今週の要約記事・コメント

11/12-11/17

IPEの果樹園 2001

リベラリズムとグローバリゼーションはアメリカの新しい「自由の女神」でした。そして彼女が見たくないものと言えば、戦争と世界不況でしょう。目の前で起きたテロ攻撃による阿鼻叫喚が、彼女を憎悪と戦いの神に変えたわけではないでしょうが、世界の何を照らすべきかについて、忘れたはずの悩みがよみがえり、深まったはずです。世界最強のアメリカ軍が極貧のアフガニスタンに降らせた爆弾と援助物資とでは、どちらが世界を救うのに有効なのでしょうか?

世界にはさまざまな極があり、それぞれは互いに排除し、敵対し合っています。ある者は富を、ある者は信仰を、ある者は雇用を守ろうとして、ひたすら現状に固執します。そして成長の極は、しばしばその外に現れ、今までの正義と調和を乱します。市場も民主主義も、これまで人類が試みたさまざまな社会モデルの一類型です。成長が重要な価値観として人々に受け入れられることで、市場は支配的となりました。

NHKのアーカイブ・シリーズを観て、昭和30年代の日本の映像に感銘を受けました。川はまだ下水管にされて埋め立てられず、道路には中央分離帯も舗道も無く、小さなオート三輪が人をよけるように走っています。農村からきた労働者は町工場の社員寮に布団を敷き詰めて眠り、バラックのような商店街での買い物に喜び、工場の卓球台でゲームに歓声を上げ、汗を流します。

確かに、世界にもアジアにも、人々の所得水準や生活環境には大きな較差があります。しかし社会は急速に変わるのです。それが爆撃ではなく、貿易取引や学校であることを望みますが、異なった極が互いに協力すれば、素晴らしい成長の極が世界中に誕生するでしょう。占領する兵士の銃口や、村のすぐ外まで迫った疫病と飢餓の影に怯えることなく、若者や子供たちは工場や学校で将来を夢見て暮らせるはずです。

受験生に面接してみれば、彼らの多くは税理士や会計士になりたいと言い、資格を得たいと言います。その職業にどんな魅力があるのか? と私は尋ねました。なぜ魚屋や八百屋になって大いに財を成したいとか、英語を学ぶなら、休日にイギリスで釣りをしたり、ニュー・ヨークで舞台を見たり、してみたいと思わないのか? 残念ながら、私もそんなことを考えたことは無かったのです。子供たちは、しばしば大人の国の奴隷です。

本当に<自由の女神>がいるとしたら、彼女は<自由>という社会的な理想を照らすべきでしょう。爆弾でもチョコレートでもなく、貧しい者が暮らしを立て直して、自立できるような、政治的抑圧に苦しむ者が新しい社会システムを目指して交渉と合意を積み上げ、共通の制度を樹立できるような、社会的自由を拡大する機会を、彼らに与えるべきでしょう。

戦争は、既存の極を支配するエリートたちのものです。私の<女神>は彼らを軽蔑し、静かに将来の機会を奪うでしょう。そして貧しい者を励まして、新しい成長の極へと導くのです。

Editorial comment: The new politics of development


Entangled With War on Terror, Threat of Global Recession

By DAVID E. SANGER

ブッシュ大統領はもう何週間もテロリズムとの戦争に従事してきたが、世界不況という、もう一つの複雑に結び付いた危機にも対応しなければならない。世界の二大経済、アメリカと日本が同時に縮小し、ドイツも同じ傾向にある。1990年代の重要な教訓は、経済危機が急速に世界に波及することである。そしてもっとも弱い諸国が最初に崖から転落しはじめる。

たとえばアメリカの不安定な同盟国パキスタンだ。さらに、世界の生産拡大が止まれば石油価格が下落する。それが中東、特にサウジ・アラビアを苦境に追い込む。「これは世界不況だ。しかも最悪の時期はまだこれからだ。」と、Allen Sinaiは述べた。「発展途上国や新興経済で緊張が高まれば。不満を抱いた労働者やその国の政府はスケープゴートを求める。そして多くはアメリカを非難する。」

これは不公平であろう。アメリカは、好景気の際に、世界を何度も不況から救ってきた。ここ数年では、メキシコ、アジア、そしてロシアである。しかし世界経済学では、世界政治学と同様に、受け取り方がすべてである。外交に関するブッシュ政権の顧問が最近注意したように、「アメリカが彼らに傷薬を塗ってやることは非常に難しくなった。」

ブッシュ政権の外交分野における側近たちは、パキスタンの主要輸出品である織物に課された関税を引き下げようとしている。しかし、すでに不況に苦しんでいるアメリカ企業はこれに強く反対し、アメリカの労働者が職を失って政府に反対するのを恐れて、これを断念した。

ブッシュ氏は「世界不況」という言葉を使わない。そして、アメリカにとって良いことは世界にとって良いことだ、と主張する。景気刺激パッケージを議会は早く承認し、政府に貿易交渉の開始を認めよ、というわけだ。しかし、ここに欠けているのは、三大陸に及ぶ不況を阻止する世界的な対応策、過去の下降局面と全く違う、国際協力である。

不況に与えるテロ攻撃の影響は「予測不可能」である、という点が重要だ。たとえば、国務省のスタッフはパキスタンのムシャラフ将軍が政権を維持できるか心配し始め、政権崩壊がブッシュ氏の戦争に果たす役割を懸念し、この問題を「スハルト要因」と呼んでいる。1997年にアジア経済危機が始まったときも、インドネシアのスハルト大統領が犠牲になるとは思えなかった。

ムシャラフ将軍の運命は誰にも分からない。しかしリスクを回避するには、世界がより一層うまく調整されねばならない。パキスタンの輸出や、政治的不安定性、隣国での爆撃は、この国への投資を減らすだろう。ブッシュ氏がアメリカとの同盟はパキスタンにとっても利益だというが、そんな利益は吹き飛んでしまう。「パキスタンへの制裁を取り止め、関税を引き下げても、こうした状況でモトローラや他の企業にパキスタンで工場を建てるように説得することはできない。」

もう一つの「予測不可能」な要因は、普通の労働者が世界中で自分たちの問題はアメリカに責任があると不平を言い始めるかもしれないことだ。アメリカはアフガニスタンを爆撃している。アメリカは彼らの製品を買わない、と。「アメリカの不況は輸出されつつある。テロリストの攻撃は、アメリカ以上にアメリカと貿易する相手国に深刻な打撃を与えているのは皮肉である。」と、J. P. Morgan ChaseJim Glassmanは述べた。

ブッシュ氏の関心は分散してしまい、国際経済悪化への対応策を日本やヨーロッパと考慮する時間が無い。その上、それはブッシュ氏が得意とする問題ではないのだ。アジア・サミットの参加者たちは、テロリズムに関する主張に感銘を受けても、ブッシュ氏の世界経済に関する議論には失望した。

世界経済が本当に不況へと向かっているとしたら、戦争が何よりも優先される、という彼の方針は不本意ながら修正されるだろう。


New York Times, November 2, 2001

FLOYD NORRIS

For the First Time Since Ike, a Whiff of U.S. Deflation

インフレを恐れた世代にとって、デフレは魅力的だ。支払いが少なくなるなんて、良いことに違いない。しかし、あなたのコストは誰かの所得である。所得の減少は経済にさまざまな問題をもたらし、通貨政策の景気刺激効果を失わせる。大不況においても物価は下落し、日本では今それが起きている。どちらも真似てみたいモデルではない。

政府の報告書が、第三四半期に経済が縮小し、個人消費支出に対する物価が年率で0.4%のマイナスとなったことを示した。それは1954年以来のことである。その間に7回の景気後退があった。しかし、いずれも物価は下落しなかった。

今回のデフレで新しい点は、それが工業製品から消費者に広がったことである。デフレで利益を受ける者もいる。例えばガソリン価格の下落は減税と同じである。しかし日本の経験が示すように、デフレが続くことは消費者に価格がさらに下がると期待させ、消費を大きく損なう。賃金の引き下げが非常に難しいため、企業は利潤を減らし、より多くの解雇と消費の落ち込み、さらに多くの解雇が続く。

デフレに対処する古典的方法は、通貨政策の緩和である。しかし、それが景気を刺激するためには、Fedは短期金利をインフレ率以下にする必要がある。インフレ率がゼロ以下になれば、流動性の罠に落ち込む。今年になって、低金利は住宅や自動車の販売が大幅に減少するのを防いだ。しかし、住宅価格は下がりつつある。それは株価下落によるマイナスの資産効果を強めるだろう。

10年前に、日銀はバブル崩壊後に信用をゆっくりと緩和した。それが日本の経済停滞の原因であるとは言えないが、それを緩和したわけでもない。アラン・グリーンスパンはそれを当然考えているはずだ。


The `D' Word Makes Dubious Yet Determined Debut

By Caroline Baum

何かクサイな? アメリカ中にデフレのにおいがする。New York Times Floyd Norrisはそう診断した。そして、個人消費PCEが0.4%減った、という数字を引いた。しかし、彼はその背景を説明しなかった。

報告書にはPCEが減少した理由も示されている。911日のテロ攻撃を受けて、保険の支払いと関連して、サービス価格の低下が起きたからだ。さらに、この効果を除けば、PCE物価指数は0.8%の増加となる、と。

PCE物価指数が下落することは珍しい。その理由は物価が「粘着的」であるからだ。景気が悪ければ被雇用者は賃金を上げないが、それを下げるのは、その前に大量の失業が発生してからである。サービス消費は財の消費よりも変動しにくい。景気が悪くても、子供たちは医者へ行き、結婚したり離婚したりして弁護士の仕事になる。労働集約的なサービス部門でデフレが続くには、賃金が下落する必要がある。しかし、保険を介した911日の特殊な効果を一般化するのは間違っている。

デフレが悪いことだという印象を持つのも間違いだ。デフレはガソリン価格の低下のように減税と同じで、景気を刺激する面がある。だが、物価の下落は需要不足と関係がある。もしそうであれば、デフレが景気を刺激するとは言えない。価格には、ミクロの側面とマクロの側面がある。伝統的に、債権者だけがデフレで利益を受けるといわれている。彼らはより価値のあるドルで返済を受けるからだ。

総合的に見れば、現在のデフレから利益を得る最善の方法は、今すぐ自動車に飛び乗って「減税された」ガソリンを満タンにし、アメリカ中で移動式の融資サービス業を始めることだろう。


A New Age of Solidarity? Don't Count on It

By Zbigniew Brzezinski

二つの巨大な幻想が911日の世界的な結末を現実的に評価する眼を曇らせている。一つは、テロリズムに対する戦争への広範な支持が、アメリカの優位から協力的な相互依存へと、世界の流れを変えた、という幻想。もう一つは、911日以来、ロシアがアメリカの指導する西側に酸化する歴史的な選択を行い、アメリカの同盟国になりつつある、という幻想である。

この新しい夜明けを詳しく見れば、深刻な疑いに包まれる。連帯は素晴らしい。しかし、それは言葉だけであって行動を伴わない。そこに潜む権力の現実を変えるものではない。アメリカとヨーロッパの関係では、ヨーロッパの行動が欠けている。ヨーロッパにはアメリカのような長期の軍事行動を行う力が無い。「世界の安全保証を担う自立した主体」ではありえない。

ロシアについてはさらに疑わしい。プーチンが同情的であるとしても、ロシアが西側に参加する決断をしたとは思えない。首脳会談を前に、ロシアの外交幹部は、プーチンがブッシュに要求すべき譲歩リストを用意していた。NATO拡大、ミサイル防衛構想、対ロシア債権の放棄、チェクニアの内戦など、アメリカは高い代価を支払わされるだろう。注目すべきことに、プーチンは最近、ドイツに対して、アメリカと独立したヨーロッパの軍事力を作るように求めた。

中東においては、1991年に見られたような反イラクの連帯はまるで見られない。エジプトのムバラク大統領は、アメリカに対するイスラムの反感は50%までアメリカのイスラエル支援に責任があると述べた。アラブの同盟諸国は、パレスチナの状況が改善されなければ、アメリカの立場を支持することに躊躇するだろう。

を中東に創り出すべきである。エジプトやサウジ・アラビアの政治的安定化のためにも、中東和平にアメリカはもっと努力しなければならない。


CONVERTIBILITYWTO commitments exclude yuan issue

CHI-CHU TSCHANG


Peg seen anchored until eventual yuan float a decade away

JON OGDEN


Argentina's hard road

Richard Lapper and Thomas Cat

カヴァロが指名された際には一時的に回復した投資意欲も、すでに消滅した。貸出しも投資も激減し、今年の第三四半期には年率612%で経済が縮小した。生産量や建設は、昨年の同じ時期より25%も少ない。「人々は文字通り飢えており、経済的な破局である。」

税収はさらに落ち込み、財政赤字ゼロを実現するには歳出削減と景気の悪化を強めるしかない。それは実物経済にとって維持不可能な水準まで達するだろう。根本的な転換を求める声が高まっている。ドルとペソの等価を強く支持していたRicardo Hausmannも、今や、切下げと債務の消却が必要だと確信する。

こうして木曜日に、デ・ラ・ルーアとカヴァロの新戦略が発表された。助言を与えたMerrill Lynch InternationalJacob Frenkelは、その目的を「持続可能な成長を回復し、同時に安定性を維持する」と述べた。ここには、年金支払いの削減やいくつかの減税、失業者への給付など、国民に資金を与えて支出を刺激する手段が含まれている。

しかし、多くの点で、これはカヴァロの行ってきたサプライ・サイドの改革を延長したものであり、過大評価された通貨価値で失われた、経済活動の活力と競争力の回復を狙っている。新しい点は、それらが利子支払いの削減で賄われることである。すなわち、投資家は平均25%に達する旧債券をたった7%のクーポンを付けた新債券に交換することになっている。その代わり、新債券は将来の税収に基づく確実な保証が与えられる。

アルゼンチン政府は投資家が自発的に交換に応じると主張するが、将来の税収だけを当てにして低い利回りを受け入れる投資家はいない。債務残高の3分の1を保有する国内の年金基金は、デフォルトになれば破産するしかないので、他に選択肢は無い。しかし外国投資家は納得しない。彼らはおそらく、第三者による追加の保証を求めるだろう。それは事実上、IMFや国際機関、G7諸国の政府などである。

先週は、そうした支援が行われる見込みが無かった。なぜなら、アルゼンチン政府が野党の支配する州政府に行っている財政的移転を削減することに、州政府と合意できなかったからである。国際的な支援が無ければ、投資家は交換に応じず、交換を強制すればデフォルトと見なされる。さらに、今後数年の支払額も問題である。利子支払いが削減されても、2003年から2005年に、アルゼンチンは400億ドルを返済しなければならない。

市場の圧力はさらに強まっている。過去3ヶ月のペースで銀行から預金の引き出しが続けば、流動性が数週間で枯渇する。そうなれば、政府は預金を凍結し、経済のより大幅な解体へと進む。リスク・プレミアムは国内の不安を示す警告灯になっている。それが拡大すれば預金流出が起きる。

1998年のロシアと違って、アルゼンチンは秩序ある債務の組替えを目指すだろう、とFrankelは言う。彼は、それが容易な道であるとは決して言わない。「それが現実である。解決するしかない。秩序正しくやれば、われわれは苦境から抜け出せると思う。」


Could Argentine Currency Peg Survive a Default?

By David DeRosa

金融危機の私の研究は、それぞれの事例が特有の政策失敗によって他と区別できる。タイの中央銀行は先物市場でドルを売り、市場をだまそうとした。韓国の中央銀行は破産した金融機関への融資で中央銀行の資産を悪化させた。ロシアではIMFが与えた50億ドルを文字通り消滅させた。ブラジルでは地方政府の債務支払い拒否で危機が起きた。

アルゼンチンの特徴は、それがハード・ペッグの一つ、カレンシー・ボードを国庫の支払不能によって犠牲にしたことだ。アルゼンチンが債務を支払えなければ、カレンシー・ボードはどうなるのか? 理論的に、カレンシー・ボードは破綻し得ない。しかし、政府が放棄することはできるのだ。

香港と違って、アルゼンチンのカレンシー・ボードは現実にすべての貨幣供給を準備で保有する必要が無い。その一部は外国の銀行によるアルゼンチンへの信用供与で良かったのだ。もしこれらの信用が閉じられれば、カレンシー・ボードは支払不能になる。しかし、この点を別にすれば、ペソの売買と貨幣供給は一致しており、カレンシー・ボードは問題ない。


Editorial comment: Unfinished business

911日以来、西側政府は外交と安全保障を忘却の淵から呼び起こした。今、破綻寸前のアルゼンチンから波紋が広がり、彼らの国際金融システムの問題を思い出させている。ここでも、惰性、は答えにならない。

しかし、199798年のアジア危機以後、多くの議論が交わされたにもかかわらず、悲しいことに、「国際金融アーキテクチャー」に関する西側のアプローチは惰性と呼ぶのが適当である。新興市場幹部会レポートは、時期にかなった行動への提言を含んでいる。

彼らは、借入れの元利返済を行えなくなった債務国が、どうすれば新興市場への市場の信頼を破壊することなく、秩序正しい脱出方法を見出せるか、について有益に示唆を与えている。彼らが指摘するように、アジア危機以来、改革の負担はほとんど新興市場諸国が負ってきた。そして、為替レート制度や情報開示に関して、いくつかの改革は前進した。

しかし、トルコやアルゼンチンが示すように、透明性だけでは不十分だ。両国は公衆の見守る中で維持不可能な債務を積み上げた。IMFはアルゼンチンが崖の淵にかけた手を押さえているが、谷底まで着地できるパラシュートは貸してくれない。

報告書は二つの提案を行った。一つは、IMFと豊かなG7諸国は、債務国が債権者と交渉をまとめるまでの債務支払い停止を支持するべきだ。第二に、国家の破産に関する長期の破産処理を確立するべきだ。この破産処理に関して広い支持が示されたことは印象的である。これまでラテン・アメリカ諸国は、破産法廷の問題を話すことを、リスク・プレミアムが上昇し、民間資本市場を閉ざす、として反対していたからである。

過去から現在まで、通貨危機の教訓は、投資家による組織的な新興市場政府リスクの過小評価があった、というより、その評価が危険なほどに変動しすぎる、ということであった。大宴会の後に飢饉が襲うのだ。債務国が行き詰まると、投資家たちには二つの結末があった。IMFやG7が救済融資を行い、彼らは資金を回収するか、それとも大混乱と不確実、予測不能なデフォルトに巻き込まれるか、である。

そうではなく、投資家は明確な、予測できるシステムで、冷静に債務のリスケジューリングを行う必要がある。そうなれば、彼らも慎重に各国のリスクを判断するだろう。国内の支払い不能となった民間債務者について、銀行が貸出しを止めることは無い。この論争は何年も続いているが、投資家たちの反対で実行されていない。しかし、西側の指導者たちは具体的な提案に進むべきである。


Financial Times, Tuesday Nov 6 2001

Globalisation's Chernobyl

Ulrich Beck


The Turkey Card

By WILLIAM SAFIRE

Q:アフガニスタンでの戦争はどうなると思いますか?

Nixon:あれが戦争か? 狂った髭面の男どもに軽い爆撃。単なる反撃であって、全くの戦術的な問題さ。

Q:あなたなら地上軍を送りますか?

Nixon:否、送らない。ブッシュの取り巻きは上手くやっている。テロを押さえ込み、反対派を支援し、買収と暗殺で分裂をもたらす。「フェーズT」は正しい戦略だ。欠けているものは、世界的な構想だ。

Q:と言うと、それは何でしょうか?

Nixon:本当の敵を知ることだ。ビン・ラディンとテロ細胞などではない。イスラム世界を乗っ取ろうとしている運動だ。それは、サウジやクウェートの油田を狙う髭面の煽動家たち、さらに危険な国家である。奴らが金を出して核兵器や細菌兵器を購入させ、理性的なイスラム教徒や異教徒たちを虐殺させている。

Q:あなたならどうやって止めさせますか?

Nixon:奴らを分裂させる。ソビエトに対して中国を使ったように。今ならトルコだ。世俗化されたイスラム教国で、最強の軍隊を持つ。

Q:トルコはすでに軍人を送っていますが、もっと送らせるのですか?

Nixon:アフガニスタンのテロリストにこだわるのは止めろ。私なら今すぐアンカラと合意を結ぶ。国境線を動かして、イラク北部をトルコに併合しろ、と。そこはすでにクルド人の領域で、われわれの飛行禁止区域だ。サダム・フセインの油田の半分がKirkuk周辺にあり、これをトルコの一部にする。

Q:それでは戦争になりませんか?

Nixon:短期の戦争だ。サダムの持つ細菌、核、テロリストによって、攻撃は正当といえる。トルコが友好的な政府をバクダッドに樹立し、われわれは制空権を握り、国連安保理事会が支持する。解放されたイラク人たちは南部の油田を狂ったように汲み上げるから、OPECを永遠に破綻させ、われわれを助けてくれる。

Q:トルコは何のために戦争するのですか?

Nixon:まずは大金だ。イラク北部は一日当たり200万バレルを産出する。そしてEUはトルコの加盟を喜ぶ。次に、トルコはイラク北部のクルディスタンを切り取って、国内のクルド問題を解決する。

Q:しかし、新しい国境というのは、アラブ諸国の反発を招きませんか?

Nixon:トルコ人はイスラム教徒だが、アラブ人ではない。テロリストがシリアに基地を置いてトルコを攻撃したとき、トルコは国境地帯に軍隊を展開し、ダマスカスを抑え込んだ。新しい国境線が問題だって? イラクは20世紀になってイギリスがでっち上げた国だ。50年前にイスラエルは国家になった。もうすぐパレスチナも国家になる。新しい時代には新しい国境がある。

Q:イスラエルとパレスチナについて言えば、それはどうなるのですか?

Nixon:私ならシャロンに、ヨルダン渓谷を併合して、ヨルダンを保護し、それから西岸の残りを手放せ、と言う。そしてサウジや他の裕福なアラブ諸国に、パレスチナで良い住宅と工場を建ててやるか、それとも移民の流入を受け入れろ、と言うだろう。イラクの脅威が去り、イランも遠ざけられれば、国王たちは慌てて掛け金を積み上げるさ。

Q:アフガニスタンのビン・ラディンは処罰しないのですか?

Nixon:金の流れが変わり、中東の権力構造が変わる。ビン・ラディンとその仲間どもは、腐った果実のようにわれわれの手に落ちる。この危機を利用して床を掃き清め、罠を抜け出すのだ。「フェーズT」は飛び越して、同盟軍の戦死者も、爆撃中止を要求するデモも、タリバンも、炭疽菌の恐怖もなくなるだろう。次はロシアについて電話して来い。


The view from the limousine

By Martin Wolf


A better way for countries to default

Alan Beattie

The Economist, October 27th 2001

たとえアルゼンチンがデフォルトに落ちっても、カレンシー・ボードがいつも失敗に終わると言うのは間違っている。