IPEの果樹園2007

今週のReview

6/25-6/30

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* 感嘆キー・ワード **********************

アウトソーシングと自由貿易, パレスチナの内戦, 新金融資本主義, 文化社会資本, 中国式のオランダ病, シンガポール首相, 労働組合

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


The Wall Street Journal, 11 June 2007

Outsourcing Your Life

Ellen Gamerman

June 14 (Bloomberg)

Outsourcing Is Now Targeting Core Jobs in West

Andy Mukherjee

(コメント) 友人の結婚式のビデオを撮ったから編集して贈り物に加工してください.こんな仕事をインターネットでルーマニアのアーティストに頼む.料金は59ドル.

家庭教師でも,デザインでも,インターネットで伝達できるサービスは世界中に注文できます.しかし,気に入った値段やサービスの質,トラブルを解決できるでしょうか? 仲介する機関やノウハウが確立されれば,実に小さなものでも「オフショア生産」されるようです.大企業ではなく,中小,零細,個人の利用が盛んになる,と予想します.

Mukherjeeは問います.アウトソーシングにリカードの比較優位説は当てはまるのか? さらに,企業について「コア・コンピタンス」を求める経営論.アウトソーシングは,国家の比較優位部門からまともな雇用を奪い,企業のコア・コンピタンスをますます絞り込むように仕向けています.

企業は利潤のために投資し,資源を動かします.コストが削減できるなら,それは正しい.アップル・コンピューターは2006930日の時点で18000人足らずを雇用していました.労働者一人当たりの利益は100万ドルを超えます.他方,i-Podを生産する台湾のHon Hai Precision Industry Co.の労働者当たり付加価値はアップル社の10分の1にも満たないけれど,382000人を雇用します.

先進(!)諸国の雇用や所得は,今後,どうなるのか?

The Japan Times: Thursday, June 14, 2007

Wanted: A 'new deal' for globalization

By TOM PLATE

「自由(ただ)貿易」なんて言葉はない.人生にタダなんてものはない.グローバリゼーションでは,関税率が低い,貿易圏,アウトソーシング,などと並んで,フリー・トレードが目につく.それはよく考えもせずに使われる言葉だ.

貿易,通貨,その他の経済問題が,世界中で,一つの巨大な渦を巻いている.経済も雇用も変化し続ける.この台風の渦は,グローバリゼーションのコストであり,さまざまな自由貿易論となる.長期的に見れば,その合意によると,莫大な利益をもたらすはずだ.経済状態が大きく改善する.しかし,ケインズも言うように,「長期的には死んでしまうだけ」なのだ.自由貿易も,短期的にはコストがある.

一人の韓国人労働者が,4月,自由貿易協定への怒りを表現した.それはソウルのグランド・ハイアット・ホテルで韓国とアメリカの両政府が合意したものだった.協定は,職のない彼のような無名の人々を見殺しにした,と感じた.このホテルの前で,彼はガソリンの缶を使って,自分に火をつけた.

自由貿易交渉は,韓国とアメリカとを,カリフォルニアとニューヨークのように,緊密に結びつけることを意図している.そのために,ある経済から他の経済への財の移動は非国家化される(国籍を失う).自動車も,農産物も,牛肉も.

ソウルの中心街で,数千人以上の人々が自由貿易協定に反対して集まった.彼らの不安は,安価なアメリカ製品が韓国市場に流れ込み,それで利益を受ける人もいるが,生活や職を奪われ,コストを支払う人も多くいる,ということだ.

数千マイル離れたアメリカでも,自動車会社の労働者たちが恐怖に駆られていた.安価な現代自動車がアメリカ市場に流入し,アメリカ人の雇用を減らす,と考えたから.少なくとも,短期的にはそうなるだろう.

どちらの国でも,彼らへの対応は決まっている.わけの分からないことを言わずに,さっさと新しい仕事を探せ! 学校へ戻れ! である.しかし,仕事は見つからず,食べさせる子どもがいるのに,学校へ行ってはいられない.

グローバリゼーションに反対する人々は増えている.各国政府が気づくまで,国内政治は彼らの怒りに直面する.もっと失業手当に財源が必要だ.学校や訓練に対する支援も必要だ.こうした自由貿易に関する合意を政治的にロビーしなければならない.

短期失業手当や教育・訓練への支援など,より多くの人がグローバリゼーションで職を得,取り残された人々を減らすことだ.もしそうでないなら,自由貿易など墓場行きである.フランクリン・D・ルーズベルトは,大恐慌後,アメリカ資本主義を助けるために,平均的な労働者が不況を乗り切るのを助けるような国内政策の革新を進めた.そして多くの労働者は職場を守り,退職できた.これらの政策を「ニュー・ディール」と呼んだ.

急速な経済的地球統合に対して,そのコストを緩和するために何かしなければならない.グローバリゼーションに対するニュー・ディールが必要である.しかも,緊急に.

NYT June 19, 2007

A New Global Blueprint

By DAVID BROOKS

アメリカの外交政策について会議があったが,合意は無かった.中国がアメリカに代わるのか? イスラム過激派の脅威は今後の重要なのか? アメリカへの反感は影響するか? 合意がない.

しかし,二つの研究が興味深い.一つはジョン・アイケンベリーの考える,アメリカの優位論.安全保障の挑戦は拡散し,変化する.国民国家は崩壊し,温暖化,核拡散,テロ,伝染病,エネルギー不足,などが起きる.特異な敵に対する大戦略は立てられない.状況型である.アメリカは新しい世界機関の中心になる.各国は協力して世界的な問題を解決する.

1940年代,アメリカはこれを見事に行った.ディーン・アチソンらは大西洋憲章,ブレトン・ウッズ協定,マーシャル援助,国連,を作った.資本主義を国際的に組織し,一緒に問題を解決する.広く正当性を認められた多角的機関に属することで,アメリカはより効果的にそのパワーを行使できる.

ブッシュ政権はそれを拒んで,国際機関を破壊した.それを再生するために,新しい世界アーキテクチャーが持つ三つの特徴を示す.1.世界的な社会サービス部門.健康保険,教育,難民保護,緊急援助,などは,健全なコミュニティーの要素である.2.安全保障同盟の再建.制御不能になる前に,中国を取り込む.3.国連改革と,民主主義諸国の協力.

ロバート・ケガンは,大国が共通の政治原則を持つときしか,こうした世界システムは機能しない,と主張する.しかし,ロシア,中国,アメリカ,その他は,共通の理解や利益を持たず,世界システムは機能麻痺になる.むしろ世界は,パワーをめぐる国民国家の競争になる.ただし,1.アメリカの支配は続く.2.地域的な競争は強まる.ナショナリズムが再生する.3.民主主義と専制との対抗が強まる.

アイケンベリーはナショナリズムを過小評価している.危機を除いて,異なる文化の国が協調する証拠はない.ケガンは国家を超えた脅威を軽視している.世界的なゲリラ,核兵器の密輸,国家の解体.

われわれはハイブリッド・ワールドに住む.多くの問題が国家を超えているのに,社会構造は不可避的に国家的である.興味深いことに,二人がともに期待しているのは,民主主義国家の協力だ.

FT June 20 2007

Globalisation needs more than PR to be sold to its losers

The International Herald Tribune, 21 June 2007

In Ukraine, Illegal Mines Beckon the Jobless

Andrew Matheny

(コメント) FTは,グローバリゼーションが多くの利益をもたらしながらも,発達した資本主義国で所得やスキルが低い人々に不利益や不安をもたらしている,と認めます.それがグローバリゼーションの逆転を叫ぶ政治運動に結びつかないよう,政府はもっと積極的に彼らを助けるべきだ,と主張します.

グローバル・システムに生きることを一人ひとりが納得できるために,「追加の職業訓練に資金提供し,速やかに労働市場に復帰できるよう,職を失った人へのその他の支援手段にも資金援助するべきだ.より累進的な課税制度,賃金の部分的な保証,基本的な健康保険など,社会保障と雇用を切り離すべきだ.」

時には,資本主義システムに本来隠されている邪悪さがあるのだ,と思います.共産主義から資本主義への移行を,その労働や生活の悪化で味わったウクライナの鉱山労働者とその家族たちなら,それを確信しているかも知れません.多くの国営鉱山が閉鎖され,職を失った労働者たちはロシアなどの建設作業,あるいは,非合法な鉱山へ流れました.鉱夫たちの窮状は,シベリアの資源開発に負けた,というだけではないようです.


NYT June 15, 2007

America Comes Up Short

By PAUL KRUGMAN

(コメント) アメリカ人はかつてヨーロッパ人を見下ろしていたが,今では見上げるようになった・・・? 何の話か,といえば,身長です.

身長が高いことは,その国の所得水準や栄養状態を示し,植民地を支配するときの優位を象徴したそうですが,世界で最も大きな人類であったアメリカ人が,いつの間にか小さくなったようです.・・・なぜか?

Krugmanは,二つの理由を考えます.まず,アメリカが「ファースト・フード国家」であること.子ども達はファースト・フードを食べ過ぎて身長が伸びません.第二に,アメリカの家庭が子どもの成長を損なっている,という問題です.さまざまな理由で,アメリカの家族は子どもが成長する良い条件ではないようです.

ヨーロッパ人はこんな偏見を持つでしょう.・・・富を持ちながら,それを正しく管理できない,汚く,獣のような,しかも,ちびのアメリカ人!


NYT June 15, 2007

A 'Two-State Solution,' Palestinian-Style

Martin Indykdirector of the Saban Center for Middle East Policy at the Brookings Institution

パレスチナ大統領,マフムード・アッバスには何かわれわれの知らない情報があるのか? 彼の治安部隊はわずか5日間でハマスの攻撃に遭い,ガザの混乱に拍車をかけた.ハマスのクーデタに断固とした措置をとらなかったアッバスは,やはり脆弱な指導者でしかないということか? 彼がハマス主導の内閣を解任したのは,ガザ地区の権力を奪われてからだった.

この1年,ハマスはガザ地区で攻撃を強め,ファタハの軍隊は西岸でそれに報復した.戦闘が再開したけれど,ファタハは西岸でほとんど戦闘しなかった.アッバスの無抵抗は,ファタハの解決策を見通したものだった.すなわち,ガザ地区をハマスに与え,ファタハが西岸を押さえる.ハマスタン(ハマス国家)とファタハステン(ファタハ国家)という二国家案である.

ファタハの指導者たちは知っている.ハマスが支配するガザ地区はエジプトとイスラエルに挟まれている.水道も電気も,基本的な物資はすべてユダヤ国家,すなわちハマスが破壊すると宣言している国から輸入しなければならない.イスラエルの村をロケットが攻撃すれば,イスラエルは国境を閉鎖するだろう.ハマスは150万人の住民を生かすためにイスラエルと停戦するか,エジプトに頼るしかない.しかし,エジプトもムスリム同胞団やイラン,ヒズボラに結びつくテロリストの破綻国家に国境を開放するだろうか? 協力の見返りにどのような秩序を求めるか?

要するにガザ地区はハマスの荷物になる.ガザはハマスに任せる.それがアッバスやファタハの姿勢である.

そしてハマスの関与を逃れたアッバスは,イスラエルの治安部隊と協力して西岸地区の経営に励み,ヨルダンやアメリカとに協力し,治安部隊も再建する.他方,ガザ地区のパレスチナ人たちは,ハマスの支配する自分たちと,アッバスの西岸とを比べるだろう.そしてハマスにイスラエルと交渉するように求め,ガザを西岸と再統合する.イスラエルと共存するパレスチナ国家の中で生きよう,と.現状においては,これがアッバスの最適オプションである.

Donald Macintyre A triumph for Hamas... but a tragedy for the Palestinians? The Independent 15 June 2007

Naomi Klein How war was turned into a brand The Guardian Saturday June 16, 2007

A pyrrhic victory The Guardian Saturday June 16, 2007

Samir El-youssef Let Hamas govern The Guardian Monday June 18, 2007

Dilip Hiro Resistance is futile The Guardian Monday June 18, 2007

Weep for Gaza LAT June 18, 2007

Niall Ferguson Yes, the Mideast matters LAT June 18, 2007

The west should not pick sides in the Palestinian conflict FT June 18 2007

Gideon Rachman Missed opportunities, Gaza and the spread of jihadism FT June 18 2007

(コメント) イスラエル,ファタハ,ハマス,の3カ国案だ,と言われます.アメリカとイスラエルは,これによってハマスを無視し,ファタハと西岸だけの和平案を実現できます.

こんなとき,なぜイスラエル経済は中国のように成長し,株価が上昇しているのか? とKleinは問います.THOMAS L. FRIEDMANは,それがイスラエルのハイテク産業であり,ベングリオン大学のエンジニアとコンピュータ技術者によるものと主張します.つまり,戦乱にもかかわらず,イスラエルは永久に涸れない油田を見つけたのだ,と.

Kleinはこれを批判します.フリードマンが言うように戦乱にもかかわらず繁栄しているのではなく,イスラエルは戦乱によって繁栄しているのである,と.つまり,2001年の911以後,イスラエルはこの「フラット・ワールド」で,テロ対策・要塞国家として,その技術や情報,対抗手段を世界中から求められたのです.

Dilip Hiroは,パレスチナ国家の分割など支持しません.ファタハとハマスの内戦,などという解釈も否定します.ファタハ内部のさまざまなセクトが勝手に行動しており,アメリカとイスラエルによる暗殺部隊も潜入し,指導者たちを殺害しているのです.そしてハマスがパレスチナ人社会に深く浸透し,支持されていることを指摘して,戦闘よりも和解する道を選ぶべきだ,と主張します.

かつて,ドル安に対して,それを放置する「ビナイン・ネグレクト政策」をアメリカが主張したこともありました.再び,中東地域は重要ではなく,彼らが和平を望まないなら,アメリカはそれを無視しておけばよい,とEdward Luttwakは主張します.Niall Fergusonはそれに反対します.暴力を放置することは間違いだし,経済的な影響も大きいからです.

H.D.S. Greeenway Radicalization, despair in the Mideast BG June 19, 2007

Bob Zelnick Amid chaos, a chance for progress BG June 19, 2007

Jonah Goldberg Western fictions, Arab realities LAT June 19, 2007

Kaveh L Afrasiabi The death of the two-state solution Asia Times Online, Jun 20, 2007

Jonathan Freedland The scene of Fatahland flowering as Hamastan wilts is sheer fantasy The Guardian Wednesday June 20, 2007

Saree Makdisi West chooses Fatah, but Palestinians don't LAT June 20, 2007

Jacob Savage The three-state solution LAT June 20, 2007

THOMAS L. FRIEDMAN Behind the Masks NYT June 20, 2007

AHMED YOUSEF What Hamas Wants NYT June 20, 2007

Ahmed Yousef Engage With Hamas WP Wednesday, June 20, 2007

Jeffrey Sachs The Palestine follies The Guardian Thursday June 21, 2007

Jim Lobe Tony Blair as Middle East czar Asia Times Online, Jun 22, 2007


FT June 12, 2007

Economists' forum

Villains and victims of global capital flows

(コメント) 世界経済の不均衡は,貯蓄過剰の中国が悪いのか? 貯蓄不足(投資・消費過剰)のアメリカが悪いのか?

Edmund Phelps Richard Cooperが意見を書いていました.Phelpsは,「貯蓄過剰」や「投資不足」を不均衡の説明に使う考え方を「構造主義モデル」と呼びます.中国であれ,アジアや中東であれ,その地域の人々は所得,それゆえ消費,に波があり,消費財の供給に対してギャップを生じる.他方,地域の過剰供給は西側市場に向けて輸出されるが,そこではギャップが生じない.

もし消費財の世界需要と供給が一致すると,短期金利が低下する.それは住宅の価値を増大させ,消費を刺激する.長期において低金利が予想されるなら,その場合,実質イールド・カーブは下方にシフトする.それが評価額を増やし,投資を増やし,雇用を増やす.

しかし,これは誰が誰を救ってやる,という話ではないし,不均衡を市場が仲介している点でうまく行っているのです.たとえ持続可能でなくても,それだけ投資して豊かな現在は優れている,と考えるようです.

またCooperは,「貯蓄過剰」説を重視するWolfに賛成しますが,どちらの説も,ハリウッド映画のような悪者や自己犠牲ではない,と考えます.たとえば彼が説明として追加している,日本やドイツのような高齢化による貯蓄過剰です.それは金融市場が統合されて,アメリカのように発達して豊富な金融資産を持つ国に向かうのは自然なことです.石油の黒字もそうです.こうした貯蓄が円滑に運用されて長期にわたって取り崩されるのであれば,それは金融本来の姿です.

FT June 18 2007

Unfettered finance is fast reshaping the global economy

By Martin Wolf

(コメント) 「すばらしい新金融資本主義の世界」を事実としてWolfは描きます.

トロツキーの夢見た「永久革命」,シュンペーターが描いた「創造的破壊」を,世界的な規模で実現しつつあるのは新しい金融資本主義です.大恐慌と第二次世界大戦によって封印された金融資本が,現代,その力をどこまでも拡大する勢いを得ています.

国によって異なるビジネスエリート,企業に対する安定的な経営支配,金融機関との長期的関係,こういったものは消えつつあります.世界的な規模で,投機家や金融資本家が,各地の経営者や生産者を支配する.20世紀に成立した経営資本主義は,世界金融資本主義に交代しつつある,というわけです.それが社会や政治の姿も変えてしまうでしょう.

その特徴は,1.金融の規模が爆発的に拡大した.2.金融が融資ではなく,取引中心に変わった.3.従来の債券,株式,商品,外国為替から,デリバティブ中心に変わった.4.ヘッジ・ファンド,投資ファンドなど新しい金融主体が登場した.5.世界的に活動する.こうした特徴の背景には,自由化と技術革新があった.また,金融経済学に革命が起き,中央銀行は金融システムや金融市場の秩序を維持して投資環境を改善した.

こうして過剰貯蓄は国際的に投資され,企業買収も盛んになった.そして生産者の長期的な関係は失われ,トレーダーたちが長期の融資関係を破壊し,日本やドイツのように,銀行システムを衰退させた.

これは良いことなのか?

「それを肯定する強力な意見がある.金融投資家の活動は非効率を探し出して破壊する.資本をどこにおいても効率的に使用する.経営陣に市場の規律を徹底させる.新しい活動に資金を与え,非効率な旧活動をもっと活用できる者の手に渡す.リスクに応じたより良い世界活動を展開する.世界で最も良いところに投資する.こうして,誰にでも金融を改善できる」

しかし,ペシミストは,金融資本主義のリスクやその破壊力,そして規制当局も,まだ試されていない,と懸念します.明らかに分配をめぐって不満が高まっており,政治は彼らを無視できません.社会や政治を破壊した,という批判が強まっています.


Two-speed reform FT June 15 2007

John Vail Japan must take more risk now for future generations FT June 17 2007

Foreigners buy Japan FT June 18 2007

David Turner Foreign surge into Japanese ownership FT June 18 2007

(コメント) 年金問題と松岡大臣の自殺で支持率が低下した安倍首相は,天下り問題を解決したという成果を掲げて選挙を戦いたいようです.しかし,伊藤隆敏政府顧問の改革構想はあっても,金融部門も,企業も,改革の熱意を示していません.日本は国際競争力を失っている,とFTの解説も冷めています.

なぜ日本人はこれほど貯蓄や資産,外貨準備があっても積極的に投資し,雇用しないのか? そこで安倍政権は外貨準備の一部を,アメリカの財務省証券ではなく,国内の株式に投資しようと考えました.それでうまく行くでしょうか? ドル暴落や低利回りを回避するために中国政府が考えていることと同じであれば,その通りでしょう.しかし中国と違って,日本では投資や雇用が不足しているのであり,政府が投資ファンドに資金提供して問題を解消することが正しい政策ですか?

あるいは,それを外国人投資家に頼るべきでしょうか? 日本国内の投資家はバブルによって手痛い打撃を受けた印象から立ち直れません.ヨーロッパの投資家はユーロ高・円安の流れによって日本の資産に関心を失っています.他方,アメリカやアジアの投資家は,世界の株価上昇に遅れた日本株を買い増しているわけです.

日本企業や株式市場は,この外国資本の増大と経営への関与に対して,どのように反応するでしょうか? 私たちは,しばしば政治家を責めますが,むしろ経営者たちをもっと責めるべきかも知れません.


LAT June 16, 2007

Roman Empire: gold standard of immigration

By Cullen Murphy

(コメント) 「第一世界と第三世界を分かつ世界最長の境界線」という言葉で思い浮かべるのは,アメリカとメキシコとの2000マイルの国境ではなく,6000マイルの国境を持ったローマ帝国です.

蛮族の侵入で滅んだ,といわれるローマ帝国ですが,実際は,史上,最も多様なエスニック国家を建設し,その繁栄を維持した例である,とMurphyは主張します.その教訓とは,1.国境を塞ぐことはできない.2.国民文化の育成,文化的な優位が重要である,ということです.

ハドリアノスの要塞は,マジノ線と違って蛮族を防ぐものではなく,交通を促す出入り口でした.それは境界線の各地で交易を促しました.現代では,境界線はどこにも無く,あるいは,いたるところに現れます.むしろ,ますます多くの民族がアメリカとの取引を望んで城壁を通過するように,最も優れた条件を示すことです.

ローマ帝国の築いた道路,法体系だけでなく,ローマ帝国は異民族を最も容易に吸収・統合するシステムを持っていました.それは軍隊だけでなく,『文化』であった,と考えます.教育や医療を提供し,清廉な政府を持ち,平等や起業家精神を尊び,誰にでも機会を与える,社会の価値を堅持するなら,境界は開放できるのです.

The Guardian Monday June 18, 2007

Immigration is bad for society, but only until a new solidarity is forged

Madeleine Bunting

LAT June 18, 2007

Migrate, then integrate

Gregory Rodriguez

BG June 19, 2007

The solution, not the problem

(コメント) ロバート・パットナムは,われわれが生活するときに頼る友人のネットワークや近隣,組織を「社会資本」と呼びました.あるいは,市民社会,と呼んでも良いと思います.かつて大規模な移民流入とその社会統合は,彼らの宗教的な団結とともに進みました.ヨーロッパでイスラム教徒を恐れることが「隔離」をもたらさないことが重要です.

確かにパットナムの研究は異なるエスニック集団の増加が社会資本を破壊する傾向を示しています.しかも,それは既存社会の内部でも進むのです.このことは同時に,移民を受け入れる社会が,特に統合を回復する仕組みを必要とする,と理解することもできます.その仕組みとは,単にナショナリズムに回帰することではないわけです.彼はそれを,産業革命の時代と同様の社会的学習過程である,と指摘します.

それは移民問題が世代とともに変質することにもかかわります.移民たちの子どもは,アメリカ社会の未来を作るからです.彼らを問題と見なすなら,その未来も厳しいものとなります.


NYT June 16, 2007

Not Everyone Is in the Red on Trade With China

By FLOYD NORRIS

WP Sunday, June 17, 2007

The Wrong Way to Challenge China

By Jim Hoagland

(コメント) 当然ですが,中国は貧しいので,世界中に投資できるわけではありません.つまり,世界中に対して貿易黒字を出して資本を流出させるような余裕はないわけです.アメリカやヨーロッパは中国に対する赤字を憤り,中国が不正を働いているように非難する政治家もいます.しかし,実際は中国が赤字を出している国も多く存在するわけです.

裕福な諸国に輸出を伸ばして,貧しい諸国から輸入する場合もあります.中国が輸入を増やしたおかげで成長できた国も多いことを考えれば,中国はまさに「成長のエンジン」です.

しかし,人権や労働条件,為替レートの操作,などを理由に,中国の貿易を制限しようとする主張が強まっています.それがどれほど有効か? それに対する中国政府の反応は? それがもたらす世界貿易や成長への影響は?

Caroline Baum China Isn't a Manipulator, U.S. Congress Is June 18 (Bloomberg)

Andy Mukherjee Watch That Slump in Asia's Pricing Power Abroad June 18 (Bloomberg)

Wu Zhong China's cheap labor pool running dry Asia Times Online, Jun 19, 2007

Krishna Guha IMF to scrutinise exchange rate policies FT June 18 2007

TOM PLATE Giving China the red hook The Japan Times: Tuesday, June 19, 2007

Tom Mitchell Equality could prove taxing FT June 19 2007

Richard McGregor China warns IMF over renminbi FT June 20 2007

John Plender An unseen risk in sovereign funds FT June 21 2007

Jamil Anderlini, Paul Betts and Andrew Hill Chinese walls have not yet been built in Beijing FT June 21 2007

YaleGlobal, 19 June 2007

Capitalism with Special Chinese Characteristics

Gustav Ranis

表面的には中国経済の輝きはすばらしい.しかし,世界中から投資を集めながら,この経済は政治的破綻に至る経済問題の兆候を示している.

オリンピックや万博,世界一高いビル,世界最大のダム,最速の列車,世界最大の外貨準備.そして環境破壊も,所得格差や性差別も気にしない.

確かに3億人が貧困から抜け出した.それでもまだ2億人が内陸部で貧困に苦しむ.ジニ係数で見ても,ケ小平が改革開放を唱えた1978年の0.2から世界最高水準の0.6へと,急速に所得分配が悪化している.としにはクレーンが立ち並ぶが,人口の半分が住む農村には医療も年金も及ばない,土地を持たない農民が多くいる.地方政府は農民の耕す土地を勝手に売り払い,銀行融資も受けて,過剰な投資を続けている.

この特殊な「共産主義」経済,もしくは「調和ある社会」は,10%を超える成長を続ける一種の「オランダ病」に罹っている.その名は1960年代にオランダで起きた天然ガスによるブームに由来するが,一般に,天然資源を輸出することで起きたブームが,しばしば資本流入も加わって,その国の為替レートを強くすることを意味する.このような増価は労働集約的な輸出産業から競争力を奪い,国内の非貿易財に資源を移転する.そしてインフレ圧力が生じる.

中国はこれまで為替レートの増価に抵抗してきた.国際的な圧力を受けても,貿易黒字を外貨準備として蓄積し続けている.その結果,「オランダ病」のマイナスの効果を遅らせてきた.しかし,この病気のもう一つの影響は中国にも顕著である.外貨準備の累積は政治的な意思決定に悪影響をおよぼす.労働集約的な輸出の増加がもたらした巨額の輸出超過,為替レートの過小評価,巨額の直接投資流入,投機的な証券投資,が起きている.沿海部における過剰労働力は次第に枯渇し,この「余剰はけ口」活動は内陸に移って,なおも過剰投資を続けている.

中国の輸出超過額は1980年代後半から累積して3960億ドル,直接投資の流入額は9940億ドルになる.外貨準備は1兆ドルを超えて,政府は景気を抑制しようとしているが,非効率は広まっている.他方,医療や年金を心配して50%に近い貯蓄率を示す家計は消費をすでに抑制されており,地方政府の投資は止められない.家計は国営銀行に預金してさらに投資に融資し続けるか,直接に不安定な資産市場に入って,株式や不動産を買うことになる.

言い換えれば,オランダ病は天然資源ではなく,巨額の労働集約財の輸出超過,そして資本流入によって起きている.改革の圧力は失われ,融資や合理的な意思決定への慎重さも失われる.外国投資家もまだ将来の収益を期待している.他方,国内の金融機関は未熟である.誰も宴会を止められない.

こうした状態は,中央の金融当局が無能であるだけでなく,レント・シ―キング活動,汚職,地方の社会不安,を強める.改革は逆転し,非効率な投資が累積する.

この現象に直面した国として,ナイジェリアがある.1990年代,石油が発見される前まで,ナイジェリアは農業と非農業部門が概ね均衡した成長を進める,うまく統治された社会だった.その後,かつては穀物を輸出していたナイジェリアが,農業を完全に無視し,その食糧をほとんど輸入している.そして最悪の汚職国家になってしまった.

スハルト体制の下でインドネシアが示した歴史も同様に重要だ.インドネシアは二つに分かれており,人口の集中したジャワ島には労働集約的な輸出部門があり,その外には石油の豊富な島がある.石油価格が相対的に低いときは,統治が健全で改革も進んだ.為替レートも,ジャワの軽工業が輸出しやすい現実的な水準に維持していた.しかし石油価格が上昇すると,国営石油会社の社長はスハルトの耳となり,改革は逆転し,汚職がはびこり,融資も公共工事も取り巻き連中が利用した.

言い換えれば,巨額の外貨準備を転換する政策は政治的に取れないのだ.転換の圧力は働かず,政治権力者の利権を脅かすことは誰も望まない.

だから見掛けは変かも知れないが,「天然資源の呪い」と同じものが労働力余剰と外国からの資本流入によって起きるのだ.そのような潜在的な富の噴出に制度が適応できないと,それが起きる.中国政府は「クローニー・キャピタリズム」と呼ばれることを嫌うだろうから,「中国に特殊なオランダ病」と呼んでおく.

そこから脱け出す道は,競争的な銀行システム,債券市場,弾力的な為替レート,農民に対する明確な土地所有権の付与,地方の中国に対する交易条件の改善,抑制的な6-7%の成長,である.そして中産階級を増やすことだ.

SPIEGEL ONLINE - June 20, 2007

'Nobody Can Control China'

Lee Hsien Loong

(コメント) シンガポールのリー首相がSPIEGELの記者に言うように,中国の株式投機は国際資本移動から隔離されています.たとえバブルが破裂しても1997年の再現ではないでしょう.しかし中国経済の成長減速は東南アジアにとっても重要です.

シンガポールは中国と知識や技術の面で競争しなければなりません.中国の成長はシンガポールの利益です.創造的な若者を育てることです.その際,社会的ムードと高等教育システムの質を重視します.

イギリスとの比較を聞かれて,教育システムにもスマート国家・経済にも,単一の正しいモデルがあるわけではない,と主張しています.もちろん,創造的な人材を育てるのは,支配に従順な人間を育てることと違います.そして,イスラエルや香港,スイスと比較します.

世界の覇権を握る国は,中国とアメリカのどちらが好ましいですか? という質問に,中国が繁栄することを歓迎するし,その影響が強まることを受け入れる.もし中国が衰退し,混乱するなら,周辺地域も破滅する.他方,戦後においてアメリカがこの地域に与えた優れた影響を継続して欲しい.アメリカは今後もこの地域で,経済,戦略,安全保障のために重要な役割を果たし,賢明な国であって欲しい,と率直に述べています.

アメリカの政治家たちは中国の膨張や暴走を食い止め,管理したい(manage)と考えている.それは可能だろうか? という問いに,中国を管理することなどできない,と答えます.中国とは,暫定的に友好関係を結ぶ,ということしかできない.

しかし,台湾海峡や貿易摩擦に関して,アメリカの懸念は誇張されている,と考えます.中国の輸出の多くはアメリカの多国籍企業によるものだ,という中国政府の主張に同意します.

「アジアの世紀」は「政府が指導する民主主義」が支配するのか? と記者は皮肉を言います.リー首相はそれに対して,完全な自由市場はないし,アメリカ型の自由民主主義が唯一の正しいモデルでもない,と答えています.中国の政治システムは発展し続けるし,13億人がどのように選挙をするのか,まだ誰にも想像できない.現在に至るまで,アメリカは市民戦争を経て,ヨーロッパは二度の世界大戦を起こした.

そして,またあなたの息子がシンガポールの権力を引き継ぐのか? という辛らつな質問にも,すべては可能であるが,そうならないと思う.なぜならこの社会のシステムがそのような形で働く(つまり家族名を政治家への信頼にする)ことはもうないだろうから.

リー首相(LEE HSIEN LOONG)は,シンガポールの設立の政治指導者リー・クァンユーの息子ですが,ケンブリッジとハーヴァードで数学とコンピューターを学び,帰国して軍隊に入り,政治家になった人です.記事は彼の開放的な態度とリベラリズムを称えています.

Antoaneta Bezlova Lessons from China's slavery scandal Asia Times Online, Jun 20, 2007

Will Hutton The brutal truth The Guardian Wednesday June 20, 2007

China and the Chest Thumpers NYT June 20, 2007

Clive Crook The utter folly of China-bashing FT June 20 2007

Peter Morici How revaluing the yuan would help China Asia Times Online, Jun 22, 2007

(コメント) 中国の中部におけるレンガ工場で強制的に働かされていた子どもたちが解放された,というニュースが流れました.栄養不良で,虐待を受けた子供たちの写真が流れたようです.労働者の国であるはずの中国で,このように劣悪な労働条件を放置していることに,世界は改めてショックを受けました.一日に18時間も働かされ,一人が殴り殺され,他の者も熱いレンガを素手で運んで火傷になり,ナイフで脅された傷もありました.・・・など.

中国の政治体制が変わらなければ,児童労働も,地球温暖化も,改善しないのでしょうか.

他方,貿易不均衡については中国を責めるな,とFTが主張します.人民元の増価は中国自身が利益と見なして行うしかないのだから.


The Guardian Saturday June 16, 2007

Children of the market

Jeremy Seabrook

FT June 20 2007

Pity the children

(コメント) 「イラクに民主主義を築くことで忙しい間に,自分たちの社会の中で若者を民主的なプロセスから排除してしまったのではないか?」 

アフガニスタンではNATO軍の空爆で,罪もない子どもたちが犠牲になりました.


FT June 17 2007

A moment to agree with Brussels

FT June 19 2007

A cynical plan for an unnecessary European treaty

By Martin Wolf

FT June 20 2007

Leaders face a fight over Europe’s future shape

By George Parker

SPIEGEL ONLINE - June 21, 2007

Looking in the Kaczynskis' Rearview Mirror

By Claus Christian Malzahn

(コメント) EUは憲章の否決から回復できません.しかしベルリン・サミットでは,いよいよ合意に達するときが近いのではないか,とFTは整理します.

ローマ条約はEUの起源となり,マーストリヒト条約はユーロを誕生させました.単なる国際機関でも,統一国家でもない,特別な組織として,EUを運営する規則が必要です.フランスとオランダが憲章に反対した理由(福祉国家を奪われる)(ユーロが嫌い,拡大による財政負担も嫌),ポーランドの反対(ドイツに支配される),オランダの提案(トルコを排除),イギリスの提案(労働規制を排除),などが検討され,中国やロシアからの挑戦にEU全体で立ち向かうことを求めています.

Wolfは統合推進を前提した憲章の見直しを求めます.せっかく否決したのに,また憲章の内容を分割・承認することを,裏口でやろうと言うのか? 効率は民主主義を否定するのか? そこでは,外交政策の統一,分野によっては条件付多数決の導入,ヨーロッパ委員会を18人に限定,各国の投票ウェイトの見直し(小国優遇を改める),などを提案しています.これで国民投票を回避するつもりか?

ポーランドの保守政権はドイツによる侵略の被害を主張し,イギリスはヨーロッパの政治統合を牽制します(国民のEU嫌い).東ドイツ出身のメルケル首相が両者を説得したわけです.EUがどのように機能しているかを理解していない,と.

The Guardian Thursday June 21, 2007

Unless Europe gets its act together, the world will continue to ignore it

Timothy Garton Ash in Stanford

(コメント) アメリカのメディアにとって,フランス大統領選挙は面白いし,ブレアの引退も良い話題だ,イタリアのファッションや食べ物も,・・・しかし,EUはカスだ! 政治的共同体? グローバル・アクター? そんな話は聞く必要もない.嘘っぱちだ!

世界政治の舞台で発言力を確保したい,というのがEUの政治に求められている最重要課題のようです.


NYT June 18, 2007

Dinner With a Warlord

By NICHOLAS D. KRISTOF

(コメント) コンゴ東部の森で会った武装集団の指導者にインタビューした記事です.大学教育を受けた,英語で流暢に会話する,カリスマ的指導者です.彼の軍隊は信仰心に篤く,人民を解放するために戦っている,と主張します.

しかしここは,1998年以来,内戦によっておよそ400万人が殺害された土地なのです.彼はコンゴ政府や難民インターナショナルによる戦争犯罪の容疑を否定し,力によって支配する,それだけが答だ,と主張します.


NYT June 18, 2007

Pigs With Cellphones, but No Condoms

By ANDREW ADAM NEWMAN

(コメント) 携帯電話は持っているが,コンドームは持ってない<豚>が,若い女性を口説く.これは何のコマーシャルか? もちろん,トロージャン・コンドーム社です.コマーシャルはエンターテイメントであり,同時に社会へのメッセージです.コマーシャルによって社会を変える,と監督は語ります.

このコマーシャルの放映をFoxCBSは拒みました.トロージャン社はHIVの感染を防ぐために広告を流したことがあります.しかしSEXは,いつも,宗教や道徳観をめぐる摩擦になるわけです.


WP Wednesday, June 20, 2007

A Union Beats a Fence

By Harold Meyerson

(コメント) 国境に壁を築くより,労働組合を組織する権利を強化するべきだ,と主張しています.雇用不安が広がると人々は移民を排斥します.しかし,移民は雇用を不安定にした多くの要因のうちの一つかもしれませんが,主要な原因ではないでしょう.他方,移民を排斥する保守派は,資本移動や工場移転に決して反対しません.

1935年以後,労働者が組合を作ることを妨害すると罪になります.しかし,経営者はしばしばそれが警備であるために妨害を続け,さらに,組合を結成すれば工場を閉鎖して移転する,と脅しました.アメリカの労働者の組織率は,製造業の衰退にともない,第二次大戦後の約3分の1から,わずか7.5%に下がったのです.

EFCA(the Employee Free Choice Act)は,労働者の権利を強化します.


The Japan Times: Thursday, June 21, 2007

World's last interventionist

By DAVID RIEFF

(コメント) トニー・ブレアは国内政治においてサッチャーを引き継いだ面が多かったようです.より賢明で,人間的な政府でした.しかし,外交面では独自の介入主義的なリベラリズムを率先しました.これほど積極的な介入を支持したのは,アメリカのネオコンだけです.もちろん,ブレアはネオコンではありません.むしろ,ウェストファリア的な国際体制が終わったことを認めて,その理想を実現するには国境を越えて協力し,行動することを唱えたのです.

それは,帝国主義ではないか? と批判されます.ある意味では.ブレアは人道主義の,一貫した介入主義者でした.

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The Economist June 9th 2007

India’s economy: Goldilocks tests the vindaloo

Private equity: Carried away

China’s migrant workers: No place to call home

Kenya: Going up or down?

Concert of Democracies: A seductive sound

Economics focus: What goes around

(コメント) この号で面白かったのは,インド経済の過熱,投資ファンドによる高所得への累進課税,中国の出稼ぎ労働者,混乱し疲弊したケニヤの政治経済,外交に漂流する新ウィーン体制,マネタリズム後の貨幣の復権,などです.