【法令番号 】昭和五十七年一月一日条約第一号
【施行年月日】昭和五十七年一月一日外務省告示第一号
この議定書の締約国は、
千九百五十一年七月二十八日にジュネーヴで作成された難民の地位に関する条約(以下「条約」という。)が、千九百五十一年一月一日前に生じた事件の結果として難民となつた者にのみ適用されることを考慮し、
条約が採択された後新たな事態により難民が生じたこと及びこれらの難民が条約の適用を受けることができないことを考慮し、
千九百五十一年一月一日前という制限を考慮に入れない場合に条約の定義に該当することとなるすべての難民に等しい地位を与えることが望ましいと考えて、
次のとおり協定した。
第一条(一般規定) 1 この議定書の締約国は、2に定義する難民に対し、条約第二条から第三十四条までの規定を適用することを約束する。
2 この議定書の適用上、「難民」とは、3の規定の適用があることを条件として、条約第一条を同条A(2)の「千九百五十一年一月一日前に生じた事件の結果として、かつ、」及び「これらの事件の結果として」という文言が除かれているものとみなした場合に同条の定義に該当するすべての者をいう。
3 この議定書は、この議定書の締約国によりいかなる地理的な制限もなしに適用される。ただし、既に条約の締約国となつている国であつて条約第一条B(1)(a)の規定を適用する旨の宣言を行つているものについては、この宣言は、同条B(2)の規定に基づいてその国の義務が拡大されていない限り、この議定書についても適用される。
第二条(締約国の機関と国際連合との協力) 1 この議定書の締約国は、国際連合難民高等弁務官事務所又はこれを承継する国際連合の他の機関の任務の遂行に際し、これらの機関と協力することを約束するものとし、特に、これらの機関のこの議定書の適用を監督する責務の遂行に際し、これらの機関に便宜を与える。
2 この議定書の締約国は、国際連合難民高等弁務官事務所又はこれを承継する国際連合の他の機関が国際連合の権限のある機関に報告することのできるよう、要請に応じ、次の事項に関する情報及び統計を適当な様式で提供することを約束する。
(a)難民の状態
(b)この議定書の実施状況
(c)難民に関する現行法令及び難民に関して将来施行される法令
第三条(国内法令に関する情報) この議定書の締約国は、国際連合事務総長に対し、この議定書の適用を確保するために制定する法令を送付する。
第四条(紛争の解決) この議定書の解釈又は適用に関するこの議定書の締約国間の紛争であつて他の方法によつて解決することができないものは、いずれかの紛争当事国の要請により、国際司法裁判所に付託する。
第五条・第六条 (省略)
第七条(留保及び宣言) 1 いずれの国も、この議定書への加入の際に、第四条の規定について及び第一条の規定による条約のいずれかの規定の適用(条約の第一条、第三条、第四条、第十六条1及び第三十三条の規定の適用を除く。)について留保を付することができる。ただし、条約の締約国がこの条の規定に基づいて付する留保については、その効果は、条約の適用を受ける難民には及ばない。
2 条約第四十二条の規定に基づいて条約の締約国が条約の規定に付した留保は、撤回されない限り、この議定書に基づく義務についても有効なものとする。
3 1の規定に基づいて留保を付した国は、国際連合事務総長にあてた通告により、いつでも当該留保を撤回することができる。
4 条約の締約国であつてこの議定書に加入するものが条約第四十条1又は2の規定により行つた宣言は、この議定書についても適用があるものとみなす。ただし、当該条約の締約国がこの議定書に加入する際に国際連合事務総長に対して別段の通告をした場合は、この限りでない。同条2及び3並びに条約第四十四条3の規定は、この議定書について準用する。
第八条から第十一条まで (省略)