プロジェクト科目
グループレポート グループ2
「住と健康」と積水ハウス総合住宅研究所見学
積水ハウス総合住宅研究所長 小谷宗男さん
ハートフル生活研究所勤務・樹木医 畑 明宏さん
畑 明宏さんによる菜園の提案
畑さんについて…
ただ単に野菜が作れる広さのある菜園ではなく、採れたて野菜でいかに生活が潤うかをコンセプトに、都市部での住宅の屋上活用や家庭菜園を取り入れた生活を提案している。
野菜作りのきっかけは、小学三年生の時に祖母にもらった野菜の苗に見事なトマトやキュウリ、ナスができた感動で、現在、子どもの誕生を機に家族三人分の野菜が採れる菜園を持っており、子どもと一緒に野菜づくりを楽しんでいる。
《菜園の提案》
食は国力・活力に繋がる
ロシアは先進国ではないのに国力があるのか。ロシアではダーチャという週末農園があり、個人で野菜を作っているので(じゃがいもに至っては90%の自給率)、ソ連崩壊の時に国民は食べ物に困ることはなかった。その他の週末農園に、ドイツのクラインガルテンがある。
日本では、戦後からの食生活の欧米化に伴い、カロリーベースの食料自給率は40%まで減少しており、先進国の中では最低水準の値となっている。
菜園の良いところ
トマトのアーチとパセリのグラウンドカバーが広がる暮らし。あまり、見られないような組み合わせの庭園だが、畑さんはこのような、今までの野菜に対する固定概念を捨てて、野菜はきれいなものだということをアピールして、菜園を勧めてきた。
・ フードマイレージを0に→新鮮なだけでなく、環境にも良い。
・ 健康→野菜に困らない。畑仕事は運動量が多い。緑による癒し効果。気候の変化にも敏感になり、季節感を取り入れた豊かな生活。
・ 自宅で食育ができる→子どもはおいしくなかったら食べない。野菜が愛おしいという気持ちを育てる。自身にも労力を惜しんでも、食べさせてあげたいという気持ちが具わる。
・ 防犯→世話をするため頻繁に庭にでるから。
・ コミュニケーションの回復→育てている野菜への思い入れ、野菜を近所の人にお裾分け、自分で作った野菜を使った料理でおもてなしなど会話の幅が広がる。
・ 安心・安全→肥料・日照条件が分かる。
・ エコロジー→包装材が不必要なうえ、生ごみや雨水も活用。
・ 五感の回復→糖分、水分の減少、エチレンの発生により収穫後、劣化していくため、採れたて野菜は本来のおいしさを楽しめる。
・ 定年後の趣味→コンパクトな菜園ガーデンは体への負担も少ない。
小谷宗男さんの話
五感で感じることによってその体験は忘れがたいものとなる。食は五感で感じるものである。料理を作るという経験は人に喜んでもらいたいという、思いやりの気持ちがもてるようになるだけでなく、ボケ防止にも繋がるが、料理だけではなく、材料を作ること、つまり、菜園を持つことによって得られる経験も忘れがたいものとなる。積水ハウスでは菜園付きの物件だけでなく、売り手と買い手のギャップを取り除いた設備が整ったキッチンも提供している。
納得工房の体験見学
五感で感じてみようというコンセプトで、例えば、サポーターのようなものを脚にはめ、固定することによって、お年寄りになって、玄関の段差の上り下りの負担や、車椅子の人がドアの開け閉めの大変さを従来のものと改善されたものとを比較して、その違いを体感した。また、浄水器の飲み比べやガラスの断熱性能を実際は肌で感じてみるなど、キッチン以外での、現在の取り組みの一端を知ることができた。
キッチンは主に、
「茶の間キッチン」・・・(主な工夫:)畳を使った温かい空間の演出・台所と食べるところが近くコミュニケーションの回復・シンクの下に空間を作ることによって、お年寄りにも作業がしやすい台所。
「キッチンレスキッチン」・・・都市型・キッチンを隠すことができ、急な来客にも困らない・窓は上と下だけについてあり隣近所との視線が気にならない。
「ナチュラルキッチン」・・・郊外型・家庭菜園を取り組んだ家・床に竹を土壁に珪藻土を使い、環境にも配慮している・ダイニングから菜園が見えコミュニケーションの回復・菜園の野菜を洗うシンクも配置され、キッチンですぐ調理することが可能になっている。
まとめと感想
農林水産省では現在40%のカロリーベースの食料自給率を2015年には45%に引き上げることを目標にしている。今後の主な取り組みとして、食育教育による国民の意識改革や国産農産物の消費の拡大を掲げているが、家庭での菜園が普及すればもっと食料自給率があがるのではないか。安心面や生活の充実という面も重要だが、食料自供率から見て分かるように「胃袋を握られている」状態で、もし輸入ができなくなったら今のままの生活を続けることはできないという危機感があることも忘れてはいけないと思った。
菜園は実際、労力と時間を要する。野菜によって土を変えなければならなかったり、害虫や病気にも対処しなければならない。かまってあげることが出来なくて、枯れてしまうこともあるだろう。しかし、そうした苦労も厭わず手間を掛けた野菜づくりの経験から、学ぶことはたくさんあると思う。住まいと食は切っても切り離せない関係にあることを再認識した。是非、これを機に、いただいた資料を参考に庭で野菜を作ってみようと思う。
長夏の症状と食養生(「長夏の薬膳」の食材・生薬の確認と試食)
辻岡生隆先生
・長夏の症状
長夏は五行では、「土」に、五臓では、「脾」に属し、陽から陰へと移行する長夏の時期は湿気が多い。そのため「湿邪」となり、胃腸機能が低下して体調を崩す原因になる。
湿邪の特徴→水の性質をもつ上量感のある邪(頭や体が重い)、汚く濁る性質(おりっものや目やにが増える)、気の巡りが悪くなる(関節痛)
・長夏の食養生
長夏は土用とも言われ、土用は7日から18日まで各四季にあるが、この場合は夏の土用(8月)をさし、季節の変わり目で、土が支配し、土の神様が動く日と考えられていた。
長夏の捉え方は人それぞれで、梅雨の時期という人や旧暦なので6月という人もいる。
・湿気には、冷やしたり、涼しくして対処する。利尿作用を利用して、体の湿気を取り除く。
・胃を強くする。消化吸収を助けるもの。
・人間の基本物質である気・血・津水を補う。
薬膳の基本は、陰と陽のバランスを保ってやること。また、薬膳は、健康な人や未病の状態の人に効果があるものなので、病気の人は治療を前提にした食事に切り替えるべき。アトピーや花粉症なども砂糖・乳製品をやめると治ることもある。
・まとめと感想
「脾」は黄や甘みが欠かせず、様々な飲食を受け入れ消化吸収する土に例えられるが、甘みがあるからといって、温熱の性質を持つ食べ物は、湿度が高まるので、逆に悪影響がでるなど、また、相克の関係からあまり大量に水分を排泄すると腎の負担になる。夏は冷ますと良いからといって冷たいものを取りすぎると逆に胃を冷やしてしまうので、今の季節がどういう状態かを知り、食べ物の属性を把握し、中庸を心がける必要がある。今回の料理は以前の夏の薬膳料理よりも湿気を取るような料理だったと思う。前菜のサラダに見られるようなヒジキとアボガドとタコという独特な組み合わせも大変美味しくいただけて勉強になった。