5月16日レポート
13063158 法学部政治学科2回生 佐々木麻子
薬膳には中医学の四大学説が必要と言われている。まず一つ目は「蔵象学説」である。これは肌などの体表、つまり内蔵の外部に反映する生理、病理現象の相互関係についての学説である。二つ目は、物事についての陰陽を考える「陰陽学説」である。具体的には臓腑組織、病理バランス、薬性、薬味などであり、これらの陰陽バランスはほとんどの場合どちらかに偏っている場合が多い。そのバランスを調節するように食材を組み合わせることが薬膳においては大切なこととされている。三つ目は「五行学説」とよばれる地球上の物質を5つに分け、その相生相克を考える学説である。この五行説の運用は「自然界と人体を結合させ、また、人体の各部分を結合させて総合的な治療法則を制定し、身体の相対的動態バランスを保たせる」事にある。最後に四つ目は、「経絡学説」である。経絡とは、人体の循環反応系統、つまり気の通り道である。経絡は「経」と「絡」の二文字にそれぞれ意味があり、「経」は主脈(を含む動脈)のことで、生命活動の基本となる気や血を運ぶ脈、「絡」は支脈(を含む静脈)のことで、経脈から枝分かれしで網状になる脈である。
また、薬膳には「五大学説」というものも存在する。一つ目は「相関学説」と呼ばれる、味、形、気、精と人体の五臓の相関関係についての説である。ここでの味とは飲食五味(酸、苦、甘、辛、塩)の総称であり、また、形とは人体の形態、気は人体の生理功能、精は食物の消化から生じた栄養で、生命の基礎のことである。二つ目は「調和学説」である。飲食有節(食べ物の質と量を適当にし、満遍なく少量にするのが良い)と五味調和の理論がその基礎となっている。三つ目の「結合学説」は医療と食養の結合についての学説である。病気になったとき、症状が軽いうちは食によって体の回復を助けることが出来るが、どうしてもその治療のために薬(漢方)を使用しないとならない時がある。その際、薬と食の切り替えについて、つまり「いつまで食だけでの治療をし、どの時点から薬に頼るようにするか。そして、いつまで薬を使い、どの時点から食での回復サポートに戻すのか。」ということについての学説である。四つ目は「帰経学説」である。この学説は、飲食の性味と帰経の関係についての説であり、食べ物が体内のどこへ入ってどのような効果をもたらすのかを示している。最後は「宜忌学説」という、飲食と体質、飲食と病状、飲食と薬物、飲食と食物といった、飲食宜忌についての説である。
食べ物には五行相関が存在し、それぞれ季節や五味があり、相性相克関係にある。しかしそれぞれに相性相克が存在するといっても、その一関係間のみで体内バランスの崩れが起こるのではなく、一箇所に不具合が生じれば体全体にその影響がもたらされるのである。したがって、健康や食膳について考えるときは一箇所のみに集中せずに全体のバランスについて考慮することが必要である。