戦時における文民の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(第四条約) |
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昭和二十八年十月二十一日 |
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条約第二十六号 |
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第一編 総則 |
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第一条〔条約の尊重〕 締約国は、すべての場合において、この条約を尊重し、且つ、この条約の尊重を確保することを約束する。 |
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第二条〔条約の適用〕 平時に実施すべき規定の外、この条約は、二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとしないとを問わず、適用する。 |
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A この条約は、また、一締約国の領域の一部又は全部が占領されたすべての場合について、その占領が武力抵抗を受けると受けないとを問わず、適用する。 |
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B 紛争当事国の一がこの条約の締約国でない場合にも、締約国たる諸国は、その相互の関係においては、この条約によって拘束されるものとする。更に、それらの諸国は、締約国でない紛争当事国がこの条約の規定を受諾し、且つ、適用するときは、その国との関係においても、この条約によって拘束されるものとする。 |
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第三条〔国際的性質を有しない紛争〕 締約国の一の領域内に生ずる国際的性質を有しない武力紛争の場合には、各紛争当事者は、少くとも次の規定を適用しなければならない。 |
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(1) 敵対行為に直接に参加しない者(武器を放棄した軍隊の構成員及び病気、負傷、抑留その他の事由により戦闘外に置かれた者を含む。)は、すべての場合において、人種、色、宗教若しくは信条、性別、門地若しくは貧富又はその他類似の基準による不利な差別をしないで人道的に待遇しなければならない。 |
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(a) 生命及び身体に対する暴行、特に、あらゆる種類の殺人、傷害、虐待及び拷問 |
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(b) 人質 |
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(c) 個人の尊厳に対する侵害、特に、侮辱的で体面を汚す待遇 |
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(d) 正規に構成された裁判所で文明国民が不可欠と認めるすべての裁判上の保障を与えるものの裁判によらない判決の言渡及び刑の執行 |
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(2) 傷者及び病者は、収容して看護しなければならない。 |
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A 赤十字国際委員会のような公平な人道的機関は、その役務を紛争当事者に提供することができる。 |
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B 紛争当事者は、また、特別の協定によって、この条約の他の規定の全部又は一部を実施することに努めなければならない。 |
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C 前記の規定の適用は、紛争当事者の法的地位に影響を及ぼすものではない。 |
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第四条〔被保護者の定義〕 この条約によって保護される者は、紛争又は占領の場合において、いかなる時であると、また、いかなる形であるとを問わず、紛争当事国又は占領国の権力内にある者でその紛争当事国又は占領国の国民でないものとする。 |
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A この条約によって拘束されない国の国民は、この条約によって保護されることはない。中立国の国民で交戦国の領域内にあるもの及び共同交戦国の国民は、それらの者の本国が、それらの者を権力内に有する国に通常の外交代表を駐在させている間は、被保護者と認められない。 |
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B もっとも、第二編の規定の適用範囲は、第十三条に定めるとおり一層広いものである。 |
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C 戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約、海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約又は捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約によって保護される者は、この条約における被保護者と認められない。 |
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第五条〔抵触行為〕 紛争当事国の領域内において、被保護者が個人として紛争当事国の安全に対する有害な活動を行った明白なけん疑があること又はそのような活動に従事していることを当該紛争当事国が確認した場合には、その被保護者は、この条約に基く権利及び特権でその者のために行使されれば当該紛争当事国の安全を害するようなものを主張することができない。 |
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A 占領地域内において、被保護者が間ちょう若しくは怠業者(サボタージュを行う者)又は個人として占領国の安全に対する有害な活動を行った明白なけん疑がある者として抑留された場合において、軍事上の安全が絶対に必要とするときは、その被保護者は、この条約に基く通信の権利を失うものとする。 |
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B もっとも、いずれの場合においても、前記の者は、人道的に待遇されるものとし、また、訴追された場合には、この条約で定める公平な且つ正式の裁判を受ける権利を奪われない。それらの者は、また、それぞれ紛争当事国又は占領国の安全が許す限り、すみやかにこの条約に基く被保護者の権利及び特権を完全に許与されるものとする。 |
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第六条〔適用の始期及び終期〕 この条約は、第二条に定める紛争又は占領の開始の時から適用する。 |
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A この条約は、紛争当事国の領域内においては、軍事行動の全般的終了の時にその適用を終る。 |
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B この条約は、占領地域内においては、軍事行動の全般的終了の後一年でその適用を終る。但し、占領国は、その地域で管理を行っている限り、占領の継続期間中、この条約の第一条から第十二条まで、第二十七条、第二十九条から第三十四条まで、第四十七条、第四十九条、第五十一条、第五十二条、第五十三条、第五十九条、第六十一条から第七十七条まで及び第百四十三条の規定により拘束されるものとする。 |
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C 被保護者は、その解放、送還又は居住地の設定がそれらの期間の終了の後に行われる場合には、それまでの間、この条約による利益を引き続き受けるものとする。 |
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第七条〔特別協定〕 締約国は、第十一条、第十四条、第十五条、第十七条、第三十六条、第百八条、第百九条、第百三十二条、第百三十三条及び第百四十九条に明文で規定する協定の外、別個に規定を設けることを適当と認めるすべての事項について、他の特別協定を締結することができる。いかなる特別協定も、この条約で定める被保護者の地位に不利な影響を及ぼし、又はこの条約で被保護者に与える権利を制限するものであってはならない。 |
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A 被保護者は、この条約の適用を受ける間は、前記の協定の利益を引き続き享有する。但し、それらの協定に反対の明文規定がある場合又は紛争当事国の一方若しくは他方が被保護者について一層有利な措置を執った場合は、この限りでない。 |
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第八条〔権利の不放棄〕 (第一条約の第七条と同じ。) |
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第九条〔利益保護国〕 (第一条約の第八条と同じ。) |
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第十条〔赤十字国際委員会の活動〕 (第一条約の第九条と同じ。) |
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第十一条〔利益保護国の代理〕 (第一条約の第十条と同じ。) |
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第十二条〔調停手続〕 (第一条約の第十一条と同じ。) |
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第二編 戦争の影響に対する住民の一般的保護 |
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第十三条〔適用範囲〕 第二編の規定は、特に人種、国籍、宗教又は政治的意見による不利な差別をしないで、紛争当事国の住民全体に適用されるものとし、また、戦争によって生ずる苦痛を軽減することを目的とする。 |
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第十四条〔病院地帯〕 締約国は平時において、紛争当事国は敵対行為の開始の時以後、自国の領域及び必要がある場合には占領地区において、傷者、病者、老者、十五歳未満の児童、妊産婦及び七歳未満の幼児の母を戦争の影響から保護するために組織される病院及び安全のための地帯及び地区を設定することができる。 |
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A 関係当事国は、敵対行為の開始に当り、及び敵対行為の期間中、それらが設定した地帯及び地区を相互に承認するための協定を締結することができる。このため、関係当事国は、必要と認める修正を加えて、この条約に附属する協定案の規定を実施することができる。 |
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B 利益保護国及び赤十字国際委員会は、これらの地帯及び地区の設定及び承認を容易にするために仲介を行うように勧誘される。 |
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第十五条〔中立地帯〕 紛争当事国は、次の者を差別しないで戦争の危険から避難させるための中立地帯を戦闘が行われている地域内に設定することを、直接に又は中立国若しくは人道的団体を通じて、敵国に提案することができる。 |
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(a) 傷者及び病者(戦闘員であると非戦闘員であるとを問わない。) |
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(b) 敵対行為に参加せず、且つ、その地帯に居住する間いかなる軍事的性質を有する仕事にも従事していない文民 |
A 関係当事国が提案された中立地帯の地理的位置、管理、食糧の補給及び監視について合意したときは、紛争当事国の代表者は、文書による協定を確定し、且つ、これに署名しなければならない。その協定は、その地帯の中立化の開始の時期及び存続期間を定めなければならない。 |
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第十六条〔傷病者の一般的保護〕 傷者、病者、虚弱者及び妊産婦は、特別の保護及び尊重を受けるものとする。 |
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A 各紛争当事国は、軍事上の事情が許す限り、死者及び傷者を捜索し、難船者その他重大な危険にさらされた者を救援し、並びにそれらの者をりやく奪及び虐待から保護するために執られる措置に便益を与えなければならない。 |
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第十七条〔収容〕 紛争当事国は、傷者、病者、虚弱者、老者、児童及び妊産婦を攻囲され、又は包囲された地域から避難させるため、並びにそれらの地域へ向うすべての宗教の聖職者、衛生要員及び衛生材料を通過させるため、現地協定を締結するように努めなければならない。 |
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第十八条〔文民病院〕 傷者、病者、虚弱者及び妊産婦を看護するために設けられる文民病院は、いかなる場合にも、攻撃してはならず、常に紛争当事国の尊重及び保護を受けるものとする。 |
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A 紛争当事国は、すべての文民病院に対し、それらの病院が文民病院であること及びそれらの病院が使用する建物が第十九条の規定に従って病院の保護を失うこととなるような目的に使用されていないことを示す証明書を発給しなければならない。 |
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B 文民病院は、国の許可がある場合に限り、戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第三十八条に定める標章によって表示するものとする。 |
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C 紛争当事国は、軍事上の事情が許す限り、敵対行為が行われる可能性を除くため、敵の陸軍、空軍又は海軍が文民病院を表示する特殊標章を明白に識別することができるようにするために必要な措置を執らなければならない。 |
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D それらの病院は、軍事目標に近接しているためさらされる危険にかんがみ、できる限り軍事目標から離れた位置にあることが望ましい。 |
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第十九条〔保護の消滅〕 文民病院が亨有することができる保護は、それらの病院がその人道的任務から逸脱して敵に有害な行為を行うために使用された場合を除く外、消滅しないものとする。但し、その保護は、すべての適当な場合に合理的な期限を定めた警告が発せられ、且つ、その警告が無視された後でなければ、消滅させることができない。 |
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A 傷者若しくは病者たる軍隊の構成員がそれらの文民病院で看護を受けている事実又はそれらの戦闘員から取り上げられたがまだ正当な機関に引き渡されていない小武器及び弾薬の存在は、敵に有害な行為と認めてはならない。 |
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第二十条〔病院職員〕 文民病院の運営及び管理に正規にもっぱら従事する職員(傷者及び病者たる文民、虚弱者並びに妊産婦の捜索、収容、輸送及び看護に従事する者を含む。)は、尊重し、且つ、保護しなければならない。 |
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A 前記の職員は、占領地域及び作戦地帯においては、身分を証明し、本人の写真を添附し、且つ、責任のある当局の印を浮出しにして押した身分証明書及び任務の遂行中左腕につけなければならない押印した防水性の腕章によって識別することができるようにしなければならない。この腕章は、国が交付するものとし、且つ、この腕章には、戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第三十八条に定める標章を付さなければならない。 |
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B 文民病院の運営及び管理に従事するその他の職員は、その任務を遂行する間、本条で定めるところにより、且つ、本条に定める条件の下に、尊重及び保護を受け、並びに腕章をつけることができる。身分証明書には、それらの職員が従事する任務を記載しなければならない。 |
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C 各病院の事務所は、常に、それらの職の最新の名簿を自国又は占領軍の権限のある当局に自由に使用させるため備えて置かなければならない。 |
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第二十一条〔輸送手段〕 陸上にある護送車両隊若しくは病院列車又は海上にある特別仕立の船舶で傷者及び病者たる文民、虚弱者並びに妊産婦を輸送するものは、第十八条に定める病院と同様に尊重し、且つ、保護しなければならず、また、国の同意を得て、戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第三十八条に定める特殊標章を掲げて表示しなければならない。 |
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第二十二条〔衛生航空機〕 傷者及び病者たる文民、虚弱者並びに妊産婦の輸送又は衛生要員及び衛生材料の輸送にもっぱら使用される航空機は、すべての紛争当事国の間で特別に合意された高度、時刻及び路線に従って飛行している間、攻撃してはならず、尊重しなければならない。 |
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A それらの航空機は、戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第三十八条に定める特殊標章で表示しなければならない。 |
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B 反対の合意がない限り、敵の領域又は敵の占領地域の上空の飛行は、禁止する。Cそれらの航空機は、すべての着陸要求に従わなければならない。この要求によって着陸した場合には、航空機及びその乗員は、検査があるときはそれを受けた後、飛行を継続することができる。 |
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第二十三条〔送付品〕 各締約国は、他の締約国(敵国である場合を含む。)の文民のみにあてられた医療品及び病院用品並びに宗教上の行事に必要な物品からなるすべての送付品の自由通過を許可しなければならない。各締約国は、また、十五歳未満の児童及び妊産婦にあてられた不可欠の食糧品、被服及び栄養剤からなるすべての送付品の自由通過を許可しなければならない。 |
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A 締約国は、次のことをおそれる重大な理由がないと認めた場合に限り、前項に掲げる送付品の自由通過を許可する義務を負う。 |
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(a) 当該送付品についてその名あて地が変えられるかもしれないこと。 |
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(b) 管理が有効に実施されないこと。 |
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(c) 敵国が、当該送付品がなければ自ら供給し、若しくは生産しなければならない物品の代りにその送付品を充当することにより、又は当該送付品がなければそれらの物品の生産に必要となる原料、役務若しくは設備を使用しないですむことによって、その軍事力又は経済に明白な利益を受けること。 |
B 本条第一項に掲げる送付品の通過を許可する国は、その送付品の利益を受ける者に対する分配が現地における利益保護国の監督の下に行われることをその許可の条件とすることができる。 |
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C 前記の送付品は、できる限りすみやかに輸送しなければならず、また、送付品の自由通過を許可する国は、その通過を許可するための技術的条件を定める権利を有する。 |
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第二十四条〔児童福祉〕 紛争当事国は、戦争の結果孤児となり、又はその家族から離散した十五歳未満の児童が遺棄されないこと並びにその生活、信仰の実践及び教育がすべての場合に容易にされることを確保するために必要な措置を執らなければならない。それらの者の教育は、できる限り、文化的伝統の類似する者に任せなければならない。 |
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A 紛争当事国は、第一項に掲げる諸原則が遵守されるという適当な保障がある場合には、利益保護国があればその同意を得て、紛争が継続している間、前記の児童が中立国に収容されることを容易にしなければならない。 |
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B 紛争当事国は、また、十二歳未満のすべての児童の身元が名札その他の方法によって識別されるように措置を執ることに努めなければならない。 |
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第二十五条〔家族の消息〕 紛争当事国の領域又はその占領地域にあるすべての者に対しては、それらの者の家族が所在する場所のいかんを問わず、厳密に私的性質を有する消息をその家族との間で相互に伝えることができるようにしなければならない。それらの通信は、すみやかに、且つ、不当に遅延させることなく送付しなければならない。 |
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A 何らかの事情により家族との間で通常の郵便により通信を交換することが困難又は不可能となった場合には、関係紛争当事国は、第百四十条に定める中央被保護者情報局のような中立の仲介機関に依頼して、その仲介機関と協議の上、特に各国赤十字社(赤新月社又は赤のライオン及び太陽社)の協力を得て、最も良い条件でその義務の遂行を確保する方法を決定しなければならない。 |
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B 紛争当事国は、家族との間の通信を制限する必要があると認めた場合においても、自由に選択された二十五の単語からなる標準書式を使用させること及びその書式による通信の数を毎月一通に制限すること以上の制限を課してはならない。 |
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第二十六条〔離散家族〕 各紛争当事国は、戦争のため離散した家族が相互に連絡を回復し、できれば再会しようとする目的で行う捜索を容易にしなければならない。各紛争当事国は、特に、この事業に従事する団体が自国にとって許容し得るものであり、且つ、その団体が自国の安全措置に従うものである限り、その団体の活動を助成しなければならない。 |
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第三編 被保護者の地位及び取扱 |
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第一部 紛争当事国の領域及び占領地域に共通する規定 |
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第二十七条〔被保護者の待遇〕 被保護者は、すべての場合において、その身体、名誉、家族として有する権利、信仰及び宗教上の行事並びに風俗及び習慣を尊重される権利を有する。それらの者は、常に人道的に待遇しなければならず、特に、すべての暴行又は脅迫並びに侮辱及び公衆の好奇心から保護しなければならない。 |
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A 女子は、その名誉に対する侵害、特に、強かん、強制売いんその他あらゆる種類のわいせつ行為から特別に保護しなければならない。 |
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B 被保護者を権力内に有する紛争当事国は、健康状態、年令及び性別に関する規定を害することなく、特に人種、宗教又は政治的意見に基く不利な差別をしないで、すべての被保護者に同一の考慮を払ってこれを待遇しなければならない。 |
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C もっとも、紛争当事国は、被保護者に関して、戦争の結果必要とされる統制及び安全の措置を執ることができる。 |
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第二十八条〔危険地帯〕 被保護者の所在は、特定の地点又は区域が軍事行動の対象とならないようにするために利用してはならない。 |
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第二十九条〔責任〕 被保護者を権力内に有する紛争当事国は、その機関がそれらの被保護者に与える待遇については、個人に責任があるかどうかを問わず、自らその責任を負う。 |
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第三十条〔利益保護国への申立〕 被保護者は、利益保護国、赤十字国際委員会、その在留する国の赤十字社(赤新月社又は赤のライオン及び太陽社)並びに被保護者に援助を与える団体に申し立てるためのあらゆる便益を有する。 |
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A 前記の諸団体は、軍事上又は安全上の考慮によって定められる制限の範囲内で、この目的のためのすべての便益を当局から受けるものとする。 |
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B 抑留国又は占領国は、利益保護国及び赤十字国際委員会の代表による第百四十三条に定める訪問の外、被保護者に対して精神的援助又は物質的救済を与えることを目的とするその他の団体の代表者による被保護者の訪問をできる限り容易にしなければならない。 |
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第三十一条〔強制の禁止〕 特に被保護者又は第三者から情報を得るために、被保護者に肉体的又は精神的強制を加えてはならない。 |
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第三十二条〔肉体罰禁止〕 締約国は、特に、その権力内にある被保護者に肉体的苦痛を与え、又はそれらの者をみな殺しにするような性質の措置を執ることを禁止することに同意する。この禁止は、被保護者の殺害、拷問、肉体に加える罰、身体の切断及びそれらの者の医療上必要でない医学的又は科学的実験に適用されるばかりでなく、文民機関によって行われると軍事機関によって行われるとを問わず、その他の残虐な措置にも適用される。 |
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第三十三条〔集団罰禁止〕 被保護者は、自己が行わない違反行為のために罰せられることはない。集団に科する罰及びすべての脅迫又は恐かつによる措置は、禁止する。 |
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A りゃく奪は、禁止する。 |
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B 被保護者及びその財産に対する報復は、禁止する。 |
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第三十四条〔人質〕 人質は、禁止する。 |
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第二部 紛争当事国の領域にある外国人 |
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第三十五条〔領域退去〕 紛争の開始に当り又はその期間中に紛争当事国の領域を去ることを希望するすべての被保護者は、その退去がその国の国家的利益に反しない限り、その領域を去る権利を有する。それらの者の退去の申請に対しては、正規に定める手続に従って決定しなければならず、この決定は、できる限りすみやかに行わなければならない。退去を許されたそれらの者は、その旅行に必要な金銭を所持し、及び適当な量の個人用品を携帯することができる。 |
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A 当該領域を去ることを拒否された者は、再審査のために抑留国が指定する適当な裁判所又は行政庁で、その拒否についてできる限りすみやかに再審査を受ける権利を有する。 |
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B 利益保護国の代表者に対しては、その要請に基き、当該領域を去る許可の申請に対する拒否の理由及び退去が拒否された者の氏名をできる限りすみやかに通知しなければならない。但し、安全上の理由がこれを妨げ、又は関係者が反対したときは、この限りでない。 |
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第三十六条〔送還方法〕 前条に基き許される退去は、安全、衛生、保健及び食糧について満足すべき条件で実施しなければならない。それらに関するすべての費用は、抑留国の領域の出国地点からは目的国が負担し、中立国へ退去する場合には、利益を受ける者が属する国が負担するものとする。その移動の実施細目は、必要があるときは、関係国間の特別協定で定めることができる。 |
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A 前項の規定は、紛争当事国が敵の権力内にある自国民の交換及び送還に関して特別協定を締結することを妨げるものではない。 |
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第三十七条〔拘禁中の者〕 訴訟係属中拘禁されている被保護者又は自由刑に服している被保護者は、その拘禁中人道的に待遇しなければならない。 |
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A それらの者は、釈放されたときは、直ちに、前各条に従って領域を去ることを要求することができる。 |
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第三十八条〔送還されない者〕 被保護者の地位は、この条約、特に、第二十七条及び第四十一条により認められる特別の措置を例外として、原則として平時における外国人に関する規定によって引き続き規律されるものとする。いかなる場合にも、被保護者に対しては、次の権利を与えなければならない。 |
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(1) 被保護者は、送付される個人又は集団あての救済品を受領することができること。 |
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(2) 被保護者は、その健康状態により必要とされる場合には、関係国の国民が受けると同等の程度まで医療上の手当及び入院治療を受けること。 |
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(3) 被保護者は、信仰を実践し、且つ、同一の宗派に属する聖職者から宗教上の援助を受けることを許されること。 |
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(4) 被保護者は、戦争の危険に特にさらされている地区に居住している場合には、関係国の国民に許されると同等の程度までその地区から移転することを許されること。 |
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(5) 十五歳未満の児童、妊産婦及び七歳未満の幼児の母は、それらに該当する関係国の国民が亨有する有利な待遇と同等な待遇を亨有すること。 |
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第三十九条〔生活手段〕 戦争の結果収入を得る職業を失った被保護者に対しては、有給の職業につく機会を与えなければならない。その機会は、安全上の考慮及び第四十条の規定に従うことを条件として、被保護者が在留する国の国民が亨有する機会と同等のものでなければならない。 |
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A 紛争当事国が被保護者に対し自ら生活を維持することができなくなるような統制措置を適用した場合、特に、安全上の理由により被保護者が適当な条件で有給の職業につくことを妨げられた場合には、その紛争当事国は、被保護者及びその扶養を受ける者の生活を保障しなければならない。 |
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B 被保護者は、いかなる場合にも、本国、利益保護国又は第三十条に掲げる救済団体から手当の支給を受けることができる。 |
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第四十条〔労働〕 被保護者は、その在留する紛争当事国の国民と同等の程度以上には労働を強制されないものとする。 |
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A 被保護者が敵国の国民である場合には、それらの者は、人間としての食糧、住居、被服、輸送及び健康を確保するために通常必要な労働であって軍事行動の遂行に直接関係がないもの以外は、強制されないものとする。 |
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B 前二項に掲げる場合において、労働を強制された被保護者は、特に賃金、労働時間、被服及び器具、予備的作業訓練並びに業務上の災害及び疾病に対する補償に関し、在留する国の労働者と同一の労働条件及び保護の利益を亨有する。 |
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C 前記の規定に対する違反があったときは、被保護者は、第三十条に従って苦情申立の権利を行使することを許されるものとする。 |
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第四十一条〔住所指定、抑留〕 被保護者を権力内に有する国は、この条約に掲げる統制措置が不充分と認める場合においても、第四十二条及び第四十三条の規定による住居指定又は抑留の措置以上にきびしい統制措置を執ってはならない。 |
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A 住居を指定する決定によって通常の住居から他の場所に移転を要求された者に対して第三十九条第二項の規定を適用するに当っては、抑留国は、できる限りこの条約の第三編第四部に定める福祉の基準に従わなければならない。 |
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第四十二条〔抑留の理由〕 被保護者の抑留又は住居指定は、抑留国の安全がこれを絶対に必要とする場合に限り、命ずることができる。 |
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A 利益保護国の代表者を通じて自発的に抑留を求める者があって、その者の事情が抑留を必要とするときは、その者を権力内に有する国は、その者を抑留しなければならない。 |
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第四十三条〔再審査手続〕 被保護者で抑留され、又は住居を指定されたものは、再審査のために抑留国が指定する適当な裁判所又は行政庁で、その処分についてできる限りすみやかに再審査を受ける権利を有する。抑留又は住居指定が継続される場合には、前記の裁判所又は行政庁は、事情が許すときは、原決定に対して有利な変吏をするため、定期的に且つ少くとも年に二回、各事件の審査を行わなければならない。 |
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A 抑留国は、抑留され、若しくは住居を指定され、又は抑留若しくは住居指定から解放された被保護者の氏名をできる限りすみやかに利益保護国に通知しなければならない。但し、それらの者が反対した場合は、この限りでない。本条第一項に掲げる裁判所又は行政庁の決定は、同一の条件の下に、できる限りすみやかに利益保護国に通告しなければならない。 |
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第四十四条〔亡命者〕 抑留国は、この条約に掲げる統制措置を適用するに当っては、事実上いずれの政府の保護をも亨有していない亡命者を、それらの者が法律上敵国の国籍を有するということのみに基いて敵性を有する外国人として取り扱ってはならない。 |
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第四十五条〔移送〕 被保護者は、この条約の締約国以外の国に移送してはならない。 |
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A この規定は、敵対行為の終了後における被保護者の送還又はその居住国への帰還を妨げるものではない。 |
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B 抑留国は、この条約の締約国に、当該締約国がこの条約を適用する意思及び能力を有することを確認した後にのみ、被保護者を移送することができる。被保護者が前記により移送されたときは、被保護者を受け入れた国は、被保護者がその保護の下にある間、この条約を適用する責任を負う。但し、被保護者を受け入れた国がいずれかの重要な点についてこの条約の規定を実施しなかった場合には、被保護者を移送した国は、利益保護国の通告に基いて、その状態を改善するために有効な措置を執り、又は被保護者の返還を要請しなければならない。この要請には、従わなければならない。 |
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C 被保護者は、いかなる場合にも、その政治的意見又は信仰のために迫害を受ける虜のある国に移送してはならない。 |
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D 本条の規定は、敵対行為の開始前に締結されている犯罪人引渡条約に従って、普通の刑法上の違反行為のために訴追されている被保護者の引渡を妨げるものではない。 |
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第四十六条〔制限的措置〕 被保護者に関して執られた制限的措置は、まだ廃止されていない限り、敵対行為の終了後できる限りすみやかに廃止しなければならない。 |
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A 被保護者の財産に関して執られた制限的措置は、抑留国の法令に従って、敵対行為の終了後できる限りすみやかに廃止しなければならない。 |
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第三部 占領地域 |
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第四十七条〔権利の不可侵〕 占領地域にある被保護者は、いかなる場合にも及びいかなる形においても、占領の結果その地域の制度若しくは政治にもたらされる変更、占領地域の当局と占領国との間に締結される協定又は占領国による占領地域の全部若しくは一部の併合によってこの条約の利益を奪われることはない。 |
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第四十八条〔送還〕 領域を占領された国の国籍を有しない被保護者は、第三十五条の規定に従うことを条件として、その領域を去る権利を行使することができる。これに関する決定は、同条に基いて占領国が定める手続に従って行わなければならない。 |
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第四十九条〔追放〕 被保護者を占領地域から占領国の領域に又は占領されていると占領されていないとを問わず他の国の領域に、個人的若しくは集団的に強制移送し、又は追放することは、その理由のいかんを問わず、禁止する。 |
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A もっとも、占領国は、住民の安全又は軍事上の理由のため必要とされるときは、一定の区域の全部又は一部の立ちのきを実施することができる。この立ちのきは、物的理由のためやむを得ない場合を除く外、被保護者を占領地城の境界外に移送するものであってはならない。こうして立ちのかされた者は、当該地区における敵対行為が終了した後すみやかに、各自の家庭に送還されるものとする。 |
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B 前記の移送又は立ちのきを実施する占領国は、できる限り、被保護者を受け入れる適当な施股を設けること、その移転が衛生、保健、安全及び給食について満足すべき条件で行われること並びに同一家族の構成員が離散しないことを確保しなければならない。 |
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C 移送及び立ちのきを実施するときは、直ちに、利益保護国に対し、その移送及び立ちのきについて通知しなければならない。 |
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D 占領国は、住民の安全又は緊急の軍事上の理由のため必要とされる場合を除く外、戦争の危険に特にさらされている地区に被保護者を抑留してはならない。 |
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E 占領国は、その占領している地域へ自国の文民の一部を追放し、又は移送してはならない。 |
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第五十条〔児童〕 占領国は、国又は現地の当局の協力の下に、児童の監護及び教育に充てられるすべての施設の適当な運営を容易にしなければならない。 |
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A 占領国は、児童の身元の識別及び親子関係の登録を容易にするため必要なすベての措置を執らなければならない。占領国は、いかなる場合にも、児童の身分上の地位を変更し、又は自国に従属する団体若しくは組織にこれを編入してはならない。 |
||
B 現地の施設が適当でない場合には、占領国は、戦争の結果孤児となり、又はその両親と離別し、且つ、近親者又は友人によって適当な監護を受けることができない児童の扶養及び教育が、できる限り、その児童と賤一の国籍、言語及び宗教の者によって行われるように措置を執らなければならない。 |
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C 第百三十六条に従って股置される被保護者情報局の特別の課は、身元不明の児童を識別するため必要なすべての措置を執る責任を負う。その児童の親又は近親者に関し入手することができる明細は、常に記録しなければならない。 |
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D 占領国は、食糧、医療上の手当及び戦争の影響に対する保護に関して、十五歳未満の児童、妊産婦及び七歳未満の幼児の母のために占領前に採用されていた有利な措置の適用を妨げてはならない。 |
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第五十一条〔志願、労働〕 占領国は、被保護者に対し、自国の軍隊又は補助部隊において勤務することを強制してはならない。自発的志願を行わせることを目的とする圧迫又は宣伝は、禁止する。 |
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A 占領国は、被保護者が十八歳をこえている場合であって、その者を占領軍の需要、公益事業又は被占領国の住民の給食、住居、被服、輸送若しくは健康のために必要な労働に従事させるときを除く外、被保護者に対し、労働を強制してはならない。被保護者は、軍事行動に参加する義務を負わされるような労働に従事することを強制されない。占領国は、被保護者に対し、それらの者が強制労働に服している施設の安全を強制手段を用いて確保するよう強制してはならない。 |
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B 労働は、役務を微発された者が所在する占領地域においてのみ行わせるものとする。それらの者は、できる限り従前の労働の場所に引き続き置かなければならない。労働者に対しては、公正な賃金を支払わなければならず、労働は、労働者の肉体的及び知的能力に相応するものでなければならない。被占領国において実施されている法令で労働条件及び保護に関するもの、特に、賃金、労働時間、設備、予備的作業訓練並びに業務上の災害及び疾病に対する補償に関するものは、本条に掲げる労働に従事する被保護者に適用される。 |
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C 労務の徴発は、いかなる場合にも軍事的又は準軍事的性質を有する組織の中に労働者を動員することとなってはならない。 |
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第五十二条〔労働者保護〕 いかなる契約、協定又は規則も、労働者の自発的意志があるとないとを問わず、また、その者の在留する場所のいかんを問わず、利益保護国の介入を要請するため同国の代表者に申し立てる労働者の権利を害するものであってはならない。 |
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A 占領国のために労働者を働かせる目的で占領地域において失業を生じさせ、又は労働者の就職の機会を制限するためのすべての措置は、禁止する。 |
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第五十三条〔破壊禁止〕 個人的であると共同的であるとを問わず私人に属し、又は国その他の当局、社会的団体若しくは協同団体に属する不動産又は動産の占領軍による破壊は、その破壊が軍事行動によって絶対的に必要とされる場合を除く外、禁止する。 |
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第五十四条〔公務員〕 占領国は、占領地域にある公務員又は裁判官が良心に従い自己の職務の遂行を避ける場合にも、それらの公務員若しくは裁判官の身分を変更し、又は何らかの方法でそれらの者に対して制裁を加え、若しくは強制的若しくは差別的措置を執ってはならない。 |
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A この禁止は、第五十一条第二項の適用を妨げるものではない。この禁止は、公務員の職を免ずる占領国の権利に影響を及ぼすものではない。 |
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第五十五条〔食糧、医薬品〕 占領国は、利用することができるすべての手段をもって、住民の食糧及び医療品の供給を確保する義務を負う。特に、占領国は、占領地域の資源が不充分である場合には、必要な食糧、医療品その他の物品を輸入しなければならない。 |
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A 占領国は、占領軍及び占領行政機関の要員の使用に充てる場合であって、文民たる住民の要求を考慮したときを除く外、占領地域にある食糧、物品又は医療品を微発してはならない。占領国は、他の国際条約の規定に従うことを条件として、微発された貨物に対して公正な対価が支払われることを確保するため必要な措置を執らなければならない。 |
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B 利益保護国は、いつでも、占領地域における食糧及び医療品の供給状態を自由に調査することができる。但し、緊急の軍事上の要求により一時的制限が必要とされる場合は、この限りでない。 |
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第五十六条〔健康、衛生〕 占領国は、利用することができるすべての手段をもって、占領地域における医療上及び病院の施設及び役務並びに公衆の健康及び衛生を、国及び現地の当局の協力の下に、確保し、且つ、維持する義務を負う。占領国は、特に、伝染病及び流行病のまん延を防止するため必要な予防措置を採用し、且つ、実施しなければならない。すべての種類の衛生要員は、その任務の遂行を許されるものとする。 |
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A 占領地域において新しい病院が設立され、且つ、被占領国の権限のある機関がその地域で活動していない場合には、占領当局は、必要があるときは、それらの病院に対して第十八条に定める承認を与えなければならない。また、この場合には、占領当局は、第二十条及び第二十一条の規定に基いて、病院の職員及び輸送車両に対しても承認を与えなければならない。 |
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B 占領国は、健康及び衛生の措置の採用並びにその実施に当っては、占領地域の住民の道徳的及び倫理的感情を考慮しなければならない。 |
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第五十七条〔病院の徴発〕 占領国は、軍の傷者及び病者の看護のため緊急の必要がある場合に限り、且つ、患者の看護及び療養のため並びに文民たる住民の入院に対する要求のため適当な措置が適当な時に執られることを条件として、単に一時的にのみ文民病院を微発することができる。 |
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A 文民病院の材料及び貯蔵品は、それらが文民たる住民の要求によって必要である限り、徹発することができない。 |
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第五十八条〔宗教上の援助〕 占領国は、聖職者に対し、その者と同一の宗派に属する者に宗教上の援助を与えることを許さなければならない。 |
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A 占領国は、また、宗教上の要求から必要とされる書籍及び物品からなる送付品を受領し、且つ、占領地域におけるそれらの送付品の分配を容易にしなければならない。 |
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第五十九条〔集団的救済〕 占領地域の住民の全部又は一部に対する物資の供給が不充分である場合には、占領国は、その住民のための救済計画に同意し、且つ、その使用することができるすべての手段によりその計画の実施を容易にしなければならない。 |
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A 国又は赤十字国際委員会のような公平な人道的団体によって実施される前記の計画は、特に、食糧、医療品及び被服の送付を内容とするものでなければならない。 |
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B すべての締約国は、それらの送付品の自由通過を許可し、且つ、それらの保護を保障しなければならない。 |
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C もっとも、敵国によって占領されている地域にあてられた送付品に自由通過を許可する国は、送付品を検査し、指定する時刻及び径路による通過を規律し、並びにそれらの送付品が窮乏した住民の救済のために使用されるものであって占領国の利益のために使用されるものでないことを利益保護国を通じて充分に確かめる権利を有する。 |
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第六十条〔占領国の責任〕 救済品は、第五十五条、第五十六条及び第五十九条に基く占領国の責任を免除するものではない。占領国は、いかなる形においても、救済品の指定された用途を変更してはならない。但し、緊急の必要がある場合であって、占領地域の住民の利益のためであり、且つ、利益保護国の同意を得たときは、この限りでない。 |
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第六十一条〔分配〕 前各条に掲げる救済品の分配は、利益保護国の協力及び監督の下に行わなければならない。この任務は、また、占領国と利益保護国との間の協定によって、中立国、赤十字国際委員会又はその他の公平な人道的団体に委任することができる。 |
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A 前記の救済品は、占領地域の経済のため必要である場合を除く外、その地域においてすべての課微金、租税又は関税を免除される。占領国は、それらの救済品のすみやかな分配を容易にしなければならない。 |
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B すべての締約国は、占領地域にあてられたそれらの救済品の無償の通過又は輸送を許可するように努めなければならない。 |
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第六十二条〔個人あて救済品〕 占領地域にある被保護者は、緊急の安全上の考慮に従うことを条件として、個人あての救済品を受領することを許されるものとする。 |
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第六十三条〔赤十字社〕 占領国が緊急の安全上の考慮から課する一時的且つ例外的措置に従うことを条件として、 |
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(a) 認められた各国赤十字社(赤新月社又は赤のライオン及び太陽社)は、赤十字国際会議によって定められた赤十字の諸原則に従って、それぞれの活動を遂行することができる。その他の救済団体は、同様の条件で、その人道的活動を継続することを許される。 |
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(b) 占領国は、それらの赤十字社(赤新月社又は赤のライオン及び太陽社)及び団体の職員又は組織について、前記の活動を害するような変更を要求してはならない。 |
A 同様の諸原則は、重要な公益事業を維持し、救済品を分配し、及び救援事業を組織化することによって文民たる住民の生活条件を確保することを目的として既に存在し、又は将来設立される非軍事的性質を有する特別の団体の活動及び職員に対しても、適用する。 |
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第六十四条〔刑罰規定〕 被占領国の刑罰法令は、これらの法令が占領国の安全を脅かし、又はこの条約の適用を妨げる場合において、占領国が廃止し、又は停止するときを除く外、引き続き効力を有する。占領地域の裁判所は、このことを考慮し、且つ、裁判の能率的な運営を確保する必要を認め、前記の法令で定めるすべての犯罪行為についてその任務を引き続き行わなければならない。 |
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A もっとも、占領国は、占領地域の住民をして、自国がこの条約に基くその義務を履行し、当該地域の秩序ある政治を維持し、且つ、占領国の安全、占領軍又は占領行政機関の構或員及び財産の安全並びにそれらが使用する施設及び通信線の安全を確保することができるようにするため必要な規定に従わせることができる。 |
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第六十五条〔刑罰法令の公布〕 占領国が制定した刑罰規定は、住民の言語で公布し、且つ、住民に周知させた後でなければ、効力を生じない。それらの刑罰規定の効力は、そ及しないものとする。 |
||
第六十六条〔裁判所〕 第六十四条第二項に基き占領国が公布した刑罰規定に違反する行為があった場合には、占領国は、被疑者を占領国の正当に構成された非政治的な軍事裁判所に引き渡すことができる。但し、この軍事裁判所は、被占領国で開廷しなければならない。上訴のための裁判所は、なるべく被占領国で開廷しなければならない。 |
||
第六十七条〔適用法令〕 裁判所は、犯罪行為が行われる前に適用されており、且つ、法の一般原則、特に、刑罰は犯罪行為に相応するものでなければならないという原則に合致する法令の規定のみを適用しなければならない。裁判所は、被告人が占領国の国民ではないという事実を考慮に入れなければならない。 |
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第六十八条〔刑罰〕 占領国を害する意思のみをもって行った犯罪行為であって、占領軍又は占領行政機関の構成員の生命又は身体に危害を加えず、重大な集団的危険を生ぜず、且つ、占領軍若しくは占領行政機関の財産又はそれらが使用する施設に対して重大な損害を与えないものを行った被保護者は、抑留又は単なる拘禁に処せられる。但し、その抑留又は拘禁の期間は、犯罪行為に相応するものでなければならない。また、抑留又は拘禁は、そのような犯罪行為に関し被保護者から自由を奪うために執る唯一の措置としなければならない。この条約の第六十六条に定める裁判所は、その裁量により、拘禁の刑を同期間の抑留の刑に変えることができる。 |
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A 第六十四条及び第六十五条に従って占領国が公布する刑罰規定は、被保護者が間ちょうとして行った行為、占領国の軍事施設に対して行った重大な怠業(サボタージュ)又は一人若しくは二人以上の者を死に至らしめた故意による犯罪行為のため有罪とされた場合にのみ、その被保護者に対し死刑を科することができる。但し、占領開始前に実施されていた占領地域の法令に基いてそのような犯罪行為に死刑を科することができた場合に限る。 |
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B 死刑の判決は、被告人が占領国の国民ではなくて同国に対し忠誠の義務を負わない事実を裁判所が特に留意した後でなければ、被保護者に言い渡してはならない。 |
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C 死刑の判決は、いかなる場合にも、犯罪行為のあった時に十八歳未満であった被保護者に言い渡してはならない。 |
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第六十九条〔勾留期間の通算〕 すべての場合において、犯罪行為について責任を問われた被保護者が裁判があるまでの間に勾留された期間は、当該被保護者に科する拘禁の本刑に通算しなければならない。 |
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第七十条〔占領前の犯罪行為〕 被保護者は、占領前若しくは占領の一時的中断の間に行った行為又はそれらの期間中に発表した意見のために、占領国によって逮捕され、訴追され、又は有罪とされることはない。但し、戦争の法規及び慣例に違反した場合は、この限りでない。 |
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A 敵対行為の開始前に被占領国の領域内に亡命していた占領国の国民は、敵対行為の開始後に行った犯罪行為に係る場合又は敵対行為の開始前に行った普通法上の犯罪行為で被占領国の法令によれば平時において犯罪人引渡が行われるものに係る場合を除く外、逮捕され、訴追され、有罪とされ、又は占領地域から追放されることはない。 |
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第七十一条〔裁判手続〕 占領国の権限のある裁判所は、正式の裁判を行った後でなければ、判決を言い渡してはならない。 |
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A 占領国により訴追された被告人は、自己が理解する言語で書かれた文書により自己に対する公訴事実の細目をすみやかに通知され、且つ、できる限りすみやかに裁判に付されるものとする。利益保護国は、死刑又は二年以上の拘禁の刑に係る公訴事実に関し占領国が被保護者に対して開始したすべての司法手続を通知されるものとする。利益保護国は、また、それらの司法手続の状況についていつでも情報を得ることができる。利益保護国は、また、その要請により、前記の司法手続及び被保護者に対して占領国が開始したその他の司法手続のすべての細目を通知される権利を有する。 |
||
B 利益保護国に対する前記の第二項に定める通知書は、直ちに送付され、且つ、いかなる場合にも第一回公判の期日の三週間前に到達しなければならない。裁判は、本条の規定が完全に遵守されている旨の証拠が裁判の開始に当って提出されなかった場合には、開始してはならない。通知書には、次の事項を記載しなければならない。 |
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(a) 被告人の身元 |
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(b) 居住又は抑留の場所 |
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(c) 公訴事実の細目(訴迫が行われる基礎となった刑罰規定の記載を含む。) |
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(d) 事件を裁判する裁判所 |
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(e) 第一回の公判の場所及び期日 |
第七十二条〔防御の権利〕 被告人は、防ぎょのため必要な証拠を提出する権利を有し、特に、証人の喚問を求めることができる。被告人は、自ら選任した資格のある弁護人の援助を受ける権利を有し、その弁護人は、自由に被告人を訪問することができるものとし、また、防ぎょの準備のため必要な便益を亨有する。 |
||
A 利益保護国は、被告人が弁護人を選任しなかった場合には、被告人に弁護人を附することができる。被告人が重大な犯罪につき訴追を受け、且つ、利益保護国が活動していないときは、占領国は、被告人の同意を得て弁護人を附さなければならない。 |
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B 被告人は、通訳人の援助を受ける権利を自已の意思により放棄しない限り、予備的な取調及び裁判の間、通訳人の援助を受けるものとする。被告人は、いつでもその通訳人を忌避し、且つ、その交替を求める権利を有する。 |
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第七十三条〔不服申立〕 有罪の判決を受けた者は、裁判所が適用する法令で定める不服申立の権利を有する。その者に対しては、不服申立又は請願の権利及びこれを行使することができる期間について完全に告げなければならない。 |
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A この部に定める刑事手続は、不服申立があった場合に準用するものとする。裁判所が適用する法令が不服申立について規定していない場合には、有罪の判決を受けた者は、事実認定及び判決について、占領国の権限のある当局に請願する権利を有する。 |
||
第七十四条〔利益保護国の援助〕 利益保護国の代表者は、被保護者の裁判に立ち会う権利を有する。但し、例外的に占領国の安全のため裁判が非公開で行われる場合は、この限りでない。この場合には、占領国は、利益保護国にその旨を通知しなければならない。裁判の期日及び場所に関する通知書は、利益保護国に送付しなければならない。 |
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A 死刑又は二年以上の拘禁の刑を含む判決は、理由を附してできる限りすみやかに利益保護国に通知しなければならない。その通知書には、第七十一条に基いて行われる通知との関係及び拘禁の刑の場合には、刑が執行される場所を記載しなければならない。それらの判決以外の判決の記録は、裁判所が保存し、且つ、利益保護国の代表者の閲覧に供しなければならない。死刑又は二年以上の拘禁の刑を含む判決の場合において許される不服申立の期間は、利益保護国が判決の通知書を受領した時から起算する。 |
||
第七十五条〔死刑〕 死刑の判決を受けた者は、いかなる場合にも、特赦又は死刑の執行の停止を請願する権利を奪われないものとする。 |
||
A いかなる死刑の判決も、死刑を確定する終局判決又は特赦若しくは死刑の執行の停止を拒否する決定の通知書を利益保護国が受領した日から少くとも六箇月の期間が経過する前に執行してはならない。 |
||
B 前項に定める六箇月の期間は、占領国又は占領軍の安全に対する組織的な脅威となる重大な緊急の事情がある場合には、個個の事件について短縮することができる。但し、利益保護国は、この期間の短縮について常に通告を受け、且つ、この死刑の判決に関して権限のある占領当局に対して申入れをするため充分な時間及び機会を与えられるものとする。 |
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第七十六条〔被拘禁者の待遇〕 犯罪行為の責任を問われた被保護者は、被占領国で勾留されるものとし、有罪の判決を受けた場合には、被占領国で刑に服するものとする。それらの者は、できる限り、勾留されている他の者から分離されなければならず、また、食糧及び衛生の条件については、良好な健康状態を保つに充分であり、且つ、被占領国の監獄で与えられる条件と少くとも同等である条件を亨有する。 |
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A それらの者は、その健康状態により必要とされる医療を受けるものとする。 |
||
B それらの者は、また、その要求する宗教上の援助を受ける権利を有する。 |
||
C 女子は、分離した場所に拘禁し、且つ、女子の直接の監視の下に置かなければならない。 |
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D 未成年者に対する特別の待遇については、適当に考慮しなければならない。 |
||
E 拘禁中の被保護者は、第百四十三条の規定に従い、利益保護国及び赤十字国際委員会の代表の訪問を受ける権利を有する。 |
||
F それらの者は、毎月少くとも一個の救済小包を受領する権利を有する。 |
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第七十七条〔被拘禁者の引渡〕 占領地域の裁判所で犯罪行為の責任を問われ、又は有罪の判決を受けた被保護者は、占領の終了に当り、解放された地域の当局に関係記録とともに引き渡さなければならない。 |
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第七十八条〔安全措置〕 占領国は、安全上の絶対的理由のために被保護者に関して安全措置を執ることが必要であると認めた場合においても、住居指定又は抑留の措置以上の措置を執ることができない。 |
||
A その住居指定又は抑留に関する決定は、占領国がこの条件の規定に従って定める正規の手続に従って行わなければならない。この手続は、関係当事者の訴願の権利を含むものとする。訴願に対しては、できる限りすみやかに決定を与えなければならない。住民指定又は抑留の決定が確認された場合には、その決定は、占領国が設置する権限のある機関によって、定期的に、できれば六箇月ごとに、審査を受けるものとする。 |
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B 住居指定の措置に服するため自己の住居から移転することを要求された被保護者は、この条約の第三十九条の利益を完全に亨有する。 |
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第四部 被抑留者の待遇に関する規則 |
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第一章 総則 |
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第七十九条〔抑留する場合〕 紛争当事国は、第四十一条、第四十二条、第四十三条、第六十八条及び第七十八条の規定による場合を除く外、被保護者を抑留してはならない。 |
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第八十条〔私法上の行為能力〕 被抑留者は、完全な私法七の行為能力を保持し、且つ、その行為能力に伴う権利で被抑留者としての地位と矛盾しないものを行使するものとする。 |
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第八十一条〔給養〕 被保護者を抑留する紛争当事国は、無償で、それらの者を給養し、及びその健康状態に必要な医療をそれらの者に提供しなければならない。 |
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A 被抑留者の手当、俸給又は債権の額は、前記の費用の支払に充てるために減額してはならない。 |
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B 被抑留者の扶養を受ける者が生活を維持するための適当な手段を有しない場合又は生計を営むことができない場合には、抑留国は、それらの者の生活を支持しなければならない。 |
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第八十二条〔被抑留者の配置〕 抑留国は、被抑留者をできる限りその国籍、言語及び習慣に応じて収容しなければならない。同一国の国民である被抑留者は、言語が異なるという理由だけで分離してはならない。 |
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A 同一家族の構成員、特に親子は、抑留の期間中、収容所の同一場所に居住させなければならない。但し、作業上若しくは健康上の理由のため又はこの部の第九章の規定の実施のために一時的別居が必要とされる場合は、この限りでない。被抑留者は、その監護を受けないで放置されている自己の子が自己とともに収容されるよう要請することができる。 |
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B 同一家族の構成員たる被抑留者は、できる限り、同一の建物内に居住させなければならず、且つ、それらの者に対しては、他の被抑留者から分離した収容施設及び正常な家庭生活を送るための便益を与えなければならない。 |
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第二章 抑留の場所 |
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第八十三条〔抑留場所〕 抑留国は、戦争の危険に特にさらされている地区に収容所を設けてはならない。 |
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A 抑留国は、利益保護国の仲介により、敵国に対し、収容所の地理的位置に関するすべての有益な情報を提供しなければならない。 |
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B 収容所は、軍事上許される場合にはいつでも、昼間は、空中から明白に識別することができるICという文字によって表示しなければならない。但し、関係国は、その他の表示の方法についても合意することができる。それらの表示は、収容所のみに使用するものとする。 |
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第八十四条〔分離抑留〕 被抑留者は、捕虜及び他の何らかの理由で自由を奪われている者と分離して収容し、且つ、管理しなければならない。 |
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第八十五条〔収容〕 抑留国は、被保護者を、その抑留の開始の時から、衛生上及び保健上のすべての保障を与え、且つ、気候のきびしさ及び戦争の影響に対する有効な保護を与える建物又は区画に収容することを確保するため、必要且つ可能なすべての措置を執らなければならない。いかなる場合にも、常股的な収容所は、不健康な地域又は気候が被抑留者にとって有害である地域に設けてはならない。被保護者が一時的に抑留されている地域が不健康地であるか、又はその地域の気候がその者の健康にとって有害である場合には、当該被保護者は、事情が許す限りすみやかに一層適当な収容所に移さなければならない。 |
||
A 建物は、完全に湿気を防止し、並びに充分に保温し、及び点燈しなければならない。特に、日没から消燈時までの間は、点燈しなければならない。寝室は、充分な広さを有するものとし、且つ、よく換気しなければならない。被抑留者に対しては、気候並びに被抑留者の年令、性別及び健康状態を考慮して、適当な寝具及び充分な毛布を与えなければならない。 |
||
B 被抑留者に対しては、日夜、衛生上の原則に合致する衛生設備で常に清潔な状態に維持されるものをその使用に供しなければならない。被抑留者に対しては、日常の身体の清潔及び被服の洗たくのために水及び石けんを充分に供給しなければならない。被抑留者に対しては、このため必要な設備及び便益を与えなければならない。被抑留者に対しては、シヤワー又は浴場を利用させなければならない。それらの者に対しては、洗たく及び清掃のため必要な時間を与えなければならない。 |
||
C 例外的且つ一時的措置として、男子と同一の収容所に家族の構成員でない女子の被抑留者を収容する必要があるときは、常に、その女子の被抑留者の用に供するため、分離した寝室及び衛生設備を設けなければならない。 |
||
第八十六条〔宗教の儀式〕 抑留国は、被抑留者に対し、その宗派のいかんを問わず、宗教的儀式を行うための適当な場所を自由に使用させなければならない。 |
||
第八十七条〔酒保〕 すべての収容所には、他の適当な便益を利用することができる場合を除く外、酒保を設備しなければならない。酒保は、被抑留者が個人的の福祉及び慰安を増進するような食糧品及び日用品(石けん及びたばこを含む。)を現地の市場価格より高くない価額で買うことができるようにすることを目的とする。 |
||
A 酒保が得た益金は、各収容所に股けられる厚生基金の勘定に貸記し、且つ、その収容所に属する被抑留者の利益のために管理しなければならない。第百二条に定める被抑留者委員会は、酒保及び前記の基金の運営を監視する権利を有する。 |
||
B 収容所が閉鎖された場合には厚生基金の残額は、同一の国籍を有する被抑留者のための収容所の厚生基金に繰り入れなければならない。そのような収容所が存在しない場合には、その残額は、引き続き抑留国の権力内にあるすべての被抑留者の利益のために管理される中央厚生基金に繰り入れなければならない。全般的の解放の場合には、前記の益金は、関係国間に反対の協定がない限り、抑留国に残されるものとする。 |
||
第八十八条〔空襲の避難所〕 空襲その他の戦争の危険にさらされているすべての収容所には、必要な保護を確保するため適当な数及び構造の避難所を設備しなければならない。警報があった場合には、被抑留者は、前記の危険から宿舎を防護するために残存する者を除く外、できる限りすみやかに避難所に入ることができる。住民のために執る防護措置は、被抑留者にも適用しなければならない。 |
||
A 収容所では、火災の危険に対して適切なすべての予防措置を執らなければならない。 |
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第三章 食糧及び被服 |
||
第八十九条〔食糧〕 被抑留者の毎日の食糧配給の量、質及び種類は、それらの者を良好な健康状態に維持し、且つ、栄養不良を防止するのに充分なものでなければならない。被抑留者の食習慣も、また、考慮に入れなければならない。 |
||
A 被抑留者に対しては、また、その所持する別の食糧を自ら調理する手段を与えなければならない。 |
||
B 被抑留者に対しては、飲料水を充分に供給しなければならない。喫煙は、許さなければならない。 |
||
C 労働する被抑留者に対しては、その者が従事する労働の種類に応じて、食糧の増配をしなければならない。 |
||
D 妊産婦及び十五歳未満の児童に対しては、その生理的必要に応じて食糧の増配をしなければならない。 |
||
第九十条〔被服〕 被抑留者は、抑留されたときは、必要な被服、はき物及び着替の下着を携行し、且つ、その後必要が生じた場合にそれらを入手するため、すベての便益を与えられるものとする。被抑留者が、気候に対して充分な被服を所持せず、且つ、これを入手することができない場合には、抑留国は、それらの者に被服を無償で与えなければならない。 |
||
A 抑留国が被抑留者に供給する被服及びその被服に附する外部的標識は、侮辱的なもの又は被抑留者をちょう笑にさらすようなものであってはならない。 |
||
B 労働者に対しては、労働の性質上必要な場合には、適当な労働服(保護用の被服を含む。)を支給しなければならない。 |
||
第四章 衛生及び医療 |
||
第九十一条〔医療〕 各収容所には、資格のある医師の指揮の下に置かれ、且つ、被抑留者が必要とする治療及び適当な食事を受けることができる適当な病舎を備えなければならない。伝染病及び精神病にかかった患者のために隔離室を設けなければならない。 |
||
A 妊産婦及び重病の被抑留者又は特別の治療、外科手術若しくは入院を必要とする状態にある被抑留者は、適当な処置をする能力がある施設に収容されるものとし、また、一般住民に与えられる治療より劣らない治療を受けるものとする。 |
||
B 被抑留者は、なるべく、自己と同一の国籍を有する衛生要員によって治療を受けるものとする。 |
||
C 被抑留者に対しては、診察を受けるために医療当局に出頭することを妨げてはならない。抑留国の医療当局は、要請があったときは、治療を受けた各被抑留者に対し、その病気又は負傷の性質並びに治療の期間及び種類を記載した公の証明書を発給しなければならない。その証明書の写一通は、第百四十条に定める中央被保護者情報局に送付しなければならない。 |
||
D 治療(被抑留者を良好な健康状態に保つため必要なすべての器具、特に、義歯その他の補装具及びめがねの供給を含む。)は、被抑留者に対して無償とする。 |
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第九十二条〔身体検査〕 被抑留者の身体検査は、少くとも月に一回行わなければならない。その検査は、特に、被抑留者の健康、栄養及び清潔状態の一般的状態を監視し、並びに伝染病、特に結核、マラリア及び性病を検出する”ことを目的としなければならない。その検査は、特に、各被抑留者の体重の測定及び少くとも年に一回のエックス線による検診を含むものとする。 |
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第五章 宗教的、知的及び肉体的活動 |
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第九十三条〔宗教上の義務〕 被抑留者は、抑留当局が定める日常の紀律に従うことを条件として、自己の宗教上の義務の履行(自己の宗教の儀式に出席することを含む。)について完全な自由を亨有する。 |
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A 抑留された聖職者は、同一の宗派に属する被抑留者に対して自由に自己の聖職を行うことを許される。このため、抑留国は、同一の言語を話し、又は同一の宗教に属する被抑留者がいる各種の収容所にそれらの聖職者が衡平に配属されることを確保しなければならない。聖職者の数がきわめて少い場合には、抑留国は、それらの者に対し、一の場所から他の場所に巡回するため必要な便益(輸送手段を含む。)を与え、且つ、入院中の被抑留者を訪問することを許さなければならない。聖職者は、自己の聖職に関する事項について抑留国の宗教機関及び、できる限り、自己の宗派に属する国際的宗教団体と通信する自由を有する。その通信は、第百七条に定める割当数の一部と認めてはならない。但し、その通信については、第百十二条の規定に従わなければならない。 |
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B 被抑留者がその宗派に属する聖職者の援助を受けられない場合又はそれらの聖職者の数がきわめて少い場合には、その宗派に属する現地の宗教機関は、抑留国との合意により、当該被抑留者の宗派に属する聖職者又は、宗教的見地から可能であれば、類似の宗派に属する聖職者若しくは資格がある非聖職者を指名することができる。それらの非聖職者は、自己が引き受ける聖職に対して与えられる便益を亨有する。こうして指名された者は、抑留国が紀律及び安全のため設ける規制に服さなければならない。 |
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第九十四条〔娯楽、研究、運動競技〕 抑留国は、被抑留者の知的、教育的及び娯楽的活動並びに運動競技を奨励しなければならない。但し、それらの活動及び競技に参加するかどうかは、被抑留者の自由に任さなければならない。抑留国は、特に適当な場所を提供して、被抑留者がそれらの活動及び競技をするため可能なすべての措置を執らなければならない。 |
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A 被抑留者に対しては、その者が研究を継続し、又は新たな研究課題に着手するため、可能なすべての便益を与えなければならない。児童及び青年の教育は、確保しなければならない。それらの者に対しては、学校が収容所の内にあると外にあるとを問わず、通学することを許さなければならない。 |
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B 被抑留者に対しては、身体の運動、運動競技及び戸外競技をする機会を与えなければならない。このため、すべての収容所で充分な空地を確保しなければならない。児童及び青年のために特別の運動場を確保しなければならない。 |
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第九十五条〔労働条件〕 抑留国は、被抑留者が希望しない限り、それらの者を労働者として使用してはならない。抑留されていない被保護者に強制的に課せられればこの条約の第四十条又は第五十一条の違反を構成するような労働及び品位を傷つけるような又は屈辱的な性質を有する労働は、いかなる場合にも、禁止する。 |
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A 被抑留者は、六週間の労働期間の後は、八日前の予告によって、いつでも労働をやめることができる。 |
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B 前記の規定は、抑留国が、抑留されている医師、歯科医師その他の衛生要員を同一の収容所に抑留されている者のためにそれらの者の職業的能力に応じて使用し、又は被抑留者を収容所の管理及び維持の労働に使用し、炊事場の労働その他の雑用に当らせ、若しくは空襲その他の戦争の危険に対する被抑留者の防護に関連がある任務に従事させるよう要求する権利を害するものではない。但し、被抑留者に対しては、医務官がその者の身体にとって不適当と認める仕事を行うよう要求してはならない。 |
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C 抑留国は、すべての労働条件、医療及び賃金の支払について、並びに労働に使用されるすべての被抑留者が作業上の災害及び疾病に対して補償を受けることを確保することについて、全責任を負う。前記の労働条件及び補償を定める基準は、国内法令及び現行の慣習に合致するものでなければならない。この基準は、いかなる場合にも、同一地方の同一性質の労働について認められる基準よりも不利なものであってはならない。労働に対する賃金は、被抑留者の生活を無償で維持し、且つ、被抑留者がその健康状態により必要とする医療を供給すべき抑留国の義務に適当な考慮を払った上で、被抑留者と抑留国及び場合によっては抑留国以外の使用者との間の特別の合意によって衡平に決定しなければならない。本条第三項に掲げる種類の労働に常時使用される被抑留者に対しては、抑留国が公正な賃金を支払わなければならない。その被抑留者に対する労働条件並びに作業上の災害及び疾病に対する補償の基準は、同一地方の同一性質の労働に適用される基準よりも不利なものであってはならない。 |
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第九十六条〔労働分遣所〕 すべての労働分遣所は、収容所の一部とされ、且つ、これに従属するものとする。抑留国の権限のある当局及び収容所長は、当該労働分遣所におけるこの条約の規定の遵守について責任を負う。収容所長は、その収容所に所属する労働分遣所の最新の表を保管し、また、その収容所を訪問することがある利益保護国、赤十字国際委員会又はその他の人道的団体の代表にその表を送付しなければならない。 |
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第六章 個人財産及び金銭収入 |
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第九十七条〔個人用品〕 被抑留者は、個人用品を保持することを許されるものとする、。被抑留者が所持する金銭、小切手、証券等及び有価物は、正規の手続による場合を除く外、取り上げることができない。取り上げた物に対しては、詳細な受取証を発給しなければならない。 |
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A 前記の金銭は、第九十八条で定めるところにより、各被抑留者の勘定に貸記しなければならない。その金銭は、その所有者が抑留されている地域で施行されている法令が要求する場合又は被抑留者が同意した場合を除く外、他の通貨に両替することができない。 |
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B 主として個人的又は感情的価値のみを有する物品は、取り上げてはならない。 |
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C 女子の被抑留者は、女子以外の者が捜索してはならない。 |
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D 被抑留者は、解放され、又は送還されるに当って、抑留中に取り上げられたすべての物品、金銭その他の有価物を返還されるものとし、また、第九十八条に従って有する勘定の貸方残高を現金で受け取るものとする。但し、施行中の法令によって抑留国が留置する物品又は金額は、この限りでない。被抑留者の財産がこうして留置された場合には、所有者は、詳細な受取証を受領するものとする。 |
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E 被抑留者が所持する家族に関する文書又は身分証明書を取り上げるに当っては、受取証を発給しなければならない。被抑留者に対しては、常に身分証明書を携帯させなければならない。抑留当局は、身分証明書を所持していない被抑留者に対しては、特別証明書を発給しなければならない。その特別証明書は、抑留の終了の時まで、身分証明書に代るものとする。 |
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F 被抑留者は、物品を購入するため、現金又は購入券で一定の金額を携帯することができる。 |
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第九十八条〔金銭収入〕 すべての被抑留者は、たばこ、化粧用品等の物品を購入するために充分な手当を定期的に支給されるものとする。その手当の支払は、勘定への貸記又は購入券の形によって行うことができる。 |
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A 被抑留者は、また、自己の本国、利益保護国、被抑留者を援助する団体又は自己の家族から手当を支給され、且つ、抑留国の法令に従い、自己の財産から生ずる所得を受け取ることができる。被抑留者の本国が支給する手当の額は、被抑留者の種類(虚弱者、病者、妊産婦等)について同一のものでなければならず、また、この条約の第二十七条で禁止されている被抑留者間の差別に基いて、被抑留者の本国が割り当て、又は抑留国が分配してはならない。 |
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B 抑留国は、各被抑留者について正規の勘定を開かなければならない。本条に掲げる手当、被抑留者が得た資金及び被抑留者が受領した送金並びに被抑留者から取り上げた金額でその者が抑留されている領域に施行されている法令に基いて使用することができるものは、その勘定に貸記しなければならない。被抑留者は、その家族及びその他自己が扶養する者に送金するため、その領域に施行されている法令と矛盾しないすべての便益を与えられるものとする。被抑留者は、抑留国が定める制限内で、自己の勘定からその個人的経費のため必要な額を引き出すことができる。被抑留者は、常に、自己の勘定を調べ、又はその写を得る適当な便益を与えられるものとする。勘定の明細書は、請求があったときは、利益保護国に与えなければならず、また、被抑留者が移動される場合には、被抑留者に携行させなければならない。 |
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第七章 管理及び紀律 |
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第九十九条〔収容所管理〕 各収容所は、抑留国の正規の軍隊又は行政庁から選ばれた責任のある将校又は公務員の指揮下に置かなければならない。収容所を指揮する将校又は公務員は、自国の公用語(公用語が二以上あるときは、そのうちの一)で書かれたこの条約の謄本を所持し、且つ、この条約の適用について責任を負わなければならない。被抑留者を監督する職員は、この条約及びその適用を確保するため執られる行政措置の諸規定について教育を受けるものとする。 |
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A この条約及びこの条約に基いて締結される特別協定の本文は、被抑留者が理解する言語により収容所の内部に掲示するか、又は被抑留者委員会に所持させなければならない。 |
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B 各種の規則、命令、通告及び公示は、被抑留者に通知し、且つ、被抑留者が理解する言語により収容所の内部に掲示しなければならない。 |
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C 被抑留者に対して個人的に発する命令及び指令も、当該被抑留者が理解する言語によらなければならない。 |
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第百条〔一般的規律〕 収容所における紀律制度は、人道の原則に合致するものでなければならず、且つ、いかなる場合にも、被抑留者に対しその健康に危険な肉体疲労を与え、又は肉体的若しくは精神的苦痛を伴う規定を含むものであってはならない。入墨による識別又は身体に対する記号若しくは標示の押印による識別は、禁止する。 |
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A 特に、長時間にわたる直立及び点呼、懲戒のための訓練、軍事的訓練及び演習並びに食糧配給量の減配は、禁止する。 |
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第百一条〔苦情及び要請〕 被抑留者は、自己を権力内に有する当局に対し、抑留条件に関する要請を申し立てる権利を有する。 |
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A 被抑留者は、また、抑留条件に関して苦情を申し立てようとする事項に対して利益保護国の代表者の注意を喚起するため、被抑留者委員会を通じ、又は必要と認めるときは直接に、利益保護国の代表者に対して申入れをする権利を無制限に有する。 |
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B 前記の要請及び苦情は、直ちに、且つ、変更を加えないで伝達しなければならず、また、その苦情は、理由がないと認められた場合にも、処罰の理由としてはならない。 |
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C 被抑留者委員会は、利益保護国の代表者に対し、収容所の状態及び被抑留者の要求に関する定期的報告をすることができる。 |
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第百二条〔被抑留者委員会〕 被抑留者は、すべての収容所において、抑留国、利益保護国、赤十字国際委員会及び被抑留者を援助するその他の団体に対して被抑留者を代表する権限を与えられる被抑留者委員会の委員を、六箇月ごとに自由に秘密投票で選挙しなければならない。その被抑留者委員会の委員は、再選されることができる。 |
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A こうして選挙された被抑留者は、その選挙について抑留当局の承認を受けた後、その任務につくものとする。承認の拒否又は免職の理由は、関係利益保護国に通知しなければならない。 |
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第百三条〔委員会の任務〕 被抑留者委員会は、被抑留者の肉体的、精神的及び知的福祉のために貢献しなければならない。 |
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B 特に、被抑留者がその相互の間で相互扶助の制度を組織することに決定した場合には、この組織は、この条約の他の規定に基いて被抑留者委員会に委任される特別の任務とは別に、被抑留者委員会の権限に属するものとする。 |
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第百四条〔委員会の特権〕 被抑留者委員会の委員に対しては、その任務の遂行が他の労働によって一層困難となるときは、他の労働を強制してはならない。 |
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A 被抑留者委員会の委員は、その必要とする補助者を被抑留者の中から指名することができる。被抑留者委員会の委員に対しては、すべての物質的便益、特に、その任務の達成のために必要なある程度の行動の自由(労働分遣所の訪問、需品の受領等)を許さなければならない。 |
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B 被抑留者委員会の委員に対しては、また、抑留国の当局、利益保護国及び赤十字国際委員会並びにそれらの代表並びに被抑留者を援助する団体と郵便及び電信で通信するためのすべての便益を与えなければならない。労働分遣所の被抑留者委員会の委員は、主たる収容所の被抑留者委員会と通信するため、同一の便益を亨有する。この通信は、制限してはならず、また、第百七条に定める割当数の一部を構成するものと認めてはならない。 |
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C 移動される被抑留者委員会の委員に対しては、その事務を後任者に引き継ぐための充分な時間を与えなければならない。 |
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第八章 外部との関係 |
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第百五条〔譜置の通知〕 抑留国は、被保護者を抑留したときは、直ちに、被保護者の本国及び利益保護国に対し、本章の規定を実施するために執る措置を通知しなければならない。抑留国は、その措置が後に変更されたときは、その変更についても同様に前記の関係者に通知しなければならない。 |
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第百六条〔抑留葉書〕 各被抑留者に対しては、その者が、抑留された時直ちに、又は収容所に到着した後遅くとも一週間以内に、また、病気になった場合又は他の収容所若しくは病院に移動された場合にもその後一週間以内に、その家族及び第百四十条に定める中央被保護者情報局に対し、抑留された事実、あて名及び健康状態を通知する葉書を直接に送付することができるようにしなければならない。その葉書は、なるべくこの条約の附属のひな型と同様の形式のものでなければならない。その葉書は、できる限りすみやかに送付するものとし、いかなる場合にも、遅延することがあってはならない。 |
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第百七条〔通信〕 被抑留者に対しては、手紙及び葉書を送付し、及び受領することを許さなければならない。抑留国が、各被抑留者の発送する手紙及び葉書の数を制限することを必要と認めた場合には、その数は、毎月、手紙二通及び葉書四通より少いものであってはならない。それらの手紙及び葉書は、できる限りこの条約の附属のひな型と同様の形式で作成しなければならない。被抑留者にあてた通信が制限されなければならない場合には、その制限は、通常抑留国の要請に基いて、被抑留者の本国のみが命ずることができる。前記の手紙及び葉書は、適当な期間内に発送するものとし、懲戒の理由で、遅延させ、又は留置してはならない。 |
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A 長期にわたり家族から消息を得ない被抑留者又は家族との間で通常の郵便路線により相互に消息を伝えることができない被抑留者及び家族から著しく遠い場所にいる被抑留者に対しては、電報を発信することを許さなければならない。その料金は、被抑留者が処分することができる通貨で支払うものとする。被抑留者は、緊急と認められる場合にも、この規定による利益を受けるものとする。 |
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B 被抑留者の通信は、原則として、母国語で書かなければならない。紛争当事国は、その他の言葉で通信することを許すことができる。 |
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第百八条〔救済品の発送〕 被抑留者に対しては、特に、食糧、被服、医療品、書籍及び被抑留者の必要を満たす宗教、教育又は娯楽用物品を内容とする個人又は集団あての荷物を郵便その他の径路により受領することを許さなければならない。それらの荷物は、抑留国に対し、この条約で抑留国に課せられる義務を免除するものではない。 |
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A 軍事上の必要から前記の荷物の数量を制限しなければならない場合には、利益保護国、赤十字国際委員会又は被抑留者に援助を与えるその他の団体で荷物の伝達について責任を負うものに対し、その制限について適当な通告を与えなければならない。 |
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B 個人又は集団あての荷物の発送に関する条件は、必要があるときは、関係国間の特別協定の対象としなければならない。関係国は、いかなる場合にも、被抑留者による救済品の受領を遅延させてはならない。図書は、被服又は食糧の荷物の中に入れてはならない。医療救済品は、原則として、集団あての荷物として送付しなければならない。 |
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第百九条〔集団あて救済品〕 集団あての救済品の受領及び配分の条件に関して紛争当事国間に特別協定がない場合には、この条約に附属する集団的救済に関する規則を適用しなければならない。 |
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A 前記の特別協定は、いかなる場合にも、被抑留者委員会が被抑留者にあてられた集団的救済品を保有し、分配し、及び受取人の利益となるように処分する権利を制限するものであってはならない。 |
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B 前記の特別協定は、また、利益保護国、赤十字国際委員会又は被抑留者に援助を与えるその他の団体で集団あての荷物の伝達について責任を負うものの代表者が受取人に対する当該荷物の分配を監督する権利を制限するものであってはならない。 |
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第百十条〔料金免除〕 被抑留者のためのすべての救済品は、輸入税、税関手数料その他の課徴金を免除される。 |
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A 他の国から被抑留者にあてられ、又は被抑留者が発送するすべての物品(小包郵便で発送する救済小包を含む。)及び送金で郵便によるものは、直接に送付されると第百三十六条に定める被保護者情報局又は第百四十条に定める中央被保護者情報局を通じて送付されるとを問わず、差出国、名あて国及び仲介国において郵便料金を免除される。このため、特に、抑留所又は普通刑務所内に留置される敵国の文民のための千九百四十七年の万国郵便条約及び万国郵便連合の諸約定で定める免除は、この条約によって保護されるその他の被抑留者にも許与するものとする。それらの諸約定の非締約国は、同一の条件で料金の免除を許与しなければならない。 |
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B 被抑留者にあてられた救済品が重量その他の理由により郵便で送付することができない場合には、その輸送費は、抑留国の管理の下にあるすべての領域においては、抑留国が負担しなければならない。この条約のその他の締約国は、それぞれの領域における輸送費を負担しなければならない。 |
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C それらの救済品の輸送に関連する費用で前各項に規定しないものは、発送人が負担しなければならない。 |
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D 締約国は、被抑留者が発信し、又は被抑留者にあてられる電報の料金をできる限り低額にするように努めなければならない。 |
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第百十一条〔特別の輸送手段〕 軍事行動のため、関係国が第百六条、第百七条、第百八条及び第百十三条に定める郵便及び救済品の輸送を確保する義務を遂行することができなかった場合には、関係利益保護国、赤十字国際委員会又は紛争当事国が正当に承認したその他の団体は、適当な輸送手段(鉄道車両、自動車、船舶、航空機等)によりその郵便及び救済品を伝達することを確保するように企画することができる。このため、締約国は、それらのものに前記の輸送手段を提供することに努め、且つ、特に、必要な安導券を与えて輸送手段の使用を許さなければならない。 |
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A 前記の輸送手段は、次のものの輸送のためにも使用することができる。 |
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(a) 第百四十条に定める中央被保護者情報局と第百三十六条に定める各国の被保護者情報局との間で交換される通信、名簿及び報告書 |
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(b) 利益保護国、赤十字国際委員会又は被抑留者に援助を与えるその他の団体がその代表又は紛争当事国との間で交換する被抑留者に関する通信及び報告書 |
B 前記の規定は、紛争当事国が希望した場合に他の輸送手段について取極をする権利を制限するものではなく、また、安導券が相互に同意された条件でその輸送手段に関して与えられることを排除するものでもない。 |
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C 輸送手段の使用に要する費用は、それによって利益を得る者の国籍が属する紛争当事国が、荷物の重要性に応じて負担しなければならない。 |
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第百十二条〔検閲〕 被抑留者にあてられ、又は被抑留者が発送する通信の検閲は、できる限りすみやかに行わなければならない。 |
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A 被抑留者にあてられた荷物の検査は、その中の物品をそこなう虜のある条件の下で行ってはならない。その検査は、名あて人又は名あて人が正当に委任した被抑留者の立会の下に行わなければならない。被抑留者に対する個人又は集団あての荷物の引渡は、検査の困難を理由として遅延することがあってはならない。 |
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B 紛争当事国が命ずる通信の禁止は、軍事的理由によるものであると政治的理由によるものであるとを問わず、一時的なものでなければならず、その禁止の期間は、できる限り短いものでなければならない。 |
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第百十三条〔法律文書〕 抑留国は、被抑留者にあてられ、又は被抑留者が発送する遺言状、委任状その他の文書が利益保護国若しくは第百四十条に定める中央被保護者情報局を通じて又はその他必要な方法で伝達されるように、すべての適当な便益を提供しなければならない。 |
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A 抑留国は、いかなる場合にも、前記の文書の妥当且つ適法な様式による作成及び認証について被抑留者に便益を与えなければならない。特に、抑留国は、被抑留者が法律家に依頼することを許さなければならない。 |
||
第百十四条〔財産管理〕 抑留国は、被抑留者に対し、抑留条件及び適用がある法令に違反しない限り、その財産を管理することができるようにすべての便益を与えなければならない。抑留国は、このため、緊急の場合において事情が許すときは、被抑留者に収容所を離れることを許すことができる。 |
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第百十五条〔訴訟〕 抑留国は、被抑留者が裁判所における訴訟当事者であるすベての場合において、その者の要請があったときは、当該裁判所にその抑留の事実を通知しなければならず、また、その被抑留者が、抑留されているという理由で、その訴訟事件の準備及び進行に関し又は裁判所の判決の執行に関して何らの不利益をも被ることがないようにするため必要なすべての措置を執ることを法令の範囲内で確保しなければならない。 |
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第百十六条〔訪問〕 各被抑留者は、定期的に、できる限りしばしば、訪問、特にその近親者の訪問を受けることを許されるものとする。 |
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A 各被抑留者は、緊急の場合、特に、近親者が死亡したとき、又は重病のときは、できる限り帰宅を許されるものとする。 |
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第九章 刑罰及び懲戒罰 |
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第百十七条〔刑罰の適用法令〕 被抑留者が抑留されている領域内で施行されている法令は、本章の規定に従うことを条件として、抑留中に違反行為を行った被抑留者に対して引き続き適用する。 |
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A 一般の法律、規則又は命令が、被抑留者が行った一定の行為について処罰すベきものと定めている場合において、被抑留者でない者が行った同一の行為については処罰すべきものでないときは、その行為については、懲戒罰のみを科することができる。 |
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B 被抑留者は、同一の行為又は同一の犯罪事実については、重ねて処罰することができない。 |
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第百十八条〔刑罰〕 裁判所又は当局は、刑罰を決定するに当っては、被告人が抑留国の国民ではないという事実をできる限り考慮に入れなければならない。裁判所又は当局は、被抑留者が訴追された違反行為に関して定める刑罰を自由に減軽することができるものとし、従って、このためには、所定の最も軽い刑罰にかかわりなく刑罰を科することができる。 |
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A 日光が入らない場所における拘禁及び一般にあらゆる種類の残虐行為は、禁止する。 |
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B 被抑留者は、懲戒罰又は刑罰に服した後は、他の被抑留者と差別して待遇してはならない。 |
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C 懲戒又は裁判があるまでの間における被抑留者の拘禁又は勾留の期間は、被抑留者に言い渡す拘禁の懲戒罰又は刑罰に通算しなければならない。 |
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D 被抑留者委員会は、同委員会が代表する被抑留者に対して執られるすべての司法手続及びその結果について通知を受けるものとする。 |
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第百十九条〔懲戒罰〕 被抑留者に対して科することができる懲戒罰は、次のものとする。 |
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(1) 三十日以内の期間について行う、第九十五条の規定に基いて被抑留者が受領すべき賃金の百分の五十以下の減給 |
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(2) この条約で定める待遇以外に与えられている特権の停止 |
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(3) 収容所の維持に関連する一日につき二時間以内の労役 |
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(4) 拘置 |
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A 懲戒罰は、いかなる場合にも、非人道的なもの、残虐なもの又は被抑留者の健康を害するものであってはならない。被抑留者の年令、性別及び健康状態については、考慮を払わなければならない。 |
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B 一の懲戒罰の期間は、被抑留者が懲戒の決定を受ける場合において、二以上の紀律違反行為について責任を問われているときでも、それらの違反行為の間に関連があるかどうかを問わず、最大限連続三十日をこえてはならない。 |
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第百二十条〔逃走〕 逃走し、又は逃走を企てた被抑留者で再び捕えられたものに対しては、その行為が重ねて行われたものであるとないとを問わず、その行為については懲戒罰のみを科することができる。 |
||
A 第百十八条第三項の規定にかかわらず、逃走し、又は逃走を企てた結果として処罰された被抑留者は、特別の監視の下に置くことができる。その監視は、被抑留者の健康状態を害するものであってはならず、収容所内で行われるものでなければならず、また、この条約によって被抑留者に与えられる保護のいずれをも排除するものであってはならない。 |
||
B 逃走又は逃走の企図をほう助し、又はそそのかした被抑留者に対しては、その行為について懲戒罰のみを科することができる。 |
||
第百二十一条〔関連の違反行為〕 逃走又は逃走の企図は、その行為が重ねて行われたものであるとないとを問わず、被抑留者が逃走中に行った犯罪行為について訴追されたときに刑を加重する情状と認めてはならない。 |
||
A 紛争当事国は、被抑留者の違反行為について、特に、逃走が成立したかどうかを問わず逃走に関連して行われた行為について、懲戒罰を科するか又は刑罰を科するかを決定するに当っては、権限のある当局が寛容を示すことを確保しなければならない。 |
||
第百二十二条〔調査・拘禁〕 紀律に対する違反行為を構成する行為は、直ちに調査しなければならない。この規定は、特に、逃走又は逃走の企図について適用する。再び捕えられた被抑留者は、権限のある当局にできる限りすみやかに引き渡さなければならない。 |
||
A 紀律に対する違反行為の場合には、懲戒の決定があるまでの間における拘禁の期間は、すべての被抑留者について最少限度としなければならず、また、十四日をこえてはならない。その期間は、いかなる場合にも、拘置の本罰に通算しなければならない。 |
||
B 第百二十四条及び第百二十五条の規定は、紀律に対する違反行為に関して懲戒の決定があるまでの間に拘禁されている被抑留者に準用する。 |
||
第百二十三条〔権限ある当局〕 懲戒罰は、収容所長又はその代理をし、若しくはその懲戒権を委任される責任のある将校若しくは公務員のみが、言い渡すことができる。但し、裁判所及び上級の当局の権限を害するものではない。 |
||
A 違反行為の責任を問われた被抑留者に対しては、懲戒の決定の言渡の前に、責任を問われた違反行為に関する正確な情報を告げ、且つ、当該被抑留者が自己の行為を弁明し、及び自己を防ぎょする機会を与えなければならない。その被抑留者に対しては、特に、証人の喚問を求めること及び必要があるときは資格のある通訳人に通訳させることを許さなければならない。決定は、当該被抑留者及び被抑留者委員会の委員に対して言い渡さなければならない。 |
||
B 懲戒の言渡と執行との間の期間は、一箇月をこえてはならない。 |
||
C 被抑留者について重ねて懲戒の決定があった場合において、いずれかの懲戒罰の期間が十日以上であるときは、いずれの二の懲戒についても、その執行の間には、少くとも三日の期間を置かなければならない。 |
||
D 懲戒の記録は、収容所長が保存し、且つ、利益保護国の代表者の閲覧に供しなければならない。 |
||
第百二十四条〔懲戒罰の施設〕 被抑留者は、いかなる場合にも、懲治施設(監獄、懲治所、徒刑場等)に移動して懲戒罰に服させてはならない。 |
||
A 被抑留者を懲戒罰に服させる場所は、衛生上の要件を満たすものでなければならず、特に、充分な寝具を備えるものでなければならない。懲戒罰に服する被抑留者については、清潔な状態を保つことができるようにしなければならない。 |
||
B 懲戒罰に服する女子の被抑留者は、男子の被抑留者と分離した場所に拘禁し、且つ、女子の直接の監視の下に置かなければならない。 |
||
第百二十五条〔重要な保障〕 懲戒罰に服する被抑留者に対しては、一日に少くとも二時間、運動し、及び戸外にあることを許さなければならない。 |
||
A それらの被抑留者に対しては、その請求があったときは、日日の検診を受けることを許さなければならない。それらの被抑留者は、その健康状態により必要とされる治療を受けるものとし、また、必要がある場合には、収容所の病室又は病院に移されるものとする。 |
||
B それらの被抑留者に対しては、読むこと、書くごと及び信書を発受することを許さなければならない。但し、送付を受けた小包及び金銭は、処罰が終了するまでの間、留置することができる。その間は、送付を受けた小包及び金銭は、被抑留者委員会に委託しなければならず、被抑留者委員会は、その荷物の中にある変敗しやすい物を病室に引き渡さなければならない。 |
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C 懲戒罰に服する被抑留者からは、この条約の第百七条及び第百四十三条の規定の利益を奪ってはならない。 |
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第百二十六条〔司法手続〕 第七十一条から第七十六条までの規定は、抑留国の領域内にある被抑留者に対する司法手続に準用する。 |
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第十章 被抑留者の移動 |
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第百二十七条〔条件〕 被抑留者の移動は、常に人道的に行わなければならない。その移動は、原則として、鉄道その他の輸送手段によって、少くとも抑留国の軍隊の移駐の条件と同等の条件で行わなければならない。移動を例外的に徒歩で行わなければならない場合において、被抑留者の健康状態がその移動に適していないときは、その移動は、行ってはならず、また、いかなる場合にも、被抑留者を過度に疲労させるものであってはならない。 |
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A 抑留国は、移動中の被抑留者に対し、その健康を維持するために量、質及び種類において充分な飲料水及び食糧並びに必要な被服、適当な宿舎及び必要な医療上の手当を供与しなければならない。抑留国は、移動中の被抑留者の安全を確保するため、すべての適当な予防措置を執らなければならない。抑留国は、移動される被抑留者の完全な名簿をその出発前に作成しなければならない。 |
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B 病者、傷者又は虚弱者たる被抑留者及び妊産婦は、移動がそれちの者の健康にとって極めて有害であるときは、移動してはならない。但し、それらの者の安全のために絶対に移動を必要とする場合は、この限りでない。 |
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C 戦線が収容所に接近した場合には、その収容所の被抑留者は、移動を充分に安全な条件で行うことができるとき、又は被抑留者を現地にとどめれば移動した場合におけるよりも一層大きな危険にさらすこととなるときを除く外、移動してはならない。 |
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D 抑留国は、被抑留者の移動を決定するに当っては、被抑留者自身の利益を考虜に入れなければならず、特に、それらの者の送還又は家庭への復帰を一層困難にするようなことをしてはならない。 |
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第百二十八条〔方法〕 移動の場合には、被抑留者に対し、その出発及び新たな郵便用あて名について正式に通知しなければならない。その通知は、被抑留者がその荷物を準備し、及びその家族に通報することができるように、充分に早く与えなければならない。 |
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A 被抑留者に対しては、その個人用品並びに受領した通信及び小包を携帯することを許さなければならない。それらの物品の重量は、移動の条件により必要とされるときは、制限することができる。但し、いかなる場合にも、被抑留者一人について二十五キログラム未満に制限してはならない。 |
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B 旧収容所にあてられた通信及び小包は、遅滞なく被抑留者に転送しなければならない。 |
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C 収容所長は、被抑留者委員会と協議して、被抑留者の共有物及び第二項に基いて課せられる制限により被抑留者が携帯することができない荷物の輸送を確保するため必要な措置を執らなければならない。 |
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第十一章 死亡 |
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第百二十九条〔遺言書、死亡証明書〕 被抑留者の遺言書は、安全に保管するため貴任のある当局が受理するものとし、被抑留者が死亡した場合には、当該被抑留者があらかじめ指定した者に遅滞なく送付しなければならない。 |
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A 被抑留者の死亡は、あらゆる場合に医師が確認しなければならない。その死亡については、死因及び死亡の状態を記載した死亡証明書を作成しなければならない。 |
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B 正式に登録される公式の死亡記録は、収容所が存在する領域内で実施されている手続と同一の手続に従って作成しなければならず、その認証謄本は、利益保護国及び第百四十条に掲げる中央被保護者情報局に遅滞なく送付しなければならない。 |
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第百三十条〔埋葬、墳墓〕 抑留当局は、抑留されている間に死亡した被抑留者ができる限りその属する宗教の儀式に従って丁重に埋葬されること並びにその墓が尊重され、適当に維持され、及びいつでも識別することができるように標示されることを確保しなければならない。 |
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A 死亡した被抑留者は、避けがたい事情によって共同の墓を使用する必要がある場合を除く外、各別の墓に埋葬しなければならない。その死体は、衛生上絶対に必要とされる場合、死者の宗教に基く場合又は本人の明示的な希望による場合に限り、火葬に付することができる。火葬に付した場合には、被抑留者の死亡証明書に火葬の事実及び理由を記載しなければならない。その遺骨は、安全に保管するため抑留当局が留置し、また、その近親者の要請があればできる限りすみやかにその者に引き渡さなければならない。 |
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B 抑留国は、事情が許す限りすみやかに、おそくとも敵対行為の終了の時までに、第百三十六条に定める被保護者情報局を通じ、死亡した被抑留者の墓の表をそれらの者が属していた国に送付しなければならない。その表には、死亡した被抑留者を識別するために必要なすべての明紬及びその墓の正確な場所を記載しなければならない。 |
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第百三十一条〔特別事態の死亡〕 被抑留者の死亡又は重大な傷害で衛兵、他の被抑留者その他の者に起因し、又は起因した疑があるもの及び被抑留者の原因不明の死亡については、抑留国は、直ちに公の調査を行わなければならない。 |
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A 前記の事項に関する通知は、直ちに利益保護国に与えなければならない。証人からは、供述を求め、それらの供述を含む報告書を作成して利益保護国に送付しなければならない。 |
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B 調査によって一人又は二人以上の者が罪を犯したと認められるときは、抑留国は、責任を負うべき者を訴追するため必要なすべての措置を執らなければならない。 |
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第十二章 解放、送還及び中立国における入院 |
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第百三十二条〔紛争期間中の解放〕 抑留国は、各被抑留者についてその抑留を必要とする原因が存在しなくなったときは、それらの被抑留者を直ちに解放しなければならない。 |
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A 紛争当事国は、また、敵対行為の期間中に、特定の種類の被抑留者、特に、児童、妊産婦、幼児及び児童の母、傷者及び病者並びに長期間抑留されていた被抑留者の解放、送還、居住地への復帰又は中立国における入院のための協定を締結するように努めなければならない。 |
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第百三十三条〔敵対行為終了後の解放〕 抑留は、敵対行為の終了後できる限りすみやかに禁止しなければならない。 |
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A 紛争当事国の領域内にある被抑留者で、もっぱら懲戒罰のみを科することができる違反行為以外の違反行為についての刑事訴訟手続がその者について進行中のものは、その手続及び事情により必要とされるときは刑の執行を終るまでの間、拘禁して置くことができる。既に自由刑の判決を受けた被抑留者についても、同様とする。 |
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B 抑留国及び関係国は、離散した被抑留者を捜索するため、敵対行為又は地域の占領の終了の後に、協定で委員会を設置することができる。 |
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第百三十四条〔居住地に復帰〕 締約国は、敵対行為又は占領の終了に当り、すベての被抑留者がその最後の居住地に復帰することを確保し、又はそれらの者の送還を容易にするように努めなければならない。 |
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第百三十五条〔費用〕 抑留国は、解放された被抑留者が抑留された時に居住していた場所に復帰するための費用又は、抑留国がそれらの者を旅行中に若しくは公海で捕えた場合には、それらの者が旅行を完了し、若しくはその出発地点に復帰するための費用を負担しなければならない。 |
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A 抑留国は、抑留前にその国に恒久的な居所を有していた者に対しその領域内に居住することを許可しない場合には、それらの被抑留者の送還の費用を支払わなければならない。但し、被抑留者が自己の責任において又は本国政府の命令に従って帰国することを希望する場合には、抑留国は、その領域の出国地点からの旅行の費用を支払うことを要しない。抑留国は、自己の要請に基いて抑留された被抑留者の送還の費用を支払うことを要しない。 |
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B 被抑留者が第四十五条に従って移送される場合には、被抑留者の移送を行う国及びそれらの者を受け入れる国は、自国が負担する費用の割当について合意しなければならない。 |
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C 前記の規定は、紛争当事国が敵国の権力内にある自国民の交換及び送還に関し特別協定を締結することを妨げるものではない。 |
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第五部 被保護者情報局及び中央被保護者情報局 |
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第百三十六条〔国の情報局〕 各紛争当事国は、紛争の開始の際及び占領のあらゆる場合に、その権力内にある被保護者に関する情報の受領及び伝達について責任を負う公の情報局を設置しなければならない。 |
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A 各紛争当事国は、二週間をこえて捕えられ、住居を指定され、又は抑留されているすべての被保護者に関して執った措置について、自国の被保護者情報局に対しできる限りすみやかに情報を提供しなければならない。各紛争当事国は、また、自国の諸関係機関に対し、被保護者に関するすべての異動(たとえば、移動、解放、送還、逃走、入院、出生、死亡等)に関する情報をすみやかに前記の被保護者情報局に提供するように要求しなければならない。 |
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第百三十七条〔情報の通知〕 各国の被保護者情報局は、利益保護国及び第百四十条に定める中央被保護者情報局の仲介により、被保護者の本国又はそれらの者がその領域内に居住していた国に対し、被保護者に関する情報を最もすみやかな方法で直ちに通知しなければならない。被保護者情報局は、また、被保護者に関し受領するすべての問合せに回答しなければならない。 |
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A 被保護者情報局は、被保護者に関する情報を伝達しなければならない。但し、その伝達が本人又はその近親者にとって有害である場合は、この限りでない。この場合においても、その情報は、中央被保護者情報局には提供しなければならない。同情報局は、その事情について通知を受けたときは、第百四十条に掲げる必要な措置を執るものとする。 |
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B 被保護者情報局のすべての通知書は、署名又は押印によって認証しなければならない。 |
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第百三十八条〔必要な明細〕 被保護者情報局が受領し、及び伝達する情報は、被保護者の身元を正確に識別し、及び近親者にすみやかに了知させることを可能にするような性質のものでなければならない。各被保護者についての情報は、少くとも氏名、出生地及び生年月日、国籍、最後の居住地、特徴、父の名及び母の旧姓、本人に関して執られた措置の日付、場所及び性質、被抑留者に対する通信を送付すべきあて名並びに通知を受ける者の氏名及びあて名を含むものでなければならない。 |
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A 同様に、重病又は重傷の被抑留者の健康状態に関する情報も、定期的に、可能なときは毎週、提供しなければならない。 |
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第百三十九条〔個人的有価物〕 各国の被保護者情報局は、更に、第百三十六条に掲げる被保護者、特に、送還され、若しくは解放された被保護者又は逃走し、若しくは死亡した被保護者が残したすべての個人的な有価物の収集について責任を負うものとし、また、その有価物を、直接に又は必要がある場合には中央被保護者情報局を通じて、関係者に送付しなければならない。被保護者情報局は、それらの有価物を封印袋で送付しなければならない。その封印袋には、それらの有価物を所持していた者を識別するための明確且つ完全な明細書及び内容の完全な目録を付さなければならない。それらのすべての有価物の受領及び発送については、詳細に記録して置かなければならない。 |
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第百四十条〔中央被保護者情報局〕 被保護者(特に、被抑留者)に関する中央被保護者情報局は、中立国に設置する。赤十字国際委員会は、必要と認める場合には、関係国に対し、中央被保護者情報局を組織することを提案しなければならない。中央被保護者情報局は、捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第百二十三条に定める中央捕虜情報局と同一のものとすることができる。 |
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A 中央被保護者情報局の任務は、第百三十六条に定めるすべての種類の情報で公的又は私的径路で入手することができるものを収集し、及び関係者の本国又はそれらの者が住所を有する国にその情報をできる限りすみやかに伝達することとする。但し、その情報の伝達がその情報に関係がある本人又はその近親者にとって有害である場合は、この限りでない。中央被保護者情報局は、この伝達については、紛争当事国からすべての適当な便益を与えられるものとする。 |
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B 締約国、特に、その国民が中央被保護者情報局の役務の利益を享有する国は、中央被保護者情報局に対し、その必要とする財政的援助を提供するように要請されるものとする。 |
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C 前記の規定は、赤十字国際委員会又は第百四十二条に定める救済団体の人道的活動を制限するものと解してはならない。 |
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第百四十一条〔料金の免除〕 各国の被保護者情報局及び中央被保護者情報局は、すべての郵便料金の免除及び第百十条に定める免除を受けるものとし、更に、できる限り電報料金の免除又は少くともその著しい減額を受けるものとする。 |
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第四編 条約の実施 |
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第一部 総則 |
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第百四十二条〔救済団体〕 抑留国は、その安全を保障し、又はその他合理的な必要を満たすために肝要であると認める措置を留保して、宗教団体、救済団体その他被保護者に援助を与える団体の代表者及びその正当な委任を受けた代理人に対し、被保護者の訪問、出所のいかんを問わず宗教的、教育的又は娯楽的目的に充てられる救済用の需品及び物資の被保護者に対する分配並びに収容所内における被保護者の余暇の利用の援助に関してすべての必要な便益を与えなければならない。前記の団体は、抑留国の領域内にも、また、その他の国にも設立することができる。また、前記の団体には、国際的性質をもたせることができる。 |
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A 抑留国は、代表が抑留国の領域内で抑留国の監督の下に任務を行うことを許される団体の数を制限することができる。但し、その制限は、すべての被保護者に対する充分な救済の効果的な実施を妨げないものでなければならない。 |
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B この分野における赤十字国際委員会の特別の地位は、常に、認め、且つ、尊重しなければならない。 |
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第百四十三条〔監視〕 利益保護国の代表者又は代表は、被保護者がいるすべての場所、特に、収容、拘禁及び労働の場所に行くことを許されるものとする。 |
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A 利益保護国の代表者又は代表は、被保護者が使用するすべての施設に出入することができるものとし、また、立会人なしで、直接に又は通訳人を通じて、被保護者と会見することができる。 |
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B 前記の訪問は、絶対的な軍事上の必要を理由とする例外的且つ一時的な措置として行われる場合を除く外、禁止されないものとする。その訪問の期間及び回数は、制限してはならない。 |
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C 利益保護国の代表者及び代表は、訪問する場所を自由に選定することができる。抑留国又は占領国、利益保護国及び必要がある場合には訪問を受ける者の本国は、それらの被抑留者の同国人が訪問に参加することに合意することができる。 |
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D 赤十字国際委員会の代表も、同一の特権を享有する。その代表の任命は、当該代表が任務を遂行する領域を支配する国の承認を必要とする。 |
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第百四十四条〔条約の普及〕 締約国は、この条約の原則を自国のすべての住民に知らせるため、平時であると戦時であるとを問わず、自国においてこの条約の本文をできる限り普及させること、特に、軍事教育及びできれば非軍事教育の課目中にこの条約の研究を含ませることを約束する。 |
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A 戦時において被保護者について責任を負う文民の当局、軍当局、警察当局その他の当局は、この条約の本文を所持し、及び同条約の規定について特別の教育を受けなければならない。 |
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第百四十五条〔訳文、適用法令〕 (第一条約の第四十八条と同じ。) |
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第百四十六条〔罰則〕 (第一条約の第四十九条と同じ。) |
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第百四十七条〔重大な違反行為〕 前条にいう重大な違反行為とは、この条約が保護する人又は物に対して行われる次の行為、すなわち、殺人、拷問若しくは非人道的待遇(生物学的実験を含む。)、身体若しくは健康に対して故意に重い苦痛を与え、若しくは重大な傷害を加えること、被保護者を不法に追放し、移送し、若しくは拘禁すること、被保護者を強制して敵国の軍隊で服務させること、この条約に定める公正な正式の裁判を受ける権利を奪うこと、人質によること又は軍事上の必要によって正当化されない不法且つし意的な財産の広はんな破壊若しくは懲発を行うことをいう。 |
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第百四十八条〔締約国の責任〕 (第一条約の第五十一条と同じ。) |
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第百四十九条〔調査手続〕 (第一条約の第五十二条と同じ。) |
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第二部 最終規定 |
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第百五十条〔用語〕 (第一条約の第五十三条と同じ。) |
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第百五十一条〔署名〕 本日の日付を有するこの条約は、千九百四十九年四月二十一日にジュネーヴで開かれた会議に代表者を出した国に対し、千九百五十年二月十二日までその署名のため開放される。 |
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第百五十二条〔批准〕 (第一条約の第五十七条と同じ。) |
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第百五十三条〔効力の発生〕 (第一条約の第五十八条と同じ。) |
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第百五十四条〔ヘーグ条約との関係〕 千八百九十九年七月二十九日又は千九百七年十月十八日の陸戦の法規及び慣例に関するヘーグ条約によって拘束されている国でこの条約の締約国であるものの間の関係においては、この条約は、それらのヘーグ条約に附属する規則の第二款及び第三款を補完するものとする。 |
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第百五十五条〔加入〕 (第一条約の第六十条と同じ。) |
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第百五十六条〔加入の通告〕 (第一条約の第六十一条と同じ。) |
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第百五十七条〔直接の効果〕 (第一条約の第六十二条と同じ。) |
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第百五十八条〔廃棄〕 (第一条約の第六十三条と同じ。) |
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第百五十九条〔国際連合への登録〕 (第一条約の第六十四条と同じ。) 第一附属書 病院及び安全のための地帯及び地区に関する協定案 第一条 戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第二十三条及び戦時における文民の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第十四条に掲げる者並びに病院及び安全のための地帯及び地区の組織及び管理並びにそれらの中に収容される者の看護の責任を負う要員のため、病院及び安全のための地帯は、必ず確保して置かなければならない。 もつとも、病院及び安全のための地帯内に住所を有する者は、その地帯にとどまる権利を有する。 第二条 資格のいかんを問わず、病院及び安全のための地帯に居住する者は、その地帯内においても、また、その地帯外においても、軍事行動又は軍需品の生産に直接に関連する作業を行つてはならない。 第三条 病院及び安全のための地帯を設定する国は、その地帯における居住又はその地帯への立入りの権利を有しない者の出入を禁止するため必要なすべての措置を執らなければならない。 第四条 病院及び安全のための地帯は、次の条件を満たすものでなければならない。 (a) その地帯が、その地帯を設定した国によつて支配される地域の一小部分であること。 (b) その地帯の住民が、その地帯の収容能力に比して少いこと。 (c) その地帯が、すべての軍事目標又は重要な産業上若しくは行政上の施設から遠く離れており、且つ、それらを有しないこと。 (d) その地帯の位置が、戦争遂行上重要となる可能性が大である地域にないこと。 第五条 病院及び安全のための地帯については、次の義務に従わなければならない。 (a) 病院及び安全のための地帯に属する通信線及び輸送手段は、通過の場合であつても、軍事上の人員及び資材の輸送のために使用してはならない。 (b) 病院及び安全のための地帯は、いかなる場合においても、軍事的手段によつて防衛してはならない。 第六条 病院及び安全のための地帯は、その周囲及び建物の上に、白地に赤の斜の帯を付して表示しなければならない。 もつぱら傷者及び病者のため確保された地帯は、白地に赤十字(赤新月又は赤のライオン及び太陽)の標章で表示することができる。 それらの地帯は、夜間適当な照明によつて同様に表示することができる。 第七条 各国は、平時において又は敵対行為の開始の際、自国が支配する地域にある病院及び安全のための地帯についてすべての締約国に通告しなければならない。各国は、また、敵対行為を行つている間に新たに設定した病院及び安全のための地帯について通告しなければならない。 病院及び安全のための地帯は、敵国が前記の通告を受領した時に、正式に成立したものとする。 もつとも、敵国は、この協定の条件が満たされていないと認めるときは、当該病院及び安全のための地帯につき責任のある当事国に直ちに拒否の通告を与えることによりその病院及び安全のための地帯の承認を拒否し、又はその病院及び安全のための地帯を承認するかどうかの決定を第八条に定める監督機関に任せることができる。 第八条 敵国が設定した一又は二以上の病院及び安全のための地帯を承認した国は、その病院及び安全のための地帯がこの協定で定める条件及び義務を満たしているかどうかを確認するため、一又は二以上の特別委員会に病院及び安全のための地帯の監督を要求する権利を有する。 このため、特別委員会の委員は、いつでもすべての病院及び安全のための地帯に自由に出入することができるものとし、また、そこに恒久的に居住することができるものとする。それらの委員は、監督の任務を行うため、すべての便益を与えられるものとする。 第九条 特別委員会は、この協定の規定に違反すると認める事実を発見したときは、直ちにそれらの事実について当該病院及び安全のための地帯を支配する国の注意を喚起し、且つ、その違反をきよう正するためにその国に五日の猶予期間を与えなければならない。特別委員会は、当該病院及び安全のための地帯を承認した国に対してその旨を正式に通告しなければならない。 前記の猶予期間が満了する時までに当該病院及び安全のための地帯を支配する国が注意の喚起に応じなかつた場合には、敵国は、その病院及び安全のための地帯に関してはこの協定に拘束されない旨を宣言することができる。 第十条 一又は二以上の病院及び安全のための地帯を設定した国並びにそれらの病院及び安全のための地帯の存在について通告を受けた敵国は、第八条及び第九条に掲げる特別委員会の委員となる者を自ら指名し、又は利益保護国若しくは中立国をして指名させなければならない。 第十一条 病院及び安全のための地帯は、いかなる場合にも、攻撃の対象としてはならない。紛争当事国は、常に、病院及び安全のための地帯を保護し、且つ、尊重しなければならない。 第十二条 一地域が占領された場合には、その地域内にある病院及び安全のための地帯は、病院及び安全のための地帯として引き続き尊重され、且つ、使用されるものとする。 もつとも、占領国は、収容されている者の安全を確保するためにすべての措置を執ることを条件として、その地帯の使用目的を変更することができる。 第十三条 この協定は、各国が病院及び安全のための地帯と同様の目的で使用する病院及び安全のための地区にも適用する。 第二附属書 集団的救済に関する規則案 第一条 被抑留者委員会は、その収容所によつて管理されるすべての被抑留者(病院又は監獄その他の懲治施設にある者を含む。)に対し、被抑留者委員会に委託された集団あての救済品を分配することを許される。 第二条 集団あての救済品の分配は、贈与者の指示及び被抑留者委員会が作成する計画に従つて行わなければならない。但し、医療品の分配は、なるべく、先任医務官の同意の下に行わなければならず、先任医務官は、病院及び病室においては、その患者のために必要と認めるときは、前記の指示に従うことを必要としない。分配は、それらの制限内で、常に衡平に行わなければならない。 第三条 被抑留者委員会の委員は、受領する物品の質及び量を確認し、且つ、それについて贈与者のために詳細な報告書を作成することができるように、その収容所に近い駅その他の救済品の到着地点に行くことを許される。 第四条 被抑留者委員会は、その収容所のすべての区画及び附属分所における集団あての救済品の分配がその指示に従つて行われたかどうかを確認するため必要な便益を与えられるものとする。 第五条 被抑留者委員会は、集団あての救済品に関する事項(分配、必要品、数量等)について、贈与者に送られる調査票又は質問書に自ら記入し、並びに労働分遣所の被抑留者委員会の委員又は病室及び病院の先任医務官をして記入させることを許される。その調査票及び質問書は、正当に記入された後、遅滞なく贈与者に送付しなければならない。 第六条 被抑留者委員会は、その収容所にある被抑留者に対して集団あての救済品を定期的に分配することを確保し、及び被抑留者の新たな集団の到着によつて生ずる必要に応ずるため、集団あての救済品を充分に貯蔵し、且つ、維持することを許される。この目的のため、被抑留者委員会は、適当な倉庫を自由に使用することができる。各倉庫の出入口には、二箇の錠前を取り付けるものとし、その一の錠前のかぎを被抑留者委員会が持ち、他の錠前のかぎを収容所長が持つものとする。 第七条 締約国、特に、抑留国は、できる限り、且つ、住民に対する物質の供給に関する規則に従い、被抑留者に対する集団あての救済品として分配するためにそれらの領域において行われるすべての購入を許さなければならない。それらの国は、その購入のために行われる資金の移転その他技術的又は行政的性質の財政的措置に対し、同様に、便益を与えなければならない。 第八条 前記の諸規定は、被抑留者が、収容所に到着する前に又は移動の途中で集団あての救済品を受領する権利を制限するものでなく、また、利益保護国、赤十字国際委員会又は被抑留者に援助を与えるその他の団体でそれらの救済品の送達の責任を負うことがあるものの代表者が、適当と認める他の手段により名あて人に対するそれらの救済品の分配を確保することを妨げるものではない。 第三附属書 T抑留葉書 U手紙 V通信用葉書 |