グループC

 

2006年8月1日(火)

鍼灸

明治鍼灸大学大学院教授  矢野 忠先生

 

@     中医学とつぼ・鍼灸

<つぼによる快適ライフ>

鍼灸(つぼ)医学は約1500年前に中国より伝来した伝統医療である。つぼとはからだのポイントであり、鍼灸医学における治療点・診断点である。つぼ(経穴)は経脈に所属する正穴と経脈に所属しない阿是穴(奇穴)がある。経脈は体表と体内を結ぶネットワークであり計20本ある。うち12本(6本ずつそれぞれ陰と陽に属す)が五臓六腑につながり、また陰と陽を統括するのがそれぞれ1本ずつある。正穴は361穴あり上記の14本の経脈に所属する。鍼灸医学では経脈という概念を基に次元の異なる病も一元的に捉える。また東洋医学的発想では経脈を利用して遠隔治療も可能である。

 

<つぼの効果>

つぼ治療は自然治癒力を大切にする医学「扶正」であるといえる。体の中には必要な薬を自分で創る機能が備わっている。これを生かし、つぼに微小な物理的刺激、非薬物療法を用いることで、体全体の調子を整え、目的とする効果を引き出し、心身を癒すことが可能になる。また、治療的効果として、筋緊張緩和・生体防御・リラックス・自律神経機能調整・循環改善・鎮痛効果がある。

 

<つぼ療法は未病医療>

つぼ医療は、体が悪くなってから最終的に鍼治療にくるのではなく、最初に来るべきところである。未だ病にならざるを治すものなのである。つまり、鍼灸は安全、安心、穏やかで副作用が少なく人に優しい医療、そして味方を支援する医療である。

 

<つぼ療法それはタッチケア>

 身体で最も偉大な感覚はタッチの感覚であり、われわれは皮膚に散りばめられた感覚を通して、感じ、愛し、憎しみ、いらだち、心を動かされる。特に手は、手の先に精神の息づかいがあり、共感と思いやりを持つことで無限に多くのことをなしうる。つまり、ボディータッチは、筋武装を解放し、心のこわばりをほぐし、ふれあいとくつろぎ生じさせる。つぼ療法をとおして私達の体を考えてみるとこころと体の関係は心身一如であり、体感を通して体観を得るということが可能だ。

 

A明治鍼灸大学の施設見学と鍼灸の体験

<病院のための病院ではなく、患者さんのための病院>

     治療する部屋の上や入り口のところは、密室にするのではなく、周りにスペースがあることで安心感。

     患者さんの待ち時間のフリースペースを畳にして、親身な環境で話しやすい状況を作る。

 

<安全対策・信頼感>

     使用済みの鍼をもしも鍼灸師自身など他人が誤って刺してしまったら、即報告と手当て。

     鍼の抜き忘れなど万が一ミスがあれば、迅速に報告と謝罪。

     できるだけ長い年月の診療カルテを残して、個々の患者さんに合った治療をしたいが、プライバシーやセキュリティーの問題から、そのカルテを消去せざるを得ない。

 

<灸>

艾(もぐさ)はヨモギからできている。艾を燃やした時の温度は、大きさや硬さで変わる。

灸には直接灸・透熱灸・間接灸・棒灸・しょうが灸・塩灸・にんにく灸など様々なやり方がある。

 

<ボディータッチ>

 手や肩の効果的なマッサージの仕方を教えてもらうことで、リラクゼーションの効果や、タッチが人と人の間の緊張感を解すことを実感できた。