56()

9時45分からDriving Test運転免許試験を受けた。妻が子供たちを小学校へ送って帰ってきたのを待って、9時前からDMVで待った。時間があるので付近を走っておいた。

今日の試験官は男性で、時間も短かった。Lane ChangeがUnsafeとして特に注意された。それでもぎりぎり76点でPassだった。やっと取れて、ほっとした。

EMU: Brave New World or Paradise Lost?

1時からLane RoomでEMUについてのPanelがあった。報告者はBenjamin J. Cohenを中心に、M. GordonとD. McKayの3人だった。

まずEMUの誕生について、今日はどういう日かをProf. Cohenが説明した後、初めにProf. Gordonが否定的な意見を述べた。彼は数年前の著書で、イタリアやスペイン、ポルトガルなどの加盟などとんでもない、という結論を述べたらしい。そもそも政治的プロジェクトとしては、Legitimacy正統性が欠けているのだ、と。では実現しつつあるEMUをなんと見るか?

それは物的な集中化であるか? そうでもないだろう。中央政府は存在しない。議会もないし、統合されたIdentityも持ってない。

中央銀行の設立としてか? しかし金融政策は自立できるか。失業が増えたり、福祉国家の削減が問題になる。労働市場は地域的であり、決して統合されていない。

結局、Loose Moneyの供給、政治的な銀行の設立ではないか。もちろん、ドイツは反対しているが。

これに対してProf. McKayが肯定的な見解を示した。まず、経済学者の言うEMUの利益(GDPの1%以下)は小さすぎて話にならない。EMUは均衡を破壊する政治的な行為であるから、それを計算するのに経済学は適当な方法を知らない。これはShockなのだ。なぜ統合するのか? 機能主義者は相互の貿易拡大が統合につながると考えた。制度的な理論もある。もちろんEU官僚制度の力学が働いている。ドイツは外交においてこの統合を支持してきた。アメリカや日本との技術格差を強調する情報の多くは間違いだ。≪何を主張していたのかは分からなかった。EU統合(その一部であるEMU)自体は独自の域内政治過程だといいたいのか?≫

Prof. CohenEMUが可能か不可能かについてYesであり、Noだ、と説明した。EMUはドイツ再統合をフランスが受け入れるための条件だった。もちろん、ベルリンの壁が崩壊する前から、One Moneyの議論はあった。しかし、利益は小さく、リスクは大きかったから、政治的な支持は得られなかった。非常に異なった性質の11カ国の経済が単一の金融政策を実行することは、非常に難しい。アメリカの各州を見ても同様であるが、それは労働力の高い移動性と連邦予算の大きさで緩和されている。EUにはできない。そこでフランスはEuro Round(11カ国を参加させる拡大政治勢力)を使い政策を変えようと狙っている。財政規律の問題も同様だ。≪EMUは実現しても、その将来には否定的≫

若干の質問があった。規律が失われるのか?Going to the Loose? :Gordon/何が起こるのか? Crashではないかもしれない。しかし、誰がEUのために税金を納めるか? EMUが可能だとしても、財政は非常に地域的な政治の問題だ。:McKay/事実上、それはドイツの問題であり、ドイツは支払うだろう。ドイツは不況の周期をEMUにより改善され、ドルの支配からのもがれられる。もしEMUをここで潰したら、そのコストは非常に深刻だ。実際、イタリアがなりふり構わず通貨を切り下げるのを、EMUは抑制している。誰が利益を得るのか。

政治はそれほど地域的か? :Gordon/政党は各国でしか活動していない。EUについての協力関係はない。EUレベルの政治勢力は無い。

今朝もドイツの通貨は上昇し、株価も好調だ。市場はEMUをそれほど悲観していないのではないか? 他の選択肢はあるのか? Bundes Bankがドイツ+の形でECBになるのではないか?:Cohen/通貨問題では各国に選択肢はない。財政政策ではある。完全な連邦財政と、各国財政の協調とを両極として。:McKay/ECB中央銀行の設立はフランス・ドイツ的な経済観であり、現在、支配的なAnglo-Saxon的市場観と対立している。Gordon/政治的な態度・価値観が各国で異なっている。

地域統合は大きすぎるのか、小さすぎるのか? 規模の問題。: Cohen/利益はMicroで生じるが、コストすなわちリスクはMacroの政策問題をもたらす。進行中の得失計算は現実のものではない。:McKay/現在の楽観論はShock型の規制緩和を経なければならない。その時の政治的反動は非常に大きいだろう。

そして、政党だって変わるかもしれない、ドイツの世論が分裂する、地域通貨には地域主義が必要だ、などの話があったが、理解不十分で書けない。

<付記>

アメリカの研究者は一般にユーロを支持しなかった。Martin Feldsteinは、不況によるユーロ崩壊のシナリオを明言した。Bergstenの三極管理体制論やWilliamsonのようなターゲット・ゾーン支持は例外である。最適通貨圏による経済学者の議論は、ユーロの将来と政治の暴走を悲観した。他方、政治学者は経済的なコスト・ベネフィットの議論を狭隘であるとして拒んだ。

アメリカが好調でドル高であれば、アメリカ向け輸出が伸び、EU経済の内部対立は少ない。しかし、アメリカの景気が悪化し、ドルが安くなれば、輸出が減少して経常収支は赤字となり、しかもドイツ・マルクへ資金が流入して、ヨーロッパの弱い通貨は為替レート維持に苦しんだ。2001年にも、こうした展開は繰り返されるかもしれない。

ユーロ圏Euro-landがアメリカ・ドルから本当に自律したのであれば、逆に、成長を加速させて世界経済の調整役を目指すこともできる。もちろん、エマージング・マーケットと違い、ユーロ圏の経済が決して輸出拡大によって維持されているわけではない。

アジアや日本はどうだろうか?