IPEの果樹園2007

今週のReview

3/5-3/10

IPEの風

*****************************

世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* キー・ワード **********************

台湾の将来, 北朝鮮を含む6カ国合意, 人間界と自然界, 日本経済の教訓, 中東の平和を国際会議で, 世界同時株安, 秘儀と奥義

******************************

ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


IHT Friday, February 23, 2007

Meanwhile: Flowering garden on a volcano

Viktor Erofeyev

台湾の将来はどうなるのか? この国に来れば,それこそ彼ら台湾人の渇望する問いかけであると分かるだろう.しかし誰にも答えられない.

もしこの世界に政治的偽善の完璧なサンプルがあるとすれば,それこそ台湾だ.まったくありえないことだが,その政治的な偽善として,独立国としての台湾が存在している.と言うのも,国際社会は中国の領土であるという主張に逆らうことなく,台湾を独立国とは認めないのだ.

アメリカも含めて,誰もが台湾を黙らせようとする.台湾は,法的な幽霊で,政治的幻なのだ.少なくとも,この仮面をかぶって,台湾は独立した存在であり続けている.しかし,事実は事実だ.中国は台湾がほしい.台湾人の圧倒的多数は中国になりたくない.私たちはここからどのような道義的結論を得るべきか?

もし1949年に毛沢東が内戦で敗北し,蒋介石ではなく,毛と共産党がこの島に逃れたとしたら,台湾は今どうなっているだろうか? 歴史を仮定法で語ることは良くないが,私が台湾に来て最初に感じた疑問はこれだった.

私はロシアが主要なゲストである書籍フェアのために台北へ来て,大いに興味を引かれた.この島は矛盾そのものだ.その世界的な地位がユニークである.ロシア人の作家として,共産主義の実験に従ったロシアと中国に起こったことを示す例として,台湾が常にあった.

私の年長の同業者であるVassily Aksyonovは実際に小説("The Island of Crimea")を書いている.この政治小説の中で,ロシア南部のクリミア半島は1918年から1930年の内戦においてボルシェビキの攻撃を何とか退けて,西側モデルに沿った民主的国家として成功する.

台湾に来て,私はこの想像が現実なのだと確信した.台湾は高度に発展し,繁栄する国家である.しかし,火山の上にある(この島は実際,火山によって生まれた).台湾が作るものの多くは輸出される.台湾製のコンピューターは,ロシアも含めて,世界中で評判が良い.この国にはスラムが無いし,通りに目立った貧困も無い.フリーウェーを運転し,台北市街を散策し,国立美術館の宝物を見れば,あなたはいやおうなく一種の中国風カリフォルニアにいると思うだろう.

町の中心には蒋介石の記念碑があるけれど,その権威主義的体制は何一つ残っていない.彼はこの土地で,支配の実権を握る総統から,名誉職に退いたのだ.政治的多元主義,表現の自由,それらは決して見せ掛けではない.この国を見事に運営しているなら,将来にも希望を持てるのではないか?

台湾人の心理的問題は,彼らの自意識がますます大陸の中国人から離れていくことだ.彼らは文化大革命の重荷を背負っていないし,その他の政治表現にも関係ない.彼らは生まれつき自由な国民として,人間的な環境で育った.

ドイツが再統一できたのは,東ドイツが実質的に共産党政府に逆らって,自分たちが望んで,西ドイツの民主的減速を受け入れたからである.台湾では,状況は逆だ.民主的な島が,民主的とは程遠い体制に飲み込まれるかもしれない.

その結果,台湾人の考え方は中国と対立する.自分たちは,中国人ではなく,この島で新しく生まれた台湾人である.一つの言語に二つの人民.彼らは台湾の先住民を支援する.歴史的に,中国人ではない先祖の人々がこの島に定住した.

中国からの脅しを意識しているが,台湾人の多くはその巨大な隣国と積極的に貿易し,文化的にも交流する.

さらに,中国は今も彼らの敵である.真の独立が来るとしたら,それは中国がソ連のように解体する場合だけだ,と彼らは真剣に考えている.もし中国が崩壊しないとすれば,彼らが独立を維持できる唯一の道は,アメリカが軍事的・政治的にそれを保証することしかない.しかし,アメリカの次の大統領の下でどうなるのか,誰にも分からない.

台湾は,次第に中国を恐れるようになっている諸国が北京政府に譲歩する政治的カードとして自分たちを見なしている.この島は香港と同じ宿命をたどりたくないだろうが,その歴史的な判決を安らかに待っている.あるいは最善の場合でも,その判決を引き伸ばすだけだ.


NYT February 23, 2007

A Foreign Policy Built on Do-Overs

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) レーガン政権と同じように,ブッシュ政権では,「右手がしていることを,もっと右の手は知らない.」 政権内部で互いに矛盾したことを平気でするわけです.今回の北朝鮮との合意について,強硬派の幹部たちは公に政府を批判しました.

FRIEDMANは,チェイニーやラムズフェルドがパウエルを追い落としたように,イラクで思い通りやった結果は,彼らの描いた「中東のスイス」と程遠い地獄だった,と批判しています.ブッシュ氏の外交は「すべての選択肢を考慮している.‘all options are on the table.’」という念仏で,軍事的な攻撃やクーデタ,暗殺をほのめかし,敵対する政府に圧力をかけたわけです.

しかし,「体制転換する」よりも「行動を変える」(敵対する政府を国際ルールに従わせて,友好的に変える)方が,成果があがるかも知れません.確かに,クリントン政権は北朝鮮との合意により「行動を変える」ことに失敗し,繰り返し(ゴルフのティーショットみたいに)外交政策を「打ち直し」たわけです.ブッシュ政権内部で間となる唯一の方針は,クリントンの失敗を繰り返さない,ということでした.

9・11テロに対して,危険な中東地域に石油を依存することの愚かさを力説しながら,なぜ政府はそれを変えるために何の計画も示せないのか? ここでも,政権内部の市場原理主義者たちが,カリフォルニアのようなプラグマティックな改善策さえも嫌って,ブッシュ氏自身,市場への介入を望まなかったのです.

FRIEDMANは,テーブルに載せるものを明確にしろ,と主張します.「体制転換」や「軍事力」は下げて,「交渉」,「国交回復」,「経済支援」,「留学生の受け入れ」,などを並べることです.その代わり,国際ルールに従い,核を放棄するのです.彼らが約束を破れば,新しいアメリカの方針に同意した同盟諸国が,「制裁」や「封じ込め」に協力するでしょう.

そのとき,ようやく,ブッシュ政権は外交方針の誤りを理解し,学ぶことになります.しかし,余りにも多くの代償をアメリカとイラクの国民は払っています.

Japan Focus, 23 February 2007

A Denuclearization Deal in Beijing: The Prospect of Ending the 20th Century in East Asia

Gavan McCormack

(コメント) Gavan McCormackは,北朝鮮を含む6カ国協議には大きな意味があった,と評価します.「朝鮮(半島)の非核化,地域の包括的融和,朝鮮戦争の終結,北朝鮮と歴史的な二大敵国,日本とアメリカが関係を正常化すること」に合意したからです.実際,中国が会議を主導し,米朝二国間で合意した条件を,6カ国協議という制度が保証するという秩序の平和的な修正は,それが成功するなら,歴史的な意義があるはずです.

これは東アジアの地殻変動が始まったことを示しています.日本政府が躊躇している間に,次の秩序が決められてしまうかもしれません.朝鮮半島の再統一に至れば,これはベルリンの壁崩壊に匹敵する事件です.ここには,冷戦だけでなく,核不拡散も,日本の植民地支配や朝鮮戦争,米中対立も埋まっています.それは,アメリカの強硬姿勢が中国,ロシア,韓国の働きかけで弱まり,日本政府の支持だけでは協議を捨てられない,と悟った結果です.

漸進主義への転換を遅らせてきたのは,北朝鮮ではなく,アメリカ政府だった,とMcCormackは考えます.人権問題を理由に交渉を拒み,経済制裁を強めれば北朝鮮の体制が崩壊するまでに至る,と考えたわけです.しかし,その企ては成功しませんでした.ブッシュ政権は,自分でアメリカの外交官たちの努力を妨害した,と批判されています.北朝鮮が,アメリカの姿勢を変更させるために核実験を行ったことは,正当化できないが,状況として理解できる,と.

ブッシュ政権は,北朝鮮の核を放棄させるために,安全保障と関係正常化を準備しなければなりません.そのためには北朝鮮から「テロ国家」のラベルをはがす必要がありました.それこそ,ブッシュ政権にとって,自分たち(特に最右翼の保守強硬派)の正統性を揺るがす問題だったわけです.ブッシュ氏がそれに踏み切ったのは,イラク情勢が悪化し続け,まさに中間選挙で大きく敗北し,ラムズフェルドとボルトンを政権から吐き出したときです.

それは,中国との国交回復を約束した「ニクソン・ショック」にも比肩する「ブッシュ・ショック」だった,とMcCormackは考えます.ここでも,日本政府は取り残されたわけです.もちろん,外交を支配する保守強硬派は激しく反発しました.それに対して十分な成果を上げるには,この数ヶ月以内で,合意を実行する姿勢を双方が示し,それを監視する制度を構築することが重要です.すなわち,Gavan McCormackは書きます.

「北京に集まった人々はアメリカの覇権後の北東アジアにおける多極的秩序に向かう道を開いた.6カ国協議は次第に定例化して,安全保障や環境,食糧,エネルギーなど,共通の問題を扱う機関として制度化されるだろう.それは将来の地域共同体の先駆けである.北朝鮮に関わる周辺の問題を平和的に解決すること以上に,地域や世界のシステムを転換するほどの大きな出来事を想像することは難しい.20072月の北京合意は,ほんの最初の一歩であったが,その意義は甚大である.」

The Mercury News, 1 March 2007

Taking It to the Brink

Daniel Sneider

(コメント) Sneiderの評価は反対です.なぜなら,この合意は弱小国家が核開発で周辺の国民を脅し,要求を吊り上げ,破滅的な被害を利用して脅すことが有効な外交手段となり,大きな報酬をもたらすことを示しているからです.北朝鮮は核爆弾を保有し続け,しかも5万トンの原油や食糧などを獲得します.

ブッシュはクリントンの外交を嫌い,「悪の枢軸」演説で交渉を拒否してきました.しかしベルリン会談の結果,北朝鮮が,失うものはほとんどないまま,アメリカから合意を引き出し,多くの報酬も得たわけです.それは北朝鮮が得意とするescalation gameでした.北朝鮮の核保有とアメリカ軍のイラクにおける負担を考えれば,この結果を受け入れるしかなかった,と.


The Guardian Saturday February 24, 2007

Missile-defence system

NYT February 24, 2007

Misguided Missiles

(コメント) かつて,アルゼンチンの金融危機を回避するために,アメリカのミサイル防衛基地を誘致して,金融システムの支援を確実にすることを示唆する論説がありました.イギリスや日本がアメリカのミサイル防衛拠点を立地させることで期待するものは何でしょうか?

The Guardianは,ポーランドやチェコなら必要だと思うかもしれないが,なぜイギリスなのか? と,問います.東欧におけるロシアの影響力を殺ぎ,米ロ間で合意した抑止力の維持を無視したことは,即座にロシア政府の激しい反発を招きました.もしアメリカ政府が言うように中東からの弾道ミサイル攻撃を心配するのであれば,ロシアや阿蘇楽は中国とも協力して,ミサイル防衛システムを築くことが効果的なのだ,と批判します.

NYTは,ロシアの過剰反応だ,と政策を一部弁解します.十分な防衛システムを築く技術は開発されておらず,ロシアの大量のミサイルはそれを確実に突破するからです.しかし,ブッシュ政権はロシア政府の反発を予測できたわけで,イランの核開発を阻止するためにはロシアの協力が欠かせないのです.

今度はロシアのプーチン政権が,本当に建設するなら,ポーランドやチェコの施設を先制攻撃するぞ,とアメリカを脅す番でしょうか? 北朝鮮がソウルや東京に,アメリカやイスラエルがイランに,イランやイスラエルに攻撃を示唆するように,これが国際政治の常識です.


FT February 24 2007

Invading the privacy of private equity

The Guardian Saturday February 24, 2007

Private equity: Taming the new capitalism

FT February 27 2007

Barbarians at the gates: the balance of pros and cons

By Martin Wolf

(コメント) FTは,private equityがもっと情報を公開して,二つの質問に答えるべきだ,と考えます.1.それは投資家の利益になっているか? 2.それは企業のパフォーマンスを改善したか? 十分に情報を公開すれば,二つの問いに答えられる,と.The Guardianも,もちろん,雇用への影響,企業のパフォーマンスを改善するために何をしたか,世論が高まれば公的な規制を受けるべきだ,と主張します.

アメリカ最大の公共事業体TXUを450億ドルで買収する,というKohlberg Kravis Roberts Texas Pacific Groupの発表は,private equityにさらに注目を集めました.Martin Wolfは,その論争について安易な判断を避けようとします.それは,利害対立を回避するために必要な措置だ,と擁護する意見を紹介します.余計な規制にも煩わされず,企業を整理し,再生できます.

しかし,巨額の成功報酬があれば,ファンドの経営者と一般の投資家には利害対立が生じます.こうした対立を完全に解決することは不可能だ,とWolfは考えます.つまり,良い経営者であれば,正しいバランスを見出すだろう,と.


The Japan Times: Saturday, Feb. 24, 2007

Telling the truth at Yasukuni

By HISAHIKO OKAZAKI

(コメント) 安倍首相の支援者あるいは政策顧問と聞いたことのある岡崎久彦氏の論説です.英字新聞に載せる記事は,海外の読者にも訴えるはずだ,と思ったのですが.

中国や韓国だけでなく,アメリカなどからも批判を受けた靖国神社の有終館について,展示内容が見直されています.岡崎氏はそれに関わったようです.国際情勢の変化や,ある種の外国からの意見に配慮して,展示内容を見直した,と,概ねこんな解説を書いています.

これで,靖国神社の歴史観に備わるべき知的権威を損なわず,しかし,外国からの意見には最低限の配慮を示したような形に変えた,ということでしょうか?

l         フランクリン・ルーズベルト大統領は,大恐慌から抜け出すために,日本を戦争に仕向けた,という元の説明を削った.これは間違いだし,靖国神社を非難させるから.

l         しかし,スチムソンの日記から,アメリカが日本からの攻撃を待ち受けていた,という引用には反対しない.ルーズベルトが日本に最初の攻撃をそそのかしたのは歴史的事実である.そして,キッシンジャーなども指摘したように,その思惑は当った.それを裏付けるために適当な演説を引用した.

l         1937年の盧溝橋事件は,日本政府の平和的解決に向けた努力にもかかわらず,他の事件もあって成功しなかった.これらの事件は中国側の挑発による,というのが歴史的事実だ.譲歩する余地は無い.

l         しかし,私は中国を責めていない.中国側の挑発もそれに先立つ日本陸軍の行動に対する反応であったから.

l         北支事変を展示に加えた.これは日本が戦争に入る過程で重要だったから.

l         いわゆる南京大虐殺について,二次資料やプロパガンダに基づく外国からの非難に応えるべきではない.

l         自分は政府顧問ではないから,こうした作業に加われた.靖国神社は政府と関係ない.歴史には多くの解釈が許されている.


NYT February 24, 2007

Borders Without Fences

By TED KERASOTE

(コメント) 人間の世界には国境があるけれど,自然界にはありません.アメリカがメキシコとの境界線に武装した頑丈な城壁を建設すれば,豊かな自然環境は破壊される,と主張します.確かに絶滅危惧種も含めて,水場へのルートを断たれた生物の死体が砂漠に散乱し,その向こうに万里の長城のような景観が現れるというのは,恐ろしいことです.

FT February 25 2007

Bird flu’s link with the crazy trade in poultry

By Caroline Lucas

(コメント) 他方,従来は断絶されて,自然界のバランスを回復したものを,わざわざ人間が手を貸して蔓延させるケースもあります.なぜH5N1型の鳥インフルエンザはイギリスの農場に現れたのか? ハンガリーとの関連が指摘されるが,どうやって二つはつながったのか?

集中的な,工場型の養鶏場や,卵,鶏肉の世界的流通経路に問題は無いか,と指摘します.その環境は,ウィルスが繁殖し,爆発的に感染を広げる豊かな土壌であり,温床なのです.ところが消費者は,スーパーの1ポンドチキン売り場に殺到します.


FT February 25 2007

History holds lessons for China and its partners

By Lawrence Summers

勃興するアジアの大国は輸出基地として登場してきた.驚くべき高貯蓄,高投資で輸出指向型成長を加速して.桁外れのスピードで技術水準を高め,ヨーロッパやアメリカの産業に大きな脅威となった.中央銀行の準備や膨張する経常黒字は為替レートが不公正に操作されている,あるいは,少なくとも上昇を制限している,という不平を生んだ.金融システムは銀行中心で,国内機関を優遇する多くの規制があり,政府と業界は癒着していた.急速な生産性上昇は製品価格を抑えていたが,資産価格のインフレは蔓延した.

アメリカ議会の指導者たちは,経済的脅威を抑え込むために,迅速な行動を求めた.アメリカ政府の経済関係幹部たちが不均衡をもたらすその国の経済政策について,多くの面で,相手国の政府高官たちと「対話」を重ねた.もし「成果」が即座に得られないなら行動するぞ,という姿勢を示す議会からの警告もあった.

こうしたことはすべて,今日,中国について起きている.それはまた,日本がデフレと国際的な地位の下落を経験した時代に先立つ,1980年代後半から1990年代前半の経済を描いている.明らかに,中国の発展水準は大幅に低い,という顕著な違いもあるが,その類似性は衝撃的であり,中国とそのパートナーたちは以前の日本の経験から教訓を得たいと思うだろう.

日本の惨めな時代に関する決定的な歴史はまだ書かれていない.しかし,豊富な知識を持ったほとんどすべての研究者たちは,株価と土地バブルの崩壊,その結果として金融システムの生じた問題,銀行融資が止まって総需要も崩壊,輸出指向から内需主導の転換にともなう困難,消費者とビジネス界の自信喪失,などが重要な要素であると同意するだろう.

振り返るなら,日本の官僚たちはいくつかの重要な政策において失敗を犯した.1987年のルーブル合意の後,さらに円高が進むのを避けるため,彼らは金融緩和と財政刺激策に向かい,莫大な資産価格のバブルと融資の拡大を生み出し,それらが後の転落を準備した.消費者が記録的な富の増大を味わっているときに,彼らは内需主導の成長に転換することを促さなかったのだ.彼らはまた,銀行システムの問題を直接に解決することより,先送りすることを許した.これらの失敗の結果,日本は1990年代の深刻な問題を未然に防ぐためになしえたことのわずかしか行わず,問題を解決しようとしたときには条件がさらに悪くなっていた.

つまり,中国が急速な成長を維持し,日本が直面したような問題に関わらないためには,今こそ,つまり太陽が輝いている(天気がよい)ときに,政策の屋根を修理しておくべきだ,ということになる.避けがたい通貨の増価を受け入れ,消費を喚起して国内需要を促すことも,経済が過熱の間際にある今なら,ずっと容易である.それは将来,冷却するだろう.為替レートの現行水準の近辺で維持することは,2007年にも約4000億ドルもの外貨準備を蓄積すると推定されている.ドルを買うことで人民元が供給され,確実に,急激な資産価格のインフレが起きるだろう.それはまた,銀行システムの問題を解決しにくくする.

こうした教訓は,中国に出入りする幾人課の研究者が導く教訓と鋭く対立する.彼らは日本のデフレやその結果としての貧しいパフォーマンスを,円高を要求するアメリカの圧力に負けたせいだ,と考える.子の異なった見解では,日本の資産バブルやその崩壊を説明することができないし,内需主導型の成長に向かわせるために取るべき政策について何の理論も示せない.

追加的な教訓として,転換のための圧力を目指す経済政策対話については,謙虚さが求められる.事件や各国の政治的決定が,国際的なコミュニケよりも,経済の結果を左右する.政府のコントロールできない事件の影響が,たとえば日本のバブル崩壊や,情報技術の前進によるアメリカの生産性上昇,アジア金融危機のように,経済対話で扱った問題を瑣末なものにしてしまった.

たとえ政府の政策が重要な影響を持ったとしても,1980年代と90年代の日本が,住宅融資,社会保障,小売部門の規制など,国内的に見て難しい構造的政策において,日米構造協議を受けて何らかの転換を行った,という証拠は無い.こうした分野の政策は国内政治によって決まる.強硬な圧力をかければ,政策転換に刃向かう特殊利益集団がナショナリズムを煽るのに利用される.高次の(首脳)会談は逆効果にもなりうる.善意が枯渇した世界では,強硬な姿勢の対話が怨嗟を他の分野にまで拡大する恐れがある.

1980年代後半から90年代前半において,日米関係は世界で最も重要な二国間関係である,と言うのが決まり文句であった.中国のスケールと,より急速な成長,世界経済におけるより大きな不均衡を前提とすれば,中国の経済政策とその国際関係はさらに重要である.不幸な歴史から学ぶことで,太平洋の両側において,政策担当者は失敗を避けることができる.

Barry Eichengreen: サマーズの意見に賛成だが,日本よりも韓国の方が重要な教訓である.なぜなら中国も韓国も,権威主義的体制の下で急速な成長を遂げたから.韓国の崩壊は経済の自由化よりも金融自由化を急いだことによる.しかし中国と違って,金融危機の前に韓国は民主化していた.それゆえ経済改革についても,財閥改革についても,政治家たちが競って実行できた.中国には決してできない.

Monty Graham: ここで重視するべきは,当時の日本が採用していた競争妨害組織・規制・思想である,とGrahamは主張します.日本は競走や投資を損ない,硬直化し,形骸化して破綻した.中国は開放されている? それは輸出部門だけだ.国内企業は非効率で,破綻に瀕しており,保護されている.ナショナリズムまで動員して.競争を促し,市場も投資も開放せよ.これが学ぶべき教訓だ.

Ronald McKinnon: 1980年代から90年代前半に至るアメリカの日本叩きと,現在の中国叩きとの平行した関係を,サマーズが認めたことは喜ばしい限りだ.「叩き=バッシング」とは,1971年の360円から1995年の4月に80円にまで至った無謀な円高圧力を意味する.その後,ルービン&サマーズの財務省コンビは「強いドル」政策に転換し,日本叩きが終わる.

しかし,サマーズは問題を理解していないし,中国についても間違っている.日本の景気が悪化したのは円高が続いたからである.その後,日本の金利が急落したのも,アメリカによる「日本叩き」で,さらに円高が続くという懸念から金融緩和が増幅され,バブルを生じた.金融政策が効果を失ったのは,円高が強いた金利裁定によるゼロ金利で「流動性の罠」に陥ったからである.

サマーズは銀行の対応が延期されたというが,その責任もアメリカ政府の強いた円高圧力にある.大蔵省は財政赤字の拡大を望まないが,不況回避と銀行の業績を支援するために資産価格の上昇を促した.それでも円高とゼロ金利では融資にふさわしい利益の上がる投資がなくなってしまい,融資の減少とデフレ,銀行の赤字が続いたのだ.

当時の円高と同様,人民元の増価が「不可避である」とは思えない.

Brad Setser: 為替レートの変動が望ましいし,韓国の教訓として,金融自由化を先行するべきではない,というEichengreenに賛成だ.またSummersが示唆したように,日本のバブルは円高のせいではなく,金融政策の失敗であった.今も,同じことが世界中で起きている.経常収支が黒字にもかかわらず,産油諸国など,為替レートの増価を抑制して通貨供給を膨張させている.資産バブルは避けられない.


The Observer Sunday February 25, 2007

A connected world proves no threat to tyrants

Nick Cohen

IHT Tuesday, February 27, 2007

All power to the Russian bloggers

Anna G. Arutunyan Agence

(コメント) ここも一つの「パジャマハディスタン」! 人は一個の島である ・・・と言ったのは誰でしたか?

インターネット上のブログによるニュースや解説,日記の垂れ流しに,旧来のメディアは憤慨し,非難と攻撃を繰り返しました.「多方面のチェック・アンド・バランスが働くCBSのような報道と,リビングルームでパジャマのままネットにブログを書く連中と」,あなたはどちらを信用するのか!? とCBSニュースの元幹部が発言したように.他方,こうした攻撃を楽しむブロッガーたちは,自ら「パジャマハディーン 'Pyjamahadeen'」と称して,あたかもオピニオン・リーダーになったかのように,何を読んだとか,どんな曲が良いとか,好きなことを書いているだけ,というわけです.

その二つをつなぐ試みに向かったブロッガーがエジプトでは禁固刑に処されます.「イスラムと大統領をバカにした」という罪です.検閲から自由になって,どんな政治的意見も知ることができる,とインターネットを称賛する時期もありましたが,ネットは独裁者に容易に服従するようです.

主要メディアが政府による検閲で支配されたロシアでも,ブログがニュースに代わりつつあります.ロシア語によるブログ・コミュニティーZhivoi Zhurnal(省略してZheZhe)は,アルメニア人タクシー・ドライバーによる強姦未遂と殺人事件を利用して排外主義やナショナリズムを煽る極右の影響を増幅しました.市民社会は,単に表現の自由だけでは機能しません.


IHT Sunday, February 25, 2007

It's time to start talking

Henry A. Kissinger

(コメント) 30年戦争後のヨーロッパのように,安定した国際秩序を築くことで平和は回復できます.Kissingerは,アメリカ政府がいまだに「外交はそもそも必要か?」という議論をしていることに閉口します.軍事力も外交も必要だ,と考えるからです.

しかし,どちらも何に向けて使用されるのか? それは国際秩序の構築です.イラク戦争を経て,今や中東世界や国際政治におけるバランス・オブ・パワーは明らかに変化したはずです.そのことを評価し,その上に立って,各国は新しい国際秩序に合意し,参加するべきだ,と主張します.

「イラクは何かの形で国際社会に復帰する必要がある.その内部対立は将来も外部からの介入を誘発するだろう.それは何らかの合意された原則がなければ実際に抑えることもできない.さまざまな国の利害は対立しているが,バランス・オブ・パワーと国際的な制裁を行える合意された権限によって,それらを抑制しなければならない.

国際会議の招集は,現代の国際政治において顕著な異常事態を扱う重要なステップである.・・・もしアメリカがテロリストのキャンプとテロリストの体制がイラクに誕生することを防げないなら,多数のイスラム教徒を抱えるどんな国もその結果から影響を受ける.インドネシア,トルコだけでなく,マレーシア,パキスタン,西欧諸国,ロシア,そして中国である.

イスラム原理主義者たちがアフガニスタンからロシアを,イラクからアメリカを追い出した,となれば,政治的不安定さは中東地域に収まらず,また,石油供給を介して特に工業化された諸国の経済を襲う.」

政治的枠組みを作るときに参加しなければならない「ステイク・ホルダー」として,安保理常任理事国,近隣諸国,イスラム圏の主要国,そして石油消費国としてドイツや日本も挙がっています.安定した石油供給システムに向けて移行する,という点で,すべての関係者が合意を促すでしょう.

Ian Shapiro Containment makes a comeback LAT February 25, 2007

Jim Hoagland Fighting Iran -- With Patience WP Sunday, February 25, 2007

Frederick Kempe U.S. Tries to Revive Team That Won Cold War Feb. 26 (Bloomberg)

Robert D. Novak Deauthorizing Iraq WP Monday, February 26, 2007

Mamoun Fandy ‘Land for Iraq’ is best hope for regional stability FT February 27 2007

Bruce Ackerman and David Wu The Half-Trillion Dollar Solution The American Prospect 02.27.07

Michael T Klare Three US reasons to attack Iran Asia Times Online, Feb 27, 2007

Pepe Escobar US's Iraq oil grab is a done deal Asia Times Online, Feb 28, 2007

US should talk to Iran about more than Iraq FT March 1 2007

Pepe Escobar An ill wind in Iran Asia Times Online, Mar 2, 2007

(コメント) イランとイラクについて.あるいは,イラクとイランか? ・・・人によって,問題によって,どちらを主と従にするかは違います.あるいは,これは全体で一つの問題かも知れません.

Kissingerはイラク戦争の結果を総括する国際会議の開催を求めています.Ian Shapiroは,冷戦期のソ連に対する「封じ込め」政策を再現するべきだ,と考えます.

Mamoun Fandy が紹介する戦略は“Land for Iraq”です.イスラエルが占領しているゴラン高原,ヨルダン川西岸,ガザ地区,をアラブの支配に戻し,アメリカはイスラエルの占領を終わらせる和平交渉を進める保証を与える.それと交換に,アラブ諸国,特にイラクの近隣諸国はその安定化に尽力する.その結果イラクと石油供給は安定し,イスラエルは湾岸諸国と和平に合意し,イランを孤立させる.要するに,イラクの安定化を実現するためには,中東地域全体の現状を戦略的に考える必要がある,というわけです.

イランに対してはどうか? それでもブッシュはこの春から夏にかけてイランを攻撃する,と考える理由があります.Michael T Klareによれば,それは特に三つの演説から考えて,1.イラクに駐留するアメリカ軍をイラン(の武器やテロリスト)が攻撃している.2.イラクの統一を守り,この地域を平和に(そして親米的に)するには,イランの核武装を許さず,押さえ込むべきだ.3.サダム・フセインやアルカイダと同じくらい,イランが率いるシーア派の武装蜂起は深刻な脅威である.

議会は,ブッシュ政権の軍事支出を抑えて,戦争拡大を阻止できるでしょうか?


LAT February 25, 2007

The three futures of China

By James Mann

FT February 26 2007

China’s great wall of intransigence

By Jonathan Fenby

(コメント) 経済の自由化によって,中国の共産党支配体制は代わるでしょうか? James Mannは,たとえば25年後にも,それが続いているだろう,と予想します.共産党は反対派を弾圧し,メディアや裁判所を支配しています.と支部の中産階級が民主化を求める,というアメリカ人の好むシナリオは間違いでしょう.なぜなら,中産階級は共産党員として,現状維持を強く支持しているからです.民主化のための政治的変革も,経済の崩壊も起きず,将来も共産党が支配を維持する,というわけです.

それがただちにアメリカとの軍事的対立に至るわけではありません.しかし,中国の政治的価値は国際関係に反映され,アメリカとさまざまな問題で対立することが多くなります.

中国の人権問題や説明責任を西側諸国が今後も批判することは重要です.しかし,中国はその姿勢を変えないでしょう.


WP Sunday, February 25, 2007

How to Keep America Competitive

By Bill Gates

(コメント) 経済成長は資本と労働力の組み合わせによってよりも,技術革新が実現する,とゲイツは確認します.それゆえ,アメリカはもっと科学者やエンジニアを育てなければなりません.そして,アメリカが今後も競争力を維持したいなら,その労働者たちが世界で最も聡明でなければなりません.世界で最も優れた大学を維持し,世界中から優れた学生を集め,世界中から優れた技術者や学者を集めます.そのために,移民システムも開放するべきです.

なるほど,ビル・ゲイツなら考えそうです.しかしこれは,比較優位による分業にも,グローバリゼーションによる較差解消にも,ナショナリズムの解体にも,まったく逆行した,アメリカだけが勝ち続けるゲームだと思います.

FT February 27 2007

Patent imperialism

FT March 1 2007

Bad blood as developing Asia acts to defy drug patents

By Andrew Jack, Amy Kazmin and Amy Yee

(コメント) 特許制度や医薬品の開発・販売について,世界の貧しい諸国が強い不満を感じていることに,豊かな諸国は応えることができるでしょうか?


FT February 27 2007

‘Made in Italy’ to tempt Chinese

By Sundeep Tucker

(コメント) フェラガモのCEOであるMichele Norsaは,イタリア製を維持し,中国に生産拠点を設ける必要を感じません.偽モノが出回っても,それは昔からあったことで,本物との違いは余りにも大きく,イタリア製の皮革製品が中国で市場を開拓する大きな障害にはならない,と考えます.つまり消費者の目が肥えてくるから,市場を分離できる,と.それはヘルメスもやっていることです.


JEREMY W. PETERS and DAVID BARBOZA Dow Average Falls 416 Points After China Sell-Off NYT February 28, 2007

Markets FT February 28 2007

DAVID BARBOZA From Shanghai, Tremors Heard Around the World NYT February 28, 2007

Walter T Molano China 'correction' rattles world markets Asia Times Online, Mar 1, 2007

Christopher Brown-Humes and Gillian Tett in London Frenzied trading continues as carry trade fears grow FT March 1 2007

After the Sell-Off NYT March 1, 2007

JEREMY W. PETERS and WAYNE ARNOLD Stocks Cut Losses After Sharp Sell-Off NYT March 1, 2007

Meghnad Desai China/markets: Shanghaied! The Guardian Wednesday February 28, 2007

Geoff Dyer and Joanna Chung Market Insight: China roars but it’s too young to call the shots FT February 28 2007

Azam Ahmed China market plunges, Dow follows. Now what? The Chicago Tribune, February 28, 2007

World markets: Justified jitters The Guardian Thursday March 1, 2007

James K Galbraith Bernanke throws in the towel? The Guardian Thursday March 1, 2007

(コメント) 中国・上海発の世界同時株安が始まりました.それが終わった,と断言してよいかどうか,まだ分かりません.なぜなら,中国のバブルや社会対立だけでなく,アメリカは戦争に深入りし,財政赤字や経常赤字を続け,ドル安が進んでいます.ブッシュ政権の末期的な不安定化も避けられません.アメリカや中国の経済成長が減速し,世界の金融市場には,円キャリー・トレードやプライヴェート・ファンド,国境を越えたM&A,為替レートの調整失敗など,波乱要因が満載です.将来の石油供給やロシアの政治情勢も分かりません.市場参加者に深刻なパニックが広がるのは,多分,まだ誰も知らないような理由です.

「これは小さな目覚まし時計だ.」 あるいは・・・「中国市場は浮動的で,いつもこんなものだ.」 スロット・マシンで賭け事にふける感覚の中国人に,まともな投資のための思考や態度を教育する過程なのか?

中国の株式市場は隔離されており,その他の経路に比べて,中国が世界に及ぼす重要な要因ではない,とFTは考えます.むしろアメリカ市場の下落が誘発されたことが問題であり,あるいは,グリーンスパンが下落の可能性を示唆したことも関係ありそうだ,という者もいます.

なるほど,株価暴落が続けば,二つの要因に注目すべきでしょう.バーナンキは金融政策を修正するのか? 中国の成長は減速するのか?

中央銀行総裁としてのバーナンキの信条は,「インフレ・ターゲット」であると知られています.世界の金融市場が動揺する時期には,その信条に反する行動が必要になることも理解しているでしょう.しかし,いつから? 反対する原理を使い分けることは困難です.さらに,インフレ率を期待インフレ率と理解してよいか? インフレだけでなく雇用も目標にするべきではないか?

LAT March 1, 2007

Cooling China's growth

By Stephen S. Roach

(コメント) Stephen S. Roachは,中国経済の底に現れつつある亀裂と鳴動を予感します.中国は世界の供給システムにおいて中心になりました.しかし,その過程で二つの深刻な問題を抱えました.過剰投資とバブルです.最近の中国政府の課題は,経済の過熱を抑え,冷却することです.ところが,通常の市場経済と異なって,中国では金融市場も金融政策が機能しません.その結果,さまざまな行政的手段が過剰投資を抑えるために使われ,十分な効果を示せません.

中国では「安定性」がすべてである,とRoachは指摘します.共産党権力の正当性も,これによって測られるわけです.安定した成長と雇用を維持しなければなりません.しかし,彼らが必要とする成長率や投資率は異常なものであり,維持不可能なのです.一つの結末は,過剰投資による,日本のようなデフレです.

それを回避するはずの株式市場への批判は,下落を誘発しました.無限に上昇すると信じている人々にとって,それはショックであり,中国の金融システムに改革を迫っているようです.つまり,問題はまだ続く.


FT March 1 2007

Such devoted sisters

(コメント) IMFと世界銀行の協力関係を審査・評価する報告書が出たようです.この二つの機関は,互いに仕事の領域が混じり合い,しばしば意見も対立します.IMFが世界の金融的安定化を短期の目標としてマクロ経済で扱うのに対して,世界銀行は長期の目標をミクロ経済について改善するはずです.しかし,IMFは長期の融資にも関わり,民営化や破産法の改正などを要求しています.他方,世界銀行もそのプロジェクトに詳しい外部審査が必要です.IMFは,救済融資が減ると運営費用をまかなえなくなります.


LAT March 1, 2007

You know genocide when you see it

By David Kaye

(コメント) 国際法において「ジェノサイド・大量虐殺」を定義できないことが国際法廷の審理を妨げています.David Kayeは,国際法廷のジェノサイド法によらなくても多くの犯罪は裁けるし,関係諸国が「ジェノサイド」の定義・意味論ばかりに紛糾してはいけない,と考えます.ボスニアやダルフールは秩序を回復し,経済を再建するための,外国からの支援を求めているのであって,法廷がすべてではない,と.

******************************

The Economist, February 17th 2007

Trust me?

The North Korea nuclear deal: Faces saved all round

Lexington: Dick Cheney under the microscope

Russia and America: Not a cold war, but a cold tiff

(コメント) 213日に北京の6カ国協議で北朝鮮が核開発を放棄することに合意したニュースが,これほど昔の話(?)に感じられることに驚きました.もし合意が重要な成果をもたらすとしたら,その後の実行や条件の整備が重要です.それにもかかわらず,日本では積極的な報道がありません.

北朝鮮と同じように,チェイニー副大統領の事務所も,グーグルの地球には存在しない,ということです.ワシントンの政治神学における頂点を極める秘儀は何か? また,プーチンとロシアは国内の政治経済秩序にアピールする新冷戦を演出し,さらに国民感情も変化していくのでしょうか? 政治の被疑を極めた者たちが見れば,プーチンと安倍は北方領土交渉に動くのではないか,と,予想できるかもしれません.たとえば,ですが.


The Economist, February 17th 2007

Digital money: The end of the cash era

The future of money: A cash call

Economics focus: The art of the possible

(コメント) こちらはグローバル経済神学の秘儀について.デジタル・マネーです.銀行の金庫やお店のカウンター,暗証番号や国境,言語,法律を越えて,デジタル・マネーは取引を完了させます.その原型が,主に,発展途上諸国における金融サービス,日本における携帯電話,などから生じて来るとは.

そして,OECDが研究し,報告したのは,政府が「構造改革」という秘儀を可能性から現実に転換する究極奥義について,です.改革(自由化,競争促進,労働市場の弾力化・解雇=新規雇用促進,企業の国内=国際整理・統合,など)には必ず多数の反対派が表れ,その激しい抵抗を民主的な政治指導者は克服できません.当然です.では,どうすれば良いのか? 不況,財政引き締め,金融緩和,・・・ただし,ユーロのような大経済圏にはできない,と.