今週のReview
3/15-/20
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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IPEの想像力 3/15/10
「IPEの果樹園」は、簡略な形式で、学生たちとの議論の材料を提供し続けようと思います。
簡略化のため、主要な出典を絞り込みました。また、毎週、いくつかのテーマに絞り、いくつかの論説を紹介します。
ここで示す論説は、すべてインターネット上で検索でき、また、ネット上の自動翻訳サイトを使って、大まかな内容も理解できます。多くは、このような論説がありますよ、という紹介にとどめます。
それでも、私の目標とするIPEの研究を探求するために、短い考察を試み、同じようにIPEを研究する方との意見交換や、関心を共有する機会にしたいです。
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約3週間入院しました。
全身麻酔ですから、それがどのような手術であったか、感覚としてまったくわかりません。
その後、1週間の絶対安静期間がありました。あまり眠れず、夜の時間が長くて大変でした。三つの管につながれ、0度、30度、90度と、数日おきに、ベッドを起こしてもよい角度が増えました。ようやく、術後8日目に立つことができたのです。
そのとき、特に足の筋肉は、1週間、体重を支えなかっただけで、大幅に失われたと知りました。翌日から、歩行機を使って、ゆっくり、歩く練習です。
首にギブスを付けていますから、読書も思うようになりません。せめてこれだけは、と思い、ウィンストン・S・チャーチルの『第二次世界大戦』(河出文庫、1〜4)を読みました。
特に印象的であったのは、たとえば、2冊目の90ページ、ムッソリーニのイタリアが、ヒトラーの側ではなく、中立、さらには英米の連合国側に立つことで、その後の経済発展にも大きな可能性があっただろう、と指摘した文章でした。
「イタリアは両陣営から言い寄られ」、有利な条件を利用できた。・・・「国内に多数のイタリア系選挙民を持つアメリカは、ヒトラーに対して」武力でイタリアを巻き込むな、と警告したはずだ。他方、イタリアが「中立を守り通すならば、平和、繁栄、国力増進がその報酬となったであろう。」 ヒトラーがソ連との戦争に踏み込めば、イタリアの有利な条件は無期限に延長された。そしてムッソリーニは、講和の際に、その成果として繁栄するイタリアの、史上もっとも賢明な政治家として尊敬を集めたはずだ。・・・
チャーチルが描いた、第二次大戦末期のイタリアやギリシャの困難な状況は、現在のユーロ危機と重なり合い、私の想像力を強く刺激しました。
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入院中に、マイケル・マンの『ソーシャル・パワー:社会的な<力>の世界歴史U − 階級と国民国家の「長い19世紀」 (下)』(NTT出版)も、少し読みました。特に、第一次世界大戦の勃発をどのように説明するか、について興味を持ちました。
「増税と徴兵をめぐる対立を国家が制度化し終えたその程度に応じて、市民権をめぐる闘争が構造化されつつあった。19世紀の資本主義が集合的な生産力革命を続行する一方で、地政学はヨリ平和的に、軍事体制は国家ごとに(特に国内的に)ヨリ多様、国家内部ではヨリ「内密」でカースト的なものとなっていった。」
リアリズム理論、地政学、は、その前提が現実世界のアクターたちに共有されている程度に応じて有効である、とマンは批判します。なぜ外交を担う専門的なステイツマンが重視されたのか、その条件をもたらした社会的アイデンティティーや権力構造、すなわち、マンの言う「ネットワークの重なり」を解明しています。
社会帝国主義や、経済的利益、合理性による説明(また、ドイルの、自由主義的政党民主制は戦争しない、という主張)も批判します。なぜドイツやロシアが戦争を始めたのか? なぜイギリスは戦争を回避させる介入を明言できなかったのか? 君主制国家にも、複数政党制の民主主義国家にも、戦争を避けられない理由がありました。
「真にデモクラティックな対外政策」は実現できないのか、という悲観論が述べてあります。平時の無関心と、危機における浅薄なナショナリズム的言辞、という飛躍、政治の限界を指摘します。・・・「アクターたちは予測不可能な相互作用と破滅的な結果をともなう戦略を追い求め、その中を漂流したのである。」
第一次世界大戦とは何か? ・・・工業資本主義と権威型の国民国家によって再構築された西欧が、ついに「塹壕から飛び出す」。
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もし可能なら、これからも毎週、果樹園を更新します。どうぞ利用してください。そして、ときには、IPEの研究会を開きましょう。
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1.ギリシャの財政破綻とユーロの危機
2.オバマの金融制度改革
3.日本問題
4.「出口戦略」
5.中国問題
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主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, The Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia
1.ギリシャの財政破綻とユーロの危機
(コメント) 債務危機、通貨危機、金融危機の問題で、私がもっとも疑問に思うのは、モラル・ハザード論や資本逃避、ハイパーインフレーションなど、メカニカルな(機械論的な)説明と市場介入が失敗するリスクが強調され、同時に、それが市場心理やメディアの扱い方によって悪循環をなし、現実の重大な危機を加速していくことです。
おそらく、関心を集めないような財政赤字や債務累積が、世界各地にあると思います。金融取引の脆弱さや浮動性は、今に始まったことではありません。その具体的な(深い)事情は、多くの場合、説明されません。
もし重要な政治主体が合意し、公的な権威や法的強制力を一致して動員し、行使することができたら、危機はもっと円滑に、長期的な調整過程として、解決できたはずです。他方、まさに調整過程をめぐる既得権の整理や再分配、損得勘定と政治対立が理由となって、具体的な危機が起きるのです。ところが、各国独自の政治的危機は市場の「規律」や「解決策」として(保守強硬派により)支持され、不況に苦しむ人々に、自分たちの失敗の責任を逃げている、という非難が(国際金融界から)生じます。
ギリシャ、スペイン、アメリカ、日本、中国、アイスランド、
NYT February 15, 2010
The Making of a Euromess
By PAUL KRUGMAN
「混乱するユーロ圏の本当の事情とは、政治家が無駄遣いを続けたことではなく(そんなことはどこにでもある)、エリートたちの傲慢さなのである。特に、政策を操るエリートたちは、ヨーロッパにまだその条件が整う前に、単一通貨を採用するという実験に乗り出した。」
これは、もちろん、最適通貨圏に関する批判です。しかし、私はむしろ、国家という枠組みの内外で、政治的対立という形で経済的コストを押し付ける状態に矛盾を感じます。社会対立を回避する仕組みが不十分なまま、政治的危機が連鎖的に広がっている、と考えます。
ユーロ圏におけるギリシャやスペインを、アメリカの州政府に比較する議論が展開されます。そして、政治家や経済学者は問いかけます。「ユーロ圏は解体するのか?」 また、「ドルは、本当に、大丈夫なのか?」 どちらも、「まだ・・・」。
FT February 22 2010
Greece threatens more than the euro
By Gideon Rachman
ジャック・ドロールJacques Delorsや、ECBの元理事Tommaso Padoa-Schioppaは、単一通貨の導入が政治統一に向けた一歩であることをはっきりと意識していました。それが避けられないというエリートたちの合意をもたらした背景とは、冷戦終結、東西ドイツの再統一、独仏合意でした。ギリシャの危機は、それを問い直しています。
NYT March 2, 2010
Greece, Europe and Alexander Hamilton
By ROGER COHEN
「2世紀以上前に、生まれたばかりのアメリカ合衆国も統合における同様の危機に直面していた。」
初代財務長官、アレキサンダー・ハミルトンは、州の債務を連邦政府が引き受けることで、財政を統合しました。その際、今のユーロ圏と同様に、財政状態の差異が大きな不満を生じたわけです。
詳しい経緯は示されていませんが、首都をどこにするか、という政治的取引の一部として、この財政統一は実現できた、と指摘しています。
ヨーロッパの政治家たちが今後も政治統一を実現できず、バラバラの、弱いヨーロッパにとどまる見込みが大きい以上、危機と政治的取引の歴史的テストが続きます。
FT March 3 2010
Lessons for Greece from an outpost of empire
By David Hale
ヨーロッパ全体のGDPに占めるわずか2%というギリシャの規模を考えると、「ギリシャが世界金融市場にショック・ウェイブを生じたことは驚きだ。」
なぜか? David Haleは、ユーロ圏内の問題としてEU諸国がIMF融資を拒んだこと、ギリシャの歴史と不安定な政治、慢性的赤字に注目します。
では解決策とは何か? David Haleの挙げる二つの解決モデルに驚くでしょう。一つは、ロンドンから財政管理委員会の委員を招いて政治的独立を放棄したニュー・ファウンドランドの危機、もう一つは、世界最大の高層建築であり、国家の威信であったブルジュ・ドバイをアブダビ国王にちなんで改名したドバイの危機です。
ギリシャは、それに従うなら、欧州委員会の指名する財政管理委員会の下でラディカルなリストラクチャリングを実行するか、ECBのトリシェ総裁にちなんでパンテオン神殿を改名する!しかないでしょう。
FT March 4 2010
End this ‘inflation fundamentalism’
By Uri Dadush and Moisés Naím
ギリシャで起きていることは、もっと緩和できるはずの経済危機を、他に選択の余地はない、と共生する「インフレ原理主義(inflation fundamentalism)」の苦しみである、と主張しています。
ギリシャに限らず、ユーロ圏内で金利低下と住宅バブル、好景気による賃金上昇、競争力の低下を、通貨の切り下げ(もしくは減価)によって修正できない国は、長期かつ大幅な失業率の上昇を経験する中で、漸く、賃金と物価を引き下げることになります。
しかし、それを緩和する方策はある、とUri Dadush and Moisés Naímは考えます。ギリシャが単独で景気刺激策を採ることができないとしても、ユーロ圏全体で金融緩和し、(競争力のある)黒字国、すなわちドイツなどが刺激策を採用すればよいのです。ユーロ圏のインフレ率が上昇し、ユーロ安が起きるとしても、長期不況や政治不安・対立を回避するべきではないか?
こうした政策を拒むのは、1930年代のハイパーインフレーションや、1970年代・80年代に生じた工業諸国のインフレーションをめぐる政策的な教訓が固く信仰されているからです。
「競争力を回復し、帳簿のバランスを促し、実質賃金の調整(引き下げ)はいずれ避けられない。少しだけ高いインフレ率を許容することで、政治対立のレベルを抑えて、苦しい調整が実現できる。」 他方、超低インフレは、不況において容易にデフレを生じ、消費や投資を抑え、税収を減らし、財政刺激策も難しくなります。インフレだけに焦点を当てた政策は、資産価格、成長、雇用のバランスを見失います。金融政策の効果は失われ、他方で、財政赤字が急増する中で、中央銀行が政府の債券を大量に購入し続けねばなりません。
SPIEGEL ONLINE 03/04/2010 03:36 PM
The World from Berlin
'The Greek Crisis Induces a Sense of Deja Vu'
guardian.co.uk, Saturday 6 March 2010
Pushing Greece into recession
Adrian Pabst
FT March 7 2010
Why the euro will continue to weaken
By Wolfgang Münchau
FT March 8 2010
Greece’s history is defined by foreign meddling
By Mark Mazower
FT March 8 2010
Why Europe needs its own IMF
By Giancarlo Corsetti and Harold James
「すべての優れた悲劇がそうであるように、現在のギリシャの危機にも、その源にはずっと昔の事件や決断がある。」 そして、その最も重大な失敗が、金融・財政の安定化を追求するヨーロッパの考え方にあった、とGiancarlo Corsetti and Harold Jamesは主張します。
すなわち、ユーロ圏内で金融危機が生じた場合の処理メカニズムがないこと、それが公式に議論されることなく、しかし、非公式に(政治的な交渉で)救済されること、です。
「危機が生じたら、それは結局、高度な、政治レベルの交渉によって処理するしかないだろう。」・・・「IMFを介して取引を多角化することは、歴史的に触れたくない微妙な問題、歴史的な不正義が政治取引を複雑にする状況から、その毒を取り除く方法なのである。」
Giancarlo Corsetti and Harold Jamesは、IMF融資のメリットとデメリットを指摘しつつ、長期的にはEMFを設立しなければならないが、それができるまでは(またできてからも)IMF融資が利用されるべきだ、と考えます。
The Times March 8, 2010
The pound will rise as the euro heads south
Bill Emmott
SPIEGEL ONLINE 03/09/2010 06:25 PM
An Economic Fire Department for Brussels
The Trouble with Calls for a European Economic Fund
By Hans-Jürgen Schlamp in Brussels
SPIEGEL ONLINE 03/09/2010 01:14 PM
Saving the Euro
Berlin and Paris Take Aim at Speculators
SPIEGEL ONLINE 03/09/2010 04:18 PM
Built on a Lie
The Fundamental Flaw of Europe's Common Currency
FT March 10 2010
Europe’s sovereign credit default flop
WSJ MARCH 11, 2010
The Worst Is Over for Greece
By MICHAEL MASSOURAKIS
FT March 11 2010
Why Europe’s monetary union faces its biggest crisis
By Wolfgang Schäuble
SPIEGEL ONLINE 03/12/2010 04:26 PM
The World From Berlin
'There is No Alternative' to the Euro
FT March 14 2010
Shrink the eurozone, or create a fiscal union
By Wolfgang Münchau
Wolfgang Münchauは疑います。ドイツの財務長官は「ヨーロッパ通貨基金(EMF)」を支持するのか? その提案を詳しく読めば、それが離脱を促す支援策である、とわかる。・・・
「EMFは単なる煙幕だ。彼の提案の真の核心は、EUから離脱することなく、ユーロ圏を去ることができる、というものだ。これは、危機の国を救済する提案ではなく、その退出を促す提案だ。」
2.オバマの金融制度改革
NYT March 1, 2010
Financial Reform Endgame
By PAUL KRUGMAN
WP Wednesday, March 3, 2010; A17
Wall Street's financial aftershocks
By Harold Meyerson
NYT March 8, 2010
An Irish Mirror
By PAUL KRUGMAN
WSJ MARCH 12, 2010.
Fed Vacancies and the Monetary Challenge
By ALAN S. BLINDER
NYT March 12, 2010
A New Chapter for Bankruptcy
By RONALD MANN
FT March 14 2010
A frugal policy is the better solution
By George Osborne and Jeffrey Sachs
FT March 14 2010
Lessons from the collapse of Bear Stearns
By John Cassidy
WSJ MARCH 15, 2010
Mr. Geithner's Message for Europe
3.日本問題
guardian.co.uk, Thursday 25 February 2010
Japan fears US military row could escalate
Justin McCurry and Simon Tisdall in Tokyo
guardian.co.uk, Monday 1 March 2010
Japan is ready for North Korea
Simon Tisdall
guardian.co.uk, Wednesday 3 March 2010
A Japanese lesson for David Cameron
Simon Tisdall
guardian.co.uk, Friday 5 March 2010
Japan: the fallen angel
Kenneth Rogoff
「東京圏の喧騒は、日本経済の停滞を隠ぺいするものだ。アメリカ、ヨーロッパ、中国の指導者たちに尋ねれば、日本とは彼らが望まぬ未来を意味している。・・・『われわれはこれをやらねばならない。さもないと日本のようになってしまう。』」
「日本は堕落した天使the fallen angelである。」 ・・・しかし、その原因や対応策については、乏しい内容です。
FT March 8 2010
Japan edges from America towards China
By Gideon Rachman
March 11 (Bloomberg)
Yakuza Gets Bailout for Its Four-Finger Economy
William Pesek
WP Sunday, March 14, 2010; B04
Even as population shrinks, Japan remains wary of immigration
By Lee Hockstader
4.「出口戦略」
FT February 23 2010
The world economy has no easy way out of the mire
By Martin Wolf
金融・財政\政策の「出口戦略」は、高所得国だけでなく、新興諸国においても問題である、と指摘します。異常な低金利を続けた結果、「間違った投資」が積み重なった結果、バブルが破裂し、民間に代わって公的投資と金融緩和が必要になったのです。
「出口戦略」の成功とは、「高所得の赤字諸国で信用システムが再起動することである。」 また、「失敗」とは、「レバレッジの解消が続き、民間支出が本来の力強さを取り戻すことなく、財政赤字が、誰も予想していないほど、膨張し、長期に及ぶこと」、すなわち、「バブル後の日本」になることである。
ところが、いずれにしても政府の債務危機が避けられません。それはデフォルト、しかも、インフレによる債務の実質削減になるでしょう。それを避けるには、赤字諸国で民間・政府投資が増大するか、新興諸国からの需要(赤字諸国の輸出)が増大することです。
guardian.co.uk, Tuesday 2 March 2010
The state's role in economic recovery
Michael Meacher
FT March 3 2010
Do not rush to switch off the life support
By Robert Skidelsky and Marcus Miller
FT March 4 2010
Exit this way
guardian.co.uk, Sunday 7 March 2010
Dangers of deficit-cut fetishism
Joseph Stiglitz
「財政緊縮を求める声がヨーロッパとアメリカに充満している。財政赤字の規模は、不況の規模と同様に、多くの人を驚かせた。しかし、かつて規制緩和を唱えた人々が抵抗するとしても、それは彼らが政府の受動的な役割を好むからだが、エコノミストの多くは、財政支出が重要であり、大恐慌の再来を防いだ、と考えている。」
財政赤字のメリットと、景気回復による赤字の解消、を唱えます。
The Times March 11, 2010
If interest rates rise, our prospects plummet
Anatole Kaletsky
5.中国問題
FT February 21 2010
China: No one home
By Geoff Dyer
FT March 8 2010
Beijing balances
guardian.co.uk, Monday 8 March 2010
China threat can heal US-Japan rift
Simon Tisdall
FT March 9 2010
China: A populist rising
By Geoff Dyer
WSJ MARCH 10, 2010
An Obama Freedom Agenda for Asia
By MICHAEL AUSLIN
WP Thursday, March 11, 2010; A21
The trouble with China's economic bubble
By David Ignatius
中国経済の興隆は輸出に依存する部分が大きく、それが永久に続くものではない、とわかっていました。金融危機と世界不況は転換時期を早めただけです。
David M. Smickの推定を引用しています。「世界金融危機まで、中国の輸出はGDPの43%を占めた。2009年に、外需の消滅で不況になったとき、中国政府は1兆8000億ドル、GDPの約38%に相当する財政刺激策と融資を実行した。(推定では)その補助政策としての融資は、85%が国営企業・銀行に流れ、投資バブルを膨らませた。」
FT March 14 2010
The return of Chinese inflation
6.ヨーロッパ問題
FT February 23 2010
Europe: Pursuit of purpose
By Tony Barber
FT March 5 2010
Europe needs to make up its mind
7.イラン核開発問題
guardian.co.uk, Thursday 18 February 2010
Behind Clinton's tough talk on Iran
Mark Weisbrot
The Times February 22, 2010
Obama’s slow burn will bring Iran into line
Bill Emmott
guardian.co.uk, Thursday 4 March 2010
Talking to Iran has helped the US
Samuel Charap and Brian Katulis
8.富豪番付1位、スリム
guardian.co.uk, Thursday 11 March 2010
Forbes rich list is Slim pickings
Richard Adams
The Observer, Sunday 14 March 2010
Don't celebrate these billionaires, be horrified by their existence
「カルロス・スリムの資産535億ドル(約5兆円)がビル・ゲイツの530億ドルを抜いたという事件は、象徴的な瞬間であり、世界中のコメンテーターが意見を述べた。経済の主導権がアメリカからアジアとラテンアメリカに移行しつつある。しかし、怯えることはない。億万長者の数は再び増加しており、グローバルな経済マシーンは上向いているという証拠がある。・・・」
しかし、億万長者の存在を批判する声がないのは、「堕落の時代」である、と。富の形成には、生産的な場合も、不生産的な場合もある。社会は前者を望み、後者を非難する。
「1011人の世界の億万長者(billionaires 数千億円以上の資産家)には62人のロシアのオリガークが含まれている。28人のトルコのオリガークもいる。カルロス・スリムも、その資産は独占から生じた。メキシコの固定電話の90%、携帯電話の80%を支配する。」
9.アイスランド国民投票
guardian.co.uk, Monday 8 March 2010
Iceland's bizarre Icesave referendum
Alda Sigmundsdóttir
SPIEGEL ONLINE 03/08/2010 03:27 PM
The World from Berlin
'The Icelanders Are Right to Hold Their Ground'
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2月16日以降、個人名で追加検索しました。
THOMAS L. FRIEDMAN
NYT February 14, 2010
1977 vs. 1979
NYT February 24, 2010
Iraq's Known Unknowns, Still Unknown
NYT March 7, 2010
Dreaming the Possible Dream
DAVID BROOKS
NYT February 19, 2010
The Power Elite
「近代のもっとも偉大な成果とは、社会をより公平にしたことだ。」 しかし、政府や公的権威は社会的な地位を低下させた、と主張します。なぜか?
能力主義は必ずしも実現していない。新しい社会的亀裂が生じている。指導的な階級に連帯感がない。その成果をあまりにも短期で、特に市場の変動で、評価される。それゆえ、長期的な大失敗を招く無謀な行為にのめりこむ。
NYT March 5, 2010
The Wal-Mart Hippies
NICHOLAS D. KRISTOF
NYT February 28, 2010
Learning From the Sin of Sodom
Anne Applebaum
WP Wednesday, February 17, 2010; A13
America's debt spiral resembles Greece's crisis
「私は、アメリカの未来を見つけた。それは、ギリシャだ。」
政治家たちは、長年にわたって、社会保障制度を改革できない。政治的な麻痺と分裂が続く。利益団体のパワーは抑制できず、農民たちは莫大な補助金を得ている。
ギリシャと違って、アメリカ政府の財政破綻はトップニュースにならない。アメリカ経済の規模、アメリカ企業の開放性により、まだ当分、ギリシャのような危機を避けられる。
WP Tuesday, February 23, 2010; A19
Prepare for war with Iran -- in case Israel strikes
WP Tuesday, March 2, 2010; A15
Chile and Haiti: A look at earthquakes and politics
「飢饉は悪天候だけでなく、悪い政治と悪い経済によって生じる、と長く議論されてきた。・・・自然災害から回復する社会の能力もまた、その社会の経済的・政治的な文化を反映する。」
「災害には論理も政治的な意味もない。しかし、災害に続く回復過程は、常に、深く政治的なものである。より強い地震とより大きなダメージにもかかわらず、チリはハイチよりも早く回復するだろう。それは、幸運と何の関係もない。」
Charles Krauthammer
WP Friday, February 26, 2010; A25
Toyota and the price of modernity
Robert J. Samuelson
WP Monday, February 15, 2010; A17
The danger behind China's 'me first' worldview
WP Monday, February 22, 2010; A15
Greece and the welfare state in ruins
「ギリシャの危機は二つのより大きな問題を告げている。・・・福祉国家の将来と、ヨーロッパの単一通貨ユーロの将来である。」・・・「ギリシャを救うのも、見捨てるのも、どちらにしてもギャンブルだ。」 そして、その背景には、少子化と急速な高齢化がある、と指摘します。アメリカも、イギリスも、ドイツも、フランスも、イタリアも、日本も、同様に。
David Pilling
FT February 24 2010
South Korea is no longer the underdog
FT March 10 2010
Mismanaging China’s rural exodus
Martin Wolf
FT February 16 2010
How to walk the fiscal tightrope that lies before us
FT February 25 2010
How unruly economists can agree
FT March 2 2010
India’s elephant charges on through the crisis
FT March 9 2010
Germany's eurozone crisis nightmare
「連邦共和国の創設以来、ドイツは二つの重要な戦略目標を追求してきた。すなわち、健全通貨とヨーロッパ統合である。これらは20世紀前半の惨禍から学んだ切り離せない責務であった。ユーロはそれらを単元している。そして今、この二つの目標が互いに対立している。」
ユーロ圏の結束を維持するために、健全通貨を捨てるべきなのか? ドイツ人は悩みます。あるいは、デフォルトを認めることで健全通貨を守れるのか? ユーロ圏のすべての国がドイツのようになればよい、というドイツ国内の議論を、Wolfは間違いと断定します。ドイツがドイツでありうる(財政規律を重視し、内需が弱いまま、輸出黒字を増大させる)のは、ユーロ圏の他の国がそうでないからです。
財政規律が失われたことが問題だ、というドイツの姿勢は間違っています。不況において財政赤字の国に罰則を設けるのはユーロ圏を解体させる大失策です。輸出黒字の国を正しいと主張するのは、「近隣窮乏化政策」を奨励することです。
William Pesek
Feb. 16 (Bloomberg)
Forget Geithner’s Job, We’d Rather Run China
Feb. 22 (Bloomberg)
‘Next Greece’ Search Is on as Hedge Funds Circle
Feb. 26 (Bloomberg)
Bernanke’s Bubbles Take Back Seat to Toyota’s
March 1 (Bloomberg)
Harvard’s Rogoff Gives Legs to China Crash Talk
Timothy Garton Ash
guardian.co.uk, Wednesday 24 February 2010
The agonies of the eurozone reflect a far more significant hidden deficit
いずれ、「救済」は行われるでしょう。いわゆる「経済的統治」called "economic governance"も実現するでしょう。もし本当に彼らがそれを求める動機を見つけたら。
しかし、救済計画に対して、ギリシャ人はナチスによるギリシャ占領を思い出し、ドイツ人は安定したマルクを奪われ、自分たちだけが再統一後の苦しい経済調整と社会保障制度の改革を成功させた、と思うでしょう。
「通貨の問題は財政問題に及ぶ。財政は経済に、経済は政治に、そして、政治問題の背後には歴史の問題がある。今回の危機をもたらした最深の現実とは、1945年以来、60年に渡ってヨーロッパの統合を推進してきた個人的な経験や記憶が、その力を失いつつあることだ。戦争や占領、虐殺、ヨーロッパの野蛮な姿に関する個人の記憶、そして、ドイツ人自身も抱く、ドイツへの恐怖、ソ連の脅威、冷戦、困難な自由の保障として望む「ヨーロッパなるものへの回帰」、偉大なヨーロッパの再生。」
新しい動機なしには、前進できません。それは、・・・アジアの台頭?
guardian.co.uk, Wednesday 10 March 2010
Bearing witness is a sacred trust
Dean Baker
guardian.co.uk, Monday 22 February 2010
We need a scheme for full employment
guardian.co.uk, Monday 1 March 2010
Nice work if you can share it
guardian.co.uk, Monday 8 March 2010
Blame it on the bubble
Will Hutton
The Observer, Sunday 14 February 2010
Don't laugh at Europe's woes. The travails facing Greece are also ours
The Observer, Sunday 21 February 2010
To thrive we need to distinguish between morality and economics
guardian.co.uk, Friday 26 February 2010
Fairness, not capitalism, is the issue
The Observer, Sunday 7 March 2010
A unique chance to hold Europe together must not be wasted
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The Economist February 6th 2010
The euro’s troubles: Rebuilding Greece’s finances
Banyan: Asia’s never-closer union
Greece’s troubles: In search of credibility
Greece’s sovereign-debt crunch: A very European crisis
(コメント) 米中関係に関する特集記事は感心しませんでした。ギリシャの財政・金融危機に関する記事がいずれも興味深いです。救済融資をめぐるドイツの反応、といったレベルから、議論は一気にユーロ圏やヨーロッパの政治経済統合という核心に及びます。融資や債務保証だけでなく、共通通貨内における対外不均衡の調整、競争力の改善、をどうするのか? 財政赤字や統計の不備をどう正すのか? 社会保障制度の違いを国際監視によって統一するのか?
他方、鳩山首相と民主党政権の宣言に比べて、日本を中心にした現実の(東)アジア統合は、まったく進む気配がありません。FTAの乱立や、サプライ・チェーンのアメリカ市場との関わり、など、EUとは全く異なる事情が見えてきます。
The Economist February 13th 2010
Toyota: Accelerating into trouble
Europe’s financial crisis: The spectre that haunts Europe
Setting trade disputes: When partners attack
(コメント) 金融危機後の世界経済のマクロ経済管理が特集されていますが、闇を切り拓くような論旨は読み取れません。原則では一致しても、政策協調問題で苦しむでしょう。
トヨタの安全性問題をめぐって、The Economistの論旨は鮮明です。世界企業であるトヨタの、29人の経営陣のすべてが日本人の男性であり、トヨタ内部の人間だ、と批判します。「クウェートの経営層の方が女性の比率は高い。」
「アウトサイダーは、少なくとも、新しいアイデアを持ち込み、企業文化に染まっていない分だけ、事業の進め方に疑問を示しやすい。もしトヨタの経営陣に、たとえば、ドイツ人の女性、アメリカ人の元上院議員、香港の野心的弁護士、が参加していたら、危機の対応も異なっていただろう。」
ヨーロッパをさまよう妖怪、というのは、もちろん、共産党宣言の台詞でしょう。
WTOの紛争処理メカニズムを中国政府が積極的に利用するとき、世界の貿易体制は円滑に摩擦を解消できるのでしょうか? 貿易紛争には、否応なく、大国が有利で、小国を犠牲にする面があります。他方、多国籍企業の関与や、消費者の利益も、紛争処理に影響します。
The Economist February 20th 2010
Rethinking economics: Radical thoughts on the 19th Street
Charlemagne: A Grimm tale of euro-integration
Economics focus: Disciplinary measures
(コメント) IMFが、金融政策の基準をインフレ抑制から不況回避に転換するとしても、その信頼を失うことにはならないはずです。しかし、The Economistはインフレ目標を便宜的に引き上げる勧告(リフレ政策)を批判します。他方、新興市場が資本流入によって成長を阻まれ、通貨危機のリスクを高めることを考慮して、資本規制を(ケースによって)利用することには理解を示します。
ギリシャ危機によるユーロの強化、あるいは、ユーロの解体を予想する者がいます。しかし、ユーロ圏はなぜできたのか? ドイツはヨーロッパの政治同盟とドイツ連銀に似せたECBを築くことでマルクを捨てました。フランスはヨーロッパ規模の政府介入、「ヨーロッパの経済統治」を求めていました。また、独仏の輸出産業は、単一通貨が為替レートの変動リスク、特に競争的切り下げ、を排除したいと思いました。そして、シラク大統領は、イタリアを参加させて、切下げを防ぎたかったのです。
Daniel Gros and Thomas Mayerによるヨーロッパ通貨基金(EMF)の提案は、かつてのアジア通貨基金と比べて、進んだものとなっています。モラル・ハザードも防ぎ、デフォルトによる金融市場の麻痺を回避して、公的債務の秩序正しい免除・組み換えにつなぐことができる、と主張します。その意味では、IMFよりも進んでいるわけです。もちろん、彼らの考えるように、うまく行けば。