IPEの果樹園2004

今週のReview

4/5-4/10

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主に英米の論説を集めているため,戦争の話ばかり読みます.私はテロリストでも,過激派でもなく,ヒッピーでも,反アメリカニズムやアンチ・グローバリゼーションの信奉者でもありません.ただ,何より子供たちの幸せを願い,社会的な不正を憎むだけでなく,理想主義を葬りたいとも思わなかっただけです.私の政治的信条は,保守でも革新でもないと思います.

保守派の人々が好んで取り上げるテーマは,君が代,日の丸,自衛隊です.それらは政府や体制を批判する人々が多かれ少なかれ反発を感じ,少なくとも素直に受け入れられない権力の象徴でした.そして,結果として,日本人の愛国心や国のかたち,対外的な姿勢を統一して示すのではなく,むしろ分裂させてきた元凶ではなかったでしょうか? 日本人は,9・11ではなく,8・6の広島や8・9の長崎を生き続けてきました.

日本人は,東京裁判やアジアへの侵略戦争を,今も他者に対して説得的に説明する姿勢を示しません.「高度成長」が「失われた10年」になっても,「霞ヶ関」や「経団連」が国際ルールや市場を尊重します,と言っても,日本の土地や企業が欧米資本に買収されることを恐れ,日本の街が欧米人や中国人に占拠されることを恐れています.その反面,「日本人」というDNAに何か魔法のカプセルが含まれている,という信仰を捨てません.

私はこの社会を,あからさまな暴力や論争を避ける田舎の人々が,都会に出て住み始めた集合住宅や社員食堂のように感じます.そして,彼らの子供や孫は,病的で,心を冒されやすい,脆弱な若者として都市に暮らし,結局,一握りの暴力的・政治的人間に騙されてしまいます.もしこの国に住む者が,自分たちの理想に具体的な姿を与えたいなら,もっと真実を語って,心を開放し,同時に,現実の中で社会を鍛えるべきだと思います.

新しい視点から,軍隊や国民皆兵制度を議論してはどうでしょうか? 社会が自分たちの秩序や安全を確保したいなら,警察や軍隊に十分な人と設備を用意し,彼らがこの社会の理想をよく理解して,住民から信頼され,尊敬されていることが重要でしょう.他方,他国からの侵略や,狂気に駆られた犯罪者,外国人・異教徒のテロリストを掃討するために,専門的な対抗組織を目指すのであれば,秘密警察や特殊部隊が必要です.軍隊は,命令されれば誰であれ敵を捕らえ,あるいは脅威を取り除く(殺す)ために行動する,と考えるなら,できる限り市民と切り離し,ルールによって厳しく監視する方が良いからです.

それゆえ軍隊は,一方で国民軍,他方は傭兵もしくは国際的な特殊部隊が,その目的に応じて選択されるのではないでしょうか? 自分たちのコミュニティーを守る国民軍を,傭兵に頼るのは間違いです.もし子供たちが,北朝鮮や紛争地帯から流出した武器・テロの犠牲になる危険と,それを抑制し,各地の社会を再建する国際支援に参加する義務とを,平等に負うのであれば,政策の「空白」や「沈黙」は許されません.外国の傭兵に頼る政治家や少数の特殊部隊経験者が,将来,論争を支配してしまうことを危惧します.

資産や性別,地域,年齢,学歴などに偏らない徴兵制度を採用すれば,軍隊は社会的な交流と革新の場になるかもしれません.訓練においても,戦場においても,民主的な意思決定と説明責任,事後的チェックが機能することを明確にしなければ,国民も周辺諸国も,日本の軍隊に反対します.アジア諸国と対話し,各地のインフラ整備や治安維持,社会事業(特に,教育と医療,地域文化振興)における雇用拡大を担って政治的支持を得ることが,独立戦争であれ,革命軍の教科書であれ,アメリカの占領地域であれ,軍隊の存在を社会が支持する理由です.

君が代を強制することなどやめて,もっと現代風にアレンジするか,多くの人々が愛唱する歌をいくつも国歌に選ぶほうが良い,と私は思います.また,日の丸や天皇制も廃止もしくは後退させて,アジアや世界の人々といっしょに日本の地で幸せに生きることを目指すメッセージを,新しい国旗や統合のシンボルで示すほうが良いでしょう.

アメリカのイラク占領に参加し,中国との経済統合を進める「過激な」日本政府に,保守派は安楽死してくれるでしょうか? 世界のどこであれ,国民から遊離した政府の将来を恐れます.

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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, ST:Straits Times, IHT:International Herald Tribune


NYT March 26, 2004

The Wrong Target

WP Friday, March 26, 2004

Democracy's Revenge

By E. J. Dionne Jr.

NYT March 27, 2004

Why Nobody Saw 9/11 Coming

By PETER R. NEUMAN

WP Saturday, March 27, 2004

'Why Are Our Children Dying?'

By Colbert I. King

WP Saturday, March 28, 2004

'The People' Caused 9/11?

By Jim Hoagland

(コメント) 戦争によって指導力を発揮し,企業重役型の政権を目指した大統領が,その戦争を悪用し,私的に流用して利益を得たのではないか,と批判されるのは当然だと思います.少なくとも,ブッシュ父子はサダム・フセインへの憎しみに執着するあまり,他の敵を見失ってしまった,というのは9・11の予防に関する核心のようです.

誰が「タフ」で,誰がより「ソフト」か,などという間違った論争に関わる政治家などお払い箱にすべきです.政府はテロを防ぐために何をすべきか,何ができたのか,その後,何をしたのか,正しく検証されるべきです.「9・11の後,ブッシュ政権の支持者たちはいかなる反論も冷酷に扱い,8ヶ月も前に退いたクリントン政権を攻撃したことは,思い出しておくべきだ.」とDionne Jr.は述べます.民主主義の最も優れた点は,最高の権力者でさえ,自分に都合の悪い秘密を隠し続けることはできないことだ,とDionne Jr.は賞賛します.

NEUMANは,ブッシュ政権の安全保障政策を支配した保守派の思考が,共産主義国家に支援された国際テロ組織による資本主義体制の霍乱,だけを重視しており,アル・カイダのような新しいテロには何も注意しようとしなかった,と述べています.ブッシュ政権は,そのヴィジョンゆえに,サダム・フセインの体制を転覆し,中国が強大になることを警戒する(北朝鮮を含めたミサイルへの防衛システムを築く)ことに目標を絞っていました.9・11を防げなかった責任は,時代を無視したそのヴィジョンである,と.

「あなたの子供は死にかかっているか? なぜ子供たちが若い命を落とさねばならないのか?」 母親たちは問うことを止めないでしょう.クラーク氏は,ブッシュ政権が9・11やアル・カイダの掃討を目的に,イラクを攻撃したのは間違いであった,と証言しました.確かに,イラクのシーア派はブッシュ政権に感謝するかもしれません.しかし,シーア派の指導者は,ハマスの指導者ヤシンを暗殺したイスラエルを激しく非難しています.政府は,何のために若者をイラクに送り,そこで死ぬのを待っているのか,それを母親たちに説明できるでしょうか?

もちろん,これはすべて政治的な駆け引きです.ブッシュは9・11を選挙に最大限利用し,あらゆる党派が,「もし・・・だったら」とか「あのとき・・・していたら」と非難し合います.クラークであれ,ライスであれ,パウウェル,ラムズフェルド,ウォルフォヴィッツ,・・・クリントン,ゴア,テネットなど,彼らはだれもが危険を知っていたが,十分な行動を取れなかった.なぜなら国民は,9・11の前には,それを認めはしなかっただろうから,と.

ソマリアであれ,ファルージャであれ,市民の安全を守るために派遣されたはずの軍隊が殺され,リンチを受けるようであれば,アメリカは「占領」を諦めて撤収し,むしろ中東にもっと多くの新しい「イスラエル」や「クウェート」を隔離するのかもしれません.


IHT Thursday, March 25, 2004

China's boom leaves many behind

Seth Kaplan

(コメント) 中国の発展は,社会の中に極端な貧富の格差と不平等をもたらしています.それは,移住や雇用の機会,富の分配,学校や医療,官僚の腐敗などを通じて,増幅され,固定化されます.もはや資本主義にも見られないほどの階級制度に似た分断化が進む社会には,政府が正しい役割を果たすべき分野が多くある,とKaplanは考えます.

NYT March 25, 2004

Treasury Secretary Sees Progress on Chinese Currency

By KENNETH N. GILPIN

NYT March 25, 2004

China's Central Bank Raises Rate for Banks

By KEITH BRADSHER

(コメント) 中国の改革とは,何を意味するのでしょうか? 約25%の切上げが望ましい,とBergstenは考えます.あるいは,為替レートの弾力化? 資本取引の自由化? 金利の引き上げ,もしくは貸し出し規制? 中国人民銀行は,金利を引き上げ,弱小銀行の準備も増やすように命じました.金利を使って,一方では企業の選別を行い,他方では,ボトルネックなどから部分的に生じつつあるインフレを抑え込もうとしています.しかし,政府はデフレも恐れています.さらに,不良債権を抑制し,銀行の改革を促す意図もあるようです.そして,国内が金利の自由化や競争的な金融市場に耐えなければ,WTOが求める,国際的な金融サービスの自由化にも対応できないのです.

March 28 (Bloomberg)

China Slows Credit Growth; Is the Yuan Next?

David DeRosa

LAT March 28, 2004

A 'Floating' Chinese Currency Is No Life Raft for U.S. Jobs

By Sam Crane

NYT March 28, 2004

China Moves Toward Another West: Central Asia

By HOWARD W. FRENCH

(コメント) 中国の金融市場については,国内の改革と自由化,そして為替レートの弾力化,国際資本移動と金融危機,をめぐって思惑が駆け巡っているようです.

問題は為替レートを固定することです.中国は貿易黒字を増やすほど国内の通貨供給が増えて,消費や投資を刺激します.つまり,バブルのサイクルを止められないのです.もちろん,それだけ預金準備率を高くしたり,資本規制をして金利を高くしたりすれば防げるでしょう.しかし,永久に回避できるか? と言えば,DeRosaはそう考えません.一つは,アメリカが雇用流出を政治問題化し始めたからです.黒字は続けられません.もう一つは,中国国内の中小銀行から資本流出が起きるからです.高金利も続けられません.むしろ変動レートに移行(そして人民元の増価を許容)した方が,はるかに簡単です.

他方,Craneは人民元切上げや弾力化に反対します.人民元を切り上げてもアメリカの貿易赤字は減らないし,中国の輸出競争力は失われず,むしろ失業やインフレが制御できなくなり,中国政府が恐れる政治・社会不安を招く結果になる,と.しかし,もし人民元を切り上げても,輸出が減らず,他方で,原油価格が安くなるなら,失業やインフレを管理しやすいのではないか? とも思います.

キップリングが「グレイト・ゲーム」と呼んだ大国間の衝突を示唆した報告は,領土,安全保障,石油,をめぐるロシアと中国,そしてアメリカの関与が,中央アジアの政治を不安定化する危険を示しています.


FT March 25 2004

Mario Monti's broken Windows

IHT Thursday, March 25, 2004

Europe vs. America's operating system

Grant R. Mainland

(コメント) Microsoftの独占は,それに代わるLinuxなどが普及しない限り,抑制できそうにありません.しかし,EUの委員会とのMicrosoftとの論争は,イラクについての安保理決議をめぐるフランスとアメリカの対決を再現しています.Microsoftは,ヨーロッパにとってブッシュもアメリカを代表します.法外な利益,弁護士の軍団,市場の攻撃的制圧,・・・ 自分たちの論理で敵を殲滅します.他方,ヨーロッパはシラクの求めた「多極的世界」を好ましいと考えて,「われわれの側につくか,それとも奴らの側につくのか?」というブッシュの姿勢を嫌います.そこで争われているのも,アメリカの権力独占です.


ST MARCH 26, 2004 FRI

It's a new world but Europe is myopic

ALBERTO ALESINA & FRANCESCO GIAVAZZI

新しいIMF専務理事を捜すことが,今日の国際機関に示される不公正さを顕著に示している.1945年の戦後世界秩序は,既に失われて久しい現実しか反映していないのだ.

国連,IMF,世界銀行,G7に示された権力の配分と組織は,とっくに消滅した世界的均衡の産物だ.第二次世界大戦後,ドイツも日本も敗戦国であり,ソビエト連邦が主要な脅威であった.中国は内戦に追われ,結局,共産主義の政権をもたらした.第三世界のほとんどが独立したばかりか,植民地のままであり,どれも非常に貧しかった.

1945年の世界には74の独立国しかなかったが,今では193もある.中国とキューバ,北朝鮮以外では,もはや共産主義は西欧のカフェやアメリカの幾つかの大学キャンパスでしか生き残っていない.第三世界の多くが第一世界より急速に成長し,バンガロールで作られたコンピューター・ソフトや,アメリカの大学院課程が受け入れた優秀な中国人学生たちが,それを助けている.

世界は完全に逆立ちしてしまった.たとえば,フランスやイギリスがまだ国連安保理の常任理事国になっている.1945年なら,それも意味があった.しかし,今では違う.なぜフランスとイギリスであり,もっと経済規模の大きなドイツや日本ではないのか? もっと大きなインドやブラジルではないのか?

EU加盟国が二つも拒否権を持つことに意味があるか? 他方で,中国をのぞく第三世界は完全に過小評価されている.EUは統一した外交政策をもたず,将来も持てそうにないが,それがフランスとイギリスに特権を与える理由にはならない.

ヨーロッパの過大な発言力は安保理に限らない.ヨーロッパの外交政策は無いが,ある種の共通経済政策を持っている.15か国中12カ国が,共通通貨ユーロと中央銀行を持つ.にもかかわらず,ドイツ,フランス,イタリア,イギリスはG7に席を占める.

実際,G7の財務大臣会議はさらにばかげている.ECBの地域支店でしかないフランス,ドイツ,イタリアが出席したまま,ECB総裁も「特別ゲスト」として出席させる.ヨーロッパには一つの席で十分ではないか?

もちろん,ヨーロッパの指導者たちはそのような改革に強く反対する.彼らは重要な写真撮影からはずされたくないし,それは本当に権力をもたらす.しかし,G7の会合で彼らに何が言えるのか? アメリカの大統領や国務長官,財務長官,FRB議長は,ヨーロッパが一人の代表を出す小さな会議より,混乱した大きな会合の方が,はるかに容易に大きな発言力を示す.

IMFのトップを決める現在の騒ぎも同じことだ.IMF専務理事は西欧に予約された席だった.他方,アメリカは世銀総裁を取った.この分業は,発展途上諸国を無視し,その多くがヨーロッパよりも一人当りで豊かになるほど急速に成長しても,続いている.なぜ10億の人口を持つインドや,12億の中国ではないのか? 少なくとも一つくらい,彼らが占めて当然ではないか? 勤勉さと成長で秀でた韓国はどうか? なぜ彼らがイタリアやフランスと同じではないのか? ラテン・アメリカで成功したチリや,メキシコ,ブラジルの方が良いのではないか?

ヨーロッパ人は,結局,その仕事を十分に重視していない.IMFのケーラー専務理事は,ドイツの大統領になりたくて職場を放棄した.しかしそれは,ドイツでさえ儀礼的な地位に過ぎない.OECDはパリにあり,FAOはローマにある.他にも,ヨーロッパは国際機関を集めている.そのGDPや,さらに人口を考慮すれば,西欧の役割は過剰である.

ヨーロッパ,特にフランスが国際機関の改革に反対するのは当然である.国連の無駄や非効率を削減することも嫌う.改革の第一歩は,安保理の席をヨーロッパに一つへ削減することではないか? ヨーロッパは近視眼的であり,一つの席であれば,国連でもIMFでも世銀でも,自分たちはアメリカと同じだ,と考え,世界的な影響の低下と見なさないだろう.

西欧の過剰な役割と,成長する発展途上諸国の屋賞名役割は,このまま続くものではない.既に対立が生じている.現実的で,公平な権力の国際配分を,時代錯誤の大国意識が許さないだけだ.


FT March 26 2004

Reform fatigue

March 26 (Bloomberg)

Argentina and Brazil Join Forces to Tame the IMF

David DeRosa

NYT March 27, 2004

History Reappears in Argentina

(コメント) 新興市場の改革は,まだわずかしか進んでおらず,しかも間違って行われている,とIMFのAnne Kruegerは悲観します.しかし,アメリカの低金利と商品価格の上昇は,新興市場に投資家の注意を向けさせ,改革への関心を薄れさせています.マクロでも,対外債務への依存,ミクロでは,恣意的な民営化の失敗が,指摘されています.投資家は今も新興市場を十分に選別しておらず,金利が高まり,商品価格が下がれば,再び危機が襲うでしょう.

結局,アルゼンチンやブラジルはどうなったのか? IMFはその債権を回収したいために債務国の脅迫に屈し,最後の貸し手であることを演出するだけで満足しているのか? 成長のためであれば,このような借金踏み倒しも可能であると考える政府を懲らしめるために,IMFやアメリカが軍隊を送ることは無いとしても,決済や貿易を阻止して,軍のクーデタを促すのか?

次のIMF総裁が誰で,どのような考えの持ち主であるのか,注目したいです.


WP Thursday, March 25, 2004

Sharon and the Big Picture

By Jim Hoagland

BG, 3/26/2004

Assassination fallout bodes ill for US

By H.D.S. Greenway

(コメント) ブッシュ氏の描くテロ撲滅,中東の民主化は,パレスチナとイスラエルの和平を含むものであったはずです.ブッシュ氏は,テロリストを世界のどこまでも追跡し,彼らがアメリカを攻撃する前に殲滅する,と宣言しました.しかし,シャロン首相が同じようにハマスの指導者をミサイルで殺害したことは,自分の再選を脅かす事件となります.テロを煽動する宗教的指導者を見つけて,殺害することはできるでしょう.しかし,彼の死がより激しい憎悪と復讐の波になることまでは抑えられません.シャロンの暗殺計画を止められないアメリカには,テロも民主主義も区別がつかない事態に,これまでの言動の責任を問われます.

テロリストとは交渉しない,という姿勢は,ブッシュとシャロンが共有するものです.そして,自分に敵対する党派は,しばしば,テロリストに味方する者として,攻撃することになります.最初は言葉で,最後はミサイルで.

NYT March 26, 2004

Stop Hamas With a Vote

By KHALIL SHIKAKI

(コメント) まったく逆に考えることもできます.テロリストを説得できる,と.すなわち,選挙です.選挙のための停戦を守り,両国は,今後の和平や土地,軍備管理などについて国民に示し,選挙を行うことでしょう.ハマスも参加し,アメリカも停戦を確実にしなければなりません.そして,平和的な交渉で打開策を見い出す政府が信頼され,強硬派のテロを自分たちで抑えることができたとき,戦争が終わる見通しを得るわけです.


March 31 (Bloomberg)

Taiwan and Hong Kong -- China's Problem Kids

William Pesek Jr.

ST APRIL 2, 2004 FRI

What if Taiwan pushes for republic?

By LAI HONGYI

FT March 29 2004

Crossing the divide

By David Pilling and Richard McGregor

ST MARCH 30, 2004 TUE

Islands of healing

(コメント) 大中華圏は成立するか? 政治的混迷は経済的繁栄を妨げるか? すなわち,人民元や貿易を介して,国際的な相互依存と成長を持続させるために平和的な解決策を北京政府が本気で追求するだろうか? そして,香港と台湾をどのように扱うかによって,中国が将来,どのような超大国になるかも占えます.

陳水偏氏は,秋までに憲法を制定し,2008年に北京でオリンピックが開催される時期に合わせて,独立を宣言するのではないか? と予想されています.

それは日中関係についても言えるでしょう.尖閣列島に関する主権を日本と中国と台湾が主張している問題が,日本の景気回復に果たしている中国の重要性や,中国の成長に占める日本の重要性によって,どのような影響を受けるのか? 日本が中国からの輸入を脅威と見るより,投資や輸出のチャンスと見るようになったのは,@中国向けの輸出が伸びて,国内の停滞を救ってくれたから,A中国との経済関係は補完的であり,賃金の差や技術移転を介して,交流が深まることは大きな利益を意味すると理解したから,B中国に誕生した消費市場は,国民の約1割,1億3000万人に達し,日本企業にとって大きな魅力があるから,です.

しかし,靖国参拝問題などで,両国政府ともに国内のナショナリズムを政治的に利用してきた側面があります.貿易・投資関係の深まりが独仏間の和解をもたらしたような政治的成熟につながるかどうか,まだ不安が残ります.


NYT March 28, 2004

Awaking to a Dream

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) 想像力Imaginationが重要であることは,9・11の計画を実行したテロリストたちが,諜報機関や国防の専門家よりも勝っていたことで示されました.FRIEDMANは,想像力をプラスに働かせて,世界がまったく変わる様子を描き出します.「私は目覚めたい」と,繰り返すイメージは,キング牧師の演説のようです.

「・・・ブッシュ大統領が京都議定書に代わる地球温暖化の対策を発表すると決定する.・・・1万人のパレスチナの母親たちがハマス本部にデモ行進し,息子や娘を自爆テロのために勧誘するな,と要求する.・・・サウジ・アラビアのアブドラ皇太子がシャロン首相を自宅に招き,和平案を示して握手し,シャロンはイスラエルの入植活動を凍結する.

「・・・ディック・チェイニーが国連に謝罪し,WMDについて間違っていたことを認めた上で,民主国家としてのイラク再建という,より重要な仕事に同盟諸国の参加を要請する.・・・トム・デレーが次世代の社会保障と医療保険とを維持するために,また,資金不足の教育プログラムを助けるために,金持ちへの増税を要請する.

「・・・ジョン・ケリーがジョン・マッケインに自分の副大統領候補となるように求め,その4年の任期をアメリカの難問,すなわち,医療保険・財政赤字・エネルギー問題・教育問題,の解決に向けて超党派体制で臨む,と表明する.


WP Monday, March 29, 2004

A Fishy Approach to Fair Trade

By Sebastian Mallaby

FT March 30 2004

Offshoring should be the least of America's worries

By Steven Rattner

WP Tuesday, March 30, 2004

Adding Jobs and Anxiety

By David Ignatius

(コメント) グローバリゼーションの時代に,自由貿易体制は磐石か,と言えば,そうでもありません.特に,ますます加速する海外生産や新しい生産拠点との競争は,国内の生産者や国際間の競争に政治的な軋轢を生じ,管理貿易の手法をよみがえらせます.アメリカが好むアンチ・ダンピングや「公正貿易」の主張は,それが決して合意された国際基準では示されない以上,あからさまな保護主義に利用されます.

アメリカの法律は,自国の販売価格よりも安く,海外で売った場合に,ダンピングと定義しています.しかし,それが国内で売られていない場合はどうするのか? タイやヴェトナムからの冷凍エビの輸入に対して,アメリカ政府はその国の価格ではなく,日本への販売価格を比較し,またエビの頭や殻を付けていない場合の価格差を独自に計算してダンピングを判定します.Mallabyは,「公正さ」がいいかげんに決められ,国内団体の利益のために利用されている,と訴えて憤慨します.こんなとんでもない法律を支持するのは,ローマ帝国か,アメリカしかない,と.

雇用の海外流出は,機械化がかつて雇用を奪うとして憎まれたように,次第に,社会に受け入れられる,とRattnerは考えます.

しかし,ヨーロッパに比べて,「ダウンサイジング」や「アウトソーシング」への反対は強いようです.組合や社会保障を持たなかったアメリカの労働者は,伝統的に雇用を重視し,長時間の激しい労働にも従事してきました.それゆえ,グローバリゼーションが雇用を奪うことに対する反感も強いかもしれません.

法律や制度が雇用を守ろうとしても,グローバリゼーションはますます世界をアメリカのように変化させます.すなわち,市場競争は開放的で厳しくなり,労働組合は影響を失います.人々は世界的な競争に生き残るために必死で働くでしょう.経済学者はそのことの利益を強調します.しかし,それに同意しない労働者は多いはずです.


FT March 30 2004

Martin Wolf: The Fed is forced to fuel a global boom

By Martin Wolf

連邦準備銀行(Fed)をアメリカの中央銀行だと思っているかもしれないが,それだけではない.それは世界の半分以上にとっての中央銀行である.それが世界経済に起こっていることの多くを説明する.Fedの政策は,アメリカだけでなく,同様に世界を動かしている.

今日,世界の重要な経済圏は,USドルに固定もしくは準固定した通貨の諸国と,それに比較的自由に変動する通貨を持つ諸国とに分かれている.1960年代には,ヨーロッパと日本の通貨が1944年のブレトン・ウッズ会議で成立した制度によりUSドルに通貨を固定していた.今では,アジアの諸通貨が,公式もしくは非公式に,ドルに固定している.

世界の通貨体制に関する精彩ある叙述は,カリフォルニア大学サンタ・クルズ校のMichael Dooley とドイチェ・バンクのDavid Folkerts Landau と Peter Garberによって示された.すなわち,アジアの尻尾がアメリカという犬を振り回す.

この新しいドル圏はその中枢にあるアメリカと,インナー・サークル,アウター・サークルとに分けられる.インナー・サークルは,USドルに緊密に結びついた通貨からなる.アウター・サークルは,その変動が大規模な介入によって制約されている通貨を含む.前者に属するのは,特に,中国である.アメリカと中国は,事実上,単一の経済である.後者には,インド,インドネシア,ロシア,シンガポール,韓国,台湾,日本が含まれる.インナー・サークルで世界GDPの35%(31%はアメリカ),世界人口26%(21%は中国)を占める.アウター・サークルと合わせれば,世界GDPの53%,世界人口の52%を占める.アメリカと日本で世界GDPの42%,アメリカと中国で世界人口の38%を占める.

こうしたドル圏が出現したことの意味は何か?

第一に,Fedの目的は,アメリカが完全雇用を達成するまで経済を拡大することである.しかしそのために,Fedはその広大なドル圏全体を刺激しなければならない.アメリカの通貨当局が生み出した追加の支出は直接に輸入の増加を通じて海外生産を拡大する.しかし,ドル圏の経済はまた金利を低く維持し,巨額の為替市場介入をすることでも自国経済を刺激する.ドル圏の発展途上諸国は,先進的技術を入手でき,急速に資本形成し,途方も無い低雇用労働力を供給できる.アメリカは生産制を急速に改善し,消費を高度に拡張する.日本が何年もデフレに苦しんでいるため,さらに強い刺激が必要であり,インフレ圧力は生じない.

第二に,国内をできるだけ刺激するために,アメリカは通貨の減価を求めている.ドル圏の通貨がそれを邪魔するが,ドル圏以外の通貨に対して減価することが一層重要になる.Fedの通貨政策は,当然,そのような結果をもたらすように求めている.

第三に,ドルの短期・長期金利は,正常に予想されるものを大きく下回っている.短期金利は必要な刺激をもたらすほど低くなっているが,さらに,ドル圏の中央銀行が,昨年末に,アメリカ財務省証券の5分の2以上を保有するということが,それを促している.今年,アメリカ財務省証券の外国政府・中央銀行による購入額は,7500億ドルに達するだろう.その影響は実質金利を歴史的な基準より1%も低くしている,と彼らの研究は指摘する.

第四に,ドル圏の中央銀行は準備をドルから,たとえばユーロに,ドル・ペッグを損なわずに分散することができない.もし彼らがユーロを買えば,彼らはドルに対する自国通貨の増価を介入によって阻止しなければならず,それは再び,ドルとアメリカ財務省証券の価格を支えることになる.しかし,それでも分散化を進めれば,ユーロに増価圧力がかかって,ユーロ圏諸国を耐えがたくするだろう.

最後に,外国の中央銀行が無限に市場を拒み続けることも完全に可能である.市場がいつも中央銀行を打ち負かす,という考えは半分の真理でしかなく,半分は大間違いだ.市場が売りたがっている通貨の水準を中央銀行が守ることは不可能だ.しかし,市場が買いたがっている通貨の水準を守ることは簡単だ.もしそれがもたらす通貨的な結果を気にしないのであれば.日銀や人民銀行が,円や人民元を無限に創出することで,彼らは為替レートの増価を避けられる.今,やっているように.

この物語の結末はどうなるのか? その問いに答えるには,参加者たちの動機を知らねばならない.アメリカは低金利を享受し,所得を超えた大幅な消費を楽しむことができる.ドル圏に参加した諸国は,輸出製造業に補助金を与え,不動的な資本移動への弱さを最小化して,より安定した成長ができる.アメリカは,もし政府が低金利の利益よりも貿易赤字の欠陥を重視するなら,ドル圏の諸国が取る政策を非難するだろう.また参加諸国は,競争的な為替レートを維持する利益より,国内経済の過熱やアメリカの保護主義を重視するなら,その政策を変えるだろう.

ともかく,その研究の結論が示すことは,「アジアの膨大な労働余剰と,日本が示す周期的な円高懸念により,USドルの不可避的な減価を受け入れたがらないことは,為替市場への介入を空前の規模にしている.・・・われわれは,ブレトン・ウッズの末期でさえ,かつて見たことも無いほどの規模で,世界的な民間資本移動を逆転させる公的部門の介入を目撃している.」

ブレトン・ウッズ体制は,輸入増加に対するアメリカの保護主義と,世界的なインフレによって崩壊した.どちらも起き得るだろう.しかし,それがいつ起きるかは予言できない.まだしばらくは,アメリカの景気刺激策が世界経済のブームをもたらす.今の内に楽しむことだ!


FT March 31 2004

John Plender: A dangerous game

By John Plender

(コメント) 日本の為替介入に世界は軽蔑の目を向けますが,Plenderは世界の金融市場があまりにも不正に操作されてきたことを糾弾しています.

金利も,債券価格も,株価も,危機回避や景気回復のために大幅に操作されています.それは,不適当な住宅債務を積み上げ,危険な新興市場に再び資本流入を招き,ブレトン・ウッズ体制が崩壊して以来の,空前の操作された国際金融市場を形成しました.誰がこの「愚者の楽園」に蓄積された間違った投資や失敗した政策のコストを支払うのか? そんな心配を無視して,いつもグリーンスパンの手品を待っていれば良いのか? と.


FT Mar 31 2004

Lex: Yen

April 1 (Bloomberg)

The Yen Surges and the BOJ Isn't Interested

David DeRosa

(コメント) 3ヶ月間に14兆7000億円の介入!!! タイの株式市場を全部買い占めることができる規模だ,とFTは驚きます.3月末の決算期に,円高,株安,金融不安,デフレと景気悪化,を繰り返すことを拒むには,それもやむを得ないのでしょうか? もちろん,アメリカも財務省証券をいくらでも購入してくれるなら,しばらくは黙っておけばよい?

谷垣氏が「ファンダメンタルズ」について何を思い描こうと,DeRosaにとって,日銀(それを強いる政府)の介入こそ,円/ドル・レートの変動をこれほどまでに大きくする元凶です.


WP Wednesday, March 31, 2004

China: The New America?

By Robert J. Samuelson

FT April 1 2004

Tax cuts will steady China's growth

By Steve Xu

ST APRIL 2, 2004 FRI

Demographic obstacles in Asia's way

By Janadas Devan

(コメント) 中国の労働条件や苦汗工場は,アメリカの貿易赤字や失業増加の主要な原因ではない,とSamuelsonは主張します.中国は,むしろ,急速な経済成長に成功して貧困問題をもっとも大きく改善した国です.それは矛盾した姿に見えますが,アメリカが工業化した時代と同じである,と.むしろ,AFL−CIOの訴えには政治的な作為がある,と批判します.

Xuは,中国経済の過熱を避け,成長を持続する政策として,金利引上げでも,人民元切上げでもなく,減税を提案します.なぜなら,高金利は人民元への投機を招き,また中国での融資には金利があまり機能しないからです.また,通貨の切上げも内需の管理には適当な手段でないし,インフレ率の差があれば実質的な為替レートの調整は可能だ,と考えます.他方,中国にとって重要な課題は,経済における政府の役割を低下させることです.だから公共投資を減らし,減税もして,クラウド・アウトされている民間投資を解放し,成長とインフレ抑制を図ろう,と考えます.

Devanは,ヨーロッパが人口問題の解決策として領土,すなわち「生存圏」を求め,独仏間で戦争を繰り返した歴史に言及し,アジアの人口問題(人口増加率の地域格差)に注意します.インドは中国に追いつき,韓国は日本を追い上げ,もし朝鮮半島が統一すれば急速に接近します.ヴェトナムとタイの関係も変わります.他にも,高齢化,エイズ,性別など,アジアの人口問題が国際関係に深く影響する,と指摘します.

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The Economist, March 20th 2004

China’s economy: Losing its balance

Behind the mask: A survey of business in China

Chinese business: Haier’s purpose

(コメント) 中国が資本主義的な経済発展の軌道を安定的に進むためには,いくつかの難しい問題がある,とThe Economistは指摘します.すなわち,@ドルに対して人民元を切上げ,A金融部門を改革して自由化し,B国有企業を民営化しなければならず,C農村部まで土地所有を認めて,新しい投資と貧困解消のためにも土地改革を進めなければならない,と.

特集記事は,中国におけるビジネスを回顧し,現状の分析を行っています.まず,本当に中国への投資は儲かっているのか? 答えは,以前ほどではないですが,なかなか儲からない,ということです.無限の市場を期待しても,実際には売上が伸びません.投資に見合った正常な利益を上げられず,しばしば大きな損失を出して撤退します.

まず,都市部の所得は確かに急速に増えていますが,人口の大部分は消費する余分なお金を持っていません.国営企業の改革は,ますます貧しい労働者を増やしています.都市部の所得も非常に高い貯蓄率によって吸収され,成長は中国市場に合致した携帯電話やフライド・チキンなどを除けば,国内市場への爆発的な浸透に結びつかないのです.

さらに,大部分の貧しい国民が消費するような商品を作る企業は極端に厳しい競争に直面しており,まったく利益を上げられません.むしろ,中国に投資して儲けているのは,香港や台湾の企業による委託生産・加工業の拡大です.それに比べて,弁護士やマネージャーの一団を送り込んで,さまざまな契約書にサインさせるアメリカ企業は,結局,儲けなど得られません.中国のビジネスで重要なことは「柔軟性」だ,と言います.中国は,断じて,合理的な経営環境を前提できないところだからです.

中国で工場を経営した経験のある人物は,工場長が同じ製品を勝手に他の工場で作って売り始めたことや,それを止めさせる法律が機能せず,結局,原料や資材まで持ち逃げされたことを思い出します.経営者を監視したり,契約書の通りに製品を扱ったり届けたりすることが,中国では難しいのです.論説は,その理由として,@官僚の支配.腐敗,汚職,ごまかしや利益の簒奪が行われます.A「法治」ではなく「人治」の国である.Bビジネスでも「面子」にこだわる文化,を指摘します.

中国が本当に次の超大国になるには,東北部の国有企業(SOEs)も,金融部門も,改革しなければなりません.そのためには,所有制度を改革し,新しい投資と技術を導入し,不採算部門や企業を整理し,労働者を新しい民間企業によって吸収しなければなりません.銀行は金利を変えることによって収益を重視した効率的な資本の配分を行い,不良債権を処理する必要があります.しかし,SOEsは都市部の雇用の35%を維持しており,政府はこれを急激には削減できません.さまざまな救済策を用意しても,それがまた不正や詐欺の温床となります.

中国経済を支えているのは独立心に富んだ,事業拡大を目指す私営企業(あるいは地方政府と組んだ郷鎮企業)です.しかし政府は,ハイテクや軍備に関わるような,「戦略」「先端」的部門に保護や補助金を与えて育成しようとしています.民間部門の拡大は,金融や規制において,明らかに国有部門と差別され,不利な扱いを受けています.その結果,私営企業には長期的な資本が不足し,人材もしばしば家族経営に頼り,製品に対する知識が乏しいまま,短期的利益を求めて次々に新しい分野へ拡大します.彼らが規模を拡大し,競争条件を統一して,より長期的な投資を行って技術開発や品質改善に取り組むには,その企業文化が変わらねばなりません.

中国における投資の9割が銀行融資に頼っており,融資総額はGDPの145%,銀行システムが保有する不良債権は4兆元に達すると推定されます.中国の金融改革は “Too little, too early.” だと言われます.その巨額の外貨準備を流用して救済融資を行いましたが,4大商業銀行の中でも内容の良い二つが国際的な株式上場を予定しています.しかし問題は,銀行の制度や慣行が改まらないのに,政府が救済を繰り返すことです.たとえ中央で規制を行っても,140万人の銀行員や11万6000店もの地方支店が財界の帝王のように振舞う現状では,汚職と過剰な投資,不良債権がなくならない,と.

もし改革が進まなければ成長は減速し,地方から都市に流入する労働者は職を得られず,社会不安も起きるでしょう.その結果として,共産党は権力を失うことを恐れています.もちろん,それは,ある程度,ビジネスにとっても破局的なことです.


Kosovo: Another eruption

(コメント) コソボでは,アルバニア系住民が多数を占め,NATO軍の空爆により,セルビアなど非アルバニア系住民が流出しました.しかし,少数のセルビア系住民は残っていますし,戦乱が終わって,元の住宅や畑に戻ろうとする人々も増えています.

セルビア人の若者が銃撃で負傷した後,アルバニア人の少年たちが河で溺れて死んでいるのが見つかりました.アルバニア人たちはセルビア人が殺したと主張し,暴動と発砲が起きました.各地のセルビア系住民が集中する飛び地enclaveは襲われました.セルビア系難民に戻された家屋は放火されました.暴動は都市に波及し,教会が焼かれています.

経済は破綻し,住民の70%は失業している,と言います.コソボ独立へ向けて,経済が回復し,多民族・多文化の繁栄する未来を実現したい,という彼らの夢が滅びました.