IPEの果樹園2010

今週のReview

11/8-11/13

 

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IPE研究ノート 11/8/10

オバマのような政治指導者がいたら、日本の経済や金融はもっと早く回復し、社会をもっと活気づけたのではないか、と私は思っていました。しかし、アメリカの有権者は違うようです。オバマは「傲慢で、エリート主義だ」と非難されています。

オバマを激しく批難する声が、さまざまな政治放送において、そう、まるでルワンダの「虐殺ラジオ」のように流されたことは、世界の民主主義や国際政治の在り方を少しでも改善し、各地の経済システムを協調的に調整してほしい、と願う者にとって衝撃的なことでした。

日本では、G20より、反日デモやビデオ流出の騒動が続きます。

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NHK衛星放送ニュー・ヨーク・ウェーブで、「ちょっと変わった、とんがった音楽が大好きだ、という若者たち」のためにコンサートを企画しているトッドが紹介されていました。

ブルックリンの倉庫を借りて、手作りのコンサートが始まります。彼らは音楽会社と関係なく、自分たちの楽器を持ちこみ、自分たちの好きな演奏を思い切り観客と楽しみます。だから、DIY(Do It Yourself)音楽と言うわけです。年齢制限もなく、入場料を安くしています。

アメリカ社会の柔軟性や革新は、まさにDIYという文化から生じるのだな、と思いました。

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不況からの有効な回復策が見いだせない点で、オバマの行動力は議会における妥協や長引く不況への弁明に終始してしまったわけです。どうすればよかったのか? 経済学はどのような答えを用意しているのでしょうか?

The Economistのインターネット版で、Jeffry Sachsのインタビューを聴きました。大変明晰で、自信にあふれた話に感心しました。なるほど、彼は現代の優秀なエコノミストの一人です。アメリカ経済とオバマの今後の政策、連銀の量的緩和策、イギリスの財政緊縮、世界の開発と貧困解消、アメリカの役割について、彼の分析と「楽観」を語っています。

Sachsが支持するのは、中期の財政刺激策を財政再建と組み合わせて明確に示すことです。中間選挙の敗北によって、アメリカのガバナンスはますます混乱し、大統領選挙までずっと、敵をののしり、絶叫する舞台と化すでしょう。それでも、党派を超えてアメリカのダイナミズムを高めるよう、オバマだけが中期の財政目標を立てる役割を担えるのです。

他方で、イギリス政府の財政赤字削減策を正しい姿勢だ、と全面的に支持していることに驚きました。彼は、ケインズ主義の教科書的な解釈に従いません。選挙で政権を得た新しい政府が、ただちに財政赤字の削減を唱えて行動することは正しい、と断言します。これは、彼の「ショック・セラピー」と共通する考え方かもしれません。政治が動くとしたら、このようなタイミング、このような機会を使うしかないのです。

Sachsは、ボリビアの激しいインフレを抑えるために「ショック・セラピー」を提唱し、その他の多くの政府や国際機関にも関わり続け、共産主義システムの解体や世界の貧困解消を推進して有名になった人物なのですから。

同じように、しばしば、ここで紹介しているBarry Eichengreenは、(不況より)通貨戦争こそが保護主義をもたらすと懸念し、アメリカが金融緩和をさらに進めて、不況を回避しなければならない、と連銀を批判します。現代は1930年と違って、金本位制ではなく変動レート制である、と指摘しましたが、特に、中国はドル本位制をなかなか離脱しません。アメリカが量的拡大策を続ければ、成長を回復させると同時に、中国も変動レート制を採用することになる、と考えます。

他方、Joseph Stiglitzは、各国が財政刺激策を取り、金融市場を分割することも支持しているように思います。アメリカはもっと技術革新やインフラに投資し(それは、世界の準備通貨であるドルによれば可能です)、中国はもっと賃金を引き上げて世界のデフレ解消策として実施するのです。さらに、米中はそれを協力して行うことで、世界経済を有効に刺激できます。協調的成長戦略のカギとなるのはIMF通貨(SDRs)だ、とグローバルな金融改革を支持します。

アメリカ国内政治がガバナンスを失い、米中やG20も国際協調を維持できなくなるかもしれません。しかし、こうした様々なアイデアがすでに準備されていれば、政府はそのいくつかを試す機会が訪れたとき、積極的に次のガバナンスを求めて行動を起こすでしょう。その成果を上げた諸国が指導力を得るなら、世界経済を本当に政治的にも強くした、と言えるでしょう。

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日本政府には、尖閣諸島と反日デモ、情報漏えい、円高とG20、デフレ対策、TPPと農業支援・国内産業の再編、など、多くの案件が襲っています。この中で、民主党が政権を取ったとき、すでに準備していた問題はあるでしょうか? マニフェスト選挙や政権選択ではなく、小沢・脱小沢でもない、ガバナンスの能力と質を示すべきです。

政治家たちは、常に、根本的な問題を立て、国民や国際社会を説得する原則について語ることです。10年後、統一朝鮮や北欧連邦がG20で重要な発言をするころ、日本はまだその席を守れているでしょうか?

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中間選挙で大きく敗北したオバマ ・・・経常収支不均衡の調整ルール ・・・ヨーロッパとドイツ ・・・アメリカの量的緩和策とアジア ・・・北欧連邦の結成 ・・・トルコの台頭

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主要な出典 Bloomberg, China Daily, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


l         中間選挙で大きく敗北したオバマ

guardian.co.uk, Thursday 28 October 2010

Obama hope was all hype

Tariq Ali

NYT October 28, 2010

Divided We Fail

By PAUL KRUGMAN

NYT October 28, 2010

The Next Two Years

By DAVID BROOKS

PAUL KRUGMANは、中間選挙の結果によって、共和党がオバマ再選を阻止できると考え、デフレを回避する景気刺激策も拒否することを悲観します。

他方、DAVID BROOKSは、オバマの支持率を回復する明確な方針を示しています。

第一に、支持政党のない人々にアピールすること。第二に、アイデンティティーを明確にすること。第三に、アメリカ衰退の不安を払しょくすること。第四に、穏健な、リベラルな組織・団体を取り込むこと。

オバマは、選挙戦で余り明確なアイデンティティーを示さないようにして支持を広げました。しかし、今は違います。金融危機回避のために、大きな政府や金融救済を実行しました。しかし、正統的なリベラルの、大きな政府は、アメリカの伝統に根付いていません。社会問題について、もっと伝統的な立場を重視し、政治的にも穏健左派の、プラグマティストであると示すべきです。たとえ変わった経歴であっても、文化的には、古風なブルジョア的価値の信奉者、すなわち、秩序、自己規律、几帳面、個人の責任、を重視します。政治面では、データを重視し、政府を尊重するときも、データによって有効でないとされた政策は放棄します。

また、アメリカ国民が心配するのは、失業率の高さだけでなく、債務依存の放縦さに流れるアメリカ人、という惨めな感覚、個人の責任感を蝕む政府の関与、勤勉に働くより影響のあるゲームにふける人々が豊かになることです。だからオバマは、勤労と報酬とのバランスを回復する役割を担うべきです。

アメリカには人材も資源もあるのに、それがうまく配置されていない。これを最大限に活用できるような政府を作り、社会を草の根から活気づかせるリベラルな制度や組織を育て、彼らと協力することです。

多数を得た共和党の政策交渉に応じるべきではないでしょう。むしろ議会の外に出て、市民を助けることです。「共和党は半分だけ正しい。彼らは歳出削減を求める。私は削減し、それを他に回すだろう。共和党は政府を切り刻む。私は政府を再編するだろう。共和党は破壊を望むが、私は改築を望む。」

フォードがやったように、企業は無駄な支出を削り、生産的な投資を倍増するのです。オバマは、実行できないような年金の約束、バイオ振興予算、無駄な(富裕層への)減税措置を削ります。しかし、子供たちや科学振興、未来のために投資を増やします。

WSJ OCTOBER 29, 2010

Why Business Should Fear the Tea Party

By ROBERT B. REICH

オバマ旋風を完全に消してしまったのはティー・パーティー運動でした。大企業の経営者たちはオバマを嫌っています。しかし彼らは、共和党の多数派をティー・パーティー運動の支持を受けた政治家が占めるとしたら何が起きるか、考えてみたことはあるのだろうか? ティー・パーティー運動は、連邦準備銀行とIRS(国税庁)を嫌っており、その解体を求めています。

また、ウォール街はオバマの方針に大反対ですが、少なくともオバマは金融救済を続けました。他方、ティー・パーティー運動は銀行を救済するような政治家を支持しないでしょう。彼らは大きな政府も、ウォール街も、大企業も嫌いなのです。こうした発想は、かつて、左派の陰謀論でしたが、今は、右派の陰謀論が大宣伝されています。

ティー・パーティー運動は、自由貿易にも反対し、アメリカは国際機関から脱退する方が良い、と考えます。G20など、世界政府に近付いており、大反対なのです。アメリカが世界経済を介してジンバブエと将来を分かち合う、などと考える愚か者を許しません。

ビジネス界の指導者たちは、オバマを批判する以上に、こうした右派のデマゴギーを拒み、政治。それが経済システムの安定性を破壊することを主張しなければなりません。

NYT October 30, 2010

Give Obama a Break

By NICHOLAS D. KRISTOF

FT October 31 2010

Obama can blame the whining left

By Clive Crook

FT October 31 2010

Middle America’s Tea Party is here to stay

Karlyn Bowman

SPIEGEL ONLINE 11/01/2010

Former US Secretary of Labor Robert Reich

'Obama Failed to Connect the Dots'

Robert Reichがインタビューに応えています。これはいかにも強烈です。経済の現状を見れば、人々がデマゴギーに翻弄されるのも当然だ、と認めます。

「第一に、われわれは空前の富が社会の頂点に集中している時代にいる。アメリカ人の1000分の1が底辺の12000万人よりも多くを得ている。第二に、最高裁判所の醜悪な判断により、われわれは富裕層や大企業が事実上無制限jに資金を政治に使うことを許している。そのせいで、さまざまな選挙運動や広告、あるいは候補者への攻撃に、誰が何をしたのかを秘密にできる。推定では、最近の選挙でも4億ドル以上がこうした匿名の団体によって支出された。最後に、有権者たちの多くが仕事を失い、あるいは、失う危機に直面しており、自宅をすでに失うか、失いそうであり、今もなお、その貯蓄や純資産が減少し続けているのだ。この挫折した、不安な人々が、解決のために何が必要かを説明するよりも、こうした問題を起こしたと他者を責める、デマゴーグたちの餌食になるのは当然だ。」

不況に際して政府が財政赤字を増やして民間需要を補うのが正しい政策だ。しかし、オバマは最初にウォール街の救済をブッシュ政権から引き継いだ。これが失敗だった、とRobert Reichは指摘します

いわゆるティー・パーティー運動は、今や次第に共和党を占領しつつあるが、それはジョージ・W・ブッシュ大統領とその後のオバマ大統領が7000億ドルでウォール街を救済したときに始まった。その救済はまるでインサイダーの手並み、多くのアメリカ人にとってはいかさま取引であった。アメリカでは、政府と大企業は共謀しているという感覚があり、その際は起業より政府が責められる傾向がある。もしオバマが救済に非常に厳しい条件を付けていたら、たとえば、ウォール街の金融機関が零細企業にも融資しなければならないとか、住宅所有者が債務を自己破産できるとか、その返済額を制限できる、とすればよかった。そうすれば今のような反発は起きなかっただろう。オバマはまた、政策の異なる点をつなぐことができなかった。金融改革法案、医療保険法案、雇用法案、財政刺激策、これらはすべてアメリカ経済の中で中産階級と公正さを回復するための大きな努力の一部分となっていた。

アメリカの消費者が債務に依存したことを責めるより、アメリカ経済が大きく拡大する中でも、労働者階級の所得が増えなかったことを問題にするべきだ、と主張します。最上部と底辺との、これほど大きな格差は、大恐慌のときに観たことがあるだけだ、と。

アメリカ国民は孤立主義、アメリカ優先、排外主義、に向かっています。ティー・パーティー運動は貿易を嫌い、人々は移民に反対し、中国を非難します。憤慨と怨嗟によって政治が動く中で、1930年代の孤立主義は再生しつつあるのです。

アメリカ政府が再び教育やインフラに対して大規模に投資するだろうか? Robert Reichは悲観的です。労働組合の影響力は失われてしまい、オバマも選挙後はクリントンをまねて中間層を取り込もうとするだろう。しかし、それは幻想だった、とRobert Reichは振り返ります。政治的な中間層など存在せず、政府は単に得票率に振り回されただけだった。それは政権が指導的な役割を放棄したことを意味する、と。

WP Sunday, October 31, 2010; 12:00 AM

How Obama might recover

By David Broder

オバマが2012年までに景気を回復できるかどうか、それを決めるのは二つの力だ。一つは景気循環。もう一つは戦争(あるいは、平和)だ。

だから再選のために戦争するか、あるいは、イランの核開発を止めて平和に貢献せよ。

FP NOVEMBER 2010

A Plan B for Obama

Will Marshall, “REWRITE THE RULES OF WAR”

James Hansen, “GIVE THE PUBLIC A GREEN CHECK”

面白い提案だと思いました。「戦争のルール」やテロ、介入の基準を国際的に合意できれば、アメリカも世界も大きな利益を得るでしょう。また、石油に代わる燃料、温暖化ガスの排出をなくす方法について政治家が補助金を奪い合うより、消費者による選択が良いでしょう。

NYT November 1, 2010

Get Bold, Barack

By ROGER COHEN

FT November 1 2010

Obama may just be an interlude

By Gideon Rachman

オバマは有権者や世界に希望をばらまいて、その成果を問われました。それは失敗だった、と今、自分でも認めています。

そのような大統領をアメリカ国民は嫌うのでしょう。アメリカは道徳的に優れており、世界に秩序をもたらす使命がある、と信じなければ、大統領は支持されないのです。あるいは、反対派は外国人や同盟国を切り捨て、アメリカの国際的な地位を放棄して、勝手な和平を求めます。ブッシュの築いた醜い世界から離別できる、と信じた支持者たちも、次第に、オバマの外交が大きく変わらないことに失望しました。

外交は、結局、だれがやっても同じだ。それを決めるのは世界に点在する権力者たちであり、リアリストの外交専門家たちだから。イランの反米指導者も、中国の台頭も、アフガニスタンの戦場も、オバマには変えることができない。「あれか、これか」という分析的なオバマのアプローチより、アメリカ例外主義を唱える者が有利だ。

しかし、世界にとってオバマのアメリカは明らかに好ましい。彼を失うべきではないのです。

FT November 1 2010

How America can withstand the headwinds

By Robert Rubin

長期の財政赤字削減策と組み合わせた景気刺激策が必要だ。投資家たちに不安を与えてはいけない。他方、量的金融緩和策は抑えるべきだろう。その効果は乏しく、深刻なリスクが増大している。アメリカ政府が債務を現金化しない、という姿勢を疑われるだろう。そして、インフレ、競争的な通貨切り下げ、貿易の制限、が起きる。

金融危機への対処法は間違っていなかったし、効果もあった。しかし、政府とビジネス界には軋轢が生じた。その他の関係者も加えて、もっと効果的に金融規制の問題を検討し、金融取引に関わる関係者を厳格に守り、しかも、経済活動を抑圧しないように整備することだ。投資環境や意欲を改善し、雇用を促すべきだ。他国の政策や保護と関係する貿易は難しいテーマだ。

当面、富裕層を除いて、減税を行うことだろう。そして、長期的には、アメリカ経済の弾力性と活力が問題を解決する。しかし、世界経済は歴史的な構造転換を迎えており、その中で、成長と競争力を維持し、国内では中産階級の所得を増やすことが課題である。

挑戦に応じてわれわれがなすべきことは、リスクを抱えた財政の現状から抜け出し、健全な状態へ転換し、そして、教育、医療保険コスト、インフラ、移民、など、経済的な重要な領域において投資と改革を進めることだ。市場に依拠した経済システムを支える効果的な政府という考えが、リベラルでないとしても、市場が満たすことのできない、経済的繁栄のために必要な条件を作るのに実際に必須のものである。

だからこそ、政治システムが有能でなければならない、とRobert Rubinは主張します。政党やイデオロギーの分断を超えて、困難な決断を下すために、広範で真摯な関心を政治システムが集約すること。そして、われわれの経済、社会、文化のシステムが歴史的に獲得した、強靭な回復力を示すときである。

FT November 2 2010

Gridlock will be bad for America

By Steven Rattner

FT November 2 2010

Divided government reveals America’s indecision

By Clive Crook

WSJ NOVEMBER 2, 2010

Why Obama Is No Roosevelt

By DOROTHY RABINOWITZ

同じように厳しい情勢であるだろう。しかし、オバマの雄弁が失われたとき、彼がF.D.ルーズベルトではないとわかった。ルーズベルトは国民を信頼し、複雑な細部についても、聴衆を説得できた。オバマにはそれができなかった。

真珠湾攻撃を受けて、まだ数カ月しかたたない1942223日に行った炉辺談話で、連合軍の情勢が最悪であることを示した。ルーズベルトは聴衆に世界地図を持って聞いてほしい、と語りかけた。その優れた説得は、"The Map Speech"として歴史に残る。

「わたしが述べる個所を一緒にたどって、この戦争の及ぶ範囲を確認してほしい、と頼んだ。聴衆は線をたどりながら、地球上に展開する戦争の現状を知り、敵の目標、原材料の拠点、さらに多くのことを知った。大統領と一緒に地図を埋めることが終わったとき、彼らは優れた教育を受けていた。」

「フランクリン・ルーズベルトは、比類ない国民的な苦境から始め、事実上、戦争の終幕まで、この国を12年間指導した。彼が亡くなったとき、国民はリンカーンの死以来なかったほどの深い悲しみを示した。アメリカ人は彼を信頼していたからだ。ルーズベルトの葬儀列車が通過したとき、涙を流していた男の話がある。彼は、大統領を知っているのか、と尋ねられた。『わたしは彼を知らなかった。』と男は答えた。『しかし、彼は私のことを知っていた。』」

時代は変わっても、指導者の要件は変わらない。オバマが魅力的で、知性を示しても、アメリカ人はオバマが彼らに語りかけ、彼らのために語っていると思わない。彼は講師の責任者であり、新しい進歩的な社会についての彼の考えを計画しているに過ぎない。

LAT November 3, 2010

How Obama lost his voice, and how he can get it back

By Marshall Ganz

オバマは、旧秩序や分断を超えるtransformational leadershipを掲げた。しかしオバマが選挙戦で有権者を熱狂させ、資金集めに成功した大統領の新しいイメージは、政権を動かすのに適当でなかった。深呼吸して、一歩下がり、コースを変えるべきだ。

苦しみ、不安を抱えた人々のために行動すること。アメリカ人が働けるように、未来を再建することだ。

guardian.co.uk, Wednesday 3 November 2010

US midterm elections: the verdict

Sidney Blumenthal, Grover Norquist, Katha Pollitt, Bernie Sanders, Bethany McLean, Amanda Marcotte and Joe Lockhart

同じ選挙過程を観ながら、批評家たちは様々な違った感想を述べます。たとえば、Katha Pollittは書いています。

アメリカ人は、オバマがウォール街を救済したことに怒った。そして、金融ビジネスや大企業をもっと優先する共和党候補に投票した。有権者たちは、民主党が二桁の失業率に十分な対策を打てないことに怒った。オバマのおかげで高等教育や医療保険を得た若者たちは投票しなかった。アメリカの有権者たちが愚かで、情報を得ていない、と言えば、私はエリート主義者に見えるだろう。しかし、この結果は、典型的な「自分の足を撃つ(墓穴を掘る)」ケースである。もし彼らがイデオロギーと関係なく共和党員に投票したのであれば、その代償を支払うに違いない。もっと冷酷で、もっと利己的な、不公平なアメリカにおいて、貧しく、病気に苦しみ、孤独になるのだ。

guardian.co.uk, Wednesday 3 November 2010

The Republican party now owns Congress

Grover Norquist

WP Wednesday, November 3, 2010;

On Fox News, Election 2010 is cause for cheer

By Dana Milbank

WP Wednesday, November 3, 2010;

We've voted. What's next for the economy?

By Mohamed A. El-Erian

民主党と共和党の勢力が拮抗して議会が麻痺することは、伝統的に、むしろ歓迎する状態でした。なぜなら経済的に観て非生産的な政治的行動が抑制されるからです。

しかし、それは民間部門が健全で、経済がうまく機能しているときの話です。現状では、企業や富裕層が資金を持っていながら、それを投資せず、雇用が増えません。むしろバランス・シートの改善に使います。

企業も家計も支出しない理由を、将来の規制や課税、マクロ経済の見通しが不確実であること、あるいは、オバマ政権の示す反ビジネス姿勢、を挙げます。しかし、だからと言って政治が停滞することを歓迎するのは間違いです。人々は失業や債務に苦しみ、自宅を失う不安があるのです。今までのような債務に依存した消費と成長は転換を求められています。

こうした状況で、民間部門が支出するには、単に民間部門の意欲を待つだけでなく、一定水準を超える需要の塊(critical mass「臨界質量」)を政府が与える必要がある、とMohamed A. El-Erianは主張します。Larry Summersは、それを「脱出速度」と呼んだものです。

ところが、今後2年間、民主党と共和党の対立で法案は通過しません。債務超過や構造的硬直性を解決するために、住宅、中期の財政目標、税制、インフラ投資、職業訓練、教育・科学研究支援、社会の弱い階層を保護するシステムなど、長期的解決策が必要です。

政府は政策を成立させ、しかも、その実行を時間をかけて推進しなければなりません。そうすることで経済的な見通しに内外の牽引力を与え、増大する国際摩擦にも対抗して、協調のための指導力を発揮するのです。

それは容易でないが、実現に時間がかかるほど、アメリカの伝統である、経済のダイナミズムや雇用創出力、グローバルな指導力を回復することが難しくなるのだ。

NYT mber 3, 2010

Saving Social Security

By PETER ORSZAG

FT November 3 2010

Obama can learn from Clinton, but will he?

By Jacob Weisberg

1994年、クリントンの下、民主党が中間選挙で敗北したときと同じことを、オバマにもできるでしょうか? クリントンは恐慌をきたし、その後、民主党と共和党の対立を抑えるために、中間派を支持しました。浮動票を引きつけるように法案を修正し、右派に譲歩してキャピタル・ゲインの減税に賛成し、自分が嫌った福祉改革に署名したことで政権の幹部を失いました。

しかし、クリントンは議会を三極化したのです。オクラホマの爆弾テロ事件への対応で、政府への攻撃を退け、有権者の支持を得ました。その後、国内改革で共和党支持者を得るきっかけになります。

FT November 3 2010

How the Republicans can fulfil their pledge

By Paul Ryan

FT November 3 2010

Midterm power shift leaves Obama with dilemma

By William Galston

FP NOVEMBER 3, 2010

Thinking Outside the Borders

BY CHARLES FERGUSON

オバマには新しい経済チームが必要だ。優秀な人材に国境は関係ない。もし海外から引き抜くとしたら、誰が良いか? イギリスの映画祭を優れたオランダ人が指揮したように。

現政権のラリー・サマーズも、共和党時代のグレン・ハバードも、金融危機を準備する点で同罪だ。危機を警告した5人の優れたエコノミストたちRaghuram Rajan, Simon Johnson, Nouriel Roubini, George Soros, and Charles Morrisは、インド、オーストラリア、イラン生まれでイタリア育ち、ハンガリーだ。最後のCharles Morrisがアメリカ生まれだが、アウトサイダーだった。

Nov. 4 (Bloomberg)

Republicans, Democrats Must Move Beyond Extremes

Jon Meacham

WP Thursday, November 4, 2010;

A recoil against liberalism

By George F. Will

SPIEGEL ONLINE 11/04/2010 06:23 PM

Taking Lessons from the Mid-Term Disaster

How Obama Can Win Back America

A Commentary by Thomas Kleine-Brockhoff

1994年、1946年と比べても、前例のないほど大きな敗北だ。オバマの政策はアメリカの有権者にとってリベラル過ぎた、2012年に再選を目指すなら、もっと中道よりも政策を主張するべきだ。

オバマのイメージは有権者をとらえていない。選挙戦でオバマのチームはABB"Anything but Bush")やABC"Anything but Clinton")と唱え、オバマをa "transformative president"として売り込んだ。オバマはクリントンやカーターよりリベラルな法律を成立させ、有権者たちはだまされたと感じていた。アメリカの政治的な中道は、ドイツに比べてはるかに右寄りだ。

保守派のHenry Olsenはアメリカの労働者の態度を分析している。彼は勤労を重視するが、それでもビル・ゲイツの資産をねたまない。自分の子供が同じように成功すると期待しているから。彼は職を失うことを恐れている。また、所得の範囲内で生活するべきだと考え、政府がなぜこれほど規律もなく膨大な赤字を出すのか理解できない。

彼にとっては安定が重要であり、オバマの見下したような態度に憤慨する。リスクや急激な変化は避けたいのだ。オバマのa "transformative president"など、極端に左派のリベラルである。

そんな有権者に受ける政策はアメリカの偉大さを取り戻すものである。すなわち、雇用とアメリカ製造業の再生、債務削減と責任ある予算の優先順位、貿易赤字の削減、インフラの近代化。


l         経常収支不均衡の調整ルール

WP Thursday, October 28, 2010; 9:58 PM

The G-20's tough task in Seoul

By Jim Hoagland

世界の主要国が従うのは「シナトラ・ドクトリン」だ。・・・わが道を行く。単独行動主義が蔓延するソウルG20に期待することはできない。

ヨーロッパ諸国は緊縮財政を主張し、アメリカは金融の量的緩和を再開した。ドル安と通貨戦争を強めながら、ドイツや中国には経常収支の不均衡に上限を求める。大恐慌を招いた「近隣窮乏化政策」に戻るとは思わないが、「自己防衛(保険)」の本能が強く働いている。

なぜ中国は通貨の増価を拒むのか、ドイツは赤字国を助ける刺激策を嫌うのか、誰もが金融システムの改革に踏み出さないのか? その理由は、不確実な世界において「自己防衛(保険)」の本能が最優先されるからだ。

ECBのトリシェ総裁は、世界の破綻した銀行や企業、政府を救済するために、アメリカ財務省、EUIMF、その他の国際機関が2008年以来費やした資金は、財・サービスの世界生産額の25%に達するだろう、と指摘した。「これは2度とできないことだ、と私はすべての銀行家に強調するのだ」とトリシェ総裁は述べた。

G20は協調のためのフォーラムである。財政刺激策を決め、金融市場の監視を強化し、予算の規律や為替レートの円滑な調整を合意するべきだ。2年前は、サルコジとオバマがそれをうまく進めた。しかし、サルコジが2012年の再選に向けて農産物などの規制を唱え、国際金融システムの改革を目指すと言いだして、ソウルのG20は困難を増している。

guardian.co.uk, Monday 1 November 2010

A currency war has no winners

Joseph Stiglitz

財政刺激策は議会が認めず、金融の量的緩和も効果がないだろう。アメリカはドル安と輸出の増大を求めるが、これは危険な政策だ。為替レートを不安定化し、保護主義を強める。相手国からの報復が起きるかもしれない。

幸いなことに、代替案がある。それは、成長を高める構造改革、景気刺激、グローバルな通貨システムにおける長期の制度改革、これらを基にした国際協調である。しかし、各国は自国の利益だけを求めている。

「アメリカには(量的緩和ではない)違う道がある。歴史がそれを示している。50年前、アメリカは一方的にブレトン・ウッズ体制を破壊し、変動レートに移行した。それ以来、世界経済は史上かつてない危機に占められている。今、世界は異なる体制、管理為替レートと分割されや資本市場からなる体制に向かいつつある。・・・それは各国が、他国を無視して、自分の利益を守る結果である。」

アメリカの量的緩和策はコストが大きく、明確な利益はもたらさず、他国に破壊的影響を及ぼし、特に新興市場が世界経済の成長を担う力を奪ってしまう。アメリカは雇用を増やしたい。中国は急激な増加を避けたい。新興諸国は急激な資本流入を止めたい。「結局、市場が決める為替レート、という考え方は、ブレトン・ウッズと同じくらい時代遅れであろう。その結果として、グローバルな金融システムは次第に分裂し、不可避的に保護主義に陥る。」

打開策は単純だ。世界の成長を回復せよ。そうなれば、通貨の増価は当然に行われるだろう。

成長はどうやって回復するのか? その能力があるすべての政府が支出を増やすのだ。アメリカの責任は特に大きい。世界金融危機の犯人であり、ドルが事実上の世界準備通貨であるから。アメリカは生産性を高める投資を必要としている。高速鉄道でも、グリーン・テクノロジーでもよい。高成長は税収を増やし、政府の債務を減らす。

アメリカも中国も、為替レートの調整だけでなく、構造改革が必要である。それは、例えば賃金を引き上げて、世界の総需要にも貢献できる。米中がばらばらに行うよりも、金融システムを共有して効率的な貯蓄の利用や、新興諸国の温暖化対策に対する投資、など、協調することで大きな利益が得られる。

そのカギとなるのは、新しい世界準備システムや「IMF通貨」(SDR)の追加供給である。

FP Tuesday, November 2, 2010

G-20: A viewer's guide

Posted By Phil Levy

guardian.co.uk, Tuesday 2 November 2010

The weary US titan and a new multipolar order

Pierre Buhler

FT November 2 2010

Current account targets are a way back to the future

By Martin Wolf

経常収支の不均衡に上限を設ける考え方を批判して、ドイツのRainer Brüderle経済大臣が「指令経済だ」と述べました。Martin Wolfは、そのような反発を予想されたものとして、そのような主張ができない三つの条件を示しています。

1.現在の膨大な外貨準備は市場のもたらした結果ではない。2.この過剰貯蓄を安全かつ有効に利用する方法が世界にはある。3.世界には膨大な過剰生産力がある。

このような中で赤字国が調整を強いられるのは、ケインズが主張したように、まったく、望ましくない。しかし、ケインズが心配したような赤字国(特にイギリス)の苦しい調整は、アメリカに強制されないだろう。ドルに代わる準備通貨はまだないし、中国も含めて、アメリカに急速な調整を求める黒字国はない。誰もがアメリカの量的緩和が続くことを恐れている。もっとほかの形で、世界の需要が増大し、実質為替レートが調整できることを望むだろう。

結局、米中対話が必要なのだ。また、ドイツにはユーロ圏内の赤字国を救う必要がある。中国は、日本と違って、人口や国内市場の点で、次の覇権国になる規模がある。G20は、こうした米中間の覇権移行を交渉する仕組みなのだ。もし中国が国内需要を刺激して対外不均衡を解消できるなら、特に消費を増やせるなら、中国人民も世界もそれによって利益を得られる。アメリカは長期的な財政再建を実行することだ。

G20がこうした合意を達成できれば、それこそが多国間主義multilateralismの勝利である。すなわち、大国間の紛争を抑制したのである。為替レートをめぐる論争を回避するガイトナーの提案に、中国の指導者は積極的に応えてほしい。


WP Thursday, October 28, 2010; 6:40 PM

What Obama can accomplish in India

By C. Fred Bergsten and Arvind Subramanian

インドとの関与政策について。中国を意識し、インドの成長に期待しても、通商政策の対立は、また、別です。

FT October 29 2010

India and China meet to resolve differences

By James Lamont in New Delhi and Geoff Dyer in Beijing

米中間には多くの対立もありますが、クリントン国務長官は、アメリカが中国の成長を阻むという誤解を解くように交流を深めています。

NYT October 30, 2010

It’s Morning in India

By THOMAS L. FRIEDMAN

(Xinhua) 2010-10-30

US makes all-out-effort to sustain dominance in Asia

By Ran Wei

guardian.co.uk, Sunday 31 October 2010

Shanghai expo: this is New Confucianism writ large

Owen Hatherley

YaleGlobal , 1 November 2010

India and China Take Different Roads to World Leadership – Part I

Shyam Saran

Nov. 2 (Bloomberg)

Harvard, Rockefeller Are Coming Back in Vogue

William Pesek

WP Tuesday, November 2, 2010;

President Obama, Asia is calling

By Fareed Zakaria

オバマは国内政治で大きな障害にぶつかったけれど、まさに今こそ、アジアがアメリカとの対話に強い関心を向けているから、外交の旅に出るチャンスだろう。なぜなら、中国の最近の行動は、特に、日中関係における強硬な主張は、東アジアにおける地政学的な均衡を動揺させているから。中国は「平和的な台頭」という教義を破棄してしまい、慎重な外交姿勢を失ったようだ。そして、周辺諸国は中国の台頭をけん制するために同盟しつつあり、中国に対抗してバランサーとなる国は、唯一、アメリカだけであると理解したから。(日本ではない。)

アジアの数人の論客と一緒に、船橋洋一の論説で、日中関係を「グランド・ゼロ」にたとえた内容が、ここに言及されています。

YaleGlobal , 3 November 2010

India and China Take Different Roads to World Leadership – Part II

Frank Ching

(China Daily) 2010-11-03

US' much ado about nothing

By Mei Xinyu

(China Daily) 2010-11-03

Unexpected barriers

世界の均衡回復にとって、中国が海外投資を増やすことは重要です。それはアメリカの財務省証券だけでなく、直接投資のような形にもなるでしょう。しかし、他方で、中国企業が海外で企業を買収することに、受け入れ国の政府は神経質になります。

WSJ NOVEMBER 4, 2010

China's Self-Defeating Mercantilism

By JASPER BECKER

歴史が示すように、世界貿易にとって重要な商品を独占することは、その国を豊かにできなかった。ところが、中国人は歴史を間違って解釈している。


NYT October 28, 2010

Leadership and Leitkultur

By JÜRGEN HABERMAS

ドイツの政治論争は外国人排斥に向かう傾向がある。イスラム世界からの侵略にドイツが征服されてしまう、という本が出た。社会民主党の政治家で連銀の理事会にも参加するThilo Sarrazinが、その著書Germany Abolishes Itselfで、ドイツのイスラム教徒人口を抑制する政策を提唱している。根拠として、移民たちの知性を科学的に測定する。世俗的な偏見が、こうして、科学と見なされる。


WSJ OCTOBER 29, 2010

Utopia, With Tears

By ALEXANDRA MULLEN

1843年、マサチューセッツ州に7カ月だけ続いた奴隷制廃止論者Abolitionistsのユートピア共同体、Fruitlandsの失敗に関する本の紹介です。


FP OCTOBER 29, 2010

Death of a Gambler

BY ANNA PETHERICK

FT October 30 2010

Lunch with the FT: Bill Gates

By Gideon Rachman

WSJ OCTOBER 30, 2010

Bankers to the World

By JAMES FREEMAN

左派の政治家Nestor Kirchner、マイクロソフト創業者・元会長・慈善事業家Bill Gates、銀行家Felix Rohatyn and James Wolfensohn


l         ヨーロッパとドイツ

SPIEGEL ONLINE 10/29/2010

Merkel's Euro Gamble

European Press Wary of Lisbon Treaty Reform

FT October 31 2010

An EU treaty change is necessary but hazardous

By Wolfgang Münchau

guardian.co.uk, Wednesday 3 November 2010

We feel the absence of Germany's shoulder at the European wheel

Timothy Garton Ash in Berlin

ドイツ歴史博物館のヒトラー展について。ドイツの優生学が、Thilo Sarrazinのイスラム教徒排斥と重なります。それはドイツだけでなく、オランダ、スペイン、イタリア、イギリスにもあるのです。Timothy Garton Ashは、その意味で、ドイツは普通のヨーロッパ国家になった、と述べます。

あるいは、ヨーロッパにおける軍事力のプールについて。ユーロ圏の安定化とドイツの貿易黒字について。ドイツの国益追求(たとえば、ロシアへのエネルギー依存)について。ヨーロッパ統合を進めるドイツの意欲(そして財政支援)について。

ヨーロッパはドイツを必要とし、ドイツもヨーロッパを必要としている。それはヒトラーがいたから(そして、次のヒトラーを出さないため)ではなく、現在、彼らが持つ経済関係を維持、発展させるために。そして将来、彼らが住む、中国の動かす国際秩序を考えるために。

日本であれば、裕仁展あるいは東条展です。アジア歴史博物館や戦争記念館を、民主的な政府と歴史家たちが(アジアの知識人を招いて)試みてください。

guardian.co.uk, Thursday 4 November 2010

Euro crisis has left Angela Merkel with much to fear

Joschka Fischer

「鉄の宰相」メルケルが取ってきた待機戦略は、ユーロ危機のコストを増しただけでなく、他の諸国にドイツの州と同じような財政規律を押し付けることになりました。それはメルケルの国内政治向けアピールでしたが、次の危機を防ぐものではありません。そのとき、通貨・財政危機の一層の政治介入・対立が懸念されます。

FT November 4 2010

The futile attempt to save the eurozone

By Samuel Brittan

1961-67年のポンド危機と同じように、ユーロ危機も続くだろう。そして、ギリシャは離脱する。一つが離脱すれば、他の離脱も関心を集め、ユーロ圏は苦痛に満ちた解体過程に入る。


NYT October 30, 2010

How the Banks Put the Economy Underwater

By YVES SMITH

住宅市場の回復が遅いことで、景気や雇用は大きな影響を受けています。その原因として、証券化された住宅の処理が難しいことを挙げています。・・・「証券化は労働集約的な作業である。」 住宅ローンの元金や返済額を削減し、処理を迅速にすることで、住宅差し押さえや住宅市場の処理が進み、不確実性が取り除ける。


FT October 31 2010

Yemen needs more than our military support

By Christopher Boucek

イエメンの内戦やアル・カイダの浸透を放置せず、早急に武力介入して鎮圧するべきだ、とアメリカ政府は検討しています。それは、アジアにとっても重要な地点です。


SPIEGEL ONLINE 11/01/2010

A Superpower in Decline

Is the American Dream Over?

アメリカ社会が分断され、経済・金融システムが信用を失い、多くの国民にとってアメリカン・ドリームも失われてしまえば、国際秩序に対する関心を低下させていく。アメリカの衰退について、優れた専門家たちの発言とともに、詳しく報告した特集記事です。

Robert PutnamRaghuram RajanRobert ReichEdmund PhelpsPaul VolckerElizabeth WarrenDinesh D'SouzaManfred HenningsenJoseph StiglitzJohn MakinAxel WeberDov Seidman


l         アメリカの量的緩和策とアジア

FT November 2 2010

Emerging markets braced for flood of new money

By David Pilling in Hong Kong

FT November 2 2010

QE2 is risky and should be limited

By Martin Feldstein

量的緩和策ではなく、財政政策が必要だ。その欠陥について注意すること。

Nov. 2 (Bloomberg)

Inflation Is Running Out of Control in QE Land

Matthew Lynn

WP November 2, 2010; 5:09 PM ET

What do 2010 elections mean for the economy?

By David Ignatius

中間選挙の敗北と財政政策の行き詰まりを受けて、バーナンキの金融政策に負担が増します。

guardian.co.uk, Wednesday 3 November 2010

Who pays the bill for the Fed's QE2?

Kevin Gallagher

世界金融の欠陥を解決するには、6000億ドルを追加供給することが最良の策か? アメリカは量的緩和を再開し、新興諸国は資本規制を始めた。しかし、アメリカとのFTA には資本規制を禁じる条項がある。

こうした市場統合にともなう金融政策の混乱は、グローバルな金融制度改革を行う必要を示している。

FT November 3 2010

QE2 blunderbuss likely to backfire

By Mohamed El-Erian

アメリカの雇用を回復するために、他国に犠牲を強いることは許されるのか? 量的緩和はアメリカの資産価格を引き上げるだけでなく、新興諸国の通貨価値や資産価格も引き上げます。ブラジルや中国は市場が過熱し、日本では円高でデフレが進みます。

アメリカの政策は、世界の金融ネットワークにおける中心的な地位を損なうでしょう。

WSJ November 3, 2010

Economists React: Chairman Bernanke’s Brave New World

By Phil Izzo

WP Thursday, November 4, 2010;

What the Fed did and why: supporting the recovery and sustaining price stability

By Ben S. Bernanke

Ben S. Bernanke自身による弁明です。つまり、連銀には、議会が定めた二重の目的がある。インフレを抑え、景気・雇用を維持する。

最初の量的緩和を調べたが、マイナスの効果は少なかった。連銀には十分な準備も集団もあるから、インフレは抑えることができる。

FT November 4 2010

Backlash against Fed’s $600bn easing

By Alan Beattie in Washington, Kevin Brown in Singapore and Jennifer Hughes in London

FT November 4 2010

Bernanke pushes on very long string

WSJ NOVEMBER 4, 2010

Milton Friedman vs. the Fed

By ALLAN H. MELTZER

Milton Friedmanなら、連銀による長期債の購入を支持するだろうか? そうだ、と言う者もいるが、私はそう思わない。

フリードマンは失業を、金融緩和のもたらしたインフレを抑える後遺症だ、と考えていた。金融政策で失業を緩和できない、というわけだ。彼が安定した通貨供給のルールに対する例外として認めたのは、継続するデフレの場合だけだ。それはア930年代のアメリカや90年代の日本で起きた。現在のアメリカには当てはまらない。


l         北欧連邦の結成

guardian.co.uk, Tuesday 2 November 2010

Is a federal Nordic state on the cards?

Eirikur Bergmann

かつて北欧3カ国、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンは、Iceland, Greenland, the Faroe Islands, Shetland and Orkneyを含む、the Kalmar Unionを結成していた(1523年に崩壊)。この歴史的試みを再現する提案が、スウェーデンの歴史学者Gunnar Wetterbergによってなされました。「イギリス、フランス、イタリア、ドイツも、同様の状況から国家を創設した」というわけです。2500万人の人口と市場規模、G20にも席を占める、油田と独自通貨をもった新しいEU加盟国が誕生します。

その利点と限界、支持論と反対論を紹介しています。現在、その関係諸国はEUやユーロ、NATOなどで、異なった立場にあります。また、長い闘争の末にコペンハーゲンやストックホルムの支配を退けて独立を得た各国民の歴史があります。

「アカデミックな論争は、北欧連邦の想像力を刺激する。秀麗なストックホルム(ヨーロッパで唯一、外国の軍隊に征服されたことのない首都)を首都とし、デンマークの王室(非常にドイツ的な)を戴き、アイスランドの言語(北欧諸言語の起源)を共有する。そして、ノルウェー・クローナ(潤沢な原油基金をもつ)を採用するだろう。」


FT November 2 2010

A pact to end Europe’s Thousand Years’ War

By Gérard Errera

WSJ NOVEMBER 5, 2010

Entente Suicidal

By ANDREW ROBERTS


WSJ NOVEMBER 3, 2010

The World With a Nuclear Iran

By MOSHE KANTOR


SPIEGEL ONLINE 11/03/2010

Special Court for Sierra Leone

Is the Case Against Charles Taylor Falling Apart?

By Thomas Darnstädt and Jan Puhl

リベリアの独裁者、チャールズ・テイラーに対する国際法の支配が失敗すれば、将来、人権擁護やジェノサイドの防止について、国際的な関与を低下させるかもしれません。


FT November 3 2010

Russia: Bribery on the beat

By Charles Clover


(China Daily) 2010-11-04

Some advice for Japan

By Jiang Lifeng

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The Economist October 23rd 2010

A country’s welcome rise: Is Turkey turning its back on the West

Germany’s role in the world: Will Germany now take centre stage?

(コメント) 中国の次の国家主席に誰がなるかは、重大な問題であっても、その情報や決定の意味が理解できない以上、面白い記事になりません。むしろ、トルコの記事が面白いです。トルコは停滞するヨーロッパのBRICであり、高成長の中国なのです。イスラム教圏で近代化・民主化のモデルとして、NATO加盟国であり、中東の安全保障においても、重要な役割が期待されます。

しかし、ヨーロッパ諸国は消極的です。それは何より人口規模です。英独仏伊の人口バランスを、ドイツの東西統一が破るだけでも揺れているとき、それを超えるトルコ加盟に耐えられるでしょうか? 日本と東アジアも自分たちのことだと感じる話です。

そのドイツの役割に関する冒頭の特集記事が、東西統一やユーロと絡んで興味深い内容です。独仏同盟や、その実体である「ドイツを手なずける檻」のようなEUを重視する見方は急速に失われています。市場統合や政治的合意の本当の評価が必要です。

The Economist October 23rd 2010

Mongolia’s mining boom: Nomads no more

New Mexico’s 2nd congressional district: An immigration election too

モンゴルの鉱山投資を取り上げたのは、私が唱えるIPEの原子モデル、「辺境の王子の決断」がここにあるからです。いくつもの鉱山開発プロジェクトがモンゴルの旧秩序を破壊しかねないとき、賢明な王様は成長の抑制と「財政安定化基金」、腐敗・汚職の追放、秩序改革を検討します。

あるいは、アメリカ、ニュー・メキシコ州の選挙も同じです。選挙を前に、候補者たちはさまざまな争点について政治的な計算を繰り返します。メキシコと国境を接している州が、アメリカ全体よりも移民問題を重視するのは当然です。そして、候補は移民に反対して支持を高めたとしても、石油・天然ガスが重要産業であれば、エネルギー問題や温暖化ガス排出抑制策、環境保護派の支持も計算しなければなりません。

モンゴルの国王がニュー・メキシコ州を統治するとしたら、民主的な選挙結果と違うでしょうか?

The Economist October 23rd 2010

Political parties: The party’s (largely) over

Buttonwood: Engine trouble

Economics focus: Drowning or waiving

高所得の民主主義国家において、政党政治システムはうまく機能しているのか? 産業革命が成功したから、今度はその逆転がはじまる? 石油価格は上昇し、資本はエネルギー・コストに食いつぶされるのでしょうか? 住宅価格が借金の額を下回って、人々は債務の山に縛られたまま、長期の失業から抜け出せない。大規模な住宅バブルの破裂で日本が沈没したように、アメリカでも実物経済の破壊が進むのでしょうか? しかし、アメリカ人の創意工夫はもっと盛んで、それを実行するガッツも失っていないと思います。