
エジプトがそこで止まるか? この地域の若者たちが革命を望む気持ちは、もはや止められないだろう。ガザと西岸との分断を終わらせる、地域の支配体制に終焉を、というスローガンも見られる。1919年に同じような民衆の蜂起があった。しかし、イギリスは部分的な独立を与えただけで、革命の希望は実現しなかった。
WP Thursday, February 17, 2011
Bahrain's crackdown threatens U.S. interests
NYT February 17, 2011
Now Bahrain
Foreign Affairs, February 18, 2011
Green Movement 2.0?
Geneive Abdo
イラン政府はさまざまな情報の遮断と弾圧を試みています。しかし、デモの要求は強まるでしょう。「ムバラク、ベン・アリ、次はお前の番だ。」 「カイロでも、テヘランでも、独裁者に死を!」
Geneive Abdoは、アメリカ政府が明確にイランの反体制運動を支持することを求めています。アメリカが支持することは運動を妨げません。むしろ、アメリカが民衆を支持して、政治的弾圧や人権蹂躙を批判するなら、イラン政府の反米主義から力を奪うでしょう。
エジプトの民衆デモがムバラクを追放できたのは、オバマ政権がエジプトの軍にムバラクを見捨てるよう示唆したからです。イランに対しても、明確に政治体制の転換を支持するべきです。
guardian.co.uk, Sunday 20 February 2011
Gaddafi cruelly resists, but this Arab democratic revolution is far from over
David Hirst
LAT February 20, 2011
They're doing it without us
By Andrew J. Bacevich
アラブ世界に広がる騒乱は、この10年間にアメリカが取った外交政策について重要な判定となるものだ。中東の民衆は、自分たちの資源と手段によって地域の政治構造を変え始めた。それは「テロとの戦い」という戦略の意味を完全に失わせる。
9・11は、次の攻撃を防ぐためにイスラム世界全体の変化を、アメリカ自身がもたらす必要がある、と確信させた。イスラム教徒にはその力がなく、アメリカの軍事力が触媒となって、イスラム世界の転換をアメリカが実施しなければならない、と。自由はアメリカ軍の銃口から生まれる。
しかし、アフガニスタンでもイラクでも、その成果はせいぜい功罪半ばでしかない。他方、その損失は痛烈だ。財政的にも、失われた人命や道義においても。ほとんど見返りもないのに、莫大な浪費をした。
こうした実践は無用であることが分かった。イスラム世界の変化は機が熟していただけでなく、変化の衝動が内側から噴出したのだ。政治転換は外から押し付けられるものではない。その変化は有機的、自発的、自己持続的なのだ。
貧しく、不潔な生活に疲れた者たち、たとえ貧しくなくても、腐敗した専制的支配体制の下で繰る人でいた者たちが、自分たちを「解放する」ために、アメリカの指導や力など必要ないことを示した。彼らは解放の勢力を形成し、そのためにアメリカ国民は1セントも支払わなくてよい。
イスラム圏の自己解放が、繁栄する、安定した、リベラルな民主主義となり、イスラエルを受け入れ、西側と友好的な関係を築けるか、見守ることにしよう。その可能性は、歴史のいかなる時よりも、今こそ高まっている。アメリカにとって皮肉なことである。アメリカの上院議員が「歴史の正しい側でありたい」と述べたことは関心を引かないだろう。
アメリカは悔悟と謙虚さをもって学ぶときだ。1.歴史過程の全体は、たとえ超大国であっても、それを理解したり動かしたりできないほど複雑で、大きい。2.それを無視する傲慢さを持つ者は深刻な処罰を受ける。
同時に、そこに見出す小さな慰めは、カイロ、チュニス、トリポリ、アルジェ、マナマ、サナ、テヘランの街路を埋める人々が、われわれとそれほど違わない理想を掲げていることだ。彼らは、イスラム過激派やオサマ・ビン・ラディンと違って、近代化を望んでいる。もちろん、だからと言って調和的な共存が保証されるわけではないが、この要求の収斂は文明が衝突する宇宙を回避できる可能性を示す。
「イスラム圏の民衆が求める政治的自由と経済的機会が広まるとしたら、それはアメリカのおかげではなく、アメリカの介入があったにもかかわらず、そうなるのだ。彼らは自ら解放を成し遂げ、そのことはアメリカ人をも解放する。アメリカが誤って始めた彼らの運命を変える試みは、ついに終了するだろう。そのとき、われわれは彼らに大きな債務を負うのだ。」
FT February 21 2011
Arab spring will not see an economic boom
By Arvind Subramanian
若者の不満と通信技術がアラブ世界で次々に政治的動揺を誘発している。しかし、たとえ体制を崩壊させたとしても、この一見止めようがない力も動かしがたい障害にぶつかる。長年この地域に専制体制を続けさせたもの、すなわち、経済的レント(地代)である。
中東諸国の多くは、生活水準が高いにもかかわらず、民主的ではない。リビア、イラン、特にサウジアラビアは非常に豊かな国だ。政治的発展と経済的発展との乖離は、地代による呪縛で説明できる。
地代とは容易に手に入る金である。稼いだ富ではなく、何の苦もなく政府に流れ込む。中東において、それは石油による。輸出や歳入の大部分が石油であり、政府はこの富を使って反対派を圧殺し、体制を永続化できた。エジプトには石油が多くないけれど、海外援助、スエズ運河、観光業、そして、裕福な産油諸国で働く出稼ぎ労働者からの送金、が地代の呪いを形成した。
地代に依存する国では、政府が強固な政治システムを持たず、国民の意見も聞こうとしない。政治システムを倒しても、この石油の呪いは残る。民主的な政治を目指しても、政府は国民への課税を必要とせず、国営企業を改革して民間部門で富を創り出す必要がない。それは市民への合法的な課税が基礎となった真に民主的なシステムの誕生を止めてしまう。
経済制度も弱く、教育や熟練労働者の育成に失敗し、企業家が育たない。傲慢な官僚、法的な根拠の弱い所有権、支配体制の関係者とコネがないと企業の設立も難しい。民間部門の利益は、地代に頼る腐った政府とのつながりから生じている。
必要とされる経済の改革は、グローバリゼーションや市場改革という以上に根本的なものだ。地代への依存を終わらせることが第一歩である。それから、多くの失業した若者たちに雇用機会を与える民間部門のための制度ができる。政治の革命だけではだめだ。
Feb. 21 (Bloombeg)
Five Ways to Bring Investors Back to Egypt
John Sfakianakis
エジプト革命において、投資家たちはどのように体制転換を実現するか? 国際的なビジネスでは、資本を守ることが重要である。軍は安全と国家の防衛を担うが、政府はシステムへの信頼を得なければならない。
アメリカは1980年代以来、エジプトの同盟国として経済改革に関わってきたが、援助の寄生階級を生んだだけで、成長のエンジンにはならなかった。人口がやや少ないトルコがエジプトの4倍のGDPを生産するのは、5つの障害があるからだ。
1.クローニー・キャピタリズム。ムバラク体制下で国家と企業の癒着が進んだ。フィリピンでもインドネシアでも、その解体には時間がかかった。2.企業家を励まし、銀行は既存の企業より新興企業家、中小企業にもっと融資するべきだ。3.雇用創出。しかし、そのための成長が不平等な分配を強めるだけではいけない。4.分配を平等にする。インフレによる生活の悪化も、資本所有の偏りも、その解決は分配を修正することにつながる。5.成長を損なう規制を撤廃する。
「多くの人は1989年のベルリンの壁崩壊と比較しようとする。しかし忘れてならないのは、熱狂の後、ドイツは統一のための膨大な請求書に支払った。エジプトにはもっと豊かな国が待っているわけではない。」 「何より、エジプトはマンデラのような指導者を必要としている。マンデラは国家の統一を保ち、苦しみながらも前進させた。そのような優れた指導者がいても、前途は厳しいのだ。」
FP FEBRUARY 21, 2011
Lords of the Realm
湾岸への「革命」の波及を考える上で、この記事が有益です。
アラビア湾岸の王族たちは中東の騒乱が自分たちにおよぶとは思ってなかった。しかし、もはや遅いだろう。最後の数週間、彼らが何者であるか、思い出しておこう。
現在の支配者たちは、イギリスが作りだした者の子孫である。19世紀のイギリス帝国は植民地支配の経費と格闘しており、ペルシャ湾岸の新しい属領を当時の部族と条約を結んで低コストの保護領にした。イギリスは部族をあらゆる脅威から守り、それと交換に、インドに至る重要な海上輸送路を海賊から守る、という合意であった。
1933年までに、the Arabian American Oil Company(ARAMCO)が創設され、彼らの資産は西側の利益と結び付き、石油の豊富なアラビア半島の政治的空白を埋めることになった。
「帝国後の、20世紀後半における繁栄は、アラビア湾のさまざまな王朝は市民たちとの社会契約を拡大し、「支配の合意」を得ることで権力を固めた。石油の富の一部を、補助金や住宅、福祉、公共部門の雇用、などの形で受け取り、住民の多くは政治参加を放棄した。他方、多くの外国人労働者を輸入し、彼らは自国よりも高い賃金を得たが、いつでも国外追放され、市民権は決して認められなかった。こうした環境で、王族は由緒ある部族の指導者と言う役割を、現在の役割、すなわち、閉ざされた監視社会、人権蹂躙のおぞましい記録を持つ警察国家の監督官僚へと、静かに変化させた。それは2011年以前のアラブ世界における他の独裁者たちと構造的に何ら変わるところがない。」
WP Monday, February 21, 2011
In the Arab world, it's 1848 - not 1989
By Anne Applebaum
2011年のアラブ革命は、1989年の東欧革命よりも、1848年の革命(諸国民の春)に似ている。東欧の革命はすべて類似の経過をたどった。なぜなら、単一の政治的事件であったからだ。各地の独裁者たちが、突如としてソ連の支持を失った。
アラブ革命はそうではない。経済、技術、人口など、さまざまな次元からなっている。それは各国で異なる志向や意味を持つ。1848年の革命も、リベラルな、国民的民主主義の理想によって鼓舞されたが、中産階級の街頭デモは異なった目標を掲げていた。ハンガリーはオーストリアのはプスブルグ朝による支配から独立すること、ドイツはドイツ語の話す人々が一つの国に統一されること、フランスは王制を再び廃止することであった。国によってはエスニック集団間の戦闘が始まった。また他の国では、外国による介入で革命が止まった。
1848年の蜂起のほとんどが失敗に終わった。歴史家のA.J.P.テイラーは1848年を「歴史が転換点に到達して、転換に失敗した」瞬間、と述べた。
しかし、より長い目で見れば、1848年に語られた理想は文化に反映され、革命的な計画のいくつかは実現したのだ。19世紀の終わりまでに、ビスマルク宰相がドイツを統一し、フランスは第三共和制になった。ハプスブルグ朝に支配されていた諸民族は第一次世界大戦後に独立した。1849年には、1848年の革命を破滅的と思っただろう。しかし1899年や1919年から振り返るなら、それらは達成された変化の始まりのように見えた。
人々は民衆のデモ以外に各国の重要な要因を見ていない。エジプトの軍、バーレーンの宗派対立、国による「イスラム」の異なる意味、暴力的弾圧を決意したリビアと、それを避ける国。政治変化は、民衆の蜂起よりも、交渉によって行うほうが成果を上げるだろう。テレビは問題を単純化し、映像として目立つ事件を強調し過ぎる。その直線的な物語は幻想だ。1848年もそうだったように。
歴史は混乱に満ちている。
SPIEGEL ONLINE 02/22/2011
Flashpoint in the Gulf
Tiny Bahrain Poses Big Headache for the West
By Alexander Smoltczyk in Manama, Bahrain
FT February 22 2011
Prepare for a shock from the Middle East
By Mohamed El-Erian
世界の資本市場はエジプトやチュニジアに関心を示さなかった。それは当然だ。西側の銀行には巨額の預金も債務もなく、重要な輸出品もない。しかし、それは間違いだった。あと数日で、エジプトがアラブ世界の革命の触媒であったと分かるだろう。すべての支配者が、そして世界市場が動揺する。
FT February 22 2011
Prepare now for a Saudi oil price shock
By Michael Levi
FT February 22 2011
My vision for the next phase of Egypt’s revolution
By Mohamed ElBaradei
エジプトの「第二共和制」に向けた変化を求めています。
guardian.co.uk, Tuesday 22 February 2011
This is an Arab 1848. But US hegemony is only dented
Tariq Ali
WSJ FEBRUARY 22, 2011
The U.S. Can Help Libyans Defeat Gadhafi
By PAUL WOLFOWITZ
ネオコンのWOLFOWITZだから、アメリカは国際秩序の正しい面を行動によって支持するべきだ、と考えます。カダフィを止めるためにアメリカ政府は明確に発言し、行動しなければならない。カダフィは最悪の卑劣な独裁者であるから。体制を転覆するために立ち上がった勇気ある人々を助けるために、その人道に対する犯罪を調査させ、国連安保理を動かすべきだ。
カダフィはアフリカでCharles TaylorやFoday Sankohのような殺人狂を育てた。リベリア、シエラレオネ、その他の諸国で、数十万人が殺害された。リベリアだけでも、人口の5%、20万人が殺されたと推定される。パンナム107便を爆破して、無辜の市民270人を殺させた責任もカダフィにある。
殺人狂のカダフィを倒すために戦うリビア人に対して明確な支持が求められているときに、アメリカ政府が発する曖昧な言葉を理解することは困難だ。
独裁体制が崩壊した後、リビアで何が起きるかわからない。市民組織は存在しない。外国人傭兵が民兵集団を率いている。イスラム原理主義の集団が支配を拡大する恐れが強い。
NYT February 22, 2011
If Not Now, When?
By THOMAS L. FRIEDMAN
WP Wednesday, February 23, 2011
Obama's moment in the Middle East - and at home
By William Kristol
国際的な人道主義を支持する(そして、ネオコン?)と思われるKristolも、オバマが支援をためらっていることに不満を示します。
正しいことを支持しなければならない。それはアメリカの名誉と義務の問題である。たとえ革命が失敗するかもしれない、あるいは、ほぼ確実に失敗するとわかっても、独裁者を倒す側に支援を与えるべきだ。オバマは受け身であってはならない。
WP Wednesday, February 23, 2011
A tough balancing act for Jordan
By David Ignatius
Ignatiusは、改革に対する人々の複雑な反応を強調します。ヨルダンの政体には二つの側面("Meds" 地中海的な近代文明and "Beds"ベドウィンの伝統文化)があります。開明的な若い国王と王妃が革命を恐れているからではなく、むしろヨルダン国内の改革と保守に依拠する王室の困難なバランスが、彼らの手を縛ります。
FT February 23 2011
Saudi’s $36bn bid to beat unrest
By Abeer Allam
FT February 23 2011
Iran will benefit from this Arab spring
By Suzanne Maloney
FT February 23 2011
The feeble monster
FT February 23 2011
Middle East: Uncertain horizons
By Tobias Buck in Jerusalem
guardian.co.uk, Wednesday 23 February 2011
On Libya we can't let ourselves be scarred by Iraq
Ian Birrell
FP FEBRUARY 23, 2011
Neocons and the Revolution
BY JACOB HEILBRUNN
「アラブの春」に、ネオコンの大論争復活? 中東民主化は正しかった? 革命支持のために軍事介入を? 自由や人権より、右派の軍事体制が良い?
FP FEBRUARY 23, 2011
What I got wrong about the Arab revolutions and why I'm not losing sleep over it
Posted By Stephen M. Walt
WP Thursday, February 23, 2011
Why was President Obama last to speak up on Libya?
NYT February 23, 2011
On the Line With Libya
By NICHOLAS D. KRISTOF
トリポリの軍関係者と電話がつながった。彼らは、カダフィを権力から追放するためにアメリカが支援するいくつかの方法を示した。
海軍は反政府勢力に支配された地方都市に戦艦を派遣し、彼らを攻撃する命令を受けた。しかし兵士たちは民間人を殺傷することを強く嫌っている。同時に、命令に背くことで処刑されることを恐れている。海軍内部で激しい論争がある。政府を批判しないけれど、カダフィを支持する兵士たちの演説を反政府派の兵士たちが黙らせた、という。
空軍の基地でも、兵士たちは離陸を拒んでいる。戦闘のどちらの側にも立ちたくないからだ。部隊の指揮官は直接に命令に背くつもりはない。しかし、彼らは動かず、闘いの行方を見守っている。
アメリカは彼らのシグナルを送るべきだ。銃を向ける相手が逆である、と。アメリカはリビアに進行するべきではない。しかし、国際社会は兵士たちに一層の影響力を行使するべきだ。
John Kerry上院議員, the Genocide Intervention Network, the International Crisis Group、などは提案している。
・自国を爆撃する命令を受けた飛行士たちに避難所を設ける。・カダフィ家族の資産凍結など、リビアに対する金融・経済制裁を行う。・政府による民衆への空爆を防ぐために、飛行禁止区域を設ける。・アラブ連盟やアフリカ連合を促して、リビアが自国民を殺害していることを非難する。カダフィの煽るナショナリズムを否定する。・カダフィを人道に関する罪で国連安保理が国際刑事裁判所に告発する。
これらによってもカダフィの虐殺行為を抑えることはできないだろう。しかし、より多くの軍関係者が政府の命令から離れ、また、アラブ世界の他の独裁者たちに教訓を与えるだろう。
WSJ FEBRUARY 23, 2011
The Federal Reserve Is Causing Turmoil Abroad
By GEORGE MELLOAN
バーナンキの金融緩和が、世界の食糧価格高騰を介して、中東における民衆蜂起を促した。抗議の声はワシントンと繋がらないが、中央銀行家たちにつながっている。G20はアメリカによるインフレの輸出を非難した。
1970年代後半、アメリカの金融緩和とともに、イランの抗議デモとイスラム革命は起きた。当時、イランでは石油ブームによって、職を求める多くの農民たちがテヘランに集まっていた。アメリカの金融緩和とドル安は通貨リアルの購買力を失わせ、民衆の怒りは国王に向けられた。王室はずっとアメリカの側にあったのだが。
今や、同じことがイランで起きている。そしてアメリカの側に立つ政府ができるかもしれない。だが、エジプトでも、バーレーンでも、アメリカの友好国で騒乱が起きている。アメリカ国民も、中国人も、連銀の金融緩和によるインフレから逃れられない。そして1979年のように、アメリカの政治混乱をもたらすことまで、連銀は精査しているのか?
LAT February 24, 2011
Libya: To oust a tyrant
By Sarah Leah Whitson
The Guardian, Thursday 24 February 2011
Libya: The urge to help
外の世界がリビアにおける虐殺を止めるため、何ができるのか? カダフィの独裁体制が早く崩壊することは望ましい。しかし、サルコジたちが唱えた経済関係の全面断絶、カダフィの資産凍結を求め、キャメロンが唱えた国連のより強い非難声明を求める。サダム・フセインのイラクに行使された飛行禁止空域や地上軍の派遣まで議論しているが、制裁には必ずしも効果がない。
すでに経済は混乱状態だ。石油輸出基地は機能を停止し、労働者を追いだしている。商店は略奪され、建設作業は中止され、港からは船が脱出するだけで何も入ってこない。制裁が次第に支配体制を弱めるとしても、一気に変化することはない。資産凍結も、短期的には、カダフィ一族による反政府勢力弾圧を強めるだろう。
ヨーロッパの指導者たちがこうした制裁を議論するのは、むしろ自分たちの国の有権者に訴えたいからだ。そして、中東の民衆にも自分たちがどちらの側に立つかを示したいのだ。彼らはチュニジアやエジプトで逡巡した姿勢を後悔している。しかし、彼らの発言はシンボルであって、行動ではない。
リビアの騒乱と虐殺が続くなら、飛行禁止空域などの軍事的介入が求められるが、それは中国やロシアを含めて、国連で合意しなければならない。最悪の場合、化学兵器や生物兵器まで使用して、カダフィの抵抗は長期に及ぶだろう。その場合、地上軍による介入も考慮されるが、エジプトにその能力があるので、他のアラブ諸国や西側の支援とともに行われることが重要だ。
WP Thursday, February 24, 2011
In the Middle East protests, a seismic shift
By Fareed Zakaria
中東革命は、この地域全体に地震の波を広げている。
おそらく1000年ぶりに、アラブの民衆は自分たちの政治を変える力を得た。11世紀以来、モンゴル、ペルシャ、トルコの軍隊に支配されてから、アラブの土地は外国の軍隊によって管理されてきた。数世紀に及ぶオスマン帝国の支配が衰えると、18世紀後半からヨーロッパの支配拡大が起きた。第一次世界大戦後、オスマン帝国の遺物を寄せ集めて、イギリスとフランスが近代の中東諸国を創った。
第二次世界大戦後、ヨーロッパの諸帝国は崩壊し、中東は米ソ両大国の緊張状態に置かれた。双方が軍事的保護や』援助の約束を与えて同盟を形成した。ソ連崩壊により、アメリカが唯一の外部勢力となったため、リビアが核開発を放棄して関係修復したように、アメリカに従った。イランだけはアメリカの覇権に対抗したが、レバノンを除いて成功していない。
地域の部族長や国王、将軍たちは、常に外部の帝国と組んで支配を続けてきた。彼らは外部勢力との交渉に長けていたが、自国の住民たちに対しては、交渉するより武力と賄賂で黙らせた。
アメリカに生じた二つの変化が、こうした中東地域を変えた。一つは、アメリカ政府が中東の独裁者を支援することが反米主義を強める、と認識したことだ。アメリカは次第に改革を求めるようになった。もう一つは、アメリカの支配力が弱まったことだ。
ジョージ・W・ブッシュはあからさまに自由や民主化を唱えたが、オバマはより慎重に、支持するだけで押し付けない、と宣言した。それは消極性を非難されたが、2011年の民衆蜂起をアラブ自身の政治革命とする上で非常に重要な意味があった。
今のところ、オバマ政権は各国の事情に応じた政策を示している。しかし、この歴史的転換を通過する中で、アメリカの中東戦略全体を見直すときが来る。
WP Thursday, February 24, 2011
For the Mideast, a code for rising democracies
By Tzipi Livni
l 超大国の財政赤字
NYT February 17, 2011
Tomorrow Never Comes
By DAVID BROOKS
WP Thursday, February 17, 2011
In an era of tightening budgets, can America remain a superpower on the cheap?
By Michael Mandelbaum
財政赤字削減を行う超大国の外交政策はどうあるべきか?
地域の配置や戦略の見直し、特に、財政負担が多く効果の乏しい、遠方の外国における政治制度や文化を改造する作業には関与しないこと。旧地域、すなわち、中東、ヨーロッパ、東アジアにおける負担を減らし、新地域、すなわち、ソマリア、ハイチ、ボスニア、コソボ、特に、アフガニスタンとイラクへの負担は減らさない。諜報活動や巡航ミサイルによる介入が主な手段である。
しかし、中東は石油の世界的な埋蔵地であり、その供給を確保することは重要だ。エジプトが安定した民主国家になることを支援し、アメリカに敵対するイランの核保有を防ぐ必要がある。ヨーロッパや東アジアでは、たとえ衝突が起きても、ロシアも中国も貿易や投資によって平和的な関係が維持されることを望んでおり、アメリカは地域を安定化を負担を減らしつつ担うことができる。
「アメリカはより厳しい財政的な制約の中でも、多くの挑戦者を加える21世紀を、主要国間の衝突を回避し、大不況を緩和し、繁栄と成長の時代にする条件を維持できるだろう。」
FT February 20 2011
All in a flap about America’s deficit
By Clive Crook
WP Sunday, February 20, 2011
There's still hope for dealing with our debt challenges
By Erskine Bowles and Alan Simpson
l パリG20の課題
FT February 17 2011
To end the food crisis, the G20 must keep a promise
By Jeffrey Sachs
世界的な商品市場の高騰を解決することがG20の重要な課題である。一つは、アメリカが量的緩和策をやめること。もう一つは、特にアフリカで食糧生産性を高めることである。そのカギは、アフリカの農民に十分利用できていない金融的な支援を増やすことだ。
FT February 18 2011
Another harmless G20 meeting
サルコジ大統領はグローバル・ガバナンスの改善をテーマに掲げたが、それほど遠大な計画は何もない。
赤字国と黒字国との対立は、アメリカ財務省の提案した経常収支不均衡の指標化について、中国もドイツも反対している。彼らが同意しなければ、為替レートや資本移動の共同管理は不可能だ。
サルコジは中国とともにドルを中心とした国際通貨制度の改革を求めていた。しかし、人民元が国際化しない以上、SDRに組み入れることはできないし、SDRはドルに代わる通貨ではない。
最も緊急の課題は、国際商品価格の高騰だ。各国に暴動やインフレをもたらし、世界景気の回復を挫くかもしれない。しかし、解決策は何もない。政策担当者は市場メカニズムに介入するべきではないからだ。基本的に生産体制を強化すること、農業の生産性改善に投資することである。また、世界市場の開放性を保つことが重要だ。
YaleGlobal , 18 February 2011
The Looming Food Crisis
David Dapice
(China Daily) 2011-02-18
No more quick fixes
(China Daily) 2011-02-18
China's real responsibilities
By Qu Xing
(China Daily) 2011-02-18
China must change to be on top
中国のChina Dailyは、G20を異なる視点でとらえています。G20が世界経済の安定と成長を回復する計画を欠いていることを批判します。中国に求められる国際的責任論が国内の発展を妨げるような内容を拒みます。そして、世界第2位の経済規模が発展途上国としての中国に求められる国内改革として5カ年計画を進めている、という宣言で終わります。
FT February 19 2011
G20 strikes compromise on global imbalances
By Ralph Atkins and Quentin Peel in Paris
中国の反対を押し切って指標の採用を合意した。
(China Daily) 2011-02-21
China should be judged properly
By Fu Jing
人類の5分の1を無視するようなG20の議論を、西側の報道は歪めて伝えている。
l アイルランド危機と選挙
guardian.co.uk, Friday 18 February 2011
Ireland's austerity plan is self-defeatingly harsh
Will Hutton
FT February 20 2011
Earthquake on the Emerald Isle
FT February 21 2011
Only a new republic can stop Irish serfdom
Michael O’Sullivan
財政赤字と債務危機に苦しむアメリカ議会、ユーロ危機に翻弄されるEU諸国の指導者たち、アラブ世界の独裁体制に対する民衆蜂起、・・・ 経済危機に対して、選挙によって示されたアイルランドの政変は正当です。
同時に、アイルランドは金融政策を持たず、しかも、銀行危機による財政破綻を回避するためにEU・IMFからの融資を受けました。その返済条件は有権者によって受け入れがたい、と判定されたのです。
FT February 22 2011
Ireland needs help with its debt
By Martin Wolf
金融危機の責任は誰にあるのか? 誰が負担するべきか?
過去3年で国内需要が22%減少し、失業率は4.6%から13.3%に上昇した。1994年から2000年の経済成長は本物であり、ユーロ圏に参加していなければブームは次第に去っただろうが、金利が低いまま不動産投機に火が付いた、とPhilip Laneは指摘する。それは信用の膨張と一握りの不動産開発業者による投資であった。外国からの融資も拡大を加速した。
世界金融危機が資本流入を止めて、パニックの中、2008年9月、政府は民間銀行の債務を保証した。それは不況とともに財政破綻に至る。破たんとデフォルトを回避することはできなかっただろう。銀行はECBに支えられ、政府はEUとIMFに支援された。それによって金融危機と財政破綻が波及することを回避した。
アイルランドには三つの危機が重なっている。経済の崩壊、金融の膨張、財政破綻。銀行システムを再建するために必要な資本増強策で比べれば、アジア通貨危機の韓国がGDPの31%、アイルランドは36%だ。アイスランドは13%でしかない。
経済の再建は見通しが立たず、資本市場で債券を発行できないまま、アイルランドは外からの金融支援追加か、財政赤字削減を続けるだろう。債務の超過は明らかである。EUは、金利を下げるか、優先債務や劣後債を免除することでアイルランドの経済再建を促すことができる。
そもそも、こうしたデフォルトや債務免除が波及することを回避するためにEUはアイルランドを支援したのだ。しかし、アイルランドの納税者が債務を支払い続けることは不公平であり、不合理だ。もしEUが優先債務や劣後債の返済を求めるのであれば、アイルランドの国民だけでなく、EU全体がそれを負担するべきだ。
危機の教訓は、ミンスキーが警告したように、金融部門の自己実現的なユーフォリアがパニックに終わること、ユーロ圏への参加は甚大な経済ショックをもたらしうること、ドイツ政府が求める財政健全化ではそれを防げないこと、である。こうした危機は民間部門の行動がもたらしたものであり、それを是正しなければならない。
FT February 22 2011
Ireland: A vote in a void
By Tony Barber and John Murray Brown
The Guardian, Wednesday 23 February 2011
Ireland: A change too far
Vanity Fair, March 2011
The Economic Crisis
When Irish Eyes Are Crying
By Michael Lewis
アイスランド、ギリシャに続いて、『ライアーズ・ポーカー』の著者Michael Lewisがアイルランドで起きたことを物語っています。
「2000年、突如として世界で最も裕福な国民の仲間入りしたアイルランド人は、互いに国を売買することに決めた。」
経済学の教授Morgan Kelly (University College Dublin)が異常さに気づいたのは、不動産市場の「ソフト・ランディング」という愚かな話を聞いたとき、2006年でした。
SPIEGEL ONLINE 02/24/2011
Rage against the Political Machine
Election Will Herald a New Era in Ireland
By Carsten Volkery in London
l 養鶏場ビジネス
SPIEGEL ONLINE 02/18/2011
Germany's Chicken Wars
The Controversial Practices of Poultry Mega-Factories
By Nils Klawitter
工業化された養鶏場ビジネスに反対するドイツの運動を紹介しています。
生きたものでも鶏は材料であり、それは卵や鶏肉となって、できるだけ迅速かつ効率的にスーパーマーケットに送られて棚に並ぶ。50年前は、約2カ月かけて育てた1キロの鶏が処理された。今ではわずか33日で1.6キロに育ち、処理されてしまう。ボックスで育てられる鶏や七面鳥は自力で立つこともできない。・・・利益を上げるビジネスにとって、健康なニワトリなど必要ない。
ドイツの養鶏は成長産業です。2003年から2009年に処理された鶏肉は40%増え、130万トンに達しました。世界で毎年500億羽以上が殺されています。こうした現実に対して、環境保護主義だけでなく、さまざまな市民運動も次第に監視を強め、反対の声を上げています。
The 'Chicken Highway' とは何か? アウトバーンA7のSoltau−Northeim間で約200の新型養鶏工場が稼働しているために、こう呼ばれるそうです。場所によっては、工場と反対派との間で"chicken war"が起きています。動物解放戦線the Animal Liberation Frontなどは工場に放火して、成果をインターネット上に公開しています。
かつて鶏は約15年生き、年に36個の卵をうみました。今では年に300個の卵を産みます。大量生産のシステムでは、産卵用の雌鶏が1年間の産卵で殺されます。新しい雌鶏に産ませる方が効率的だからです。1950年代に、レストラン・チェーンが増える過程で、鶏肉の需要が増え、鶏肉用と産卵用のラインを分けたシステムが発達しました。1935年から95年の間に、鶏の体重は65%増加し、寿命は60%短縮されました。産卵用として生まれる鶏がオスであれば、体重もなく、卵も産めない彼らに用途はありません。その結果、毎年4000万羽が殺されています。
二つの系列グループが、このシステムが病気の感染に弱いため、厳しい管理体制の下で競争しています。そのひとつ、Lohmann Tierzucht (LTZ)は、動物の権利擁護運動のthe Ethical Treatment of Animals (PETA)や州検察から嫌疑を受け、捜査されています。
システムの中で何が行われるか、規制しなければ恐ろしい事態が起きかねない。消費者は安全のためにも監視を求めます。鶏たちは非人間的に扱われ、東欧の劣悪な労働条件と、大豆の生産で痩せた土地に建つ養鶏場から、安価な鶏肉が届きます。それでも雇用を求める地域経済は歓迎するでしょう。
l 現代の革命
FT February 18 2011
Why the world’s youth is in a revolting state of mind
By Martin Wolf
チュニジア、エジプトのデモに参加する若者たちと、イギリスの授業料値上げに反対する若者たちとは、何が共通するのか? 人口構造の変化です。若者が老人よりも多い国では、投票によって変化を起こせます。逆の場合、老人たちが政治を支配しています。
人類の歴史は、若者の人口が増え、女性の子供を産む人数が減り、寿命が延びて老化が進みます。その過程で、すべての社会において、若者たちへの雇用機会を十分に増やせないとき、多くの暴動が起きます。
NYT February 18, 2011
Empire at the End of Decadence
By CHARLES M. BLOW
アメリカは先進国か? 幻想だ。オバマのスローガン、「未来を勝ち取る“win the future”」も実現は無理だ。過去の影響にすがるだけ。IMFの「先進諸国」について、データを比較してみれば。
guardian.co.uk, Tuesday 22 February 2011
We owe the internet for changing the world. Now let's learn how to turn off
Jonathan Freedland
アラブ世界に革命をもたらした、と議論するなら、インターネットに依存した生活は私たちに何をもたらし、何を変えたか? Richard Dawkinsのように楽観論者は、世界中でインターネットにアクセスする人々が瞬時に連絡し、情報を得て、反応するとき、一つの神経組織のような働きをするだろう、と考える。「人類の社会は、事実上、一個人のように動き出す。」
しかし悲観論者は、思考や文明の質が劣化する、と考える。インターネットに依存するほど、人々は瞬間的に情報を求めて思考を持続することがない。一人で偉大な作品を創造することなどできるだろうか? 実際、インターネットとのアクセスを切断するデバイスが登場している。
guardian.co.uk, Saturday 19 February 2011
The dark side of the 'Indian dream'
Priya Virmani
WSJ FEBRUARY 23, 2011
Back to the License Raj?
guardian.co.uk, Saturday 19 February 2011
A fresh chapter is opening in Africa's history
アフリカはもはや植民地や飢餓や内戦の世界ではない。若い指導者たちは野心を実現し、成功している。
アフリカは今後20年間の予測として中国よりも高い成長率を実現するだろう。すでに10億ドル以上の収入があるアフリカ企業が100社ある。2050年までに、アフリカの11の大国を合わせたGDPはロシアや中国を抜くだろう。アフリカには、世界のまだ利用されていない耕作可能な土地が、その60%ある。アフリカへの直接投資は他のいずれの途上国よりも高い収益率を上げている。
アフリカには、資源や農産物の価格上昇が有利な条件であり、中国からのインフラ投資が大陸の姿を変え、通信、銀行業、小売業も成長しています。汚職は資源採取側の問題でもあり、透明性を高めることが重要だ、と記事は主張します。
The Observer, Sunday 20 February 2011
It's time the world listened to new stories out of Africa
Ian Birrell
FT February 20 2011
A misguided German narrative of the crisis
By Wolfgang Münchau
ドイツからの財政移転は起きている、というドイツ人の間違った理解は深刻です。ドイツ国民はECB総裁をドイツ人Axel Weberが務めることを願いましたが、それもかなわず、メルケル首相は加盟国が自ら憲法を改正して財政赤字を禁止するように求めています。これはドイツでもできない、間違った方針だ、と批判します。
FT February 21 2011
Europe’s reforms may come at a high price
By Axel Weber
ユーロを健全に保つため、ECBによる国債購入を許さない。
SPIEGEL ONLINE 02/22/2011
Return to the Drachma?
Economists Warn Greece May Have to Quit Euro
guardian.co.uk, Monday 21 February 2011
Can a 'private navy' see off Somalia's pirates?
Dan van der Vat
LAT February 23, 2011
The scourge of Somalia
SPIEGEL ONLINE 02/21/2011
Flight to Europe
Lacking Faith in Future, Tunisians Take to the Boats
By Fiona Ehlers
SPIEGEL ONLINE 02/21/2011
'The Situation is Escalating'
Europe's Frontex Border Guard Stretched to Limit
By Christoph Schult
l グローバル金融危機
SPIEGEL ONLINE 02/22/2011
Former British Prime Minister Gordon Brown
'We're at a Huge Transition Phase in Our History'
リーマン・ショックのときイギリス首相であったゴードン・ブラウンへのインタビューです。ブラウンは公的資本注入を発表し、イギリスの主要銀行を事実上国有化しました。アメリカのTARPによる不良債権買取は機能していなかったからです。リーマン・ショックが世界経済危機にどれほど近接した瞬間であったか、人々はまだ正しく理解していない、と考えます。
もしそれが失敗していたら、銀行は取り付けにあったかもしれないのに、当時の各国政府や銀行幹部に危機意識が無かった、と強く批判します。銀行のボーナスに課税することは正しい、と主張し、危機以前の10年間に支払われた銀行幹部のボーナスの10%が、イギリス政府の銀行救済。資本増強に要したコスト500億ポンドと等しい、と指摘します。
アメリカの財務省、連銀と一緒に、金融機関の破たんが起きた場合のシミュレーションを2007年に行っていたけれど、システム危機の評価は不十分だった、と言及しています。金融システムは非常に複雑に国境を越えて結びつき、その監督や規制はグローバルに行われなければ意味がない、と強調します。イギリス、フランス、ドイツ、アメリカが合意して、共通のルールを導入し、他の国は後から参加すればよい、と主張します。そうした規制が実現する機会を逃したまま、景気回復と安易な満足感が広がっている現状は、次の危機を準備しているのです。
環境問題も、テロも、金融危機も、グローバリゼーションに対する各国ごとの制度を統合する必要を示している、とゴードン・ブラウンは主張します。
WSJ FEBRUARY 23, 2011
Icelandic Freeze-Out
ゴードン・ブラウンはイギリスの銀行を救済したとき、預金者たちに全額返済を保証しました。しかしイギリス人は、高い金利を求めて、アイスランドの銀行に預金を持っていました。アイスランド政府は、金融危機で破綻する主要銀行を国有化した際、アイスランド国民の預金を全額保証したけれど、外国の債権者・預金者には返済できないと考えました。ブラウンは激怒して、オランダ政府とともに、自国民の預金を全額返せ、と主張しました。
銀行危機の際に、預金の全額保証、という政策を選択したことが、それを明言しない国から預金を流出させる、という問題を政府は協力して解決できませんでした。またアイスランドとイギリスとは、何度も水産資源をめぐって「タラ戦争」を経験していました。アイスランドの「ただ乗り」に対する不満や、イギリスの「大国意識」もあったでしょう。
WSJの記事は、イギリスが預金の全額保証を行うコストを、アイスランドに負担させた、と批判しています。
WP Tuesday, February 22, 2011
Ukraine: A democratic revolution in reverse
guardian.co.uk, Wednesday 23 February 2011
This tortured Polish-Russian story is something we can all learn from
Timothy Garton Ash
FT February 23 2011
What could bring down China’s rulers?
By David Pilling
急速な成長を続けることで正当性を得ている中国共産党が、過去の王朝と同じように、権力を失うときが必ず来る。それは、金融緩和やインフレーション、労働者の賃金引き上げ要求、土地の価格上昇、地方都市への高速鉄道網、不動産バブル波及、それにもかかわらず成長率を下げることが共産党への不満につながると極度に警戒するエリートたちの姿勢に、崩壊の予兆が見られます。指導部交代の前には不況は無い、という「温家宝プット“Wen Jiabao put”」は政治的なユーフォリアです。
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The Economist February 12th 2011
Print me a Stradivarius
3D printing: The printed world
Urban life: A tale of many cities
(コメント) 3次元プリンターが発達し、安価になれば、かつてコンピューターが小型で安価になったように、急速に普及して、何と、産業革命以来の工業文明や都市を消滅させるだろう、という記事です。本文よりも冒頭の論説が面白いです。
むしろ、書評欄に載ったEdward Glaeserの本が面白い内容を紹介していました。都市は人類を生産的で豊かな、民主的生活にし、文明の源です。それゆえ、劣った政府のせいで暴動が起きます。すでに人類の半分が都市に住み、公共交通などを利用すれば田舎よりも環境にやさしい。高さ制限は間違いで、ますます高層化する都市に緊密な生活圏を形成する方が良い、と考えます。
The Economist February 12th 2011
Africa’s natural resources: Spread the wealth
Running the euro zone: Pact of uncompetitiveness
Egypt and the region: The long standoff
The Gulf states: Ripples, spreading
Grass-roots revolt in Japan: Maverick as hell
Banyan: Loose posing as a sheaf
Angola’s wealth: Mine, all mine
Influential economists: The contemporary Keynes
China’s shadow-banking system: Trust belt
Ending deflation in Japan: An old problem
(コメント) アフリカは急速に豊かになっていますが、まだ資源を住民の生活に行き渡らせる政治や制度がありません。アンゴラも、何十年も続いた内戦を終えて、資源の輸出が大きな富をもたらしているのに、政府は解放戦線のソ連で学んだエリートたちです。
独仏で「競争力協定」を示そうとしたのは、これほど批判する方針とは思えません。
エジプトの抗議デモで注目を集めたFacebookのWael Ghoneimに関する事件が紹介されています。本人が行方不明になって60万人以上の仲間が探した、というのは興味深いですね。自分もあやかるわけじゃないけれど、使ってなかったFacebookを開けてみました。友人は2人。
名古屋市長と愛知県知事の選挙で、与党の推薦候補を破って改革派?の二人が圧勝したことに注目しています。上海と競争している、という地方政治の競争的革新意欲を見直しました。
影響力がある(と他のエコノミストが支持した)のは、Rajan, Sachs, Krugman, Eichengreen, Rogoffなど。