4月11日 薬膳概論
13063158 法学部政治学科2回生 佐々木麻子
薬膳とは、「東洋医学に基づいた予防医学的食養生」である。東洋医学では、まだ病気になる前の状態である「未病」と呼ばれる状態での食養を重視している。「未病」の状態での症状改善が健康を保つためには重要であり、ここが人間の状態を「健康か病気か」の二極で見る西洋医学との一番の差である。
薬膳は旬の食材をバランスよくとることで自然治癒力を高め、病気になりにくい体質を作り天寿を全うする為の「医食同源・薬食同源」を基本理念としている。ちなみに東洋・西洋の両医学において、天寿は成長期間の五倍の年月である120歳であるとされている。そこにおいて重視されるのは、個人個人の体質に合わせた食事をとることである。例えば、戦後日本では、食生活の欧米化によって肉が流行し、それに伴って生活習慣病や大腸がんが増加した。これは欧米人と日本人は腸の長さが違うため、それぞれ身体に向いている食べ物も違っているからである。
「陰陽五行説」も薬膳において非常に重要な意味合いを持つ理論である。陰陽論とは、自然界(宇宙)は、相対する二つの現象から成り立っているという考え方である。例えば陰は地、冬、陽は天、夏といった様なものである。人体の構成物質である気(生命エネルギー)や血、津液(体内の正常な水液)も陰陽の関係であると考えられ、薬膳ではそのバランスが非常に大切とされている。また、五行説とは、地球上のものを5つに分けてそのバランスをとることである。例えば五性である熱温平涼寒、五味である酸苦甘辛塩、五臓である胆心脾肺腎などである。五性とは食物が身体を暖める、または冷やす作用を表している。薬膳では、それらを季節によってうまく使い分けて食膳を行うのである。また、五味はそれぞれ異なった効果を発揮し、互いに及ぼす影響の良悪の相性がある。調理の際には、食材の効果の相性も考える必要がある。
東洋医学は人の身体を流動的なものと捉えており、一人一人もまたそれぞれ異なった性質を持つものであると考えている。そのため、薬膳においては、個人個人の体質を考慮したうえで、その時の季節や体の状態をよく把握し、陰陽のバランスを考えなければならないのだ。