演習A<秋>2001-1
序 テーマと目標
政治科学者は国際関係をどのように理論化するか?
国際政治経済の、基本的な概念や分析手段、を解説する。
(注)国際関係論、国際政治経済学、と言い換えても良いと思う。
なぜ国際関係を研究するか?
なぜ人々(あるいは国家)は敵対したり、協調したりするのか?
行動パターンを理解し、因果関係によって世界(さまざまな事例events、もしくは意思決定・行為の集まり)を理解する。
なぜそれは起きたが、それ以外ではなかったか?
いつそれは起きるのか?
他の主体はそれにどう反応するか?
その他、多くの問題がある。
理論やモデルは、世界を単純化している。:事例に影響している最も重要な諸力に焦点を絞るため。
未来を予測し、未来を制御する。
人間の行動を予測することは、非常に難しい。:政治科学は、決して純粋な科学ではなく、本質的に社会的である。
国家の対外政策に提言できるか?
政治家は、ある側面を強調し、他の側面を無視することで、一定の因果関係を示し、それに影響する政策を支持する。
国際関係と国際政治経済
歴史家やジャーナリストと異なり、政治家学者は因果関係を重視する。:歴史家は過去の因果関係を解釈し、ジャーナリストは一定の結果を導く因果関係を強調する。
明瞭な形で、因果関係を示すこと。
一般化できる関係を探すこと。
知識の限界、命題の有効性が及ぶ限界、を知ること。
理論とは何か?
Waltzに従って、<法則>と<理論>とを区別する。
<法則>は、観察によって、変数と変数の間に見出された関係。
この場合、変数とは、事例の原因や結果と関係ある諸力や諸要素を意味する。:独立変数と従属変数。
国家や、その他の主体の行動について、さまざまな違いを説明する。:比較政治学
<理論>は、変数間の観察された関係について、それを説明する推測の過程。
因果関係と蓋然性とが、理論を判断する上で重要になる。
なぜある叙述・説明を採用し、他の叙述・説明は否定されるのか?
理論の質
理論化によって、現実から多くのことが失われる。理論が備えるべき性質は何か?
1.正確さ:焦点を絞った独立変数が、適切でなければならない。それは常に論争の余地がある。
2.一般性:理論は、特定の事例だけを説明するのでなく、多くの事例に適用できなければならない。
3.簡潔さ:理論は、単純、明解、適切な説明を示す必要がある。できるだけ少ない変数で説明するほうが良い。
4.可謬性:理論が依拠する事例や、因果関係は、それについての知識や推論が間違っている可能性を持つ。それが間違っていないという根拠を明示しなければならない。
Kuhnによれば、パラダイム・シフトは、それが間違いであると証明されたからではなく、確信の変化や心理的な転換によって生じる。
これらの要因は、互いにトレード・オフになる場合がある。たとえば、正確さを追求すれば、一般性や簡潔さは失われる。
証拠は、常に一つ以上の理論を支持し、どの理論にも支持と反対の証拠を集めることができる。
歴史的な事例は、むしろ過剰決定である。多くの要因が説明に関係しすぎている。
好みの問題だ! 選択せよ。
理論の課題
理論の4つの課題:1.叙述、2.予測、3.診断、4.提言
マルクス主義:『共産党宣言』
仮説もしくは前提:それ自体が理論の一部
理論の分類
理論構築に共通する様式:学派、パラダイム、アプローチ
人間性への確信:@性善説のアイデアリスト、対、A利己心や支配欲を重視するリアリスト、どちらでもないBラディカルもしくはマルキスト
他にも、リベラリスト、コンストラクティヴィズム(構成主義)、インスティテューショナリズム(制度論)など。
理論類型か、分析レベルか?:理論によって強調するレベルが異なる。
ミクロ理論とマクロ理論
分析レベルのヒエラルヒー:個人・官僚・国内政治・国民性・国家・国際システム
(補)研究方法の問題
方法としての比較:
純化・理念型・モデル:
拡大と延長・強い事例:
本質:
要素還元:
権力・支配・分配:
生産・富・分業:
選択の問題:
集合行為論・合意形成:
強制と拒否権:
寡占市場・ゲーム理論:
エイジェンシー・取引コスト:
制度とは何か?: