IPEの果樹園2003

今週のReview

12/22-12/27

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空想を育てるには,旅するだけでなく,小説や映画も大切でしょう.本当にこれが実話なのか? と思いますが,イギリスの映画『 Green-fingers 』を観ました.それは,神を見出す最適の場所は庭園だ,というG.B.ショーの言葉に拠ります.重罪犯罪者の集まる刑務所で,所長は囚人たちに庭園を作らせます.

そのきっかけは,主人公のコリンが同室のファーガスにスミレの種をもらったことでした.彼はいいかげんに庭の隅に撒きましたが,春に見事な花を咲かせ,それが仲間とのトラブルの種にもなって・・・ 庭造りを命じられます.彼らの何人かは死刑囚です.ファーガスは妻を三人も殺し,すでに癌やさまざまな病気を患って死を待つ身です.同室のコリンと友人になり,花のことを教えます.コリンも弟を殺しています.しかし,何かを育て,何かを世話する喜びを知り,草花や木にも話し掛けます.出獄したら,自分は庭師になりたい,と言います.

幸運な偶然が重なって,ハンプトンコートのガーデン・コンテストに,この刑務所も参加することになります.彼らは官僚が決めたテーマを拒み,仲間への窃盗の嫌疑で出場できなくなっても諦めず,翌年,出場を果たします.ファーガスが病気で危ない,と聞いて,すでに出獄していたコリンはわざわざ罪を犯してまで,刑務所に戻って来ます.そして庭造りの指揮を執るのです.彼らは,大会前に亡くなったファーガスのアイデアを実らせた野草の庭園,香りに満ちた素晴らしい庭を造ります.しかし,審査員の偏見により何の賞も得られませんでした.

この囚人の庭師たちは,大会の結果に不満がある,と言う女王陛下に謁見を許されます.その後もさまざまな賞を獲り,ハンプトンコートで遂に優勝します.階層化し,荒れた社会ではあっても,だからこそイギリスには美しい庭と,庭園を愛する人々がいる,というわけです.

ポール・アードマンの『カジノ』(新潮文庫)は,社会の歪みにこそ商機がある,ということを教えてくれる書出しに,感心しました.ヴェトナム戦争が泥沼化していく1960年代(つまり今みたいに),主人公のダニーは,くず鉄の取引や外貨の両替を生業としていました.ある日,彼はヨーロッパに旅行します.そこでは(今のアジアみたいに)各国ばらばらの通貨を,法外な手数料で(しかも,彼はユダヤ人ですが,カソリック教徒が支配する銀行だけが)両替しています.そしてヨーロッパ人は,株式市場のことなどまったく知らず,金や銀を地金で買います.というのも,繰り返される戦争で何度も通貨の価値が下がり,金持ちは金や銀を買ってその資産を保全し,それどころか,増やしてきたからさ,とホテルのバーテンから教わります.

アメリカに帰ったダニーは,早速,政府が金の売買を禁止していたので,銀の地金を購入し始めます.そして,銀地金の売買と外国為替の両替を始めました.ところが,大量の金貨を持ち込む犯罪者たちを知り,その資金をケイマン諸島の秘密口座に入金してやることから,結局,その金の出所であったカジノを買い取ることになります.そして彼は,このカジノで出会った黒人娼婦サンドラ・リーとヨーロッパを旅します.それから,カジノを抑えていた悪人たちをFBIによって追い出し,ロンドンやベイルートで学んだ世界最高のカジノを実現します.ところが,彼は故郷へのカジノ進出に失敗し,投資銀行に資金を頼って,結局,カジノそのものを取り上げられてしまいます.

とはいえ,所有株を売り払った資産は1億ドルに達し,彼からカジノを奪った投資銀行の手際を見て,彼自身がその資産を企業買収で増やすことにします.こうしてコイン・両替商から始め,カジノ経営者,企業買収専門の投資家となって,最終的に,彼は2億ドル以上の資産を成し,サボイ・グリルの全男性が注目する美女に愛されます.まあ,小説だから・・・ とは思いません.アメリカなら,こんな話もあるに違いない,と驚嘆するだけです.

多分,今のロシアや中国には,多くのダニーが現れ,ひょっとしたら,アメリカやEUにもその可能性があるでしょう.他方,日本はイギリスに近いかもしれません.いずれの形にせよ,日本で暮らす私たちにも,その生活と社会を変える奇想天外な仕掛けが,この日常の中に,織り込まれていなければなりません.

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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, ST:Straits Times, IHT:International Herald Tribune


WP Tuesday, December 9, 2003

Generational Warfare

(コメント) 日本でも,年金制度や医療制度の改革が議論されています.それは,民間と政府との線引きの問題であり,個人と制度との,制度によって給付を受ける者と制度を維持するために支払う者との関係が,どうあるべきか? という問題です.そして,こうした本質的な問題を社会の望ましさから議論するのではなく,実際には,もっと単純な対立によって決定されているように思います.すなわち,老人と若者との対立,という形です.

メディケア(高齢者の医療保険制度)改革にブッシュ氏が示した提案は,薬局で買う場合にも保険を適用するために10年間で4000億ドルを連邦政府が支払う,というものです.彼は調印式で,「それぞれの世代がメディケアの強化に尽くすべきであり,われわれの世代はそれを果たした!」と自慢しました.記事は,嘘だ,と言います.

ブッシュ氏の年代は多くを受け取るけれど,それを支払うのは後の世代です.そして,たとえば環境問題やマルクス主義が繰り返し強調してきたように,政治では権力を持つ者,資産を支配する者が,発言し,決定します.彼らはしばしば高齢者に属し,自分たちの利益を「高齢者の福祉」と同一視して主張します.

政府が,若者よりも高齢者に予算を配分しているのは,GDP比率によって示すことができます.2013年までに,教育など,若者のための支出は2%で変わらず,他方,高齢者への支出は8%から10%へと上昇します.子供や,まだ生まれていない子孫は投票できず,大規模な政治献金や選挙運動も組織しません.


NYT December 10, 2003

Attack of the Killer Bras

By NICHOLAS D. KRISTOF

NYT December 10, 2003

In This Case, a Two-China Policy for U.S.

By LOUIS UCHITELLE

(コメント) 「今世界で起きている最も重要な問題とは,中国の台頭である」と,KRISTOFは書きます.特に,米中関係の調整,という意味で.

ブラジャーやナイトガウンを安値で市場に氾濫させる中国を懲らしめるため,聖剣を振り上げた(制裁を発動した)ブッシュ氏は,問題の大きさに気づいていないのでしょうか? あるいは,再選へのパフォーマンスが最優先だから? 中国首相を招いても,台湾への軍事的威嚇や人民元への不満,貿易不均衡には,わざわざ触れる必要は無い・・・?

KRISTOFは,妻と一緒に彼女の故郷に行った1987年と今とを比べて,中国がどれほど急速に世界の成長や政治的変化の主役になったか,を指摘します.当時は,その村に舗装された道路など無く,自動車や電話も無く,白黒のテレビが3台しかなかったのです.しかし,今では,舗装された道路が通り,すべての家にカラー・テレビがあり,ほとんどが電話やオートバイを所有しています.同じことが中国の70万に及ぶ村落で起きたのであり,1995年から2002年にかけて世界の成長の4分の1は中国によって,すなわちアメリカよりも多く,実現されました.

UCHITELLEの記事も,アメリカが抱く矛盾した中国観を示しています.中国からの輸入を非難しながら,その貿易や投資を促進するためにアメリカの商務長官が奔走します.中国には貿易黒字によるドルの蓄積があり,アメリカとの商談やアメリカへの投資も増える一方です.かつて日本はアメリカに赤字ばかりをもたらしましたが,中国はアメリカ企業の生産をも担っています.もし中国の実力者たちに近づければ,それはアメリカ企業にとっても大きな利益なのです.


WP Wednesday, December 10, 2003

Mr. Bush's Kowtow

BG 12/10/2003

Bonding with Beijing

FT December 11 2003

The importance of ambiguity

ST DEC 12, 2003 FRI

Bush's new ambiguous ambiguity

BY RICHARD HALLORAN

WP Sunday, December 14, 2003

The Real Message on Taiwan

By Jim Hoagland

(コメント) 民主的な選挙によって選ばれた台湾の陳大統領が,住民投票によって独立を問う考えを示しました.それに対して,中国の独裁者たちは,あからさまな軍事的威嚇を行ったのです.そんな独裁者の言い分を,アメリカの大統領が聞くべきではない,とアメリカのメディアは主張します.

所詮,国家同士には,永遠の友人関係や敵対関係は存在せず,そのときの利害関係があるだけだ,とBGは指摘します.保守派が何と言おうと,政権に就いたブッシュ氏が中国と事を荒立てることは無いのです.なぜなら,それは今,政治的にも経済的にも,損だから.それが "Realpolitik″です.

一方的に戦争を始めることを主張し,国際関係を変えてきたブッシュ氏が,しかもその理由を,独裁者の排除や民主主義の価値を世界に広めるため,と称してきた人物が,どうして「台湾政府が現状を一方的に変更するような行動を取ることに反対する」のでしょうか? 朝鮮半島の核問題を平和的に解決する鍵を中国が握っているからでしょうか? あるいは,ブッシュ氏が果敢に進めた富裕層や高齢者への減税と支出を維持する鍵を,やはり,中国からのドル建債券購入が握っているからでしょうか?

もちろん,台湾の大統領が再選を目指して,アメリカの大統領選挙や国際情勢を利用している側面もあります.FTは,ブッシュ氏の発言を,台湾の姿勢に対して現状維持を要求するものである,と理解しています.アメリカの軍事力を,台湾独立の傘に使うな,と.中国政府の直面するジレンマは,台湾に圧力をかければ独立派が台湾国内の支持を強め,そうかと言って,何もしなければ中国国内の強硬派が行動を求める,ということです.

台湾の大統領は,国民投票を中国のミサイル撤去要求に変更して,民主主義の真価を問うようにしたいようです.しかし,中国政府が台湾のミサイル撤去要求を受け入れる見込みは無いと知っていながら,それを大統領選挙と同時に行うのは,自分の再選を確保する政治取引です.FTは,こうした危険な軍事的駆け引きを自制するように求めます.そして,曖昧な形で,アメリカによる外交的バランスを維持し,中国と台湾が経済的な統合化を進めるほうが良い,と主張します.

結局,イラクとの戦争は自分に有利であるが,中国との軍事衝突は再選を不可能にする,というのが政治家としてのブッシュ氏の考えなわけです.しかし,こうした「独裁者への宥和政策」に対して,今度は,アメリカ国内の強硬派が黙っていません.そして,彼らこそブッシュ氏の再選を支える基盤であるとしたら,この曖昧な政策はほとんど建設的でなくなるでしょう.

新しい「曖昧政策」は,その糸において明確でなければなりません.ブッシュ氏の強硬な反対を,台湾の大統領は国民投票を延期する言い訳とし,中国政府には正しい意図を伝えて,彼らが政治改革を進める時間を与えることです.それは,これら3カ国の強硬派を抑え,明確な政治的対話の道を開くときにだけ,アジアの長期的な平和をもたらすでしょう.


FT December 11 2003

Greenspan enters the renminbi debate

By Alan Beattie in Washington

WP Friday, December 12, 2003

Greenspan's Finest Hour?

By Robert J. Samuelson

Dec. 17 (Bloomberg)

Greenspan Offers Economics 101 on China

William Pesek Jr.

LAT December 18, 2003

Who to Blame When the Next Bubble Bursts

By Dean Baker

(コメント) かつてグリーンスパンはアメリカ経済の総監督であり,名指揮者でした.経済に何か問題があれば,グリーンスパン(とルービン)が解決する,とだけ言えば良かったほどに! 今も,アメリカの中央銀行と金融街は文字通り無敵なのでしょうか?

「安すぎる」人民元とアメリカの失業について: グリーンスパンは,アメリカの失業問題を解決する政策として,人民元切り下げを支持しません.たとえ人民元が切り上がって中国からの輸入が減っても,他の途上諸国から安価な輸入品が増えるだけだ.もし中国の為替介入が世界の金融市場をゆがめているとしたら,それはアメリカの投資にも影響する,と.しかし,その点についても,中国政府は突然の資本規制撤廃が銀行からの預金流出を招く懸念と,為替市場への介入が中国経済を過熱させる懸念とを考慮しているはずだ,とグリーンスパンは考えます.

アメリカのITバブル崩壊とその後の不況回避: グリーンスパンは,インフレがすでに主要な問題ではないと考えました.そして,バブル崩壊後の不況と国際的な景気後退を回避するために短期金利を引き下げて住宅融資を増やし,消費を刺激し,企業の債務負担を軽減することに成功しました.Samuelsonは,これを歴史的な成果と考えます.連銀は地上の楽園を実現するのではなく,煉獄からの避難を導くためにある,と.

中国の金融改革と為替レート制度: アメリカが選挙の年に,いくら中国に改革や為替レートの弾力化を求めても,中国政府はまともに聞かないでしょう.しかし,グリーンスパンが中国自身のために景気過熱を警告し,その回避策を説くことは有効です.

住宅市場の新しいバブル: Bakerは,グリーンスパンの行動を,ブッシュ政権に寄与する政治的なものだ,と指摘します.歴史的に見て明らかに過大評価され,賃貸料が下落しても上がり続けている住宅価格を説明するのは,グリーンスパンがブッシュの再選を確実にするために,選挙まで景気を刺激し続ける,ということです.かつて財政黒字を懸念し,大型減税を支持したように.


ST DEC 12, 2003 FRI

Japan on the mend? Maybe, perhaps, let's pray

By Janadas Devan

Dec. 14 (Bloomberg)

Japan's ASEAN Meeting Turns Into a Love Fest

David DeRosa

(コメント) 日本が世界で最も社会主義的な停滞を示す経済である一方,中国が世界で最も野心的な資本主義に近づくことを示すのが,現在の日本から中国にむけて輸出される資本財の流れです.これは,日本の改革をますます遅らせ,中国の改革を加速するものであるとすれば,日本がにわかに中国向け輸出で景気を回復するという楽観をいつまで信じてもよいか? とDevanは疑います.

またDeRosaは,日本がアジアの将来に果たす役割を悲観します.もし中国との競争でASEANと自由貿易圏を形成したいのであれば,日本政府は農産物市場,特に米の輸入を自由化しなければなりません.しかし,政府は農家を重要な政治基盤としており,食糧自給を名目に譲りません.結局,高価な食糧費用は日本の製造業を損ない,中国の成長に劣るでしょう.ASEANとの友好関係を示す代償は,30億ドルの援助に過ぎない,というわけです.


BG, 12/11/2003

The soldiers Bush didn't visit on Thanksgiving

By Joan Vennochi

ドイツにある,従軍兵士のための病院に勤める看護婦からの手紙:「ブッシュ氏が感謝祭の訪問先に私たちを加えなかったのは,酷いことです.兵士たちもそう言っています.でも,それは新聞に載らないでしょう.大統領が,写真撮影のために,偽物の七面鳥を持ち上げて見せるように.私の診ている兵士たちは,多分,写真撮影に好ましくないのでしょう・・・ 彼らは偉大でもなく,顔にも傷を負い,補助器具に支えられて,露骨に怯えて見えるでしょう.彼らの多くは,いずれにせよ,まともに話すことができず,二度と話すことの無い者もいるのです・・・ そう,これはおそらく,あなたたちが知りたいと思う以上のことなのです.でも,ここには何の幻もない.それは紛れも無い大虐殺の痕・・・ 戦争はすべてそうなのです.「衝撃と恐怖」が最後にもたらすのは流血と死者です.あなたたちは見ることも無いでしょうが,私は一日として見ない日など無い.


FT December 11 2003

A just way to pay for universities

By Martin Wolf

FT December 16 2003

Variable fees will save Britain's universities

By Anthony Giddens (former director of the London School of Economics)

(コメント) 私は,イギリスにおける大学に関する論争と,アメリカにおける医療.年金制度改革の論争とを,日本の高速道路や大学,年金・医療制度改革と比較してほしい,と思いました.

大学は21世紀イギリスの石炭鉱山だ,とWolfは主張します.それはアイデアという重要な資源をもたらす.もし大学が衰退すれば,イギリスは押し流されてしまうだろう.イギリスがダイナミックな大学を持つためには,新しい財源と競争が必要であり,それゆえ労働党政権の学費自由化をすでに前回の記事でWolfは支持しました.

この記事では,政府案に反対する保守党や自民党の案を批判します.まず,学費を無料化する,というのは財源が問題です.新しい大学を建てない,と言っても,すでに財源不足となっており,今後の財源として何も得られません.増税すると言うのも同じで,他に緊急な支出や重要な支出を遅らせることはできないし,大学教育の受益者と納税者の不公平を解決できません.

反対派は,自由競争と学費の差別化が大学教育を階層化して,社会を不平等にする,と考えます.しかし,Wolfは,単一学費がすでに巨額の補助金をオックスブリッジに与えている,と批判します.もし平等な配分を行えば,ノーベル賞や世界的なアイデアを生み出す,優れた大学はなくなるでしょう.大学に差がある以上,学費を競争的に決めることは必要です.それが(アメリカのような)社会の階層化をもたらす,というのは間違いです.優れた大学がもたらすのは支配的なエリートではなく,大学が社会を階層化したわけではありません.大学の差別化は,世界的な水準の知識を生み出すために必要なのです.

労働党の支持者でLSEの前学長,著名な社会学者でもあるGiddensが,やはり,政府案を支持しています.特に,学費は在学中ではなく,卒業後に,無利子で,長期にわたって返済する,という修正案を支持し,他方,平等に見える均一学費を批判します.学費は価値のある投資であるから,優れた大学に入ることはその学費に値する,というわけです.もし学費をだれでも支払える程度に下げれば,大学を維持できず,すでにLSEが行っているように,十分な学費を取れる留学生ばかり集めなければなりません.

他方,私の想像力の世界では,すべての大学や住宅を同じ価格や家賃にして,他の,たとえば学力テストで,入学者や入居者の優先順位を決めて,能力主義と平等を実現できると思います.財源の調達方法や配分も,その社会的な成果に結びつける方が良いでしょう.こうした基準に合意できないから,異なる学費で競争することを好むのです.その結果は,もちろん,大学間格差や所得格差の拡大でしょう.


NYT December 13, 2003

Coffee, Tea or Freedom?

By NICHOLAS D. KRISTOF

中国において,インターネットのチャット・ルームが驚くほど流行している.それがどの程度自由に発言できるのか,私は中国語で書き込んで試してみた.

「温首相は,アメリカで帝国主義者どもに隷従している暇があったら,国内のもっと重要な問題を解決すべきだ!」 これは検閲されて載らなかった.しかし,もっと穏やかな表現にすると,チャット・ルームに載った.すなわち,「恩首相のアメリカ訪問はとてもうまくいきましたが,でも,もしかしたら,失業のような国内の重要問題に注目するより,海外で時間を浪費しているのではないか,と思うのです.」

中国における言論の自由は,インターネットによって,急速に進んでいる.1980年代に公開討論で指導部を名指しで批判して以来,初めてのことだ.私が話した多くの中国人は,胡主席と温首相に強い印象を受けていた.彼らは,江沢民のような以前の指導者と違って,謙虚さと思いやりを示す.もし自由選挙があっても,彼らは当選するだろう.

しかし私は,この指導部の戦略が結局は失敗し,数年後に破局をもたらすと心配している.その理由は,中国が常にある程度の恐怖によって機能してきたからであり,その恐怖が薄れているからだ.それは1956年と1989年に天安門広場で起きた抗議でも明らかだった.

天安門広場の運動が残酷に弾圧されて以来,中国は安定していた.なぜなら,指導者たちも民衆も互いに相手を恐れていたからだ.しかし,恐怖は次第に薄れている.そして,重税に苦しむ農民や失業した労働者たちは,沈黙の中で,耐えていると思う.

「こうした善人アプローチは機能しない」と,政府の古参官僚が警告した.「誰にでも善人であるふりをして,支配することはできない.厳しい選択をしなければならないし,支配を維持しなければならない.」

中国はもはや共産主義国家ではない.ますます複雑な(そして腐敗した)社会となり,1970年代や80年代に韓国や台湾でそうであったように,騒乱が起きるだろう.たとえば,その価値観の大変化を示すのは,胡主席の娘と指導的なインターネット資本家の一人とがハワイで結婚することだ.

政府は要するに支配できなくなる.7800万人がインターネットを利用し,2億5000万人が携帯電話を持つ.中産階級がシステムを動かしている,と言うのは正しい.彼らは天安門のような大衆抗議を恐れている.しかし同時に,社会には,特に農民と労働者には,根深い不満がある.

もちろん,恐怖が減ることは好ましい.しかし,それは将来の波乱を意味する.ある村でコーヒーを飲もうとしたら,ウェーターが何種類ものコーヒーを選べと言った.人々が一杯のコーヒーに多くの選択肢をもつ時代に,政治にも選択肢を要求するようになるのは間違いない.

天安門以後の社会的平穏は終わりつつある.中国は再び激動の時代に入る.


The Guardian, Monday December 15, 2003

News from Brussels: we are irrelevant

Peter Preston

The Guardian, Monday December 15, 2003

EU failure sets stage for trade roadshow

Larry Elliott

(コメント) Prestonは,EUの「仮面舞踏会」がどうして輝きを失い,もはや問題でさえなくなっているのか,を描き出します.要するに,ヨーロッパはばらばらなのです.@ドイツ,フランス,イタリアが,戦争と繁栄を決めるヨーロッパの中心ではなくなりました.A6カ国ではなく,まったく異なった動機を持つ25カ国が集まって何をするのか? B「ヨーロッパの理想」と言うだけで,実際は,それぞれ自国の利益が最優先だ.C安全保障について,脅威は国際テロリズムなのか,それとも東から,バルカンから来るのか? Dイギリス,フランス,ポーランドなど,アメリカの力をどう利用するのか? Eアメリカ政府は強いヨーロッパを作ることに関心を失った.むしろ分割統治の方針をあらわにした.F動機,リスク,脅威について,共通の考えが無い.G妥協する意志を失い,互いに痛めつける.「舞踏会」の明かりは消えた.

Elliottは,それでもキャラバンは前進する,と見ています.自由貿易でも,環境問題でも,安全保障,通貨不安,貧困,など,現代の問題には多角主義的なアプローチが重要です.しかしEUであれ,WTOであれ,国連安保理であれ,政治家たちは投票箱に固執し,投票箱は各国にしか設置されません.政府はますます世界的な取引に対して支配力を失っているのに,有権者は厳しい要求をますます政治家に示すでしょう.矛盾した二つの力が,国際機関を迷走させます.

矛盾した妥協の積み重ねこそ,民主主義の本質です.国民国家は,自国の国益によって動きます.カンクンの貿易自由化交渉が破綻してから,アメリカもEUも日本も,二国間あるいは地域内で貿易交渉を展開しました.しかし,それらは自由貿易に劣ります.それゆえ多角主義が前進するには,世界の主要な諸国が,啓蒙された自己利益に基づいて,有権者の支持を得ることです.そのためには,彼らが競争を生活水準の悪化として見なくてもよいように,また,世界が単一の基準で自由化されるのではないように,国際機関が各国有権者の理解を得なければなりません.しかし,そのような世界システムが誕生するまで,世界の貧しい者やこの地球は,長く,苦しまねばなりません.


IHT December 14, 2003

Try Saddam in an international court

Kenneth Roth

LAT December 15, 2003

Let Justice Be Done in Baghdad

By Richard Goldstone

WP Monday, December 15, 2003

Lessons From Nuremberg

By George F. Will

(コメント) フセインを,どう裁くべきか? ブッシュ氏は,それがイラク国民の手によるべきだ,と認めました.最初から好んで,とは思えませんが.国際法廷,と言っても,アメリカの論説はドイツやフランスが参加して裁くことに反対するようです.フセインは,自分たちの戦利品・・・?

それはイラク人の民主的な再生が示される良い機会かもしれません.あるいは,ヨーロッパの国際主義者がこの戦争の正義をめぐって舞台を占領してしまうかもしれません.アイヒマンを人道に対する罪で国際法廷に委ねる,などという要求はナンセンスだったはずだ,と.

あるいは,民主党との大統領選挙ショー争いを,ここでも続けるのか?

NYT December 15, 2003

The Capture of a Dictator

NYT December 15, 2003

Another Battle for Bush

By BOB HERBERT

NYT December 15, 2003

Saddam's Past, Iraq's Future

By PHEBE MARR

(コメント) フセインを,どう裁くべきか? 本当にフセインの遺産を一掃し,イラクの新生を示すなら,その手続きや公判には十分な正当性が必要です.

フセインが捕まったことで,ブッシュ政権は政策転換を図る機会を得ました.アメリカはもっと戦争によって破壊されたイラクの市民生活を復興し,アメリカ国内で増加する失業者に雇用をもたらすべきでしょう.国際社会にも,アメリカがより多くの国と協調できる姿勢を示すべきなのです.もしフセインが,ブッシュ氏の野心を実現するだけの悪者として扱わないとしたら.

フセインの支配体制が完全に消滅し,アメリカの占領に軍事的な性格が失われるなら,イラク国民が,自分たちの将来について,さまざまな計画を持ち寄る機会となるでしょう.

FT December 16 2003

A time for reconciliation

WP Thursday, December 18, 2003

Let Saddam Live

By Richard Cohen

WP Tuesday, December 16, 2003

Justice for a Tyrant

WP Tuesday, December 16, 2003

When Decapitation Isn't Fatal

By Richard Cohen

(コメント) フセインを,どう裁くべきか? かれは処刑されるべきか? 独裁者にふさわしい罪とは何でしょうか?


LAT December 14, 2003

The Pentagon Invades Your Xbox

By Nick Turse

(コメント) 実例を挙げて,ゲーム機が若者たちへの史上最強のプロパガンダになる,という警告を発しています.戦争とゲームの違いは消えてしまった,と.

アイゼンハワーが警告した「軍産複合体」に代わって,今や「軍楽複合体」(軍隊とアミューズメントとの複合)が,互いの利益を満たしています.軍隊はハイテク武装の訓練や作戦シミュレーションを行い,学者や技術者は潤沢な軍事予算で研究を行い,それらの情報で娯楽産業はよりリアルな映像や戦闘ゲームを販売します.こうした戦争文化に親しんだ若者は,現実の戦闘に対する準備もできます.


NYT December 14, 2003

Has Irrational Exuberance Hit China?

By KEITH BRADSHER

NYT December 14, 2003

When the Chinese Consumer Is King

By LOUIS UCHITELLE

(コメント) 中国経済の過熱,過剰投資,外国為替市場介入,金融緩和,銀行救済,・・・

「何十年もの間,アメリカは世界で唯一の大規模市場をもった国であり,そこでは企業が商品やサービスを大量に消費者に売ることができた.アメリカの消費者に売るため,内外から企業が集まった.そしてそれは,規模の経済を利用できたから,非常に儲かった.」

「利潤や賃金として富がもたらされ,アメリカは1世紀近くにわたって,世界でもっとも強力な国であった.他にどの国も,アメリカの成し遂げた市場に挑むものはいなかった.しかし今,世界は中国における大規模市場の誕生を目撃している.12億の人口が,アメリカを超える規模で消費するという見通しがある.」

UCHITELLEは,この問題を,アメリカの世紀の終わり,と理解します.アメリカに匹敵する中国市場が存在することは,アメリカ市場へのアクセスを交渉力とすることができなくなるでしょう.アメリカ企業も,次々に,中国市場へと移転し,研究開発部門も中国に設け始めています.


FT December 16 2003

The dangers of the dollar's decline

By Martin Wolf

(コメント) アメリカのドル安政策は,実は,現在の国際通貨制度に根ざした構造的なものではないか? ドイチェ銀行のPeter Garberが示した分析を基に,Wolfは現在のドル安メカニズムを解明します.

まず,世界は全面的にブレトン・ウッズ体制から変動レート制に移行したわけではなく,三つの部分に分けられる,と言います.すなわち,@アメリカ,A資本勘定圏,B貿易勘定圏,です.資本勘定圏の国は国内の金融安定化を目標とし,民間資本移動を自由にして為替レートを決定させます.他方,貿易勘定圏の国は固定レート制を採り,貨幣的な影響を不胎化します.

貿易勘定圏の国の目標は成長です.世界経済の均衡は為替レートで達成されず,不均衡がアジアにおける膨大な余剰労働力の世界経済統合で発生しています.為替レートは,単に,そのバルブ(繋ぎ目)なのです.成長を高めるために,アジアはアメリカに融資し,その製品を買ってもらいます.その返済を求めると,アメリカは切り下げ,債務の一部を不履行にします.つまり,アジアの戦略とは,贈与による成長,です.

この三極体制の意味は,アメリカの経常収支が膨張することです.すでにそれはアメリカのGDPの5%に達しています.対外的な不均衡は,アメリカ国内の完全雇用を求める政治的要求,あるいは「内的均衡」によって決まります.こうした世界の国際収支不均衡は構造的なものです.

もしドル安を回避しようと思えば,アメリカは世界の他の地域よりも成長率を低くするしかありません.しかし,GDPの2%だけ対外赤字を減らすためにGDPを11%減らせ,とアメリカに言えないでしょう.そこでアメリカが不況を免れるには,二つの方法があります.ドル安(各通貨の貿易額でならして34%)を進めるか,世界の他地域で成長(36%のGDP増)を加速すること,です.

アジアの重商主義政策は,大幅なドル安を許しません.その負担は,資本勘定圏に転嫁されます.すなわち,ある推計では,1ドルが1.60ユーロ,80円まで減価しなければなりません.これは両地域の深刻なデフレを意味します.

そこで第二の可能性は,資本勘定圏もアジア諸国を真似ることです.アメリカの経常赤字を支えて,世界は金融緩和しますが,不均衡を拡大するでしょう.そして結局,世界経済が過熱し,ドルは暴落します.

第三の,もっとも好ましい可能性は,アジア諸国がこのゲームを止めることです.外貨準備は累積しており,増加する赤字に対してアメリカの政治的な反発は激しくなります.そこで,急激な増価ではなく,十分に大きな増価を促します.

最後に,ニクソン・ショックの再現が考えられます.ブッシュ大統領が輸入課徴金を導入し,主要通貨がドルに対して増価するよう求めます.ブレトン・ウッズ・ゲームは,いつか,必ず終わります.それまで資本勘定圏は,その偏りに耐えなければなりません.


WP Sunday, December 14, 2003

Democracy Under Siege

By George F. Will

アイルランド,ロシア,イラク.マルクスは完全に間違っていた.工業化し,世界が脱神話化されても,近代は前近代を滅ぼさない.民主主義においても,急進派・過激派は穏健派を孤立させる.宗教やエスニシティーは,社会を支配する道具として生き続けている.21世紀も,民主主義は「管理された民主主義」に敗北し続ける.


ST DEC 16, 2003 TUE

Difficult task lies ahead

By Janadas Devan

ST DEC 16, 2003 TUE

Story doesn't end here

By Tan Shzr Ee

LAT December 16, 2003

We Got Him ... Now What?

Robert Scheer

FT December 17 2003

The challenge of a tyrant's divisive legacy

By Khairallah Khairallah


FT December 17 2003

The dependent superpower

By Martin Wolf

(コメント) アメリカと世界経済との関係を,実に的確,簡潔に要約した解説記事です.もちろん,すべては周知の事件ですが,Wolfの叙述は刺激的です.世界経済に果たしたアメリカの役割を,@無関係irrelevance; A無責任irresponsibility; B破壊destruction; C再建reconstruction; Dグローバリゼーションglobalisation として整理します.ますますアメリカ経済を世界に統合し,急速に債務国化し,金融取引を膨張させているグローバリゼーションを,今後も支持するには,アメリカが中国を含むアジアの挑戦に応えなければなりません.その原則とは,1)無差別な貿易自由化,2)通貨秩序・金融的安定性の確保,3)グローバリゼーションに乗り遅れたアフリカ,そしてラテン・アメリカの一部に対する援助,です.これらの原則が守られるなら,一方的か,多角的か,は重要ではない,とWolfは考えます.

真珠湾攻撃の直前に,すでにチャーチルがルーズベルトと戦後秩序について「大西洋憲章」を合意していたように,今やアメリカとアジアが「太平洋憲章」を合意するときです.


FT December 17 2003

Doha is the only option for advancing trade

By Jagdish Bhagwati and Robert Baldwin

(コメント) 特に,農業補助金を削れない以上,さまざまな差別的FTAの試みは無駄である,とBhagwati and Baldwinは主張します.もしFTA内で補助金を削る合意をすれば,それは補助金を削らないFTA外からの輸入を増やしてしまうでしょう.FTAは利益を共有できないのです.


WP Wednesday, December 17, 2003

Dreams of a Monster

By Daniel Chirot

(コメント) フセインは精神異常であり,殺人狂であった,と考えるのは間違いです.近代の独裁を研究したChirotは,ヒトラーやスターリンと同じように,フセインがメソポタミア文明の復活やイスラム教の挽回を唱えた理想主義者であった,とみなします.たとえその理想がどれほど愚かなものに見えても,イスラム教の信仰や彼らの理想を示している限り,アメリカはこれに語りかけ,取引し,合意を模索しなければならないでしょう.

フセインが敗北したのは,彼の理想が愚かであったからではなく,戦争を繰り返し,民衆を殺すことで,理想を実現する独裁的な手法に染まり,その腐敗した追従者たちが彼に真実を告げなくなったからです.彼は,最後まで,勝利を信じていたのでしょう.


FT December 18 2003

Lomborg cleared

FT December 18 2003

The not so noble Nobel Prize

by Samuel Brittan

The Guardian, Thursday December 18, 2003

Secularism gone mad

Madeleine Bunting

(コメント) 科学,知識,信念,あるいは ・・・?

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The Economist, December 6th 2003

The not-so-mighty dollar

Currencies: A faded green

(コメント) 現在の国際通貨制度は,明示的な政策合意を持たないまま,資本移動による不均衡の融資と市場による為替レートの決定を前提に,各国が自由なマクロ経済管理を追求することを,その最大のメリットと考える主要国(と国際取引の受益者)によって支持されています.不均衡が拡大し,それを民間資本が融資しないのであれば,為替レートが調整を促すことを拒むべきではない,むしろ好ましいことだ,とThe Economistは考えます.

ドル安は,それが資本市場のパニックに至らない限り,アメリカにとって歓迎されるでしょう.輸出,利潤,雇用が増えます.インフレはむしろ低すぎるし,経常収支の赤字が減ればドル暴落は回避される(という安心を広める)でしょう.他方,ヨーロッパや日本にとって,これ以上のドル安は悪夢でしょうか?

そうでもない,とThe Economistは答えます.現在の国際通貨・金融秩序が機能するとしたら,ECB(や日銀)は金融緩和(あるいは不胎化しない介入を)するでしょう.これによって通貨の増価がデフレを強める懸念は後退し,むしろ改革を進める成長のゆとりを得るはずです.なぜなら,短期的に貿易部門が苦しむとしても,増価は消費者を励まし,低金利は投資を促します.彼らが苦しんできた国内需要をもたらすからです.

ただし,ドル安が急速にアメリカの赤字を円滑に解消する,と信じるのは間違いです.その理由をThe Economistは,@価格競争の世界化,A価格調整の時間的な遅れ,BJカーブ効果,C為替市場のオーバーシュート,と指摘します.現代のシステムにおいても,政策的な合意や市場への説得,すなわち調整システムへの信頼が重要なのです.


Thailand: Bookies and pimps

バンコクの町を歩けば,街娼や賭博の誘いが寄って来ない日は無い.いっそ,売春や賭博を合法化して,近代的な娯楽の装置とすれば,タイの経済発展を支えるのではないか? それは同時に,官僚・政治家や警察を腐敗から切り離し,もっと他の重要な政策や犯罪撲滅に邁進させるだろう.また,売春婦たちを犯罪組織や病気から守ってやれる.この産業に絡む地下経済の規模はGDPの10%以上もあり,税収も増加するだろう.

もしろん,合法化に対する最も強い反対は,仏教を信仰する国民感情より,実施に伴う困難です.犯罪者たちが優良納税者に転身するかどうか? そして,タクシンの政党所属議員たちが,しばしば売春宿の利用者や所有者であるから,首相に法案提出を思いとどまらせるかどうか.


Rags to riches: Can oil ever help the poor?

Congo: An oasis of hope

(コメント) チャドは貧しい国です.突然手にした石油採掘やパイプラインの利用料を,そのまま放置して地域経済の崩壊と政治混乱につなげないために,国際機関は政府と共同で資産を管理しなければなりません.そうでなければ,国民は豊かになった政府への要求を膨張し,勤労精神や畑を放棄し,政府とともに借金を重ねるだけでしょう.近隣諸国からは出稼ぎ労働者や売春婦が流れ込み,AIDSが蔓延します.

あるいは,何も無い村に,小さな産業と繁栄が芽生えることもあるようです.ウガンダとの国境に近いコンゴの村,Butemboの話です.内戦が激しくなって,首都の政治支配から切り離された辺境の村では,人々が資金を出し合って小さなダムを造り,発電設備を購入しました.こうして電気が利用できる村となったのです.楽園とは言えませんが,平和で,秩序が維持され,課税は無く,商人たちが役所と大学の出張所に資金を出しています.彼らが正直な取引を行い,その評判により商取引が集まってきました.

しかし,内戦がこの村に及ぶことを避けるは,国際的な支援が必要です.