今週の要約記事・コメント

6/25-30

IPEの果樹園 2001

選挙が迫ってくると、政治家たちは具体的な発言をしません。格好のよい約束ばかりして、本当に難しい選択は選挙後に行うとしたら、一体、私たちは選挙で何を選択しているのでしょうか?

New York Times, June 22, 2001 に載った記事 I Love the E.U.”で、筆者の THOMAS L. FRIEDMAN は、欧米だけが世界を担える、という仲間意識を示しました。あるいは、自分たち以外には民主主義が根付かない、と言う不信感です。

「アジア、アフリカ、中央ヨーロッパでは、ますます多くの国が収拾のつかない混乱状態にある。自由市場や民主主義、法の支配を取り入れたが、それらは社会に根付いておらず、薄皮の下には汚職と犯罪の網の目、マフィア、恐るべき無法状態が広がっている。ロシアやインドネシアに行ってみれば分かるだろう。」

日本の改革に無いものは、活発な論争を指導するマスコミや、政治と国民の意識とをつなぐ非政党型選挙監視組織ではないでしょうか? 朝日新聞のホームページを見ると、政治家たちの通知表が載っています。マスコミ各社は、常時、政治家の行動と発言をチェックし、政策との関係を独自に調査して公表してほしいです。また国会はすべての議事録を公開し、各政治家の名前で検索できるようにすべきでしょう。NHKの日曜討論を観て感心しました。少なくとも構造改革について、経済学者は政治家たちよりも的確に議論していると思います。こうしたさまざまな情報をつないで活性化する中間組織が欠けているのです。<市民社会>を担う読書クラブのような活動が重要でしょう。

投票を強制する制度が有効かどうか、イギリスで議論されています(Financial Times, Friday June 22 2001, “From disenchantment back to democracy” by John Plender )。労働党の勝利よりも、たった58%という投票率の低さに驚きが広がっています。1992年の選挙に比べて約20%も低下しました。「工業大国の中では、ただ日本だけが、1990年から95年に投票率73.3%から44.5%に下がり、これに匹敵する」とも述べています。

投票が強制されれば、無党派層の投票が増えて、選挙が固定的な支持団体に支配されなくなるでしょう。その反面、聴衆の歓心を買うアイドルや独裁者、短期的な自国の利益ばかりを強調する「パンとサーカス」型の政治が横行する危険もあります。

田中真紀子外相の言動に不安と失望を感じます。何がしたいのか、誰が敵で、誰が味方か、をはっきりさせるのは政治の論理として当然です。しかし、行政や構造改革はそうではないと思います。組織の破壊と犯人探しに終始することで、何ができたか? 協力して正しい方向に問題を解決する能力が問われるでしょう。

「金持ちになる」方法や生き方を紹介する本がやたらに宣伝されています。さまざまな教祖の本がいつも書店のベスト・セラー上位を占めるよりもましです。「金持ち」であれ、「教祖」であれ、彼らが自分だけでなく、本当に多くの者を豊かにし、救済したのであれば良いのですが。

Plenderはこう指摘しています。選挙制度を変えても、若者を教育しても、冷戦後の世界で互いの違いを明確にせず、論争を回避した見せ掛けの中道政治家たちに、選挙民は関心を持てません。そして選挙による政権や政策の正当性が失われていきます。「熱狂しがちな、テレビ映像が支配するこの時代に、決して無難な説明でなく、正直に、困難な問題を論じることができる、優れた人物が求められている」。

Financial Times, Monday June 18 2001

Editorial comment: Riot vs protest

Financial Times, Monday June 18 2001

A sense of disconnection

Peter Norman

週末のGothenburgを暴力と破壊で制圧した者たちは、ヨーロッパ統合の成否と何の関係も無い。世界中で「資本主義を撃破せよ」と叫ぶ無政府主義者たちの暴力は、グローバリゼーションがもたらす苦痛と不安に対して平和的な抗議活動を行う人々と結びつかない。

他方、アイルランドの国民投票でニース条約が否決されたことは、EU拡大を最も熱狂的に支持するはずのアイルランド国民でさえ、ヨーロッパの計画に親しみを感じていない重要な警告だった。にもかかわらずEUの指導者たちがこの結果を軽視した傲慢さは、EU市民とその政治・行政機構との深刻な断絶を示している。

街頭での凶行に催涙ガスを使用できる法改正をするのは勝手だが、EUの政治交渉が市民から遊離していることを示した点でGothenburgサミットは失敗であった。ヨーロッパの国際競争力を高めるネオ・リベラリズムと、社会政策の充実とを、同時に掲げるEUの将来は、労働組合やさまざまな地域、団体との交渉をさらに必要としている。

不満を解消してくれないと感じる者たちが街頭に集まったときも、催涙ガスを使うのか?


Financial Times, Tuesday June 19 2001

Five reasons for gloom about global growth

世界経済の成長鈍化がこれからしばらく議論されるだろう。株価の予想や消費者の心理を超えて、より重要な力に注目するべきだ。すなわち、政府の政策対応である。

政策の変化が成長への予想を変化させる。市場は政策を反映するのであって、その逆ではない。そして、市場を重視する人々は成長の悪化を予想している。それには、少なくとも5つの政策変化が指摘できる。

1.今日と議定書に反対するブッシュ政権に対してヨーロッパで起きた抗議デモと、指導者たちの反発。それは両者の長い闘いと、アメリカを含む温室効果ガスの規制合意を予想させる。それは企業の負担を増やし、成長を損なう。

2.EUの委員長Mario MontiによるGEHoneywellとの合併不承認決定。それがたとえ効率性を重視した結果であっても、ヨーロッパを新しい成長フロンティアとみなす人々を失望させる前例を作った。ヨーロッパはアメリカ以上に反ダンピング規制を使った産業再編成の政治交渉を強めるだろう。

3.イギリス総選挙における労働党の勝利。保守党だけでなく、労働党もイギリス産業の競争力を改善できていない。さらに、EUやユーロに接近するブレアの勝利は、自由市場のより大きな後退を意味する。

4.日本の小泉新首相に対する失望。金融・財政のショック・セラピーを支持するのかと思えば、結局、これまでの緊縮政策を繰り返している。日本が世界経済のエンジンを停止させる恐れが強まった。

5.アメリカ上院における共和党の少数派転落。ブッシュ政権の成長志向政策を破綻させ、鉄鋼保護のような反成長政策に転換するだろう。

もちろん、社会的な公正や環境規制を重視する左派から見れば、これらの政策転換は望ましいことであろう。しかし、いずれにせよ、政策の教訓は学ばれていないのだ。不況に対して議会がしたことといえば、技術関連の株式アナリストを攻撃する公聴会を開いたことだけである。


Bloomberg, 06/18

Can Springsteen Weaken Dollar?

By William Pesek Jr.

Jerry JasinowskiBruce Springsteenにちっとも似てないが、アメリカ製造業組合NAMの会長として``Born in the U.S.A.''をテレビで歌った。彼はアメリカでいちばん有名な、ブルー・カラーのポピュリストにして、ドル安推進論者である。「ドルは25から30%も均衡値を超えている。」「過大評価された」ドルのせいで、アメリカ製造業は競争力を失っている。政府はドル安を進め、アメリカ製品を励ますべきだ、と言う。

しかし、NAMのドル安キャンペーンは、21世紀のアメリカ経済に関して、いくつかの基本的な点で間違いを犯している。@為替レートがアメリカの好不況を決める。Aドル安が経済の拡大に好ましい。B製造業はアメリカ政府の通貨政策を変化させる力を持つ。

オニール財務長官は、アメリカ企業が現在のドルの水準で成功することを確信している。ホワイト・ハウスで製造業に同情するとしたら、オニール氏以外にいない。しかしオニール氏は、ルービンやサマーズと同じように、アメリカ経済が強いドルを必要としていることを明確にした。グローバリゼーションの時代に、通貨価値の信頼を維持して資本流入を促すことは、輸出を伸ばすことよりもはるかに重要である。NAM14,000企業を代表しているとしても、より広い経済が強いドルに依存している。

世界最大の経済が前例の無いほど重要になった株式市場を維持し、金利を低くし、インフレを抑制することでFRBを満足させるには、ドルの価値が確立されていなければならない。「アメリカ当局は、急激なドル安が堪えがたいものであることを、よく知っている。」ロンドンのシティ・バンク通貨ストラテジスト、Callum Hendersonは説明する。ドル安になれば「第一に、単位労働コストが上昇し、石油価格も上昇し、インフレを加速する。第二に、アメリカ資産市場が暴落する。ドル安はアメリカ資産市場の売りを招き、それらが突然に悪循環をもたらす。」

累積する経常赤字も財務省がドル安戦略を採れないことを意味する。GDP4.5%に達する記録的な貿易赤字は、アメリカが今までに無く外国資本の流入に依存していることを意味する。要するに、ドル高はアメリカ政府の好みではなく、死活問題なのである。

製造業は、もちろん、違った考えを持っている。生産の落ち込みと長期の不況に彼らは関心があるだろう。しかし、経済全体はそうではない。アメリカ経済は製造業から情報産業に重心を移した。ニュー・エコノミーにおいて、NAMはますます影響力を失うだろう。

確かに製造業で失業が増えれば、消費者心理も悪化し、連銀は金利引下げを検討しなければならない。それでも、財務省の強いドル政策は維持されるだろう。アメリカ政府がNAMの圧力に屈してドル安政策を採用するとしたら、その結果は破滅であろう。

長期的に、通貨価値を決めるのはファンダメンタルズである。財務省がなんと言おうと、投資家たちは円やユーロで持つより、ドルで持ちたがっているのだ。それはドル安政策を採れなくしている。ドルへの信認が損なわれれば、アメリカの金融政策は破綻し、世界経済は危険な事態に直面する。

財務省がドルの緩やかな、秩序ある下落を、特に円に対して、望んでいない、というわけではない。しかし、小泉首相が改革を進めるなら、ドル高と輸入増加を認めるだろう。NAMがドル高や赤字を批判しても、ワシントンはその不満に耳を貸さない。


Financial Times, Wednesday June 20 2001

Editorial comment: Cavallo's gamble

短期から長期への債券交換には成功したが、アルゼンチンは二重決済システムを導入して再び市場の不安を招いている。

その計画には一定の根拠もある。アルゼンチンは通貨価値をドルに固定した数少ない国であり、ドル高が不況を強いている。短期的には、多くの債務がドル建てであるから、この固定制を放棄できない。そこでカヴァロ経済大臣は輸入関税と、同額の輸出補助金を考えた。それは競争力を回復し、しかも債務者を破産させない。

しかし、ドルとユーロの平均値を為替レートに採用する二重決済システムは、ユーロとドルが均等になった時点でこれら二通貨のバスケットに固定し直したいというカヴァロの長期計画に一致する。しかし、二つの問題がある。すなわち、@為替レートの差が市場の歪みや汚職を誘発する。A金融市場がこの計画を嫌っている。それは金利の上昇を意味する。

こうした問題を考えれば、むしろ為替レートを変動させて一定期間は不況を覚悟したほうがましかもしれない。競争力の問題は解決不可能ではない。アルゼンチンは比較的閉鎖的な経済であり、輸出はまだ伸びている。賃金と価格が一定の期間を経て下がれば、投資が回復して成長できるだろう。

しかし、すでに不況は3年目に入っており、カヴァロが成長を回復させる可能性のあるすべての選択肢を考えるのは当然だ。もし為替レートの改革と財政状態の改善、構造改革の前進が組合されれば、成功するかもしれない。

しかし、それは非常に危険な戦略であることも事実だ。金融市場がこれを受け入れなければ、高金利による負担は貿易収支の改善による利益を簡単に超えてしまう。

(コメント)

New York Times, June 19, 2001 に載った Argentina Moves to Overhaul Peso's Peg to the Dollar” By CLIFFORD KRAUSS は、カヴァロの経済改革の全体像を伝えています。ドルに固定したことは、アルゼンチンの産業にとって強すぎる通貨価値を修正できなくしています。カヴァロはユーロとドルとの均等な釘付けを考えましたが、ユーロはさらに減価し、ドルとユーロが均等になるという条件をなかなか満たせません。そこで、為替レートを経常取引と資本取引とで分離したのです。前者は国際競争力を改善し、後者はドル建て債務の支払いを維持する。

彼は同時にさまざまな減税策を行い、企業の生産コストを削減しようとしています。民営化や財政赤字削減のための社会保障改革、労働市場改革などを海外の投資家は求めていますが、アルゼンチン議会が短期間に承認することは難しいのです。景気を回復させながら、市場改革を実現させたい、というカヴァロの計画に、海外の投資家が理解を示し、時間的な余裕を与えるのか、それとも今すぐに資産を引き揚げようとするのか?

IMFやアメリカ政府がアルゼンチンとウォール街を説得できないとしたら、負の連鎖がアルゼンチンからブラジルへ、そして世界市場へと拡大するのを、誰も止めることはできないのです。


Financial Times, Wednesday June 20 2001

The true price of saving lives

Martin Wolf

ウルグアイ・ラウンドで決められた知的所有権の保護を強めるのは、世界貿易システムに対する重大な批判を招く。特に医薬品に関して、その開発や利用を世界中で知的所有権によって保護することが、満足な答えとはならない。「医薬品を特権的に扱うことで何百万人もの人が死んでいくのは断じて受け入れられない。」

Trips(知的主有権に関する貿易協定)の問題点を理解するには、知識が「公共財」である、という原理に戻る必要がある。それは他人の使用を減らさずに自分も使用でき、一旦、供給されれば、それを使用させないことは難しい。最初の性格は、この財ができる限り広く普及することを望ましいものにするが、次の性格は、この知識の発見者に彼の労苦に対して報酬を得るために一定の保護を与える必要があることを示している。

歴史的に、各国において上手くいった最善の解決策とは、知識に対して一定期間の所有権を認めることであった。それは知識の発見者に対して、知識の利用者の負担で報酬を与える。この取引は有益であることが証明された。

しかし、同じことが国際的には非常に問題を含んでいる。知的所有権を強めれば、後発諸国は指導的な商品や加工方法を真似て新産業を興すことが制限される。より重要なことに、それは消費者に高い価格を強制する。世界の貧しい諸国の多くが、推定される利益を超える損失に直面する。

貿易自由化は、通常、貧しい国により大きな利益をもたらすが、Tripsに関してはこれが正しくない、と言われている。これに反対する研究者もいるが、それでも「救命のための医薬品とコンパクト・ディスクを同じには扱えない」と言う。高価な医薬品は貧しい人々を見殺しにするし、貧しい国の病気を治す薬には十分な開発投資が行われない。

病気には二種類ある。ひとつは豊かな国でも貧しい国でも多くの人が感染している病気(世界疫病)。もう一つは貧しい国の人が主に感染する病気。後者は、彼らが貧しいために世界薬品市場のわずかな割合しか占めていない。

Oxfamが推進しているのは、Tripsにおいて公共医療機関による薬品の供与を強めることである。強制的なライセンスを条件として特許の免責的利用を認めるのだ。もうひとつは、公共の薬品開発投資をふやすことである。ハーヴァードのJ.Sachsが提案しているように、マラリア・ワクチンの一定価格による買い上げを保証することも考えられる。それが研究開発を促すだろう。

Lanjouwは、世界疫病について、豊かな国か貧しい国か、どちらか一つの特許だけを認めるべきだ、と言う。他方では特許が認められず、薬が安くなる。問題は輸出を効果的に取り締まることである。それでも、貧しい国で感染者が多いマラリアのような疫病の開発は進まないかもしれない。

現在の制度は受け入れがたい。世界疫病を撲滅し、貧しい諸国の疫病も民間部門が医薬品の開発に投資できるような制度が求められる。


Financial Times, Wednesday June 20 2001

America is playing fair

Don EvansUS secretary of commerce

アメリカと一緒に、50年以上も続いてきた政府による世界鉄鋼市場への介入をなくすように協力しよう、と62日にブッシュ大統領は貿易相手国に呼びかけた。これは政府の自由貿易原則に従うものである。その目標は世界鉄鋼市場に市場原理を回復することだ。鉄鋼業は政府介入と非競争的な慣行に満ちている。その結果、投資や価格はゆがみ、競争原理に従わなくなっている。

アメリカ商務省は現時点で119の反ダンピングによる補償関税を行い、鉄鋼に関する39件の調査を控え、税金と時間を浪費し、とんでもない苦労をして問題の症状に対応している。アメリカの鉄鋼輸入は記録的水準にあり、この1年で、業界では15000人以上の職が失われた。

その根本原因は世界の鉄鋼産業が、効率性の低い膨大な過剰生産設備を抱えていることだ。にもかかわらず政府は巨大な製鉄所の支援を続け、さまざまな融資を与える。ブッシュ氏の要請は、貿易相手国と交渉して過剰生産力を削減し、補助金をなくす新しいルールを作ろうと言うのだ。それはアメリカの201条による調査や調整を促す産業への一時的支援も含まれている。201条はセーフ・ガード条項とも呼ばれ、WTOが認めた合法的な手段である。国際貿易委員会が輸入緩和措置の要請を審査し、公平な報告を行う。法の基準を満たせば、その産業が競争条件に調整するため、一時的な救済策を講じる。

大統領の目標は等しい競争条件の確立である。アメリカ鉄鋼産業は、過去20年間にわたって厳しい再編を行い、近代化のために5060億ドルを投資し、33万人の雇用を削減した。アメリカ以外では民営化と効率的な操業への改革が行われたが、その痛みはしばしば政府の補助金で弱められてきた。アメリカ産業は、今後も市場の力で改革を行っていくだろう。アメリカと国際貿易の競争を促す法律が保護主義であることは断じてない。


Japan Seeks Talks With China to Avert Trade War

By Clay Chandler

Washington Post, Wednesday, June 20, 2001

中国政府が日本からの自動車・電話・エアコンの輸入に懲罰的な関税を課すことを発表し、日中両政府間で貿易紛争が悪化している。この4月に、日本政府は中国からの長ねぎ・しいたけ・イグサの輸入に一時的な関税を課していた。

中国の関税が日本経済に与える影響は小さいが、北京からのあからさまな報復は日本の政治指導者たちを脅迫するものであり、同様の保護を求める日本の生産者たちを威嚇するものであろう。こうした中国戦略はすでに成果をあげている。小泉首相は中国に注意を発し、アジアの大国同士が全面的な貿易戦争を招くような関税を防ぐ交渉を呼びかけた。

日本経済の指導者たちが中国のしいたけやイグサを一国の防衛と切り離すのは当然である。日中の貿易摩擦は両国の政治的困難とアジア経済の減速によって激しさを増してきた。日本では不況が迫り、7月の参院選挙を前に自民党はあせっている。中国では共産党指導者たちが唱える経済改革と市場開放に、WTO加盟と引き換えに、海外からの競争で倒産する企業が増えると批判が強まっている。

日本にとっても、中国にとっても、微妙な時期である。しかし、明らかに中国の方が大きな賭けである。だから農民たちのことを強く心配する中国の指導者たちをなだめるために、日本政府が「こうした農産物を阻止して、申し訳なかった。」と言うことになるのだ。

今月はじめ、病気を理由にした日本政府による中国産あひるの禁止措置も、中国政府を激怒させた。北京はその決定を「愚かで」「無責任な」「国際的な法律に反している」と強く非難した。その激しい表現とは別に、中国の関税は日本に大きな被害をもたらさない。中国はたった35000台の自動車、2万台のエアコン、40万機の携帯電話しか輸入していない。それは販売額全体のわずかな額である。

The Economist, June 9th 2001