業種別

 

1製造業

1-1京都の製造業の産業構成からみた特徴

・自動車・石油化学・鉄鋼などの大規模な装置産業や自動車産業による粗付加価値額構成比率が低く、また港湾を有さない内陸都市という2つの条件を満たす都市の中では、京都市は製造品出荷額・粗付加価値額ともに実質的に全国1位となることがわかる(図表3・図表4・図表5)
京都市企業は設備規模や立地条件の面で必ずしも有利とは言えない中、技術開発、生産方法や市場のニーズ把握に工夫を重ねて、付加価値の向上に「知恵」を使い、他の都市よりも優位に経営を進めている。

1-2京都の製造業の付加価値からみた特徴

・同等規模では京都市は全国よりも労働生産性が十分に高く、従業者1人当たりの付加価値額が高い。

・京都市の産業は、大規模な装置産業型でないにもかかわらず、高い付加価値率を実現している。

1-3京都の製造業の業種多様性からみた特徴

・京都市の産業構成は、付加価値額で見ても突出した一業種による偏りは目立たず、業種の多様性が豊かである。(図表8)

→異業種の知恵との接触機会を、自社事業の周辺に容易に獲得することができ、従来の発想からでは導き難い、新製品や新技術開発に結びつける活動をしやすい。


2商業

2-1京都の小売業

・小売商品販売額は人口に比例して大きくなる傾向が見られるが、京都市は神戸市よりも人口が少ない中、神戸市の7位を上回る順位となっている。

上位20都市の小売年間商品販売額と人口の相関で見ても、京都は全体の近似直線より上位にプロットがされ、人口に対して小売商品販売額が高いことがわかる。(図表10)

・小売年間商品販売額について分析すると、京都市は昼間人口(常住人口に対し、通勤通学による流出入人口を考慮した人口)1人当たりでは1位、売場面積1²当たりでは4位とその順位は向上する。

昼間人口には、観光客数は含まれないため、正確な購買者数ではないが、これらの結果から1人当たりの消費額の多さや、売場効率の高い販売状況が推察できる。

2-2京都の小売業の特徴

・可能な統計データから推定する小売業の特徴として、購入金額や単価の高さ、すなわち付加価値の高い小売業という優位性が推測される。(図表14・図表15)

2-3京都のブランド力

・現在、「地域団体商標」では全371件(20083月時点)の登録が認可されている中、京都は50件と全国1位の登録数を誇る。

京都に多くの魅力的な商品やサービスが存在し、京都の地域ブランドが高い価値として生産者側に認識されていることを示していることがわかる。(図表16)

・民間会社(ブランド総合研究所)で実施されている国内の市区町村を対象にした認知度、魅力度、イメージなどの項目からなる「地域ブランド調査」の結果では、「産品購入意欲度ランキング」で京都市は1位。

全国の消費者にとって、京都の産品が魅力的であることがわかる。



図表6.京都市の製造業粗付加価値額推移

出所:工業統計「概要版」データ(経済産業省経済産業政策局調査統計部)

※京都市企業の2006年平均従業者規模23名

図表8.都市 粗付加価値額の業種別構成(平成18年)

出所:平成18年工業統計「市区町村編」データ(経済産業省経済産業政策局調査統計部)

図表10.小売年間商品販売額と人口相関図(平成16年)

出所:平成17年国勢調査(総務省統計局)