Tue, 16 May 2000, 5:59pm JST
BIS総支配人:IMFと世銀に役割変化を求める
ワシントン 5月15日(ブルームバーグ):国際決済銀行(BIS)のクロケット総支配人は15日、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の役割について、危機発生後に融資を行うのではなく、その権威と経済に関する専門知識を危機に陥る可能性のある国の金融システムの機能改善に適用すべきとの見解を示した。
同総支配人は、緊急融資ではなくこのようなルールを適用することで、将来の経済的メルトダウンの影響が一段と効果的に緩和されるとしている。
IMFの役割については、サマーズ米財務長官も見直しを求めており、長期融資ではなく金融危機への対応に特化するよう主張している。
同総支配人は、現時点では政府間の合意ではなく金融市場がルールを策定しており、IMFや世銀、世界貿易機関(WTO)の創設につながったブレトンウッズ協定は時代遅れになっていると指摘。「為替相場や流動性、資本流入を決定するのは市場だ」と述べ、結果としてこれら機関の役割は変化が必要になっていると語った。
原題:IMF Should Advise, Not Spend, to Solve Crises, Crockett Says(抜粋)
記者:ワシントン Mark Drajem
翻訳:東京 本間 さおり Saori Honma MK
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(コメント)
BISは、中央銀行間の相互協力を通じて、国際通貨・金融システムの安定化を目指してきた。IMFと違って、加盟国による財源負担がないことが、むしろ市場重視の安定化を率先して実践してきたという自負につながっているのかもしれない。
しかし、通貨危機か、さもなくば国内金融制度改革か、という形で、市場圧力を各国への強制として利用する姿勢は、BISに従えば通貨危機を防止できるのか? という疑問にもつながるだろう。国際資本市場自体が「正常に」機能する条件を、通貨危機の圧力におびえる国だけでなく、むしろそれを増幅する先進諸国の政策や制度に対しても、要求するべきではないか。