2005/05/17 4グループ
食育と健康 <東洋医学を学ぶ@(陰陽・五行説・五臓六腑・自然属性)>
講師:臨床医学家医学博士 梁 平
先生
東方医学理論に基づいた薬膳・食事療法を中心とした講義
*二十一世紀の医療は予防が中心となる →その中心は東洋の食文化
21世紀の医療は、治療より予防が中心になる。なぜなら、健康な人:20%半病人:60%
病人:20%というデータがあり、この未病の60%の人たちを、未病のままで終わらせるために、事前の食育が大事になってくるのである。
近年、西洋食により生活習慣病が拡大。長寿のバロメーターは血管の若さであり、西洋食ではく一日一回の東洋食を食す事で効果があらわれる。生活習慣病の対策は、悪い生活習慣の是正からである。
健康食とは、「まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いも」といった食物をふんだんに使った日本食である。
西洋と東洋の栄養学では大きく考え方が違う。西洋では食品はイコール薬とは考えられない。栄養を強調し、良い成分は多めにとること、そしてそれは万人に当てはまるというのが西洋の考え方である。しかし良い食材も過剰摂取は逆に体によくないので適量をとらなければならない。
漢方医学理論に基づいた薬膳・食事療法は、食材総合力・体質別・陰陽バランス・五味バランス・美味+効能・薬食同源・天然食品重視・食材の相性・中庸といった特徴を持つ。食べるのは栄養ではなく食材であり、食材と人間の体のバランスが重要である。
薬膳食事療法の法則は1.陰陽 2.虚実 3.表裏 4.燥潤 5.昇降 6.散収である。人間の体は五臓六腑の「相性」「相克」にてバランスをとるため、それに合わせた食事が必要である。薬膳は自然食でその陰陽、五味、五臓、季節、体質別に配慮しなければならない。
四季とは食べ物の「旬」の季節を表すものである。旬の意味は二つあり、一つは食材が「旬」の季節になると栄養分が増え、一番おいしくなる。もう一つは、「旬」の季節に合わせて摂ると健康によいとされているのである。夏バテの時は夏野菜で暑熱を冷やし、冬には発刊作用を持つ野菜がカゼの予防に役立ち、旬の野菜は季節に応じて、私たちの体を助けてくれる働きをもつのである。夏季の暑熱に対してナスビは熱を収めてくれるが、「秋ナスは嫁に食わすな」とあるように、お腹を冷やしてしまい、胎児に悪影響を及ぼすから良くないのである。
自分にあった食材の性質を選び、バランスよく食べ合わせる事が健康への近道である。
近年、食事での健康ブームにより情報が氾濫しているが、自分に合うか合わないか自分で選択していかなければならない。
<感想>
健康な人はわずか20%ということに驚いた。ほとんどの人が病気予備軍である今、未病を未病に留めるためには食習慣が大切になってくるのだなと改めて実感した。
興味深かったのは「西洋と東洋の栄養学」の違いである。
普段私達が健康番組などから得ている知識はほとんどが西洋の考え方であると分かった。サプリメントや健康にいいと言われる成分を積極的に摂取しようとする姿勢。西洋医学の考えは、ピンポイントにその悪い部分を治そうという考え方があり、東洋医学の考えでは、自然治癒力を生かした治療法を取っており、お互いの分野において「食」という観点で捉えることは大切であると実感した。
今までバランス、中庸が大切という考えにはいたらず自分の健康知識に対する曖昧さを痛感してしまった。
東洋医学は、体に優しくそれぞれの人の体質に合わせるという実は合理的なものであるということが分かった。副作用などの余計な心配事がない、信頼性ある医学だな、と思った。
健康作りに対する薬膳の持つ重要性・可能性は奥が深いと思った。