5月17日(水) 15:00〜16:30 グループ1 レポート
第4回 東洋医学を学ぼう@ 〔陰陽・五行説・五臓六腑・自然属性〕
臨床医学家医学博士 梁 平 先生
東洋医学理論に基づいた薬膳・食事療法について
・西洋食は生活習慣病を拡大させる。
・東洋食で健康回復を目指す。
西洋食がどのように私たちに影響を及ぼしているのか、中国長寿谷の例を述べる。
西洋食が普及したことにより、人々の血中コレステロール値が増加し、寿命が10年も縮むということが明らかになった。寿命が縮む理由には、食べたいときに食べることができるという経済が発展したことにも起因することがわかった。
以上のことから、西洋食は美味を求めるあまり健康に関して気配りされていない「体に悪い食」と捉えられる。
次に、自然独自の味をそのまま生かした「体に良い食」、健康食について考えたい。
健康食とは 頭文字をそれぞれとって「まごわやさしい」(孫は優しい)と表現される。
まめ ごま わかめ やさい さかな しいたけ いも
つまり日本に昔から伝わる食が重要視されているのである。
日本人が他国に比べて長寿の国である理由には、この日本食に隠されているともいえる。
では、体に良い食べ物をたくさん摂取すればより健康になれるのであろうか。
ある研究によれば人間の体には吸収の限度があり、いくらたくさん摂取してもある一定の値しか吸収されないようだ。そのためたくさん摂取しても、1日の目安量を摂取しても効果はほとんど変わらないのである。
ここで西と東の栄養学を比較してみる。
表1 東洋栄養学と西洋栄養学の比較
項 目 |
西 洋 |
東 洋 |
食材の何を重視するか |
栄養素 |
食材総合力 |
食材の人体に対しての適応度についての捉え方 |
万人に適応 |
体質ごとに異なる |
食材をどういった基準で組み合わせるか |
栄養面 |
陰陽バランス |
味覚をどう考えるか? |
味の調和 |
五味バランス |
食に何を求めるか? |
美味のため |
美味+効能 |
食材をどうとらえているか? |
薬≠食品 |
薬食同源 |
栄養についてどうとらえているか? |
純化抽出 |
自然食品重視 |
食において何の相性を考えているか? |
栄養素の相性 |
食材の相性 |
栄養はどれだけ取ればよいと考えているか? |
良い成分を多めに |
中庸 |
東洋の栄養学は漢方医学にあり、偏るのではなくバランスよく栄養を摂取することを重要視している。
東洋栄養学ではバランスを考えて6つの法則が存在する。
1、陰・陽 2、虚・実 3、表・裏、 4、燥・潤 5、昇・降 6、散・収
辻岡料理長が第1講で話されていたことに「五味・五臓六腑」がある。バランスよく摂取することの大切さを強調されていた。
まとめ
現代は西洋食の普及により生活習慣病が発生し、未病の人が増えている。
このことは第3講看護師の市川先生も述べられており、西洋食の弊害を再認識した。
しかし、私たちの生活にとって西洋食は切っても切り離せないものとして存在している。
現実的に考えて、どう食生活を改善したらよいのだろうか。
梁平先生が言われていたように、体に適した東洋食を1日1膳、1ヶ月食べることで健康な体へと近づけることは難しそうだ。
西洋食のもつ欠点を東洋学で補うことはできないのだろうか。
生活習慣病の多くはメタボリックシンドロームのようなコレステロール過多によって生じる病気なら、油分の少ない料理を考えることができるだろう。フッ素樹脂加工のフライパンなどの器具を活用することで油を使用しない調理が可能である。
前回、調理実習では料理とローズマリーティーと組み合わせて、脂肪吸収を抑制するという西洋食のもつ欠点を補う方法を学んだ。このように知識に基づいた生活体験が私たちには重要である。
また、食材が寒涼平温熱のどの属性であるのかを把握し、バランスよく摂取し、西洋食を完全に否定するのではなく、西洋食を東洋学に組み入れて考えていくべきだと思う。
最後に、東洋医学理論に基づいた薬膳・食事療法で目指すものは次の2点である。
@西洋食は生活習慣病を拡大させる。
A東洋食で健康回復を目指す。