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研究室紹介
研究室紹介
沿革
電気回路研究室は,同志社大学工学部発足後まもなく岩本国三先生により始められました.専門分野は,電力系統回路,雷サージ,パワーエレクトロニクス回路など,多岐にわたってその回路解析を中心にしてきました.現在は,加藤利次教授に引き継がれ,井上馨教授と共にインバータやDC-DCコンバータなどのスイッチング素子(トランジスタ,ダイオードやIGBTなど)を用いたパワーエレクトロニクス回路システムについて,その動作を解析したり,思いのままに動作させるための制御方法を検討したり,所望の動作をする回路のコンピュータを用いた自動生成方法などについて研究しています.
研究テーマの概要
回路システムの電圧,電流波形や動作モードの解析を基礎とした応用研究,およびその実験的検証を行っています.最近では,コンピュータを用いた解析方法の提案や,パワーエレクトロニクス回路のコンピュータを用いた制御実験などに力を入れています.テーマ例とキーワードを以下に示します.
1.コンピュータを用いた回路解析方法
コンピュータによる新しい回路解析手法,およびそのソフトウェア開発を行っています.タブロー法などの電気回路の定式化手法では,抵抗やコイルなどの通常の回路素子は容易に取り扱えますが,ディジタル素子を含む回路は取り扱いが難しい.そこで定式化方法の汎用化を行い,取り扱いを容易にする手法を開発しています.また,回路を設計する上でのパラメータの決定は回路が複雑化するにつれて困難となため,評価関数を用いて最適回路パラメータを設計する手法をについても検討しています.さらに,複雑化する回路の解析を高速化するために,2台以上のコンピュータを用いて並列処理するためのアルゴリズムについて研究していています.
- ディジタル・アナログ混合回路の定式化手法
- マルチレート法やパラメータ感度解析法を用いたトレランス解析
- 回路の最適パラメータチューニング方法の検討
- 回路解析の並列処理アルゴリズムの開発
2.遺伝的プログラミング(GP)を用いた自動回路生成
生物の進化の過程を模擬した遺伝的アルゴリズム(GA)や遺伝的プログラミング(GP)を用いて,所望の動作をする回路を自動的に生成させる方法を開発しています.
- GPによる自動回路生成法の開発
- GAによるトレランス解析法の検討
3.電気機器の自動故障診断
変圧器や電動機の巻線の故障位置の自動診断法を開発しています.
ウエーブレット解析などの手法を用いて故障時の情報を抽出した後,自己組織化マップ(SOM)を用いてグラフィカルに故障位置を表示させます.
- 故障位置の自動診断法の開発
- コホネンの自己組織化マップを用いた変圧器の故障診断
4.パワーエレクトロニクス回路の動作解析と制御方式
コンバータ回路はクランプ回路の付加などで複雑化しており,その動作モードの解析にはコンピュータによる数値解析法の適用が必要となっています.このため,自動的に動作モードの解析を行うプログラムを開発しています.また,最適制御やスライディングモード,予測値制御などの制御理論とDSPやFPGAを用いて,歪みの少ない正弦波を出力するためのインバータ制御方式について検討しています.
- パワーエレクトロニクス回路の動作モード解析
- パワーエレクトロニクス回路の非線形制御,インテリジェント制御
5.回転電気機械の振動の解析と駆動方式の検討
回転電気機械(電動機やフライホイール電力貯蔵機など)に生じる機械的な振動と電気的な振動の連成振動について実験的な解析とその制御方法の開発を行っています.省エネルギー化を目指し,3相誘導電動機のベクトル制御方式を用いた電力回生方法について理論と実験の両面から検討してます.また,回生電力を貯蔵し,必要なときに放出する電力貯蔵装置の制御方法を検討しています.
- ふれまわり振動の解析とトルクを用いた制御方式の開発
- ねじれ振動と発電機出力の関係
- 跳躍現象が生じた場合のコンバータの動作解析
- 3相誘導電動機のセンサレスベクトル制御方式の実験的検討
- 電力貯蔵装置の制御方法の検討
6.電動車両のスリップ制御
モータを搭載した車両は,その制御性の良さなどの理由から様々な用途で用いられています.しかし,モータは瞬時に大トルクが発生できるため,路面や軌道と車輪間にスリップ現象が生じやすい.本研究では,スリップを抑制する制御方法について研究しています.