IPEの果樹園 2000

今週の要約記事・コメント

11/6-11

*******************************

アメリカ大統領選挙の結果に注目します。アメリカの新しい大統領が、国際政治経済秩序を変えるカギを握るのです。共和党出身の大統領が、日米協調介入やユーロとの政策協力、資本移動規制、IMF強化、あるいはGlobal Financial Architectureなどに積極的なはずがありません。その減税策や、貧富の較差がどうなるのか、教育問題やマイノリティの不満はどうか。もし彼が国際機関を軽視し、中国を敵視し、台湾独立を支援したり、北朝鮮への関与を大幅に減らしたりしたら、アジアで何が起きるのか。中東和平でも、中南米政策でも、対ロシア、アフリカのエイズ対策、環境政策でも、新しい展開が起きるでしょう。

支持基盤というより、指導理念が変わるからです。最初の10日、そして100日で、新しい政策理念を示し、人事や制度にそれを反映させるでしょう。そして、本当の主人である資本市場が、それを採点するのです。次の投資先は、ヨーロッパか、医療か、中国か、あるいは通貨投機? それを予想して、政府にも、組織にも、国際機関にも、有力企業や金融界の指導者が招かれるわけです。

政治は支配である。支配とは権力である。権力の正統性は、現実を「国益」に沿って動かす能力である。それは選挙だけでなく、むしろ実力主義と説明責任である。それゆえ透明性を重視し、情報を国民に伝え、徹底的に政治家や組織を追求し、説明を求めるメディアが尊敬される。… たとえ、「国益」の中身が既得権の同盟や支配集団の利益拡大、他国への干渉であっても、アメリカの具体的なイメージを感じます。自由な市場競争と権力者の選挙のよる交代。それが<アメリカ>の求める理想です。

New York Times, November 1, 2000

Asia Is Down, but Nobody Is Panicking

By WAYNE ARNOLD

インターネット関連企業に熱狂的に投資したが、こうした企業は市場の低迷で衰退し、残された旧来型の家族支配企業は不透明である。それゆえ、市場の下落が悪循環になる。アジア経済がアメリカやヨーロッパへの輸出に依存していることも、市場の見通しを暗くする。最近のアメリカ企業の減速は、部品を供給しているアジア企業に影響する。

アジアの輸出依存型小国経済は、よほどのリストラをしなければ、他国、特に中国に市場を奪われてしまう。アジア市場を取り巻く、中国要因・石油価格要因(その輸入コストよりも欧米経済の減速)・投資家心理要因・地域伝染要因、が注意を集めている。

しかし、以前に比べれば、インドネシアの改革は大きく進んでいる。地方の住民は米価格の下落で生活を改善しているし、都市の商店にも商品が戻った。民主制移行による不安定さはあるが、経済は回復しつつある。

企業の資金調達を悪化させる以上に、どのような資産効果があるかは予想できない。消費や銀行融資の減少は不透明である。通貨危機はこないだろう。しかし、各国の経済は再生するだろうか?

<コメント>

株式市場が外国、特に欧米投資家頼りであること、需要の回復も欧米への輸出に依存していること、がアジアの見通しを暗くする。アメリカの減速、石油価格高騰、ハイテク株の下落、投資家の不安。

確かに、アメリカが覇権国としてアジアに市場と資本を提供していることは理解できるが、それはアメリカ人の貯蓄からではない。なぜ、アメリカ市場経由でしか投資できないのか? なぜ、アメリカ人しか消費できないのか? そして、アメリカ市場が混乱すればどうなるのか?

アジアで機関投資家を育成し、共同の資本市場を形成し、そのために共通通貨あるいは通貨安定化協定を結ぼうとすることが、なぜもっと進展しないのか? アジアの開発や都市のインフラ整備、アジアの工業力をアジアの市場で、特に日本市場で吸収できる条件は、やはり日本の経済運営にかかっているのだろう。

日本がアジア諸国にモデルとして示せるような、不良債権処理と金融制度改革、そして国際通貨制度改革に矛盾しない、むしろ積極的にその一部となる地域通貨安定化計画があれば、このような欧米市場への依存から自立できるだろう。それが、日本の消費者や老人の貯蓄、国債市場の安定化にも大きな利益をもたらすのではないか。

*******************************

The Economist, October 21st 2000

A role for Europe in Korea

世界中の主要国が、北朝鮮への訪問と国交回復を準備している。中国、ロシア、そしてアメリカも、オルブライト国務長官がクリントン訪問の可能性を交渉しに行った。ソウルで行わせたアジア・ヨーロッパ会議では、EUから来た15カ国の代表が和解への支援を表明した。しかし、言葉はいくら尽くしても金がかからない。今でも世界でもっとも武装された境界線の脅威を減らすためには、ヨーロッパの貢献は少ない。

ヨーロッパは、他国と同様に、食糧援助をし、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)のメンバーである。KEDOは、北朝鮮のプルトニウム生産と核兵器開発を止めさせるためにアメリカが交渉し、韓国と日本が資金を提供してできた機関である。北朝鮮は、プルトニウムを採取しにくい原子力発電所二つの建設と、それが利用できるまで年間50万トンの原油を提供される。

しかし、ヨーロッパの貢献は小さい。ヨーロッパはKEDOに席を占め、将来の契約に口をはさむことを確保して、5年間にたった7500万ecu(今では約6400万ドル)しか出さない。資金以外でも、KEDOは問題を抱えている。合意された2003年までに原発が動かせる見込みは少ない。しかし、このように強い刺激を含んだ制度を交渉しなおすことは難しい。北朝鮮の挑発的行動や、今までのプルトニウムを検査することへの抵抗がある。

もちろんKEDOは追加の資金を必要としている。原発建設に擁する50億ドルのほとんどは韓国と日本が出すだろう。しかし、アメリカは高騰する原油の提供に要する資金を見つけられなくなっている。昨年、それは6200万ドルであったが、今年は1億ドル以上であろう。KEDO自体の資金も2000万ドル不足している。KEDOを進めるために、ヨーロッパが資金提供を3倍や4倍にしても、予算には何の問題も無いはずだが、指導者たちの示す額はピーナツでしかない。

北朝鮮の脅威を再生しないために、ヨーロッパの納税者が負担する額を増やすことは十分にその価値がある。

Wim’s whim

「透明性transparency」は金融市場でも中央銀行でも良く使われる言葉である。しかし、中央銀行はその考えを誰にも悟らせないことが重要な場合もある。ECBのヴィム・ドイセンベルク総裁には、それが分かっていない。ドイセンベルク総裁がユーロ安を容認し、サマーズ財務長官とともに、介入の可能性を否定してしまった。

ドイセンベルクが言ったことが問題ではなく、彼が何か言うこと自体が問題なのである。市場介入は予想されないときにだけ有効である。中央銀行は、曖昧さを残し、沈黙を重視するのである。市場に介入を知らせれば、一方的な投機を許すだけだろう。

ECBは悪循環に陥っている。市場の信頼を確立するために、政治からの独立が強調されている。そのために総裁の交代を政治家たちは議論しにくいし、スキャンダルに関わる疑いを指摘されたフランス銀行のジャン・クロード・トリチェ総裁が継承するのも好ましくない。短期的には、このオランダ人(ドイセンベルク)に黙ってもらうしかない。

むしろ、ドイツ人はECB総裁になれない、というヨーロッパのタブーの一つを打ち壊すべきではないか。ECBがドイツ連銀に支配されない、ということを示し、ユーロが強くなりすぎないために、それは必要なタブーであった。しかし、今やユーロが誕生し、しかもユーロ安が止まらないのである。デフレの心配がないとき、市場の信認を得るためにもっとも適当なのは誰か? それはブンデスバンクである。

The Middle East: Things fall apart

シーク・アベドの丘の上に並ぶ墓標は、レバノン、イスラエル、シリアを背景に、鎖でつながれたフェンスの列の輝きとともに、現実のものとは思えない。魔術師の手品のように、シークの丸屋根はフェンスによって分割されている。

一方には武装したイスラエル兵が立つ。他方では、レバノンから来た若者が踊ったり、叫んだり、フェンスの向こうのイスラエル兵をヘブライ語でからかったりする。それをガーナ人の平和維持軍が見ている。レバノンの少年たちがこんな国境まで来るのは、ヒズボラがそれを支援しているからである。彼らの敵に、いつかこの地をイスラエルから解放する、と教えるために。イスラエル兵は、アラビア語でののしり、銃で威嚇するまねをして、2時間交代の警備を続ける。そして帰宅すれば、疑い無く、アラブに対して最も強硬な政党に投票するのである。

9月28日、リクード党首アリエル・シャロンがイスラムの聖地に踏み入るまでは、事態はまったく違って見えた。10年来の交渉で、地域の平和という考え方が<避けられないものinevitability>として信じられていたのだ。どんな過激派も、妥協、が必要なことを認めていた。

中東和平の不可避性は、1990年代の「新世界秩序」の一部であった。アラブ世界にとって、冷戦後の世界はよりアメリカ的であった。アメリカの軍事力による安全保障が湾岸の原油供給にも拡大し、国連はアメリカの嫌うアラブ諸国を制裁し、アメリカの友好国はより多く援助をもらえる体制であった。

アメリカにとって、和平の目的は明確であった。領土への要求、報復の連鎖を止めること。相互の信頼を形成し、商業的・人道的な交流を強めて、敵と利益を分かち合うこと。それ以外に、現実の選択肢は存在しないのである。イスラエルは、1987-91年のインティファーダで、パレスチナ人を武力で従わせることは不可能であると感じた。そしてアラブ側は、湾岸戦争で軍事的に弱まり、政治的にも分裂した。経済不況とイスラム過激派の台頭は、専制的な指導者たちに和平を急がせた。たとえイスラエルとの妥協が必要でも、実際、すでに昔のレトリックは価値を失っていた。

だから和平交渉という列車は線路を進んできた。しかし、その乗客が減り始めた。小さな領土を回復できたことで、逆にアラファト政府は孤立した。それは、キャンプ・デイヴィッドで、エルサレムのアラブ地区に関するイスラエルからの画期的な妥協を、拒否する結果になった。アラファトは、イスラムの多くの聖地を含む東エルサレムに関する主権をパレスチナ人に約束していた。交渉は決裂し、和平の列車が完全に転覆した。

それは中東におけるパクス・アメリカーナの全体を揺るがせた。流血の衝突が続くことは当然予想された。むしろ驚くべきは、インティファーダが世界に広がったことである。世界のアラブ系住民を激怒させた最初の犠牲者は、12歳の少年であった。ムハマド・デュナは、イスラエルの銃弾からかばう父の努力も空しく、殺害された。そしてアメリカは世界の21の大使館を閉鎖し、アデン港に停泊していたUSSコールの爆破で17人の海兵を死亡させた。

それは宗教的な怒りであった。そして、言葉やイメージであった。アメリカの仲介は、たとえ利他的な動機であっても、アラブ世界の怨嗟を募らせた。結局、イスラエルへの主要な支援と軍備はアメリカから来るのである。何よりもイラクに対するアメリカの差別的な扱いが、アラブ世界には国連決議に従わないイスラエルを思い出させた。パクス・アメリカーナが対イラクで崩壊する可能性がある。エジプトのムバラク大統領など、イスラエルとの和平を求めてきた専制的な指導者たちも、アラブ世界で指導者として振る舞いたい。停滞する経済は外国投資家や観光収入にますます依存するが、国民はパレスチナ支援の声を強めている。

和平交渉が進展するほど、両者の反対派は抵抗を強める。それはしかし、ともに大きなコストを支払うことになる。また、どのような立場であっても、イスラエルの武器の使用は過剰である。イスラエル政府が発砲したがる過激な入植者を許していることが、この破壊的なムードをもたらし、カイロの主婦までアメリカ製品をボイコットしている。

問題の根源に、間違った理解がある。イスラエルもパレスチナも、安全と独立の国家を求めているが、互いの憎しみはそれを認めることができない。


The European Union: All in accord ? on procrastination

EUはクラブの運営を改善できたのだろうか? 旧ソビエト圏に属した諸国の新規加盟で加盟国が15から2倍に増加すれば、40年も前にわずか6カ国で始めた旧運営規則は大幅に変更しなければならない。特に、多数決原理の導入、投票の過重比率見直し、より効率的な委員会設置、加盟国内の異なった統合化、が重要な課題である。

問題は、どのような改革も国によって異なる不利益を生じることである。EU議長を勤めるフランスのシラク大統領は、全会一致がもはや必要でない50余りの分野を多数決原理に移行させることを考えている。しかし、小国の政治家たちはこれをフランスの嫌がらせだと感じている。「5大国」(フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、スペイン)から見れば、20も委員会があるのは多すぎる。それがもし27やそれ以上の加盟国で委員を出すために増やせば、発狂してしまうだろう。フランスは委員会の数に上限を決めて、委員を輪番制にするよう求めている。

しかし、小国にとっては、自国の求める発言を聞ける委員がいなくなり、EUがますます大国に支配されるのは危険なことである。事実、調整された投票システムでは、比例的以上に有利な投票権を小国が得ている。投票権は、4つの小国が集まれば大国に対抗できるように決められた。人口40万のルクセンブルグは2票、人口8000万以上のドイツは10票である。政策の違いが無いときには問題が起きないが、これから拡大によって難しくなる。

おそらく大国に有利な再調整が行われるだろう。加盟国と人口とを基準とした「二重多数原理」が採用されるかもしれない。他方、フランス人はドイツが人口比例制度で優位にたつことを好まない。さらに、新規加盟国と旧加盟国を区別する委員会の「二重制」も採用されるだろう。単独ではないが、拒否権が与えられるような工夫も考えられる。

結局、今も異なった国は異なった優先順位を持ちつづけているのである。


Japanese companies: Another shopping trip

1980年代に、「日本型資本主義」を世界に輸出するはずだった日本からの直接投資は、その後、退潮した。今や変化する世界経済でもっとも顕著な特徴は、日本の巨大企業が投資を減らしていることである。

日本の長い不況が終われば、それも変わるだろう。前回、日本企業は業種を多様化し、経営を持ち込んだ。しかし今回は、市場だけでなく、新しい知識や経営手法を求めている。それで彼らのコア部門を強化したいのである。たとえば日本最大の電力会社Tepco(東京電力)は規制緩和による変化をどのように収益につなげるか、アメリカやヨーロッパから学ぼうとしている。昨年11月に、Tepcoは三菱といっしょにバルチモアのオリオン電力に投資した。

また、日本でも電力の自由取引を予想して、TepcoはアメリカのAutomated Power Exchangeにも投資した。また、電機産業でも、NECや日立は「戦略的提携」や企業買収のためにそれぞれ6000億円と3000億円を用意している、と発表した。彼らは特にインターネット関連企業に関心がある。しかし、株主たちは日本企業の投資に臆病な姿勢を心配している。多くは受身であり、少数株保有である。世界市場のシェア争いは熾烈になっているのに、日本企業は競争を避ける。革新的なはずのNTTドコモでさえ、経営は不明瞭で、その動きは鈍い。


Asia’s rollercoaster rides

もし退屈しているなら、アジアの株式市場に投資すればスリル満点であろう。1997-98年に暴落した後も、2000年3月から再び息を呑むような急落である。しかし、再び金融危機が来ることを心配するアジアの関係者は少ない。短期の対外債務は抑制されているし、外貨準備も増えた。経常収支の黒字が続いたのである。だが、たとえそうであっても、アジア経済のショックに対する脆弱性が克服されたとはいえない。

悲観論者は、アジア経済の回復が電機製品に偏った輸出の増加に過度に依存していることを指摘する。特にアメリカの経済が減速に向かえば、その需要は減少する。また、石油価格の上昇も、インドネシアとマレーシアを除く石油輸入国の景気回復をそぐだろう。

楽観論者は、アメリカの景気が緩やかに減速することを歓迎する。なぜなら東アジアは大幅な資本流出に苦しんでおり、アメリカの金利低下は輸出の減少以上にアジアの利益になる、と見る。それは消費や域内貿易も増やすだろう。1998年後半に始まった前回のアジア株式相場上昇も、これと同じような状況で、金利低下の方が重要であった。

国別に見る必要がある。特に香港は、アメリカの減速と低金利で大きな利益を得るだろう。アジアで最も高い成長を続ける中国本土と結びついており、ドル安は銀行・不動産部門への投資を呼ぶだろう。さらに他の地域から資本逃避を引き寄せるかもしれない。他方、シンガポールは、近隣諸国への輸出が減少する恐れがある。しかし、アジア金融危機の際にも政府は積極的に改革を進めて、最近の四半期には10%以上の実質成長率を遂げている。金利の低下は金融と株式市場に利益をもたらすだろう。

逆に、インドネシア、タイ、フィリピンについてはナイマス面が強い。これらの諸国は資本市場が小さく、民営化も進んでいない。海外投資家はあまり関心を持たず、十分に分析もしないから、目新しいニュースだけで動く。中国、香港、シンガポールが世界経済の減速を無視できるとしても、経済改革の進まないこの3ヶ国ではパニックと資本流出が健全な反応であろう。

マレーシア、韓国、台湾、という中間的な3国がどうなるかに注意する必要がある。確かに債務の削減が進み、20〜30%であったデット・サービス・レシオも6%ほどになった。しかし、これらの経済が電機製品の輸出に依存しすぎているのは明らかだ。また、低金利による利益もそれほど確かではない。台湾では不良債権が増加しており、マレーシアや韓国の改革は不十分だ。マレーシアでは直接投資が回復せず、消費が十分に融資されない。韓国では、Nasdaqの影響で株価が上昇したが、新規に参加した多くの個人投資家も含めて、株価が下落した際の影響は大きいだろう。

Morgan Stanley Capital Internationalの国際株価指数が、12月初めに、韓国や台湾の株式をより多く表示すれば、新しい証券投資を惹きつけるだろう。両国は経済を好転させるために何か材料を必要としている。台湾経済の停滞と、韓国企業が抱える債務は、新しい資本流入で改善されるかもしれない。この二国の経済は、新興経済Emerging Marketsの中で最大であり、韓国のGDP5000億ドルだけで東南アジアの5大国にほぼ匹敵する。

1997-98年のような危機は再現しないにしても、まだひどい急落はあるだろう。

<コメント>

欧米の投資家から見て、アジアはどのように見えるか、という説明である。日本企業や投資家は、もっと異なった見方をしているのではないか? 企業行動や銀行融資に、一定の違いがあって当然である。

欧米に比べて、バブル以前の投資や、各国の自由化以前の投資が、今では日本企業の重荷になっているかもしれない。しかし、中小企業融資やインフラ整備のために政府系の開発機関を積極的に仲介させて、効率性と公平性を高める試みは、今も模索されているようだ。それは正しく機能するのか、それとも日本の援助は膨大な浪費と不正義を温存しているだけなのか?

変動相場制や短期国際資本移動が根こそぎ破壊したのは、長期的な社会の発展、成長への参加と分配を保証する<国民>的な努力、という概念ではないか? しかし、言語ナショナリズムは放棄されたか? 英語と帝国、技術と市場、ルールと文化、世界合成言語と世界治安維持部隊…。


Japanese shares: Southward ho!

10月17日、日本の財政当局はキャピタル・ゲイン課税の改革を来年4月まで延期すると発表した。個人投資家がますます株式を購入しなくなって、株価が暴落することを心配したからである。10月18日、日経225平均株価は19ヶ月ぶりに1万5000円を割った。この2週間で8%、今年に入ってほぼ30%下落している。日経平均は、1989年12月以来、約60%下落した。政治家は皆、経済は回復しつつある、と言うが、投資家は信じていない。

企業の利潤が増えても、景気が回復することを妨げる理由があるからだ。これまでと同様に、失業の増加、消費の弱さ、資産価値の減少、債務累積、その削減による倒産と金融不安の増加、事態はむしろ悪化している。また、アメリカのNasdaq低迷や、半導体市況の悪化、企業収益の見直し、も日本の輸出産業に影響し、株価を下落させている。

主要銀行が株式の持合いを解消して、今年の1月から9月までに2兆円(187億ドル)分の株式を売却した。会計基準の改正も、銀行のバランス・シートを悪化させ、不良債権の圧縮を急がせている。銀行の合併で保有比率が上限の5%を超える場合も、株式を売却することになる。また日銀の金利引上げは、銀行が預金者への利子支払や企業の損失肩代わりをするために、保有株式の売却を必要とさせる。

過去6年間、ずっと株式市場で売り越してきた日本企業は、持ち株の含み損を処理するためにまだ売らねばならないが、株式の買い手がいない。個人も外人投資家もその購入意欲は弱い。アメリカからの投資はハイ・テク部門に集中しており、売却が続いている。年金基金は3月の資産配分に従って維持しているが、このまま下落すれば見直しもあるだろう。企業の株式持合いが無くなり、日本企業が投資家を惹き付けるため株主の利益にもっと注意するようになれば、株価も上昇するだろう。もう10年も、そう言われてきた。