IPEの果樹園 2000

今週の要約記事・コメント

10/9-14

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経済の世界化を統治できる世界政治の実現は困難でしょう。未来の世界経済は、どのような民主主義と両立可能なのでしょうか? 

都市国家の直接討論。機能的な行政権と市民の監視制度。金本位制度・世界資本市場などの自動性。直接行動による独裁者・経営者の追放。地域ブロックにおける交渉のネットワーク。政治家による主権のプールもしくは交換。サミットやG7など、緊急課題への集合的統治。IMFOECDWTOBISなど、目的別の国際官僚制度。InternetによるNGOの監視・情報活動、さらに直接投票。Internet空間での「住民」参加もしくは離脱行動。…さまざまな民主主義の条件が試されるかもしれません。

さらに、世界化と並行して、もっと緩やかな、静かな生活、いわば「田舎の生活」を夢見る人が増えるでしょう。そしていつか、新しい民主主義と革新の抑制が自覚されるのではないか、と思います。…多分、1000年くらい懸けて、世界人口が大幅に減り、戦争も無くなったときに!?

International Herald Tribune; Paris, Monday, October 2, 2000

In Prague, Capitalism With a Human Face

World Financial Leaders Heed Warnings

By Steven Pearlstein Washington Post Service

金融市場で巨万の富を得たジョージ・ソロスが、先週、新しいグローバル・エコノミーを批判した。世界市場の利益により多くの者を参加させる必要がある。なぜなら、そうしなければ、不利益を受けた者たちが政治力を使って世界を支配するだろう、と。

その二日後、チェコ警察に守られたIMF・世銀総会が始まったが、隣のビルには反対派が掲げるスローガンがあった。「自分たちが殺される前に、資本主義を殺せ」と。経済のグローバル化に、世界政治の発展が追いつかない。そこに集まった蔵相や中央銀行家、国際金融家たちも、自由市場を賞賛しながら、慌てて、世界資本主義を飼いならす世界的ルールと規制が必要である、と付け加えた。

サマーズ財務長官は、歯止めなしの世界資本主義か、保護主義による自給自足か、というのは「偽の選択」だ、という。「中間の選択」を模索するしかない。その模索はまだ始まったばかりだ。

アジア通貨危機で資本の自由な流出入を確保させたIMFも、今ではフィッシャー副専務理事が述べたように、金融市場の受け入れがたい浮動性を抑制する政策に向かっている。そして、むしろ、資本市場の開放を緩やかに行う中国やインドを賞賛し、政府や金融システムが資本の自由移動を処理しきれない国では資本自由化を支持しない、という。将来、通貨危機が起きても、アジアで行われたように何もかも犠牲にして市場の信頼回復を優先するようなことは無いだろう、と公式に認められている。

自由貿易への強い支持は持続している。中国も世界市場に参加して成長を高めようとしている。しかし、同時に、世界市場には守るべきその他の価値がある。環境保護や労働者の権利は、世界的な大企業によって重視されつつある。それは「高度なプラグマティズム」である。彼らは世界的なブランドと優秀な労働者を確保するために、それらが重要であると理解し始めた。

自由市場と経済統合は、決して、不可避ではない。世界化の利益は必ずしも自動的に行き渡らない。グリーンスパンが心配するように、もし不況がくれば、アメリカでさえ、世界化の逆転は予想以上に強烈であろう。

The Economist, September 2nd 2000

Japan and China eye each other warily ? as usual

中国と日本の関係には、第二次大戦以来、とげがある。戦争の記憶が恨みを残した。河野外相の中国訪問は、最近の互いの不和をなだめるためであった。そして、中国の船舶が日本の200海里経済領域内を航行することへの防衛庁の不満を伝えた。

それ(経済領域を他国が航行すること)は何も違法ではないが、自民党は中国への16100万ドルの借款を延期する脅しをかけた。中国政府は、日本がささいな政治・軍事問題を1979年以来230億ドルに及ぶ莫大な援助計画に結びつけることに憤慨した。が、決して援助の主に噛み付くことは無いだろう。

彼らは、東シナ海の小さな島(日本式には「尖閣諸島」)の主権問題でも議論しただろう。それは何の解決の見込みも無いままである。

しかし、北東アジアの安全保障問題には重大な変化が起きている。ロシアのプーチン大統領がどのような政策をとるのか分からない。中国との同盟関係を確認したが、彼らは本来、敵同士でもある。中国との軍事同盟よりも、日本との経済協力のほうが、はるかにロシアの関心を惹く。

朝鮮半島の急展開も日中関係を変えるだろう。決して公にしないが、中国も日本も朝鮮半島の統一よりも、分断を好む、と言われている。統一にかかる莫大な費用は、日本に大きな支援を要請することになる。また、歴史的に見て、朝鮮半島をめぐる中国と日本との競争が再燃する。

37000人の在韓米軍の問題も重要だ。中国は公式にはアメリカがアジアから出て行くことを求めているが、個人的には米軍撤退によるアジアの不安定化を心配している。日本でも中国脅威論が強まるだろう。北朝鮮の軍事的脅威を理由に、日本は安全保障政策を正当化してきた。それは中国に対するものではない、と。

日本は中国の軍事的近代化に対して慎重に政策を模索している。河野外相は中国で情報交換を要請したが、回答は無かった。他方、日本に占領され、日本政府の謝罪に満足していない中国は、日本のいかなる軍事的拡張、国際的発言にも、ただちに反応するに違いない。

中国民衆の反日感情は、当然、根強く、政府はそれを利用する。両国政府は外交政策の確かな足場を築くべきである。

/アジアでも、日米枢軸だけで動けなくなってきた。ASEAN+3のスワップ網ができるのか? ミサイルの国際監視・防御システムはできるか? アメリカ大統領選挙で、何か重要な政策変更が起きるか? むしろ、韓国が日本文化を開放したように、ソフト・パワーと経済交流がアジアの新しい世代を変えるのか?

Bonds: Asia’s missing market

「もし時間が戻せるとしたら、私は何よりもバーツ建の債券市場が機能していてほしかった」と、タイの中央銀行総裁は語った。金融危機の後、アジア各国は自国通貨建ての・大規模で・流動的な債券市場の必要性を多く語る。しかし、実現するのは難しい。危機以来、アジア各国の国債発行は3倍に増えたが、それでもまだ発行残高はGDP15%に過ぎない。アメリカやヨーロッパではGDPの半分に達する。

債券市場が無かったので、企業も銀行も短期融資に頼り、しかも危機に弱かった、と言われる。アジアの富豪は長期投資を避けて短期の回収を優先し、あるいは銀行を買収して癒着した。また、ドルや円の融資を海外から導入したが、それは通貨危機を招いた。国債の市場が無いために、投資家はリスク評価の基準を持てず、デリバティブ市場も機能しなかった。債券市場が無いため、老後の貯蓄は銀行預金か危険な不動産投資に頼り、生命保険や年金も魅力的な収益を確保できなかった。

しかし、国債の増発が起きたのは、債券市場育成のためではなく、金融危機を処理するためであった。それが増発されたとは言え、流通市場の売買は行われず、ほとんど銀行が購入して満期まで保有している。国債価格はアメリカなら瞬時に決まるが、アジアでは40分もかかる、という。この流動性を高めるために、香港、マレーシア、シンガポールがリアル・タイムの決済システムを導入した。タイと韓国も債券売買を導入し、値決めや相殺システムを導入した。どの国も障害となる税制や規制を撤廃しようとしている。

それでも、アジアには本当の意味で長期の投資家がいない。債券市場が無かったから保険や年金の機関投資家は育たず、長期投資が無いから債券市場は成立しない。韓国は、アメリカの401K型個人年金信託を販売し始めた。香港も新たに強制型年金システムを開始する。

社債市場の形成はさらに難しい。唯一、可能性のある韓国でも、大宇財閥の破産が市場を後退させた。アジアで社債市場を考えることは無駄である。より厳密な法制度と企業統治が無ければできないことである。そしてそれこそがアジアの問題だ。

Through fire and troubled waters

「有史以来、最大の発明は、火の利用、車輪、そして中央銀行である」と揶揄されたほどの、独立した中央銀行の権力は、世界的な統合化によってどうなるのか? カンサス・シティの連邦準備銀行で、恒例のシンポジウムはこの問題を議論した。

IMFのマイケル・ムッサは、孤立主義への逆転の可能性は小さい、と述べた。しかしグリーンスパンは、もし世界の成長が止まれば、保護主義が復活するだろう、と慎重であった。だが、もし世界の貿易と資本移動が増加しつづけるとしても、世界経済全体としては利益を受けるが、中央銀行の仕事は難しくなる。

まず、一国の金融条件が外国の事情でますます変化する。1990年代前半、豊かな国の低金利がアジア各国に大量の資本を流入させ、アジアの中央銀行が金融引締めや為替レート変動で対処しなかったために経済は過熱し、バブルを生んだ。また、1998年にアメリカが金融緩和したのは、ロシアのデフォルトで信用逼迫が起きかけたからである。

さらに、金融政策の効果や経路も変化する。経済の開放度が高まり、金利の変化は融資を増減させる以上に、為替レートを通じて経済に影響を与える。資本の移動性が高まって、為替レートはますます経済の循環的変動に敏感になった。アメリカの成長経済を目指した資本流入はドル高によってインフレを抑制し、Fedは金利引き上げをしなくて済むが、資産市場のバブルや、債務への過度の依存が生じているかもしれない。

そして金融監督についても、国境が重要でなくなり、世界的な金融機関が誕生して、中央銀行による監視はますます困難になった。

シンポジウムに集まったほとんどの中央銀行家は、高度に資本が移動する時代には、各国は完全な固定制をとるか、もしくは変動制をとるしかない、という説に同意した。それ以外の中間的な立場の国は、通貨危機に見舞われる。しかし、彼らがそれほど変動制を確信しているなら、なぜ膨大な外貨準備を維持しているのか? それはブレトン・ウッズ時代の名残というかもしれないが、輸入額に対する比率はむしろ増えている。何の利子も生まない金Goldや、低い金利の財務省証券を、なぜ大量に保有するのか?

ハーヴァード大学のマーチン・フェルドシュタインは、将来の通貨危機に備えて新興経済が外貨準備を増やすことを支持した。そして、機会費用を減らすには、中央銀行は世界的な株式信託で運用すればよい、と指摘した。

なるほど、良い考えだ? 中央銀行総裁が株価暴落で失った公的準備の釈明をする姿を想像するのも面白い。

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私がインドネシアに行かなかったのは、単に中央銀行が良い返事をくれなかったせいでした。そして、シンガポールのホテルのTVで、ジャカルタの証券取引所が爆破されたニュースを見ました。爆発の規模は、とても民間人のテロ行為とは思えません。移動の飛行機で見た新聞には、ジャカルタの窃盗犯罪が増加したことに市民が怒り、犯人を見つけるとそのまま街頭でリンチしてしまう、と紹介されていました。

タイでは、農民の債務支払い一時停止をめぐって、また銀行破綻の処理をめぐって、政治と裁判とが複雑に入り組んでいるようです。

不良債権処理・銀行システムの再生と並んで、ASEANによる自由貿易圏の設立が論争になっています。自由貿易には賛成ですが、報復よりも補償融資を制度化するほうが良い、と私は思います。

Financial Times October 5 2000

Chuan urges Asean free trade area

By Amy Kazmin in Chiang Mai, Thailand

International Herald Tribune, Paris, Saturday, October 7, 2000

ASEAN Fails To Agree on Broader Link Of Free Trade

By Thomas Crampton

タイのチュアン首相は、たとえ苦しくとも、自由貿易圏を創設して地域統合を進めるべきだ、とASEANに求めた。また、スパチャイ副首相は、この地域を高度情報通信網でつなぎ、e-コマースを活性化することを主張する。

金融危機からの回復を目指すASEAN諸国は、直接投資の流入減少を心配している。多国籍企業・銀行は、政治不安と改革の遅さにより、この地域への関心を失いつつある。他方、中国はWTO参加に向けて改革を進めるだろう。

チュアン首相は、地域協力を進めることで、この地域の利益を守り、投資を引き付けることもできる、と考える。しかし、チェンマイに集まったASEAN各国の貿易相たちは、オーストラリア、ニュー・ジーランドを含めた自由貿易圏の拡大に合意できなかった。

マレーシアのアジズ貿易相は、これは後退ではなく、現実的な選択だ、と述べた。一気に自由化を進めずに、段階を踏んで進む。その一つは、市場開放を遅らせる国を地域で監視する手続きを決めたことだ。

自由貿易圏を頓挫させたのは、マレーシア政府の国産車プロトン育成をめぐるタイとマレーシアの対立であった。それは、グローバル化に対処する根本的に異なった考え方の対立である。タイは多国籍企業に優遇策を採るが、マレーシアは自国産業のために保護策を必要としている。

結局、ASEANはマレーシア政府の要求を受け入れて、2002年の関税率引き下げ(5%以下)期限から、自動車をはずした。しかし、これに強く反発したタイ政府の要求で、保護主義に対する報復を認める手続きも決めた。それによれば、自由化の遅れで被害を被った国は、180日以内にその補償を受けることに合意するか、合意に達さない場合は、その報復として関税を課すことができる。

これに並行して、アメリカの主要企業の代表が、関税引き下げを求めて会議を開いた。

The Economist, September 9th 2000

Poised to sirike?

70年代の石油危機の幻が甦ったのか? 石油の価格は1998年末から3倍以上になっている。政治家がOPEC諸国に増産を呼びかけ、フランスではガソリン・スタンドに長い行列、燃料の値上がりに抗議する運送業者による道路封鎖。しかし、過去3回(1974年、1978年、1990年)の高騰時に比べて、インフレや失業を心配する声は聞かれない。石油は当時ほど重要ではなくなったからか?

そもそも石油価格が高いのは、OPEC以外の理由による。アメリカの石油在庫が24年ぶりの低水準に減少した。予備の供給能力も不足し、世界経済の好景気は続いている。そして北半球は冬に向かう。そこで、短期的には上昇するしかなく、世界経済に深刻なダメージを与える危険がある。

過去の石油危機に比べて影響は小さいと考える理由は、第一に、石油価格の下落後に上昇していることがある。第二に、石油の経済における重要性は低下している。第三に、まだインフレは抑制されている。しかし、もしさらに価格が上昇し、長期に及べば、その影響は深刻になるだろう。また、石油輸入に依存する新興経済などでは、影響が大きい。

石油価格上昇の影響は、政策対応によっても変わる。アメリカのFedECBには、非常に異なった反応が見られる。すなわちECBは金利を引き上げたが、Fedは据え置いた。中央銀行は二つの力を比較している。一方で、石油の高価格はコストを引き上げインフレをもたらす。他方で、それは課税と同じように消費を抑制し、インフレ圧力を減らす。Fedはアメリカのインフレはヨーロッパほど賃金に反映されない、と考えている。しかし、金利を据え置いたことで、実質的な金融緩和を許したのは、アメリカの現状に不適当であった。来年、いっそう急激な引き締めを必要とするかもしれない。

もし石油価格の上昇で金利引上げが必要なくなったと考え、貯蓄率低下や経常収支赤字を無視して、投資家がさらに株価を上昇させれば、それは株価の暴落というはるかに深刻なリスクを犯すことになる。

Europe and America: Weathering the storm

コソボ以来、ヨーロッパとアメリカの関係は険悪になっている。大西洋の同盟内で何が起きているのか? もし刺激的な説明を聞きたければ、「第二の冷戦」をめぐる議論があふれている。アメリカの世界支配に対抗して、ヨーロッパは「さらなる内部の統合」を進めよう、と。他方、アメリカ人は、ヨーロッパは次の危機が起きてアメリカの保護を求めに駆け寄ってくるまで、アメリカの支配について嘆くだけだ、と答える。「大西洋同盟の世代は死んだ」とアメリカのジャーナリストは結論する。

しかし、同盟はまだ生き延びるだろう。コソボではヨーロッパの軍事的な弱体さが判明した。その内部のバランスは変わっても、共産主義崩壊後10年たっても、世界は新たなパートナーシップを必要としている。今日、何をなすべきか、は、30年後の2030年に何が起きているか、まったく異なる姿を想像することではっきりする。

2030年の世界にも、三つの基本的脅威は存在する。ヨーロッパとアメリカは世界の他の地域に同じ問題を抱えているだろう。第一に、神経症のロシア。しかし、ほとんど起こりそうにない。第二に、西南アジアのイスラム原理主義。大量破壊兵器が国際的に拡散している。北朝鮮や中東、インドネシアの分裂、アフリカ、セルビア、など、小国や集団が核兵器や化学兵器を使用するかもしれない。第三に、中国の拡張主義である。単一政党の支配は強固なイデオロギーを必要とし、世界の秩序を再定義しようとする。1930年代の日本がそうであったように。ナショナリズムに外交政策を支配された国は、経済的なコストを無視して国際的な要求をする。

しかし、こうした懸念は実現しないかもしれない。その場合、アメリカは唯一の超大国となっている。超大国というのは、その性質上、権力を乱用しないように監視する必要がある。それゆえ、ヨーロッパに対抗勢力としての役割が期待される。しかし、アメリカは束縛を受けた巨人であり、内部のチェック・アンド・バランスが権力を制限している。

もちろん、政策や目的の違いは、バナナやホルモン投与牛肉、エアバス問題で、アメリカの嫌がらせを生じている。民主主義や社会的公平さ、文化的な優越感などが、摩擦をもたらす。それでも、両者は民主主義を確信し、経済においては自由市場を堅持している。その関係は、過去50年を通じて、ますます強められただろう。「西側」の概念は生きている。

大西洋同盟はどうなるべきか?

1.さほど遠くない将来、必要となるであろう軍事的な協力関係を、互いに重視するべきだ。EUは、コソボ危機に対応できないどころか、もっと小規模の衝突にも軍事的な能力が不十分であり、より多くの軍事費や、その効率的な使用のための軍の統一が必要である。それには長い時間がかかり、まだしばらくはヨーロッパ内の問題にもアメリカの協力を必要としている。

2.NATOの再定義が必要である。両者は深く協力して守りあってきたのであり、ヨーロッパ外部の共通利益に対しても協力すべきである。折る無頼と国務長官を含む多くの人が「グローバルNATO」に言及した。そのような再定義によって、両者のよりバランスのとれた関係が再建できる。

3.新しい同盟関係は、より明確な意思決定手続きを必要とする。現在のNATOが、ヨーロッパの問題にアメリカを関与させることを目的としている限り、アメリカが最初に提案し、それをもとに合意を探るという手続きには一定の根拠があった。ヨーロッパが軍隊を統一できない間は、何らかの妥協策が必要だが、両者はより合理的な手続きを必要としている。他方、アメリカ議会の承認にも一定の限界がある。

同盟が緩やかに変化することで、NATOは軍備の共同管理や軍隊の協同訓練のように、加盟国が軍事力を引き出せるプールになるだろう。それを背景として、湾岸戦争のように、アド・ホックな同盟が形成されるのである。ある作戦ではヨーロッパが指導し、他の作戦はアメリカが指導する。両者の共通の利益が、創設以来、その戦略や政策を結び付けてきたのである。

200年にわたり、ヨーロッパとアメリカの民主主義は、世界の他の誰よりも、多くを共有してきた。その関係を思慮深く再編すれば、将来も大西洋同盟は難局を乗り切れる。

/日米同盟の見直し論と比較するだろう。日本はわずか50年余りの同盟者でしかない。むしろ、アメリカは将来のアジアを「勢力均衡」の復活として見ているようだ。

日本も、アメリカより中国と組んで、アジアの地域統合を目指すのではないか? と話したとき、アメリカの研究者は、日本政府は中国共産党とどれほど基本的な価値や意見が一致するというのか? と、まったく相手にされなかった。

OPEC and the voice of doom

OPEC加盟諸国は30ドル以上の石油価格を維持したがっているが、それは大きな間違いだろう。わずか2年程前には石油価格が1バレル当たり10ドルで、OPECは解体寸前であった。いまや石油価格は30ドルを超え、低下する気配もない。OPEC40周年は歓呼で迎えられた。

しかし歴史は警告する。高価格は消費国にインフレをもたらし、中央銀行の引き締めで、石油価格は再び下落する。小売価格の上昇は、今週の抗議活動が示したように、販売店に苦難をもたらす。

サウジ・アラビアはこのことを良く知っている。そして「石油市場が均衡して価格を安定するため」石油の放出を160万バレル増やした。もしそれが本当なら、石油市場の管理は簡単である。しかし、サウジの呼びかけで何度かOPECは供給を増やしたが、石油価格は高いままであった。

新しい「管理」価格メカニズムに関する論争も起きている。3月での会合で、大臣たちは1バレル当たり22ドルから28ドルという変動幅で、石油価格を安定させる新しい計画に合意した。7つのOPEC原油からなるバスケット価格が22ドルを20取引日以上にわたって下回れば、カルテルは150万バレルの生産を削減し、逆に28ドルを超えれば、自動的に50万バレルが追加される。

歴史を見れば、しかし、20年前のインドネシアでの20周年記念総会で、大臣たちは石油価格調整メカニズム案を壊していた。この計画は、どの価格からクローリングしはじめるか、という点で合意できなかった。

それは繰り返されつつある。6月半ばまでに、上限価格を20日以上超えていたが、OPECは自動的に50万バレルを追加放出しなかった。結局、わずかに各国の割当量を増やしただけであった。たとえ決定できたとしても、実際に市場に追加されたのはわずかであっただろう。数字にはごまかしがある。割り当ての増加はすでに行われていた協定違反を追認するだけである。しかも、石油市場の加熱は各国の供給余力を減らしており、サウジ・アラビアにしか増産余地はない。価格維持メカニズムはうまく機能しない。一方で、産油国の利益は非常に大きく。他方で、消費国のダメージも非常に大きい。

サウジは石油価格を一方的に変える力を持つが、しかし、OPECの統一を保つことに大きな政治的利益も持つ。祭事はまた、石油の放出が早すぎで価格を暴落させることを恐れている。

世界最大のアメリカ市場が逼迫しつつある。暖房用石油の在庫が何年ぶりかの低水準に落ちている。OPECが今すぐ増産を決めなければ、冬場の価格上昇は避けられない。クリントン政権は石油の戦略備蓄を放出するつもりだ。

20年前に価格メカニズムを合意できなかったとき、サウジの石油大臣であったヤマニ氏は、石油過剰を予測した。消費国の節約と非OPEC産油国の増加、カルテル内部の対立。そして石油価格は暴落した。「1999年に石油価格の調整に失敗したOPECは、もはや価格上昇を止められない。この冬もさらに高価格を続けて、しかし、2001年には価格が下落し、より長期にわたってOPECは恐ろしい目にあうだろう」と彼は警告する。