研究内容
本研究室では、高度の機能をもつ分子の合成を目指し、新規化合物の合成と共に、新しい反応、新しい反応試剤の開発を行っている。研究テーマは大きく以下の4つに分類される。
1.新規触媒反応の開発
環境にやさしいプロセスが求められている現在、副生成物を出さずエネルギー消費の少ない有機合成を目的とした新しい反応の開発は極めて重要である。そこで、効率のよい新しい触媒反応の開発を目指し、後周期遷移金属錯体を中心に新規触媒の創出やこれまでにないタイプの反応の検討を行っている。
2.光学活性化合物の合成:不斉反応の開発
各種生理活性化合物や材料として有用である光学活性化合物合成の最も効率良い合成法の一つである不斉触媒反応の開発を目指し、新規光学活性配位子の合成、金属錯体の合成、触媒反応の開発を行っている。
3.新しい機能性有機化合物の合成
有機化合物、有機金属化合物は新しい機能性材料として活発に研究が進められている。我々は、機能の発現を目指して、これまで独自に開発した反応を用いる配位高分子錯体やらせん状化合物などの新規有機化合物や有機金属化合物の合成を行っている。
4.ヘテロ元素を含む化合物の合成とその機能の開発
リン、硫黄、ホウ素、シリコンなどを含む試剤は、酸素、ハロゲンなどの原子との親和性が大で、この性質を利用することにより、本来求核剤としての作用をもつ試剤を求電子剤に容易に極性変換できたり、温和な条件での還元反応や縮合反応の試剤を合成することが出来、その応用範囲は広い。これらを用いる新しい反応系や遷移金属触媒との組み合わせによる反応の確立を目的として研究している。