IPEの果樹園2006

今週のReview

5/1-5/5

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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IPE方法論 :毛沢東主義ポピュリズム,イデオロギー

安全保障 :竹島問題,イラン,エルサルバドル

貿易・投資 :テキサス=メキシコ開発計画,石油

通貨・金融 :IMF・世銀総会,IMF改革

世界統治 :コンテナ革命,ヨーロッパの地獄

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


WP dnesday, April 19, 2006; A17

Hamiltonian Democrats

By Harold Meyerson

(コメント) Harold Meyersonは,民主党が示した国家戦略,ハミルトン・プロジェクトを厳しく批判します.プロジェクトの報告書は,初代商務長官アレキサンダー・ハミルトンの考え方を,健全な財政を重視するとともに,市場では十分に供給できない社会資本の整備に力を入れた,と要約します.また,アメリカ国民が政府に依存しないように注意を払った,と.

しかしこれでは,共和党と民主党の区別など消えてしまうのではないか,と感じるでしょう.Harold Meyersonは,この報告書が,実は,ロバート・ルービン元財務長官によってまとめられた,民主党とウォール街との共通戦略であろう,と考えます.ここには労働組合に関して一言もなく,最低賃金の引き上げもありません.NAFTAを完成し,中国のWTO加盟を推進したルービン元長官が,グローバリゼーションによる雇用の流出を緩和するために「教育の大改革」を訴えて,教員組合とも話し合う必要がある,と書くだけです.誰のための「経済再建」か? ルービンの推し進めたグローバリゼーションに後付けされた装飾でしかない?


Asia Times Online, Apr 21, 2006

Daggers drawn over a dot on the map

By Donald Kirk

IHT MONDAY, APRIL 24, 2006

East Asia's islands of contention

Philip Bowring

The Japan Times: Monday, April 24, 2006

Asian leaders acting badly: the makings of nightmares

By TOM PLATE

YaleGlobal, 25 April 2006

East Asia’s Troubled Waters ? Part I

Wenran Jiang

YaleGlobal, 27 April 2006

East Asia’s Troubled Waters ? Part II

Peter Beck

(コメント) 竹島=独島問題が東アジアの不安定な秩序を改めて示しました.世界中に領土問題があり,占領や分割,軍事衝突の歴史があります.日韓関係においても,漁業や海底資源,海上輸送,安全保障上の問題があるとともに,日韓併合の歴史や,日本の敗戦と朝鮮の独立回復,南北分断やアメリカ軍の占領政策,などが関係しているわけです.誰が東アジアの秩序を決めるのか? 今のところ,単一の覇権国による支配も,国際協調の合意や制度も,国際法や国際裁判所も実効性がなく,実力による占領と政治紛争が継続しています.

そこは「東海」か,あるいは「日本海」か? 「独島」か,「竹島」か? ・・・おそらく将来は,どちらでもない「○X△海」の「☆$ж島」などという,アジア共同体による命名式が盛大に開催されるのでしょう.サッカーの日韓共同開催など,もはや昔の話です.

実際には,それは海上に突き出した溶岩のかけらでしかありません.ところが,日韓両政府がそれを,外交上の対立を突出させる頂点としてしまいました.北朝鮮との宥和を説く韓国政府が,なぜ協力すべき日本と激しく対立するのか? 二つの朝鮮の政治的立場として,共通の関心でつながるようです.韓国を含めて,日本が侵略し支配した地域における反日感情は,戦後の補償などで,時間とともに,完全な和解を実現する筋道ができていないのでしょうか?

双方の右翼団体やデマゴーグが政治宣伝の材料として利用し,次第に日常的なニュースや主要な政治家も取り上げる話題となっています.政府間の露骨な威嚇や,調査船,警備艇の派遣など,具体的動きとなりました.アメリカは日韓双方が対立を演じる政治ショーにするのではなく,背後で調整するべきだ,と考えているでしょう.韓流ブームや日本の漫画文化も,この対立を緩和するものではありませんでした.

日本も韓国もアメリカの重要な同盟国であり,米軍基地を抱えています.彼らの安全のためにも,アメリカが日韓対立を抑制するような政治的圧力をかけるのが当然でした.しかし,この事件が象徴するのは,両国がより独自な立場を取るようになって,アメリカはそれを抑制できない,ということです.朝鮮半島統一や中国の台頭に関して,韓国政府のアメリカ離れが影響していると言えるでしょう.アジアのナショナリズムやエネルギー問題に関して,韓国はアメリカよりも中国と立場を共有する部分が大きいからです.

他方,東南アジアにおける資源・領土問題では,東南アジアと中国との対立が,彼らを日本政府に接近させます.

もしこのまま放置すれば,不況などで経済的な相互利益が失われたときに,また,アメリカの関与が低下するにつれて,こうした東アジアの秩序が不安定化するのは確実です.

TOM PLATEは,ドイツ人のドクトル・ゲオポリティカル(Dr.GP)がこの問題を解説する,という話を作っています.

「博士.東アジアで何が始まったのでしょうか?」 ・・・要するに,韓国政府は事実上,日本に対して宣戦布告したのだ.中国政府も同じような領土問題で態度を硬化させている.しかし日本政府はまったく譲歩するつもりがない.これら3カ国は,それぞれに自分たちの地位に不満を感じる「中年の危機」にあるわけだ.これほど小さな領土のために軍事的な危険を冒すとは,それ以外に考えられない.彼らは今にも銃口を向け合って,撃ち合いを始めるだろう.・・・

「他に理由はないでしょうか?」 ・・・もちろん,グローバリゼーションだ.各国はアイデンティティーを探している.だから,北朝鮮のように核爆弾を作る国もある.そして,反日運動においては「南北は一つ」だ.しかしその結果,アジアが愛した「日本の不戦主義・絶対平和主義」は一瞬で吹き飛ばされ,核軍拡に向かうだろう.・・・

「それで,・・・何が起きるのですか?」 ・・・朝鮮半島は統一する.他方,日本も統一を固め,しかも憤慨するだろう.アメリカが日本につくなら,アジアは日本に対抗して大中華圏を形成する.つまり,決して平和な世界ではない.・・・

Wenran Jiangは,日中問題の背景を冷静に整理しています.「日本と中国の両方に近い海底資源は,両国が協力すれば,長期的で安定した供給が可能になる.しかし,中国政府と日本政府の相互依存関係は複雑化しており,経済安全保障のジレンマを作り出してしまった.一方の国がエネルギー供給の確保を図ると,他方の国の潜在的な資源埋蔵量は減少してしまう.こうした敵対感情を抑えて,両国間の課題を強硬派の政治宣伝から切り離し,隣接する両大国が衝突するのではなく協力するように工夫することこそ,最も重要なのである.」

ドクトル・ピースメーカーなら考えるでしょう.・・・いっそ,それ自体が価値のない岩礁であれば,アジアの共同管理地区にしてはどうか? そして,それが存在しないものとして境界線を引けばよい.その後で,境界をまたぐ資源や輸送・安全保障問題について交渉するなら,具体的な合意を得ることができるはずだ.

Peter Beckは,日韓が争っているのは,漁獲や海底資源ではなく,ナショナリズムである,と考えます.だからそれは,何よりも両国の政治指導者が地域の協力と安定化に対して,責任ある態度を示す,という問題です.国内の過激なナショナリズムに便乗することで,たとえ短期的に政治的支持を得られるとしても,真の指導者であれば,そうした不毛な政治運動と手を切るべきです.


YaleGlobal, 20 April 2006

The US and China: Friends or Foes? ? Part II

Daniel H. Rosen

The Wall Street Journal, 20 April 2006

China’s Investors Are to Get Freer Hand Abroad

James T. Areddy, Craig Karmin, and Michael Phillips

April 21 (Bloomberg)

No Nixon Moment on China's Currency

William Pesek

(コメント) 中国は,成長と外貨準備の蓄積により,資本勘定を自由化するに至りました.これによって中国から大規模に資本流出が起きるかもしれません.アメリカが意図した人民元高ではなく,人民元は安くなるかもしれません.投資収益が改善され,中国人は豊かになって,しだいにより多くの消費を行うようになるでしょう.こうして,時とともに,過剰な外貨準備は解消されます.

James T. Areddyたちは,中国の資本自由化(と人民元の増価)を信用していません.中国人は容易に海外投資できず,購入できる金融資産が不足しています.中国政府は「市場」のせいにするだけで,人民元の為替レートを手放す気はないでしょう.

William Pesekは,ニクソン訪中のような地政学的転換はない,と書きます.しかし,ブッシュ政権が中国を好きでも嫌いでも,アジアでは,アメリカが抜けた穴を中国が埋めるでしょう.アメリカ政府はそれを,人民元が安すぎる,とだけ理解しているようですが.


FT April 21 2006

A golden opportunity for pursuing reforms Economic outlook 2 decks

WP Friday, April 21, 2006; A23

Don't Blame Just Us

By John W. Snow

FT April 22 2006

Bush and Hu talk turkey over halibut

FT April 23 2006

Shake-up agreed on IMF world trade role

By Chris Giles and Krishna Guha in Washington

FT April 24 2006

Lex: G7 and currencies

April 25 (Bloomberg)

G-7 Appeals to IMF to Pressure China on Yuan

Andy Mukherjee

(コメント) IMF・世銀総会について,さまざまな論説が寄せられています.

せっかく世界経済が好調さを維持しているのに,その間に進めておくべき各国の改革は進んでいない.特に,財政赤字は減らず,自由化交渉よりも保護主義がむしろ強まっている.その一つの解決策は,主要諸国が集まって改革資金を用意し,加盟国の財政状態を厳しくチェックすることである,とFTは考えます.改革されたIMFがその進行状況をチェックします.

スノー財務長官は,不均衡を解消するには,@財政政策だけではなく,A赤字国だけでなく,議論することが必要だ,と主張します.アメリカだけを責めて,ドル暴落やアメリカの不況を望むより,各国が共同の責任を果たすべきだ,と.

Jay Lenoは,中国の胡錦涛主席がアメリカに買い物に来たのだ,と指摘して,アメリカ人の気持ちを代弁したそうです.アメリカ企業の中国向け輸出の商談を与えに来たわけです.もし米中が一致して改革を求める分野を探せば,それはIMF改革ではないか,とFTは指摘します.

実際,IMF改革のテーマとして,人民元改革と貿易摩擦問題が挙げられています.IMFは国際金融秩序の維持を使命とする以上,貿易不均衡の拡大や為替レートの調整を監視します.ラトー専務理事は中国の分担額を増やすとともに,人民元を多角的な監視に従わせるよう,中国政府に求めるでしょう.それに反対するのは,もっとも厳しい監視を受けそうなアメリカかもしれません.また,中国人民銀行のZhou Xiaochuan総裁は,為替レートだけを非難の対象にしてはならない,と注意します.

この点について, Chris Giles and Krishna Guhaが述べています.週末に,IMF加盟諸国が多角監視について合意したことは重要です.それが実際に機能するためには,@多角監視と諮問の対象となるのは,他国に影響を及ぼす政策に限定する.A第4条に照らして,「為替レートを操作し,不均衡の調整を妨げ,あるいは,不当な優位を得ようとすること」でなければ,各国は自由に政策を決められる.B問題があれば,IMF専務理事が多角諮問会議を招集し,そうした諸国に第4条との整合性について説明を求め,政策変更の合意を得る.CIMF加盟諸国は,年に1回,この先1年間に関心を払う領域について投票できる.

プラザ合意を決めたときに比べて,世界経済はさらにグローバル化が進み,G7の声明は曖昧になっています.たとえば米中摩擦に関しても,中国だけに要求することは正しくない,と了解しているようです.そして,IMFに多角的な諮問の強化を求めたわけです.

プラザ合意に比べて,問題は為替市場の機能に限られず,望ましい調整の程度やスピードについて,主要国間に合意はありません.ドル安と人民元高への調整について,ようやく,市場も合意しつつある,という流れです.

為替レートに関する「IMFの監視機能」を強化するべきだ,という意見を,アメリカ財務省のTim AdamsやIIEのJohn Williamsonが主張してきた,とAndy Mukherjeeは改革の経緯を述べています.他方,学問的な合意のない為替レートの水準にIMFが関与することは,難しい問題を抱えるわけです.国際政治のパワーを正しく配分しない限り,受け入れられる提案ではないでしょう.その意味で,IMF分担金の配分変更が重要になります.つまり,IMFにおける中国やアジアの発言権を強める,というわけです.

The Wall Street Journal, 24 April 2006

Currency Manipulator?

Ronald I. McKinnon

Asia Times Online, Apr 28, 2006

Tokyo's Asian dream

By Purnendra Jain

(コメント) Ronald I. McKinnonは,Public Law 100-418Section 3004によりスノー財務長官が求められている「為替レートの操作」という判断に当らない,と中国を擁護します.米中の不均衡は,中国の過剰貯蓄と,アメリカの貯蓄不足によるものであって,為替レートのせいではない,と.中国が資本取引を規制し,為替レートの安定化を重視しているのは,中国国内の金融システムを安定化するためであって,輸出を伸ばすためではない.もし人民元を切り上げても,不均衡は変わらない,と言います.

アメリカが,中国と同じように巨額の対米黒字を持つ産油諸国に対しては為替レートの操作を問題にしないのは,中国の輸出が主に工業製品であり,アメリカの雇用を脅かすからです.他方,石油はアメリカ企業に必要です.20年以上前,同じように工業製品をアメリカに輸出して貿易摩擦を起こした日本は,円高を強いられて金融政策に変調を来たし,その後,バブルを生じて金融パニックに至りました.中国に同様の経験を要求するのは間違っています.

あるいは,もし本当に中国がアメリカの債券を買わなくなれば,アメリカは金融逼迫に陥り,高金利と激しい不況に直面する.アメリカは貯蓄を増やすために財政赤字を減らすしかない.それを望ましいと考えるのか? 中国は為替レートを操作しているのではない,と結論します.

Purnendra Jainの論説は,経済通商産業省の二階大臣が「東アジア版OECD」"East Asian OECD"を提唱したことについて述べています.それが成功しなかったのは,1970年代の福田ドクトリンと違って,中国の台頭などで,東アジアにおける日本の絶対的な影響力が失われたからだ,と考えます.2002年に小泉首相が提唱した「東アジア共同体」もなかなか具体化しません.日本はアメリカとの関係に重心を置きながらも,中国との合意なしにアジア地域の制度化を図ることはできないわけです.そのような構想を描く力があるか,日本政府は試されています.


Maoism rises again FT April 19 2006

Nepal's King checkmate BG April 22, 2006

Rhoderick Chalmers Let people power prevail in Nepal FT April 24 2006

Isabel Hilton Standing behind the despot on the wrong side of history The Guardian Monday April 24, 2006

Jo Johnson How the Maoist threat extends beyond Nepal FT April 25 2006

Tariq Ali This is no rah-rah revolt The Guardian Tuesday April 25, 2006

(コメント) ネパールの政変が国際的に注目されています.

「毛沢東主義」というのは,久しぶりに聞く言葉です.1960年代の中国でも,1970年代のカンボジアでも,1980年代のペルーでもなく,現代のアジアで広まるイデオロギーでしょうか? その影響はネパールの王政を危機に陥れ,さらにインドの,たとえば西ベンガル州にも波及しつつある,ということです.極端に貧しい遠隔の地に広がる毛沢東主義の脅威に対して,インド政府は,軍や警察を投入し,地方の経済改革を促して富の普及を図り,民主主義が機能するように政治制度の改革を求めています.

他方で,ネパールのジャネンドラ国王は民主化運動を弾圧しました.民衆による抗議活動は,ここまでアジアの民主化要求が波及したことを意味しています.Rhoderick Chalmersは,王制の崩壊が破滅的な暴力を引き起こさないように,国際的な監視と介入を要請しています.特に,憲法を平和的に改正して,毛沢東主義者と軍部の介入を抑えるべきです.

Jo Johnsonは,毛沢東主義を掃討するために,アメリカやEU,インドがジャネンドラの独裁支配を助けた,と批判しています.その結果,人口2800万人,世界で唯一のヒンズー教の王国が崩壊の危機にあるわけです.問題はここでも,複雑な政治問題を,余りにも安易に軍事的な解決策で終わりにできる,と考えた人々にあるようです.

またTariq Aliは,貧困解消のためにジャネンドラ国王が取った弾圧政策を,ネオリベラリズムの時代の特徴として批判します.


MIKHAIL S. GORBACHEV Turning point at Chernobyl The Japan Times: Friday, April 21, 2006

Chernobyl's death toll FT April 22 2006

WILLIAM SWEET The Nuclear Option NYT April 26, 2006

(コメント) 1986426日に起きたチェルノブイリの原発事故は,記憶の悪い私でも,はっきりと覚えています.ソ連の崩壊はこのとき始まったのかもしれません.社会主義,というより,優れた科学技術や官僚制による支配への信頼(そして恐怖心)によって,もはや政治=社会体制を維持できなくなったことを示す事件だからです.ゴルバチョフが,一基のSS18だけでもチェルノブイリの100倍の核物質を積んでいる,と指摘しているのが恐ろしいです.

FTは,さまざまな被害とその予想を示しています.今後,癌による死者がどれくらい増えるのか,予想には大きな差があります.世界中の工業諸国に原発があり,旧ソ連圏の諸国で稼動する原発の危険は高いでしょう.

他方,技術進歩による原子力発電所の夢は,脱炭素燃料として,今も再生されているようです.


The Guardian Saturday April 22, 2006

IMF reform: First, make it democratic

ワシントンにおける春のIMF総会で,イングランド銀行のMervyn King総裁は述べました.「確かにIMFの権限は明確でない.その融資活動は衰えているし,国際通貨システムにおける役割も曖昧だ.・・・われわれはIMFを必要としているのか?」

固定レートによるブレトンウッズ体制を守っていたIMFは,1971年以後,その仕事を失い,国際資本移動の世界で「最後の貸し手」となるはずでした.しかし,その役割は余りにも難しかった! 民間資本移動の規模は膨張し,政府の外貨準備額をはるかに超えてしまったし,そもそも政府が取る政策によって脆弱性が生まれ,不安を撒き散らしているからです.

その典型はアメリカ政府です.アメリカの財政赤字や対外不均衡は金融市場の不安の源です.しかし,アメリカ政府はIMFの大株主でもあり,拒否権を握っています.そもそもIMFにできることは,アメリカの政策に注意を述べるだけです.

他方,アジア諸国は1990年代後半の危機に傷つき,外貨準備を途方もなく積み上げています.結局,IMFのような多角的融資は必要ないのではないか? という者もいます.しかし,イギリスのKing総裁やカナダのDavid Dodge総裁は,IMFがサーベイランス(政策監視),国際協調,「公平な審判」として働くように求めます.IMFのRato専務理事も同様です.

明確な合意がないまま,何から始めるべきか? まずはIMF統治構造の改善です.国連安保理やG7と同じく,IMFも第二次世界大戦の遺物です.その投票権はクォータ(分担金)に従い,アメリカとヨーロッパが大きな声を出せます.しかし,ベルギーがブラジルや韓国,インドよりも大きな発言力を持つ国際機関など,愚かな限りです.また,IMF専務理事と世銀総裁をヨーロッパとアメリカで独占することも廃止するべきです.

こうした発展途上諸国にも正当性を認められたIMFであれば,厳格な審判や国際フォーラムとなれるでしょうか? IMFがアメリカの政策に注文を付けたとしても,アメリカ政府からの返答は決まっています.「余計なお世話だ!」

WP Saturday, April 22, 2006; D01

IMF Expands Role in Seeking to Reduce Trade Imbalances

By Paul Blustein

WP Sunday, April 23, 2006; B02

Blinkered By His Big Ideas

By Sebastian Mallaby

FT April 25 2006

IMF gains new role on global imbalances

FT April 27 2006

Crisis prevention in the new global economy

By Gordon Brown

(コメント) Paul Blusteinの記事は,Rato専務理事がIIEのカンファレンスで「審判」になることを拒んだ,と伝えています.それはIMFが「政策の助言者」として機能する妨げになるから,と.

世銀総裁としてのWolfowitzは,恐れられていたような,世銀をネオコンの布教機関やブッシュ政権の傭兵にはしませんでしたが,イラク戦争で犯した過ちを繰り返しているようです.腐敗・汚職に関わった政府への援助を停止する,というアイデアリズムの強硬策は,開発を支援する世銀の使命と組み合わせる具体的な工夫を無視して,イデオロギーとして強制されます.

アメリカ政府が人民元の為替レート変更を要求し,世界が「金融的な恐怖の均衡」によって統治されるよりも,IMFの政策フォーラムを整備する方が望ましい,とFTは考えます.たとえば,「もしIMFが他の黒字国,たとえば日本を加えて,[黒字国の政策調整を求める]フォーラムを開けば,中国もその政策が国境を越えて及ぼしている弊害を是正しやすいだろう.同様に,ユーロ圏の諸経済も自ら内需を刺激して[不均衡の]解決に貢献しなければならないと認めるなら,アメリカは余分の苦痛を減らして過度の国内消費を削る機会を得るだろう.」

イギリスのGordon Brown蔵相は,通貨危機の予防におけるIMFサーベイランス機能を強調します.IMFの政策評価局を,より独立で,透明な機関にすること,そして,加盟諸国は自国の金融・財政・為替レート政策について国際的な責任を認めること,です.「繁栄には,平和と同じように,限界がなく,分割できない.」と,かつてモーゲンソーは述べたようです.正しく制御できなければ,グローバリゼーションは貧困,不平等,怨嗟の悪循環を招くだろう.IMF加盟諸国は,すべての国の雇用創出,繁栄,安定性に,共同責任を担っている,と.

イギリス人は,国際機関がどのように各国から権限を得て,国際的な正当性を確立するか,その要点を心得ています.日本人はどうか?


NYT April 23, 2006

Cheer Up, Earth Day Is Over

By JOHN TIERNEY

NYT April 27, 2006

The Death of Multiculturalism

By DAVID BROOKS

(コメント) しかしイデオロギーとしてみると,環境保護や多文化主義が影響力を失ったのは明らかです.1980年代の保守革命,グローバリゼーション,金融革命,などによって,政治家の世界では,福祉国家と同様,すべてゴミ箱入りになったわけです.

世界を石油=権威主義体制によって滅ぼしてしまうのを阻止するため,アル・ゴアと一緒に人類の敵と戦う正義の戦士などどこで見つけるのか? 「地球環境デイ」? 京都議定書? 終末論は流行らない? 議会が心配しているのは,核兵器の拡散と石油価格の高騰 ・・・少子・高齢化です.

1994年をピークに,多文化主義(そして,レイシズム・セクシズム・エスノセントリズム批判)もアメリカで衰退した,とDAVID BROOKSは書きます.アイデンティティー・グループが硬直化したこと,民主党が勝つためにはマイノリティーではなく,白人労働者階層の支持が重要であると再認識したこと,左派の知識人は衰え,経済学者が指導的な地位を占めたこと,何より,9・11が起きて,世界中の少数派・部族主義が温存する野蛮さを知ったこと.

さようなら,多文化主義.ようこそ,リベラルなアメリカ・ナショナリズム.

Martin Wolf and Jeff Pruzan Urban prophet who saw salvation in the streets FT April 26 2006

Jane Jacobs, 1916-2006 BG April 27, 2006

Mark Feeney Jane Jacobs, 89; author's vision inspired 'livable city' movement BG April 26, 2006

(コメント) ジェイコブズによる都市の再生,都市の文化も,すでに死滅した理念でしょうか?

Martin Wolfらによれば,ジェイコブズは政府の都市計画を批判した自由主義者です.しかし,もっと異なる評価もあります.たとえば,ベトナム戦争やアメリカの権力を嫌い,地域の自治権を尊重したエコロジストです.そして都市における街路,人々の生活圏を愛しました.


WP Monday, April 24, 2006; A17

Bush's Thousand Days

By Arthur Schlesinger Jr.

(コメント) フランクリン・D・ルーズベルトは最初の100日で,ケネディーは1000日で,そしてブッシュは残りの1000日で有名になるでしょう.アフガニスタン,イラクに続いて,イランと三つ目の戦争をするから!? ブッシュ大統領は,戦争を始めるに当って,十分な脅威があることを説明するより,自分の信念を示し,それを共有しないものには「黙っていろ!」と恫喝します.

キューバ危機は,冷戦時代の,人類史を変える恐れがあった最大の危機でした.ケネディー大統領はソ連との核戦争を回避して,核ミサイルの配備撤回を交換し,ケナンが主張した「封じ込めとデタント」の組み合わせを実現しました.ブッシュ大統領は,疑わしければ核によって先制攻撃する,という歴史を開くかもしれません.

Zbigniew Brzezinski Been there, done that LAT April 23, 2006

Clifford Kupchan Tehran's trump card LAT April 23, 2006

Talk to Iran, President Bush IHT WEDNESDAY, APRIL 26, 2006

The statement is signed by former foreign ministers Madeleine Albright of the United States, Joschka Fischer of Germany, Jozias van Aartsen of the Netherlands, Bronislaw Geremek of Poland, Hubert Vedrine of France and Lydia Polfer of Luxembourg.

Robert E. Hunter Time To Talk With Iran WP Wednesday, April 26, 2006; 12:00 AM

John K. Cooley US should call for direct talks with Iran CSM April 27, 2006 edition

Francesco Sisci Iran: Think long-term engagement Asia Times Online, Apr 28, 2006

Martin Woollacott Cool heads required The Guardian Friday April 28, 2006

Rosa Brooks War clouds LAT April 28, 2006

(コメント) 北朝鮮と同じく,不確実性と報復の懸念は大きく,その周辺地域や世界経済に及ぼす影響を考えるなら,アメリカはイランに対する軍事的攻撃を選択してはなりません.アメリカは,英仏独と,ロシア,中国を招いて,イランの核開発をめぐる7カ国協議を始めるべきです.

しかし,ロシアは中国との協調は,決して容易ではありません.国内の政治的基盤が強固で,交渉条件が冷静に判断でき,しかも,長期的な視点を取る指導者が揃わなければ,解決に向けた交渉は外交的体裁と,戦争準備の「時間稼ぎ」になってしまいます.


WP Sunday, April 23, 2006; B07

Time for a Tex-Mex Marshall Plan

By Steven Hill

(コメント) Steven Hillは,アメリカが扱いに苦しんでいる移民問題の解決策を,アメリカの嫌っている「古いヨーロッパ」が示している,と考えます.

ここには,英米と非常に対照的な,ヨーロッパの考え方が示されています.人の移動は抑制して,むしろ貧しい地域の開発に投資する.貧しい新加盟諸国は支援を受ける代わりに,人権や民主主義,労働規制について,国内の法律や制度を改善する.人々の移動や企業の再編,外国からの投資を,貧しい地域の中で活性化するために,住宅や学校,通信施設の建設を行います.中小企業の育成も技術や資金を与えて支援します.時間をかけて,貧困や較差を縮小し,ヨーロッパが一つになることをめざしています.

それに比べると,NAFTAはまだ不十分であり,Hillはテキサスとメキシコに対するマーシャル・プランを提案します.いずれにせよ,アメリカ南部や西部が将来どうなるかは,ラティーノやアジア系移民の増加が示しています.


FT April 24 2006

Defusing North Korea nuclear risk

By Victor Mallet

(コメント) なぜ6カ国協議は失敗したのか? それはアジアで最も成長している二つの国,中国と韓国が,北朝鮮の経済を支援してきたからです.

6カ国協議に代わって,@北朝鮮の核保有を認める,A核施設を攻撃する,B経済制裁する,などの選択肢がありますが,どれも周辺諸国が一致して支持するに至りません.それゆえ,朝鮮半島が統一し,中国の経済圏に吸収されるのを受け入れて,結果的に,北朝鮮の軍事国家や核の脅威を抑制し,関係を正常化(市場改革とグローバリゼーション)していく,という最近のアメリカの姿勢が指摘されます.


FT April 24 2006

How a box transformed the world

By Marc Levinson

(コメント) コンテナ輸送に関する革新の話です.一人の男,Malcom McLeanが始めた「コンテナ革命」は世界を変えました.それは,あの港湾労働者も,鉄道輸送も,打ち倒したのです.

輸送費を急速に引き下げて,コンテナは経済地理を激変させた.世界の主要な港,すなわち,ロンドン,リバプール,ニューヨーク,サンフランシスコ,などでは,騒然としていた沿岸部がさびれた.臨海産業が,コンテナを扱い,定期輸送路を利用できる空間を持った新しい立地に移動してしまったのだ.海上輸送費用を節約するため,沿岸部に引き付けられていた製造業も,都市中心部を離れて,伝統的な工業地帯が大幅に削減された.その結果,生産は大きく離れた立地でも可能になり,韓国や中国に移転され,コンテナ革命以前には輸出が利益を生まなかったような財も,安価で信頼できる輸送手段を利用するようになった.


Martin Wolf A new gilded age FT April 25 2006

GWYNNE DYER The oil party is finally over The Japan Times: Tuesday, April 25, 2006

Oil prices The Guardian Thursday April 27, 2006

Thomas Palley Deficits do matter The Guardian Thursday April 27, 2006

THOMAS L. FRIEDMAN Gas Pump Geopolitics NYT April 28, 2006

Charles Krauthammer Say It With Me: Supply and Demand WP Friday, April 28, 2006; A19

(コメント) 成長し続けるアメリカや中国が経済運営において不安を感じるとしたら,対外不均衡,不平等,石油価格,でしょう.

アメリカの生産性は伸びているし,成長も実現したが,普通の人々はなかなか豊かになれない.所得分配が不平等化したからです.企業重役の報酬は,「スター効果」によって,急速に伸びています.アメリカの所得分配で上位0.01%の最上層は,その半分が一流企業の重役たちです.

Martin Wolfは決して平等主義(社会主義)者ではないですが,こうした分配の不平等化に反対します.@それを相殺するほど所得階層を移動する人がいない.Aアメリカのような極端な個人主義なしには,文化的にこれほど大きな不平等を受け入れられない.そして,B極端な不平等が政治をポピュリズムに向かわせる.

ようこそ原油価格70ドルの世界へ.そして,100ドル,あるいは1000ドルへ? 中国,ブラジル,ロシア,その他の新興経済で,中産階級が自動車を購入し,飛行機に乗って移動し始めた.アメリカ政府はイランとの戦争を準備している.ナイジェリアの政情不安. ・・・要するに,短期的な乱高下よりも,長期的に漸進的な石油価格の上昇を願うことです.そうすれば,石油の時代は平和的に終わるから.

貿易不均衡は重要ではない.むしろ感謝するべきだ,というJames Galbraith and Warren Moslerの議論をThomas Palleyは批判します.右派は,貿易赤字が市場の機能に従った結果であれば問題ない,と主張します.左派は,貿易赤字ではなく,雇用を増やすことに失敗した政府の姿勢だけが問題だ,と主張します.そのどちらも間違っている,と.貿易赤字は失業と関係しており,公的な債務も民間債務も,将来の成長を損なう可能性があり,金融不安の源になります.ひとたび失われた産業基盤は,その技術力とともに,容易に回復しないでしょう.だから,極端な貿易赤字を放置してはならない,と.

THOMAS L. FRIEDMANは,今の石油危機が1970年代の危機とまったく異なる,と考えます.石油独占企業が欲張りであるから危機が起きたのではなく,世界のエネルギー市場が構造変化を生じたのです.@アメリカはテロとの戦争に支払い,石油に支払うが,その金はイスラム過激派を育ててしまう.Aアメリカはインドや中国の成長を助けるが,われわれが石油に依存している限り,さらに急速に地球環境を悪化させる.Bベルリンの壁を倒して解放されたはずの人々が,ますます急速にイラン,ベネズエラ,ロシア,ナイジェリア,スーダンといった石油=専制国家に服従しつつある.C石油価格が下落しなければ,われわれはイラクやアラブ世界に民主主義の種を撒くことはできないだろう.

つまり,安全保障=環境保護政策の一部として,アメリカはガソリンと燃費の悪い大型乗用車に課税するべきだ,と.


BG April 26, 2006

A lesson unlearned in El Salvador

By Derrick Z. Jackson, Globe Columnist

Asia Times Online, Apr 26, 2006

Globalization's new underclass

By Stephen Roach

(コメント) 大国は小国に対して,なぜこれほど軍事的解決策を選択するのか? 大国は,国内政治におけるコストを,小国の治安や人命に示されるコストよりも重視します.イラクの失敗は,エルサルバドルにおいて戦われた左右の内戦に介入したアメリカ軍や諜報機関と,その作戦(暗殺部隊への支援)を考案したチェイニー氏の,経験から学ぼうとしない態度によって説明できる,とDerrick Z. Jacksonは考えます.

1980-92年に,およそ75000人が殺害され,多数が行方不明になりました.それでもチェイニーは自慢したのです.われわれはエルサルバドルで自由な選挙を行い,議会の後見人として駐留している.そのせいでエルサルバドルの事態は改善されたのだ,と.

他方,グローバリゼーションは労働者の暮らしも良くするはずでした.それが大きな失望に変わった結果,各地で保護主義が強まっています.モルガン・スタンレーのStephen Roachは,アメリカと中国で拡大する所得格差について考察しています.


Mark Thirlwell The high price of feeding the hungry dragon FT April 26 2006

KEITH BRADSHER China Raises Lending Rate to Slow Booming Economy NYT April 27, 2006

Richard McGregor China’s change of tack surprises economists FT April 28 2006

China's weakest link FT April 28 2006

(コメント) 私はそれを「ハーシュマンの原理」と呼びます.圧倒的に重要な貿易取引相手国は,それを政治的な支配の手段として利用することができる,と.中国からの需要増大に,資源輸出国は喜んでばかりおれない,というわけです.特に,日本や韓国はアメリカの同盟国でしたが,中国はそうではありません.

中国政府も,豊かになるとともに,景気過熱を抑え,金融システムを改善し,軍事的な抑制と国際協調を学ぶでしょうか? たとえば,ドルに対する人民元の弾力化と金融政策の自律性です.


April 26 (Bloomberg)

Icahn Isn't Korea's Problem -- Koreans Are

William Pesek Jr.

Asia Times Online, Apr 29, 2006

Crapshoot in Korea

By Jephraim P Gundzik

(コメント) 中国に比べて,韓国の成長には関心が薄いようです.しかし,かつて企業買収のプロであるアイカーンが韓国企業に最初の敵対的買収を行いました.1997-98年通貨危機の責任を問われたチェボルも復活しましたが,以前のように韓国経済を成長に導く力はありません.むしろ,外国資本に買収されるなどして整理解体する道を選ぶべきだ,というわけです.外国投資家へのナショナリスティックな反応は,韓国自身を制約します.チェボルが韓国経済を窒息させている,とWilliam Pesek Jr.は批判します

他方,Jephraim P Gundzikは,韓国とその株式市場の良好なパフォーマンスが,過度の金融緩和に依存しており,アメリカや日本,中国の金融引き締めによって一気に株価暴落などが起こりかねない,と指摘します.韓国は南北対話という政治目的のために,経済運営を犠牲にするのではないか?

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The Economist, April 15th 2005

Another great week for Europe

Israel and Palestine: Jerusalem: the key to peace

Jerusalem: The last conquest of Jerusalem

Space: Back to the future

Women in the workforce: The importance of sex

(コメント) この号は,表紙のインパクトが強すぎます.それは悪魔崇拝(?)の地獄絵です.何を意味したいのか? と言えば,フランスに続いてイタリアでも改革は後回しになるだろう,と悲観して,もう一度地獄の扉を開ける前に,改心せよ,と訴えたわけです.これは,新編集長の勇み足だと思います.

イスラエルは壁を築いても平和を得られない,というのは同感です.また,宇宙開発で国威高揚や国家介入を増やすより,国際宇宙ステーションに中国の参加を歓迎し,民間企業が宇宙開発を自由に競争するべきだ,というのはThe Economistの健全な自由主義精神です.

地球最後の,そして最大のフロンティアを,女性の労働市場や教育への参加に見るのも,特に日本にとって,納得できる指摘です.


Latin America: The return of populism

(コメント) ポピュリズムの復活が注目されています.さらに,グローバリゼーションによる貧富の格差拡大や,ラテンアメリカ化も話題になっています.気がつけば,中国でも,アメリカでも,ポピュリズムが台頭し,小泉政権の最大の遺産もポピュリズムだ,と言われる日が来るかもしれません.それは曖昧な,何か良くわからない内容でありながら,魅力的な概念です.

多くの場合,ポピュリズムは貧しい大衆に直接訴えかけて政権を握る政治運動です.エクアドルで5回も大統領に選ばれ,5回も軍によって政権を追われたヴェラスコは,「バルコニーがあれば,私は大統領になって見せる」と言ったとか.つまり,ポピュリズムとは特定の政治的要求や政治組織を示すのではなく,ポピュリストの大衆動員術と政権転覆運動なのです.

ラテンアメリカでポピュリストが多く登場する理由は,@極端な貧富の格差,A政治組織や法制度の未熟さ,B天然資源による富の独占や収奪の歴史,強い再分配要求,C外部からの開発やグローバリゼーションによる社会的解体・分散化,などがあるからです.逆に,そのような条件があれば,どこであれ,ポピュリストとなった誰かが権力に近づきます.