IPEの果樹園2010

今週のReview

12/20-12/25

 

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IPEの想像力 12/20/10

グリークラブの定期演奏会を聴きに行きました。「演奏会」・・・? 少し不思議な感じです。彼らが演奏するのは、のど(声帯)、身体そのものです。ときにはソロで、部隊の前に出て歌う者がいます。その勇気と修練に、私は感銘を受けました。

スポーツや音楽、演劇や山登り、といった仲間との交流で、自分を磨くことは素晴らしいと思います。学ぶことも、その一つに過ぎません。退屈そうに大教室で雑談し、居眠っている学生たちも、本当はもっと別のことに情熱をぶつけているのでしょうか?

学生にしかできないことをしてほしい。私は講義で話しました。それは、報酬や見返りがあるからではなく、義務だからでもなく、自分たちの理想のために、自分たちがこうあってほしいと願う社会を求めて、何か発言し、行動することではないでしょうか、と。

デモをするべきだ、と話しました。選挙で投票しても、世界の貧困や内戦が投票で解決するわけではないように、私たちにとって、何か意味ある変化をもたらすとは思えません。もっと直接に行動し、発言する機会、仕組みがある方が良いでしょう。かつて、学生や労働者はデモをしました。

安い予算で、バックパックを担いだ旅行をしてはどうか、と話しました。宿を見つけられずに迷ったり、バスや列車を間違えたり、まともな食事もできないまま、空腹で歩き回ってほしいのです。言葉も分からず、罵声を浴びせられたり、差別されたり、無視されたり、あるいは、些細なことでも助けられ、なぜかわからないけれど、誰かが親切に教えてくれたとき、自分の国のことを思うでしょう。自分たちなら、どうするだろうか。と。

就職活動がある、説明会がある、電話があるかもしれないから、・・・などの理由で、講義やゼミを休む学生が増えました。彼らが閉じ込められた日本の就職活動には、それを強いられた多くの先輩たちも苦しみ、矛盾を感じていたはずです。インターネットによる情報収集や仲介は、その矛盾をますます強めていると思います。

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世界のどこかで、次々に大きな社会変動、政治的危機が起きています。その一つは、世界恐慌の入り口に最も近い、ユーロ危機です。

ユーロは、他の貨幣と同じように、全くの虚構です。国家が貨幣を流通させていることは、たとえその基礎には貨幣を必要とする市場取引(分業)が実際に存在するとしても、紙幣やそのデザインと同じ、虚構のルールや手続きによって支えられています。

もしこの世界に人が住まなくなったら、貨幣は腐食し、銀行も、市場の様々なシンボルや手続きも、驚くほど短期間に消滅してしまうでしょう。また、いかなる小さな国家であれ、貨幣や債務を消してしまう権限があるのです。債務の組み換え(帳消し、など)を秩序ある過程に制度化する方が良い、という意見もあれば、逆に、それは大きな負担をともなうような形で抑制されるべきだ、という意見もあります。

銀行システムのために特に貧しい国民や若者が何年も苦しむくらいなら、ユーロを離脱してもいいじゃないか。Dani Rodrikの「和議による離婚」というたとえを読んで、欧米の離婚率は日本より高い、と思い出しました。その意味で、「現実的な解決策」と考えられるのでしょう。ユーロが生き残るには、より強靭で、しかも柔軟な制度が必要です。

結婚や家族というのも、人間が創った虚構のメカニズムであり、習慣や法手続きによって固定されていますが、むしろ、それが結婚や出産を妨げている、と議論されたりします。日本でもデフレが続く中で、離婚が増え、結婚や出産が減り、他方で、自殺が増えると危惧されます。その制度や考え方そのものを動かす時ではないでしょうか? 誰も望まないような結婚が容易に解消でき、失業や子供の養育に苦しまない社会の方が良い、と思う若者たちが、冬空の下、京都の街にデモを呼びかけているかもしれません。若者が自殺しなくてもよい、異なる社会にチャンスはあるのだから。

さまざまな制度が社会の革新を促し、また、安定化する試みであると私は思います。

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朝のNHKニュースで、新政酒造の佐藤祐輔さんが紹介されていました。ジャーナリストから地元に帰って酒造を継承した、というのを観て驚き、楽しみました。

若返りを図り、優れた杜氏を集め、新しい酒を模索し、数値化して温度管理や発酵を細かく管理し、清潔で明快な、働きやすい職場に変え、消費者に詳しい情報を発信し、コンクールで優勝する。コメ作りや酒造所が、秋田でこうして革新ができるのであれば、他の地域や分野でも変化の種が育ちつつあるのかもしれません。社会の資源や若者たちを、新しい企画に集める仕組みがもっとあってほしいです。

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アメリカの景気刺激策 ・・・中国の築く国際秩序 ・・・朝鮮半島情勢 ・・・財政統合なきユーロの将来 ・・・ウィキリークス後の世界 ・・・日本の政治経済・安全保障 ・・・アメリカ外交官、Richard Holbrookeの死 ・・・

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主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, The Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


l         アメリカの景気刺激策

NYT December 9, 2010

Obama’s Hostage Deal

By PAUL KRUGMAN

WP Friday, December 10, 2010;

Tax U.S. companies to spur spending

By Mihir A. Desai

ブッシュ減税の延長を悲観するより、企業の余剰資金を投資させることに新しい課税を導入する方が良い。しかも、企業が課税を避けるために資金を海外でプールしているから、一時的にこの免税措置を停止して課税の効果を上げ、納税された財源は公共投資に使うことだ。

WP Monday, December 13, 2010;

Procrastination economics

By Fareed Zakaria

今は増税するときではない、と政治家なら言うだろう。経済学者は景気回復が弱いことを気にする。しかし、今や財政再建が必要だ。この10年間、政治家たちは好景気の中で財政赤字を無視し、減税しながら二つも戦争をしてきた。医療保障も加えた。短期の刺激策が必要だ、という助言に大統領は同意して、日頃は激しく非難するケインズ主義の考え方を共和党員たちも支持した。不況から抜け出すには「加速する」必要がある。・・・・いつになったら政治家たちは本気で財政再建するのか? 債券が売られ、市場で金利が上昇するときか?

経済顧問のL.サマーズが言うように、再び消費ブームに火を付け、クレジットカードで買い物し、新しい住宅も買えるようになれば、技術革新や経済革命が起きるのか? しかし、中国は違った考え方をする。教育に支出し、世界最高のインフラを建設する。そして戦略的な分野(alternative energy, biotechnology, new-generation information technology, high-end equipment manufacturing, advanced materials, alternative-fuel cars, and energy-saving and environmentally friendly technologies)に投資を集中する。

アメリカは他国の中央銀行から借りて減税し、消費を増やすけれど、中国は長期的な成長のために投資する。

WP Wednesday, December 15, 2010;

Save the economy by keeping jobs at home

By Harold Meyerson

オバマは水曜日にアメリカの主要企業の重役たちと会合をもつ。それは、要するに、ビジネス・エリートたちとの和解・友好関係を求めるからだ。しかし問題は、重役たちがアメリカ国民との友好関係など求めないことである。

たとえば、中国製のタイヤだ。輸入の急増に対してオバマ政権は関税を課したが、中国はそれをルール違反だとしてWTOに告発していた。月曜日に、WTOはその訴えを退けたが、問題は、Goodyear, Cooperなど、アメリカのタイヤ製造企業が不満を示すことだ。労働者たちはタイや輸入に反対するが、主要企業は中国に工場を移転しており、中国政府から輸出を求められている。

オバマの減税やFTAも、連銀の量的緩和も、アメリカにおける雇用を増やそうとしているが、アメリカ企業はそれらを利用して中国に投資する。アメリカ国内の中小企業は輸入品に押されて売り上げが伸びず、雇用を維持できない。それに比べて大企業は空前の利潤を示し、重役たちはボーナスをもらっている。

彼らは中国の低コストに勝てないと言うが、ドイツは輸出で成功している。同じように高い賃金でも付加価値の高い製品で輸出を伸ばすからだ。AppleDellは中国で生産を増やすが、アメリカでの雇用は中国の10分の1だ。

「アメリカ企業にアメリカで投資しろと頼むのは、ヒョウに斑点のを変えろと頼むのと同じだ。」

Harold Meyerson は、Larry Summersの後の大統領の経済顧問をウォール街から迎えるより、シリコンヴァレーの起業家Andy Groveに頼むべきだ、と考えます。Groveは共産主義体制が崩壊したハンガリーからの移民としてアメリカで成功し、多くのアメリカ企業が海外生産に移すことを嘆いています。むしろ、オフショア生産に課税し、国内生産を促すファンドを創るべきだ、と主張します。


l         中国の築く国際秩序

FT December 9 2010

A risen China reaches for power

By Philip Stephens

中国は東アジアについて、アメリカの「モンロー宣言」と同じものを表明するようだ。既存の国際秩序に従うという中国の姿勢は、その経済的な成功によって変更された。

ノーベル平和賞、朝鮮半島、など、中国は西側の価値と自分たちとを切り離し、「和平演平“peaceful rise”」の言葉も使わなくなりました。2012年の指導部交代に向けて、社会・政治秩序の安定を維持することが優先され、国際秩序への関心はその延長にすぎません。

中国経済の繁栄がますます外部の資源に依存しているという脆弱性の意識、不安は、人民解放軍の強化や政治的影響力、ナショナリズムの重視に反映されています。そして南シナ海や東シナ海における領土紛争、アメリカ軍の関与、などが注目されます。

アメリカはインドとの関係を強化し、中国は封じ込めを非難します。「和平演平」は可能なシナリオであるけれど、ますますヴィルヘルム2世のドイツに似てくることを避けられないのか?

The Observer, Sunday 12 December 2010

China's fury over the Nobel showed weakness, not strength

Will Hutton

中国政府はノーベル平和賞を批判し、アジアの価値を代表する「儒教的平和賞」を創設しました。

「経済成長がなければ、体制は支持を失うだろう。雇用や繁栄をもたらさないなら、巨大な国家を統一している唯一の正当性が失われる。もはや共産党は革命の継承者でなくなり、投票によって支持されているのでもない。経済的な困難、特にインフレーションは、1989年の天安門事件の引き金となった。多くの党幹部、そして、次期共産党委員長Xi Jinpingも、それを認めていただろう。しかし、その後20年間、論争は封じられた。」

FT December 12 2010

China sets policy to rein in inflation

By Geoff Dyer in Beijing and Patti Waldmeir in Shanghai

FT December 12 2010

China learns to play, and win, by the rules

By Jonathan Holslag

ノーベル平和賞をめぐって、中国は他国を従わせ、国際ルールを決める力の新しい水準を示した。中国市場に依存する諸国に対して、オスロにおける授賞式への出席を拒むように要請したからだ。

国際機関は、これまで、国際社会における中国の存在を示し、地位を高めるために重視されてきた。しかし今や、中国国内の重要な利害や政治的規範を守り、それを広めるために利用する手段という面が強くなった。国連人権委員会や、地球環境に関するコペンハーゲンやカンクンのサミットでもそうだ。WTOの貿易ルールや半導体の技術基準も、中国の主張を世界の基準として採用することを目指している。

Jonathan Holslagは、これを否定するのではなく、中国が国際ルールの設定にもっと加わることを必要としています。また、中国が優位を示し始めた分野で、西側中心のルールを変更するように求めることも重要です。

それは西側への挑戦となります。「国際基準は、世界のパワー配分を示している。」 大国間の対立が克服されるとともに、形を変えて続いているのです。中国はこれからも発展途上諸国と連携し、自分たちが発展させたい産業に関して国際ルールの変更を求めるでしょう。

西側は対立をやめて、途上諸国を代表する中国の要求に正しく答えなければなりません。

(China Daily) 2010-12-13

Stick to the path of peaceful development

By Dai Bingguo

FT December 13 2010

Currencies: Yuan direction

By Robert Cookson and Geoff Dyer

人民元の国際化は進むのか? 中国政府の関係者は、SDRの価値を構成するバスケットに人民元を含めるべきだ、とIMFに要求しています。しかし、IMFは否定的です。人民元の資本取引が規制されているから、まだその条件に無い、と考えます。

人民元の特異な点は、中国の経済規模(GDPで世界第2位)や世界貿易(工業製品の輸出額で世界第1位)、外貨準備保有額(世界第1位)が示す重要性を考えるなら、当然、人民元はもっと世界中で使用されているはずだ、ということです。ようやく、中国本土の外では初めて、香港で人民元の売買が認められました。

マクドナルドやノキアのような多国籍企業は人民元を求めており、ドルやユーロより、人民元を事実上の国際通貨基準として使用している、と言います。ドイチェバンク、シティグループ、JPモルガン、そしてシンガポール、マレーシア、韓国、日本、中東諸国、イギリスで強い需要があり、銀行はその売買を準備しています。中国政府は主要な貿易相手として8カ国(Argentina, Belarus, Hong Kong, Iceland, Indonesia, Malaysia, Singapore and South Korea)に、人民元とその国の通貨とのスワップ(約8000億人民元)を合意しました。人民元の利用は中国の周辺諸国で、また、中国と貿易する発展途上諸国で、急速に増えるでしょう。

香港は、公式にはUSドルと固定レートを約束し、非公式に人民元の利用が広がっています。政府の実験室として、香港は二つの通貨が使用される土地になっています。香港の人々はすでにドルでも人民元でも支払い、あるいは、どちらかを要求しています。たとえば、家主は家賃を人民元で要求し、高級住宅の販売にドルより人民元が選択されるのは、人民元の市場における増価を予想し、保有しているからです。香港市民は1日に2500ドルまで人民元と交換できますが、香港で保有される人民元口座は2兆人民元に達すると推定されます。スイスの銀行はケイマン諸島で人民元債券の管理サービスを提供します。

人民元への強い需要があっても、中国政府は人民元を規制し続けるつもりです。どんな小さな穴でも、それが中国の金融政策を制約するような資本移動の流れに結びつくことを警戒しているのです。人民元の国際化は、それが認められれば、急激に進むと予想される一方で、政府の姿勢が変化するには、数年どころか10年以上かかる、と考えられています。人民元とは逆に、歴史的に観て、通貨の国際化は資本取引の自由化が先行して市場において実現したのです。

アメリカ連銀も、事実上、今は香港の中央銀行としても機能していますが、その香港で人民元が使用されている状態をモニターしています。香港は、ドルを準備としてきたシステムが人民元の国際化によって変化するときの、危険を知らせる「炭鉱のカナリア」なのです。

たとえ中国政府が公式には望まないとしても、人民元の資本取引規制は市場の圧力で破棄されるかもしれません。すでに、巨額の人民元による貿易取引がある以上、その非居住者による保有と自由取引が行われているでしょう。そしてどこにおいても、企業や銀行からの要求が政治家たちを動かしたのです。

YaleGlobal , 13 December 2010

Brace for Change as the Global Economic Order Crumbles

Jeffrey E. Garten

ますます協調が必要な時代になったが、主要国の政府がそれを十分に意識しているとは言えない。保護主義や産業政策の復活が世界的な経済戦争を予感させる。

 (China Daily) 2010-12-14

Why made-in-China goods cost more

By Han Qi

WSJ DECEMBER 14, 2010

Chinese Property Investors Go Shopping in Japan

By MARIKO SANCHANTA

日本の不動産価格は19年連続で下落している。逆に、不動産バブルの利益を享受する中国では現金があふれ、香港、中国、シンガポールの投資家たちが日本を観て、北海道や東京の不動産を買いたいと思うのも当然です。

WSJ DECEMBER 14, 2010

China's Changing Economic Leverage

By JONGRYN MO

FT December 15 2010

Seven notches on the Chinese doorpost

By David Pilling

FT December 15 2010

Rising prices just make China dearer


FT December 9 2010

Europe needs real vision on climate

By Bjørn Lomborg

SPIEGEL ONLINE 12/11/2010

Relief at Modest Progress

Cancun Talks Reach Global Climate Deal

By Markus Becker and Christoph Seidler


l         朝鮮半島情勢

WP Friday, December 10, 2010

Five myths about North Korea

By Victor D. Cha

朝鮮半島では何が起きつつあり、何は起きそうにないか?

1.北朝鮮の政府は狂っている、というのは間違いだ。ブッシュ政権下で交渉した際、彼らは合理的であった。その多くはアメリカのことをよく知っており、カリフォルニアの赤ワインを楽しむ素養がある。北朝鮮の好戦的な態度は、食糧や燃料、政治的な承認を得るために計算されたものだ。彼らは、負けの込んだギャンブラーがさらに多くを賭けるような意味で、合理的に行動している。

2.キム・ジョンウンは若いが、北朝鮮の権力システムは家族への忠誠を示している。一族の者が重要なポストを押さえて助けるから、彼の若さは問題ではない。

3.交渉によって解決するしかない、というのは間違いだ。それは一時的な意味しかない。6カ国協議に戻っても、過去のパターンが繰り返される。北朝鮮が援助を得て、約束は守らない。軍事攻撃は余りにも大きな犠牲をもたらす危険があり、それ以外の方法で政権を倒すには中国の協力が必要だ。選択肢がないために交渉を繰り返すが、それは解決策にならない。

4.中国が北朝鮮に協力を求めるカギだ、というのも間違っている。確かにある程度の影響力をもつが、中国がそれを行使しようとすると失敗してきた。中国は唯一の支援国になってしまい、支援をやめた場合、北朝鮮の崩壊で国境を超える影響が及ぶことを恐れている。

5.朝鮮半島の統一は東アジアの主要国がすべて望まないから、このままの状態が続く、という予想も間違っている。キム・ジョンイルの死亡がさらに迫り、核兵器を保有してますます好戦的な姿勢を示すとき、朝鮮半島統一が唯一の長期的解決策になる。韓国の現政権、そして、ロシアや日本もそれを支持しているが、中国だけが、今も分断状態を維持することにこだわっている。

NYT December 12, 2010

Drawing a Line in the Water

By SELIG S. HARRISON

歴史的な紛争経過から見て、オバマ大統領が「北方限界線The Northern Limit Line」を下げるように求めています。

FP DECEMBER 13, 2010

Time to Get Serious About North Korea

BY JOEL WIT

オバマ政権の"strategic patience"を批判します。確かに交渉が成果をもたらす保証は無いが、周辺諸国の協力がないまま、北朝鮮が従う姿勢を示すまで待つ、というだけでは事態が悪化する危険を高めてしまう。現実的な対話を継続することだ。

guardian.co.uk, Tuesday 14 December 2010

Now North Korea defies even China

Simon Tisdall

北朝鮮は周辺諸国の意見の違いを利用して対立を利用している。関係諸国の統一した戦略がなければ解決は望めない。

新しいアプローチが必要だ。ニューメキシコ州のBill Richardson知事が、かつてサダム・フセイン、スロバダン・ミロシェヴィッチ、スーダンのオマール・アルバシル大統領と会談したような。


l         財政統合なきユーロの将来

Dec. 10 (Bloomberg)

Ireland’s Fix Too Harsh for Rest

David Blanchflower

確かに景気は悪くなったが、救済融資を受け入れるまでは、ユーロに参加する以前ほどひどくは無かった、と感じていたようです。

しかし救済融資にともなう緊縮政策により、社会福祉や年金、公共事業が削減されました。インターネットにおける賭けにまで課税したのです。ポルトガルやギリシャ、スペインよりも、アイルランドの経済は良好でした。それでも救済融資は厳しい条件を付けるのです。

IMFのストラスカーン専務理事は、ギリシャで述べました。「成長、成長、成長が重要だ。ヨーロッパが急速に成長していたら、誰も債務危機など心配しない。」

メルケル首相は、ユーロ債の発行や救済基金の積み増しを否定します。むしろ投資家が債務の組み換えに負担するべきだ、と主張して債券市場を損ないました。その態度は、ユーロ安がドイツの輸出を促し、債務国が金利を引き上げられる点で、合理的です。

しかし、ドイツの銀行はユーロ圏の周辺に多くの投資をしています。このままでは政府債券もデフォルトになるでしょう。

 (chinadaily.com.cn) 2010-12-10

Europe's inevitable haircut

By Barry Eichengreen

ギリシャ危機、アイルランド危機、そしてユーロ危機。経済学の教えることは単純だ。ギリシャは財政破綻。アイルランドは銀行破綻。ポルトガルは民間債務問題。スペインは三つが混じっている。しかし、その答えは同じであって、支出のカットだ。

その苦しみを緩和する標準的な政策は切下げだった。それは輸出を伸ばし、外国から需要をもたらす。しかしどの国にも独自通貨がないから、彼らは内的な切り下げを進めるしかない。賃金や年金、その他のコストを削って競争力を高める。

ところが、債務額や債権者の権利はまったく修正を受けていない。そのせいで、内的切り下げのための緊縮策の結果、国内の成長が失われる国で債務返済負担が増す、という根本的な矛盾に直面する。それは税収を減らし、一層の内的切り下げに頼るという、債務と不況の悪循環に向かう。

それゆえ、内的な切り下げを行うには、その債務を削減しなければならない。銀行は融資を株式に転換し、あるいは、融資先の支払不能を認めることだ。住宅債務も削減される必要がある。

この方法に反対する理由はある。しかし、ユーロ圏は対外的な切り下げを否定して内的な切り下げを採用した諸国である。その論理的な帰結は、債務の組み換えが必要になる、ということだ。組み換え方法は明確であるべきだ。政府は既存債務の一部に対してメニューを示す。債券保有者は、より長期で低金利の、同額の債券か、より短期で高金利の、減額された債券か、どちらかを選択できる。複雑な数式は必要ないし、過去に例もある。

必要な条件は、1.新債券の返済が確実であること。十分な保証を求められるだろう。1980年代のラテンアメリカ債券にはアメリカ財務省の保証が付いた。2.すべての国が一緒に行動すること。そうでなければ危機が伝染する。3.損失を生じる銀行の資本を増強すること。銀行に対する資産チェックが必要だ。ここでも、すべての国が一緒に行動する。

これを実行するには政治的な指導力が必要だ。他の選択肢はさらにひどい結果をもたらす。

ドイツの指導者たちは、その銀行がユーロ圏の周辺部に多くの資産を持っていることを知らねばならない。債務の組み換えや銀行の資本増強に公的資金を使うのは、彼らが近隣諸国に求めている内的な切り下げにとって不可欠である、ということを有権者たちに確信させなければならない。

(chinadaily.com.cn) 2010-12-11

Thinking the unthinkable in Europe

By Dani Rodrik

同僚のMartin Feldsteinと違って、私は通貨同盟がより広範なヨーロッパの計画に従って正しいものだと信じている。その計画が強調するのは、まだできていないけれど、経済統合に沿って政治制度を構築する、ということだ。

統合化の中間段階でしかないヨーロッパに、不運なことだが、1930年代以来の最悪の金融危機が襲った。「ユーロ圏は、国民経済の破滅を避けることができないほどの波及効果をもたらす十分な統合化を実現したが、危機を管理するのに必要な制度的能力を築くほどは十分に統合化していない。」

テキサス、フロリダ、カリフォルニアで銀行に不良債権が発生し、破綻に瀕しているとしよう。何が起きるだろうか? その銀行が一時的な流動性の危機にあるなら、連邦準備銀行が最後の貸し手として資金を供給する。あるいは、支払不能であれば、銀行は破綻するか連邦機関に吸収され、その預金を連邦預金保険公社が管理する。破産した場合でも、債権者の要求を法律と裁判所が、州の境界に関係なく、処理する。民間債務が州政府の保証を得るとか、週財政を破綻させるようなことは無い。

州政府は債務を無効にする法的な権限を持たず、連邦政府の支援を得るから、そのような動機もない。金融危機の際にも、州政府の信用をめぐって、「ソブリン・リスク」の問題を評価することはなく、健全な財務状態であれば、銀行や企業は依然と同様に借りられる。

連邦政府は、州政府の税収が落ち込む部分を補てんしてやる。労働者たちは言葉の違いや文化的なショックを気にせずに好況の州に容易に移動していく。こうしたすべてのことが、自動的に起きるのだ。州政府が連邦官僚と、IMFの支援を得て、長い、困難な交渉をすることは無いし、ましてやアメリカが政治的・経済的な統合体として生き残れるか疑われることは無い。

つまり、真の問題は、スペインやアイルランドの債務や、それを融資した銀行にあるのではなく、統合された金融市場が要求するEU規模の制度が構築されていないことなのだ。その中心には、政治的な統合化の欠如がある。

EU統合の教訓は興味深い。すなわち、1.金融統合のためには、各通貨間の為替レートに生じる浮動性を排除しなければならない。2.為替リスクを完全になくすには、国民通貨を廃止しなければならない。3.政治的統一を欠いた民主主義国家間では通貨同盟を維持できない。

ヨーロッパの政治家を非難するより、その難しさを正しく理解することだ。それはアメリカでも南北戦争まで長く問題になった「州の権利」に相当する。その解決までには実際に戦争が起きている。政治統合を達成するのは、決して容易な、短時間でできる過程ではない。

さらに悪いことに、経済同盟はナショナリズムに火を付け、政治的統合を危険にさらす。各国の制度(たとえば、ヨーロッパの福祉国家)を破壊し、利益を受ける外国人への怨嗟(たとえば、反移民政治集団)をもたらし、外国から起きる金融危機を頻繁に、かつ、費用のかかるものにする。

アイルランドと南ヨーロッパ諸国は、財政を再建し、同時に、競争力を回復しなければならない。どうすればそんあことができるのか? 救済融資は一時的な危機回避策に過ぎない。構造改革や労働市場の改革が速やかに成長を回復すると言うのは幻想だ。債務の削減が必要だろう。ドイツが緊縮策を強いれば、デフレと失業、政治的混乱を避けるために、ユーロ圏の離脱を考える国もあるだろう。

しかし、その国の離脱が永久に続くわけではないだろう。財政や規制、政治的条件が信頼できるものであれば、再導入を許すことだ。和議による離婚は選択肢の一つである。

FT December 12 2010

A Europe under fire can still make its voice heard

By Romano Prodi

「ドイツ人がギリシャやアイルランドの救済策を非難し、ユーロが深刻な緊張状態にあるのを見ると、競争的な切り下げを防ぐことに成功している単一通貨のおかげで、彼らが得ている経済的な強さをどうしていないのか、と不思議に思う。イタリア人である私は、ドイツ・マルクに対するリラの為替レートが1970年に1721980年に474、ユーロが誕生したときには990であったことを容易に思い出せる。ドイツ人の誰であれ、ユーロ以前には、そのような切下げがドイツの貿易黒字を失わせたことを、きっと思い出せるだろう。」

21世紀のEUの指導者たちは、通貨統合を完成するだけでなく、国連においても、IMFにおいても、WTOにおいても、重要な世界的役割を果たす。

FT December 12 2010

How a mini fiscal union could end instability

By Wolfgang Münchau

財政統合なしには通貨統合は失敗する、と経済歴史家や国際経済学者は考えます。EUが財政統合を実現することは不可能だ、と政治学者や法律家は考えます。

高利銀行業務はきわめて国家に特有のシステムを維持しており、EU規模で発達した卸売銀行業務と異なります。そこでWolfgang Münchauは、完全な財政統合は無理でも、三つの改善策を提案をしています。

1.規制監督をEUが強化するとともに、卸売銀行業務での流動性危機を解決する基金を設けます。2.非対称的なショックを吸収する、ユーロ圏全体の失業保険制度を設けます。3.過度の、持続的な、経常収支不均衡に対して課税します。その収入は流動性危機救済基金に蓄えます。

WSJ DECEMBER 13, 2010

What's Wrong With Spain?

By JOSé MARIA AZNAR

SPIEGEL ONLINE 12/13/2010

Waning Influence in Brussels

Euro Crisis Leaves Germany Increasingly Isolated

FT December 13 2010

Europe must buck short-term tendencies

By Mario Monti

FT December 14 2010

Germany must lead fightback

By Frank-Walter Steinmeier and Peer Steinbrück German foreign minister and German minister of finance between 2005 and 2009

真に根本的な、長期的改革を実行するときだ。ECBはその信認と独立を高め、強いユーロを指導する。そのためには、次のすべての改革が同時に行われる必要がある。

債務減額による債券保有者のコスト負担、安定した諸国の債券保証、ヨーロッパ規模の中期ユーロ債を限定的に導入、財政政策の一層の協調。

なぜなら、ギリシャやアイルランドの債務を減額することは、他の債券にも感染する。その返済を保証するべきだ。そのために救済基金を増額する。それは中期のユーロ債を発行する。しかし、この債券は財政政策の協調を条件として発行される。

ドイツはこの考えを支持する。その条件は、債務国が他の分野でも政策協調を受け入れることだ。ユーロ債券はEUの制度が強化されるときだけ成功する。ヨーロッパ機関の下で、最低賃金、福祉政策、法人税、資本取引税などが共通になる。ユーロ圏内の近隣窮乏化や税金を奪い合う競争を終わらせ、ヨーロッパ政府を構築するとき、ヨーロッパ国債が発行できる。

FT December 14 2010

Europe should rescue banks before states

George Soros

WSJ DECEMBER 14, 2010

The European Destabilization Mechanism

SPIEGEL ONLINE 12/14/2010

Capitalizing on the Euro Crisis

China Expanding its Influence in Europe

By Wieland Wagner

「中国はヨーロッパの債務問題を利用して、高度に債務依存する政府の債券を大量に購入し、ヨーロッパ大陸における影響力を拡大する。その戦略により、ヨーロッパは中国に金融的に依存する立場になり、アメリカにジレンマをもたらすだろう。」

WSJ DECEMBER 15, 2010

Europe's Creditors and the Search for Cheap Money

By DANIEL GROS

FT December 15 2010

Germany in a lose-lose situation

By Mohamed El-Erian

債務国の流動性危機に対するドイツの解決策は成功していない。ドイツはユーロ圏内の政府債務危機に対して、緊縮策を求めつつ、救済融資を行い、ECBの債券購入も認めてきました。しかし、それは債務国自身が問題を解決するための時間を与えるに過ぎませんでした。

他方で、ドイツは赤字国に財政再建強化を要求し、2013年から債務組み換えメカニズムを始めるときには債券保有者に負担を求めました。また、ドイツがユーロ圏の機関車として財政刺激策を行うという要求は拒んできました。

しかし、その選択は機能していません。債務国でデフレが強まり、社会不安が激化すれば、ドイツ自身の財政状態にも疑念が生じ、もっと大胆な解決策を実行するしかなくなるでしょう。

ドイツはかつて統一を促す優れた政治的要請から間違った経済的選択を受け入れました。東西統一の際の通貨統合です。今は、正しい経済的要請から間違った政治的選択を続けています。

SPIEGEL ONLINE 12/16/2010

Saving the Common Currency

German Obstructionism Heightens Euro Fears

By Charles Hawley

FT December 16 2010

Europe cannot default its way back to health

By Lorenzo Bini Smaghi

なぜ債務の削減をしないのか? アイボリー・コーストも、パキスタンも、ナイジェリア、ウクライナ、ヴェネズエラ、ジンバブエでさえ債務不履行を選択できたのに、なぜEUは債務国を苦しめているのか?

債務削減の提案を欠いていることがヨーロッパの危機救済策失敗の原因だ、と主張する者は、民主主義国で政府が債務を支払わないと決めることの影響を軽視している。政府債券は金融システムの基礎になっているものであり、それが返済されないときには金融秩序が崩壊し、資本逃避が起きる危険がある。それは海外の債券保有者だけでなく、むしろ国内の市民、特に弱者を犠牲にする。その影響は予測することが難しいし、戦間期におけるインフレとデフォルトによる富の収奪が経済的・社会的な枠組みに与えた破滅的な効果を、ヨーロッパ人なら忘れていないはずだ。そして、成長が回復しなければ負担は軽くならない。

ギリシャでも、アイルランドでも、その他の国の議会でも、たとえ嫌いながらも、救済融資と緊縮策を受け入れたのだ。

FT December 16 2010

Emu’s critics will eat their words again

By Klaus Reglingchief executive of the European Financial Stability Facility

EMUを批判することが流行っている。しかし、多くの「専門家たち」は崩壊を予告するが、彼らはまた間違ったことを知るだろう。

財政統合をしなくても、通貨統合は維持できる。なぜなら、それは一層のマクロ政策のサーベイランスとルールの厳格な適用を受け入れるからです。赤字国は要求された宿題を実行していますし、労働コストを引き下げて競争力を回復する政策はラトビアで成功しました。財政統合しなくても債券を組み替え・破産処理できるような基金と仕組みを準備しています。


l         ウィキリークス後の世界

FT December 10 2010

Man in the News: A cornered crusader

By James Crabtree

WP Friday, December 10, 2010

What the Assange case reveals about rape in America

By Jessica Valenti

FTJulian Assangeを紹介しています。スウェーデン女性への「暴行」容疑について。アメリカ国務省が示したがっているような「強姦」ではなく、「破れたコンドームを使うこと」を禁止する法律がスウェーデンにあるから訴えることができた、とJessica Valentiは述べています。

NYT December 14, 2010

We’ve Only Got America A

By THOMAS L. FRIEDMAN

コスタリカの元大統領José María Figueresがことわざを教えてくれた。「もう一つの地球は無い。」・・・だから、この地球環境を守っていこう。同じことを、THOMAS L. FRIEDMANはアメリカについて思う。「もう一つのアメリカは無い。」・・・だから、このアメリカを今まで以上に自分たちで良くしよう、と。

イギリスが衰退したとき、アメリカがいて、地球を安定化するパワーとしての役割を引き継いだ。さまざまな失敗もあったが、世界は秩序をもち、改善された。もしアメリカが衰退すれば、誰も変わってくれないし、私たちの子供たちは全く違う世界に生きることになる。

世界システムは二つの新興勢力によって挑戦されている。超大国として登場する中国と、情報ネットワークで協力になった個人の集団、すなわち、WikiLeakersだ。グローバリゼーション、技術的な統合化、世界のフラット化によって、銀行や国民国家のような階層的秩序は崩れ、個人が強化される。

中国の圧力を受けて、オスロのタウン・ホールで行われた授賞式に一群の国家が欠席した。セルビア、モロッコ、パキスタン、ヴェネズエラ、アフガニスタン、コロンビア、ウクライナ、アルジェリア、キューバ、エジプト、イラン、イラク、カザフスタン、ロシア、サウジアラビア、スーダン、チュニジア、ヴェトナム、そして、フィリピン。なんともひどい組み合わせだ。「オスロの空席は、Liu Xiaoboを示しただけでなく、中国そのものを示した。」

私は政府が市民を投獄できる国に住みたくない。しかし、政府の内部記録や銀行の秘密記録が個人によって勝手に公開される国にも住みたくない。中国とWikiLeakersに対抗して、技術や法律を整備しなければならない。

かつて、1960年代のイギリス労働党が目指す国家について、「半分はスウェーデンで、半分は天国のような国」と批判された。今や、アメリカのパワーを失った世界、多極化した世界システムのことを同じように美化する者がいる。しかし、それは違うだろう。むしろ「半分は中国、半分はWikiLeakersが動かす世界」である。

guardian.co.uk, Wednesday 15 December 2010

Technology lets us peer inside the Burmese cage, but not unlock its door

Timothy Garton Ash

Aung San Suu Kyiが自宅軟禁から解放された後、どれほど明晰で、勇気ある女性であるかをTimothy Garton Ashと学生たちは直接の対話で知ることができた、と述べています。

「一つだけキーワードをください。」・・・「多国籍企業!」とわれわれは叫んだ。・・・「ビルマに投資すること。」と、彼女は笑い、われわれは大いに笑った。これは自由を求める闘争である。それは30年前にポーランドの連帯が闘い、今やビルマで闘われている。しかも、インターネットを使って。アジアの近隣諸国やインターネットに入る市民たちがその声を聞いて、行動を問われている。

中国のLiu Xiaobo、ロシアの億万長者Mikhail Khodorkovskyはまだ監獄にいる。チリの炭鉱夫たちは救出された。情報通信技術が人々を解放するのではない。それを知った人々が解放する。


FT December 12 2010

Italy: Roman showdown

By Guy Dinmore

FT December 12 2010

Time should be up for Berlusconi

guardian.co.uk, Tuesday 14 December 2010

A vote to mock Italy

Tobias Jones

NYT December 15, 2010

Italy’s Crisis of Confidence

guardian.co.uk, Wednesday 15 December 2010

In this gory zombie movie, Silvio Berlusconi is back from the dead again

Annalisa Piras

イタリアのベルルスコーニ首相が不信認を免れ、その知らせを受けて憤慨した学生たちのデモがローマの市街を戦場に変えました。ベルルスコーニのせいで、イタリアが財政破綻を懸念される日が来るのでしょうか?


FT December 12 2010

Break up Britain’s uncompetitive big banks

By Paul Myners

FT December 14 2010

Why rising rates are good news

By Martin Wolf

FT December 16 2010

America must start again on financial regulation

By Henry Kaufman


l         日本の政治経済・安全保障

WSJ DECEMBER 12, 2010

Japanese Farmers Sow Protectionism

By RICHARD KATZ

なぜ、同じように農民の反対が強くても、韓国はFTAを積極的に拡大し、日本は遅れているのか? 韓国はEU、中国、アメリカとのFTAを進め、日本はそれを避けてきた。RICHARD KATZはその理由を考えます。

韓国の農家は専業が多いが、日本は農家の80%が兼業農家である。制度的な仕組みにおいて、韓国の交渉は外務省と通商省の大臣・官僚が一括して行い、利益団体に従属しない。他方、日本の大臣も利益団体に依存するだけでなく、「族議員」がその交渉や関連法案をほぼ拒否できる。

単純に議席数を見ても、農村を基盤として選出された議員が韓国よりも日本に多い。韓国経済の方が貿易に大きく依存しており、輸出だけでなく、原材料や部品も輸入する製造業が自由化を促進する強力な団体を組織している。韓国の農民(雇用の7%)やその産出額(GDP2.7%)は、日本よりも少ない。

Dec. 13 (Bloomberg)

Recession Lasting Until 2018 Is Worth Exploring

William Pesek

世界不況は2018年まで続く、という榊原英資の予想について考察しています。アメリカの政策は日本が失敗したと言えなくなってきた。アメリカは中国に依存しながらニュー・ディール政策を続けるが、輸出を目指す点で、為替レートについての不安が世界中で高まっている。

guardian.co.uk, Monday 13 December 2010

Japan's era of postwar pacifism may be coming to an end

Simon Tisdall

日本は戦後の「不戦論」を放棄するのか。領土紛争、北朝鮮や中国の軍事力に対抗して、潜水艦やミサイルなど、軍備増強を選択した。

FT December 13 2010

Japan to shift military towards China threat

By Mure Dickie

FT December 14 2010

Japanese defence

日本は、アジアにおける戦後の和解過程も終わっていない。


l         アメリカ外交官、Richard Holbrookeの死

FP Monday, December 13, 2010

On the death of a wise man

Posted By David Rothkopf

Henry Kissingerから外交の技術を学んだ。35歳で最年少の国務次官補になった。セルビアでミロシェヴィッチと対決してボスニア内戦を終わらせた。彼は最も困難な任務に従事してきた。パキスタンやアフガニスタンで国務省のチームを指揮した。

WP Monday, December 13, 2010

Richard Holbrooke's relentless work for American leadership

guardian.co.uk, Tuesday 14 December 2010

Richard Holbrooke: a force for good

Peter Galbraith

ツジマンにアメリカの支援を信じさせて虐殺を回避した。ボスニア戦争を終わらせたことの評価は難しいが、彼のおかげで多くの人々が今も生きている。

NYT December 14, 2010

Richard Holbrooke

By CARLA ANNE ROBBINS

アメリカは危険なほど近視眼的だと考えていた。しかし、アメリカが善であること、アメリカのパワーが世界をより公正な場所にする、という強烈な信念を失うことは無かった。

FP DECEMBER 15, 2010

Remembering Richard Holbrooke

外交官、ジャーナリスト、研究者による紹介、賛辞、追悼が並びます。HolbrookeForeign Policyの初期の編集者の一人でした。

この男が敵側でなく、友人であったことに感謝する、と言わせる人物でした。このような外交官がアメリカにいることを、たとえ称賛が集められたにしても、その力を示すものとして驚きます。

WP Wednesday, December 15, 2010

Remembering Richard Holbrooke

By Strobe Talbott

LAT December 16, 2010

Richard C. Holbrooke's last mission

Doyle McManus


WP Wednesday, December 15, 2010

Could there be a Tet Offensive in Afghanistan?

By George F. Will

guardian.co.uk, Thursday 16 December 2010

Will the Afghanistan war break Obama's presidency?

Simon Tisdall

FT December 16 2010

Obama’s review risks Afghan partition

By Brahma Chellaney

アメリカの政界を駆け巡る一つの疑問。・・・アフガニスタンはオバマのヴェトナムになるのか?

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The Economist December 4th 2010

The dangers of a rising China

Friend or foe? Brushwood or gall: A special report on China’s place in the world

Taiwanese democracy: Half cheer for China

Arab democracy: A commodity still in short supply

(コメント) 動揺するユーロと、台頭する中国。世界が中国と共存するために必要なものは何か?

米中間には、緊密な相互依存関係と、急速なパワー配分の変化による相互不信があります。米中の目指す「良い社会」や国際秩序は大きく異なったイメージを示します。中国が成長を重視し、それを主張しない限り、対立は回避されてきました。しかし、もはやそうではない。

これまでの米中関係は、ニクソンとキッシンジャーの描いた協調でした。台頭する中国が、かつての英独関係なのか、あるいは英米関係なのか、また、アジアはどうなるのか、21世紀の全く異なる世界が姿を示しつつあります。キッシンジャーは、ドイツを受け入れた場合よりもさらに難しいだろう、と予想します。

台湾は中国とのFTAを結び、本土の民主化を願いつつ、これまでの軍事的対立関係を大きく変えます。日本やアメリカはどうでしょうか? 中国の軍事力は異なるレベルでアメリカと競争を始めています。経済成長、軍備増強は、ナショナリズムを刺激し、人民解放軍やジャーナリストの強硬姿勢を国民も受け入れます。それは、政府が思うほど政権基盤として適当な道具ではないでしょう。

米中間には多くの共通利益があります。世界景気、アジアの安定性、中東の石油供給、海上輸送路、核拡散の防止、世界貿易、など。しかし、安全保障の対立は別問題です。「アジア諸国は、ガリバーのように、中国を地域機関という糸で縛っておきたいと思うのです。」

しかし、最近の東アジアの海上における紛争事件は、中国の主張を止めるためにアメリカのアジアへの関与を求めています。東アジアの主要国は、中国と全く異なる意味で対立や協力を模索しており、アメリカや近隣諸国と、深刻な矛盾を抱えています。この地域における中国とアメリカの陣取り合戦は続くのです。

アメリカの二重外交、一方では市場において利益を共有し、他方で安全保障の脅威になった場合をヘッジする、というわけです。アメリカは中国が国際的な責任ある行動を取るように求めています。それは、アメリカが築いてきた国際秩序であり、アメリカが都合が悪いときには、いつでも変更した『秩序』です。中国も、同じようにするでしょう。今も、北朝鮮をめぐって、米中の意図は衝突するリスクを示しています。

最後に、10項目の米中関係安定化が示されています。

ちなみに、アラブ諸国では今も民主化が進んでいません。ある意味で、国民が重い税金を取られて、教育や年金を維持する心配をしなくてよいから、市民は政治を重視しないのです。中国には石油がないとはいえ、急速な成長と、それを支える輸出や投資がありました。それが国際秩序という意味でも対立を生じつつあるのです。


The Economist December 4th 2010

The future of the euro: Don’t do it

Germany and the euro: We don’t want to transfer union

Charlemagne: On a wing and a prayer

The crisis in the euro area: No easy exit

Breaking up the euro area: How to resign from the club

(コメント) ドイツは救済融資に不満が募り、他方、赤字国は緊縮政策を嫌います。アルゼンチンと同じように、結局、これは維持できず、ユーロ圏からの離脱へ向かうのか?

ユーロを離脱した場合のコストについて、詳しい解説があります。そして、たとえドイツの方がユーロを見捨てる場合でも、深刻なコストが発生することを説明しています。

弱い国の場合、資産を損なった銀行から預金が流出し、資本取引規制や預金封鎖が行われるでしょう。外国旅行も制限されるかもしれない、と述べています。貿易や商取引も減って、経済は大幅に落ち込み、新しい貨幣ができるまで、さまざまな勝手な代替物が流通します。

ドイツには逆に資金が殺到し、為替レートが急速に増価します。諸外国に持つ資産だけでなく、苦労して築いた企業の「競争力」が失われるのを知るでしょう。周辺諸国における不況と不安定性はドイツの輸出を損ないます。