IPEの果樹園2008

今週のReview

11/24-11/29

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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******* 感嘆キー・ワード **********************

麻生首相へのインタビュー

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor, WSJWall Street Journal Asia


The Guardian, Thursday November 13 2008

The green pseudo-revolution

Björn Lomborg

(コメント) 環境保護のために補助金を出す、というのは、不況が迫る中で、ヨーロッパだけでなく、アメリカも中国も、もちろんインドも日本も、競って主張しそうな気配です。エコカーの開発、新エネルギー開発、太陽電池の普及、・・・そのうち、風力や潮力、地熱、人工衛星や宇宙ステーションを利用したエネルギーの蓄積や輸送が可能になるのかもしれません。

しかし、保護主義や補助金は経済学的な合理性(市場メカニズム)の天敵です。Lomborgは、大統領に当選したオバマの「グリーン・ニュー・ディール」も含めて、不況対策と環境保護とを結びつける怪しい主張を攻撃しています。なぜなら、環境投資は、雇用や景気回復という点で、正しい選択とは言えないからです。


SPIEGEL ONLINE 11/13/2008

RENEWAL OR IRRELEVANCE: With Asia's Rise, Global Governance Must Be Reformed

By Hitoshi Tanaka

FT November 20 2008

China’s rise rattles foreign nerves

(コメント) ビル・エモットの『アジア三国志』を読んでいるところですから、二つの論説はぴったりでした。田中均氏はアジアの制度化とグローバル・ガバナンスの改善を通じて、国際秩序とアジアへのパワー・シフトを安定的に制御したいと願います。他方、中国の軍部交換にインタビューしたFTの記事は、冒頭から、ああ空母がほしい、大国なら空母を持つのは当然だ、という慨嘆で始まります。

欧米の金融危機を議論する者は、日本のバブルから学んだ、と繰り返し言及したものです。中国はどうでしょうか? 中国の指導者たちも、日本の金融バブルだけでなく、軍国主義や帝国主義の失敗から学んだでしょうか? あるいは、不況対策としてアメリカの新大統領が環境に投資するように、中国は空母などの軍備に投資するのでしょうか?


The Japan Times: Thursday, Nov. 13, 2008

The financial hurricane hits Latin America

By SEBASTIAN EDWARDS

The Guardian, Saturday November 15 2008

Our chance for a working regulatory regime

Chris Colvin

FT November 18 2008

Regulation should be international

Carmen Reinhart and Kenneth Rogoff

FT November 19 2008

A new architecture for global financial regulation

By Walter Mattli and Ngaire Woods

(コメント) SEBASTIAN EDWARDSは、金融緩和と政府介入で、世界は国際金融システムの「アルゼンチン化」を回避した、と考えます。しかし、世界不況は避けられません。ブラジルは今まで改革を怠ったツケを支払うだろう、と。

Carmen Reinhart and Kenneth Rogoffは、金融危機の原因には規制・監督の不統一や矛盾があり、また、たとえ一国では独立性を強めた中央銀行でも、世界的には脆弱な制度でしかない、という意味で、国際規制の必要性を強く主張します。さもないと、世界金融の信用膨張と政治的景気循環は再び世界を襲うでしょう。


FT November 13, 2008

How likely is a sterling crisis, or is London really Reykjavik-on-Thames?

Willem Buiter

The Observer, Sunday November 16 2008

It might be politically toxic - but we must join the euro now

Will Hutton

FT November 16 2008

Why the British may decide to love the euro

By Wolfgang Münchau

FT November 18 2008

Eurozone membership is still no answer for UK

By Martin Wolf

(コメント) アイスランドの金融破たんを驚き、呆れ、愚かな国と考える人は、次のアイスランドは自国かもしれない、と考えないのでしょう。しかし、イギリス人はどうでしょうか?

アイスランド危機の条件をWillem Buiterは、1.小国、2.銀行部門の対外債務、3.国際準備通貨ではない、4.財政規模が小さい、と整理します。

イギリスは次の金融危機を防ぐためにも、ユーロを採用するべきでしょうか? 英米が手段を選ばず救済し、金融緩和する姿勢には、次第に悲観と不安がこみ上げてきます。たとえばそれは、Huttonの「ラテンアメリカ・オプション」という言葉に刺激されます。つまり、財政破たん、対外債務のデフォルト、通貨価値の暴落、ハイパーインフレーション、・・・軍事クーデタ、内戦?

私はよく思うのです。日本の円は誰も採用しないし、放棄することもないのだろうか? 日本の円と通貨同盟を組みたいと願っている国は、世界中に一つもないのか? 日本が円を捨てて、アメリカ・ドルや中国・人民元、あるいはユーロを採用するとしたら、その時には何が起きるのか? イギリスのように、私たちも思考実験しておくべきではないでしょうか?

戦争も、通貨危機も、予想外に短期間で出現するように思います。研究者であれば、たとえ平和な時でも、真剣に考えてみたいです。

FT November 20 2008

Why the Brown critics are wrong

By Samuel Brittan

The Guardian, Friday November 21 2008

Don't fear for the pound

Larry Elliott

(コメント) 財政による大規模な景気刺激策が必要な理由、事情とは何か? 減税や増税に反対する前に、考えておくべきことです。


WSJ NOVEMBER 14, 2008

Restoring Financial Stability

By TARO ASO

WP Saturday, November 15, 2008

Japan's Summit Hopes

Prime Minister Taro Aso

(コメント) 麻生首相がG20でワシントンに赴き、日本の意見を積極的に示したことは近年にない積極的な印象でした。安全保障で強硬な姿勢を誇示した安倍元首相がFTのインタビューに応じたことを思い出します。

WSJでは、麻生首相は日本の公式見解を示すために署名していると思いました。主要な指示や提案は、いずれも常識的なものではないでしょうか? ただし、容易に実行できない、という問題には触れていません。不良債権を正確に把握して、これを銀行システムから分離し、公的な資金を投入し、国有化することも辞さない、というのは、すでに欧米諸国が次々にこの半年で試みたことです。アジア通貨危機当時は反対された地域協力や外貨準備の融通も積極的に行われています。その意味では、日本の教訓は(あまり感謝されることもなく)実行されています。

しかしWPで、麻生首相は記者の質問に答えています。いずれの質問も、厳しい直球であり、中身のある答えを求めています。そして、たぶん、皮肉なことに、それゆえ麻生首相は、1000億ドルの融資を提供したいと主張したのに、中国がIMFや世界の政策協調にもっと重要な役割を果たすことをも支持しなければならず、また質問に答えて、日本がバブル処理やデフレ対策に手間取ったことを認めています。最後には、田母神海上幕僚長や真珠湾攻撃の問題を提示されますが、麻生氏自身のことも含めて、正面から答えることを避けています。

麻生首相は、その質問のいずれにも、おそらく本心では答えられなかったのではないでしょうか? WPの多くの読者は、オバマと比べて、日本が政治指導者を選択する仕組みはどうなっているのか、と考えたでしょう。

WP Sunday, November 16, 2008

In Japan, the Picture Isn't Quite So Bright

By Ayako Doi

Nov. 18 (Bloomberg)

Time for Japanese to Rent `Groundhog Day' Again

William Pesek

Asia Times Online, Nov 19, 2008

Japan economists call for 'Obama bonds'

By Kosuke Takahashi

Nov. 19 (Bloomberg)

World Is Turning Korean First, Then Japanese

William Pesek

(コメント) Ayako Doiは日本のメディアに広がるオバマへの反感を考えています。たとえば、オバマは中国を重視している。つまり、日本を軽視するだろう。オバマはクリントン政権と同じで、まず労働組合の利益を考え、保護主義や円高をもたらすに違いない。そして、北朝鮮政策です。要するに、アメリカは信用できない!

日本の政治家やジャーナリストたちは、拉致問題を解決するためにも、北朝鮮を大きな解決策の中で理解することができていないのではないか? Ayako DoiはNHK特集についての視聴者の反応に驚きます。日本がもっと国際貢献することでアメリカや中国とも積極的に対話できる、という発想を日本人は受け入れたくないらしい、と。そして、世界でも珍しい、ブッシュ大統領への高い支持とオバマへの反感を示す国として、前進する世界の後塵に消えるのです。

William Pesekは麻生首相に、1000億ドルのIMF融資増額を主張するより、日本が大恐慌の再来をどうやって回避するかに、もっと真剣に取り組んだ方が良い、と批判します。また、日本は世界金融危機を免れているかもしれないが、高齢化による長期的な危機からは逃げられない、と。

William Pesekは、もう一つの論説で、日本経済がどれほど他の欧米諸国とは異なり、むしろ韓国と似ているか、と主張しています。たとえアイスランドと比較できないにしても、韓国が倒れるようなら、次は日本の番だ!?

いや、アメリカこそ借金漬けで瀕死の状態ではないか? いつまでも日本や中国はアメリカ経済の再生に賭けるのか、あるいは、自国の再建を優先するのか? もし政府間で合意できなければ、「オバマ債」も悪くないアイデアです。円建てや人民元建てで、アメリカは財政赤字を賄うべきでしょう。そして、ドル安への誘惑を抑制することが自分たちの利益であると理解するわけです。

しかし、それほど貯蓄があるのなら、むしろ国内に投資することでアメリカから輸入しても同じことではないか? と思うわけです。たぶん、中国政府なら、そうするのではないか。


FT November 14 2008

The case for forward-looking protectionism in the US

By Ha-Joon Chang

(コメント) 新しい保護主義擁護論?


WP Friday, November 14, 2008

A Lemon of a Bailout

By Charles Krauthammer

NYT November 14, 2008

Bailout to Nowhere

By DAVID BROOKS

NYT November 15, 2008

Saving Detroit From Itself

BG November 15, 2008

Detroit on the brink

(コメント) 銀行から自動車会社へ,公的資金による救済が論争になります.


FT November 16 2008

Prejudice in Europe is more than skin deep

By Mark Mazower

(コメント) ヨーロッパの人種差別.


IHT Sunday, November 16, 2008

The way forward

By Kofi Annan

The Times, November 17, 2008

Good intentions took us on the road to hell

William Rees-Mogg

The Guardian, Monday November 17 2008

Free trade in the eye of the beholder

Rodrigo Orihuela

WP Monday, November 17, 2008

Team 'Chimerica'

By Niall Ferguson

WP Monday, November 17, 2008

A Global Grand Bargain

By Robert Hutchings

The Guardian, Tuesday November 18 2008

Keynes is innocent: the toxic spawn of Bretton Woods was no plan of his

George Monbiot

The Guardian, Wednesday November 19 2008

The fallacy of the fix

Will Hutton

(コメント) 来週,取り上げたいです.


NYT November 16, 2008

What Good for G.M. Is Good for the Army

By WESLEY K. CLARK

WP Monday, November 17, 2008

How to Bail Out GM

By Robert J. Samuelson

WP Monday, November 17, 2008

A Bridge for the Carmakers

By Jeffrey D. Sachs

WSJ NOVEMBER 17, 2008

Why Bankruptcy Is the Best Option for GM

By MICHAEL E. LEVINE

WP Tuesday, November 18, 2008

A Chapter For Detroit To Open

By Martin Feldstein

NYT November 18, 2008

The Great Bailout Debate

By DAVID E. SANGER

FT November 18 2008

Detroit spinners?

By John Reed and Bernard Simon

WP Wednesday, November 19, 2008

Should GM Be Allowed to Fail?

By Michael Gerson

NYT November 19, 2008

Let Detroit Go Bankrupt

By MITT ROMNEY

WSJ NOVEMBER 20, 2008

An Auto Bailout Would Be Terrible for Free Trade

By MATTHEW J. SLAUGHTER

(コメント) ビッグ・スリーの救済をめぐって.


FT November 17 2008

Europe needs a concerted fiscal stimulus

By Jean Pisani-Ferry, André Sapir and Jakob von Weizsäcker

(コメント) 財政政策の協調論.


The Japan Times: Monday, Nov. 17, 2008

If America fades, who will lead the world?

By ANN FLORINI

The Japan Times: Monday, Nov. 17, 2008

Reviving Pax Americana

By ALAN DUPONT

The Guardian, Tuesday November 18 2008

Soft power is on the up. But it can always be outmuscled

Paul Kennedy

FT November 18, 2008

Understanding the Fed’s swap line

By Perry Mehrling

(コメント) アメリカの覇権後を考える.


FT November 17 2008

Shifting away from export-led growth

FT November 20 2008

The case for negative interest rates now

By Brendan Brown

The Guardian, Friday November 21 2008

No more US v them

Jeffrey Sachs

NYT November 21, 2008

The Lame-Duck Economy

By PAUL KRUGMAN


NYT November 18, 2008

Fighting the Financial Crisis, One Challenge at a Time

By HENRY M. PAULSON Jr.

WSJ NOVEMBER 18, 2008

How to Help People Whose Home Values Are Underwater

By MARTIN FELDSTEIN


The Guardian, Wednesday November 19 2008

Making a drama out of a credit crisis

Alda Sigmundsdóttir

FT November 20 2008

Iceland/IMF


NYT November 19, 2008

Madam Secretary?

By THOMAS L. FRIEDMAN


FT November 19 2008

How Obama can energise the economy

By Glenn Hubbard


BBC 2008/11/20

Gazans despair over blockade

Aleem Maqbool

LAT November 21, 2008

Israel's hold on Gaza

WP Friday, November 21, 2008

Middle East Priorities For Jan. 21

By Brent Scowcroft and Zbigniew Brzezinski

(コメント) 惑星ガザはどうなったのか? 


The Guardian, Thursday November 20 2008

Here, you can feel the power shift. But we all wrestle with the same problems

Timothy Garton Ash in Hong Kong


NYT November 20, 2008

Obama, Misha and the Bear

By NICHOLAS D. KRISTOF

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The Economist November 8th 2008

Climate change: Green, easy and wrong

Challenges facing Barack Obama: Obamas world

Lexington: The unhappy warrior

Cities and growth: Lump together and like it

(コメント) 小浜が直面する世界は,分裂し,暴力に侵され,不信と謀略が渦巻いています.それはわかりきったことですから,問題はオバマになっても何も変わらないのか?