IPEの果樹園2002

今週のReview

9/30-10/4

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日曜日の朝,読売TVで北朝鮮の現状を伝える映像を断片的に紹介していました.軍事優先の独裁・飢餓国家.国民を体制維持への忠誠心で序列付け,反対する者は100万人でも200万人でも銃殺する!? こうした固定したイメージだけが先行する心配もありますが,今後,日本の外交目標をめぐって論争する際,北朝鮮のイメージは何度も問題になるはずです.

もし北朝鮮の政治社会体制が,自国民に対してすら,このように抑圧的・硬直的で,政策転換の余地がないのであれば,話し合うことは時間稼ぎに過ぎない,というブッシュ政権のフセイン討伐論に重なります.しかし日本の外交目標とは,おそらく,こうした北朝鮮の体制をできるだけ平和的に転換することでしょう.このままの軍事国家と友好的な関係を結んで,それが続くことを,日本が望んでいるわけではないからです.

しかし軍事的手段によらず,北朝鮮を変化させる余地はあるのでしょうか? 私は,あると思います.孤立した北朝鮮にも,すでに変化を促している強力な要因として,@飢餓状態といわれる国内経済危機,Aアメリカ政府による強硬姿勢,特に9・11によるテロや諜報・脅迫行為への国際的報復の現実性,そして B中国の経済改革成功というモデル,があると思います.

確かに,北朝鮮の社会政治体制が貧困や思想統制を強めています.しかし,北朝鮮が著しい貧困と軍事的脅威,外交的な孤立状態にある(と彼らが確信している)ことが,彼らをますます軍事的威嚇や体制維持の思想強化に向かわせている原因とも言えるのです.それゆえ,互いに軍事的な手段を用いない,そして彼らが受け入れ可能な分野での改革を支援し,豊かさを共有し,共存の可能性を高めること,が重要です.すなわち北朝鮮自身の中に改革の可能性を求め,それを支援することで,平和的な体制転換の道があることを彼ら自身に示すのです.

日本政府は,長期的な目標について,北朝鮮政府に繰り返し明確に意思表示すべきです.彼らが拉致事件やミサイル開発によって,その国際環境を少しでも有利に変える可能性はない,と理解させねばなりません.また,個々のケースについて,真相究明と実行犯への納得行く処罰,被害者への補償,そして北朝鮮政府のこれまでの方針転換を彼ら自身によって体制内に浸透させること,これらは時間をかけても必ず実現しなければなりません.

しかし,それと同時に,日本の長期的な外交目標を明確にし,それに至る過程や手段の多様性を認めて,北朝鮮政府と交渉しなければなりません.一致できないことは多いでしょう.しかし,長期の目標で合意できることもあるはずです.一方では,目標に関する深い議論を避けず,他方で,現実的な改善策を話し合うのです.彼らの提案の中から,何が日本やアジア地域,国際社会として受け入れ可能であるかを,個々に検討して,その方向に修正させることが重要です.そして外務省には,それを国民と関係諸国に詳しく説明し,国際社会の基準に照らして説得しているという意味で,強い政治的支持を得る使命があるのです.

野球解説者やお笑いタレントたちが,北朝鮮問題を政治家と一緒に議論する光景は,国民が一定の政治的見識を示すためにも重要なことだと思います.日本人が,社会として動き始める過程で,こうした意識の変化を伴うはずです.内紛に翻弄される民主党の政治家たちと,眠たげな鳩山党首が吐く虚ろな言葉からは,決してそれを感じられません.

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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, ST:Straits Times, IHT:International Herald Tribune, BL:Bloomberg, FEER:Far Eastern Economic Review


NYT September 13, 2002

Stocks and Bombs

By PAUL KRUGMAN

(コメント) 先月のNew Yorkerには,「株価が冴えないから,戦争でもやるか?」という風刺漫画が登場したということです.イラクとの戦争はダウを上昇させるでしょうか?

KRUGMANは,ブッシュ政権の政策理由がいつもころころと変わることを批判します.何のために減税したのか? サプライ・サイド? 景気対策? そして,何のためにイラクと戦うのか? 9・11? 炭疽菌? 大量破壊兵器? とにかく,あの男は邪悪だ?

しかし,それでも戦争が景気を刺激する効果は認めねばなりません.KRUGMANの批判は,以下の点にあります.

1.   戦争による支出よりも,他のもっと生産的な支出によって需要を刺激する方が良い.

2.   戦争による支出は,景気循環にあわせて終えることができない.

3.   ニュー・ディール政策が,第二次世界大戦のおかげで成功したのは,議会が財政支出の拡大に反対していたからである.しかし今は議会が戦争以外の景気刺激策を支持している.

4.   戦争は,原油価格の高騰と二番底の不況をもたらす可能性が高い.イラクが輸出している原油の量よりも,中東地域の政治不安が重要である.


WP Friday, September 13, 2002

Multilateralism, American Style

By Robert Kagan

(コメント) アメリカには多角主義の支持者などいない.問題はイラクを叩く実際的な方法の選択だけであって,安保理が認めるかどうかではない.Kaganは,Holbrookeや Joseph Nye,James Bakerが問題にしているのは,単独でイラクと戦争した場合,アメリカのコストが大きくなる,という点だけだ,と述べています.すなわち,プラグマチックな多角主義です.

もちろん,本来の多角主義は,ヨーロッパや国連で主張されるように,多国間の合意を重視するものです.ホッブス的な世界ではなく,国際法による支配を目指す姿勢が,原理的多角主義として区別されています.

アメリカ型の多角主義から見て,安保理は何の強制力も無い,推薦審査委員会のようなものです.アメリカは,安保理が認めなくても,自国の主権において戦争を始め,同盟諸国を集めることができます.それを明言することで,フランスもドイツも,新しい安全保障の枠組みから排除されることを恐れて戦争に参加するでしょう.すなわち,アメリカの多角主義とは,一方主義の武力を用いた多角主義なのです.


BL 09/13 18:25

Japan's Koizumi and Korea's Turning of Roots

By Patrick Smith

FT September 16 2002

Koizumi's gamble

(コメント) Smithは,小泉首相の行動を,アメリカとの駆引きとして,また韓国の戦略と比較して,解釈しています.小泉氏はアメリカの9・11に合わせて渡米し,国連でも演説し,アメリカの対テロ戦争を支持します.それは「タテマエ」です.そして他方では,韓国と同じように,政治よりも経済を優先します.それが「本音」です.

表面的な解釈ですが,韓国の陽光政策が西ドイツによる対ソ緊張緩和策であったように,小泉氏の対北朝鮮政策は中台関係をモデルにしたものだ,という点に関心を持ちます.

FTが示すように,小泉氏の北朝鮮訪問はアメリカ政府の強硬姿勢と矛盾したものです.拉致された日本人たち全て開放し,核開発やミサイル問題で外部の査察を受け入れれば,北朝鮮の改革を支援しよう,というのが,日本政府が国際社会をまとめる基本線のようです.国民の世論がこのようなバランスを回復できるのか,まだ分かりません.

あるいは,切迫した経済的困窮が北朝鮮の経済管理体制に転換をもたらし,東アジア市場への参加を促したとしても,こうした交渉に北朝鮮の軍隊が従うのだろうか,という強い疑念と不安を拭えません.所詮,キム・ジョンイルも傀儡ではないのか・・・?

また, “Tempered Hope in Asia,” LAT September 20, 2002は,北朝鮮が話しているのは小泉ではなく,ブッシュである,と言います.何が今後の交渉を動かすのか,誰が何のために交渉しているのか,非常に理解しにくい事態です.


The Guardian, Saturday September 14, 2002

The United Nations of America

John O'Farrell

アメリカ政府が,最近,しきりに国連内で運動している.「国連United Nations」という名前が気に入らないのだ.

「われわれには妥協する用意がある.」・・・「最初の単語は残しても良い.」

Unitedでよい,と?」

「そうだ.しかし,二つ目の単語は良くない.もっと他の言葉が何かあるだろう・・・つまり」

United Countriesですか?

「だめだ.」

United Placesとか?

「違う! Nationでも,Countryでもない.もう一つの言葉があるじゃないか.」

Stateですね!」

「フム・・・そうだな・・・.United States.まさにピッタリだ.しかもその本部はアメリカにある.」

「さて,次に旗だが.われわれには妥協する用意がある.国連旗の青色を残しても良い.しかし,赤と白を少し入れて・・・

ジョージ・ブッシュが国連を乗っ取ろうとしている.座席で居眠りだけしている国連大使たちが,突然やってきて命令し始めたブッシュ氏に逆らえるだろうか? 彼らは丁寧に抗議したが,ブッシュ氏の演説は,まるで新しい学校集会を尊重する振りだけしている教育主任のような態度だった.単調な独白の途中で,突然,叫ぶ.「こら,カナダ! くちゃくちゃガムを噛むな.吐き出せ!」

通訳は大忙しだ.ブッシュ氏は言う.「国連は設立の目的に従って行動するのですか? それとも無意味な存在なのですか?」それは,こんな風にヨーロッパ諸国の大使たちに翻訳されるだろう.「よく聞け,うすのろ.俺は血まみれの地獄にしたい国は必ず爆撃する.いいからどけ.」

イラクとの戦争で,世界は平和にならない.アメリカの政策が成功すれば,その目的は大きく変わる.軍隊はアメリカに凱旋し,ホワイト・ハウスは,「世界中の悪人を殺す作戦」「問題を悪化させる作戦」が完全に勝利した,と宣言する.


FT September 15 2002

Japan's way out may be to spend

By Brian Reading

多くの評論家たちが,日本の問題は構造的である,と言う.高い貯蓄率や財政的なリフレ政策の失敗,累積する債務の未処理,財政赤字は維持不可能である.債務の罠が迫っている.

問題は,事実と理論が噛み合わないことだ.日本の問題は企業にあって,消費者にはない.財政政策は大いに成果を上げてきた.支出を続けて,その使途を改善することが,日本の問題を解決するかもしれない.

バブル後の停滞をもたらしたのは供給側の問題ではない.日本は過剰生産力に苦しんでいる.実際の成長率が潜在的な生産力に満たない.個人貯蓄は低下しており,消費が少ないからではない.消費が伸びないのは所得が伸びないことの結果である.

日本経済の崩壊は,民間投資が大きく減少したことによる.バブルの時期に企業は記録的な借入によって過剰な投資を行った.それは1989年にはGDPの4%に達した.企業の負った記録的な債務は,バブルが破裂すると,生き残るための経費節減に代わった.投資を削り,工場を閉鎖し,給与やボーナスを削減した.それは当然の対応であり,不況をもたらすものだが,日本では停滞でしかなかった.

2001年まで,日本企業はGDPの4%の赤字から,5%の黒字に変わった.国民所得勘定では,日本企業は非常に利潤に富んでいる.企業の収益はGDPの20%に達する.しかしそれは,不良債権のブラック・ホールに吸い込まれ,株価下落や年金基金の苦境に消える.

企業の投資削減に対応して,政府は支出を増やし,GDPの2%の黒字から7%の赤字となった.言い換えれば,政府が債務企業の残した総需要の穴を埋めたのである.財政赤字は景気循環とともに変動し,減税や支出拡大で構造的に増えた.それは停滞を終わらせることができなかったものの,不況を防いだのだ.

企業の投資削減は不十分なものであった.企業のバランス・シートは,改善されたとはいえ,まだ不健全である.企業の経費削減は続き,経常収支の黒字を大幅に増やせないなら,莫大な赤字予算が続くだろう.矛盾するようだが,財政を引き締めれば債務の罠が強められる.政府が赤字を減らすと,公的な債務の累積は減るが,名目成長率が下がる.もし成長の減速が債務の増加より大きければ,債務比率は増加する.

景気の悪化を防ぐには,財政引締めが金融緩和で相殺されねばならない.しかし,ほとんどゼロの短期金利であれば,金融を緩和する余地が無い.貨幣供給を増加させ,日銀や商業銀行が国債を購入する有効な選択肢はある.しかし,当局はこれに強く反対している.

それがだめなら,「リカードの等価原理」によって景気が持ち直すかもしれない.個人は,将来の財政状態が改善されて,税金が少なくなることを予想して,現在の貯蓄を減らすから.しかし,これも起こりそうに無い.インフレの時代を除いて,財政引締めで債務比率を低下させることは無かった.むしろ,成長率を高めて債務を解消する.

日本の場合,財政支出の蕩尽が不況の出口となるだろう.債務よりもGDP成長を増やすのだ.もちろんリスクはある.金利は低下せず,上昇する.日銀が短期金利を抑えても,長期金利が市場で上昇する.それでも政府債務の多くが長期であるから,金利は直ちに上昇しないだろう.

基本的に,日本は貯蓄過剰であるから,政府は僅かなコストで支出を行える.もし貯蓄が減れば政府のコストも増えるが,そのときは成長が加速しているだろう.政府がおこなう借入も減るのである.

企業のバランス・シートが回復するまで,日本は財政赤字を増やし,国債を増やすことができる.そして成長が回復するにつれて,財政赤字を減らす一方,金融緩和を続けるのだ.しかし現在のように,物価が下落し,金融緩和できない状況で,財政引締めを急いではならない.


BL 09/14 21:00

Barbarians Are at the Bank of Japan's Gates

By David DeRosa

(コメント) 黒田東彦氏の報告に関して,筆者のDeRosaは憤慨します.財務省は日銀の独立性を再び裏から潰しにかかっている,と.

財務省MOFは,国債を管理し,外国為替市場に介入します.それゆえ,金利と為替レートに責任を負うわけです.貨幣供給と国債管理,そして為替市場への介入は,日銀とMOFとの協調によって行われますが,日本経済が危機的な状況になれば,一つの通貨当局によって行われるに等しい,と黒田氏は考えます.

DeRosaに言わせれば,まだMOFは金利や為替レートを管理し,財政赤字で日本経済を回復させられると信じているのか? という不満と憤りなのです.

私は,どちらが正しいとも思いません.日本も含めて,主要国が国内経済の安定性を維持するために採る手段は,特に市場が不安を感じている際には,政治的な選択であると思います.


NYT September 15, 2002 

Going Our Way

By THOMAS L. FRIEDMAN

国連におけるブッシュ氏の演説内容よりも,国連の大使たちがブッシュ氏の演説を聞く態度に以下のような注意が必要だ.

1.   反米主義は全く聞かれない.アメリカは唯一の超大国であり,アメリカ抜きには何一つ成就しない.

2.   アメリカは,世界が受け入れるようになった西側の諸価値に基づいて指導性を発揮する.それはテロリズムでも反米主義でもない.

3.   オサマ・ビン・ラディンやフセインはアメリカを脅す武器を持っているかもしれないが,それは孤立しており,群集にも支持されない主張である.

ヒトラーのドイツも,スターリンのソ連も,毛沢東の中国も,単にアメリカの指導性に対抗した権力であっただけでなく,民衆に支持されたイデオロギーを帯びていた.平和,民主主義,自由市場に変わるイデオロギーはなくなったが,特に現在,その優位はアメリカの健全性と賢明さにかかっている.たとえイラクを扱うときにも.


FT September 16 2002

Patents and the poor

By Jagdish Bhagwati

(コメント) Bhagwatiは,国際的な知的財産(IIP)として医薬品をWTOの枠組みに入れたのは間違いである,と主張します.それは製薬会社の強烈なロビー活動によります.

WTOがIIPの利用料徴収を監視する機関となったことは,二重の意味で間違いでした.一方では,その他の圧力団体が貿易問題と関係ない場合でもWTOを利用するために集まってきます.他方,WTOは,本来,貧しい諸国を助ける機関であるはずなのに,豊かな国の価値を貧しい国に押し付け,富を奪うものとして嫌われるでしょう.

医薬品のIIPに関して,Bhagwatiは,「並行輸入」を禁止し,豊かな国と貧しい国の市場を分割するべきだ,と考えます.なぜなら,その方が貧しい国の患者に安い価格で医薬品を提供できるからです.自由貿易と貧困の問題は,必ずしも市場では解決できない,と指摘します.


ST SEPT 18, 2002 WED  

Tokyo must back US strike

By HISAHIKO OKAZAKI

(コメント) これは,元外交官による,浅薄な印象を受ける「国益」論です.

アメリカが9・11で国際秩序を積極的に担うようになるのは良いことだ,と考えます.そして,アメリカがイラクに勝ち,中東地域の民主化が進む場合と,攻撃が失敗し,アメリカが権威を喪失した場合を比較します.その場合でも国際秩序は,たとえば中東が不安定化し,反米運動やロシアの混迷,そして中国が影響力を拡大して,要するに,ますます日本はアメリカに頼る必要があるのです.

ブッシュ氏は中間の選択を持たず,それゆえバクダッドを全力で攻撃します.イラク戦に反対しても無駄であるなら,日本の「国益」はアメリカにつくことです.

この論説が浅薄であるのは,国際秩序の性格やイラクの民主化,中東和平の行方,アメリカの外交政策に対する評価など,日本の外交姿勢が示されていないからです.


FT September 18 2002

Bank of Japan to buy shares in market

By David Pilling in Tokyo

(コメント) 日銀の銀行に対する保有株式の購入策について,FTは否定的な意見を集めています.肯定する意見は無いようです.日銀が言うように,本当に「流動性供給」だけが目的であれば,もっと他の手段があるはずだ,と.

「これは株価対策だ.」「自らルビコン川を渡った.」「日銀ではなく,実際は,政府が決定したのだ.」「銀行は,株式よりも国債を多く保有しているから,むしろ銀行の経営を圧迫する.」


FT September 18 2002

Gerard Baker: America 's new bargain

By Gerard Baker

(コメント) 国連安保理における交渉は,ユニラテラリズム(一方主義)でもマルチラテラリズム(多角主義)でもない,9・11以後の新しい国際政治のバランス・オブ・パワーが示された,という論旨です.

フランスとロシアが反対する以上,安保理決議は承認されません.これはマルチラテラリズムがアメリカを抑えたのでしょうか? アメリカは部分的にユニラテラリズムであり,部分的にマルチラテラリズムを採用します.ここでは<国際秩序の不安定化>と<アメリカの離脱>とが取引されるのです.


IHT Wednesday, September 18, 2002

A cup of coffee at what price? 

Jeremy Hobbs(executive director of Oxfam International)

ウガンダのコーヒー仲買人モーゼスは,世界のコーヒー市場が理解できない.「農民はここでコーヒー1キロを150シリングで売る.しかし,カンパラのシェラトン・ホテルでは,たった一杯のコーヒーに1000シリングも支払う.企業は騙しているのかい? 奴らは超人的な利益を上げているのか?」

モーゼスの観察は,この繁栄する産業の核心を突いている.ヨーロッパやアメリカのあらゆる都市で,ますます繁盛するコーヒー店が珍しいコーヒーを客に出す.大規模なコーヒー焙煎会社はいつも利益を上げている.他方,何百万人ものコーヒー栽培農民に支払われる価格は暴落し,貧しい彼らをますます飢餓と絶望に追いやる.しかし今まで,コーヒー産業も豊かな国の政府も,この問題に対して無責任に沈黙している.

40カ国以上の貧しい国が,コーヒーを栽培して,外貨を稼いでいる.ウガンダは輸出の40%近く,ホンジュラスは20%がコーヒーである.彼らの生活が破壊されても,危機は豊かな国のニュースにならない.2500万人のコーヒー農民がいる.どれほど問題は深刻になれば,行動が起こされるのか?

Oxfamは,危機を知らせて,解決のための政治的意志をもたらすキャンペーンを開始した.価格暴落は供給過剰の古典的問題であるが,それは容易になくならない.なぜなら無数のコーヒー栽培農家が他に生活の手段を持たないからである.市場が「調整する」には,彼らが何かで生活を維持しなければならない.

Oxfamは,これほど多くの人々の生活が関わる問題であるから,必ず解決されねばならない,と考える.しかし,コーヒー市場の将来のためにチャリティーは必要ない.ネッスルやプロクター・ギャンブルのような大手の焙煎企業には,問題が分かっている.しかし,彼らにとって,それは,多くの農民がコーヒーの質に十分な注意を払わないことである.

企業が長期のコーヒー産業のために,農民たちの問題を解決するために何かしないのは,驚きであり,恥ずべきことだ.ネッスルだけは供給側の仕組みを作るべきだと言及したが,他社は関心を示さない.独善的で,近視眼的である.今では,ますます多くの消費者が購入する商品に良い印象を持ちたいと考えている.朝のコーヒーが貧しい農民の悲惨さを思わせるようなら,彼らも寝覚めが悪いだろう.そして生産者の多くが破産に瀕しているような産業が,長期的に健全であるはずが無い.

コーヒーの救済計画が必要だ.まず,国際コーヒー機構ICOを発足させる.それは質の悪いコーヒーの輸出を制限する.同時に,コーヒーの在庫を処分し,貧しい農民がコーヒーの質を改善するか,他の仕事を得られるように支援する.

国際社会はこの危機が深刻になるのを黙って見過ごすわけにはいかない.グローバリゼーションは,その潜在的な能力を発揮して,豊かな者だけでなく,貧しい者にとっても役立つべきである.コーヒー農民を危機から救い出すことは,その最初の一歩である.


WP Wednesday, September 18, 2002

A War We Can Afford

By Robert J. Samuelson

(コメント) Krugmanと比べて,Samuelsonは戦争の経済学を「規模」や「能力」で考えています.アメリカが戦争のために全面的な資源動員を行ったのは第二次世界大戦でした.1600万人,18歳から34歳の男性の3人に一人が従軍しました.1944年の財政支出はGDPの44%,軍事支出だけで38%に達したようです.

アメリカはその後,経済規模を実質で4倍に拡大した一方で,冷戦期の戦争は地域紛争に留まりました.朝鮮戦争はGDPの14%,ベトナム戦争でさえ1968年に最高で9.4%に過ぎません.湾岸戦争は610億ドルかかりましたが,たとえイラクとの次の戦争が1000億ドルを要しても,GDPの1%に過ぎないわけです.アメリカには戦争を行う経済的能力があります.

では,戦争をするべきか? それは別問題です.景気刺激効果は? 原油価格への影響は? 予想できない要因が重要です.むしろSamuelsonが示そうとしたのは,この戦争がアメリカの決断で行われるとしても,それは経済問題という視点からではない,ということです.


FT September 19 2002

Solving debt crises

By Guillermo Ortiz (governor of the central bank of Mexico)

IMFと世界銀行の職員たちが来週の総会の準備をしている.一つのテーマが次第に重要になっていた.債務危機をどうするか? である.

国際機関と指導的工業諸国の間では,ますます現在のシステムに欠陥があるという合意が形成されつつあるが,何をすべきかという点では合意が無かった.アルゼンチンでは危機が煮え立ち,ブラジルでも投資家たちが浮き足立っている.解決への圧力は以前にも増して強い.

主要な論点は,二つの極端な見方にある.一方では,「純粋な」流動性危機が,他方では,純粋な支払不能危機がある.前者を強調すれば,IMFのCCLのように,事前の審査を経た諸国が危機の伝染に冒される場合,速やかに融資を得られる.だがまだ,制度に問題があって,適用された国はない.

他の極端な見解(支払不能危機)では,二つの提案がある.G7諸国が支持するような,債券発行に集団議決条項を含めることと,IMFが働きかけているような,政府債務のリストラクチャリング・メカニズムを発達させること,である.支払不能危機への現在の関心は,90年代後半の国際的な支援融資がモラル・ハザードをもたらした,という主張に影響されたものである.しかし,この議論はまだ十分な証拠が無い.

多くの国際収支問題は,今までも常にそうであったが,流動性危機と支払不能危機の両方の性格を帯びている.しかし,国際金融の環境が変わった.資本移動が増加して,その浮動性が危機を深刻にしている.このことは将来,従来のIMF合意による融資が増えることを意味するだろう.

1990年代の半ばに支援融資は実際にかなり増えたが,その理由は危機のコストが大きいことに配慮してではなく,資本市場の開放とグローバリゼーションに対応したものであった.しかし,現在の工業諸国の政治的圧力は,それが彼らの税金を遣っていなくても,こうした支援融資を許すものではない.それゆえ,国際金融市場の条件を前提すれば,現行のIMF融資は次の4つの方法で変更されるべきだ.

@各国の経済規模に応じた,IMFの増資をおこなうこと.A資本収支危機に対応して,もっと融資枠を即座に多く利用させること.Bいつ支援が行われるかをもっと事前に予測できるような,明確な基準を示すこと.C信認が失われる可能性を最小化し,それが起きたときの影響を最小化するための事前行動を採ること.

既存のアーキテクチャーは基幹部分が弱まり,新しい要素はまだ設計段階であることで,国際金融市場は特に危険なものとなっている.アルゼンチン危機の際には,カントリー・リスクが激しく金利差を拡大し,アメリカ財務省証券に比べて6ヶ月で17%も,ブラジルでさえ2ヶ月で7%から17%にも達した.こうした極端な浮動性は,@市場参加者が持つ再交渉への偏見,A地政学的な複雑さ,B企業スキャンダルの余波,などであった.また,C世界経済の成長が衰えて,ドット・コム・バブルが弾け,景気循環が下降し始めたこと,DアメリカとEUが発展途上諸国には市場開放を求め,自国市場には保護主義を採用する,という矛盾した態度を示したこと,も関係している.

IMFとG7は,新しいアーキテクチャーに向けた移行において重要な役割を担っている.もしそれが失敗すれば,新興諸国の金融市場が閉ざされ,政治的な逆転が起きる危険さえある.世界はこのリスクを見逃してはならない.


ST SEPT 18, 2002 WED

Pyongyang's overtures hold promise for East Asia

By ERIC TEO

(コメント) TEOが示すように,北朝鮮は経済システムとしても改革を始動させています.北朝鮮政府の変化を朝鮮半島の平和や東アジアの経済発展を支える日本と韓国,中国の地域協調として充実させていくことが,キム・ジョンイルを改革路線から離脱しにくくするはずです.小泉氏の訪問は,このような政治的方向を明確に打ち出すことで,大きな成果となるでしょう.しかしその後の世論を見れば,逆に,拉致問題と真相究明・責任追及,政府間の交渉決裂が強調される方向にあり,北朝鮮の変化を促すことに十分な政治的姿勢が感じられません.何が北朝鮮との交渉課題であるか,政治家たちはもっと明確に発言するべきでしょう.


FT September 19 2002

Japan's risk

もし日銀が,日本の苦悩する銀行から株式を買い上げるという決断を統一的なリフレ政策の一環として行ったのであれば,いささか尋常ではないが,それは大胆な行動と呼べるだろう.物価が下落することが日本経済にとって最も重大な公共の害悪であることは疑いない.正統的な経済手段が尽きた以上,日銀が非正統的な手段に訴えるのも理解できる.

だが不幸なことに,そうではなかったようだ.少なくとも日銀の説明と,竹中平蔵経済担当大臣の驚いた様子を見れば.「日銀には他にも手段があったはずだ.・・・私としては,なぜ日銀はこんなことをしたのか? と思う.」

それゆえ,より気の重い結論として,日銀行の行動は,戦略的な政策転換ではなく,銀行のバランス・シートを間に合わせに修復してやるために行われた,ということになる.日経平均は19年ぶりの安値であり,多くの銀行が自己資本比率を満たせなくなる心配がある.日銀の統計によれば,日本の銀行は莫大な株式を保有している.日銀は9月末の決算期を乗り越えるため銀行に手を貸したに過ぎない.それは現実を無視した時間稼ぎだ.

実際的な見地からも,日銀の計画は一貫性を欠いており,帳簿外の補助金でしかない.誰がどの株式を買い,いつ売るのか? これは怪しい,操作され易い決定過程である.しかも,何ら明確な終結計画が無い.

もし日銀の目的が銀行部門の再編であるなら,もっと直接的な経路がある.まず,もっと詳しい情報を開示して,問題の規模を明確にする.次に,政府は銀行の不良債権処理とその償却を銀行に強制する体系的な方法を示す.第三に,もし破綻した銀行を国有化する必要があるなら,経営陣を解雇し,より透明で秩序ある仕方で不良債権を処分する.

日銀の最新の手法は,絶望的な便法に過ぎず,政策手段を総合したようには見えない.まさにその理由で,彼らが意図したことと反対の効果を持つだろう.長期的に見て,この行動を歓迎するより,外部の投資家はより警戒を強める.


ST SEPT 20, 2002 FRI  

Home truths about immigration

By RALF DAHRENDORF

(コメント) 政治的に微妙すぎるという理由で,移民問題がヨーロッパ各国の選挙で主要政党の争点から外されたことに,DAHRENDORFは異議を唱えます.国民が強い関心を持つ移民問題を主要政党が忌避することで,移民論争は偏狭な政治的過激集団の宣伝材料となってしまいます.

移民は,経済的・政治的な窮状に迫られて選択されており,これを妨げることは適当ではありません.また,移民流入は,ヨーロッパ諸国が今後も豊かな福祉国家を維持する上で必要です.移民の流入国は,彼らがその目的地として,豊かで自由な国を選ぶことにより,大きな誇りを見出すべきです.それは歴史的にアメリカが得てきた地位であり,EUはこれに匹敵する地位を占めつつあります.

しかし,移民がハイテク部門の労働需要に応えるという理由で自由化されるとしたら,問題を矮小化しすぎるでしょう.移民労働者が占めるのは,国民が嫌うようになった職場であり,彼らは労働市場の階梯を登るために底辺から参入するのです.そして,移民の将来が,受入社会への完全な統合化であるのか,あるいは出身国への帰還であるのかは,同時に可能であるべきであって,現在,アイルランドやポルトガルが示しているように,活発な社会への参加を目指して彼ら自身が選択できるのが望ましいでしょう.

その意味で,DAHRENDORFは,EUの拡大が東にも西にも,社会のダイナミズムを回復する鍵となることを期待します.


NYT September 22, 2002  

The Bush Doctrine

(コメント) ブッシュ・ドクトリンは,他国に対して謙虚な外交政策を採る,と約束していたはずのブッシュ氏が,アメリカの圧倒的な軍事力を背景に,穏健さや寛容さを吹き飛ばしてしまったことを示しています.ブッシュ氏のテキサスにおける支持者たちが好むように,それは平易な英語で("the boys in Lubbock"でも読めるように)書かれました.しかし,その内容は同盟諸国をも不安にさせるものです.

一つの理由は,アメリカ外交に歴史的に存在した理想主義と現実主義との矛盾です.自由,民主主義,繁栄,法の支配,などを唱える一方で,この文書はローマ帝国やナポレオンの宣言を思わせます.The boys in Lubbockでさえ,この攻撃的な文書に署名するのをためらうでしょう.

アメリカは圧倒的な軍事力を持ち,しかもおびただしい犠牲者を出したのですから,こうした強い調子の文書で国際秩序を訴えるとしても,他国に受け入れられるでしょう.しかし,テロリスト集団に対してだけでなく,この傾向をアメリカの外交姿勢全体に及すなら,それは他国の理解を得られないはずです.

指導者にとって,自信と傲慢さは紙一重であり,アメリカ要塞の建設を支持する政府は,世界の悪意を耕していることに気付くべきです.

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The Economist, September 14th 2002

Trade in the Americas: The geopolitics of orange juice

(コメント) アメリカの自由貿易圏FTAAに関する楽観的な見通しを示した記事です.

メキシコがNAFTAでアメリカ市場への輸出を伸ばしたことを見て,他のラテン・アメリカ諸国も勢いづいたはずでした.しかしブッシュ政権は,そのレトリックとは別に,鉄鋼関税や農産物補助金など,それに反する政策を採っています.特に,ブラジルとの関係は悪化しています.

FTAAは,カリブ地域の小国に,十分な輸出品があるかどうか,不安を抱かせます.また,ブラジルの新大統領がもし左派であれば,FTAAはアメリカ市場に吸収合併されることだ,という批判を和らげねばなりません.ブラジルの通貨危機に関わる不安を抑えるには,通貨の減価に加えて,国内の減速とアメリカ市場の開放が重要になります.

ブラジルとアメリカは,確かに多くの係争点をWTOで主張しています.しかし,ブラジルにとってFTAAと対抗するメルコスールの進展は,アルゼンチン危機で頓挫しました.他方,チリは二国間のFTAを増やし続けています.こうして一見,無秩序に陥ったラテン・アメリカの貿易関係は,2003年か,遅くとも2006年までに,一定の最終提案を各国が出し終わり,その後にFTAAに向けた実務的な交渉が進むはずだ,と記事は予想します.


France’s illegal immigrants: A new balance

(コメント) 保守派の政権が移民政策に求めたのは,両極端の意見を排して,現行の移民政策に十分な弾力性を認めることでした.

移民を一人も入れるな,国内の非合法移民は退去させろ,という主張がある一方で,すべての移民を合法化し,滞在許可を与えるべきだ,という主張もあります.Sarkozy内務大臣は,「フランスは移民を必要としているが,同時に,すべての移民を歓迎するべきでもない」と主張します.フランスの多様性と自由を,外国人憎悪や極端な主張から守るべきだ,と.


Economics focus: The dollar and the deficit

ドルは危うそうに見える.アメリカの輸出によってではなく,資本流入によって価値を維持しているからだ.アメリカのように資本が豊富な国に,一日当り20億ドル,今年に入って5000億ドルが流入している.

多くの経済学者にとって,このようなアメリカの赤字は世界の貯蓄からの維持不可能な流出である.もし資本流入が枯渇すれば,ドルの価値は4分の1も暴落しかねない.しかしアメリカのオニール財務長官だけは気にしていないようだ.経常収支赤字など「無意味な概念だ」と,彼は宣言する.

ドルはアメリカだけの問題ではない.それはアメリカだけの通貨ではないのだ.流通しているドル視への半分以上がアメリカ国外で保有されており,財務省証券の約半分が外国の中央銀行に保有されている.国際金融はドルによって貸し借りされており,たとえアメリカ人が関わらない取引でも,国際貿易はドルを使う.かつての金のほかに,これほど世界中で広く交換手段や価値保蔵手段として受け入れられた資産はない.実際,テネシー大学のDavidsonやスタンフォード大学のMcKinnonのように,世界は19世紀の金本位制に近い,ドル本位制になっている,と主張する者もいる.

1914年までの約一世紀,世界の主要通貨は金に価値を固定していた.金1オンスを約4ポンド,あるいは20ドルで変えたのだ.現代の「ドル本位制」はもう少し緩やかだ.原則的に,世界の通貨は相互に変動するが,完全に自由に変動してはいない.各国は,ドルに対して自国通貨が強くなりすぎると,競争力が失われることを恐れるし,余りに減価してインフレが強めることを恐れる.アメリカの物価が安定している限り,ドル価値は世界の他通貨や物価のアンカーとなり,諸国が完全に錨を失わないようにする.

金本位制の時代には,貨幣や信用の量は金の量によって規制された.金が豊富なら好景気,金が少なくなればデフレが起きた.ドル本位制はよりリベラルな体制である.中央銀行が経済成長に合わせて信用を拡大する権利を保持する.

しかし,その結果,世界経済の成長はドル資産への需要増加に転化される.各国中央銀行がより多くの貨幣を供給すればするほど,彼らはより多くのドルを準備として保有したがる.ますます多くのビジネスが国境を越え,ますます多くのドルがその取引をカヴァーするために必要になる.もしドル紙幣が新しい金であれば,アラン・グリーンスパンは世界の取引がバブルを続けるように見事に流動性をでっち上げた錬金術師であった.

しかしアメリカがこの役割を果たすのは,外国人がドル建資産を蓄積する間だけであり,しかも彼らが喜んでする場合だけである.アメリカの対外債務が対外資産を超えることに注目するものもいる.彼らは,ドル紙幣がアメリカ債務であり,財務省が支払うという究極的な約束である,と指摘する.その価値を損なうことなく,アメリカはこの約束を守れるのか?

Davidsonによれば,世界のためにはアメリカに赤字を続けさせねばならない.アメリカは毎年5000億ドルの赤字を増やすことによって,世界に流動性を供給している.もしアメリカが経常赤字を抑えれば,金本位制で起きたように,国際取引は信用逼迫に陥る.それゆえアメリカの赤字は,「無意味な概念」でも,「憂慮すべき世界貯蓄の流出」でもなく,世界貿易にとってかけがえの無い流動性の泉なのである.

しかし,この赤字は維持可能なのか? アメリカの債権者の多くは,ドル本位制を維持することに利益を見出す.特に,アメリカの流動的な資産の多くが外国の中央銀行,特にアジアの中興銀行に保有されている.彼らは自国通貨が増価して競争力を失うことを恐れているからだ.「いつのまにやら,外国政府がアメリカの重要な貸し手になることは避けられない」とMcKinnonは主張する.たとえば中国は,この6月までの半年間で,貿易黒字をドル建資産に換えて,600億ドルも準備を増やした.

アメリカの対外赤字が警告を発したのはこれが最初ではない.1966年にアメリカの貿易黒字がやせ細った頃,The Economistは「ドルと世界流動性:少数派の意見」という論説を載せた.それによれば,外国人がドル建債権を増やすことは「調整」が必要な赤字ではなく,アメリカの資本市場が世界の金融仲介として機能しているからであり,外国政府や企業に不可欠な流動性を供給しているのだ,ということであった.DavidsonやMcKinnonは,この現代の少数派見解に近い.彼らは,アメリカが赤字を「調整」すれば,それは問題を解決する以上に深刻な結果をもたらす,という.世界のドル保有者がこの見解に同意するかどうかは,まだ分からない.