能プロジェクト〜小学生のための能楽入門プログラムの開発と研究                                                      
   同志社大学


プロジェクト

報告



能プロが目指したもの

活動報告

活動の検証

能プロが生み出した価値とは


画像&映像

春学期

秋学期


メンバー紹介

杉田 紫野

中谷 裕美

二階堂 高志

稲葉 巧

吉田 蘭

瀬戸 慎之助

大元 寧子

高崎 扶美子



山田 和人(科目担当者)

弘田 一恵(元能プロTA)


協力者


リンク

第1回WS総括文書

 

第2回WS総括文書

 

 

 

 

 

一般の「能楽WS」リサーチ報告

 ここでは、行政や、地方団体、学校などの他団体がどのような能楽WS(ワークショップ)を開いているのかを調査し、能プロとどのような点で異なるのかを検証する。私達は調査対象を能楽師主催のWS・小学校主催のWS・京都府主催のWS3つに絞り、それら他団体がどのようなWSを行っているのかをリサーチした。なお、情報の根源は能プロメンバーが参加したWS及びインターネットであり、調査範囲が限られていることをご了承の上ご覧頂きたい。


まず、私たちがリサーチした中で、他団体のWSの特徴と言える点をあげよう。まず1つ目の特徴は、装束・面・楽器などが使用されることが多いということである。特に、能楽師・行政が主催しているものはそのほとんどが大々的なもので、装束・面展と題して多数の品を出展することが多い。楽器を用いてのWSでは、参加者に音を聞いてもらうだけではなく、直接手に取ってもらったり、また、参加者に楽器の使い方を教えるといったWSもある。


2つ目はWSの実施期間である。WSの実施期間は1日単位のものが一般的ではあるが、月に2回、毎週何曜日などといった頻度で能楽体験教室を開き、数ヶ月・1年間かけて能を学ぶという趣旨のWSも存在する。この手のWSでは、座学という形ではなく、参加者が自ら体を動かして何か能に関するものを習得するということが多いようだ。


3つ目の特徴として、専門性が挙げられる。この専門性は能についての知識及びWSの企画を作り出す能力を表す。他団体は、能楽師本人をはじめ、扇・装束職人を招いて解説をしたり、能に精通する教授・専門家の講演を開くことが一般的である。


 そのため、どうしてもプログラム内容が固定的かつ普遍的なものになってしまいがちである。また、WSの時間も厳格に決められているという印象を受けた。決められた時間内できちんとWSが終了するようになっている。(4つ目の特徴)
対象年齢については、大抵の他団体は比較的幅広い年齢層を対象にWSを行っている。小学生、中学生、高校生というように幅広い範囲で参加者を指定していた他団体も見受けられたが、それより狭い範囲を対象にしたWSはなかった。(5つ目の特徴)

 
 上記に述べた特徴を表したものが下表である。

☆能楽WSの5つの特徴

 

他団体

能プロ

1.装束・楽器などの使用

豊富

少ない

2.期間(WS回数)

1日(1回)
半年(数回)
1年(数回)

1年(2回)

3.専門性(能の知識・企画作成能力)

高い

低い

4.プログラムの内容

固定的
(注:公表されていないものが多いので、予測)

柔軟

5.対象年齢

比較的幅広い

小学校3年生に限定

 上表をご覧頂きたい。この表は、私たちが他団体のリサーチをして気付いた5つの特徴を、能プロと比較して表にまとめたものである。ここでは、これらの特徴を能プロがどのように生かしてきたかをまとめる。


 1.まず能に関する道具の使用についてである。装束・面・楽器を用いたのは第1回目のWSであり、装束1点、面1点を展示し、楽器では小鼓を小学生用に4台使用したが、ただ単に展示をしたわけでも、楽器の体験をしてもらったわけでもない。紙芝居に登場する装束を展示することで児童にインパクトを与え、体験ブースで用いる謡曲に登場する主人公がかけている面を展示することでも同様の効果を狙った。また、太鼓を用いた演奏会を開いたことも同様である。


 2.期間については、WSが1年で2回という非常に特異なWS形式だったが、その分この2回という貴重な機会の中で、濃縮かつ斬新なプログラムが期待されていた。各回のWSのテーマをもとに、両WSが強い関連性を持つようなプログラムを作り上げることが非常に重要になった。結果として、第1回WSと第2回WSとのつながりを重視したプログラムを生み出すことができた。


 3と4.専門性という特徴で一番の難点となったのが、メンバーの能に対する知識不足ということである。というのも、能プロメンバーの能に対する知識は当初皆無であったので、プロジェクトを始めようにも、すぐに動き出せない状況に立たされていたからである。しかし、能の勉強会や能鑑賞を行なって、積極的に意見交換をすることにより、メンバー同士の能に対する知識の差をうまく埋めつつ信頼関係も構築していった。結果としては、プロジェクトが立ち上がってから僅か2ヶ月足らずで、トップスピードにまで持っていくことができた。専門性についてはもう1点、企画作成能力が挙げられる。私たちは今年立ち上がったプロジェクトであり、能楽WSを企画する、ということが初めてであった。そのため、企画には多大な時間を要したが、それが決して欠点となったのではなく、小学校側の要望を聞き、能楽師からの助言を貰った結果、洗練された企画を作り出すことができたのである。また、小学校側・能楽師側の両意見をうまく取り入れたことにより、WSが柔軟なプログラムとなったことは言うまでもない。WSの時間についても、児童の反応や能楽師の呼吸を見てWSの時間配分を調整するので、柔軟であると判断した。


 5.対象を小学3年生に絞った理由はHPの他の項目で述べることとして、対象年齢を限定することで濃厚なプログラムにすることが可能となった。児童の人数の面から見てみると、いくつかの利点が考えられる。まず、能プロ側から見れば、私たちが処理できる程度の人数である、児童の顔を近くで見ることができる、等がある。能プロメンバーが授業参観や学校行事に参加することで、対象となる児童の様子を詳しく知ることができた。また、児童側から見ても、同様にいくつかの利点が考えられる。児童1人1人の質問機会が増える、能楽師及び協力者との距離を近づけることができる、等がある。60人の同志社小学校3年生を対象に、どのようにして最高のWSを生み出せるのかをメンバー全員で企画したことが何よりも素晴らしいと言える点であった。











サイトのトップへ 
     


Copyright (C)2006 同志社大学プロジェクト科目〜小学生のための能楽入門プログラムの開発と研究



同志社大学