Title: 「雇用保険と年金の制度改革−独占的組合モデルにおける雇用と経済成長−」


Abstract:

本稿では,独占的組合モデルにおける雇用保険,賦課方式年金の制度改革が分析される.特に,雇用改善による短期効果と長期効果に分析の焦点があてられる.本稿の主な結論は次の2点である.第1に,雇用の長期効果がない場合,パレート改善となり得る制度改革は存在しないことが示される.第2に,雇用の長期効果がある場合,個人雇用保険料の引下げはパレート改善であることが示される.また,一定の条件のもとで,企業雇用保険料の引下げ,そして年金制度の縮小がパレート改善となり得ることが示される.雇用の成長率効果がある場合,既存研究にみられるような貯蓄補助金や国債などの追加的財政手段を用いなくとも,改革期の年金受給者の厚生を下げずに制度改革を実行できることが示される.


JEL Classification : H55, J51, O41


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